【実施例1】
【0016】
図1に、本発明の熱電対式液位計測システムの実施例1を示す。
【0017】
該図に示すように、本実施例の熱電対式液位計測システムは、容器1内の液面2を計測するために、支持材3に支持された4本のヒータ付熱電対4a、4b、4c、4d(ヒータ付熱電対は、4本に限らず複数本あれば良い)が高さ方向に配列されている。ヒータ付熱電対4a、4b、4c、4dのそれぞれの一端には、センサ部5a、5b、5c、5dが備えられており、他端には第1のコネクタ6a、6b、6c、6dを介してケーブル7a、7b、7c、7dが取付けられている。ケーブル7a、7b、7c、7dは、第2のコネクタ8a、8b、8c、8dを介して液位計盤100に接続されている。
【0018】
液位計盤100は、熱電対温度変換器9、ヒータ切換装置10、ヒータ電源11、第1の液位計測装置12、第2の液位計測装置13、計測タイマ14及び計測制御装置15から構成されている。
【0019】
液位計盤100の内部では、各ヒータ付熱電対4a、4b、4c、4dからの熱電対信号が熱電対温度変換器9及びヒータ切換装置10にそれぞれ出力される。また、ヒータ切換装置10は、ヒータ線を介してヒータ電源11に接続されている。熱電対温度変換器9は、第1の液位計測装置12と第2の液位計測装置13に接続され、熱電対温度変換器9の信号が、第1の液位計測装置12と第2の液位計測装置13に出力される。ヒータ切換器10に接続されたヒータ電源11は、第2の液位計測装置13に接続されている。第2の液位計測装置13には、予め設定した周期毎にタイミング信号を発する計測タイマ14が接続されている。また、第1の液位計測装置12及び第2の液位計測装置13は、計測制御装置15に接続され、計測制御装置15には表示装置16が接続されている。更に、液位計盤100には、バッテリー17と外部電源18から電力が供給される。
【0020】
図2(a)、
図2(b)に、上述した4つのうちの1つのヒータ付熱電対4aのセンサ部5aの詳細を示す。
【0021】
図2(a)、
図2(b)に示すように、センサ部5aは、シース21に熱電対22とヒータ23及びヒータリード24が無機物などの絶縁材25により電気的に隔離されて格納されている。
【0022】
図3に、本実施例で採用される計測制御装置15の構成例を示す。
【0023】
該図に示すように、計測制御装置15には、操作員が各種操作・選択を実施するための操作盤31が備えられており、操作盤31には起動ボタン32、停止ボタン33、第1の液位計測装置12の選択ボタン34及び第2の液位計測装置13の選択ボタン35が配置されている。
【0024】
これらの起動ボタン32、停止ボタン33、第1の液位計測装置12の選択ボタン34及び第2の液位計測装置13の選択ボタン35は、制御器36に接続されている。制御器36には、計測された液位を保存するためのメモリ37が付属しており、操作盤31に基づく各種操作・選択信号と共に、現在の液位を通信装置38及び39によって、第1の液位計測装置12及び第2の液位計測装置13へ送信することができるようになっている。
【0025】
図4に、本実施例で採用される第1の液位計測装置12の構成例を示す。
【0026】
該図に示すように、本実施例で採用される第1の液位計測装置12は、複数のセンサ部5a、5b、5c、5dの熱電対信号から隣接するセンサ部の温度差を算出する温度差検出部46と、この温度差検出部46で検出された温度差が所定値以上となった際に隣接する2つのセンサ部の間に液位があると判定する液面判定部47とを備えている。
【0027】
そして、第1の液位計測装置12には、熱電対温度変換器9から温度信号45a、45b、45c、45dが入力され、それぞれの温度信号45a、45b、45c、45dは、温度差検出部46を構成する減算器41a、41b、41cに入力され、減算器41a、41b、41cの出力が、比較器42a、42b、42cに入力される。比較器42a、42b、42cへのもう1つの入力として、判定の基準値を与えるための設定器44が接続され、この比較器42a、42b、42cと設定器44で液面判定部47を構成する。比較器42a、42b、42cの出力は演算器43に入力され、演算器43からは液位信号60が出力される。
【0028】
図5に、本実施例で採用される第2の液位計測装置13の構成例を示す。
【0029】
