(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
移動通信システムにおいて再送信プロトコルのフィードバック情報を無線基地局に提供するユーザ機器であって、前記ユーザ機器に対して少なくとも2つのセルが設定されており、前記ユーザ機器に対して少なくとも1つのセルバンドリンググループが定義されて、前記少なくとも1つのセルバンドリンググループの1つが、前記少なくとも2つのセルのうちの少なくとも2つに関連付けられており、
前記ユーザ機器が前記無線基地局と通信して、前記少なくとも2つのセルの少なくとも1つを介してダウンリンク送信を受信し、前記ユーザ機器が、前記無線基地局と一緒に再送信プロトコルを動作させるように構成されており、前記少なくとも2つのセルを介しての前記ダウンリンク送信に対するフィードバック情報を前記無線基地局に提供するステップを含み、前記ユーザ機器が、
対応するセルバンドリンググループに関連付けられている少なくとも2つのセルに関連して生成された少なくとも2つのフィードバック情報をバンドルして、セルバンドリンググループごとに、バンドルされた1つのフィードバック情報を生成するように構成されているプロセッサと、
各セルバンドリンググループの前記バンドルされたフィードバック情報を前記無線基地局に送信するように構成されている送信機と、
を備え、
前記ユーザ機器が、前記少なくとも2つのセルのそれぞれを、複数の時分割複信(TDD)構成のうちの1つに従って動作させており、前記時分割複信(TDD)構成が、各無線フレームについて、前記無線フレームのサブフレームを、アップリンクサブフレーム、ダウンリンクサブフレーム、またはスペシャルサブフレームとして定義し、前記複数のTDD構成のそれぞれにおいて、所定のフィードバックタイミング情報が、各アップリンクサブフレームについて、以前の(1つまたは複数の)ダウンリンクサブフレームのフィードバック情報がそれぞれのアップリンクサブフレームにおいて送信されるか、および以前のどの(1つまたは複数の)ダウンリンクサブフレームに対して送信されるか、を定義し、
アップリンクサブフレームごとに、かつセルバンドリンググループごとに、かつフィードバック情報項目の順序ごとに、同じ連続する順序におけるバンドルされたフィードバック情報項目を生成する目的で、
前記プロセッサが、前記バンドルされたフィードバック情報が送信されるセルの各アップリンクサブフレームに対して、次のステップ、すなわち、
各セルにおいて、それぞれのアップリンクサブフレームの前記所定のフィードバックタイミング情報によって定義される前記以前の(1つまたは複数の)ダウンリンクサブフレームのそれぞれに対するフィードバック情報の項目、を生成するステップ、
を実行するように構成されており、
前記プロセッサが、セルバンドリンググループごとに前記フィードバック情報をバンドルする前記ステップを、以下によって、すなわち、
同じ順序の前記フィードバック情報項目がバンドルされるように、前記生成されたフィードバック情報項目を、それぞれの前記セルバンドリンググループに関連付けられているセルにまたがって、前記フィードバック情報項目の連続する順序においてバンドルすることによって、
実行するように構成されており、
前記送信機が、各セルバンドリンググループの、順序ごとにバンドルされたフィードバック情報を、前記アップリンクサブフレームにおいてアップリンク制御情報フォーマットで一緒に送信するように構成されており、
前記フィードバック情報項目の前記順序が、それぞれのアップリンクサブフレームの前記所定のフィードバックタイミング情報に基づく、
ユーザ機器。
前記少なくとも2つのセルが、少なくともプライマリセルを含み、前記送信機が、各セルバンドリンググループの前記バンドルされたフィードバック情報を前記プライマリセルを介して前記無線基地局に送信する、
または、
いくつかのセルを介してのアップリンク制御情報の送信をサポートするため、前記ユーザ機器に対して少なくとも2つのアップリンク制御セルグループが定義され、この定義が、
・ 前記少なくとも2つのアップリンク制御セルグループのそれぞれを、前記アップリンク制御情報を送信するために使用される異なるセルに関連付け、前記少なくとも2つのセルそれぞれを、前記少なくとも2つのアップリンク制御セルグループのうちの1つに関連付けて、それぞれの前記セルのアップリンク制御情報をアップリンク制御セルグループに関連付けることによるものであり、
したがって、各アップリンク制御情報に対して、前記プロセッサが、前記アップリンク制御情報が関連付けられているアップリンク制御セルグループに関連付けられている、それぞれの前記アップリンク制御情報を送信するためのセル、を求めるように構成されており、
前記少なくとも1つのセルバンドリンググループのそれぞれが、前記少なくとも2つのアップリンク制御セルグループの1つに関連付けられているように、前記少なくとも1つのセルバンドリンググループの1つに関連付けられているすべてのセルが、前記少なくとも2つのアップリンク制御セルグループの1つに関連付けられており、
前記送信機が、前記バンドルされたフィードバック情報を送信するときに、以下のステップ、すなわち、
・ 前記セルバンドリンググループが関連付けられているアップリンク制御セルグループに関連付けられているセル、を求めるステップと、
・ 前記バンドルされたフィードバック情報を、前記求めたセルを介して前記無線基地局に送信するステップと、
を実行するように構成されている、
請求項1から請求項3のいずれかに記載のユーザ機器。
移動通信システムにおいてユーザ機器によって再送信プロトコルのフィードバック情報を無線基地局に提供する方法であって、前記ユーザ機器に対して少なくとも2つのセルが設定されており、前記ユーザ機器に対して少なくとも1つのセルバンドリンググループが定義されて、前記少なくとも1つのセルバンドリンググループの1つが、前記少なくとも2つのセルのうちの少なくとも2つに関連付けられており、
前記ユーザ機器が、前記無線基地局と通信して、前記少なくとも2つのセルの少なくとも1つを介してダウンリンク送信を受信し、前記ユーザ機器が、前記無線基地局と一緒に再送信プロトコルを動作させるように構成されており、前記少なくとも2つのセルを介しての前記ダウンリンク送信に対するフィードバック情報を前記無線基地局に提供するステップを含み、前記方法が、前記ユーザ機器によって実行される以下のステップ、すなわち、
セルバンドリンググループごとに、対応するセルバンドリンググループに関連付けられている少なくとも2つのセルに関連して生成された少なくとも2つのフィードバック情報をバンドルして、セルバンドリンググループごとに、バンドルされた1つのフィードバック情報を生成するステップと、
各セルバンドリンググループの前記バンドルされたフィードバック情報を前記無線基地局に送信するステップと、
を含み、
前記ユーザ機器が、前記少なくとも2つのセルのそれぞれを、複数の時分割複信(TDD)構成のうちの1つに従って動作させており、前記時分割複信(TDD)構成が、各無線フレームについて、前記無線フレームのサブフレームを、アップリンクサブフレーム、ダウンリンクサブフレーム、またはスペシャルサブフレームとして定義し、前記複数のTDD構成のそれぞれにおいて、所定のフィードバックタイミング情報が、各アップリンクサブフレームについて、以前の(1つまたは複数の)ダウンリンクサブフレームのフィードバック情報がそれぞれのアップリンクサブフレームにおいて送信されるか、および以前のどの(1つまたは複数の)ダウンリンクサブフレームに対して送信されるか、を定義し、
前記方法が、前記バンドルされたフィードバック情報が送信されるセルの各アップリンクサブフレームに対して実行される以下のステップ、すなわち、
各セルにおいて、それぞれのアップリンクサブフレームの前記所定のフィードバックタイミング情報によって定義される前記以前の(1つまたは複数の)ダウンリンクサブフレームのそれぞれに対するフィードバック情報の項目、を生成するステップ、
を含み、
セルバンドリンググループごとに前記フィードバック情報をバンドルする前記ステップが、
アップリンクサブフレームごとに、かつセルバンドリンググループごとに、かつフィードバック情報項目の順序ごとに、同じ連続する順序におけるバンドルされたフィードバック情報項目を生成する目的で、
同じ順序の前記フィードバック情報項目がバンドルされるように、前記生成されたフィードバック情報項目を、それぞれの前記セルバンドリンググループに関連付けられているセルにまたがって、前記フィードバック情報項目の連続する順序においてバンドルするステップ、
を含み、
前記バンドルされたフィードバック情報を送信する前記ステップが、各セルバンドリンググループの、順序ごとにバンドルされたフィードバック情報を、前記アップリンクサブフレームにおいてアップリンク制御情報フォーマットで一緒に送信し、
前記フィードバック情報項目の前記順序が、それぞれのアップリンクサブフレームの前記所定のフィードバックタイミング情報に基づく、
方法。
前記少なくとも2つのセルが、少なくともプライマリセルを含み、各セルバンドリンググループの前記バンドルされたフィードバック情報を前記無線基地局に送信する前記ステップが、前記プライマリセルを介して実行される、
または、
いくつかのセルを介してのアップリンク制御情報の送信をサポートするため、前記ユーザ機器に対して少なくとも2つのアップリンク制御セルグループが定義され、この定義が、
・ 前記少なくとも2つのアップリンク制御セルグループのそれぞれを、前記アップリンク制御情報を送信するために使用される異なるセルに関連付け、前記少なくとも2つのセルそれぞれを、前記少なくとも2つのアップリンク制御セルグループのうちの1つに関連付けて、それぞれの前記セルのアップリンク制御情報をアップリンク制御セルグループに関連付けることによるものであり、
したがって、各アップリンク制御情報に対して、次のステップ、すなわち、前記アップリンク制御情報が関連付けられているアップリンク制御セルグループに関連付けられている、それぞれの前記アップリンク制御情報を送信するためのセル、を求めるステップ、が実行され、
前記少なくとも1つのセルバンドリンググループのそれぞれが、前記少なくとも2つのアップリンク制御セルグループの1つに関連付けられているように、前記少なくとも1つのセルバンドリンググループの1つに関連付けられているすべてのセルが、前記少なくとも2つのアップリンク制御セルグループの1つに関連付けられており、
前記バンドルされたフィードバック情報を送信する前記ステップが、
・ 前記セルバンドリンググループが関連付けられているアップリンク制御セルグループに関連付けられているセル、を求めるステップと、
・ 前記バンドルされたフィードバック情報を、前記求めたセルを介して前記無線基地局に送信するステップと、
を含む、
請求項5から請求項9のいずれかに記載の方法。
【背景技術】
【0002】
<ロングタームエボリューション(LTE)>
WCDMA(登録商標)無線アクセス技術をベースとする第3世代の移動通信システム(3G)は、世界中で広範な規模で配備されつつある。この技術を機能強化または発展・進化させるうえでの最初のステップとして、高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA)と、エンハンストアップリンク(高速アップリンクパケットアクセス(HSUPA)とも称する)とが導入され、これにより、極めて競争力の高い無線アクセス技術が提供されている。
【0003】
ユーザからのますます増大する需要に対応し、新しい無線アクセス技術に対する競争力を確保する目的で、3GPPは、ロングタームエボリューション(LTE)と称される新しい移動通信システムを導入した。LTEは、今後10年間にわたり、データおよびメディアの高速伝送ならびに大容量の音声サポートに要求されるキャリアを提供するように設計されている。高いビットレートを提供する能力は、LTEにおける重要な方策である。
【0004】
LTE(ロングタームエボリューション)に関する作業項目(WI)の仕様は、E−UTRA(Evolved UMTS Terrestrial Radio Access(UTRA):進化したUMTS地上無線アクセス)およびE−UTRAN(Evolved UMTS Terrestrial Radio Access Network(UTRAN):進化したUMTS地上無線アクセスネットワーク)と称され、最終的にリリース8(LTEリリース8)として公開される。LTEシステムは、パケットベースの効率的な無線アクセスおよび無線アクセスネットワークであり、IPベースの全機能を低遅延かつ低コストで提供する。LTEでは、与えられたスペクトルを用いてフレキシブルなシステム配備を達成するために、スケーラブルな複数の送信帯域幅(例えば、1.4MHz、3.0MHz、5.0MHz、10.0MHz、15.0MHz、および20.0MHz)が指定されている。ダウンリンクには、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)をベースとする無線アクセスが採用されている。なぜなら、かかる無線アクセスは、低いシンボルレートのため本質的にマルチパス干渉(MPI)を受けにくく、また、サイクリックプレフィックス(CP)を使用しており、さらに、さまざまな送信帯域幅の構成に対応可能だからである。アップリンクには、SC−FDMA(Single-Carrier Frequency Division Multiple Access:シングルキャリア周波数分割多元接続)をベースとする無線アクセスが採用されている。なぜなら、ユーザ機器(UE)の送信出力が限られていることを考えれば、ピークデータレートを向上させるよりも広いカバレッジエリアを提供することが優先されるからである。LTEリリース8/9では、数多くの主要なパケット無線アクセス技術(例えば、MIMO(多入力多出力)チャネル伝送技術)が採用され、高効率の制御シグナリング構造が達成されている。
【0005】
<LTEのアーキテクチャ>
LTEの全体的なアーキテクチャは、
図1に示してある。E−UTRANは、eNodeBから構成され、eNodeBは、UE向けの、E−UTRAのユーザプレーン(PDCP/RLC/MAC/PHY)および制御プレーン(RRC)のプロトコルを終端処理する。eNodeB(eNB)は、物理(PHY)レイヤ、媒体アクセス制御(MAC)レイヤ、無線リンク制御(RLC)レイヤ、およびパケットデータ制御プロトコル(PDCP)レイヤ(これらのレイヤはユーザプレーンのヘッダ圧縮および暗号化の機能を含む)をホストする。eNBは、制御プレーンに対応する無線リソース制御(RRC)機能も提供する。eNBは、無線リソース管理、アドミッション制御、スケジューリング、交渉によるアップリンクQoS(サービス品質)の実施、セル情報のブロードキャスト、ユーザプレーンデータおよび制御プレーンデータの暗号化/復号、ダウンリンク/アップリンクのユーザプレーンパケットヘッダの圧縮/復元など、多くの機能を実行する。複数のeNodeBは、X2インタフェースによって互いに接続されている。
