特許第6752110号(P6752110)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6752110電解コンデンサ用アルミニウム箔、電解コンデンサ用アルミニウム箔の製造方法および電解コンデンサ用電極
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6752110
(24)【登録日】2020年8月20日
(45)【発行日】2020年9月9日
(54)【発明の名称】電解コンデンサ用アルミニウム箔、電解コンデンサ用アルミニウム箔の製造方法および電解コンデンサ用電極
(51)【国際特許分類】
   C22C 21/00 20060101AFI20200831BHJP
   C22F 1/04 20060101ALI20200831BHJP
   C22F 1/00 20060101ALN20200831BHJP
【FI】
   C22C21/00 H
   C22F1/04 K
   !C22F1/00 601
   !C22F1/00 622
   !C22F1/00 660Z
   !C22F1/00 661Z
   !C22F1/00 683
   !C22F1/00 685Z
   !C22F1/00 686A
   !C22F1/00 691B
   !C22F1/00 691C
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-212105(P2016-212105)
(22)【出願日】2016年10月28日
(65)【公開番号】特開2018-70950(P2018-70950A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2019年8月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000176707
【氏名又は名称】三菱アルミニウム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091926
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 幸喜
(72)【発明者】
【氏名】石上 穂乃香
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 昌也
【審査官】 鈴木 毅
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−179719(JP,A)
【文献】 特開2004−250772(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/003248(WO,A1)
【文献】 特開平06−033176(JP,A)
【文献】 特開2017−031448(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 21/00 − 21/18
C22F 1/04 − 1/057
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量比で、Si:5〜30ppm、Fe:5〜30ppm、Cu:30〜70ppm、Ti:0.1〜2ppm、B:0.1〜10ppm、REM:0.1〜1ppmを含有し、残部が不可避不純物と99.9%以上のAlからなる組成を有し、
前記組成において、Tiの含有量が1.0ppm≦[Ti]≦2.0ppmのときに、BおよびTiの含有量が下記式を満たすことを特徴とする電解コンデンサ用アルミニウム箔。
2.214[B]≧[Ti] …(式)
【請求項2】
立方体方位率が97%以上である請求項1記載の電解コンデンサ用アルミニウム箔。
【請求項3】
円相当径2mm以上の異方位粒を有していないことを特徴とする請求項1又は2記載の電解コンデンサ用アルミニウム箔。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の電解コンデンサ用アルミニウム箔を製造する方法であって、
請求項1記載の組成を有するアルミニウム合金を熱間圧延、冷間圧延した後、不活性ガス又は還元性ガス、もしくはこれらの混合ガス雰囲気中で、保持温度300〜580℃、保持時間6〜48時間の条件の最終焼鈍を行なうことを特徴とする電解コンデンサ用アルミニウム箔の製造方法。
【請求項5】
前記冷間圧延の途中で、200〜300℃×2〜10時間の中間焼鈍を1回以上行うことを特徴とする請求項4記載の電解コンデンサ用アルミニウム箔の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれかに記載の電解コンデンサ用アルミニウム箔からなる電解コンデンサ用電極。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解コンデンサの電極として用いることが可能な電解コンデンサ用アルミニウム箔、電解コンデンサ用アルミニウム箔の製造方法および電解コンデンサ用電極に関する。
