特許第6752136号(P6752136)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6752136
(24)【登録日】2020年8月20日
(45)【発行日】2020年9月9日
(54)【発明の名称】トリミング装置及びトリミング方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 28/00 20060101AFI20200831BHJP
   B23D 23/00 20060101ALI20200831BHJP
   B21D 28/14 20060101ALI20200831BHJP
【FI】
   B21D28/00 A
   B23D23/00 C
   B21D28/14 F
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-249305(P2016-249305)
(22)【出願日】2016年12月22日
(65)【公開番号】特開2018-103195(P2018-103195A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年9月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】特許業務法人イトーシン国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
(74)【代理人】
【識別番号】100101661
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100135932
【弁理士】
【氏名又は名称】篠浦 治
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 光
【審査官】 石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−153316(JP,A)
【文献】 実開昭63−116117(JP,U)
【文献】 実開昭52−23781(JP,U)
【文献】 実開平1−60723(JP,U)
【文献】 実開平1−60722(JP,U)
【文献】 特開2005−28437(JP,A)
【文献】 特表2013−514185(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 28/00
B21D 28/14
B23D 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形品を下支持部と該下支持部に対して近接自在な上支持部とで挟持した状態で該成形品に形成されているスクラップ部を、前記下支持部の一側に設けた下刃と前記上支持部の一側方向に設けた上刃とによる剪断にて前記成形品から分離させるトリミング装置において、
前記下支持部の外縁の前記上刃に対峙する位置に配設されて、前記スクラップ部を前記上刃とで挟持する下パッドと、
前記下パッドを前記上刃の方向へ付勢する上方付勢部材と、
前記下パッドを前記下刃の外周方向へ付勢して該下パッドの内周面を該下刃の外周に摺接させる内方付勢部材と
を備えることを特徴とするトリミング装置。
【請求項2】
前記上刃と前記下パッドとが互いに対応した状態で分割上刃と分割下パッドとに分割されており、
互いに隣接する前記各分割上刃と前記各分割下パッドとの一方を下降させる際の剪断にて前記スクラップ部を細分割させる
ことを特徴とする請求項1記載のトリミング装置。
【請求項3】
前記スクラップ部に屈曲部が形成されており、
前記上刃と前記下パッドに前記屈曲部を挟持する上面受部と下面受部とが形成されている
ことを特徴とする請求項1或いは2記載のトリミング装置。
【請求項4】
前記スクラップ部が外周方向へ上方に傾斜されている
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のトリミング装置。
【請求項5】
前記成形品はアルミニュウム或いはアルミニュウム合金からなるプレス成形品である
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のトリミング装置。
【請求項6】
成形品を下支持部と上支持部とで挟持した後、該成形品に形成されているスクラップ部を前記下支持部の一側に設けた下刃と前記上支持部の一側方向に設けた上刃とによる剪断にて前記成形品から分離させるトリミング方法において、
