【文献】
AAAC Int.Annual Meeting,2011、[on line]、[検索日:2018年10月10日]、URL<httpwww.aaccnet.orgmeetingsDocuments2011Abstractsp11ma199.htm>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の詳細な説明
本明細書中で開示されるのは、落花生アレルギーの処置のための薬学的組成物を製造するために用いられ得るラッカセイ粉からタンパク質を単離するシステムおよび方法である。当該システムおよび方法は、高圧(相)液体クロマトグラフィー(HPLC)を利用して、落花生粉からAra h1、Ara h2およびAra h6を捕捉する。
【0018】
この10年の間に、落花生におけるアレルギーについて多くのことが判って来た。落花生は、一般に、重度の反応、例えば致命的アナフィラキシーと関連する。食物アレルギーの管理におけるケアの最新基準は、食物の摂食回避およびアレルギー反応の短期的管理における被験者/家族の教育である。偶発的曝露の回避の負担および不断の恐怖は、被験者およびその家族の両方の健康関連の生活の質に負の影響を及ぼす。生活の質調査は、食物アレルギーを有する子供を抱える家族は、食物調理、社会活動、適切な育児を見つけ出すこと、登校、および他の事柄の間でのストレスレベルに及ぼす有意の影響を有している、ということを示す。
【0019】
現在、落花生アレルギーのための唯一の処置は、落花生無含有食および自己注射エピネフリンがすぐに利用できることである。しかしながら、厳格な回避食は、ラベルの意味を読み取るのが難しいため、そして市販の調理済み食品中の申告されていないかまたは隠れたアレルゲンの存在により、複雑にされ得る。思いがけない摂取は残念ながらよく起こり、食物アレルギー被験者の50%までが2年間の期間にアレルギー反応を有している。落花生に対するアレルギー反応は、重症であり、命に係わり、そしてラッカセイおよび/または木の実アレルギーは、致命的な食物誘導性アナフィラキシーの大多数を占めている。厳格な回避食、思いがけない曝露の高発生率および思いがけない曝露に伴う重度の、または致命的でさえある反応の危険のこの組合せは、被験者およびその家族にとてつもなく大きな負担およびストレスを課する。さらに難しい問題は、落花生アレルギーから脱却する小児は約20%に過ぎず、これは、落花生アレルギーを有する人の大多数が彼らの残りの人生の間、それを有することになる、という事実である。罹患率上昇および西欧諸国における落花生の消費増大を、アレルギーを脱却するのはおよそ5人に1人に過ぎないという事実、そしてアレルギー反応は重症であり、または致命的でさえある可能性を有するという事実、そして思いがけない曝露がよく起こるという事実を結びつけて考えると、落花生アレルギーのための有効な処置を開発することは、より不可避になる。
【0020】
食物アレルギー、特に落花生アレルギーのための具体的免疫療法は、経口免疫療法(OIT)および舌下免疫療法(SLIT)の形態で、近年研究されており、有益な免疫学的変化を含めて、早期臨床試験における安全且つ有効な結果を助長することを実証している。OITは、臨床的寛容に向けての進行を示している経時的免疫学的変化を伴うほとんどの被験者における脱感作を誘導する証拠を示している。
【0021】
落花生OIT:Jones et al.において、落花生アレルギー小児は、初期用量増大日、隔週増強(2gに)および毎日の維持期とその後のOFCからなるOITプロトコールを施された。基線での経口食物試験(OFC)中の50mg未満の落花生タンパク質を耐容後、29名の被験者のうち27名が、3.9gの落花生タンパク質をOITプロトコール完了時に摂取した。
【0022】
近年、Wesley Burks博士(American Academy of Allergy,Asthma,and Immunology National Conference.Orlando,Florida,March6,2012)は、PAを有する小児10名がOITプロトコールを完了し、落花生の経口摂取停止の4週間後に経口食物試験を受けて、臨床的「持続性非応答性」の発症を評価する、ということを示す研究を提示した。被験者10名のうち3名が、OFCに合格したが、著者等はこれらの被験者を臨床的寛容であるとみなした。処置経過中、OITまでの3か月の時点での85kU/Lより低い落花生IgEレベルは、免疫寛容になる被験者の予示であった。
【0023】
Varshney等により報告されたマルチセンター二重盲検無作為化プラセボ対照試験は、28名に被験者を検査した。3名の被験者は、アレルギー副作用のため、早期に試験をやめた。用量増大投与完了後、二重盲検プラセボ対照食物試験を実施したが、この場合、残りの落花生OIT被験者(n=16)すべてが、5000mg(約20粒の落花生)の最大累積用量を摂取し、一方、プラセボ被験者(n=9)は、280mg(範囲0〜1900mg;p<.001)の中央値累積用量を耐容し得たに過ぎない。プラセボ群と対比して、落花生OIT群は、皮膚突き刺し試験サイズの低減(P<0.001)および落花生特異的IgG4の増大(P<0.001)を示した。落花生OIT被験者は、落花生特異的IgEの初期増大(P<0.01)を有したが、しかし経口食物試験の時間による基線からの有意の変化を示さなかった。
【0024】
定義
別記しない限り、本明細書中で用いられる技術用語および科学用語はすべて、本明細書中に記載される本発明が属する当該技術分野の当業者に一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書中で言及される特許および出版物はすべて、参照により本明細書中に組み入れられる。
【0025】
「動物」という用語は、本明細書中で用いる場合、ヒトならびに非ヒト動物、例えば哺乳動物、鳥類、爬虫類、両生類および魚類を指す。好ましくは非ヒト動物は、哺乳動物(例えば、齧歯類、マウス、ラット、ウサギ、サル、イヌ、ネコ、霊長類またはブタ)である。動物は、トランスジェニック動物であり得る。
【0026】
「抗原」という用語は、本明細書中で用いる場合、動物における抗体応答(すなわち、体液性応答)および/またはT細胞との抗原特異的反応(すなわち、細胞性応答)の生成を引き出す分子を指す。
【0027】