【0006】
また、複数のeNodeBは、S1インタフェースによってEPC(Evolved Packet Core:進化したパケットコア)、より具体的には、S1−MMEによってMME(Mobility Management Entity:移動管理エンティティ)、S1−Uによってサービングゲートウェイ(SGW:Serving Gateway)に接続されている。S1インタフェースは、MME/サービングゲートウェイとeNodeBとの間の多対多関係をサポートする。SGWは、ユーザデータパケットをルーティングして転送する一方で、eNodeB間のハンドオーバー時におけるユーザプレーンのモビリティアンカーとして機能し、さらに、LTEと別の3GPP技術との間のモビリティのためのアンカー(S4インタフェースを終端させ、2G/3GシステムとPDN GWとの間でトラフィックを中継する)として機能する。SGWは、アイドル状態のユーザ機器に対しては、ダウンリンクデータ経路を終端させ、そのユーザ機器へのダウンリンクデータが到着したときにページングをトリガーする。SGWは、ユーザ機器のコンテキスト(例えばIPベアラサービスのパラメータ、ネットワーク内部ルーティング情報)を管理および格納する。さらに、SGWは、合法的傍受の場合にユーザトラフィックの複製を実行する。
【0007】
MMEは、LTEのアクセスネットワークの主要な制御ノードである。MMEは、アイドルモードのユーザ機器の追跡およびページング手順(再送信を含む)の役割を担う。MMEは、ベアラのアクティブ化/非アクティブ化プロセスに関与し、さらには、最初のアタッチ時と、コアネットワーク(CN)ノードの再配置を伴うLTE内ハンドオーバー時とに、ユーザ機器のSGWを選択する役割も担う。MMEは、(HSSと対話することによって)ユーザを認証する役割を担う。非アクセス層(NAS:Non-Access Stratum)シグナリングはMMEにおいて終端され、MMEは、一時的なIDを生成してユーザ機器に割り当てる役割も担う。MMEは、サービスプロバイダの公衆陸上移動網(PLMN:Public Land Mobile Network)に入るためのユーザ機器の認証をチェックし、ユーザ機器のローミング制約を実施する。MMEは、NASシグナリングの暗号化/完全性保護においてネットワーク内の終端点であり、セキュリティキーの管理を行う。シグナリングの合法的傍受も、MMEによってサポートされる。さらに、MMEは、LTEのアクセスネットワークと2G/3Gのアクセスネットワークとの間のモビリティのための制御プレーン機能を提供し、SGSNからのS3インタフェースを終端させる。さらに、MMEは、ローミングするユーザ機器のためのホームHSSに向かうS6aインタフェースを終端させる。
【0008】
<LTEにおけるコンポーネントキャリアの構造>
3GPP LTEシステムのダウンリンクコンポーネントキャリアは、いわゆるサブフレームにおける時間−周波数領域でさらに分割される。3GPP LTEで、各サブフレームは、
図2に示すように2つのダウンリンクスロットに分割され、そこにおいて、第1のダウンリンクスロットは、第1のOFDMシンボル内の制御チャネル領域(PDCCH領域)を備える。各サブフレームは、時間領域内の所与の数のOFDMシンボルで構成され(3GPP LTE(リリース8)では12個または14個のOFDMシンボル)、各OFDMシンボルはコンポーネントキャリアの帯域幅全体に広がる。したがってOFDMシンボルそれぞれは、それぞれのサブキャリアで送信される複数の変調シンボルから構成される。LTEでは、各スロットにおける送信信号は、N
DLRB×N
RBsc本のサブキャリアとN
DLsymb個のOFDMシンボルのリソースグリッドによって記述される。N
DLRBは、帯域幅の中のリソースブロックの数である。数N
DLRBは、セルにおいて設定されているダウンリンク送信帯域幅に依存し、N
min,DLRB≦N
DLRB≦N
max,DLRBを満たし、この場合、N
min,DLRB=6およびN
max,DLRB=110は、それぞれ、現在のバージョンの仕様によってサポートされている最小ダウンリンク帯域幅および最大ダウンリンク帯域幅である。N
RBscは、1個のリソースブロックの中のサブキャリアの数である。通常のサイクリックプレフィックスのサブフレーム構造の場合、N
RBsc=12、N
DLsymb=7である。
【0009】
例えば3GPPロングタームエボリューション(LTE)において使用されるような、例えばOFDMを使用する、マルチキャリア通信システムを想定すると、スケジューラによって割り当てることができるリソースの最小単位は、1つの「リソースブロック」である。物理リソースブロック(PRB)は、
図2に例示したように、時間領域における連続するOFDMシンボル(例えば7個のOFDMシンボル)および周波数領域における連続するサブキャリア(例えばコンポーネントキャリアの12本のサブキャリア)として定義される。したがって3GPP LTE(リリース8)では、物理リソースブロックはリソースエレメントから構成され、時間領域における1つのスロットおよび周波数領域における180kHzに対応する(ダウンリンクリソースグリッドに関するさらなる詳細は、例えば非特許文献1の6.2節(3GPPのウェブサイトで入手可能であり、参照により本明細書に組み込まれている)を参照)。
【0010】
1つのサブフレームは、2つのスロットで構成され、したがって、いわゆる「通常の」CP(サイクリックプレフィックス)が使用されるときにはサブフレーム内に14個のOFDMシンボルが存在し、いわゆる「拡張」CPが使用されるときにはサブフレーム内に12個のOFDMシンボルが存在する。専門用語を目的として、以下で、サブフレーム全体に広がる同じ連続するサブキャリアと同等の時間−周波数リソースは、「リソースブロックペア」または同意義の「RBペア」もしくは「PRBペア」と呼ばれる。
【0011】
「コンポーネントキャリア」という用語は、周波数領域におけるいくつかのリソースブロックの組合せを示す。LTEの将来のリリースでは、「コンポーネントキャリア」という用語はもはや使用されず、その代わりに、その専門用語はダウンリンクおよびオプションでアップリンクリソースの組合せを示す「セル」に変更される。ダウンリンクリソースのキャリア周波数とアップリンクリソースのキャリア周波数との間のリンク付けは、ダウンリンクリソースで送信されるシステム情報において指示される。
【0012】
コンポーネントキャリアの構造に関する同様の想定は、以降のリリースにも適用される。
【0013】
<より広い帯域幅のサポートのためのLTE−Aにおけるキャリアアグリゲーション>
世界無線通信会議2007(WRC−07)において、IMT−Advancedの周波数スペクトルが決定された。IMT−Advancedのための全体的な周波数スペクトルは決定されたが、実際に利用可能な周波数帯域幅は、地域や国によって異なる。しかしながら、利用可能な周波数スペクトルのアウトラインの決定に続いて、3GPP(第3世代パートナーシッププロジェクト)において無線インタフェースの標準化が開始された。3GPP TSG RAN #39会合において、「Further Advancements for E-UTRA (LTE-Advanced)」に関する検討項目の記述が承認された。この検討項目は、E−UTRAを進化・発展させるうえで(例えば、IMT−Advancedの要求条件を満たすために)考慮すべき技術要素をカバーしている。
【0014】
LTEアドバンストシステムがサポートすることができる帯域幅は100MHzであり、一方、LTEシステムは20MHzのみをサポートすることができる。今日、無線スペクトルの欠如がワイヤレスネットワークの開発のボトルネックになり、結果として、LTEアドバンストシステムのために十分広いスペクトル帯域を見つけることは困難である。したがって、より広い無線スペクトル帯域を獲得するための方法を見つけることは急務であり、ここにおいて、可能性のある答えは、キャリアアグリゲーション機能である。
【0015】
キャリアアグリゲーションでは、最大で100MHzのより広い送信帯域幅をサポートする目的で、2つ以上のコンポーネントキャリアがアグリゲートされる。LTE−Advancedシステムでは、LTEシステムにおけるいくつかのセルが、より広い1つのチャネルにアグリゲートされ、このチャネルは、たとえLTEにおけるこれらのセルが異なる周波数帯域にある場合でも100MHzに対して十分に広い。
【0016】
少なくとも、コンポーネントキャリアの帯域幅が、LTEリリース8/9のセルのサポートされる帯域幅を超えないときには、すべてのコンポーネントキャリアをLTEリリース8/9互換であるように設定することができる。ユーザ機器によってアグリゲートされるすべてのコンポーネントキャリアが必ずしもLTEリリース8/9互換でなくてよい。リリース8/9のユーザ機器がコンポーネントキャリアにキャンプオンすることを回避するため、既存のメカニズム(例:バーリング)を使用することができる。
【0017】
ユーザ機器は、自身の能力に応じて1つまたは複数のコンポーネントキャリア(複数のサービングセルに対応する)を同時に受信または送信することができる。キャリアアグリゲーションのための受信能力および/または送信能力を備えた、LTE−Aリリース10のユーザ機器は、複数のサービングセル上で同時に受信する、および/または送信することができ、これに対して、LTEリリース8/9のユーザ機器は、コンポーネントキャリアの構造がリリース8/9の仕様に従う場合、1つのみのサービングセル上で受信および送信を行うことができる。
【0018】
キャリアアグリゲーションは、連続するコンポーネントキャリアおよび不連続なコンポーネントキャリアの両方においてサポートされ、各コンポーネントキャリアは、(3GPP LTE(リリース8/9)の計算方式(numerology)を使用して)周波数領域における最大110個のリソースブロックに制限される。
【0019】
同じeNodeB(基地局)から送信される、場合によってはアップリンクおよびダウンリンクにおいて異なる帯域幅の異なる数のコンポーネントキャリアをアグリゲートするように、3GPP LTE−A(リリース10)互換のユーザ機器を構成することが可能である。設定することのできるダウンリンクコンポーネントキャリアの数は、ユーザ機器のダウンリンクのアグリゲーション能力に依存する。逆に、設定することのできるアップリンクコンポーネントキャリアの数は、ユーザ機器のアップリンクのアグリゲーション能力に依存する。現時点では、ダウンリンクコンポーネントキャリアよりもアップリンクコンポーネントキャリアが多い状態に移動端末を設定することはできない。
【0020】
一般的なTDD配備では、コンポーネントキャリアの数および各コンポーネントキャリアの帯域幅は、アップリンクとダウンリンクとで同じである。同じeNodeBから送信されるコンポーネントキャリアは、同じカバレッジを提供する必要はない。
【0021】
連続的にアグリゲートされるコンポーネントキャリアの中心周波数の間隔は、300kHzの倍数である。これは、3GPP LTE(リリース8/9)の100kHzの周波数ラスターとの互換性を保つと同時に、15kHz間隔のサブキャリアの直交性を維持するためである。アグリゲーションのシナリオによっては、連続するコンポーネントキャリアの間に少数の使用されないサブキャリアを挿入することによって、n×300kHzの間隔あけを容易にすることができる。
【0022】
複数のキャリアをアグリゲートする影響は、MAC層に及ぶのみである。MAC層には、アップリンクおよびダウンリンクの両方において、アグリゲートされるコンポーネントキャリアごとに1つのHARQエンティティが要求される。コンポーネントキャリアあたりのトランスポートブロックは最大1個である(アップリンクにおけるSU−MIMOを使用しない場合)。トランスポートブロックおよびそのHARQ再送信(発生時)は、同じコンポーネントキャリアにマッピングする必要がある。
【0023】
キャリアアグリゲーションが設定されているとき、移動端末はネットワークとの1つのRRC接続のみを有する。RRC接続の確立/再確立時、1つのセルが、LTEリリース8/9と同様に、セキュリティ入力(1つのECGI、1つのPCI、および1つのARFCN)と、非アクセス層(NAS)モビリティ情報(例:TAI)とを提供する。RRC接続の確立/再確立の後、そのセルに対応するコンポーネントキャリアは、ダウンリンクプライマリセル(PCell)と称される。接続状態では、ユーザ機器あたりつねに1つのダウンリンクPCell(DL PCell)および1つのアップリンクPCell(UL PCell)が設定される。コンポーネントキャリアの設定されたセットおいて、他のセルはセカンダリセル(SCell)と呼ばれ、SCellのキャリアはダウンリンクセカンダリコンポーネントキャリア(DL SCC)およびアップリンクセカンダリコンポーネントキャリア(UL SCC)である。1基のUEに対して、最大5つのサービングセル(PCellを含む)を設定することができる。
【0024】
ダウンリンクPCellおよびアップリンクPCellの特徴は以下のとおりである。
1. 各SCellごとに、ダウンリンクリソースに加えてアップリンクリソースのユーザ機器による使用を設定することができる。したがって、設定されるDL SCCの数はUL SCCの数よりもつねに大きいかまたは等しく、アップリンクリソースのみを使用するようにSCellを設定することはできない。
2. ダウンリンクPCellは、SCellとは異なり非アクティブ化することはできない。
3. ダウンリンクPCellにおいてレイリーフェージング(RLF)が発生すると再確立がトリガーされるが、ダウンリンクSCellにRLFが発生しても再確立はトリガーされない。
4. 非アクセス層情報はダウンリンクPCellから取得される。
5. PCellは、ハンドオーバー手順(すなわちセキュリティキー変更およびRACH手順)によってのみ変更することができる。
6. PCellは、PUCCHの送信に使用される。
7. アップリンクPCellは、第1層のアップリンク制御情報の送信に使用される。
8. UEの観点からは、各アップリンクリソースは1つのサービングセルにのみ属する。
【0025】
コンポーネントキャリアの設定および再設定、ならびに追加および削除は、RRCによって実行することができる。アクティブ化および非アクティブ化は、MAC制御要素を介して行われる。LTE内ハンドオーバー時、RRCによって、ターゲットセルで使用するためのSCellを追加、削除、または再設定することもできる。新しいSCellを追加するときには、SCellのシステム情報(送信/受信に必要である)を送るために専用のRRCシグナリングが使用される(LTEリリース8/9におけるハンドオーバー時と同様)。1基のUEにSCellが追加されるとき、各SCellにはサービングセルインデックスが設定される。PCellはつねにサービングセルインデックス0を有する。