【背景技術】
【0002】
電解コンデンサの電極に用いられるアルミニウム箔は、表面積が大きいほど電解コンデンサの静電容量を増加させる。このため電解コンデンサ用アルミニウム箔に対しエッチングを行って表面を粗面化して表面積を増大させる粗面化処理が行われている。粗面化処理では、エッチング性を高めてより広い表面積が得られるように、アルミニウム中の微量元素の含有量を調整する方法が数多く提案されている。
たとえば特許文献1では、エッチングピットが多く発生しすぎてピット間の結合を生じ、逆に表面積が低下してしまうのを防ぐために、Al箔中の不純物元素の量を調整することが記載されている。
また、特許文献2〜5では、エッチング性を向上させてピットを高密度かつ均一に形成するために、Al合金中の各種の微量元素の含有量を調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−315199号公報
【特許文献2】特開2001−155970号公報
【特許文献3】特開2005−179719号公報
【特許文献4】特開2007−246971号公報
【特許文献5】特開2010−013714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、アルミニウム箔に対する粗面化処理において高い粗面化率を得るためには、立方体方位占有率を高くすることが有効であり、立方体方位占有率を高くするには、アルミニウムのAl純度を高くすればよい。さらには、アルミニウム中にREMを添加することで、立方体方位占有率を高くすることができる。
しかし、REMの添加量が増加するほどFeの析出が過剰となり、結晶粒が異常成長しやすく、粗大結晶粒の発生リスクが高くなる。粗大結晶粒が発生すると、立方体方位占有率が局所的に著しく低下する。これを防ぐには、REMの添加量はできるだけ少なくすることが必要となる。
これらを考慮すると、REM添加量が少ない材料で微量添加元素の種類及び量の調整を適切に行って高い立方体法占有率を得ることが望まれる。
【0005】
本発明は上記課題を背景としてなされたものであり、高い静電容量を得ることができる電解コンデンサ用アルミニウム箔、電解コンデンサ用アルミニウム箔の製造方法および電解コンデンサ用電極を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明の電解コンデンサ用アルミニウム箔のうち、第1の形態は、質量比で、Si:5〜30ppm、Fe:5〜30ppm、Cu:30〜70ppm、Ti:0.1〜2ppm、B:0.1〜10ppm、REM:0.1〜1ppmを含有し、残部が不可避不純物と99.9%以上のAlからなる組成を有し、
前記組成において、Tiの含有量が1.0ppm≦[Ti]≦2.0ppmのときに、BおよびTiの含有量が下記式を満たすことを特徴とする。
2.214[B]≧[Ti] …(式)
【0007】
本発明の他の形態の電解コンデンサ用アルミニウム箔は、前記形態の電解コンデンサ用アルミニウム箔において、立方体方位率が97%以上である。
本発明のさらに他の形態の電解コンデンサ用アルミニウム箔は、前記形態の電解コンデンサ用アルミニウム箔において、円相当径2mm以上の異方位粒を有していないことを特徴とする。
本発明の電解コンデンサ用アルミニウム箔の製造方法は、本発明の電解コンデンサ用アルミニウム箔を製造する方法であって、本発明の組成を有するアルミニウムを熱間圧延、冷間圧延した後、不活性ガス或いは水素ガスなどの還元性ガス、もしくはこれらの混合ガス雰囲気中で、保持温度300〜580℃、保持時間6〜48時間の条件の最終焼鈍を行い、その後、エッチングを行うことを特徴とする。
【0008】
本発明の他の形態の電解コンデンサ用アルミニウム箔の製造方法は、前記形態の電解コンデンサ用アルミニウム箔の製造方法において、前記冷間圧延の途中で、200〜300℃×2〜10時間の中間焼鈍を1回以上行うことを特徴とする。
【0009】
本発明の電解コンデンサ用電極は、本発明の電解コンデンサ用アルミニウム箔からなる。
【0010】
以下に、本発明で規定する成分等の限定理由について説明する。なお、以下の成分量はいずれも質量比で示される。
【0011】
Si:5〜30ppm
Siの含有量が下限未満であると、純度が高くコストアップとなり、上限を超えると、立方晶率の低下および過剰溶解による静電容量が低下する。このためSiの含有量を上記範囲に定める。なお、同様の理由で、下限を8ppm、上限を15ppmとするのが望ましい。
【0012】
Fe:5〜30ppm
Feの含有量が下限未満であると、純度が高くコストアップとなり、上限を超えると、立方晶率の低下および過剰溶解による静電容量が低下する。このためFeの含有量を上記範囲に定める。なお、同様の理由で下限を8ppm、上限を15ppmとするの望ましい。
【0013】
Cu:30〜70ppm
Cuは箔の溶解性向上およびピット密度増加の作用がある。Cuの含有量が下限未満であるとその作用が十分発揮されず、上限を超えると、立方晶率の低下、また漏れ電流が増大し製品中におけるスパークのリスクが高まる。このためCuの含有量を上記範囲に定める。なお、同様の理由で下限を40ppm、上限を60ppmとするのが望ましい。
