(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の蹴込板収容溝の前壁を鉛直方向に形成するとともに、該前壁と対向する後壁を、該後壁に沿って前記蹴込板を配置した際に該蹴込板の上端部が前記第1の踏板収容溝内に突出しないように、上方に進むにつれて該前壁から離れる方向に傾斜させておき、
前記第1の蹴込板収容溝内に収容した前記蹴込板を前記後壁に沿わせた状態とし、前記第1の踏板収容溝に挿入した前記踏板の前端を、前記蹴込板の直上を通過させ、その後に前記踏板と前記蹴込板とを連結させることを特徴とする請求項1に記載の階段の施工方法。
前記第1の蹴込板収容溝の前壁が鉛直方向に形成されるとともに、該前壁と対向する後壁が、該後壁に沿って前記蹴込板を配置した際に該蹴込板の上端部が前記第1の踏板収容溝内に突出しないように、上方に進むにつれて該前壁から離れる方向に傾斜していることを特徴とする請求項3に記載の階段構成部材。
前記第1の蹴込板収容溝の前壁が鉛直方向に形成されるとともに、該前壁と対向する後壁が、該後壁に沿って前記蹴込板を配置した際に該蹴込板の上端部が前記第1の踏板収容溝内に突出しないように、上方に進むにつれて該前壁から離れる方向に傾斜していることを特徴とする請求項5に記載の階段。
【背景技術】
【0002】
戸建住宅等に設置される屋内階段では、踏板及び蹴込板をその側方において支持する側板が、互いに平行に配置され、これら一対の側板の間に、複数の踏板および蹴込板が組み付けられている。このような階段においては、側板の対向面となる内側面に、水平方向に延びて階段の後方に向けて開放する踏板収容溝および鉛直方向に延びて下方に向けて開放する蹴込板収容溝が形成されている。建築現場において、かかる階段を施工する際には、側板の踏板収容溝に、階段の後方から踏板の端部を前方に向けて挿入するとともに、側板の蹴込板収容溝に、階段の下方から蹴込板の端部を上方に向けて挿入し、踏板および蹴込板を側板に組み付けていた。
【0003】
しかしながら、最下段(下から1番目)の蹴込板を側板に組み付ける際には、蹴込板収容溝の下端側開放部が床面によって塞がれてしまうため、上記のような簡便な方法を用いて蹴込板の端部を蹴込板収容溝に挿入することができず、例えば、一対の側板の下端部を、一旦、床面から持ち上げ、この状態で蹴込板を下方から蹴込板収容溝に挿入するなど、面倒な作業が行われていた。
【0004】
このような問題に対し、下記特許文献1では、側板内側面における蹴込板取付溝(蹴込板収容溝)の後方に、前側が蹴込板取付溝に連通し、かつ後側が後方に向けて開放する作業溝を形成し、階段裏側における後方から、蹴込板の端部を上記作業溝を介して蹴込板取付溝にまで導くことで、蹴込板の端部を蹴込板取付溝内に収容配置するようになした点が開示されている。
この特許文献1に記載のものは、側板を持ち上げなくとも、最下段の蹴込板の端部を蹴込板取付溝内に収容可能とするものであるが、蹴込板を作業溝に挿入する際の作業領域が階段裏側の床面近傍に限定されてしまうことや、また蹴込板の挿入に先立って予め直上に踏板を配置しなければならず蹴込板が視認し難いなど、蹴込板を組み付ける作業については未だ改善の余地があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上のような事情を背景とし、最下段(下から1段目)に位置する蹴込板のように、収容される溝の下端側が、床面等によって塞がれてしまう場合でも、かかる蹴込板を一対の側板の間に容易に組み付けることが可能な階段、階段構成部材および階段の施工方法を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
而して請求項1は、一対の側板の間に、踏板および該踏板と連結された蹴込板が組み付けられた階段の施工方法であって、