【0026】
キャリアアグリゲーションを使用するようにユーザ機器が設定されているとき、アップリンクコンポーネントキャリアとダウンリンクコンポーネントキャリアの少なくとも一対がつねにアクティブである。この対のうちのダウンリンクコンポーネントキャリアは、「ダウンリンクアンカーキャリア」と称されることもある。同じことはアップリンクについてもあてはまる。
【0027】
キャリアアグリゲーションが設定されているとき、同時に複数のコンポーネントキャリアについてユーザ機器をスケジューリングすることができるが、同時に進行させることのできるランダムアクセス手順は最大で1つである。クロスキャリアスケジューリング(cross-carrier scheduling)では、コンポーネントキャリアのPDCCHによって別のコンポーネントキャリアのリソースをスケジューリングすることができる。この目的のため、それぞれのDCIフォーマットにコンポーネントキャリア識別フィールド(「CIF」と称する)が導入されている。
【0028】
クロスキャリアスケジューリングが行われていないときには、アップリンクコンポーネントキャリアとダウンリンクコンポーネントキャリアのリンク(RRCシグナリングによって確立される)によって、グラントが適用されるアップリンクコンポーネントキャリアを識別することができる。アップリンクコンポーネントキャリアへのダウンリンクコンポーネントキャリアのリンクは、必ずしも1対1である必要はない。言い換えれば、同じアップリンクコンポーネントキャリアに複数のダウンリンクコンポーネントキャリアをリンクすることができる。一方で、1つのダウンリンクコンポーネントキャリアは、1つのアップリンクコンポーネントキャリアのみにリンクすることができる。
【0029】
<アップリンク制御情報、PUCCHのフォーマット>
一般的には、移動通信システムにおけるアップリンク制御シグナリングは、次の2つのカテゴリに分類することができる。
− データに関連付けられる制御シグナリングは、つねにアップリンクデータと一緒に送信される制御シグナリングであり、そのデータの処理において使用される。例として、トランスポートフォーマットの指示、新規データインジケータ(NDI)、MIMOパラメータが挙げられる。
− データに関連付けられない制御シグナリングは、アップリンクデータパケットとは無関係に送信される。例として、ダウンリンクデータパケットに対する確認応答(ACK/NACK)、リンクアダプテーションをサポートするためのチャネル品質インジケータ(CQI)、ダウンリンク送信に対するMIMOフィードバック(ランクインジケータ(RI)、プリコーディングマトリクスインジケータ(PMI)など)が挙げられる。アップリンク送信のためのスケジューリング要求(SR)もこのカテゴリに入る。
【0030】
アップリンクデータに関連付けられる制御シグナリングは、LTEでは必要なく、なぜなら関連する情報はeNodeBがすでに認識しているためである。したがってLTEアップリンクでは、データに関連付けられない制御シグナリングのみが存在する。したがって、アップリンク制御情報(UCI)は、以下の要素から構成することができる。
− スケジューリング要求(SR)
− PDSCH(物理ダウンリンク共有チャネル)でのダウンリンクデータパケットに応えてのHARQ ACK/NACK。1つのコードワードのダウンリンク送信の場合には1個のACK/NACKビットが送信され、2つのコードワードのダウンリンク送信の場合には2個のACK/NACKビットが使用される。
− チャネル品質インジケータ(CQI)と、MIMOに関連するフィードバック(ランクインジケータ(RI)およびプリコーディングマトリクスインジケータ(PMI)からなる)とを含むチャネル状態情報(CSI)。CSIにはサブフレームあたり20ビットが使用される。チャネル状態情報は、ダウンリンクデータ送信をスケジューリングする目的でeNBにおいて必要である。
【0031】
UEがサブフレーム内で送信できるアップリンク制御情報(UCI)の量は、制御シグナリングデータの送信に利用可能なSC−FDMAシンボルの数によって決まる。PUCCHは、シグナリングされる情報量に応じて8種類のフォーマットをサポートしている。PUCCHのフォーマットに関する情報は、非特許文献1(現在のバージョン12.4.0)の5.4.1節、5.4.2節、および5.4.2A節(参照により本明細書に組み込まれている)に記載されている。物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)の割当てを求めるUE側手順に関するさらなる情報は、非特許文献2(現在のバージョン12.4.0)の10.1節(参照により本明細書に組み込まれている)に記載されている。
【0032】
次の表は、上記の標準規格に記載されている情報の概要を簡略化して示している。
【表1】
【0033】
表によってすでに示唆されているように、PUCCHにおけるアップリンク制御情報の次の組合せがサポートされる。
・ フォーマット1a: 1ビットのHARQ−ACK、またはFDDの場合には、1ビットのHARQ−ACKとポジティブSR
・ フォーマット1b: 2ビットのHARQ−ACK、または2ビットのHARQ−ACKとポジティブSR
・ フォーマット1b: UEに2つ以上のサービングセルが設定されているとき、またはTDDの場合にはUEに1つのサービングセルが設定されているとき、最大4ビットのHARQ−ACKおよびチャネル選択
・ フォーマット1: ポジティブSR
・ フォーマット2: HARQ−ACKと多重化されないときのCSI報告
・ フォーマット2a: 通常のサイクリックプレフィックスの場合に1ビットのHARQ−ACKと多重化されるCSI報告
・ フォーマット2b: 通常のサイクリックプレフィックスの場合に2ビットのHARQ−ACKと多重化されるCSI報告
・ フォーマット2: 拡張サイクリックプレフィックスの場合にHARQ−ACKと多重化されるCSI報告
・ フォーマット3: FDDの場合には最大10ビットのHARQ−ACK、TDDの場合には最大20ビットのHARQ−ACK
・ フォーマット3: FDDの場合には10ビットのHARQ−ACKおよび1ビットのポジティブ/ネガティブSRに対応する最大11ビット、TDDの場合には20ビットのHARQ−ACKおよび1ビットのポジティブ/ネガティブSRに対応する最大21ビット
・ フォーマット3: マルチセルHARQ−ACK、1ビットのポジティブ/ネガティブSR、および1つのサービングセルのCSI報告
【0034】
<周波数分割複信および時分割複信>
LTEは、TD−SCDMA(時分割同期符号分割多重アクセス)の進化もサポートするように設計されている統一フレームワーク(harmonized framework)において周波数分割複信(FDD)モードおよび時分割複信(TDD)モードで動作することができる。FDDでは、すべてのサブフレームがダウンリンク送信およびアップリンク送信に利用可能である。これは「フレーム構造タイプ1」として知られており、インバウンド通信とアウトバウンド通信とを分離する目的に周波数領域を使用する(すなわちリンク方向ごとに異なるキャリア周波数が採用される)。逆に、TDDでは、時間領域においてアップリンク送信とダウンリンク送信が分離されるが、周波数は同じままとすることができる。
【0035】
用語「複信」は、2つの装置の間の双方向通信を意味し、一方向通信と区別される。双方向の場合、各方向におけるリンクを通じての送信を、同時に(「全二重」)、または相互に異なるタイミングで(「半二重」)、行うことができる。
【0036】
非ペア無線スペクトル(unpaired radio spectrum)におけるTDDの場合、リソースブロック(RB)およびリソースエレメント(RE)の基本的な構造を
図2に示してあるが、無線フレームのサブフレームの部分集合のみがダウンリンク送信に利用可能である。残りのサブフレームは、アップリンク送信に使用される、または、ダウンリンク送信とアップリンク送信の間での切替えを可能にするガード期間を含むスペシャルサブフレームに使用される。ガード期間は、さらに、アップリンク送信タイミングを早めることを可能にする。3GPP LTEリリース8以降においては、このTDD構造は「フレーム構造タイプ2」として公知であり、7つの異なる構成が定義されており、これらの構成により、さまざまなダウンリンク−アップリンク比率および切替え周期が可能である。
図3は、7つの異なるTDDアップリンク−ダウンリンク構成(番号:0〜6)の表を示しており、表において「D」はダウンリンク、「U」はアップリンク、「S」はスペシャルを意味する。表から理解できるように、7つの利用可能なTDDアップリンク−ダウンリンク構成は、ダウンリンクサブフレームの40%〜90%を提供することができる(スペシャルサブフレームをダウンリンクサブフレームとしてカウントするときであり、なぜならスペシャルサブフレームの一部はダウンリンク送信に利用可能であるためである)。
【0037】
図4は、特に、5msの切替え点周期(すなわちTDD構成0,1,2,6)の場合のフレーム構造タイプ2を示しており、長さ10msである無線フレームと、それぞれ5msの対応する2つのハーフフレームとを示している。無線フレームは、1msの10個のサブフレームから構成されており、サブフレームそれぞれは、
図3の表に定義されているように、アップリンク、ダウンリンク、またはスペシャルのタイプが割り当てられている。
【0038】
図3から理解できるように、サブフレーム#1はつねにスペシャルサブフレームであり、サブフレーム#6は、TDD構成0,1,2,6の場合にはスペシャルサブフレームであり、TDD構成3,4,5の場合にはダウンリンク方向である。スペシャルサブフレームは、3つのフィールド、すなわちDwPTS(ダウンリンクパイロットタイムスロット)、GP(ガード期間)、およびUpPTS(アップリンクパイロットタイムスロット)を含む。
【0039】
システムにおいて適用されるTDD構成は、移動局および基地局において実行される多くの動作、例えば、無線リソース管理(RRM)測定、チャネル状態情報(CSI)測定、チャネル推定、PDCCH検出、HARQタイミングなどに影響する。
【0040】
特に、UEは、システム情報を読み取ることで、自身の現在のセルにおけるTDD構成に関して認識し、すなわち、測定用に監視するサブフレーム、CSIの測定および報告のために監視するサブフレーム、チャネル推定を取得するための時間領域フィルタリングのために監視するサブフレーム、PDCCHの検出のために監視するサブフレーム、またはアップリンク/ダウンリンクのACK/NACKフィードバックのために監視するサブフレームを認識する。
【0041】
<ハイブリッドARQ(HARQ)方式>
信頼できないチャネルを介してのパケット伝送システムにおける誤り検出・訂正のための一般的な手法は、ハイブリッド自動再送要求(HARQ:Hybrid Automatic Repeat reQuest)と称される。ハイブリッドARQは、順方向誤り訂正(FEC)とARQとの組合せである。
【0042】
HARQプロトコルによって提供されるフィードバックは、肯定応答(ACK)、否定応答(NACK)、または不連続送信(DTX)のいずれかである。ACKおよびNACKは、送信を正しく受信できたか否か(すなわち復号が正常に行われたか)に応じて生成される。さらに、HARQ動作では、UEが増加的冗長性(IR)合成法を使用することで、合成利得によって追加の符号化利得を得ることができるように、eNBは、再送信時に元のトランスポートブロックとは異なる符号化バージョンを送信することができる。しかしながら現実のシステムでは、eNBが1基の特定のUEに1つのリソースセグメントでトランスポートブロックを送信するが、ダウンリンク制御情報が失われることに起因してUEがそのデータ送信を検出できないことが起こり得る。この場合、増加的冗長性(IR)合成法では、トランスポートブロックを復号する性能が極めて低下し、なぜならUEにおいて系統的データが利用できないためである。この問題を緩和するため、UEは、第3の状態(すなわち不連続送信(DTX)フィードバック)を送り返して、対応するリソースセグメントにおいてトランスポートブロック(TB)が検出されなかったことを示す必要がある(復号の失敗を示すNACKとは異なる)。ダウンリンク制御情報が失われた場合を検出する目的で、TDDにおいてはダウンリンク割当てインデックス(DAI:Downlink Assignment Index)(後から説明する)が導入された。
【0043】
FEC符号化されたパケットが送信され、受信機がそのパケットを正しく復号できない場合(誤りは通常ではCRC(巡回冗長検査)によってチェックされる)、受信機はそのパケットの再送信を要求する。一般的には(および本文書全体を通じて)、追加情報を送信することを「(パケットの)再送信」と称するが、この再送信は、符号化された同じ情報の送信を必ずしも意味するものではなく、異なる冗長バージョンを使用することによって、そのパケットに属する何らかの情報(例えば追加の冗長性情報)の送信を意味することもある。
【0044】
HARQ方式は、一般的に、同期式または非同期式のいずれかに分類することができ、各場合における再送信は、適応型または非適応型のいずれかである。同期HARQとは、最初の送信に対して事前に定義された(周期的な)タイミングで、HARQブロックの再送信が行われることを意味する。したがって、再送信スケジュールを受信機に示すための明示的なシグナリングと、HARQプロセス番号のいずれも要求されず、なぜなら後者は送信タイミングから推測できるためである。これとは異なり、非同期HARQでは、最初の送信に対する任意のタイミングで再送信を行うことができ、これにより、エアインタフェースの条件に基づいて再送信をスケジューリングする柔軟性が提供される。この場合、正しい合成およびプロトコル動作を可能にする目的で、例えばHARQプロセスを受信機に示すための追加の明示的なシグナリングが要求される。3GPP LTEシステムにおいては、8つのプロセスを有するHARQ動作が使用される。ダウンリンクデータ送信におけるHARQプロトコルの動作は、HSDPAに類似し、場合によっては同じである。
【0045】
送信を構成している情報(一般的には符号のビット/シンボル)に応じてと、受信機が情報を処理する方法に応じて、以下のハイブリッドARQ方式が定義されている。
【0046】
タイプIのHARQ方式においては、受信機がパケットを正しく復号できない場合、符号化されているパケットを破棄し、再送信を要求する。これは、すべての送信が個別に復号されることを意味する。一般的には、再送信には最初の送信と同じ情報(符号のビット/シンボル)が含まれる。
【0047】