「アレルゲン」という用語は、本明細書中で用いる場合、他のアイソタイプの抗体のほかに、IgEの産生を引き出す抗原の一部分を指す。「アレルゲン」、「天然アレルゲン」および「野生型アレルゲン」という用語は、互換的に用いられ得る。本発明の目的のために好ましいアレルゲンは、タンパク質アレルゲンである。
【0028】
「アレルギー反応」という語句は、本明細書中で用いる場合、主に皮膚(例えば、蕁麻疹、血管性浮腫、掻痒症)、呼吸器(例えば、喘鳴、咳、喉頭浮腫、鼻漏、涙眼/眼の痒み)、消化管(例えば、嘔吐、腹痛、下痢)、および心臓血管(すなわち、全身性反応が起こる場合)系を含めた臨床症候を伴うIgE媒介性である免疫応答に関する。本発明の目的のために、喘息反応はアレルギー反応の一形態であるとみなされる。
【0029】
「アナフィラキシーアレルゲン」という語句は、本明細書中で用いる場合、自然条件下で、その自然状態で遭遇される場合、アレルギー個体におけるアナフィラキシー反応の危険を示すことが認識されるアレルゲンの一部分を指す。例えば、本発明の目的のために、花粉アレルゲン、ダニアレルゲン、動物鱗屑または分泌物(例えば、唾液、尿)中のアレルゲン、および真菌アレルゲンは、アナフィラキシーアレルゲンとみなされない。他方で、食物アレルゲン、昆虫アレルゲンおよびゴムアレルゲン(例えば、ラテックスから)は、一般的に、アナフィラキシーアレルゲンであるとみなされる。食物アレルゲンは、本発明の実行に用いるための特に好ましいアナフィラキシーアレルゲンである。特に、マメ(落花生)、木の実アレルゲン(例えば、クルミ、アーモンド、ペカン、カシュー、ヘーゼルナッツ、ピスタチオ、マツの実、ブラジルナッツから)、酪農製品アレルゲン(例えば、卵、牛乳から)、種子アレルゲン(例えば、ゴマ、ケシ、カラシから)、ダイズ、コムギおよび海産物アレルゲン(魚、エビ、カニ、ロブスター、二枚貝、イガイ、カキ、ホタテ貝、ザリガニ)は、本発明によるアナフィラキシー食物アレルゲンである。特に興味深いアナフィラキシーアレルゲンは、反応が一般に死の危険を生じるほど重症であるものである。
【0030】
「アナフィラキシー」または「アナフィラキシー反応」という語句は、本明細書中で用いる場合、その後の媒介物質放出、ならびに標的器官、例えば気道、皮膚、消化管および心臓血管系における重度の全身性病理学的応答の生成を伴う、アナフィラキシーアレルゲンにより誘導されるマスト細胞および好塩基球上の高親和性IgE受容体の架橋に派生するマスト細胞脱顆粒により特性化されるアレルギー反応の一部分を指す。当該技術分野で既知であるように、アナフィラキシー反応の重症度は、例えば皮膚反応、眼および口の周囲の膨れ、嘔吐および/または下痢と、その後の呼吸器反応、例えば喘鳴および呼吸困難を検定することにより、モニタリングされ得る。ほとんどの重症アナフィラキシー反応は、意識喪失および/または死を生じ得る。
【0031】
「抗原提示細胞」または「APC」という語句は、本明細書中で用いる場合、抗原を加工処理し、T細胞に提示して、抗原特異的応答を引き出す細胞、例えばマクロファージおよび樹状細胞を指す。
【0032】
2つの実態が本明細書中に記載される用に互いに「会合」される場合、それらは直接または間接的共有または非共有的相互関係により連結される。好ましくは、会合は共有的である。望ましい非共有的相互作用としては、例えば水素結合、ファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用、磁気的相互作用等が挙げられる。
【0033】
「アナフィラキシー反応減少」という語句は、本明細書中で用いる場合、皮膚、呼吸器、消化管および粘膜(例えば、眼、鼻および耳)表面または皮下注入(例えば、ハチに刺されて)を介した曝露を包含し得るアナフィラキシーアレルゲンへの曝露に関連した症候の処置後の臨床症候の減少を指す。
【0034】
「エピトープ」という用語は、本明細書中で用いる場合、免疫グロブリン(例えば、IgE、IgG等)により結合されるか、または腫瘍組織適合性複合体(MHC)と一緒にAPCにより提示される場合、T細胞受容体により認識され得る約6〜15個のアミノ酸間のアミノ酸モチーフを含む結合部位を指す。線状エピトープは、アミノ酸が簡単な線状配列の状況で認識される場合のものである。立体配座エピトープは、特定の三次元構造の状況で麻が認識される場合のものである。
【0035】
本発明によるアレルゲン「断片」は、無傷天然アレルゲンより小さいアレルゲンの任意の部分または一部である。本発明の好ましい実施形態では、アレルゲンはタンパク質であり、その断片はペプチドである。
【0036】
「免疫優性エピトープ」という語句は、本明細書中で用いる場合、同一抗原中に存在する他のエピトープに対する抗体反応のパーセンテージまたは力価に比して、感作集団の高パーセンテージで抗体により結合されるか、または抗体の力価が高いエピトープを指す。一実施形態では、免疫優性エピトープは、感作集団の50%より多くで、さらに好ましくは60%より多く、70%、80%、90%、95%または99%より多くで、抗体により結合される。
【0037】
「免疫刺激配列」または「ISS」という語句は、本明細書中で用いる場合、APCにより取り込まれ、それらを活性化して、ある種の膜受容体(例えば、B7−1およびB7−2)を発現し、種々のサイトカイン(例えば、IL−1、IL−6、IL−12、TNF)を分泌する細菌、ウィルス、または無脊椎動物起源のオリゴデオキシヌクレオチドに関する。これらのオリゴデオキシヌクレオチドは、非メチル化CpGモチーフを含有し、抗原と一緒に動物に注入されると、Th1型応答に対する免疫応答を歪曲するように見える(例えば、Yamamoto et al.,Microbiol.Immunol.36:983,1992;Krieg et al.,Nature 374:546,1995;Pisetsky,Immunity 5:303,1996;およびZimmerman etal.,J.Immunol.160:3627,1998参照)。
【0038】
本明細書中で用いる場合、「〜から成る」、「〜を含む」および「例えば」という用語は、それらの開かれた非限定的意味で用いられる。
【0039】