前記一対の側板のそれぞれの内側面に、水平方向に延びて後方に向けて開放し、前記踏板の端部を収容する第1の踏板収容溝と、
上端を該第1の踏板収容溝に連通させ、前記蹴込板の端部を収容する第1の蹴込板収容溝と、を形成するとともに、
少なくとも何れか一方の側板に、これら第1の蹴込板収容溝および第1の踏板収容溝に跨って、該第1の蹴込板収容溝の底面よりも掘り下げられ、前記蹴込板の端部を該底面よりも深い位置まで差込み可能とする開口部を形成しておき、
互いに平行に配置した前記一対の側板の間に、前記蹴込板を組み付けるに際し、
該蹴込板の一端部を前記開口部に差込んだ状態で、該一端部を中心に該蹴込板を回動させて、該蹴込板の他端部を、前記第1の蹴込板収容溝を臨む位置まで移動させ、その後、前記蹴込板の一端部を前記開口部から抜き出すことで、前記蹴込板の両端部をそれぞれ前記第1の蹴込板収容溝内に収容することを特徴とする。
【0008】
蹴込板の端部を、側板の内側面に形成された蹴込板収容溝内に収容配置する場合、対向する側板の内側面間の距離に対し、蹴込板の長さが所定の掛かり代分だけ長くなるため、通常であれば階段の前側から蹴込板を収容溝内に嵌込むことは困難であるが、本発明では、蹴込板の一端部を、一方の側板の第1の蹴込板収容溝に形成された開口部に差込むことで、蹴込板の他端部を側板の内側面よりも更に内側に位置移動させることができるため、側板の内側面との干渉を回避しながら蹴込板の他端部を第1の蹴込板収容溝を臨む位置まで移動させ、蹴込板の両端部をそれぞれ第1の蹴込板収容溝内に収容することができる。
即ち本発明の施工方法によれば、最下段(下から1段目)に位置する蹴込板のように、収容される溝の下端側が床面等によって塞がれている場合でも、作業領域が階段裏側の床面近傍等に限定されることなく階段の前側から(また場合によっては階段の裏側から)最下段等の蹴込板を一対の側板の間に容易に組み付けることができる。
【0009】
請求項2は、請求項1において、前記第1の蹴込板収容溝の前壁を鉛直方向に形成するとともに、該前壁と対向する後壁を、該後壁に沿って前記蹴込板を配置した際に該蹴込板の上端部が前記第1の踏板収容溝内に突出しないように、上方に進むにつれて該前壁から離れる方向に傾斜させておき、
前記第1の蹴込板収容溝内に収容した前記蹴込板を前記後壁に沿わせた状態とし、前記第1の踏板収容溝に挿入した前記踏板の前端を、前記蹴込板の直上を通過させ、その後に前記踏板と前記蹴込板とを連結させることを特徴とする。
【0010】
このように直上の踏板に先立って、先ず蹴込板を収容溝内に収容するようにすれば、蹴込板の組み付け作業性を向上させることができる。また、最初に収容溝内に収容した蹴込板と、後から収容溝内に収容するその直上の踏板との干渉も良好に防止することができる。
【0011】
請求項3は階段構成部材に関するもので、内側面に、水平方向に延びて後方に向けて開放し、踏板の端部を収容する第1の踏板収容溝と、
上端を該第1の踏板収容溝に連通させ、蹴込板の端部を収容する第1の蹴込板収容溝と、が形成された一対の側板を具備する階段構成部材であって、
少なくとも何れか一方の側板に、これら第1の蹴込板収容溝および第1の踏板収容溝に跨って、該第1の蹴込板収容溝の底面よりも掘り下げられ、前記蹴込板の端部を該底面よりも深い位置まで差込み可能とする開口部が形成されていることを特徴とする。
【0012】
このような階段構成部材を用いれば、上記請求項1の施工方法により、作業領域が階段裏側の床面近傍等に限定されることなく階段の前側から、最下段等の蹴込板を一対の側板の間に容易に組み付けることができる。
【0013】