タイプIIのHARQ方式においては、受信機は、パケットを正しく復号できない場合、再送信を要求し、(正しく復号されなかった)符号化されているパケットの情報を軟情報(軟ビット/軟シンボル)として格納する。このことは、受信機に軟バッファが要求されることを意味する。再送信は、前の送信と同じパケットの同じ情報(符号のビット/シンボル)、部分的に同じ情報、または同じではない情報から構成することができる。受信機は、再送信を受信すると、軟バッファからの格納されている情報と、いま受信した情報とを合成し、合成された情報に基づいてパケットの復号を試みる。受信機は、送信の復号を個別に試みることもできるが、送信を合成すると一般的に性能が高まる。送信の合成とは、いわゆる軟合成を意味し、この場合、複数の受信された符号のビット/シンボルを尤度合成し(likelihood-combined)、単独で受信された符号のビット/シンボルを符号合成する(code-combined)。軟合成の一般的な方法は、受信された変調シンボルの最大比合成(MRC)と、対数尤度比(LLR)合成である(LLR合成は符号のビットに対してのみ機能する)。
【0048】
タイプIIのHARQ方式はタイプI方式よりも高度であり、なぜなら、パケットが正しく受信される確率が、再送信を受信するたびに増大するためである。この確率増大は、受信機に要求されるハイブリッドARQ軟バッファの代償として達成される。タイプII方式を使用すると、再送信する情報量を制御することによって動的なリンクアダプテーションを実行することができる。例えば受信機は、復号が「ほとんど」成功したことを検出した場合、次の再送信において少量の情報(前の送信におけるよりも少ない数の符号のビット/シンボル)のみを送信するように要求することができる。この場合、再送信を考慮するだけでは、パケットを独力で正しく復号することが理論的にも不可能である状況が起こりうる(自己復号不能な再送信(non-self-decodable re-transmissions))。
【0049】
タイプIIIのHARQ方式は、タイプIIの方式の部分集合と考えることができる。タイプIIIの方式では、タイプIIの方式の必要条件に加えて、各送信が自己復号可能でなければならない。
【0050】
LTEでは、ダウンリンクには非同期式の適応型HARQが使用され、アップリンクには同期式HARQが使用される。
【0051】
アップリンクのHARQプロトコル動作(すなわちアップリンクデータ送信に対する確認応答)においては、再送信をスケジューリングする方法として2種類のオプションがある。再送信は、NACKによって「スケジューリングされる」(同期式非適応型再送信とも称する)、または、PDCCHを送信することによりネットワークによって明示的にスケジューリングされる(同期式適応型再送信とも称する)。同期式非適応型再送信の場合、再送信では前のアップリンク送信と同じパラメータを使用し、すなわち、再送信は同じ物理チャネルリソースでシグナリングされ、同じ変調方式/トランスポートフォーマットを使用する。同期式適応型再送信はPDCCHを介して明示的にスケジューリングされるため、eNodeBが再送信の特定のパラメータを変更することが可能である。アップリンクにおける断片化(fragmentation)を回避する目的で、再送信を例えば異なる周波数リソースにスケジューリングすることができ、または、eNodeBは、変調方式を変更する、あるいは、再送信に使用する冗長バージョンをユーザ機器に示すことができる。なお、HARQのフィードバック(ACK/NACK)とPDCCHシグナリングは同じタイミングで行われることに留意されたい。したがってユーザ機器は、同期式非適応型再送信がトリガーされているか(すなわちNACKのみが受信されたか)、またはeNodeBが同期式適応型再送信を要求しているか(すなわちPDCCHがシグナリングされたか)を、一度だけ確認するのみでよい。
【0052】
HARQ動作は複雑であり、本出願ではすべてを説明せず(すべてを説明することはできない)、本発明を完全に理解するうえでも必要ない。HARQ動作の一部は、例えば非特許文献2(現在のバージョン12.4.0)に定義されており、その中のHARQに関連する節(特に、7.3節およびその小項目と、10節およびその小項目)は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0053】
<<FDD動作におけるHARQおよび制御シグナリング>>
FDD動作の場合、サブフレームnにおけるデータ送信に関する確認応答インジケータが、サブフレームn+4において反対方向に送られ、したがって、トランスポートブロックが送信されるタイミングとそれに対応する確認応答の間には1対1の同期的な対応関係が存在する。
図5には、サブフレーム0におけるダウンリンク送信(PDSCH)の場合の、このHARQタイミング関係を概略的に示してあり、対応するHARQフィードバック(ACK/NACK)は、4つのサブフレームだけ後に(すなわちサブフレーム4において)送信される。図を単純にするため
図5には描いていないが、別のサブフレームにおいて受信される別のダウンリンク送信にも、同じHARQフィードバックタイミングが適用される。
【0054】
FDD動作では、ダウンリンクおよびアップリンクの両方において、一般に8msのラウンドトリップタイム(RTT)を有する8つのストップアンドウェイト(SAW:Stop-And-Wait)HARQプロセスが利用可能である。トランスポートブロックが属するHARQプロセスは、3ビットの一意のHARQプロセス識別子(HARQ ID)によって識別される。
【0055】
<<TDD動作におけるHARQおよび制御シグナリング>>
TDD動作の場合、サブフレームは、セルごとに固有な方式で、アップリンクまたはダウンリンクまたはスペシャルとして指定され(既出の節を参照)、これにより、リソースグラント、データ送信、確認応答、および再送信をそれぞれの方向に送ることのできるタイミングが制約される。したがって、FDDにおける同期方式を、TDD動作において再使用することはできない。したがって、TDDの場合のLTE設計では、1つのサブフレームの中で複数の確認応答を伝えるため、グループ化されたACK/NACK送信がサポートされる。アップリンク(またはダウンリンク)サブフレームにおいて複数のACK/NACKメッセージを送信することは、上述したシナリオの理由による、FDDと比較してのTDD−LTEの固有な特徴である。
【0056】
アップリンクHARQ動作(すなわちアップリンクデータ送信に対する確認応答)の場合、(1つのダウンリンクサブフレームにおいて)複数の確認応答を物理ハイブリッドARQインジケータチャネル(PHICH)で送ることは問題にはつながらず、なぜなら、eNodeB側から見れば、1つの確認応答を複数のUEに同時に送る場合と大きな違いはないためである。しかしながらダウンリンクHARQ動作(すなわちダウンリンクデータ送信に対する確認応答)の場合には、非対称性がダウンリンクに偏っていると(例えばTDD UL/DL構成3または4)、FDDのアップリンク制御シグナリング(PUCCH)のフォーマットは、追加のACK/NACK情報を伝えるには不十分である。LTEにおけるTDDサブフレーム構成それぞれには(
図3を参照)、HARQを目的としてダウンリンクサブフレームとアップリンクサブフレームの間の固有のマッピングが事前定義されており、このマッピングは、確認応答の遅延を最小にすることと、利用可能な複数のアップリンクサブフレームにACK/NACKが均一に分布することとの間でバランスが達成されるように設計されている。このHARQタイミングは
図6aに示してあり、
図6aは非特許文献2の表10.1.3.1−1「Downlink association set K: {k
0, k
1,…,
kM-1} for TDD(TDDにおけるダウンリンクの対応関係のセットK:{k
0, k
1,…,
kM-1})」からの引用である。
図6aは、無線フレームのサブフレームについて、ACK/NACK/DTX応答のダウンリンク対応関係のセットのインデックスを示している。複数のTDD構成において、枠の中の数字は、そのサブフレームにおいて、どのサブフレームに対するHARQフィードバックが送られるかの負のオフセットを示している。例えば、TDD構成0の場合のサブフレーム9は、サブフレーム5(=9−4)のHARQフィードバックを伝える。TDD構成0のサブフレーム5は、確かにダウンリンクサブフレームである(
図3を参照)。例えば、サブフレーム2におけるTDD UL/DL構成2のセットKは、8,7,4,6であり(M=4)、サブフレーム3におけるTDD UL/DL構成6のセットKは、7である(M=1)。
【0057】
図6bは、非特許文献2の表10.1.3.1−1(すなわち
図6a)と基本的に等価であるが、枠内の数字がオフセットを示すのではなく、そのサブフレームにおいてHARQフィードバックが送信される対象のサブフレームの番号を直接示している。説明を目的として、サブフレーム0〜9の代わりに、サブフレーム20〜29を考える。表から理解できるように、例えばTDD UL/DL構成0のサブフレーム29は、サブフレーム25(29−4、
図6aも参照)のACK/NACK/DTXを伝える。
【0058】
図7は、TDD動作のHARQフィードバックメカニズムの図であり、例示的に、TDD UL/DL構成1の場合を示している。この場合、無線フレームのアップリンクサブフレーム2および7においては、それぞれのサブフレーム2,7よりも7つおよび6つのサブフレームだけ前のサブフレームに対するHARQフィードバックがグループ化されて送信され(
図7のアップリンクサブフレーム7および12を参照)、アップリンクサブフレーム3および8においては、それぞれのサブフレーム3,8よりも4つのサブフレームだけ前のサブフレームに対するHARQフィードバックが送信される(
図7のサブフレーム8および13を参照)。
【0059】
TDD動作においてアップリンクで伝えられる確認応答情報をグループ化するための2つのメカニズムが提供されており、これらは「ACK/NACKバンドリング」および「ACK/NACK多重化」と称され、これら2つのメカニズムの間での選択は、上位層(RRC)設定によって行うことができる。
【0060】
ACK/NACKバンドリングは、FDDにおいて使用される1ビットおよび2ビットの同じPUCCHフォーマット(1aおよび1b)を可能な場合に再使用するために実施される。各ダウンリンクコードワード(ダウンリンクの空間多重化を使用する場合には最大で2つ)ごとに、そのアップリンクサブフレームに関連付けられるダウンリンクサブフレームのグループにまたがって確認応答の論理「AND」演算を実行することによって、ただ1つの確認応答インジケータが導かれる。この確認応答インジケータは、バンドルされたACK/NACKグループにおけるいずれのトランスポートブロックにも誤りがない、または少なくとも1つのトランスポートブロックに誤りがあることを示す。
【0061】
ACK/NACK多重化の場合には、アップリンクサブフレームに関連付けられるダウンリンクサブフレームのグループそれぞれに対して、個別の確認応答インジケータが返される。しかしながら、これによって生成されるシグナリング情報量を制限するため、最初に、サブフレーム内の複数の異なる空間レイヤにおける複数のコードワードに対する確認応答を、この場合にも論理「AND」演算によって1つの確認応答にまとめる。これは、「空間ACK/NACKバンドリング」として知られている。しかしながら、より極端な非対称性の場合、3ビット以上のACK/NACK情報を1つのアップリンクサブフレームにおいて送信する必要が生じうる。このことは、通常の1ビットのPUCCHフォーマットと、UEによって選択されるPUCCH符号が残りの情報をeNodeBに伝える符号選択方式によって拡張された2ビットのPUCCHフォーマットを使用することによって、達成される。
【0062】
確認応答をグループ化するためのこれらの非可逆圧縮方式の欠点として、eNodeBは、どの(1つまたは複数の)トランスポートブロックが正常に復号されなかったかを正確に認識しない。NACKの場合、同じグループ内のすべてのトランスポートブロックを再送信しなければならず、再送信オーバーヘッドが増大し、リンクのスループットが減少する。小さい影響として、いくつかのトランスポートブロックに対する確認応答は、グループの残りが受信されるまで実行できないため、平均HARQラウンドトリップタイム(したがってレイテンシ)が増大しうる。
【0063】
さらなる複雑な状況も発生し、なぜならPDCCH制御シグナリングの信頼性は100%ではなく、UEがいくつかのダウンリンクリソース割当ての受信に失敗する可能性が存在するためである。これによりHARQプロトコルエラーの可能性が発生し、例えば、サブフレームのグループの中の1つまたは複数のダウンリンク割当ての受信に失敗した場合、ACKを送信することは誤りである。この問題の回避を支援する目的で、ダウンリンク送信を実際に含む、グループ内のサブフレームの数をUEに伝えるため、「ダウンリンク割当てインデックス」(DAI)がPDCCHに含められる。DAIについては、非特許文献2のさまざまな節(ほとんどがHARQ動作に関連する節、例えば10節)(参照により本明細書に組み込まれている)に説明されている。TDD UL/DL構成1〜6において、DCIフォーマット1/1A/1B/1D/2/2A/2B/2C/2Dの中のDAIの値は、PDSCH送信が割り当てられている(1つまたは複数の)PDCCH/EPDCCHと、設定されている各サービングセルの(1つまたは複数の)サブフレームn−k(k∈K)内の現在のサブフレームまでのダウンリンクSPS(セミパーシステントスケジューリング)解放を示すPDCCH/EPDCCHとの累積数を表し、DAIの値はサブフレームごとに更新される。UEは、PDSCH送信が割り当てられている(1つまたは複数の)PDCCH/EPDCCHと、ダウンリンクSPS解放を示すPDCCH/EPDCCHの数を計算し、その値をDAIと比較する。これら2つの数が等しくない場合、少なくとも1つのPDCCHの受信に失敗している。
【0064】
この方策により、ACK/NACKバンドリングの場合には、UEは受信に失敗したダウンリンク割当てを検出し、1つまたは複数のダウンリンク割当ての受信に失敗した場合にACK/NACKの返信を回避することができ、その一方で、ACK/NACK多重化の場合には、DAIによって、UEは何ビットのACK/NACK情報を返すべきかを判定することができる。
【0065】
図8は、
図7においてすでに例示的に使用した同じTDD構成1の場合の、HARQ多重化によるHARQフィードバックのグループ化を示しており、
図9は、HARQバンドリングによるHARQフィードバックのグループ化を示している。
【0066】
ACK/NACKバンドリングおよびACK/NACK多重化に関する詳しい情報は、対応する技術規格である非特許文献2(現在のバージョン12.4.0)の10.1.3節「TDD HARQ-ACK feedback procedure(TDD HARQ−ACKフィードバック手順)」(参照により本明細書に組み込まれている)に記載されている。以下では、簡潔な要約を示す。
【0067】