【0014】
Ti:0.1〜2ppm
Tiはバルクの溶解性を向上させる元素である。Tiの含有量が、下限未満であるとその作用が十分発揮されず、上限を超えると立方体方位占有率が低下し、また、過剰溶解となり静電容量が低下する。このためTiの含有量を上記範囲に定める。なお、同様の理由で下限を1ppm、上限を1.5ppmとするの望ましい。
【0015】
B:0.1〜10ppm
Bはバルクの溶解性を向上させる元素である。Bの含有量が、下限未満であるとその作用が十分発揮されず、上限を超えると過剰溶解となり静電容量が低下し、さらに立方体方位占有率が低下して静電容量が低下する。このためBの含有量を上記範囲に定める。なお、同様の理由で下限を0.3ppm、上限を1.0ppmとするのが望ましい。
【0016】
REM:0.1〜1ppm
REMはFeの析出を促進し、バルクのアルミニウム純度を向上させ、立方体方位占有率を高める。本発明では、REMとしてはミッシュメタルや希土類金属の一つまたは複数元素を使用することができる。REMの含有量が下限未満であると作用が十分発揮されず、上限を超えると、Feの析出が過剰となり、結晶粒が異常成長しやすく、立方体方位占有率が低下する。このためREMの含有量を上記範囲に定める。なお、同様の理由により下限を0.3ppm、上限を0.5ppmとするの望ましい。
【0017】
1.0ppm≦[Ti含有量]≦2.0ppmのとき、2.214[B含有量]≧[Ti含有量]
REM含有量の少ない材料で高い立方体占有率を得るため、上記条件を満たすことが必要になる。添加物中のTi、BからなるTiB化合物、および過剰なTiは、立方体方位占有率を低下させるため、TiとBの含有量の上記比を規制することで、高い立方体方位占有率を得ることができる。
上式を満たさない場合、Bに対しTiが過剰となり立方体方位占有率が低下する。また、Tiが上限を超えると、上式を満たしていても、Ti、もしくはTiBが過剰となり立方体方位占有率が低下する。このためTiおよびBの含有量の上記比を上記関係に定める。
【0018】
図1は、TiとBとの含有量の関係を示す図である。図1で示される無地のOK領域は本発明の規定を満たしている領域であり、ドット領域であるNG領域は本発明の規定を満たしていない領域を示している。
【0019】
立方体方位率:97%以上
粗面化処理において、ピットが高密度で形成されて高い粗面化率を得るために、立方晶率は97%以上であることが望ましい。
【0020】
円相当径2mm以上の異方位粒を有していない
円相当径2mm以上の粗大な異方位結晶粒が存在していると、粗面化処理に際し、良好にピットが形成されず、また箔の強度を低下させるので、このような異方位粒が形成されていないことが望ましい。
【0021】
最終焼鈍:不活性又は還元性ガス、もしくはこれらの混合ガス中で、300〜580℃×6〜48時間
本発明の電解コンデンサ用アルミニウム箔を製造するにおいては、常法での溶解・鋳造によるスラブ鋳塊製造を行なった後、該スラブに常法での熱間圧延、冷間圧延を施し所望の厚みの箔を得た後、最終焼鈍を施す。この最終焼鈍は、アルミニウム箔表面に形成される酸化皮膜を、後工程のエッチングにおいて良好に保つために雰囲気制御のもとで実施する必要がある。雰囲気ガスとしては、Arなどの不活性ガス、又は水素などの還元性ガス、もしくはこれら不活性ガス/還元性ガスの混合ガスを用いる。
最終温度の条件としては、保持温度:300〜580℃×6〜48時間が望ましく、保持温度:300℃未満又は保持時間:6時間未満では立方体方位組織の発達が不十分であり、保持温度:580℃超又は保持時間48時間超では粗大な異方位粒が成長する恐れが高まり好ましくない。
【0022】
中間焼鈍:200〜300℃×2〜10時間
アルミニウム箔を製造する冷間圧延工程の途中に中間焼鈍を行うことができる。この中間焼鈍によって、立方晶の生成を促進させる事ができる。
但し、中間焼鈍温度が200℃未満または中間焼鈍時間が2時間未満であると、立方晶の生成が不十分の為、効果が無い。一方、中間焼鈍温度が300℃を超え、または中間焼鈍時間が10時間を超えると立方晶以外の結晶粒が生成する為、最終焼鈍後の立方晶率が低下する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、アルミニウム箔の粗面化率を向上させることができ、優れた静電容量を有する電解コンデンサ用アルミニウム箔を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明のBとTiの含有量の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の組成を有するアルミニウムは常法により製造することができ、本発明としては特にその製造方法が限定されるものではない。例えば、半連続鋳造によって得たスラブを熱間圧延したものを用いることができ、その他に連続鋳造により得られるアルミニウム材を用いるものであってもよい。上記熱間圧延または連続鋳造圧延によって例えば数mm厚程度のシート材とする。このシート材に対し冷間圧延を行い、80μm以上150μm以下の厚さを有するアルミニウム箔を得る。