「約」という用語は、「およそ」という用語と同義的に用いられる。当業者が理解するように、「約」の精確な境界は、組成物の構成成分によって決まる。例示的に、「約」という用語の使用は、言及される値のわずかに外側、すなわち、±0.1%〜10%の値を示し、これも有効且つ安全である。別の実施形態では、「約」という用語の使用は、言及される値のわずかに外側、すなわち、±0.1%〜5%の値を示し、これも有効且つ安全である。別の実施形態では、「約」という用語の使用は、言及される値のわずかに外側、すなわち、±0.1%〜2%の値を示し、これも有効且つ安全である。
【0040】
「単離された」(「実質的に純粋」と互換的に用いられる)は、ポリペプチドに適用される場合、それが天然に生じる他のタンパク質から分離されているポリペプチドまたはその一部分を意味する。典型的には、ポリペプチドはさらにまた、それを精製するために用いられる抗体またはゲルマトリクス(ポリアクリルアミド)のような物質から実質的に(すなわち、少なくとも約70%から約99%まで)分離される。
【0041】
処方物
本明細書中に記載される処方物は、1つ以上の活性成分を含む。活性成分は、任意の供給元、例えばGolden Peanut Companyから入手され得るラッカセイ粉から単離され得る。落花生粉は、軽く炒った落花生から粉砕される約10%から約15%まで、または約12%脱脂落花生粉であり得る。落花生粉は、いくつかの場合、内容物および生物学の標準分析後、供給者により放出され、冷蔵下で9〜12ヶ月間安定であり得る。落花生粉は、被験者への投与の前に、処方され、カプセル封入され、そして試験され得る。
【0042】
落花生粉、バルク物質(BS)および最終処方物の分析のために、3つの落花生粉タンパク質アレルゲン、すなわちAra h1、Ara h2およびAra h6を分離する逆相HPLC検定(RP−HPLC)が開発された。この検定は、放出時および安定中の同一性および内容物試験のための基礎を形成する。逆相HPLC検定は、同定検定として、そして特性化落花生アレルゲン処方物の製造のために許容可能な落花生アレルゲンのロットごとの
整合性および安定性をモニタリングするために、利用され得る。
【0043】
タンパク質アレルゲンの付加的特性化は、さらにまた、酵素結合免疫吸着法(ELISA)およびゲル分析を用いて実施され得る。
【0044】
落花生および落花生粉は、多数の食物処方物中に見出される一般的食物および添加物である。本発明により同定される特性化落花生アレルゲンのための意図された臨床的使用は、食物中に含有される量と比較して、相対的に少量(0,5〜4000mg/用量)で見出され、経口的に摂食される落花生含有製品と同一経路を介して送達され得る。
【0045】
本明細書中に記載される処方物は、マルチセンタープラセボ対照試験で試験されて、落花生摂取に対する中等度〜重度臨床反応を有する約4〜約26歳の被験者における特性化落花生アレルゲンの安全性および効力を実証し得る。有意の共存性健康症状、非制御喘息を有するか、またはアナフィラキシーのために集中治療室に以前入ったことのある被験者は、除外され得る。標準抗アレルギー薬物療法(例えば、抗ヒスタミン剤、経口コルチコステロイド等)は、維持に関して、特性化落花生アレルゲン(CPA)を増量投与しながら、容認され得る。
【0046】
特性化落花生アレルゲン(CPNA)を含む処方物は、漸増用量で、1つ以上の希釈剤、1つ以上の滑剤、1つ以上の潤滑剤、および任意に1つ以上の充填剤とともに処方される落花生タンパク質を含み、約0.5mg、約1mg、約10mg、約100mgおよび約1000mgの落花生タンパク質を各々含有するカプセルからなる。各カプセルは、開けられて、投与直前に味遮蔽食物中に内容物が混合され得る。
【0047】
活性薬学的成分は、最初に、生落花生、すなわちマメ科の一成員であるアラキス・ヒポゲアとして供給される。生落花生は、多数の農業供給元から入手され得るが、そこでは、殻つき生落花生が12%脱脂焙煎落花生粉(PF)に加工処理される。PFは、cGMP条件下でのさらなる加工処理のための分析の証明書(CofA)を含み得る。
【0048】
CPNAカプセルの処方、充填および試験は、cGMP製造受託機関で実施され得る。cGMP製造条件下で、約50%の落花生タンパク質(w/w)からなるタンパク質粉(PF)は、1つ以上の希釈剤、1つ以上の滑剤および1つ以上の潤滑剤と混合される。
【0049】
一実施形態では、組成物は1つ以上の希釈剤を含む。処方物中で用いるための「希釈剤」としては、アルギン酸およびその塩;セルロース誘導体、例えばカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース(例えば、メトセル(登録商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、クルーセル(登録商標))、エチルセルロース(例えば、エトセル(登録商標))、微晶質セルロース(例えば、アビセル(登録商標));ケイ酸化微晶質セルロース;微晶質デキストロース;アミロース;ケイ酸アルミニウムマグネシウム;多糖酸;ベントナイト;ゼラチン;ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー;クロスポビドン;ポビドン;デンプン;アルファデンプン;トラガカント、デキストリン、糖、例えばスクロース(例えば、Dipac(登録商標))、グルコース、デキストロース、糖蜜、マンニトール、ソルビトール、キシリトール(例えば、キシリタブ(登録商標))、ラクトース(例えば、ラクトース・一水和物、無水ラクトース等);リン酸二カルシウム;天然または合成ゴム、例えばアラビアゴム、トラガカントゴム、ガッティゴム、isapol殻の粘質物、ポリビニルピロリドン(例えば、ポリビドン(登録商標)CL、コリドン(登録商標)CL、ポリプラスドン(登録商標)XL−10)、ラーチ・アラボガラクタン、ビーガム(登録商標)、ポリエチレングリコール、ワックス、アルギン酸ナトリウム、デンプン、例えば天然デンプン、例えばコーンスターチまたはジャガイモデンプン、アルファデンプン、例えばカラコン(スターチ1500)、National 1551またはアミジェル(登録商標)、またはデンプングリコール酸ナトリウム、例えばプロモゲル(登録商標)またはエクスプロタブ(登録商標);架橋デンプン、例えばデンプングリコール酸ナトリウム;架橋ポリマー、例えばクロスポビドン;架橋ポリビニルピロリドン;アルギネート、例えばアルギン酸またはアルギン酸の塩、例えばアルギン酸ナトリウム;粘土、例えばビーガム(登録商標)HV(ケイ酸アルミニウムマグネシウム);ゴム、例えば寒天、グアー、イナゴマメ、カラヤ、ペクチンまたはトラガカント;デンプングリコール酸ナトリウム;ベントナイト;天然海綿;界面活性剤;樹脂、例えば陽イオン交換樹脂;シトラスパルプ;ラウリル硫酸ナトリウム;デンプンと組み合わせたラウリル硫酸ナトリウム;ならびにその組合せが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、処方物は、微晶質セルロースまたはスターチ1500を含む。別の実施形態では、処方物は、微晶質セルロースおよびスターチ1500を含む。