TDD ACK/NACKバンドリングは、コードワードごとに、1つのアップリンクサブフレームnに関連付けられるM個の複数のダウンリンクサブフレームにまたがって(Mは、
図6aの表に定義されているセットKの中の要素の数)、すべての個々のPDSCH送信(対応するPDCCHあり/なし)に対するACK/NACKと、ダウンリンクSPS解放を示すPDCCHに応えてのACK、の論理AND演算によって、実行される。バンドルされた1ビットまたは2ビットのACK/NACKが、それぞれPUCCHフォーマット1aまたはPUCCHフォーマット1bを使用して送信される。
【0068】
TDD ACK/NACK多重化では、M>1であるサブフレームnの場合、ダウンリンクサブフレーム内の複数のコードワードにまたがる空間ACK/NACKバンドリングが、対応する個々のACK/NACKすべての論理AND演算によって実行され、チャネル選択を含むPUCCHフォーマット1bが使用される。
【0069】
TDD ACK/NACK多重化において、M=1であるサブフレームnの場合、ダウンリンクサブフレーム内の複数のコードワードにまたがる空間ACK/NACKバンドリングは実行されず、1ビットまたは2ビットのACK/NACKが、それぞれPUCCHフォーマット1aまたはPUCCHフォーマット1bを使用して送信される。
【0070】
FDDの場合、HARQ−ACKを送信するために使用されるPUCCHリソースは、対応するPDCCHの送信に使用された最初のCCEによって決まる。対応するPDCCHが存在しない場合、PUCCHリソースは上位層の設定によって決定される。
【0071】
TDD ACK/NACKバンドリングまたはTDD ACK/NACK多重化では、M=1であるサブフレームnの場合、HARQ−ACKを送信するためのPUCCHリソースは、直近のサブフレームにおける対応するPDCCHの送信に使用された最初のCCEによって決まる。対応するPDCCHが存在しない場合、PUCCHリソースは上位層の設定によって決定される。
【0072】
TDD ACK/NACK多重化において、M>1であるサブフレームnの場合、HARQ−ACKを送信するためのPUCCHリソースn
(1)PUCCH,iは、サブフレームn−kにおける対応するPDCCHの送信に使用された最初のCCEによって決まる(k
i∈K(
図6aに定義されている)かつ0≦i≦M−1)。対応するPDCCHが存在しない場合、PUCCHリソースは上位層の設定によって決定される。
【0073】
UEは、PUCCHフォーマット1bを使用してサブフレームnにおいてACK/NACKリソースn
(1)PUCCH,iでb(0),b(1)を送信する。b(0),b(1)の値およびACK/NACKリソースn
(1)PUCCH,iは、非特許文献2の10節における表に従ってのチャネル選択によって生成される。b(0),b(1)が「該当なし」にマッピングされる場合、UEはサブフレームnにおいてACK/NACK応答を送信しない。
【0074】
<<キャリアアグリゲーションの場合のHARQのサポート>>
キャリアアグリゲーションが導入された3GPPリリース10では、さらに多数のACK/NACKビットを1つのサブフレームにおいて送信する必要がある。この目的のため、以下に説明するように、新しいPUCCHメカニズムが提供されている。キャリアアグリゲーションの場合、アップリンク制御シグナリング(例えばHARQ ACK/NACKシグナリング、スケジューリング要求(SR)、チャネル状態情報(CSI))は、最大5つのダウンリンクキャリアをサポートしなければならない。UEは、ダウンリンクトランスポートブロックごとに(すなわち5つのダウンリンクCCでのダウンリンク空間多重化の場合にはサブフレームあたり最大10個の)HARQ ACK/NACKを送らなければならないかもしれない。
【0075】
LTE−Aでは、すべてのPUCCH制御シグナリングはPCellのアップリンクPCC(プライマリコンポーネントキャリア)で送信される。したがってPUCCHが2つ以上のアップリンクCCで送信されることはない。ただし後から説明するように、このことは以降のリリースにおいて変更されることもあり、その場合にはPUCCHをSCellにおいて送信することもできる。
【0076】
複数のCCにおけるPDSCH送信に対するHARQフィードバックを提供する目的で、リリース10の時点で、新しいマルチビットACK/NACK PUCCHフォーマットが定義されており、すなわち、PUCCHのフォーマットに関する対応する既出の節ですでに説明したように、PUCCHフォーマット3(FDDの場合には最大10ビットのHARQ−ACK、TDDの場合には最大20ビットのHARQ−ACK)と、PUCCHフォーマット3(FDDの場合には10ビットのHARQ−ACKおよび1ビットのポジティブ/ネガティブSRに対応する最大11ビット、TDDの場合には20ビットのHARQ−ACKおよび1ビットのポジティブ/ネガティブSRに対応する最大21ビット)と、PUCCHフォーマット1b(UEに2つ以上のサービングセルが設定されているときにチャネル選択を含む最大4ビットのHARQ−ACK)である。
【0077】
4個以下のACK/NACKビットをサポートし、かつ最大2つのCCが設定されているUEの場合、チャネル選択を含むPUCCHフォーマット1bが使用される。5個以上のACK/NACKビットをサポートするUEの場合、チャネル選択を含むPUCCHフォーマット1bおよびフォーマット3の両方がサポートされる(チャネル選択を含むPUCCHフォーマット1bは、ACK/NACKビットが最大4個であり2つのCCが設定されている場合に使用することができ、フォーマット3は、全範囲のACK/NACKビットに対して使用することができる)。
【0078】
<<PUCCHフォーマット3>>
PUCCHフォーマット3は、大きなACK/NACKペイロードを伝えるように設計されており、48個の符号化ビットをサポートする。ACK/NACKフィードバックの実際のビット数は、設定されているCCの数と、各CCに対して設定されている送信モードと、さらにTDDにおいてはACK/NACKバンドリングウィンドウのサイズ(1つのアップリンクサブフレームに関連付けられるダウンリンクサブフレームの数M、
図6aを参照)とから、決まる。FDDの場合、10個のACK/NACKビットの最大ペイロードがサポートされ、MIMO送信用に設定されている最大5つのCCをカバーする(すなわちCCあたり2個のACK/NACKビット)。TDDの場合、PUCCHフォーマット3は、最大20ビットのACK/NACKペイロードをサポートする。1つのアップリンクサブフレームに関連付けられる複数のダウンリンクサブフレームに対してフィードバックされるACK/NACKビットの数が21個以上である場合、サービングセルそれぞれにおいて、ダウンリンクサブフレーム内の2つのコードワードに対応するACK/NACKビットの「空間バンドリング」(すなわち論理AND)が実行される。リリース10におけるPUCCHフォーマット3によって伝えられる最大ペイロードサイズは21ビットであり、これはACK/NACK情報の20ビットと、ACK/NACKビットの最後に付加されるSR用の1ビットとに対応する。ACK/NACKビットは、ダウンリンクCCのインデックスの昇順に連結される。
【0079】
<<チャネル選択を含むPUCCHフォーマット1b>>
チャネル選択を含むPUCCHフォーマット1bでは、最大4つのPUCCHフォーマット1bリソース(「チャネル」)が設定される。これらのリソースの1つを選択することで、伝えるACK/NACK情報の一部が示される。FDDの場合、チャネル選択を含むPUCCHフォーマット1bを使用して、2つのCCのACK/NACK情報を伝えることは単純である。TDDの場合、フィードバックするACK/NACKビットの数が5個以上である場合、サービングセルそれぞれにおいてダウンリンクサブフレーム内の2つのコードワードにまたがるACK/NACKビットの空間バンドリングを使用する必要がある。空間バンドリングを実行した後のACK/NACKビットの数が依然として5個以上である場合、時間領域のバンドリングをさらに実行する。
【0080】
ACK/NACKの組合せと、設定されるPUCCHリソースとの間のマッピングを定義するためのマッピングテーブルが、2個、3個、または4個のACK/NACKビットの場合について規定されている。これらのテーブルは、完全に暗黙的なリソース指定がサポートされるようにと(1つのCCが設定される場合のリリース8の動作に戻る)、個々のACK/NACKビットのパフォーマンスが均一化されるように、設計されている。ACK/NACKフィードバックの時間領域のバンドリングが実行されるか否かに応じて、個別のマッピングテーブルが定義されている。
【0081】
チャネル選択を含むPUCCHフォーマット1bおよびフォーマット3の使用は、FDDとTDDの比較の観点から考えると、以下のように要約することができる。FDDの場合、UEに2つのサービングセルが設定されているときには、UEはACK/NACKを、上位層の設定に応じて、チャネル選択を含むPUCCHフォーマット1bまたはPUCCHフォーマット3で送信することができる。UEに3つ以上のサービングセルが設定されているときには、UEはACK/NACKをPUCCHフォーマット3を使用して送信する。チャネル選択を含むPUCCHフォーマット1bおよびPUCCHフォーマット3のいずれも、2つのアンテナポート(p0,p1)で送信することができる。
【0082】
<<FDDの場合のチャネル選択を含むPUCCHフォーマット1b>>
UEが2つのサービングセルと、チャネル選択を含むPUCCHフォーマット1bを使用できるように設定されているとき、最大2つのサービングセルからのACK/NACKが最大4つのPUCCHリソースで送信される。プライマリセルにおけるアンテナポートp0でのPUCCHリソースは、対応するPDCCH送信の最初のCCEによって決まる。セカンダリセルにおけるアンテナポートp1でのPUCCHリソースは、上位層によって設定されるPUCCHリソースから、DCI情報の中のTPCコマンドによって選択される。アンテナポートp1でのPUCCHリソースは、上位層シグナリングによって設定される。トランスポートブロックおよびサービングセルと、HARQ−ACKおよびPUCCHリソースの数との間のマッピングは、非特許文献2(バージョン12.1.0)の表10.1.2.2.1−1(参照により本明細書に組み込まれている)に示されている。さまざまな数のPUCCHリソースによるPUCCHフォーマット1bの送信は、非特許文献2(バージョン12.1.0)の表10.1.2.2.1−3、表10.1.2.2.1−4、および表10.1.2.2.1−5(参照により本明細書に組み込まれている)に示されている。
【0083】
<<FDDの場合のPUCCHフォーマット3>>
UEがPUCCHフォーマット3を使用できるように設定されているときには、プライマリセルで送信されるPDSCHのみが存在する場合、ACK/NACKはPUCCHフォーマット1a/1bで送信される。セカンダリセルで送信されるPDSCHが存在する場合、ACK/NACKはPUCCHフォーマット3で送信される。FDDの場合、PUCCHフォーマット3では、複数のコードワードにまたがる空間バンドリングは使用されない。
【0084】
TDDの場合、2つ以上のサービングセルが設定されている場合のTDD HARQ−ACKフィードバック手順は、チャネル選択を含むPUCCHフォーマット1bでのHARQ−ACK手順またはPUCCHフォーマット3でのHARQ−ACK手順に基づく。チャネル選択を含むPUCCHフォーマット1bおよびPUCCHフォーマット3のいずれも、2つのアンテナポート(p0,p1)で送信することができる。
【0085】
UEに2つ以上のサービングセルが設定されており、サービングセルのTDD構成が同じである場合、TDD構成5のACK/NACKは、最大2つのサービングセルを使用してPUCCHフォーマット3でのみ送信することができる。UEに2つ以上のサービングセルが設定されており、サービングセルのTDD構成の1つがTDD構成5である場合、ACK/NACKを送信するのにPUCCHフォーマット3のみがサポートされる。
【0086】
<<TDDの場合のチャネル選択を含むPUCCHフォーマット1b>>
チャネル選択を含むPUCCHフォーマット1bは、UEに2つのサービングセルが設定されているときにサポートされるのみである。M
primaryは、プライマリセルにおける1つのアップリンクサブフレームにおいてACK/NACKが送信される対象のダウンリンクサブフレームの数である。M
secondaryは、セカンダリセルにおける1つのアップリンクサブフレームにおいてACK/NACKが送信される対象のダウンリンクサブフレームの数である。サービングセルのTDD構成が異なる場合、Mは、max(M
primary,M
secondary)である。サービングセルのTDD構成が同じである場合、M=M
primaryである。
【0087】
M=1のときには、2つのサービングセルのACK/NACKは、チャネル選択を含むPUCCHフォーマット1bによってFDDと同じ方法を使用して送信される。最大4つのHARQ−ACKを最大4つのPUCCHリソースで送信することができる。
【0088】
M>1のときには、ダウンリンクサブフレーム内の複数のコードワードにまたがる空間HARQ−ACKバンドリングが、対応する個々のHARQ−ACKすべての論理「AND」演算によって実行される。M=2のときには、2つのサービングセルからの最大4つのHARQ−ACKが、非特許文献2(バージョン12.1.0)の表10.1.3.2−1、表10.1.3.2−2、および表10.1.3.2−3(参照により本明細書に組み込まれている)を使用して、最大4つのPUCCHリソースで送信される。M>2のときには、2つのサービングセルからのHARQ−ACKが、非特許文献2(バージョン12.1.0)の表10.1.3.2−5および表10.1.3.2−6(参照により本明細書に組み込まれている)を使用して送信される。
【0089】
図10は、2つのコンポーネントキャリア(いずれもTDD構成1を使用)の場合におけるHARQ動作を例示的に示している。図を単純にする目的で、アップリンクサブフレーム7についてのみHARQフィードバックを示してあり、アップリンクサブフレーム7は、両方のキャリアにおける2つのサブフレーム(0および1)でのダウンリンク送信に対するHARQフィードバックをグループ化する(この場合には多重化する)。PCellを介して送信するために、チャネル選択を含むPUCCHフォーマット1bが使用される。
【0090】
図10の例では、両方のコンポーネントキャリアにおいて同じUL/DL構成を想定しているが、異なるUL/DL構成が使用されているときにもHARQフィードバックを提供することができる。各場合の詳細は、非特許文献2(バージョン12.4.0)(参照により本明細書に組み込まれている)に記載されている。