なお、冷間圧延途中あるいは冷間圧延終了後に適宜脱脂を加えてもよく、また冷間圧延の途中で適宜、200〜300℃、2〜10時間の中間焼鈍を1回以上実施しても差し支えない。
【0026】
冷間圧延によって得られたアルミニウム箔に対しては、最終焼鈍を行う。
最終焼鈍は、例えばArガスなどの不活性ガス雰囲気中、或いは水素ガスなどの還元性ガス雰囲気中、もしくはこれらの混合ガス雰囲気中で、保持温度300〜580℃、保持時間6〜48時間とする熱処理を行なうことができる。最終焼鈍により、高い立方体方位占有率が得られ、エッチング性を高める。
得られたアルミニウム箔は粗大晶の発生が抑制されている。箔厚が厚い場合には結晶粒が成長しやすいことから、粗大晶の抑制は箔厚が厚い際に特に効果が大きい。
なお、立方体方位面積占有率は、単位面積当たりの立方体方位粒の占有面積率を測定することによって得られる。
【0027】
上記各工程を経て得られたアルミニウム箔には、その後、エッチング処理がなされる。
エッチング処理は、例えば塩酸を主体とする電解液を用いた電解エッチング等によって行われる。本発明としてはこのエッチング処理の具体的条件等について特に限定されるものではなく、常法に従って行うことができるが、主として直流エッチングが適用される。また、無電解エッチングを採用することも可能である。
エッチング処理においては、箔にピットが高密度かつ均等に形成され、高い粗面化率が得られる。この箔を常法により電解コンデンサ用電極として組み込むことにより静電容量の高いコンデンサが得られる。電極として組み込む際には、陽極として用いても陰極して用いても良い。
【実施例】
【0028】
以下の表1の組成(質量ppm;残部がAlとその他の不可避不純物)を有する実施例1〜6および比較例1〜6の組成を有するアルミニウムを用意し、該アルミニウム材を半連続法によって鋳造した後、熱間圧延、冷間圧延を経て、厚さ130μmのアルミニウム箔を得た。最終冷間圧延後のアルミニウム箔に対し大気炉にて230℃×6時間の中間焼鈍を行ない、さらに20%の最終付加圧延を行なって最終箔厚120μmのアルミニウム箔を得た。これらの箔に対して、Arガス雰囲気中で550℃×6時間の最終焼鈍を施し、電解コンデンサ用アルミニウム箔とした。
【0029】
供試材のアルミニウム箔に対し、立方体方位面積占有率の測定、粗大結晶粒の発生判定、およびCap(静電容量)の測定を行った。
【0030】
・立方体方位占有率測定
最終焼鈍を経たアルミニウム箔に、以下の条件でエッチングを行った。すなわち、HCl 4M、HNO 4M溶液中に30秒間浸漬した。このエッチングにより、立方体方位粒と異方位粒の視覚的コントラストを鮮鋭化させることができる。
次いで、アルミニウム箔の単位面積あたりの立方体方位粒の占有面積率を測定した。立方体方位占有率は、上記のエッチングを施した箔の表面画像を、画像解析装置に取り込み、立方体方位粒と異方位粒を二値化処理し、自動計算により求めた。なお、1水準につき幅方向に5点、長手方向に3点の測定を行ない、それらの平均から水準毎の立方体方位占有率を求めた。その結果を表1に示した。
【0031】
・粗大結晶粒発生判定
最終焼鈍を経たアルミニウム箔から、圧延方向に対し幅手500mm×長手200mmの面積のサンプルを、それぞれコイル長手方向に3箇所から採取した。それらにつき異方位粒を鮮鋭化させるため、前記と同じくHCl 4M、HNO 4M溶液中に30秒間浸漬するエッチングを施した。
次いで、上記エッチング後サンプルに対して円相当径で2mm以上の異方位粒の有無を観察した。その結果を表1に示した。
【0032】
・静電容量(Cap)測定
得られたアルミニウム箔に以下の条件でエッチングを行い粗面化した。エッチングでは、75℃のHCl 1M、HSO 3M溶液中で200mA/cmの直流電流を120秒印加した後、80℃のHCl 2M溶液中で50mA/cmの直流電流を600秒印加した。
次いで、エッチング後のアルミニウム箔を1cm×5cmのサイズに切り出し、80℃ホウ酸80g/l溶液にて300Vの化成を行い、150g/lアジピン酸溶液中にて静電容量を測定した。静電容量の測定には、LCRメーターを用いた。
実施例6の静電容量を基準にして相対的な評価(百分率)をし、その結果を表1に示した。
【0033】
【表1】
【0034】
表1に示すとおり、本発明の組成を有する実施例1〜6においてはいずれも高い立方体方位占有率を有し、粗大結晶の発生がなく、高い静電容量を有していたのに対し、本発明の組成を有していない比較例1〜6は、静電容量が低い、または粗大晶が発生していた。
【0035】
以上、本発明について上記実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記説明の内容に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りは実施形態および実施例において適宜の変更が可能である。
図1