【0050】
本明細書中に記載される固体剤形で用いるための適切な滑剤(固化防止剤)としては、コロイド二酸化ケイ素(Cab−O−Sil)、タルク(例えば、ウルトラタルク4000)およびその組合せが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、組成物はCab−O−Silを含む。
【0051】
本明細書中に記載される固体剤形で用いるための適切な潤滑剤としては、ステアリン酸、水酸化カルシウム、タルク、コーンスターチ、フマル酸ステアリルナトリウム、アルカリ金属およびアルカリ土類金属塩、例えばアルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ワックス、ステアロウエット(登録商標)、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ポリエチレングリコールまたはメトキシポリエチレングリコール、例えばカーボワックス(商標)、PEG 4000、PEG 5000、PEG 6000、プロピレングリコール、オレイン酸ナトリウム、ベヘン酸グリセリル、/るみとステアリン酸グリセリル、安息香酸グリセリル、ラウリル硫酸ナトリウムまたはマグネシウム、およびその組合せが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、組成物は、ステアリン酸マグネシウムを含む。別の実施形態では、組成物はステアリルフマル酸ナトリウムを含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、処方物は、1つ以上の充填剤をさらに含み得る。「充填剤」としては、ラクトース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、微晶質セルロース、セルロース粉末、デキストロース、デキストレート、デキストラン、デンプン、アルファデンプン、スクロース、キシリトール、ラクチトール、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコールおよびその組合せといったような化合物が挙げられる。
【0053】
本明細書中に記載される成分は、例えば
図7および8に示した工程により混合され得る。混合処方物は、その後、0.5、1、10、100mg、475mgおよび1000mgの落花生タンパク質として、サイズ3,00または000.ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)カプセル中に封入され得る。相溶性試験は、落花生粉と1つ以上の賦形剤との組合せを評価し得るが、これは、いくつかの場合、GRAS認証を有し得る。希釈剤は、開けたカプセルから分散するのに適切な容量を含有するために低および高用量を処方するための機会を提供する。投与時に被験者または担当医がカプセルの粉を容易に空にするよう、滑剤および潤滑剤はPFに流動性を付加する。臨床試験のために、カプセルは、容器手段、例えばボトル中にバルクパックされ得る。いくつかの場合、容器手段は、光への曝露を(部分的にまたは完全に)防止するよう処理され得る。例えば、容器手段は、琥珀色にされ得る。容器手段はさらにまた、いくつかの場合、輸送および貯蔵中の水分への曝露を(部分的にまたは完全に)防止するために防湿剤を含有する。使用時に、CPNAを含有するカプセル(単数または複数)は開かれて、内容物が投与直前に味遮蔽食物中に混合され得る。
【0054】
落花生タンパク質アレルゲンの送達を標準化するために、cGMP製造特性化落花生アレルゲン(CPNA)処方物が開発された。処方物のタンパク質含量は、2つの局面から重要である。第一に、送達される総タンパク質は、バッチ間で一貫すべきであり、そして第二に、重要な個々のアレルゲンの割合は制御されるべきである。
【0055】
バルク物質の総タンパク質含量および最終処方物放出は、当該産業における目下の問題を取り扱う本明細書中に記載されるタンパク質決定方法を用いて、定量され得る:すなわち本出願前に、落花生粉中の個々の落花生タンパク質アレルゲンの絶対または相対量はより問題になっており、制御されていない。
【0056】
落花生タンパク質は、典型的には、アレルギーのヒトまたは免疫化動物からのアレルゲン特異的ポリクローナル抗血清を用いて、ポリアクリルアミドゲル電気泳動およびイムノブロッティングにより検出可能ないくつかの個々のタンパク質アレルゲンからなる。これらのタンパク質のうち、イムノブロット、落花生アレルギーのヒトからのヒト血清による粗製落花生抽出物に対する反応性、そして感作好塩基球からのin vitroヒスタミン放出に基づいて、Ara h1、Ara h2およびAra h6がアレルギー性落花生タンパク質アレルゲンと同定されており、Ara h2およびAra h6は、粗製落花生抽出物の大多数のアレルギー活性に関与している。
【0057】
本発明の出願より前に、落花生アレルゲンタンパク質は、典型的には、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)またはポリアクリルアミドゲル電気泳動により、粗製落花生抽出物から分別されている。これらの技法は、Araタンパク質の範囲への相対的見地を示し得るが、しかし落花生粉ロット間の個々の落花生アレルゲン発現を比較するために必要な分解能および感受性も、そして経時的タンパク質構造の考え得る変化も提供しない。これらの限界に対処するために、本発明は、逆相HPLC(RP−HPLC)法を開発して、分解能を増強し、落花生アレルゲンAra h1、Ara h2およびAra h6の物理的分離を可能にした。
【0058】
焙煎落花生粉中のAra h1、2および6アレルゲン性タンパク質の確定および特性化のための検定を開発した。簡易単一段階抽出手順を、トリス緩衝液(pH8.2)を、その後、遠心分離および濾過を用いて、変更した。試料を100mg/mLで調製し、60℃で3時間、抽出した。最終正味濾過は、HPLCによる直接分析に適している。