前記下支持部の外縁の前記上刃に対峙する位置に配設された下パッドと前記上刃とで前記スクラップ部を挟持し、
前記上刃を、前記下パッドを上方へ付勢する上方付勢部材の付勢力に抗して下降させるに際し、該下パッドの内周面を前記下刃の外周に、内方付勢部材の付勢力によって摺接させる
ことを特徴とするトリミング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形品に形成されているスクラップ部を上刃と下パッドとで挟持した状態で剪断するトリミング装置及びトリミング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プレス加工によって板状素材から成形品を得る場合は、この板状素材をプレス成形した後、このプレス成形材の縁部の不要部分(スクラップ部)をトリミング加工により切断分離する。プレス成形品をトリミング加工するに際しては、下刃と上パッドとでプレス成形品を挟持し、その状態で、上刃を下降させて剪断することでスクラップ部を分離除去する。
【0003】
上刃を下降させてプレス成形品からスクラップ部を分離除去するとき、スクラップ部はプレス成形品に対し、上刃の押圧力で下方へ回転させる曲げモーメントが発生するため、剪断部分の上面側には引張荷重が作用し、下面側には圧縮荷重が作用する。
【0004】
その結果、下刃がプレス成形品の下側を剪断するに際し、圧縮荷重を受けた剪断面はスクラップ側へ突出する駄肉が形成され、この駄肉が上刃で剪断(2次剪断)されることで、長い細糸状の切粉が発生し易くなる。特に、板状素材がアルミニュウム等のように比重の軽い材料である場合、剪断時に発生した細糸状の切粉は空気中に浮遊し易く、浮遊した糸状切粉が下刃と上パッドとの間に混入した場合、次のプレス成形材をトリミング加工するに際し、プレス成形品と下刃或いは上パッドとの間に細糸状の切粉が噛込まれて、製品にキズを付けてしまう不都合がある。
【0005】
これに対処するに、例えば特許文献1(特開2005−28437号公報)には、下刃と上パッドとで挟持される、アルミニュウム或いはアルミニュウム合金板からなるプレス成形品のトリミング加工を行う部位を、斜め下方に50°〜80°曲げ形成することで、上刃でスクラップ部を剪断するに際し、このスクラップ部の下方への回転量を少なくして、スクラップ部分に発生する圧縮荷重を軽減することで、細糸状切粉の発生を抑制する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−28437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述した文献に開示されている技術では、プレス成形工程において剪断のために、スクラップ部分を予め下方へ曲げ形成しておく必要があり、成型工数が嵩んでしまうばかりでなく、成形品の形状が限定されてしまう不都合がある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑み、トリミング加工に際し、成形品に対して細糸状切粉の発生を抑制するための曲げ加工を予め施す必要が無く、スクラップ部の形状的な制約を受けず、且つ、成型工数の削減を実現することができて、細糸状切粉の発生を抑制することのできるトリミング装置及びトリミング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1は、成形品を下支持部と該下支持部に対して近接自在な上支持部とで挟持した状態で該成形品に形成されているスクラップ部を、前記下支持部の一側に設けた下刃と前記上支持部の一側方向に設けた上刃とによる剪断にて前記成形品から分離させるトリミング装置において、前記下支持部の外縁の前記上刃に対峙する位置に配設されて、前記スクラップ部を前記上刃とで挟持する下パッドと、前記下パッドを前記上刃の方向へ付勢する上方付勢部材と、前記下パッドを前記下刃の外周方向へ付勢して該下パッドの内周面を該下刃の外周に摺接させる内方付勢部材とを備える。
【0010】
