(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
前述した遊技機の操作装置にかかる好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
遊技機7の操作装置1は、
図1〜
図4に示すように、遊技機7の前面に設けられ、遊技の演出に関連して操作されるものである。操作装置1は、遊技機7に設けられた支持体2と、支持体2に対して回動可能な回動体4とを備える。回動体4は、初期位置401と、初期位置401から所定量回動した位置である回動位置402との2つの位置に往復して回動可能である。初期位置401にある回動体4においては、回動体4の前後方向Dの後側に位置する操作入力部位620が遊技機7の内部に隠されている。また、回動位置402にある回動体4においては、操作入力部位620が遊技機7の外部に現れ、操作入力部位620への遊技者による操作入力が受付け可能になる。
【0014】
図5に示すように、回動体4の回動中心部41は、その中心軸線Cが遊技機7の左右方向Wに平行になる状態で、初期位置401にある回動体4の前後方向Dの中心位置Oよりも前側に位置している。
図3、
図5においては、回動体4の前後方向Dの全長をLとして、全長Lの半分の長さL/2と、中心位置Oとを示す。
図1、
図2においては、前後方向Dの前側を符号D1によって示し、後側を符号D2によって示す。
【0015】
図3に示すように、回動位置402にある回動体4の、回動中心部41の中心Cから前後方向Dの前側への突出量T2は、初期位置401にある回動体4の、回動中心部41の中心Cから前後方向Dの前側への突出量T1に比べて大きい。同図においては、各突出量T1,T2を、回動中心部41の中心Cから回動体4の前端までの前後方向Dに沿った長さとして示す。
【0016】
回動体4は、初期位置401から回動位置402へ回動するときには、正方向R1への回動として、操作入力部位620が遊技機7の上下方向Hにおける中心側H1へ回動を開始した後、停止する。また、回動体4は、回動位置402から初期位置401へ回動するときには、正方向R1とは逆の逆方向R2へ回動した後、停止する。
【0017】
以下に、本形態の遊技機7の操作装置1について説明する。
本形態の遊技機7は、パチンコ遊技を行うパチンコ遊技機であり、ホールに複数台が並んで設置される。詳細は省略するが、遊技機7は、パチンコ遊技を行う遊技盤が配置された本体枠と、本体枠を開閉可能に支持する外枠と、本体枠の前側に開閉可能に支持された前扉72とを備える。そして、前扉72の前面の下側部分には、球皿ユニット71が配置されている。
【0018】
図1、
図2に示すように、球皿ユニット71は、前扉72とともに本体枠に対して開閉可能である。球皿ユニット71には、賞球として流下する遊技球を貯留する上皿711と、上皿711から溢れ出す遊技球を貯留する下皿712とが形成されている。前扉72における、球皿ユニット71の配置位置に対する右側の位置には、遊技盤の遊技領域へ遊技球を発射させるために遊技者が操作する発射ハンドル721が設けられている。
【0019】
操作装置1は、パチンコ遊技を行う際に操作される演出用のものであり、遊技機7の下部に配置された球皿ユニット71に配置されている。操作装置1は、球皿ユニット71の左右方向Wの中央部において、回動体4の回動中心部41の中心軸線Cが左右方向Wに平行になる状態で配置されている。操作装置1における回動体4は、遊技機7の制御装置による指令を受けて、パチンコ遊技中に所定の条件が満たされたときに初期位置401から回動位置402へ回動するよう構成されている。
【0020】
図1に示すように、回動体4の前後方向Dの前側に位置する前側表面611は、回動体4が初期位置401にあるときに露出しており、球皿ユニット71の意匠表面の一部を形成する。初期位置401にある回動体4の前側表面611には、遊技者によって押込み操作(操作入力)が可能な、別の操作入力部位としての押ボタンスイッチ612が設けられている。回動体4が初期位置401にあるときには、パチンコ遊技の演出において、遊技者による押ボタンスイッチ612の押込み入力が可能である。
【0021】
図2、