該図に示すように、第2の液位計測装置13には、熱電対温度変換器9から温度信号51a、51b、51c、51dが入力され、それぞれの温度信号51a、51b、51c、51dは、通電開始パルス52a、52b、52c、52dに接続されたラッチ回路53a、53b、53c、53dと通電完了パルス54a、54b、54c、54dに接続されたラッチ回路55a、55b、55c、55dに入力され、減算器56a、56b、56c、56dを介して出力された信号が、比較器58a、58b、58c、58dにおいて設定器57からの基準値と比較される。比較器58a、58b、58c、58dの出力は、タイミング信号の受信と共に前回計測した水位の直近のセンサ部を第1番目のセンサ部として選択する初期化装置101、第1番目のセンサ部の気液判定装置102による判定結果からその他のセンサ部への通電の是非と順序を決定する順序決定部103、気液判定装置102による複数のセンサ部5a、5b、5c、5dに対する判定結果から液面を判定し、液面判定後は残りのセンサ部への通電を中止する液面判定部104を備えた演算器59に取り込まれ、演算結果として得られた液位信号60、センサ選択信号110、ヒータ通信信号111が出力される。
【0030】
なお、ラッチ回路53a、53b、53c、53d、55a、55b、55c、55d、減算器56a、56b、56c、56d、比較器58a、58b、58c、58d、設定器57で気液判定装置102を構成しており、この気液判定装置102で、熱電対22からの信号及びヒータ23からの制御信号に基づいてセンサ部5a、5b、5c、5dが液面下にあるか液面上にあるかを判定している。
【0031】
次に、上述した本実施例の熱電対式液位計測システムの動作について、
図6のフローチャートを用いて説明する。
【0032】
本実施例の熱電対式液位計測システムは、操作員が
図3に示す操作盤31の起動ボタン32を押下することで計測を開始する(S1)。このとき、第1の液位計測装置12の選択ボタン34が押下されていれば第1の液位計測装置12による計測が、第2の液位計測装置13の選択ボタン35が押下されていれば第2の液位計測装置13による計測が選択される(S2)。
【0033】
第1の液位計測装置12による計測が選択されている場合、第1の液位計測装置12は、ヒータ付熱電対4a、4b、4c、4dのセンサ部5a、5b、5c、5dに備えられた熱電対22からの信号を熱電対温度変換器9で温度信号45a、45b、45c、45dに変換して取込む(S3)。取り込まれた温度信号45a、45b、45c、45dは、減算器41a、41b、41cに入力されて、隣接するセンサ部5a、5b、5c、5dの間(2つのセンサ部の間)の温度差が出力される。減算器41a、41b、41cから出力された温度差は、比較器42a、42b、42cに入力され、設定器44で設定された基準となる温度差(例えば、5℃)と比較され、温度差が基準温度差よりも大きいときに1が、基準温度差よりも小さいときに0が出力される。
【0034】
これらの出力結果は演算器43に入力され、基準温度差を超える温度差をもつ隣接するセンサ部の中間(2つのセンサ部の間)の高さを液面と判定し(S4)、この値をメモリ37に保存する(S5)と共に、液位信号60を出力する。出力された液位信号60に基づき表示装置16が液位の表示を更新する(S6)。
【0035】
図7に、第1の液位計測装置12による液面の判定例を示す。
【0036】
該図に示す例では、4つのセンサ部5a、5b、5c、5dから出力された温度信号45a、45b、45c、45dのうち、温度信号45bと45cの間で温度差が基準値となる5℃を超えており、センサ部5bとセンサ部5cの中間の高さが液面として判定されていることが分かる。第1の液位計測装置12が選択されている期間は、停止ボタン33が押されるまで上述の処理を一定周期で繰り返す。
【0037】
一方、第2の液位計測装置13による計測が選択されている場合、第2の液位計測装置13は、最初に計測タイマ14からのタイミング信号を待つ(S9)。タイミング信号を受信後に、演算器59の初期化装置101は前回液面の直下センサを選択するが、最初の計測では前回値が無いため、初期値として最下のセンサ部5dを選択する。
【0038】
そして、第2の液位計測装置13からのセンサ選択信号110(
図5参照)によりヒータ切換装置10をヒータ付熱電対4dに接続し、ヒータ通電信号111(
図5参照)によりヒータ電源11を所定の時間ONする。
【0039】