本発明の第2は、成形品を下支持部と上支持部とで挟持した後、該成形品に形成されているスクラップ部を前記下支持部の一側に設けた下刃と前記上支持部の一側方向に設けた上刃とによる剪断にて前記成形品から分離させるトリミング方法において、前記下支持部の外縁の前記上刃に対峙する位置に配設された下パッドと前記上刃とで前記スクラップ部を挟持し、前記上刃を、前記下パッドを上方へ付勢する上方付勢部材の付勢力に抗して下降させるに際し、該下パッドの内周面を前記下刃の外周に、内方付勢部材の付勢力によって摺接させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、上支持部の一側方向に設けた上刃と、下支持部の一側であって上刃に対峙する位置に配設された下パッドとでスクラップ部を挟持し、この上刃を、下パッドを上方へ付勢する上方付勢部材の付勢力に抗して下降させるに際し、この下パッドの内周面を下刃の外周に内方付勢部材の付勢力によって摺接させるようにしたので、剪断の際にスクラップ部は上刃と下パッドとに挟持された状態で下刃の外周にガイドされて下降するため、曲げモーメントが発生せず、従って、剪断面に駄肉が形成されず、駄肉を剪断することによる細糸状切粉の発生を抑制することができる。
【0012】
その結果、トリミング加工に際し、成形品に対して細糸状切粉の発生を抑制するための曲げ加工を予め施す必要がなく、スクラップ部の形状的な制約を受けず、設計の自由度を増すことができると共に、成型工数の削減を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態による待機状態を示すトリミング装置の概略構成図
図2】同、トリミング加工状態を示すトリミング装置の概略構成図
図3】同、図1のIII部拡大図
図4】同、トリミング時の加工状態を示し、(a)は上刃がプレス成形品に当接した状態を示す断面図、(b)は上刃と下パッドとでスクラップ部を挟持して剪断する初期状態の断面図、(c)は(b)の状態から剪断が更に進んだ状態の断面図、(d)はスクラップ部を剪断した状態の断面図
図5】第2実施形態を示し、(a)はトリミング装置の要部概略図、(b)はスクラップ部を製品から剪断した状態の斜視図、(c)は他の態様による(b)相当の斜視図
図6】第3実施形態による図3相当の断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態を説明する。
【0015】
[第1実施形態]
図1図4に本発明の第1実施形態を示す。本実施形態によるトリミング装置1は、前工程で、プレス成形等によって形成された成形品(以下、本実施形態では「プレス成形品」と称する)Wから、その周縁に形成されているスクラップ部Wsを剪断により分離除去するものである。
【0016】
このトリミング装置1のベッド2上には、下支持部としての下受型3が載置固定されており、この下受型3の外縁の少なくとも一側に下刃3aが形成されている。又、この下受型3の上方に、上支持部としての上パッド4が対峙されており、この上パッド4の外縁が、下受型3に形成されている下刃3aの刃部3b(図3参照)に対し、やや内側に沿って略相似形状に形成されている。
【0017】
下受型3と上パッド4の対向面は、前工程でプレス成形されたプレス成形品Wの表面と同一形状に形成されており、トリミング加工に際しては、この対向面間でプレス成形品Wを狭圧して保持する。上パッド4の上面がスライド5に弾性部材6を介して吊下されており、このスライド5の上部が、図示しない昇降機構に連設するスライドプレート7に固設されている。上パッド4はスライドプレート7の昇降動作によって下受型3に対して近接離間される。
【0018】
又、上パッド4の外縁であって、下刃3aに対向する位置に上刃8が対峙されている。この上刃8は、上パッド4の外周を覆うように下方へ延在されているスライド5の外縁の底面に固設されている。この上刃8は刃部8a(図3参照)が、下受型3の刃部3bの外周に沿って形成されている。尚、図3に示すように、下受型3に形成されている刃部3bと上刃8との間には僅かな隙間が形成されている。
【0019】
一方、ベッド2の外周に縦壁部2aが、下受型3の外周に対して所定間隔を開けて形成されており、この縦壁部2aと下受型3の外周との間に形成された空間に下パッド9が配設されている。図3に示すように、下パッド9は下受型3に形成された下刃3aの外周に当接する形状に形成された内周面9a、及び下受型3に載置されるプレス成形品Wのスクラップ部Wsに当接する形状に形成された上部受面9bが形成されている。尚、この下パッド9は下受型3に形成された下刃3aに対応して形成されており、平面視においては放射状に分割された複数の部材で構成されている。
【0020】
更に、下パッド9とベッド2との間に、下パッド9を上方へ付勢する上方付勢部材10が介装され、又、下パッド9の外周と縦壁部2aとの間に、下パッド9を下刃3aの方向へ押圧して、この下刃3aの外周に内周面9aを摺接させる内方付勢部材11が介装されている。この各付勢部材10,11は、圧縮ばね、ガススプリング、油圧スプリング等、弾撥力を有するものであれば良い。