図3に示すように、回動体4における前側表面611以外の部位は、回動体4が初期位置401にある状態において、球皿ユニット71の内部に収納されている。初期位置401にある回動体4における視認できない部位には、遊技者が把持することができるハンドル部62が設けられている。ハンドル部62は、遊技者による操作入力を受ける操作入力部位620を構成する。
【0022】
図6、
図7に示すように、本形態の回動体4は、左右方向Wに開口する開口穴60を中心部分に有する環形状に形成されている。回動体4は、環形状の回動体4の前側に位置する前部61と、前部61と開口穴60を介して配置された後部としてのハンドル部62とを有する。回動中心部41は、前部61に設けられている。回動体4が回動位置402に回動した状態において、ハンドル部62の軸線方向は、上下方向Hに略平行に配置される。
【0023】
図3、
図7に示すように、回動中心部41が回動体4の前部61に設けられていることにより、回動体4が回動位置402にあるときには、ハンドル部62は、球皿ユニット71の前面よりも前後方向Dの前側に突出する。これにより、遊技者がハンドル部62を把持しやすくすることができる。また、回動位置402にある回動体4の前後方向Dの後方には、初期位置401にある回動体4が配置されていたスペースによって、上下方向Hに向けた開口スペースSが形成される。
【0024】
図8、
図9に示すように、回動体4は、回動位置402に回動した状態において、支持体2に回動支持される部位を除く全体が、遊技者によってスライド操作可能になる。回動体4は、回動位置402におけるスライド操作を可能にするために、支持体2に回動支持される部位である回動ベース部5と、回動位置402において回動ベース部5に対してスライド可能なスライド操作部6とを有する。回動ベース部5は、支持体2に対して回動中心部41を介して回動可能に設けられている。操作入力部位620は、スライド操作部6に設けられている。スライド操作部6の操作入力部位620は、回動体4が初期位置401にあるときに遊技機7の球皿ユニット71内に収納されており、回動体4が回動位置402にあるときに球皿ユニット71の外部に出現する。
【0025】
回動ベース部5及びスライド操作部6を有する回動体4の構成により、遊技者は、回動位置402にある回動体4のハンドル部62を把持したままで、回動体4の略全体をスライド操作して、パチンコ遊技の演出における操作入力を行うことができる。これにより、遊技者は、回動位置402にある回動体4の操作をダイナミックに行うことができ、パチンコ遊技の趣向性を高めることができる。
【0026】
図8に示すように、スライド操作部6は、回動体4が初期位置401及び回動位置402のいずれにある状態においても、回動ベース部5とスライド操作部6とに係合する付勢部材としての引張バネ54によって、スライドする前の復帰位置601に付勢されている。回動体4は、スライド操作部6が復帰位置601にある状態において、初期位置401と回動位置402との間を往復して回動することができる。
図9に示すように、スライド操作部6は、遊技者によるハンドル部62への操作入力としてのスライド操作入力を受け付けるときには、引張バネ54の付勢力に抗して、復帰位置601から、回動ベース部5に対して位置ずれしたスライド位置602にスライドする。
【0027】
図8、
図9に示すように、本形態のスライド操作部6は、回動ベース部5に対して、スライド操作としての押込み操作が可能である。この押込み操作は、遊技機7の前後方向Dの後側に向けてスライドさせる操作であり、
図9において符号Uによって示す。回動ベース部5とスライド操作部6との間には、回動ベース部5に対するスライド操作部6のスライドを案内するための複数の案内部56,66が設けられている。スライド操作部6は、回動位置402にある回動体4の前後方向Dの後方に開口スペースSが形成されることにより、この開口スペースSを利用して、前後方向Dの後側へスライドさせることができる。
【0028】
なお、複数の案内部56のうちの一つには、回動軸部51が一体的に形成されている。回動ベース部5の複数の案内部56とスライド操作部6の複数の案内部66とが係合していることによって、回動ベース部5とスライド操作部6とが組み合わさっており、回動ベース部5が回動するときには、回動ベース部5とともにスライド操作部6も回動する。また、回動体4が回動位置402にあるときには、複数の案内部56と複数の案内部66との係合により、回動ベース部5に対してスライド操作部6が位置ずれするようにスライドする。複数の案内部56,66の係合を利用することにより、スライド操作部6を含む回動体4の回動動作と、スライド操作部6のスライド操作とを、コンパクトな構造によって実現している。