請求項4は、請求項3において、前記第1の蹴込板収容溝の前壁が鉛直方向に形成されるとともに、該前壁と対向する後壁が、該後壁に沿って前記蹴込板を配置した際に該蹴込板の上端部が前記第1の踏板収容溝内に突出しないように、上方に進むにつれて該前壁から離れる方向に傾斜していることを特徴とする。
このような階段構成部材を用いれば、上記請求項2の施工方法により、直上の踏板に先立って、最初に蹴込板を収容溝内に収容することで、蹴込板の組み付け作業性を向上させることができる。
【0014】
請求項5は、一対の側板の間に、踏板および該踏板と連結された蹴込板が組み付けられた階段であって、
前記一対の側板のそれぞれの内側面に、水平方向に延びて後方に向けて開放し、前記踏板の端部を収容する第1の踏板収容溝と、
上端を該第1の踏板収容溝に連通させ、前記蹴込板の端部を収容する第1の蹴込板収容溝と、が形成され、
少なくとも何れか一方の側板に、これら第1の蹴込板収容溝および第1の踏板収容溝に跨って、該第1の蹴込板収容溝の底面よりも掘り下げられ、前記蹴込板の端部を該底面よりも深い位置まで差込み可能とする開口部が形成されていることを特徴とする。
【0015】
このような階段であれば、上記請求項1の施工方法により、作業領域が階段裏側の床面近傍等に限定されることなく階段の前側から、最下段等の蹴込板を一対の側板の間に容易に組み付けることができる。
【0016】
請求項6は、請求項5において、前記第1の蹴込板収容溝の前壁が鉛直方向に形成されるとともに、該前壁と対向する後壁が、該後壁に沿って該蹴込板を配置した際に該蹴込板の上端が前記第1の踏板収容溝内に突出しないように、上方に進むにつれて該前壁から離れる方向に傾斜していることを特徴とする。
【0017】
このような階段であれば、上記請求項2の施工方法により、直上の踏板に先立って、最初に蹴込板を収容溝内に収容することで、蹴込板の組み付け作業性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて以下に詳しく説明する。
図1において、10は、木製の箱型階段(以下、単に「階段」と称する)で、互いに平行に配置された左右一対の側板12,12と、一対の側板12,12間に設けられた複数の踏板14および蹴込板16を備えている。
【0020】
各側板12は、
図1,2に示すように、下階の床面F上に載置される床設置面23および床設置面23から鉛直方向に立ち上がる前方鉛直面24を備えた下端部20と、上階側構成部材18と連結される上端部22と、を有している。下端部20から上端部22へと到る側板12の内側面26および外側面28は平坦な面で構成され、その間の板厚は略一定とされている。各側板12は、外側面28と接する壁等の構造物19に、図示を省略する釘等の固定具により固定されている。
【0021】
踏板14は、
図3に示すように、四角板形状をなし、側板12,12間にて略水平方向に配置され、その上面30が踏面とされている。踏板14の下面32側には、前端34近傍にて長手方向(左右方向)に延びる嵌合溝36が形成されている。
【0022】
蹴込板16は、
図3に示すように、踏板14よりも薄い厚みで、四角板形状をなしている。蹴込板16の上端部40を、踏板14の下面32に形成された嵌合溝36に嵌入させることで、踏板14と蹴込板16とは直角状に連結可能とされている。蹴込板16は、
図1,2に示すように、踏板14とともに側板12に組み付けられた状態で、各踏板14の下方に位置し、階段10の裏面側を隠蔽する。
【0023】
本例では、踏板14の左右方向の幅寸法W
1と、蹴込板16の左右方向の幅寸法W
2とが同じ幅寸法とされており、踏板14と蹴込板16とを連結させた状態で、踏板14の左右方向の端面38と、蹴込板16の左右方向の端面42とが面一となるよう構成されている。
【0024】