これにより、センサ部5dのヒータ23に予め設定した電流が印加され、センサ部5dが加熱されて熱電対22の温度が上昇する。所定の時間が経過するとヒータ通電信号111によりヒータ電源11はOFFとなり、加熱が停止する。第2の液位計測装置13の気液判定装置102は、熱電対22からの信号が熱電対温度変換器9で変換された温度信号51dを、通電開始時に発生させた通電開始パルス52d及び通電完了時に発生させた通電完了パルス54dに同期したタイミングでラッチ回路53d及び55dにより取込む。取り込んだ通電開始時の温度と通電完了時の温度は減算器56dに入力され、両者の差として温度上昇量が出力される。この温度上昇量は比較器58dに入力され、設定器57により予め設定された温度上昇量の判定しきい値と比較される。
【0040】
そして、温度上昇量が判定しきい値よりも大きい場合、気中と判定して1を出力する。また、温度上昇量が判定しきい値以下の場合、液面下と判定して0を出力する(S10)。
【0041】
図8(a)、
図8(b)に、気液判定装置102の判定例を示す。
【0042】
図8(a)、
図8(b)に示す例では、液面下にセンサ部がある場合(
図8(a))には、温度上昇が約9℃となり、約40℃に設定された判定しきい値を超えない。一方、液面上(気中)にセンサ部がある場合(
図8(b))には、温度上昇が約89℃となり、約40℃に設定された判定しきい値を超える。このように適切に判定しきい値を設定することにより、センサ部が液面下にあるのか気中にあるのかを判定できる。
【0043】
センサ部5dの判定結果が液面下の場合(S11)、演算器59の順序決定部103は、最初に選択したセンサ部5dの直上から上に向かってセンサ部の通電順序を設定する。即ち、センサ部5c、センサ部5b、センサ部5aの順に選択される。
【0044】
そして、センサ部5dの気液判定を実施した場合と同じ手順により、選択されたセンサ部に順次通電し、気液判定を実施する(S12)。選択されたセンサ部が液面上、即ち、気中と判定されたら、以降のセンサ部への通電は中止し、液面判定に進む(S13)。液面判定部104は、液面下と判定されたセンサ部と気中と判定されたセンサ部の中間の高さに液面があると判定し(S14)、液面をメモリ37に保存して(S15)液位信号60を出力する。出力された液位信号60に基づき表示装置16が液位の表示を更新する(S16)。
【0045】
一方、センサ部5dが気中の場合、直下から下に向かってセンサ部の通電順序を設定するが、センサ部5dは最下のセンサ部であるため、順序決定部103は選択センサ部無しとして、液面判定に進む(S18)。この場合は、液面判定部104で液面なしと判定される(S14)。
【0046】
図9に、第2の液位計測装置13が選択された場合の通電タイミングの一例を示す。
【0047】
該図に示す例では、最初にセンサ部5dが選択されヒータ23に通電される。このとき、液面2は、センサ部5bとセンサ部5cの間にあるので、センサ部5dは液面下と判定される。そこで、直上のセンサ部5cが次のセンサ部として選択される。センサ部5cは液面下と判定されるので、その上にあるセンサ部5bが選択される。センサ部5bは液面上にあるため、センサ部5bは気中と判断され、これより後のセンサ部5aへの通電は中止されて、液面2がセンサ部5bとセンサ部5cの中間と判定される。
【0048】
二回目の計測は、計測タイマ14により所定の周期が経過した後に発生されるタイミング信号が受信して開始される。二回目の計測では、初期化装置101により前回液面の直下であるセンサ部5cが選択される。二回目の計測では液面2が変化していないので、センサ部5cは液面下であると判定される。
【0049】
そして、順序決定部103により次のセンサ部は直上から上方向へセンサ部5b、センサ部5aの順に選択される。センサ部5bは気中と判定されるため、この後のセンサ部5aへの通電は中止されて液面判定に進み、液面2はセンサ部5bとセンサ部5cの中間と判定される。
【0050】
三回目の計測では、液面2がセンサ部5cとセンサ部5dの間に低下している。最初にセンサ部5cが初期化装置101により選択され、気中と判定される。これを受けて、順序決定部103は、直下のセンサ部5dから下方向にセンサ部を選択する。ただし、このケースでは、センサ部5dよりも下にセンサ部がないため、センサ部5dのみが選択される。
【0051】