【0029】
回動ベース部5には、遊技者が初期位置401にあるスライド操作部6を押込み操作したときに、スライド位置602まで押し込まれたことの感触(クリック感)を遊技者に伝えるためのカム52が回動可能に配置されている。カム52は、バネ53による付勢力を受けて定位置に付勢されている。スライド操作部6には、回動ベース部5に対して押し込んだ(スライドさせた)ときに、カム52の当接部521に当接して、カム52をバネ53の付勢力に抗して定位置から回動させるための突起部67が形成されている。
【0030】
カム52が定位置にあるときには、カム52の当接部521は、回動ベース部5に対してスライド操作部6を押し込む際の突起部67の軌道上に配置されている。遊技者が、スライド操作部6を押し込むときには、突起部67が当接部521に当接して、カム52がバネ53の付勢力に抗して定位置から回動した後、突起部67が当接部521を乗り越えたときの感触が遊技者に伝わるようになっている。
図8、
図9においては、カム52が定位置にある状態を示し、
図9においては、カム52が回動したときの状態を符号52Aによって示す。
【0031】
また、スライド操作部6内には、スライド操作部6の押込み操作を促すとき、スライド操作部6が押し込まれたとき等に、スライド操作部6を振動させるための振動モータ64が配置されている。スライド操作部6内には、押ボタンスイッチ612、ハンドル部62等を発光させるためのLED(発光ダイオード)等の発光体が配置されている。ハンドル部62においては、例えば、
図2の符号621で示す部位を発光させることができる。なお、ハンドル部62の一部(例えば符号621で示す部位)には、別途、押ボタンスイッチを設け、この押ボタンスイッチを別の操作入力部位として機能させることもできる。
【0032】
図3、
図5に示すように、回動体4の回動中心部41は、回動体4に設けられた、支持体2によって回動支持される回動軸部51によって構成されている。支持体2は、板金から構成されている。支持体2は、回動体4の左右方向Wの両側に配置されており、回動体4の回動軸部51を左右方向Wの両側から回動支持している。支持体2には、回動軸部51を回動支持するための軸受21が設けられている。なお、支持体2に回動軸部51を設けるとともに、回動体4の回動中心部41を軸受21によって構成することもできる。本形態の回動軸部51は、回動体4の左右方向Wの両側に分割して形成されている。各回動軸部51は中空軸形状を有しており、回動体4に設けられる種々の電気部品の配線を、各回動軸部51内の左右方向Wの中心側から外側へ通して、支持体2の側へ引き出すことが可能になっている。
【0033】
図6、
図7に示すように、各支持体2は、球皿ユニット71に設けられている。一方の支持体2には、モータ(ステッピングモータ)31と、回動軸部51に当接してモータ31の回転力を回動軸部51へ伝達するための伝達軸部32,33とが設けられている。伝達軸部32,33は、モータ31の回転速度を減速して、回動軸部51に伝達するものである。回動体4は、モータ31による駆動を受けて回動するものであり、遊技者によっては回動できないようになっている。
【0034】
回動軸部51と伝達軸部32,33との間には、初期位置401にある回動体4及び回動位置402にある回動体4が、遊技者によって不意に回動することを阻止するための回動阻止機構30が設けられている。回動阻止機構30は、回動軸部51に設けられた突起部512,513と、伝達軸部33に設けられた係止部332,333とによって構成されている。
【0035】
図6、
図7に示すように、本形態の伝達軸部32,33には、モータ31の出力軸311の回動を受ける第1伝達軸部32と、第1伝達軸部32の回転を受けて回動軸部51を回動させるための第2伝達軸部33とがある。モータ31の出力軸311には、ねじ歯車(ウォーム)312が設けられている。第1伝達軸部32には、ねじ歯車312に噛み合うはすば歯車(ウォームホイール)321と、はすば歯車321と同軸状の第1歯車322とが、第1伝達軸部32の軸方向に互いにずれた位置に設けられている。第2伝達軸部33には、第1歯車322と噛み合う第2歯車331が設けられている。回動軸部51には、第2歯車331と噛み合う第3歯車511が設けられている。