【0091】
<<TDDの場合のPUCCHフォーマット3>>
TDDにおいてPUCCHフォーマット3を使用する場合、1つのアップリンクサブフレームに関連付けられるM個の複数のダウンリンクサブフレームに対する21個以上のHARQ−ACKビットが存在する場合には、各サービングセルにおいて、ダウンリンクサブフレーム内の複数のコードワードにまたがる空間HARQ−ACKバンドリングが、対応する個々のHARQ−ACKすべての論理AND演算によって実行される。TDDにおいてPUCCHフォーマット3を使用する場合に、1つのアップリンクサブフレームに関連付けられるM個の複数のダウンリンクサブフレームに対する最大20個のHARQ−ACKビットが存在する場合には、各サービングセルにおいて、ダウンリンクサブフレーム内の複数のコードワードにまたがる空間HARQ−ACKバンドリングは実行されない。
【0092】
図11は、3つのコンポーネントキャリア(3つすべてがTDD構成1で動作している)の場合におけるHARQ動作を例示的に示している。図を単純にする目的で、アップリンクサブフレーム7についてのみHARQフィードバックを示してあり、アップリンクサブフレーム7は、3つのキャリアすべてにおける2つのサブフレーム(0および1)でのダウンリンク送信に対するHARQフィードバックをグループ化する。PCellを介して送信するために、PUCCHフォーマット3が使用される。
【0093】
アップリンク制御情報をPUSCHで送信することもできる。UEに複数のサービングセルが設定されており、同時のPUCCHおよびPUSCHが有効ではなく、少なくとも1つのPUSCH送信が存在する場合、すべてのUCI(アップリンク制御情報)をPUSCH上に多重化することができる。PUSCHで送信する場合のACK/NACKペイロードサイズは、設定されているダウンリンクCCの数と、各ダウンリンクCCに対して設定されている送信モードと、さらにTDDの場合にはバンドリングウィンドウのサイズおよびULグラントにおいてシグナリングされるDAI値とから、決まる。
【0094】
図10および
図11(TDDにおいてキャリアアグリゲーションを使用する場合におけるHARQフィードバックについて説明した)では、さまざまなセルが同じTDD UL/DL構成(これらの場合にはTDD UL/DL構成1)で動作するものと想定した。しかしながら、現在標準化されている、最大5つのキャリアをサポートするHARQ動作では、さまざまなセルが異なるTDD UL/DL構成で動作することもすでに許可されている。この目的のため、HARQフィードバックを送信するために使用されるセル(例えばPCell)によって適用されているTDD UL/DL構成とは異なるTDD UL/DL構成で動作する各SCellに対して、
図6a,6bの表のさまざまなHARQフィードバックタイミングのうち適切なタイミングが選択され、そのSCellにおいては、そのタイミングに従ってHARQフィードバックが実行される。以下の説明と、
図12および
図13の例から明らかになるように、SCellによって適用されるHARQフィードバックタイミングは、SCellが実際に動作しているTDD UL/DL構成に通常関連付けられるHARQフィードバックタイミングである必要はない。
【0095】
非特許文献2(現在のバージョン12.4.0)の10.2節(参照により本明細書に組み込まれている)には、第1のセルのTDD UL/DL構成および第2のセルのTDD UL/DL構成に応じて、表10.2−1に基づいてダウンリンク基準UL/DL構成(DL-reference UL/DL configuration)が選択されることが説明されている。例えば
図12では、PCellがTDD UL/DL構成1を使用しており、SCell 1がTDD UL/DL構成0で動作しているものと想定している。この特定のケースにおいては、PCellのダウンリンクサブフレーム(すなわち0,4,5,9)は、第2のセルのダウンリンクサブフレーム(0,5)の上位集合である。したがって、たとえSCell 1が自身の通信用にTDD UL/DL構成0を使用している場合でも、SCell 1におけるHARQフィードバックは、実際にはTDD UL/DL構成1に定義されているタイミング(PCellによっても使用される)を使用することによって実行され(
図12の下部を参照)、TDD UL/DL構成1がダウンリンク基準UL/DL構成である(非特許文献2の表10.2−1のSet 1を参照)。
図12では、SCell 1のHARQフィードバックの表において、TDD UL/DL構成1に定義されているサブフレームのうち、SCell 1におけるHARQフィードバックを提供する場合に実際に使用されるサブフレームは、太字である。逆に、SCell 1のHARQフィードバックの表において、TDD UL/DL構成1に定義されているサブフレームのうち、SCell 1には対応するダウンリンクサブフレームが存在しないサブフレームには、×印が付いている(すなわちセル1のアップリンクサブフレーム19,24に対するHARQフィードバック)。これらの(×印が付いている)サブフレームに対しては、DTXが送信される。
【0096】
図13は、異なるTDD UL/DL構成を使用する2つのセルのTDDキャリアアグリゲーションにおけるHARQフィードバックの別の例を示しており、この場合、PCellがTDD UL/DL構成1を使用しており、SCell 1がTDD UL/DL構成3を使用しているものと想定する。標準規格の手順に従って、SCell 1のダウンリンク基準UL/DL構成はTDD UL/DL構成4であることが求められる(非特許文献2の表10.2−1のSet 3を参照)。
図13は、このダウンリンク基準構成が、SCell 1におけるHARQフィードバックにどのように適用されるかを示している。
図12ですでに説明したように、実際に使用されるサブフレームが太字であるのに対して、SCell 1には対応するダウンリンクサブフレームが存在しないサブフレーム(すなわちアップリンクサブフレーム14に対するHARQフィードバックであり、このサブフレームに対してはDTXが送信される)には×印を付してある。
【0097】
図12および
図13の上述した例では、2つのみのセルが考慮されているが、より多いセルを含むキャリアアグリゲーションにも同じコンセプトを適用することができ、その場合、追加のセルごとに適切なTDD UL/DL構成(またはダウンリンク基準UL/DL構成)を求め、その構成に従ってHARQフィードバックのタイミングが決まる。
【0098】
<アンライセンスバンドにおけるLTE: ライセンス補助アクセス(LAA)>
3GPPは、2014年9月に、アンライセンス周波数帯におけるLTE運用に関する新規の検討項目に着手した。LTEをアンライセンスバンドに拡張する理由は、無線ブロードバンドデータの需要がますます成長していることに加えて、ライセンスバンドの量が限られているためである。したがって、携帯電話の事業者が、アンライセンス周波数帯を自社のサービス提供を拡大するための補足的な手段とみなす傾向が強まっている。Wi−Fiなどの他の無線アクセス技術(RAT)に頼ることと比較したとき、アンライセンスバンドにおけるLTEの利点として、事業者およびベンダーは、アンライセンス周波数帯へのアクセスによってLTEプラットフォームを補足することによって、無線・コアネットワークのLTE/EPCハードウェアにおける既存の投資および今後の投資を活用することができる。
【0099】
しかしながら、アンライセンス周波数帯へのアクセスは、必然的にアンライセンス周波数帯における他の無線アクセス技術(RAT)と共存することになるため、ライセンス周波数帯へのアクセスの品質には絶対に匹敵し得ないことを考慮しなければならない。したがって、アンライセンスバンドでのLTE運用は、少なくとも最初は、アンライセンス周波数帯での単独の運用ではなく、ライセンス周波数帯でのLTEの補足とみなされるであろう。この想定に基づき3GPPは、少なくとも1つのライセンスバンドと併用してアンライセンスバンドでLTEを運用することに対して、ライセンス補助アクセス(LAA:Licensed Assisted Access)という用語を確立した。ただし将来における、LAA(ライセンス補助アクセス)に頼らないアンライセンス周波数帯でのLTEの単独運用が排除されるものではない。
【0100】
3GPPにおいて現在意図されている一般的なLAA(ライセンス補助アクセス)の方法は、すでに策定されているリリース12のキャリアアグリゲーション(CA)の枠組みを最大限に利用することであり、前に説明したようにキャリアアグリゲーション(CA)の枠組みの構成は、いわゆるプライマリセル(PCell)キャリアおよび1つまたは複数のセカンダリセル(SCell)キャリアを含む。キャリアアグリゲーション(CA)では、一般的に、セルのセルフスケジューリング(スケジューリング情報とユーザデータが同じコンポーネントキャリアで送信される)と、セル間のクロスキャリアスケジューリング(PDCCH/EPDCCHによるスケジューリング情報と、PDSCH/PUSCHによるユーザデータが、異なるコンポーネントキャリアで送信される)の両方がサポートされる。
【0101】
図14は、極めて基本的なシナリオを示しており、ライセンスPCellと、ライセンスSCell 1と、さまざまなアンライセンスSCell 2,3,4(例示的にスモールセルとして描いてある)とが存在する。アンライセンスSCell 2,3,4の送信/受信ネットワークノードは、eNBによって管理される遠隔無線ヘッドとする、またはネットワークにアタッチされているがeNBによって管理されないノードとすることができる。簡潔さのため、これらのノードからeNBまたはネットワークへの接続は、図に明示的には示していない。
【0102】
現在、3GPPにおいて想定されている基本的な方法は、PCellをライセンスバンドで動作させ、その一方で、1つまたは複数のSCellをアンライセンスバンドで動作させるというものである。この方式の利点として、制御メッセージと、高いサービス品質(QoS)が求められるユーザデータ(例えば音声および映像など)とを高い信頼性で送信するためにPCellを使用することができ、ただしその一方で、アンライセンス周波数帯におけるSCellは、必然的に他の無線アクセス技術(RAT)と共存するため、シナリオによって程度は異なるがQoSが大幅に低下することがある。
【0103】
3GPPにおけるLAA(ライセンス補助アクセス)の検討は、5GHzのアンライセンスバンドを中心として行われることが、RAN1#78bisにおいて合意された(ただし最終的な決定はなされていない)。したがって最も重要な問題の1つは、これらのアンライセンスバンドで動作するWi−Fi(IEEE 802.11)システムとの共存である。LTEと他の技術(Wi−Fiなど)との間の公平な共存をサポートし、さらに、同じアンライセンスバンドにおける複数の異なるLTE事業者間の公平性を保証する目的で、アンライセンスバンドでのLTEのチャネルアクセスでは、地域および特定の周波数帯によって異なる特定の一連の規制に従わなければならない。5GHzのアンライセンスバンドでの運用に関する規制要件の包括的な説明は、非特許文献3(参照により本明細書に組み込まれている)に記載されている。LAA(ライセンス補助アクセス)手順を設計するときに考慮しなければならない規制要件には、地域および帯域によって異なるが、動的周波数選択(DFS:Dynamic Frequency Selection)、送信電力制御(TPC:Transmit Power Control)、リッスンビフォアトーク(LBT:Listen Before Talk)、最大送信時間長が限られた不連続送信、が含まれる。3GPPの意図は、LAA(ライセンス補助アクセス)の国際的な単一の枠組みを目標とすることであり、すなわち基本的には、システムを設計する場合、さまざまな地域および5GHz帯域に関するすべての要件を考慮しなければならない。
【0104】
DFS(動的周波数選択)は、レーダーシステムからの干渉を検出してこれらのシステムとの同一チャネル動作を回避する目的で、特定の地域および帯域に要求される。この目的は、周波数帯のほぼ均一な負荷をさらに達成することである。DFS(動的周波数選択)の動作および対応する要件は、マスター/スレーブ原理に関連する。レーダー検出を実施する目的で、マスターがレーダー干渉を検出するが、このときマスターに関連付けられる別の装置に頼ることができる。
【0105】
5GHzのアンライセンスバンドでの運用は、ほとんどの地域では、ライセンスバンドでの運用と比較してかなり低い送信電力レベルに制限され、結果としてカバレッジ領域が小さい。たとえライセンスキャリアとアンライセンスキャリアが同じ電力で送信された場合でも、5GHz帯域におけるアンライセンスキャリアによってサポートされるカバレッジ領域は、信号の経路損失およびシャドウイング効果が大きいことに起因して、2GHz帯域におけるライセンスキャリアよりも通常では小さいものと予測される。特定の地域および帯域に関するさらなる要件として、同じアンライセンスバンドで動作する他の装置に引き起こされる干渉の平均レベルを低減する目的で、TPC(送信電力制御)を使用する。
【0106】
装置は、LBT(リッスンビフォアトーク)に関する欧州の規制に従って、無線チャネルを占有する前に空きチャネル判定(CCA:Clear Channel Assessment)を実行しなければならない。例えばエネルギ検出に基づいてチャネルが空きとして検出された後にのみ、アンライセンスチャネルでの送信を開始することが許可される。CCA(空きチャネル判定)時、装置は特定の最小時間にわたりチャネルを監視しなければならない。検出されたエネルギレベルが、設定されているCCAのしきい値を超える場合、チャネルは占有されているとみなされる。チャネルが空きとして分類される場合、装置はただちに送信することが許可される。これにより、同じ帯域で動作する他の装置との公平なリソース共有を促進する目的で、最大送信時間長が制限される。
【0107】
<6つ以上のキャリアの場合のLTEキャリアアグリゲーションの機能強化>
LAA(ライセンス補助アクセス)によって、5GHz帯域におけるアンライセンス周波数帯の周波数帯機会(spectrum opportunities)を獲得する方向に、LTEのキャリアアグリゲーション機能を拡張することに関心が寄せられるようになった。5GHz帯域において動作するWLANは、最近ではすでに80MHz幅をサポートしており、これに続いてIEEE 802.11acのWave 2配備(Wave 2 deployment)では160MHz幅がサポートされる。LTEにおいてすでに幅広く使用されている帯域に加えて、他の周波数帯域(3.5GHzなど)もあり、同じ帯域における2つ以上のキャリアのアグリゲーションも可能である。
【0108】