【0059】
HPLC分離は、結合ブチル固定相を有する幅広孔300Åシリカカラムを用いる逆相分離を利用する。0.1%トリフルオロ酢酸およびアセトニトリルを基礎にした二成分勾配が用いられ得る。移動相は、質量分析に適合性であり得る。検出は、280nmでの検出で感受性が低減されるので、214nmでのUV検出器で成し遂げられ得る。
【0060】
全落花生抽出物の保持時間およびピークパターンをAra hタンパク質と比較することにより、方法の特異性が確定され得る。主Ara hタンパク質ピークは、いくつかの場合、別個の存在として分解し得ないが、しかしむしろ、多数の同様のタンパク質の総体として現れ得る。したがって、Ara h1、Ara h2およびAra h6アレルゲンは、保持時間領域内のピークの一団として現れ得る。したがって、特定のAra hタンパク質の相対量は、その場合、限定溶離領域内の総面積のパーセンテージとして決定される。種々の領域のクロマトグラフィー分離が査定され、当該方法は、落花生粉タンパク質の異なるロットおよび供給源に関するこれらの領域パターンにおけるわずかな差異および処方物の安定性の比較のために有用であり得る。
【0061】
214nmでの代表的例示的クロマトグラフィーシリーズを、粗製抽出物(上パネル)と精製Ara h1、Ara h2およびAra h6タンパク質およびBSAからのプロフィールとを比較しながら、
図1に示す。
【0062】
RP−HPLC法事前資格審査は、単一落花生粉ロットの3つの個々の調製物を比較することにより、2つの異なる日における2つの異なる分析により実施される反復検定の結果を比較することにより、あるいは同一または異なる日における落花生粉の異なるロットの個々の調製物の結果を比較することにより、査定され得る。
【0063】
三重反復実験における単一試料の抽出を実施し、提唱された方法によってその結果を分析することにより、精度が概算され得る(例えば表1参照)。落花生粉の単一ロットの三重反復実験抽出および確定が実行される;報告値は、各Ara hシリーズの面積を表す。データシステム(ChemStation)における強制統合事象、または手動統合を用いることにより、ピークの統合が実施され得る。落花生粉の単一ロットのこれらの三つ組の個々の調製物は、Ara h6に関する約1.1%の相対的標準偏差(RSD)からAra h1に関する約18.3までの範囲であり得る。Ara h1に関するより高い(%RSD)値は、その後のより大きいクラスターからのAra h1ショルダーを統合することと関連し得る。
【表1】
【0064】
二次精度方法は、2つの異なる日に検定を実施する2人の異なる分析者により得られる結果を比較する。示される各値は、二重反復実験注入の平均を表す。表2は、異なる日における2人の異なる分析者による、3つの落花生粉ロットの面積パーセント値および抽出可能タンパク質含量の比較の結果例を提供する。これらの検定から得られる定量的結果の比較は、86%〜107%一致するAra h値を生じる;総タンパク質含量は、95%〜102%内で一致し得る。2つの分析間の整合のパーセントも提示され得る。
【表2】
【0065】
種々のPFロットの分析を用いて、独立して、且つ落花生粉のロット全体で互いに比して、Ara h1、Ara h2およびAra h6の発現が一貫している、ということを実証し得る。この検定は、放出時および安定性決定中の同一性および含量試験に関する基礎も形成し得る。
【0066】
二次cGMP製造により、検定を実行し、分析した。HPLCプロフィール(例えば、
図2、
図3および
図4参照)、総タンパク質および総タンパク質内の各アレルゲンのパーセンテージ(例えば、表3参照)は、一般的に、同一落花生粉ロットを用いて両実験室により実施される検定間で一致する(データの橋渡しを可能にする)。
【表3】
【0067】
RP−HPLC確証試験
RP−HPLCピークプロフィールが、Ara h1、Ara h2およびAra h6を実際に分離し、同定することを確証するために、各ピークから単離される材料は、例えば4〜20Novexトリス−HClプレキャストゲルを用いて、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動により特性化され得る(例えば、
図5参照)。付加的ゲルが二フッ化ポリビニリデン(PVDF)膜に移動され、イムノブロッティングのために加工処理されて、Ara h1、Ara h2およびAra h6ニワトリ抗血清と反応させられて、例えばJong et al.(EMBO J.,1988;7(3):745−750)により記載された検定方法を用いて、ホースラディッシュペルオキシダーゼ共役ヤギ抗ニワトリIgGで展開され得る。抽出物は焙煎落花生粉に由来し得るが、抗血清は、生落花生抽出物から精製されるAra hタンパク質に対して生成され得る、ということに留意すべきである。抗血清は、生落花生に、そして焙煎落花生抽出物から得られる単離Ara hタンパク質に由来する対照Ara hタンパク質の両方と反応する(例えば、
図6参照)。
【0068】
イムノブロットは、3つの主なHPLCピークの各々から単離される物質が、適切な落花生タンパク質特異的抗血清と反応性であったということ、そして免疫反応性タンパク質の分子量が文献(Koppelman et al.2010)中に報告されたようなタンパク質分子量に対応した、ということを示す。落花生粉から抽出されるAra hタンパク質は、60℃への加熱に感受性でない、ということが確定された。付加的確証実験が実行され得る;これらの検定を用いて、長期保存中に起こる変化に対する最大感受性を提供する検定を示す最も適切な安定性を確立し得る。しかしながら、本明細書中に記載される早期イムノブロットデータは、報告されたRP−HPLC方法が落花生粉ロット間の個々の落花生タンパク質を追跡する、ということを示している。
【0069】
落花生粉の供給源および試験
本明細書中に記載される処方物中に用いるための落花生粉(PF)は、任意の信頼できる生産者、例えば落花生粉および落花生油(焙煎落花生の脱脂の副産物)を製造するGolden Peanut Company(GPC)(これに限定されない)から供給され得る。
【0070】