図4(A)は、側板12の内側面26に形成された溝の形状を示した図である。一対の側板12,12を平行に配置した際、対向面となるそれぞれの内側面26には、踏板14および蹴込板16のそれぞれの端部を収容する踏板収容溝44および蹴込板収容溝52が鏡面対称に形成されている。本例では下から1段目に位置する踏板14に対応する踏板収容溝を第1の踏板収容溝44A、それ以外の、下から2段目以上に位置する踏板14に対応する踏板収容溝を第2の踏板収容溝44Bとし、また下から1段目に位置する蹴込板16に対応する蹴込板収容溝を第1の蹴込板収容溝52A、それ以外の、下から2段目以上に位置する蹴込板16に対応する蹴込板収容溝を第2の蹴込板収容溝52Bとする。
【0025】
第1の踏板収容溝44Aは、上壁45、下壁46、前壁47および階段10の裏側において、後方に開放する後側開放縁部48を有し、これらで囲まれた領域において内側面26に対し所定深さの底面49が形成されている。第1の踏板収容溝44Aは、側板12が床面に設置された状態で、略水平方向に延びており、踏板14の端部を後側開放縁部48から前方に向けて挿入し得るよう構成されている。
【0026】
なお、第1の踏板収容溝44Aの下壁46は、後方に進むにつれて斜め下向きに傾斜しており、
図2に示すように、この第1の踏板収容溝44A内に挿入された踏板14の下面32と下壁46との間に楔材65が押し込まれることにより、第1の踏板収容溝44A内に収容された踏板14の上面30が上壁45に押し付けられて踏板14が固定される。尚、場合によっては第1の踏板収容溝44Aを、踏板14の厚さt
1(
図3参照)と同じ寸法幅の平行溝に形成して、楔材65を省略することも可能である。
【0027】
図5(A)は、下から1段目に位置する踏板14を、第1の踏板収容溝44A内に収容した状態を示した図である。同図に示すように、挿入された踏板14の左右方向の移動は、踏板14の端面38と対向する第1の踏板収容溝44Aの底面49により規制されている。また、踏板14の前方への移動は、第1の踏板収容溝44Aの前壁47により規制され、踏板14と第1の踏板収容溝44Aの前壁47との間で掛かり代S
1が設定される。
【0028】
第1の蹴込板収容溝52Aは、
図4(A)に示すように、鉛直方向に延びる前壁53、前壁53と対向する後壁54、直上の第1の踏板収容溝44Aと連通する上側連通縁部55、下方に開放する下側開放縁部56を有し、これらで囲まれた領域において内側面26に対し所定深さの底面57が形成されている。本例では底面57は、連通する第1の踏板収容溝44Aの底面49と同じ深さとされている。
【0029】
前壁53と対向する後壁54は、鉛直方向の仮想線よりも角度αだけ斜め後方に、即ち上方に進むにつれて前壁53から離れる方向に傾斜している。その傾きαは、後壁54の下端から上端に到る長さL
1が蹴込板16の高さh
2(
図3参照)よりも長くなるよう設定されている。その結果、前壁53と後壁54とで規定される第1の蹴込板収容溝52Aの溝幅は、下側開放縁部56の溝幅W
3にて蹴込板16の板厚t
2(
図3参照)よりも僅かに大きく設定され、他方、上側連通縁部55の溝幅W
4は、溝幅W
3より大とされている。
【0030】
尚、後壁54は、後壁54に沿って蹴込板16を配置した際に蹴込板16の上端部40が第1の踏板収容溝44A内に突出しないような傾きで形成すれば良い。本例の後壁54は、一定の傾きで上端まで直線的に延びているが、上端に向かう途中の位置でその傾きを変更させたり、また傾斜角度を漸次変更させた湾曲形状とすることも可能である。
【0031】
図5(B)は、下から1段目に位置する蹴込板16を第1の蹴込板収容溝52A内に収容した状態を示した図である。前壁53に近接する所定の位置に配置された蹴込板16の左右方向の移動は、蹴込板16の左右方向の端面42と対向する第1の蹴込板収容溝52Aの底面57により規制されている。また、蹴込板16の前方への移動は、第1の蹴込板収容溝52Aの前壁53により規制され、蹴込板16と蹴込板収容溝52Aの前壁53との間で掛かり代S