【0036】
ねじ歯車312とはすば歯車321とによるウォームギヤを用いることにより、小さなスペースにおいて、モータ31から第1伝達軸部32への大きな減速比を簡単に得ることができる。そして、仮に、回動体4と支持体2又は球皿ユニット71との間に遊技者が指を挟むような事態が生じたときには、はすば歯車321とねじ歯車312の間に発生する摩擦力によってモータ31が脱調し、遊技者の指に過度の負担が掛からないようにしている。
なお、この遊技者が指を挟むような事態への対応として、モータユニット3には、公知のクラッチ機構を別途設けてもよい。具体的には、回動体4の回動時に回動体4に対して過度な負荷が発生した場合は、クラッチ機構が作用して、モータユニット3におけるモータ31の回転力が回動体4の回動軸部51に伝達されないようにすることができる。
【0037】
図6、
図7、
図10に示すように、本形態の回動阻止機構30は、回動軸部51の外周において、回動軸部51の径方向の外方に突出して設けられた第1突起部512及び第2突起部513と、第2伝達軸部33における第2歯車331の外周において、第2伝達軸部33の径方向の外方に突出して設けられた第1係止部332及び第2係止部333とによって構成されている。各突起部512,513は、回動軸部51において、第3歯車511と同軸状であって第3歯車511から回動軸部51の軸方向にずれた位置に、周囲の外周面よりも突出して設けられている。各係止部332,333は、第2伝達軸部33において、第2歯車331と同軸状であって第2歯車331から第2伝達軸部33の軸方向にずれた位置に、周囲の外周面よりも突出して設けられている。
【0038】
回動体4が初期位置401にあるときには、
図6、
図10に示すように、回動軸部51の第1突起部512と第2伝達軸部33の第1係止部332とが対面して、第1突起部512が第1係止部332に係止される。回動体4が回動位置402にあるときには、
図7に示すように、回動軸部51の第2突起部513と第2伝達軸部33の第2係止部333とが対面して、第2突起部513が第2係止部333に係止される。回動軸部51の各突起部512,513と第2伝達軸部33の各係止部332,333との係止状態は、第2伝達軸部33における第2歯車331の歯面と回動軸部51における第3歯車511の歯面との噛合い状態と並行して行われる。
【0039】
図6に示すように、初期位置401にある回動体4は、モータ31の回転力が各伝達軸部32,33を介して回動軸部51に伝達されるときには、第2伝達軸部33の第1係止部332が回動軸部51の第1突起部512に係止されずに、初期位置401から回動位置402への正方向R1の回動が許容される。一方、初期位置401にある回動体4が、遊技者による回動位置402へ回動させようとする外力を受けるときには、回動軸部51の第1突起部512が第2伝達軸部33の第1係止部332に係止されて、初期位置401から回動位置402への正方向R1の回動が阻止される。
【0040】
また、
図7に示すように、回動位置402にある回動体4は、モータ31の回転力が各伝達軸部32,33を介して回動軸部51に伝達されるときには、第2伝達軸部33の第2係止部333が回動軸部51の第2突起部513に係止されずに、回動位置402から初期位置401への逆方向R2の回動が許容される。一方、回動位置402にある回動体4が、遊技者による初期位置401へ回動させようとする外力を受けるときには、回動軸部51の第2突起部513が第2伝達軸部33の第2係止部333に係止されて、回動位置402から初期位置401への逆方向R2の回動が阻止される。
【0041】
回動体4は、パチンコ遊技における所定の条件が満たされたときにのみ、遊技機7の制御装置の指令を受けて、初期位置401から回動位置402へ正方向R1に回動し、スライド操作部6の押込み操作が可能になるものである。そのため、回動阻止機構30によって、遊技者の意思によっては回動体4を回動させることができなくしている。回動阻止機構30の構成により、モータ31に不要な外力が加わることを防止し、回動体4の故障を回避することができる。
【0042】