【0021】
次に、このような構成を有する本実施形態の作用について説明する。図1に示すようにトリミング装置1の上パッド4が下受型3から離間して上昇されている待機状態にあるとき、スライド5に対し弾性部材6を介して支持されている上パッド4は、プレス成形品Wに当接する底面がスライド5の外縁底面に固設されている上刃8よりも下方に突出されている。又、下受型3の外周に配設されている下パッド9の上面は、上方付勢部材10の付勢力を受けて、プレス成形品Wが載置される下受型3の上面の延長上に連続した位置で保持されている。尚、この場合、下パッド9の上面が下受型3の上面のよりも上方へやや突出された状態で保持されていても良い。
【0022】
待機状態にあるトリミング装置1の下受型3に対し、前工程で所定形状にプレス成形されたプレス成形品Wを載置すると、図示しない昇降機構の動作によりスライドプレート7が下降を開始する。すると、このスライドプレート7に固設されているスライド5に弾性部材6を介して支持されている上パッド4、及び、スライド5外縁の底面に固設されている上刃8が同時に下降し、先ず、上パッド4が下受型3に載置されているプレス成形品Wに当接されて、このプレス成形品Wを押圧し、下受型3とで狭圧する。その間、スライド5は下降を継続しているが、上パッド4との相対移動は弾性部材6の圧縮変形により吸収される。
【0023】
次いで、スライド5の下降に伴い、その外縁の底面に固設されている上刃8の底面がプレス成形品Wの外周に形成されているスクラップ部Wsに当接する。このスクラップ部Wsは下パッド9の上面に当接されており、しかも、この下パッド9は上方付勢部材10によって上方へ常時付勢されている。従って、上刃8の底面でスクラップ部Wsを下方へ押圧すると、下パッド9は上方付勢部材10の付勢力に抗して下降し、その反力によって、スクラップ部Wsが挟持される(図3図4(a)の状態)。
【0024】
そして、更にスライド5が下降すると、上刃8と下パッド9との間でスクラップ部Wsを挟持したまま、上刃8の刃部8aと下刃3aの刃部3bとで剪断し、スクラップ部Wsをプレス成形品Wから次第に分離させる(図4(b)〜(d)の状態)。
【0025】
その間、スクラップ部Wsは下パッド9と上刃8とに常時挟持された状態で剪断方向にガイドされているため、このスクラップ部Wsが剪断面を中心として下方へ回転することがない。従って、スクラップ部Wsは曲げモーメントを発生させることなく剪断方向に対して平行に移動される。又、下パッド9は内方付勢部材11の付勢力により内周面9aが下刃3aの外周を摺動するため、剪断に際し下刃3aの外周面と下パッド9の内周面9aとの間に隙間が形成されない。
【0026】
その結果、剪断に際し、スクラップ部Ws全体に作用する曲げモーメントはもとより、プレス成形品Wと分離されるスクラップ部分に対しての局所的な回転も防止される。従って、剪断面に、従来のような曲げモーメントによって生じる駄肉が形成されず、駄肉が2次剪断されることによって生じる細糸状の切粉の発生を抑制することができる。
【0027】
このように、本実施形態によれば、下刃3aと上刃8との各刃部3b,8aとの剪断によってスクラップ部Wsをプレス成形品Wから分離するに際し、このスクラップ部Wsは下パッド9と上刃8とで常時挟持されて、剪断方向へガイドされると共に、下パッド9が内方付勢部材11からの付勢力を受けて内周面9aが下刃3aの外周に常時押接されているため、スクラップ部Wsが下方へ回転せず、スクラップ部分での局所的な回転も抑制される。
【0028】
その結果、スクラップ部分に曲げモーメントによる駄肉が形成され難くなり、2次剪断による細糸状の切粉の発生を大幅に抑制することができる。そのため、プレス成形品Wがアルミニュウム、或いはアルミニュウム合金のように比重の軽い素材であっても、剪断の際に細糸状の切粉の発生が抑制され、トリミング装置1に噛込まれ難くなり、トリミング加工の生産効率を高めることができる。
【0029】
従って、本実施形態によれば、従来のように、剪断時の回転を抑制するためにスクラップ部Wsを下方へ予め曲げ形成しておく必要がなく、形状的な制約を受けず、設計の自由度を増すことができる。更に、スクラップ部Wsに曲げ加工を施す必要がないため、成形工数の削減を図ることができる。
【0030】