2が設定される。本例では蹴込板16の掛かり代S
2は、踏板14の掛かり代S
1と同じ寸法で設定されている。
【0032】
また
図4(A)に示すように、本例では、第1の蹴込板収容溝52Aおよび第1の踏板収容溝44Aに跨って開口部60が形成されている。開口部60は正面視で略細長四角形状をなしており、開口部60の長手方向の幅は蹴込板16の高さh
2よりも大きく、また開口部60の短手方向の幅は蹴込板16の板厚t
2よりも大きく設定されており、蹴込板16の一端部を差込み可能な開口形状とされている。開口部60は、後壁54と同様に上方に向かうにつれて斜め後方に傾けられて、後壁54と近接した位置に形成されている。
【0033】
図5に示すように本例では、開口部60を一方の側板12Aにのみ形成しているが、これに代えて他方の側板12Bにのみ形成することも可能であるし、また12Aおよび12B両方の側板に開口部60を形成することも可能である。また、本例の開口部60は、側板12Aの板厚方向に貫通する貫通孔として形成されているが、場合によっては有底の凹孔として形成することも可能である。
【0034】
次に、下から2段目以上に位置する踏板14に対応する第2の踏板収容溝44Bは、
図4(A)に示すように上壁45、下壁46、前壁47および階段10の裏面側において、後方に開放する後側開放縁部48を有し、これらで囲まれた領域において内側面26に対し所定深さの底面49が形成されている。第2の踏板収容溝44Bは、略水平方向に延びており、踏板14の端部を後側開放縁部48から前方に向けて挿入し得るよう構成されている。即ち、第2の踏板収容溝44Bは、第1の踏板収容溝44Aと同様の溝形状を有している。なお、
図6(A)にて、踏板14を第2の踏板収容溝44B内に収容した状態を示している。
【0035】
また、下から2段目以上に位置する蹴込板16に対応する第2の蹴込板収容溝52Bは、
図4(A)に示すように、ともに鉛直方向に延びる前壁53、後壁54、直上の第2の踏板収容溝44Bと連通する上側連通縁部55、下方に開放された下側開放縁部56を有し、これらで囲まれた領域において内側面26に対し所定深さの底面57が形成されている。この第2の蹴込板収容溝52Bは、第1の蹴込板収容溝52Aとは異なり、平行溝として形成され、前壁53と後壁54とで規定されるその溝幅W
5は、蹴込板16が挿入可能なように蹴込板16の板厚t
2よりも僅かに大きく設定されている。なお、
図6(B)にて、蹴込板16を第2の蹴込板収容溝52B内に収容した状態を示している。
【0036】
次に階段10の施工方法について説明する。
(a)階段構成部材である一対の側板12,12、複数の踏板14および蹴込板16を準備する。なお、各階段構成部材は、現地での組み付け作業性の向上を図るため、現場搬入前に予め工場にて所定形状に加工されたものを用いることが好ましいが、場合によっては現場搬入後に加工することも可能である。
(b)次に、一対の側板12,12を互いに平行な状態となるように床面F上に載置し、壁等の構造物に固定する。
【0037】
(c)次に、最下段(下から1段目)の踏板14および蹴込板16を取り付ける。
図7(A)に示すように、階段の前側から蹴込板16の一端部61を、開口部60が形成されている図中左側の側板12Aの第1の蹴込板収容溝52A内に挿入した後、更に
図7(B)に示すように一端部61を開口部60に差込む。詳しくは、蹴込板16の他端部62が側板12Bの内側面26よりも内側となる深さまで、蹴込板16の一端部61を開口部60に差込む。その後、