LAA(ライセンス補助アクセス)と組み合わせて、LTEの少なくとも類似する帯域幅の利用をIEEE 802.11ac Wave 2として可能にすることによって、6つ以上の(少なくともダウンリンク)キャリアがサポートされるようにキャリアアグリゲーションの枠組みを拡張する要求が支援される。キャリアアグリゲーション(CA)の枠組みを6つ以上のキャリアに拡張することにより、事業者は、通信ニーズ用の利用可能な周波数帯をより効率的に利用することが可能になる。
【0109】
すでに認識されているように、コンポーネントキャリアの数の増大に伴って、キャリアアグリゲーション(CA)のすべての側面がそのまま増大するわけではない。一例として、キャリアアグリゲーション(CA)に対応するUEの数および/またはアグリゲートされるコンポーネントキャリアの数が増えると、PCellとして使用されるセルの負荷は大きく高まる。この理由は、PCellのみに適用される重要な機能(例えばPUCCHの送信)が存在するためである。サポートされるコンポーネントキャリアの数が増えると、CA対応UEあたり要求されるPUCCHペイロードサイズをかなり大きく増やす必要があり、CA対応UEの数の増大に伴って、PCellのアップリンク負荷に対するさらに重大な影響が生じる。すべてのPUCCH送信をPCellに収容することは、必然的に性能(特に、CA非対応UEの性能)に影響する。
【0110】
この場合、マクロセルと、RRH(リモートラジオヘッド)によってサーブされるスモールセルとの間でPCellを変えることによって、ネットワーク内のUEのPUCCHリソースを分散させることができ、したがって過負荷の問題を解決することができる。しかしながらこれにより、スモールセルの機器(RRHなど)が簡単な方法で設置されるという恩恵がなくなる。
【0111】
キャリアアグリゲーションの場合にSCellにおけるPUCCHをサポートし、また、キャリアアグリゲーション能力を最大32個のコンポーネントキャリアに拡張するための検討が行われている。非特許文献4に定義されているように、対応する作業項目の詳細な目標は以下のとおりである。
【0112】
1.リリース12のキャリアアグリゲーション(CA)の設定を対象として、アップリンクのキャリアアグリゲーションをサポートするUEのための、SCellにおけるPUCCHのサポートを規定して完了させる。
・ 二重接続の場合のUCIのメカニズム(すなわちPUCCHがPCellおよび1つのSCellにおいて同時に設定される)と、リリース12のCA設定において定義されている、PUCCHでのUCIシグナリングフォーマットとに基づいて、SCellにおけるPUCCHのための物理層の仕様を開発する[RAN#68までのRAN1]。
・ UEでのSCellにおけるPUCCHをサポートするための必要な第2層/第3層の機能および手順を明らかにして規定する[RAN2]。
【0113】
2.ダウンリンクおよびアップリンクにおける最大32個のコンポーネントキャリアのLTEキャリアアグリゲーションを可能にするための必要なメカニズムを規定する。これは以下を含む。
・ セルフスケジューリングおよびクロスキャリアスケジューリングの両方を含めて、最大32個のコンポーネントキャリアの場合のダウンリンク制御シグナリングの機能強化(存在時)[RAN1]
・ 最大32個のコンポーネントキャリアの場合のアップリンク制御シグナリングの機能強化[RAN1]
・ 最大32個のダウンリンクキャリアの場合のPUCCHにおけるUCIフィードバックをサポートするための機能強化
・ 最大32個のダウンリンクキャリアの場合のUCIフィードバックをサポートするため、UCIのシグナリングフォーマットの必要な機能強化を規定する
・ 最大32個のダウンリンクキャリアの場合のPUSCHにおけるUCIフィードバックをサポートするための機能強化
・ UEが最大32個のコンポーネントキャリアをアグリゲートするための上位層の機能強化(認識された場合)[RAN2]
【0114】
3.eNBおよびUEの必要な中心的要件(存在時)を規定する[RAN4]
・ この作業項目の一部として、特定の帯域を対象とするRAN4作業は予定されていない。
【0115】
<<PUCCHグループ>>
リリース12において二重接続(DC)が開発され、二重接続(DC)では、UEは、セルグループ(CG)にまたがる同時のPUCCH/PUCCH送信および同時のPUCCH/PUSCH送信を含むアップリンクキャリアアグリゲーション(UL−CA)の能力を有することが要求される。リリース12の二重接続に関する作業項目では、二重接続におけるPUCCHメカニズムを最大限に再使用することによって、CAの場合のSCellにおけるPUCCHが導入されることになっていた。しかしながらリリース12における日程が厳しかったため、これは作業項目の目標からはずされた。
【0116】
したがって、CAの場合のSCellにおけるPUCCHのサポートは、開発シナリオ#4において不可欠であると考えられる。物理層の観点からは、リリース12の二重接続の作業項目において最初に予定されていたように、二重接続のUCIフィードバックメカニズムをCAの場合においてかなりの部分を再使用することが可能である。さらには、アグリゲートすることのできるダウンリンクキャリアの数が増えることを考えたとき、CAの場合のSCellにおけるPUCCHによって、PUCCHに関連する負荷を軽減することができる。
【0117】
最大32個のコンポーネントキャリアがサポートされるようにCAを拡張するためには、SCellにおけるPUCCHまたはデュアルPUCCHを導入する以外に、1つのアップリンクキャリアで伝えられるHARQ−ACKフィードバックおよびCSIフィードバックに関する機能強化も求められる。このような機能強化によって、TDD PCellを含むCA動作(PDSCHでのHARQ−ACKフィードバックがすでに3つのコンポーネントキャリアに制限されている)を改良することもできる。
【0118】
RAN1#80では、作業項目「LTE Carrier Aggregation Enhancement Beyond 5 Carriers” discussion, also taken from RP-142286(6つ以上のキャリアのLTEキャリアアグリゲーションの機能強化(RP-142286からも引用))」の検討の中で、以下の合意に達した。
【0119】
・ リリース12のCAの設定に対して、リリース12の二重接続の作業項目の中で達成された、SCellにおけるPUCCHの合意を、基準として設定する。
− 2つのサービングセルでのPUCCH送信は、以下の方法によって実施する。
・ PUCCHセルグループ1では、SCellについてはPCellで伝える
・ PUCCHセルグループ2では、SCellについては、PUCCHを伝えるように上位層シグナリングによって設定された1つのSCellで伝える
・ 1つのSCellは、1つのPUCCHセルグループのみに属すことができる
・ 2つのサービングセルの一方がPCellである
・ FFS: 異なるPUCCHセルグループ内のセルの間でのクロスキャリアスケジューリングは行わない
・ SCellにおけるPUCCHは、HARQ−ACKおよびCSIを伝えることができる
− SCellのみにおけるPUCCH(すなわちPCellにおけるPUCCHが存在しない)は、リリース13ではサポートされない
【0120】
現在、2つのPUCCHセルグループがサポートされており、PUCCHセルグループ1ではPUCCH送信にPCellが使用されるように定義される。PUCCHセルグループ2では、1つのSCellがPUCCH送信に使用されるように設定される。この場合、さまざまなセルがPUCCHセルグループ1および2に割り当てられ、したがって、特定のセルのPUCCHは、その特定のセルが属するそれぞれのPUCCHセルグループのPUCCH送信に使用されるように定義されているセルを介して、送信される。
【発明を実施するための形態】
【0139】
「移動局」または「移動ノード」または「ユーザ端末」または「ユーザ機器」は、通信ネットワーク内の物理エンティティである。1つのノードがいくつかの機能エンティティを有することができる。機能エンティティとは、所定の一連の機能を実施する、および/または、所定の一連の機能をノードまたはネットワークの別の機能エンティティに提供するソフトウェアモジュールまたはハードウェアモジュールを意味する。ノードは、通信機器または通信媒体にノードをアタッチする1つまたは複数のインタフェースを有することができ、ノードはこれらのインタフェースを通じて通信することができる。同様に、ネットワークエンティティは、機能エンティティを通信機器または通信媒体にアタッチする論理インタフェースを有することができ、ネットワークエンティティは論理インタフェースを通じて別の機能エンティティや通信相手ノードと通信することができる。
【0140】
特許請求の範囲および本出願において使用されている用語「無線リソース」は、物理無線リソース(時間−周波数リソースなど)を意味するものと広義に理解されたい。
【0141】
背景技術のセクションで説明したように、将来的な3GPPリリースでは、6つ以上のキャリア(特に、最大32個のキャリア)の設定がサポートされる。これを目的として、増大した数のキャリアに関連して生成される増大したアップリンクフィードバックに対処するため、新規のPUCCH手順が必要である。設計の目標は、特に、アップリンク電力が制限されているUEにおけるPUCCHオーバーヘッドを低減することである。
【0142】
本発明者は、上に説明した問題を軽減するため、以下の例示的な実施形態を着想した。
【0143】
これらの実施形態のいくつかは、3GPPの標準規格に規定されており背景技術のセクションで一部を説明した広い仕様の範囲内で実施され、さまざまな実施形態に関連する以下に説明されている特に重要な特徴が追加されている。なお、これらの実施形態は、例えば背景技術のセクションで説明した3GPP LTE−A(リリース10/11/12/13)の通信システムなどの移動通信システムにおいて有利に使用することができるが、これらの実施形態は、この特定の例示的な通信ネットワークでの使用に限定されないことに留意されたい。
【0144】
以下の説明は、本開示の範囲を限定するものとして理解されるべきではなく、本開示をよりよく理解するための実施形態の単なる例として理解されたい。特許請求の範囲で提示される本開示の一般原則は、異なるシナリオに、本明細書で明示的に記載されない方法で適用することができることが、当業者には理解されよう。同様に、さまざまな実施形態の説明を目的とすることを前提とする以下のシナリオは、本発明およびその実施形態をそのようなものとして限定しない。
【0145】
いくつかの例示的な実施形態によると、HARQフィードバックが提供される対象のコンポーネントキャリアの数の増大に対処するため、PUCCHセルグループのコンセプトを拡張する。具体的には、多数の(すなわち現在サポートされている2つより多くの)PUCCHセルグループを定義することができる。なお、この点において、最大5つのサービングセルのPUCCHを1つのPUCCHグループで送信することができ、したがって、作業項目によって想定されている32個のキャリアをサポートできるようにするためには、7つのPUCCHセルグループが定義されることに留意されたい。この実施形態は、増大する数のキャリアに対処することができるためすでに有利であるが、以下では、異なるコンセプトに基づくいくつかの追加の例示的な実施形態について説明する。
【0146】
背景技術のセクションで説明したように、通信の信頼性を高めるため、UEとeNBとの間でのHARQが採用されている。したがって、以下に説明する例示的な実施形態では、UEとeNBの間の(少なくとも)ダウンリンク通信に対して再送信プロトコル(HARQ)が使用されるものと想定し、したがってUEは、ダウンリンクデータ(すなわちPDCCH、PDSCH)に関するフィードバック情報(HARQフィードバック)をeNBに提供する。HARQフィードバックをeNBに提供するタイミングは、HARQプロトコルによって定義されている。例えばFDDでは、4msのオフセットを使用し、またはTDDでは、HARQタイミングテーブルに基づく。一般的には、背景技術のセクションにおいて
図5、
図6a、
図6b、および
図7〜13に関連して詳細に示した、FDDおよびTDDの場合のタイミングを、例示的な実施形態において再使用することができる。言い換えれば、例示的な実施形態では、現在標準化されている(または今後標準化される)HARQフィードバックのタイミングを変更する必要がなく、このタイミングに従って生成されるHARQフィードバックの次の処理に焦点をあてる。このことは、実施形態のコンセプトを説明するために選択した特定の例の以下の説明によって、さらに明らかになるであろう。
【0147】
以下では、さまざまなセルを含むキャリアアグリゲーションを使用するようにUEが設定されているシナリオを考える。例示的な実施形態は、キャリアアグリゲーションの対象として設定されているセルの数が増大するに伴って特に有利になり、したがって、6つ以上のキャリアが存在するシナリオにおいて特に重要であると考えられる(背景技術のセクションで説明した新しい作業項目を参照)。しかしながら、例示的な実施形態はこのようなシナリオに制限されることはなく、2つのみのセルを含むキャリアアグリゲーションの場合にも適用することができる。
【0148】
説明を単純にするためのさらなる想定として、1つのみのコードワードが送信される(すなわち空間多重化が使用されない)。ただし本発明は、後から説明するように、2つのコードワードが送信されるときにも適用することができる。
【0149】
例示的な実施形態では、背景技術のセクションで説明した通常のHARQ構成に加えて、複数の異なるセルのHARQフィードバックをグループ化するため、(別の)セルバンドリンググループを導入する。より詳細には、それぞれのUEに対して設定されている2つ以上のセルをグループ化するため、UEあたり少なくとも1つのセルバンドリンググループが定義される。1つのセルバンドリンググループをどのセルが形成するかは、例えばeNBが決定することができ、それに応じてeNBは、(例えば上位層シグナリングを適切に使用して)それぞれのUEを設定することができる。
【0150】
UEのさまざまなセルをどのようにグループ化するかの1つのオプションとして、特定のタイプのすべてのセルを1つのセルバンドリンググループの中にグループ化する。例えば、すべてのアンライセンスセルが1つのグループを形成することができ、その一方で、残りのライセンスセルも1つまたは複数のセルバンドリンググループの中にグループ化することができる(これに代えて、残りのライセンスセルはセルバンドリンググループの中にグループ化しない)。
【0151】
セルバンドリンググループの数、および/または、eNodeBによって実行されるセルのグループ化は、UEの能力および現在のアップリンク状態に応じたものとすることもできる。例えば、現時点でアップリンク電力が制限されている(すなわち多すぎるPUCCHをeNodeBに送信できない、および/または、PUCCHあたり数個のビットしか送信できない)UEに対しては、PUCCH負荷が軽減するように、最初は、より少ないセルバンドリンググループを定義する、および/または、各セルバンドリンググループに、より多数のセルを関連付ける。