図6に示すように、回動体4が初期位置401にあるときに、第1突起部512と第1係止部332とは、第2伝達軸部33の径方向に向けて互いに対面する。これにより、遊技者が、初期位置401にある回動体4を回動位置402へ回動させようとしたときには、回動体4の回動軸部51における第1突起部512から第2伝達軸部33の第1係止部332へは、第2伝達軸部33の径方向へ力(同図において矢印Pで示す。)が加わり、第2伝達軸部33の周方向へはほとんど力が加わらない。そのため、遊技者の意思によっては、回動体4を初期位置401から回動位置402へ回動させることはできない。
【0043】
図7に示すように、回動体4が回動位置402にあるときに、第2突起部513と第2係止部333とは、第2伝達軸部33の径方向に向けて互いに対面する。これにより、遊技者が、回動位置402にある回動体4を初期位置401へ回動させようとしたときには、回動体4の回動軸部51における第2突起部513から第2伝達軸部33の第2係止部333へは、第2伝達軸部33の径方向へ力(同図において矢印Pで示す。)が加わり、第2伝達軸部33の周方向へはほとんど力が加わらない。そのため、遊技者の意思によっては、回動体4を回動位置402から初期位置401へ回動させることはできない。
【0044】
図6、
図7、
図10に示すように、一方の支持体2には、第2伝達軸部33に設けられたドッグ部(被検知部)334を検出して、回動体4が初期位置401にあることを検出する初期位置用センサ34と、第2伝達軸部33に設けられたドッグ部334を検出して、回動体4が回動位置402にあることを検出する回動位置用センサ35とが設けられている。回動体4は、120〜180°の角度の範囲内で、初期位置401と回動位置402との間を回動する。回動体4の回動角度は、ハンドル部62等の操作入力部位620の形状に応じて適宜設定することができる。
【0045】
図5〜
図7に示すように、本形態のモータ31、各伝達軸部32,33及び各センサ34,35は、支持体2に取り付けられるベース部材36に配置されている。そして、ベース部材36を利用して、モータ31、各伝達軸部32,33及び各センサ34,35の組付調整を独立して行うことができるモータユニット3が形成されている。
【0046】
図8、
図9に示すように、回動ベース部5には、スライド操作部6が復帰位置601からスライド位置602に操作されたことを検出するためのスライド位置用センサ65が設けられている。スライド操作部6における押ボタンスイッチ612は、左右方向Wに直交する方向に長い形状に形成されている。図示は省略するが、押ボタンスイッチ612が押されたことを検出するスイッチ用センサは、押ボタンスイッチ612の長手方向の2ヵ所に設けられている。
【0047】
図10に示すように、第2伝達軸部33における第2歯車331の歯面は、回動体4の回動に必要な、第2伝達軸部33の周方向の部位にのみ形成されており、周方向の全周には形成されていない。また、回動軸部51における第3歯車511の歯面も、回動体4の回動に必要な、回動軸部51の周方向の部位にのみ形成されており、周方向の全周には形成されていない。回動体4が初期位置401にあるときと、回動体4が回動位置402にあるときとにおいては、第2伝達軸部33における第2歯車331の歯面と回動軸部51における第3歯車511の歯面との噛み合い状態がなくなる。
【0048】
そこで、第2伝達軸部33には、第2歯車331及び各係止部332,333と第2伝達軸部33の軸方向にずれた位置において、第3歯車511に対する第2歯車331の噛み合いを補助する補助歯335が形成されている。また、回動軸部51には、第3歯車511及び各突起部512,513と回動軸部51の軸方向にずれた位置において、第2歯車331に対する第3歯車511の噛み合いを補助する補助歯514が形成されている。第2伝達軸部33の補助歯335及び回動軸部51の補助歯514は、回動体4が初期位置401の付近にあるときと回動位置402の付近にあるときとにおいて、第2歯車331と第3歯車511との噛み合いを補助するよう、第2伝達軸部33及び回動軸部51のそれぞれに一対に形成されている。
【0049】
図9、
図10に示すように、回動体4が初期位置401から回動位置402へ回動するときには、第2伝達軸部33がモータ31によって駆動されて、第2伝達軸部33の第1係止部332が、回動軸部51の第1突起部512の表面を滑り、第1係止部332と第1突起部512とが対面する状態が解除される。次いで、第2伝達軸部33の補助歯335と、回動軸部51の補助歯514とが噛み合い、この噛み合いに追従するようにして、第2伝達軸部33の第2歯車331と、回動軸部51の第3歯車511との噛み合いが開始され、第2伝達軸部33によって回動軸部51が回動する。