図7(B)に示すように、一端部61を中心にして蹴込板16を回動させて、2点鎖線で示すように他端部62を、図中右側の側板12Bの第1の蹴込板収容溝52Aを臨む位置まで移動させる(
図7(C)参照)。その後、
図8に示すように、一端部61を開口部60から抜き出すことで、蹴込板16の両端部61,62がそれぞれ第1の蹴込板収容溝52A内に収容される。そして、第1の蹴込板収容溝52A内に両端部が収容された蹴込板16は、
図9に示すように、後壁54に沿わせた状態で保持しておく。このとき本例では、後壁54の下端から上端に到る長さL
1が蹴込板16の高さh
2よりも長いため、蹴込板16の上端部40の、第1の踏板収容溝44A内への突出が防止されている。
【0038】
次に、
図10(A)に示すように、第1の踏板収容溝44Aの後方側から踏板14を挿入する。続いて、
図10(B)に示すように、踏板14の前端34を、蹴込板16の直上を通過させ、その後、蹴込板16の上端部40を、踏板14の嵌合溝36に嵌入させ、踏板14と蹴込板16とを連結させる。更に、
図11(A)に示すように、踏板14と蹴込板16との連結状態を維持したまま、踏板14を前方に移動させて、踏板14の前端34が第1の踏板収容溝44Aの前壁47に当接する所定の位置にまで移動させる。このとき蹴込板16は、下端部41を中心に前方に回動して、第1の蹴込板収容溝52Aの前壁53に当接もしくは近接する所定の位置に配置される(
図11(B)参照)。そして踏板14および蹴込板16が所定の位置にある状態で、踏板14と下壁46との間に楔材65を挿入して踏板14を固定する。なお、楔材65は抜けないように、釘等固定具(図示省略)で側板12に固定する。これによって最下段(下から1段目)の踏板14および蹴込板16は強固に固定される。
【0039】
(d)次に、下から2段目の踏板14および蹴込板16を取り付ける。
図12(A)に示すように、側板12に形成された第2の踏板収容溝44Bの後方から踏板14を挿入し、前壁47に当接する所定の位置にまで移動させる。続いて第2の踏板収容溝44Bの後方から、踏板14と第2の踏板収容溝44Bの下壁46との間に楔材65を挿入し(
図12(B)参照)、踏板14を固定する。次に、
図12(C)に示すように、側板12に形成された第2の蹴込板収容溝52Bに合わせるように、階段裏側の下方から蹴込板16を挿入する。そして、蹴込板16の上端部40を、直上の踏板14の嵌合溝36に嵌入させるとともに、下方の踏板14の後端面に接するように立設し、蹴込板16の下端部41と下方に位置する踏板14とを階段裏側から釘67で固定する。
【0040】
(e)下から3段目以上の踏板14および蹴込板16については、上記(d)と同様の手順で組み付けることができる。
【0041】
以上のような本実施形態の階段10によれば、一対の側板12,12を床面Fに載置させたままの状態で、側板12,12を持ち上げることなく最下段の蹴込板16を階段の前側から第1の蹴込板収容溝52A内に収容することができる。最下段の蹴込板16を第1の蹴込板収容溝52A内に収容する際の作業領域は、階段裏側の床面近傍に限定されることなく、階段の前側から最下段の蹴込板16を一対の側板12,12の間に組み付けることができる。尚、上記施工方法では、階段の前側から最下段の蹴込板16を一対の側板12,12の間に組み付けているが、場合によっては階段の後側(裏側)から最下段の蹴込板16を一対の側板12,12の間に組み付けることも可能である。
【0042】