GPC製造設備は、食物安全性プログラムのための国際的に認められた認証機関(例えば、Intertek Labtest(UK)Limited)により監査され得る。監査は、食物安全性に関するBritish Retail Consortium Food Standard(BRC)世界基準の遵守に集中し得る。BRC世界基準は、80を上回る公認の、BRC認可認証機関のネットワークを通して90の国々における17,000を超える認証供給元により世界中で用いられる主要な世界的安全性および品質認証プログラムである。BRC世界基準は、供給元および全世界的小売業者により広範に用いられる。それらは、法的拘束力を有する品質、安全性、操作判定基準およびメーカーの履行の標準化を促す。それらは、さらにまた、消費者に対する保護を提供する手助けをする。直近の監査中に、重大なまたは重要な非遵奉知見は認められなかった。
【0071】
PFは、軽く焙煎された落花生から粉砕された約12%脱脂落花生粉であり得る。PFは、内容物および微生物学の標準分析後に供給元により放出され得るし、冷蔵下で9か月間安定であると確認されている。
【0072】
PFに関する来るべき原材料放出試験
PF原材料は、cGMP生成のための放出前に、外見、同一性、総タンパク質含量および含水量に関して試験され得る(例えば、表4参照)。PFは、2〜8℃で制御条件下で保存され得る。
【表4】
【0073】
処方物賦形剤
表5は、本明細書中に記載される処方物中に用いられ得る賦形剤例を提供する。本明細書中に記載される処方物中に用いられ得るその他の賦形剤は、説明の別の箇所で提供される。
【0074】
意図される剤形の例としては、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)ベースのカプセルが挙げられる;剤形の強度は、約0.5mg、約1mg、約10mg、約100mg、約475mgまたは約1000mgの落花生タンパク質であり得る。落花生タンパク質それ自体は、いくつかの場合、慣用的薬学的製造工程を促進する固有の流動特性を伴わない粘着性材料であり得る。したがって、不活性薬学的成分(賦形剤)が処方物に付加され、そこで、落花生粉は、剤形の製造さらにまた送達の両方を増強するための流動特質を有する適正な薬学的剤形に開発され得る。
【0075】
落花生粉と例示的賦形剤類(希釈剤、滑剤および潤滑剤)との組合せを評価するために、相溶性試験が実行され得る。賦形剤は、GRAS認可を有するか、または薬学的処方物中で安全であることが示され得る。希釈剤は、開けたカプセルから分散するのに適切な容量を含有するために低および高用量を処方するための機会を提供する。滑剤および潤滑剤は、被験者がカプセルの粉を空にするのを容易にするため、PFに流動性を付加する。
【0076】
表5によれば、考察中の賦形剤の各々は、USP、NFまたはUSP−NFとして示される。
【表5】
【0077】
特性化落花生アレルゲンの処方物
落花生粉(落花生アレルゲンタンパク質Ara h1、Ara h2およびAra h6を含有)は、漸増用量で嵩高剤および流動化剤とともに処方され、0.5mg、1mg、10mg、100mgおよび1000mgの各々の落花生タンパク質を含有するカプセルからなる。
【0078】
低用量カプセル(0.5mgおよび1mg)
図7および表6は、0.5mgの落花生タンパク質および1mgの落花生タンパク質カプセルを含む低用量カプセルに関して提唱された配合工程を要約する。
【0079】
本明細書中で提供されるのは、本明細書で提供される方法に有用な低用量カプセル処方物の製造方法であって、(a)第一配合で落花生粉および希釈剤を混合するステップ;(b)第二配合で約45%の希釈剤を付加するステップ;(c)第三配合で残りの希釈剤および/または潤滑剤を付加するステップ;(d)最終配合で滑剤を付加するステップ;そして(e)カプセル中に配合粉末を封入するステップを包含する方法である。一実施形態では、ステップ(a)の希釈剤は、デンプン、ラクトースまたは微晶質セルロース(アビセル(登録商標))またはリン酸二カルシウムより成る。別の実施形態では、ステップ(b)および/または(c)の希釈剤は、デンプン、ラクトース、微晶質セルロース(アビセル(登録商標))またはリン酸二カルシウムより成る。別の実施形態では、ステップ(d)の滑剤は、コロイド二酸化ケイ素(Cab−O−Sil)、タルク(例えば、ウルトラタルク4000)またはその組合せより成る。別の実施形態では、ステップ(d)の滑剤はCab−O−Silより成る。別の実施形態では、ステップ(d)の潤滑剤はステアリン酸マグネシウムより成る。別の実施形態では、当該方法は、カプセル封入前に1回以上、配合混合物をサンプリングすることをさらに包含する。別の実施形態では、用量は、約0.5または約1.0mgの落花生タンパク質を含む。一実施形態では、当該方法は、任意に、ステップ(d)の配合材料をサンプリングすることを包含する。一実施形態では、ステップ(d)は、滑剤または潤滑剤を付加することを包含する。別の実施形態では、ステップ(d)は、滑剤および潤滑剤を付加することを包含する。
【表6】
【0080】
高用量カプセル(10mg、100mgおよび475mg)
図8および表7は、10mgの落花生タンパク質、100mgの落花生タンパク質および475mgの落花生タンパク質カプセルを含む高用量カプセルに関する提唱配合工程を要約する。
【0081】
本明細書中で提供されるのは、本明細書で提供される方法に有用な高用量カプセル処方物の製造方法であって、(a)第一配合で落花生粉および希釈剤を混合するステップ;(b)配合材料を放出するステップ;(c)配合材料をメッシュスクリーンに通して、第二配合でスクリーン済み材料を配合するステップ;(d)最終配合で滑剤および/または潤滑剤を付加するステップ;そして(e)配合粉末をカプセル封入するステップを包含する方法である。一実施形態では、当該方法は、任意に、カプセル封入前に1回以上、ステップ(d)の配合材料をサンプリングすることを包含する。さらに別の実施形態では、ステップ(a)の希釈剤は、デンプン、ラクトースまたは微晶質セルロース(アビセル(登録商標))またはリン酸二カルシウムより成る。別の実施形態では、ステップ(c)のメッシュスクリーンは#20メッシュスクリーンより成る。別の実施形態では、ステップ(d)の滑剤は、コロイド二酸化ケイ素(Cab−O−Sil)、タルク(例えば、ウルトラタルク4000)またはその組合せからなる。別の実施形態では、ステップ(d)の滑剤はCab−O−Silより成る。別の実施形態では、ステップ(d)の潤滑剤はステアリン酸マグネシウムより成る。一実施形態では、ステップ(d)は、滑剤または潤滑剤を付加することを包含する。別の実施形態では、ステップ(d)は、滑剤および潤滑剤を付加すること包含する。