逆に、図3に示すように、スクラップ部Wsを剪断により分離するに際し、下方への回転が防止されるため、上刃8の下降方向に直行する水平方向に対してスクラップ部Wsが外周方向へ角度θだけ上方傾斜されている場合であっても、スクラップ部Wsに駄肉が形成されず、2次剪断による細糸状の切粉の発生を抑制することができる。
【0031】
[第2実施形態]
図5に本発明の第2実施形態を示す。図5(a)に示すように、本実施形態ではプレス成形品Wからスクラップ部Wsを剪断する上刃8と、この上刃8とによってスクラップ部Wsを挟持する下パッド9とを、各々対応した状態で、第1、第2分割上刃8b,8cと第1、第2分割下パッド9c,9dに分割したものである。そして、スクラップ部Wsを剪断により成形品から分離した後、隣接する第1、第2分割上刃8b,8cとの一方(本実施形態では第1分割上刃8b)を下降させることで、スクラップ部Wsを複数の分割スクラップ部Wsa,Wsbに細分割する。
【0032】
又、図示しないが、第1分割上刃8bの第2分割上刃8cに対する対向面と、第2分割下パッド9dの第1分割下パッド9cに対する対向面には刃部がそれぞれ形成されている。更に、第1分割上刃8bには、その上面を押圧する油圧シリンダ等の押圧機構が連設されている。この押圧機構の動作により、第1分割上刃8bのみを下降させ、そのときの剪断により、図5(b)に示すように、スクラップ部Wsを分割スクラップ部Wsa,Wsbに細分割させる。
【0033】
この場合、図においては、上刃8と下パッド9とを、それぞれ2分割した状態を示しているが、3分割以上であっても良い。例えば、上刃8とそれに対向する下パッド9とか3分割されている場合、中央の分割上刃の両側に刃部を形成し、その両側の分割下パッドに刃部を形成し、中央の分割上刃のみを押圧機構を介して下降させて、分割上刃の刃部と分割下パッドの刃部とによる剪断で、スクラップ部Wsを、図5(c)に示すように、分割スクラップ部Wsa,Wsb,Wscに3分割させることができる。
【0034】
このように、本実施形態では、プレス成形品Wからスクラップ部Wsを剪断により分離させた後、このスクラップ部Wsを、分割スクラップ部Wsa,Wsb(或いは、Wsa,Wsb,Wsc)等に細分割するようにしたので、面積の比較的大きなスクラップ部Wsであっても、搬送、及び処分が容易になる。
【0035】
[第3実施形態]
図6に本発明の第3実施形態を示す。本実施形態では、プレス成形品Wに形成されているスクラップ部Wsに屈曲部Wsdを形成し、トリミング装置1(図1図2参照)の上刃8と、それを、スクラップ部Wsを介して受ける下パッド9とに、この屈曲部Wsdを挟持する上面受部8dと下面受部9eとを形成したものである。
【0036】
本実施形態によれば、上刃8が下降してスクラップ部Wsを下パッド9側へ押圧すると、先ず、この上刃8と下パッド9とに形成されている上面受部8dと下面受部9eとがスクラップ部Wsの屈曲部Wsdを挟持する。
【0037】
次いで、上刃8の刃部8aと下刃3aの刃部3bとによる剪断にて、スクラップ部Wsがプレス成形品Wから分離される。その際、スクラップ部Wsにプレス成形品W方向への引張荷重が発生して引き込まれようとしても、スクラップ部Wsに形成した屈曲部Wsdが、上刃8と下パッド9とに形成されている上面受部8dと下面受部9eとで剪断方向への抜け止めがなされているため、スクラップ部Wsの引き込みを有効に防止することができる。
【0038】
その結果、本実施形態では、剪断時におけるスクラップ部Wsの引き込みを防止するために、上刃8と下パッド9とでスクラップ部Wsを強く挟持する必要がなくなる。従って、例えば、トリミング装置1に設定されている通常の板厚に対し、それよりも薄い板厚、或いは厚い板厚のプレス成形品Wに対するトリミング加工を一台のトリミング装置1で行うことが可能となり、高い汎用性を得ることができる。
【符号の説明】
【0039】
1…トリミング装置、
2…ベッド、
2a…縦壁部、
3…下受型、
3a…下刃、
3b…刃部、
4…上パッド、
5…スライド、
6…弾性部材、
7…スライドプレート、
8…上刃、
8a…刃部、
8b…第1分割上刃、
8c…第2分割上刃、
8d…上面受部、
9…下パッド、
9a…内周面、
9b…上部受面、
9c…第1分割下パッド、
9d…第2分割下パッド、
9e…下面受部、
10…上方付勢部材、
11…内方付勢部材、
W…プレス成形品、
Ws…スクラップ部、
Wsa,Wsb,Wsc…分割スクラップ部、
Wsd…屈曲部、
θ…角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6