また本実施形態の階段10は、第1の蹴込板収容溝52Aの、前壁53と対向する後壁54を、上方に進むにつれて前壁53から離れる方向に傾斜させ、後壁54に沿って蹴込板16を配置した際に、蹴込板16の上端部が第1の踏板収容溝44A内に突出しないように構成されている。このため階段10においては、直上の踏板14に先立って、最初に最下段の蹴込板16を収容溝52A内に収容することで、最下段の蹴込板16の組み付け作業性を向上させることができる。また、最初に収容溝52A内に収容した最下段の蹴込板16の上端部40と、後から収容溝44A内に収容するその直上の踏板14との干渉も良好に防止することができる。
【0043】
以上、本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまでも一例示である。上記実施形態の階段は直階段を構成するものであったが、本発明は途中の方向が転換される回り階段や折返し階段に適用することも可能である。また上記実施形態では、第1の蹴込板収容溝52Aを最下段に適用した例であったが、例えば、上下階の中間位置に踊り場が設けられた構造の階段においては、上下階の中間位置にて、踊り場を構成する板材によって下端側が塞がれてしまう蹴込板収容溝に、第1の蹴込板収容溝52Aの構成を適用することも可能である等、その趣旨を逸脱しない範囲において様々変更を加えた形態で構成可能である。
【0044】
次に、本発明とは異なる参考例について説明する。本例は、上記実施形態とは異なり開口部を用いることなく、最下段の蹴込板16を第1の蹴込板収容溝52A内に収容可能としたものである。当該参考例において、上記実施形態の構成要素に相当するものについては同じ符号を付すとともに、その詳細な説明を省略する。
【0045】
図13は、本参考例の階段70に用いられる側板12の内側面26の溝形状を示した図である。第1の踏板収容溝44Aの下方に形成された第1の蹴込板収容溝52Aは、上記階段10の場合と同様に、鉛直方向に延びる前壁53、前壁53と対向する後壁54、直上の第1の踏板収容溝44Aと連通する上側連通縁部55、下方に開放された下側開放縁部56を有し、これらで囲まれた領域において内側面26に対し所定深さの底面57が形成されている。本例において、底面57は、連通する第1の踏板収容溝44Aの底面49と同じ深さとされている。
【0046】
前壁53と対向する後壁54は、鉛直方向の仮想線よりも角度αだけ斜め後方に、即ち上方に進むにつれて前壁53から離れる方向に傾斜している。更に本例では後壁54の上端に切欠部72が形成され、上側連通縁部55における溝幅W
4を拡げている。
上側連通縁部55における溝幅W
4は、第1の踏板収容溝44A内に挿入された蹴込板16が、上側連通縁部55を通じて第1の蹴込板収容溝52A内に移動可能な溝幅、換言すれば蹴込板16を略90°下向きに方向転換可能な溝幅に設定されている。尚、上側連通縁部55を通じて第1の蹴込板収容溝52A内への蹴込板16の移動が可能であれば切欠部72は廃止することも可能である。
【0047】
このように構成された階段70においては、
図14(A)に示すように、最下段の蹴込板16の端部を第1の踏板収容溝44Aの後側開放縁部48から、踏板収容溝44A内に挿入した後、第1の蹴込板収容溝52Aの上側連通縁部55近傍において、その先端が下向きになるように蹴込板16を方向転換させることで、蹴込板16の端部を第1の蹴込板収容溝52A内に収容することができる(
図14(B)参照)。以降は、上記階段10の場合と同様の手順で最下段の蹴込板16の組み付けを行うことができる。
【0048】
この階段70によれば、開口部を側板12に加工しない簡素な構成を用いながら、一対の側板12,12を床面Fに載置させたままの状態で、側板12,12を持ち上げることなく最下段の蹴込板16を第1の蹴込板収容溝52A内に収容することができる。
また、直上の踏板14に先立って最下段の蹴込板16を第1の蹴込板収容溝52A内に収容することができるため、最下段の蹴込板16の組み付け作業性を向上させることができる。