そして、センサ部5dは液面下と判定されるため、この段階で液面判定に進んで液面2は、センサ部5cとセンサ部5dの中間と判定される。四回目の計測では、初期化装置101により前回液面の直下であるセンサ部5aが最初に選択されている。
【0052】
このような液面測定の過程において、例えば、容器1を設置している環境の温度が上昇して液中の温度と差が小さくなった場合、操作員が第1の液位計測装置12を用いた温度のみによる計測が十分機能していないと判断して、第2の液位計測装置13の選択ボタン35を押下することにより、第2の液位計測装置13のヒータ23による加熱を使用して液面を判定する計測に切り換えて計測の信頼性を維持することができる。
【0053】
また、例えば、バッテリー17の電力残量が残り少なくなり、第2の液位計測装置13でヒータ23による加熱による液位計測の継続が難しくなった場合、第1の液位計測装置12の選択ボタン34を押下することにより、第1の液位計測装置12を用いた温度のみによる計測に切り換えることができる。これにより、バッテリー17の電力残量が少なくなった場合にも計測を継続することが可能となる。
【0054】
このように、本実施例を用いれば、操作員により適切に計測方式を切り換えることが可能となり、監視性を低下することなくバッテリー17の容量を小さくすることができ、バッテリーコストの削減と軽量化及び小型化を図ることができる。また、万一、バッテリー17の蓄電電力残量が少なくなった場合にも、一定の環境条件化において動作を継続することが可能となる。
【0055】
従って、本実施例の構成とすることにより、ヒータ付熱電対を用いた液位計を使用するものであっても、過酷な環境で液位を計測でき、かつ、監視性を低下させることなくバッテリーによる動作継続時間を伸長することが可能となる。
【実施例3】
【0063】
図12に、本発明の熱電対式液位計測システムの実施例3を示す。
【0064】
本実施例の熱電対式液位計測システムは、
図1の実施例1の場合と比べて、計測制御装置15に自動切換装置20が追加されると共に、バッテリー17に電力の残量を検出する電力残量センサ61が追加されている点が異なる。
【0065】
また、
図13は、本実施例の熱電対式液位計測システムに採用される第1の液位計測装置12の構成例を示す。
【0066】
本実施例の熱電対式液位計測システムに採用される第1の液位計測装置12は、
図4に示した実施例1の熱電対式液位計測システムに採用される第1の液位計測装置12に比較して、演算器43内に液位判定の可否を判定して結果信号を出力する可否判定装置48を追加している点が異なる。
【0067】
そして、この可否判定装置48での結果信号を受信して液位判定が不可である場合に、自動切換装置20により第2の液位計測装置13による液位計測に自動的に切り換え、また、バッテリー17の電力残量センサ61によるバッテリー17の電力残量が所定の電力残量以下となった場合には、自動切換装置20により第2の液位計測装置13による計測から第1の液位計測装置12による計測に切り換えるものである。
【0068】
図14のフローチャートに示すように、本実施例に採用される第1の液位計測装置12による計測が選択されている場合に、減算器42a、42b、42cによる温度差がいずれも設定器44の基準値に達していないと、可否判定装置48が計測制御装置15に対して判定不可信号63を送信する。判定不可信号63を受信した計測制御装置15は、自動切換装置20により、自動的に計測制御装置15の選択を第2の液位計測装置13に切り換える処理(SS1)を、S4とS5の間に追加している。
【0069】
これにより、操作員が常時監視して選択を切り換えできない場合にも、第1の液位計測装置12による監視が不十分な場合に、第2の液位計測装置13のヒータ23による加熱を使用した液面判定に切り換り、信頼性の高い計測を継続できる。
【0070】
また、
図15のフローチャートに示すように、第2の液位計測装置13による計測が選択されている場合に、バッテリー17の電力残量センサ61からの電力残量信号が所定値よりも小さくなった場合に、自動切換装置20は自動的に計測制御装置15の選択を第1の液位計測装置12に切り換える処理(SS2)を、S2とS9の間に追加している。
【0071】
これにより、実施例1と同様な効果が得られることは勿論、操作員が常時監視して選択を切り換えできない場合にも、バッテリー17の電力残量が少なくなった場合に計測を継続することができる。