【表7】
【0082】
バルク物質の制御
処方済みバルク物質に関する提唱明細例を、表8に要約する。
【表8】
【0083】
バルク安定性試験
配合の24時間以内に、処方物はカプセル中に充填され得る。
【0084】
処方物
化学および製造組成物の概観
落花生粉(落花生アレルゲンタンパク質Ara h1、Ara h2およびAra h6を含有)は、漸増用量で嵩高剤および流動化剤とともに処方され、約0.5mg、約1mg、約10mg、約100mg、約475mgまたは約1000mgの各々の落花生タンパク質を、1つ以上の希釈剤、1つ以上の滑剤、1つ以上の潤滑剤とともに含むカプセルを包含する。任意に、1つ以上の充填剤が付加され得る。各カプセルは、開けられて、投与直前に味遮蔽食物中に内容物が混合され得る。
【0085】
世界薬学規準を満たす非動物カプセルは、本明細書中に記載される処方物のために用いられ得る。非限定的一実施形態では、CapsugelからのHPMCカプセルが用いられ得る。
【0086】
別の非限定的実施形態では、カプセルは、異なる用量を区別するために色コード化され得る。整合色コード化プラセボカプセルも、生成され得る。
【表9】
【0087】
処方物の最終賦形剤組成物は、異なる賦形剤との進行中の相溶性試験の完了後に確定され得る(表5参照)。
【0088】
製造工程
カプセル封入方法/設備は、開発バッチにおける充填重量変動査定に基づいて決定され得る。製造過程の制御は、定期的重量検査を含み得る。
【0089】
処方物の制御
処方物の例示的放出明細を、表10に示す。
【表10】
【0090】
外見
バルク物質(例えば、1つ以上の調製ステップ中の、および/またはカプセル封入間前の最終混合物の処方物)および処方物に関して、外見査定を実施し得る。外見の査定としては、例えば完全スペクトル光により照明される白色バックグラウンドに対して容器を視覚的に検査することからなる。
【0091】
内容物均一性
カプセルの内容物均一性(CU)は、USP標準に従った実施され得る。内容物均一性は、総タンパク質窒素内容物燃焼検定を基礎にし得る。意図は、すべての用量で個々のカプセルを検定することを可能にする感受性で燃焼機器を同定することである。
【0092】
送達可能な質量
カプセルを計量し、内容物を空にして、空のカプセルを計量することにより、カプセル送達可能質量が評価され得る。次いで、送達量%が算定され得る。
【0093】
含水量
含水量は、タンパク質の安定性に影響を及ぼし得るので、経時的含水量の変化を理解することは、いくつかの場合、保存寿命を短くすることもある処方物中の変化を理解するために有用である。落花生粉充填カプセルに関して、含水量は、USPに従って乾燥減量(LOD)決定試験を用いて測定され得る。LODのための条件は、賦形剤要件、ならびに落花生粉に関する要件に基づいて確定され得る。
【0094】
同一性(RP−HPLC)
RP−HPLCを用いて、PF、BSおよび最終処方物の同一性を確証し得る。(Attorney Docket No.43567−702.101)と同一日に出願された表題「落花生処方物およびその使用(Peanut Formulations and Uses Thereof)」の関連出願(この記載内容は参照により本明細書中に組み入れられる)にさらに詳細に記載された方法に従って、試料は分析され得るし、その結果生じるクロマトグラムは、試験方法で提供されるクロマトグラム例と比較され得る(例えば、
図9参照)。
【0095】
試料クロマトグラムが当該方法で提供されるクロマトグラムと整合する場合、落花生粉の正の同定が確証され得る。正の同定が確証されない場合、多くの落花生粉が、標準以下であるとして廃棄され得る。プラセボ中の活性物質の非存在は、クロマトグラフィーにおける12〜35分にピークが溶離しない、ということを実証することにより確証され得る。
【0096】
総抽出可能タンパク質
落花生粉中の総抽出可能タンパク質の確定と類似のアプローチが、カプセル処方物中の総抽出可能タンパク質の確定のために用いられ得る。当該アプローチは、全強度に関して評価され得る。要するに、カプセル内容物は、空にされ、計量され、RP−HPLCにより分析され得る。この手法を用いる落花生粉試料のクロマトグラフィー分析は、落花生粉抽出物に独特であるクロマトグラフィー的「指紋」を生じる。約12分〜35分の間に溶離する試料の領域は、統合され得る。統合される総面積は、BSA基準に対して定量され得る。次いで、総抽出可能タンパク質含量が、以下の方程式を用いて算定され得る。
【数1】
(式中、R
u=作業試料中の総Ara hタンパク質ピーク面積またはAra h種ピーク面積;
R
s=すべての作業基準における平均BSAピーク面積。
C
STD=BSA作業基準濃度(mg/mL);
V
Sample=作業試料の総希釈剤容積(10.0 mL);および
Wt
sample=落花生粉試料の重量(g))。
【0097】
見掛けのAra h1、Ara h2およびAra h6タンパク質比
RP−HPLC法を用いて抽出される試料のクロマトグラフィー分析は、落花生粉抽出物に独特のクロマトグラフィー「指紋」、ならびにAra h1、Ara h2およびAra h6に対応する領域の相対比を生じ得る(例えば、
図1参照)。これらの領域の各々のタンパク質含量(mg/g)は、上記の方程式によって定量され得る。次に、以下の方程式に従って、各領域に関する総タンパク質の相対含量パーセントが算定される。
【数2】
【0098】
タンパク質含量
充填済みカプセル中のタンパク質含量は、落花生粉の場合と同様に確定され得る(AOCS Official Method Ba 4e−93)。精確なタンパク質含量決定は、試料の窒素含量によって決まり得るため、窒素を含有する賦形剤は処方物中に用いられ得ない。当該方法はデュマ法に基づいており、そして純酸素中の粗タンパク質の燃焼、ならびに放出される窒素ガスの測定に基づいている。用いられ得る方法は、AOCS Official Method Ba 4e−93であり得る。AOCS法の定義および範囲は、以下で提供される。
【0099】