【0050】
次いで、回動軸部51の回動によって回動体4が回動位置402に到達した後も、第2伝達軸部33の回動が少し継続する。そして、第2歯車331と第3歯車511との噛み合いが解除された後、第2伝達軸部33の第2係止部333が、回動軸部51の第2突起部513と対面する状態が形成される。
また、回動体4が回動位置402から初期位置401へ回動するときには、回動体4が初期位置401から回動位置402へ回動するときとは逆の過程を経て、第2伝達軸部33の第1係止部332が、回動軸部51の第1突起部512と対面する状態が形成される。
【0051】
図3、
図4に示すように、回動体4の左右方向Wの両側に配置された支持体2には、回動体4の回動及びスライドの動作を案内(ガイド)するための案内ベース22が設けられている。案内ベース22には、初期位置401と回動位置402との間における回動体4の回動を案内する回動案内溝221と、復帰位置601とスライド位置602との間における回動体4のスライドを案内するスライド案内溝222とが形成されている。また、回動体4のスライド操作部6には、回動案内溝221内及びスライド案内溝222内を移動することができる移動軸部63が設けられている。
【0052】
回動案内溝221は、回動軸部51の周りに円弧状に形成されており、スライド案内溝222は、回動案内溝221における、回動位置402側となる上側の端部から前後方向Dに形成されている。回動体4を回動位置402に回動させたときには、移動軸部63が、円弧状の回動案内溝221から外れ、スライド案内溝222に案内されることにより、回動体4の復帰位置601とスライド位置602との間におけるスライド操作が可能になる。案内ベース22には、回動体4が回動位置402から初期位置401に回動したときと、スライド操作部6が復帰位置601からスライド位置602にスライドしたときとにおいて、移動軸部63が当接するストッパー部材223が設けられている。ストッパー部材223は、回動案内溝221の初期位置401側の終端部と、スライド案内溝222のスライド位置602側の終端部とに対向して設けられている。
【0053】
次に、パチンコ遊技を行う際の操作装置1の動作、及び作用効果について説明する。
遊技者がパチンコ遊技を始める際には、回動体4は初期位置401にあり、遊技者は、パチンコ遊技の演出に応じて、回動体4のスライド操作部6に設けられた押ボタンスイッチ612を押込み操作することができる。また、回動体4は初期位置401に維持されており、遊技者が回動体4を回動させることはできない。
【0054】
パチンコ遊技において所定の条件が満たされると、遊技機7の制御装置は、モータ31を駆動して、回動体4を初期位置401から回動位置402へ正方向R1に回動させる。このとき、回動体4は、回動体4の回動中心部41が、初期位置401にある回動体4の前後方向Dの中心位置Oよりも前側に位置する構成により、球皿ユニット71内に収納された状態から、球皿ユニット71の前方へ大きく突出する。回動体4が球皿ユニット71の前方へ大きく突出することにより、遊技者に、操作装置1の演出操作が拡張されるとのインパクトを与えることができる。また、回動体4が回動位置402に回動したときには、スライド操作部6の操作入力部位620としてのハンドル部62が出現する。このハンドル部62の出現によって、遊技者に与えることができるインパクトがより大きくなる。
【0055】
そして、回動体4が回動位置402にあるときには、遊技者は、スライド操作部6のハンドル部62を把持し、パチンコ遊技の演出に応じて、スライド操作部6を押込み操作することができる。これにより、パチンコ遊技のダイナミックな演出が可能になり、パチンコ遊技の趣向性を高めることができる。
【0056】
一方、回動体4が初期位置401にあるときには、回動体4は球皿ユニット71に収納されており、球皿ユニット71と一体化している。そのため、回動体4が初期位置401にあるときには、操作装置1が単独で遊技機7に占めるスペースをほとんどなくすことができる。また、このときには、遊技機7における操作装置1の前後方向Dの全長が小さく、操作装置1の小型化を図ることができ、さらに、遊技機7全体の小型化を図ることもできる。