要するに、この方法は、粗製タンパク質の確定のための一般燃焼方法を記載する。純酸素中で高温での燃焼は窒素を開放し、これは、熱伝導性検出により測定され、次いで、適切な数的因子により等価タンパク質に転換される。これは、水銀触媒ケルダール法に対する代替的方法であり、2つの利点、すなわち1)窒素確定に必要な時間が少なくて済む、そして2)有害且つ有毒化学物質は利用されない、という利点を有する。
【0100】
安定性試験
処方物は、2〜8℃で保存され得る。加速されたそして長期の安定性を査定するために、処方物は、表11および表12に記載される頻度および明細によって試験され得る。外見/色、水分、同一性および強度に関する試験は、すべての時点で実施され得るし、汚染微生物数は、年1回、12、24および36か月目に実施され得る。
【表11】
【0101】
表11B〜11Fは、5℃での種々の処方物の安定性を試験することにより得られるデータを提供する。
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【0102】
表11G〜11Kは、25℃での種々の処方物の安定性を試験することにより得られるデータを提供する。
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【表21】
【表22】
【0103】
表12B〜12Kは、種々の時点での5℃および25℃での種々の処方物の安定性および特質を査定することにより得られるデータを提供する。
【表23】
【表24】
【表25】
【表26】
【表27】
【表28】
【表29】
【表30】
【表31】
【表32】
【0104】
プラセボ
プラセボは、PFを伴わない賦形剤の限定混合物からなり得る。プラセボは、活性処方物と同一の色コード化カプセル中に充填され得る。
【表33】
【0105】
使用方法
本明細書中に記載される方法を用いて調製される薬学的組成物は、生成物の粘稠性に関して落花生タンパク質の種々のロットを比較するために用いられ得る。
【0106】
落花生および落花生粉は、多数の食品中に見出される一般的食物および添加物である。特性化落花生アレルゲン(CPA)に関して意図される臨床的使用は、食物中に含有される量と比較して、相対的に少量(0.5〜4000mg/用量)で見出され、経口摂取落花生含有製品と同一経路により送達される。
【0107】
一般に、食物アレルギー動物モデルにおける処置様式を調べる前臨床試験は、限定されている。マウスにおける落花生アレルギーの誘導のための原則モデルは、これら毒素と組み合わせて、ピーナツバター、粉砕焙煎落花生または精製落花生タンパク質の形態の落花生タンパク質に、経口強制飼養によりマウスを曝露することである。週3〜6回曝露後、アレルギー応答を実証するためにマウスは攻撃誘発される。本明細書中に記載される処方物を致死量以下の用量で用いて、腹腔内注射によりマウスは攻撃誘発され、反応重症度に関して採点される。その意図は、アナフィラキシーの原則エリシターが、すべての落花生タンパク質の組合せというよりむしろ、特異的Ara hタンパク質である、ということを実証することである。免疫療法プロトコールにおいて、マウスを全落花生抽出物、Ara hタンパク質を欠く抽出物、または精製Ara hタンパク質単独で処理する。処理後の攻撃誘発時に、身体温度の変化、症候スコアおよびマウスマスト細胞プロテアーゼ1放出マウスが査定され得る。さらなる攻撃誘発のために脱感作されるマウスは、全体抽出物またはAra hタンパク質組合せで処理され得る。
【0108】
落花生誘導性アナフィラキシーの基礎をなす細胞要件は、野生型C57BL/6、B細胞欠陥、CD40L−欠陥、マスト細胞欠陥またはFcsRI 8−鎖欠陥マウス(落花生タンパク質に対して感作された)で調べて決定され得る。本明細書中に記載される処方物で腹腔内攻撃誘発後、抗原特異的免疫グロブリン(Ig)、全体的症候スコア、体温、血管透過性、マスト細胞媒介物質放出およびアナフィラキシー反応の測定により査定される。B細胞、マスト細胞およびCD40L欠陥マウスは、IgEおよびTh2−会合サイトカイン生成により示されるように、落花生タンパク質に対して感作され得る。FcbRI 8欠陥マウスは、野生型動物よりやや重症度が低くはあるが、アナフィラキシーを経験し得る。
【0109】
Mondoulet et al.,2012により記載された感作マウスに対する落花生の長期飼養により誘導される食道胃腸病のモデルにおいて、本明細書中に記載される処方物による皮膚上への免疫療法は、胃腸病変の重症度を低下させ得る(Mondoulet et al.,2012)。
【0110】
これらのモデルから得られるデータは、ヒト食物アレルギー反応を証明するもののうちの1つ以上を実証し得るし、ヒト食物アレルギーの変動性と関連して考察されるべきものである。
【0111】
本明細書中で提供されるのは、被験者における落花生アレルギーの脱感作に関する処置のための組成物の同定方法であって、(a)RP−HPLCにより落花生粉の組成物中のAra h1、Ara h2およびAra h6の濃度を確定すること;(b)その濃度を参照標準の濃度と比較すること;そして(c)被験者における落花生アレルギーの脱感作のための組成物を同定することを包含する方法であるが、この場合、試料は、参照標準のAra h1、Ara h2およびAra h6の濃度を少なくとも含有する。
【0112】
当該方法は、いくつかの場合、被験者に本明細書中に記載される組成物を投与することをさらに包含し得るが、この場合、組成物は、参照標準のAra h1、Ara h2およびAra h6の濃度を少なくとも含む。
【0113】
当該方法は、落花生粉のロットを比較するために、そしていくつかの場合、本明細書中に記載される組成物または方法における使用から落花生粉を除外するために用いられ得るが、この場合、試料は、Ara h1、Ara h2およびAra h6の参照標準量を少なくとも含有しない。
【0114】
好ましい実施形態を示し、本明細書中に記載してきたが、このような実施形態は、単なる例として提供されるにすぎないことは、当業者には明らかである。実施形態から逸脱しない限り、当業者はここで多数の変動、変化および置換をなし得る。本明細書中に記載される実施形態に対して種々の代替物が実施形態を実行するに際して用いられ得る、と理解されるべきである。以下の特許請求の範囲は実施形態の範囲を限定するものであり、これらの特許請求の範囲内の方法および構造、ならびにそれらの等価物がそれにより網羅されるよう意図されている。