【0057】
また、操作装置1は球皿ユニット71に配置されており、回動体4は、初期位置401から回動位置402へ回動するときには、正方向R1への回動として、操作入力部位620としてのハンドル部62が遊技機7の上下方向Hにおける中心側(上側)H1へ回動を開始し、所定の角度回動した後、停止する。また、回動体4は、回動位置402から初期位置401へ回動するときには、逆方向R2への回動として、ハンドル部62が遊技機7の上下方向Hにおける中心側(上側)H1へ回動を開始し、所定の角度回動した後、停止する。
【0058】
これにより、回動中心部41の中心Cからの半径が大きい、回動体4の前後方向Dの後側に位置するハンドル部62が、上下方向Hにおける外側(下側)へ回動を開始しないようにすることができる。球皿ユニット71の下方には、球皿ユニット71の下皿712から遊技球を回収するための球箱が配置されることが多い。回動体4におけるハンドル部62が球箱から遠ざかる正方向R1へ回動することにより、回動体4が球箱に干渉しないようにすることができる。
図3においては、初期位置401から回動位置402へ回動する回動体4の回動軌跡を矢印Kによって示す。
【0059】
それ故、本形態の遊技機7の操作装置1によれば、小型化を図りつつ、遊技者に大きなインパクトを与えることができ、かつ、可動時に周囲の物体に干渉しにくくすることができる。
【0060】
図3、
図4に示すように、回動体4が回動位置402に回動したときに形成される開口スペースSは大きく、この開口スペースSへ意図せず遊技球が落下することが想定される。そこで、支持体2における、回動体4が配置される部位の前後方向Dの後方壁部23には、回動体4が回動位置402に回動して形成される開口スペースSへ、上皿711又は上方から落下する遊技球を下皿712へ流下させるための経路を形成することができる。
【0061】
また、操作装置1は、遊技機7の下部における球皿ユニット71に設ける以外にも、例えば、遊技機7の上部や側部等に設けることもできる。
遊技機7が設置される遊技場等の設置環境においては、通常、遊技機7の上方位置には比較的広いスペースが確保されている。そのため、特に、操作装置1を遊技機7の上部(上枠部)に設ける場合には、遊技機7の中心側に向けて回動体4を回動させるだけではなく、遊技機7の外側に向けて回動体4を回動させることも可能である。また、初期位置401と回動位置402との間における回動体4の回動角度は、180〜300°とすることができる。
【0062】
また、操作装置1は、前扉72において、遊技領域を視認するための開口部の周辺から開口部の前方に出現する可動体、又は前扉72における開口部の前方において可動する可動体等に設けることもできる。また、回動体4は、遊技機7の左右方向Wに平行な回動中心部41の中心軸線Cを中心に回動する構成とするだけでなく、例えば、遊技機7の上下方向Hに平行な回動中心部41の中心軸線Cを中心に回動する構成とすることもできる。
【0063】
回動中心部41の中心軸線Cを遊技機7の上下方向Hに平行に設ける場合においても、操作装置1は、球皿ユニット71内に配置することができる。そして、回動体4を初期位置401から回動位置402に回動させるときには、回動体4を水平方向に回動させて、球皿ユニット71の前側に突出させることができる。この場合にも、回動体4が球箱等に干渉することを適切に防止することができる。
【0064】
さらに、回動中心部41の中心軸線Cは、遊技機7の左右方向W、上下方向H及び前後方向Dの少なくともいずれかに対して傾斜させることもできる。この場合には、回動体4を、初期位置401と回動位置402との間において、傾斜した状態で回動させることができる。
【0065】
また、スライド操作部6の操作入力は、押込み操作以外にも、引出し操作、押ボタン操作、回転操作等としてもよい。スライド操作部6の操作入力は、回動体4が初期位置401にあるときにも操作可能になるようにしてもよい。
また、本形態の操作装置1は、パチンコ遊技機以外にも、アレンジボール遊技機、スロットマシン、又はその他の遊技機に用いてもよい。
【0066】
本発明は、本実施形態のみに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲においてさらに異なる実施形態を構成することが可能である。