【0152】
セルバンドリンググループは、必要な場合(例えばUEのアップリンク状態が大幅に変化した場合)、eNodeBによって再設定することもできる。
【0153】
いずれの場合にも、以下では、UEに対して1つまたは複数のセルバンドリンググループが定義されており、各セルバンドリンググループが少なくとも2つのセルを互いに関連付けているものと想定する。なお、1つの特定のセルは1つのセルバンドリンググループのみに関連付けられることに留意されたい。しかしながら、すべてのセルをセルバンドリンググループに関連付ける必要はなく、ただし例示的な実施形態を適用するためには、少なくとも2つのセルを含む少なくとも1つのセルバンドリンググループが定義されている必要がある。
【0154】
以下では、FDDを採用するシナリオにおいて実施される例示的な実施形態について、
図15に関連して説明する。
図15で使用されているこのシナリオと、さらに残りの図においては、2つのセルバンドリンググループ(セルバンドリンググループ0およびセルバンドリンググループ1)が定義されており、各セルバンドリンググループにそれぞれ3つの異なるセルが割り当てられているものと想定する。具体的には、セル0(PCell)、セル2、およびセル5がセルバンドリンググループ0に割り当てられており、その一方で、インデックス1,3,4のセルがセルバンドリンググループ1に割り当てられている。当然ながら、6つのセルのこの特定のグループ化は、例示的にUEに設定されているにすぎないものと想定する。さまざまな例示的な実施形態を説明するために選択されたこの例示的なシナリオでは、例示的な6つのセルをグループ化するために定義された2つのセルバンドリンググループが存在するが、UEに対して設定されているものと想定する6つのセルをグループ化するために、1つのみのセルバンドリンググループまたは3つのセルバンドリンググループを定義することもできる。
【0155】
FDDシステムにおいては、HARQフィードバックタイミングは、背景技術のセクションで説明したように、HARQフィードバックが、対応するダウンリンク送信より4つのサブフレームだけ後にアップリンクで提供されるというタイミングである。本発明の例示的な実施形態によると、
図15にサブフレーム0について示したように、サブフレームごとに、かつセルバンドリンググループごとに、クロスキャリアバンドリングが実行される。したがって、セルバンドリンググループ0では、セルバンドリンググループ0のさまざまなセルのサブフレーム0においてHARQフィードバックが生成された場合、PCellのサブフレーム4で送信されるように、(論理AND演算の使用によって)一緒にバンドルされる。言い換えれば、バンドルされたHARQを生成するため、セル0、セル2、およびセル5のそれぞれのサブフレーム0に対して生成されたHARQフィードバックが一緒にバンドルされる。
【0156】
例えば、UEが3つのダウンリンク送信(それぞれセル0,2,5のサブフレーム0におけるダウンリンク送信)を受信して正しく符号化した場合、UEは、無線基地局に送信されるように3つのACKを生成する。これら3つのACKを(この場合には論理AND演算によって1つのACKに)バンドルすることによって、3つのACKの代わりに1つのACKのみが、PCellのサブフレーム4においてeNodeBに送信される。当然ながら、HARQフィードバックのバンドリングでは、現在のHARQ動作から公知であるようにNACKおよびDTXをバンドルすることもできる。
【0157】
同じことは、セルバンドリンググループ1にもあてはまり、セル1,3,4のサブフレーム0において生成されたHARQフィードバックをグループ化/バンドルし、バンドルされたHARQフィードバックをPCellのサブフレーム4を介して送信する。結果として、2つのHARQフィードバックが、例えば、両方を送信するためチャネル選択を含むPUCCHフォーマット1bを使用することによって、PCellのサブフレーム4を介して送信され、あるいはPUCCHフォーマット3を使用することができる(eNBによってそのように設定されている場合)。
【0158】
FDDに適用されるコンセプトの上の説明から理解できるように、クロスキャリアバンドリングのコンセプトが適用されることによって、HARQフィードバックの数はセルバンドリンググループの数によって決まり、セルバンドリンググループにそれぞれ割り当てられているセルの数とは無関係である。
【0159】
図15には示していないが、無線フレームの各サブフレームについて同じ手順を繰り返すことができる。
【0160】
このコンセプトの1つの利点として、特に、サポートされている、設定されるキャリアの数が最大32個のキャリアに増大するときに、PUCCHオーバーヘッドを制限することができる。アップリンクリソースが制限されているとき、PUCCH送信に必要な総アップリンクリソースが減少する。
【0161】
このコンセプトの別の利点として、アップリンク電力が制限されているUEに対して、ダウンリンクキャリアアグリゲーションをサポートすることができる。アップリンクのチャネル条件および干渉状況がダウンリンクとは異なるとき、ダウンリンクに複数のキャリアを設定する一方で、アップリンクでは限られた数のACK/NACKビットを送信する。アップリンクのSINR(信号対干渉雑音比)が異なるUEに対しては、異なるバンドリングレベルを設定することができ、したがってアップリンクで異なる数のACK/NACKが送信される。
【0162】
このコンセプトの別の利点として、動的なセル選択を達成することができる。すなわち、1基のUEに対して多数のサービングセルが設定されており、したがってeNBは、UEをスケジューリングする対象のセルを、これらのセルの中から動的に選択することができる。この場合、多数のダウンリンクサービングセルが設定される。しかしながら、そのうちの数個のサービングセルのみが一度にスケジューリングされる。このコンセプトでは、アップリンクオーバーヘッドを増大させることなく動的なセル選択をサポートすることができる。
【0163】
FDDに適用されるこのコンセプトのさらなる改良形態においては、背景技術のセクションで説明したHARQ動作の場合と同じ目的で第3の状態(DTX)をフィードバックするため、TDDの用法からすでに公知であるダウンリンク割当てインデックス(DAI)(例えば背景技術のセクションを参照)を実施することができる。より詳細には、一般的にDAIは、その時点までにUEがバンドリングウィンドウ内で受信したはずのダウンリンク送信の数を示す。
図15のこの例示的なシナリオにおけるバンドリングウィンドウは、サブフレームごとの、かつセルバンドリンググループごとの、セルバンドリンググループの中のそれぞれの異なるセルであると考えることができる。例えば、セルバンドリンググループ0においては、サブフレーム0のための1つのバンドリングウィンドウは、セル0、セル2、およびセル5からのHARQフィードバックを含み、サブフレーム1を対象とする次のバンドリングウィンドウも、セル0、セル2、およびセル5からのHARQフィードバックを含み、以下同様である。したがって、eNodeBは、1つのセルバンドリンググループ内のサービングセルのインデックスが増える順に、対応するPDCHHの中の対応するダウンリンク割当てインデックス(DAI)を連続的に大きくして送信する。例えば、セル0におけるPDSCH送信が存在する場合、対応するPDCCHの中のDAIは「00」を示す。セル2におけるPDSCH送信も存在する場合、対応するPDCCHの中のDAIは「01」を示し、以下同様である。しかしながら、セル2におけるPDSCH送信は存在しないが、セル5におけるPDSCH送信が存在する場合、対応するPDCCHの中のDAIは「01」を示す。
【0164】
ここまでFDD動作におけるコンセプトについて説明したが、以下では、セルのTDD動作の場合について説明する。前に背景技術のセクションで説明したように、TDD動作におけるHARQフィードバックはより複雑であり、なぜなら(各セルの)同じアップリンクサブフレームの中で、いくつかのACK/NACKを送信しなければならないことがあるためである(例えば
図6aを参照)。結果として、TDDに適用可能な例示的な実施形態も、FDDの場合の例示的な実施形態の上述した実施と比較して、より複雑である。しかしながら、いくつかのセルのHARQフィードバックを一緒にグループ化するためにセルバンドリンググループを使用するというコンセプトは同じである。
【0165】
FDD動作の場合と同じ想定を行うことができ、すなわち、UEに対して合計6つのセルが設定されており、それぞれ3つのセルを含む2つのセルバンドリンググループがUEに対して設定されている。最初に、説明を容易にする目的で、すべてのセルが同じTDD UL/DL構成(この場合には構成1)に従って動作するものと想定する(背景技術のセクションで、現在標準化されているHARQ動作について
図11に関連して説明するために使用した例に似ている)。
【0166】
TDDにおけるHARQ動作では、1つのセルから、いくつかの以前のダウンリンクサブフレームに対するACK/NACK/DTXを同じアップリンクサブフレームの中で送信することがあるため、それぞれのアップリンクサブフレームの中で送信されるのを実際に待機しているフィードバック情報をどのようにバンドルするかに関して、2つの代替の例示的な実施形態が可能である。第1の代替の例示的な実施形態について、
図16〜
図18に関連して説明し、第2の代替の例示的な実施形態について、
図19〜
図21に関連して説明する。第1の代替の例示的な実施形態によると、PUCCHが送信されるセル(この場合にはPCellであると想定する)の各アップリンクサブフレームにおいて、各セルバンドリンググループ内で、HARQフィードバックの特定の順序におけるHARQフィードバックのクロスキャリアバンドリングが実行され、したがって、同じセルバンドリンググループの複数の異なるセルの同じ順序のフィードバック項目がバンドルされる。言い換えれば、HARQフィードバック項目の順序ごとに、かつセルバンドリンググループごとに、1つのバンドルされたHARQフィードバック情報を生成するため、各セルバンドリンググループにおいて、それぞれのセルバンドリンググループのすべてのセルの以前の(ダウンリンク)サブフレームに関連して生成されたHARQフィードバック項目を、特定の順序でバンドルする。上のコンセプトは、
図16〜
図18において選択された例示的なシナリオを用いて説明することで、より明らかになるであろう。
【0167】
図16を参照し、第1の代替の例示的な実施形態に従ってPCellのアップリンクサブフレーム7において実行されるHARQフィードバック動作について説明する。前にすでに想定したように、現在標準化されているHARQ動作のHARQタイミング(
図6a,6bを参照)を(再)利用するものとし、すなわち、この例示的なケースにおいては、同じ無線フレームのサブフレーム0およびサブフレーム1に対するHARQフィードバックが、アップリンクサブフレーム7において無線基地局に提供されるというタイミングである。したがって、TDD UL/DL構成1に従って動作している6つのセルそれぞれにおける、サブフレーム0およびサブフレーム1に対するHARQフィードバック(生成された場合)が、(この例示的なシナリオにおいてPUCCHを送信するのに使用されるものと想定されているPCellの)アップリンクサブフレーム7を介して、無線基地局に送信される。
【0168】
図16から明らかであるように、セル0,2,5のサブフレーム0に関するHARQフィードバックが(論理AND演算を使用して)一緒にバンドルされるように、1つのセルバンドリンググループ内に関連付けられているさまざまなセルにまたがってHARQフィードバックがバンドルされる。同じ手順は、セルバンドリンググループ0のセル0,2,5のサブフレーム1に関するHARQフィードバックに適用され、3つのHARQフィードバック項目が一緒にバンドルされる。同じ手順は、セルバンドリンググループ1およびそれぞれのセル1,3,4に適用され、サブフレーム0およびサブフレーム1に対する、バンドルされたHARQフィードバックが生成される。これらの4つのバンドルされたHARQフィードバックが、アップリンクサブフレーム7においてPCellを介して送信される。
【0169】
図16の右側には、アップリンクサブフレーム7において送信待ち状態にあるHARQフィードバックの同じバンドリングを、別の形で示してある。
図16の右側は、アップリンクサブフレーム7の観点から示しており、2つのセルバンドリンググループおよびそれらの各3つのセルにおいて、どのサブフレームのどのHARQフィードバックが待ち状態でありうるかを示している。したがって、
図16において選択された単純なシナリオの結果として、両方のセルバンドリンググループの各セルにおいて、サブフレーム0およびサブフレーム1に対するHARQフィードバック(ACK/NACK/DTX、すなわちA/N/D)が待ち状態でありうる(すなわちHARQ−A/N/D(0)およびHARQ−A/N/D(1))。バンドリングにおいて守られる上述した特定の順序は、例えば、
図6a/6bのHARQフィードバックタイミングテーブルによって示されるサブフレームの順序とすることができる。TDD UL/DL構成1かつアップリンクサブフレーム7というこの特定のケースでは、サブフレーム0(すなわち「−7」)に対するHARQフィードバックが最初の順序であり、サブフレーム1(すなわち「−6」)に対するHARQフィードバックが2番目の順序である。したがって、
図16の右側に示したように、各セルバンドリンググループにおいて、それぞれのセルバンドリンググループのセルそれぞれの最初の順序のサブフレームに対するHARQフィードバックが一緒にバンドルされ、次いで、それぞれのセルバンドリンググループの各セルの2番目の順序のサブフレームに対するHARQフィードバックが一緒にバンドルされ、以下同様である。
【0170】
したがって、バンドルされたHARQフィードバック情報は、セルバンドリンググループごとに、かつ利用可能な(すなわち送信待ち状態にある)HARQフィードバックの順序ごとに生成され、次いでアップリンクサブフレームを介して送信される。
【0171】
図17は、
図16に関連してすでに説明した同じ第1の代替の例示的な実施形態を、さらに別の形で示している。この説明は
図6aに基づいており、
図6aは、TDD UL/DL構成1に従って動作するさまざまなセルによって守られるさまざまなHARQフィードバックタイミングを示している。
図17は、アップリンクサブフレーム7において送信されるHARQフィードバックのみに限定されておらず、すべての対応するアップリンクサブフレームに本コンセプトをどのように適用するかを示しており、この方法を各無線フレームにおいて繰り返すことができる。図から理解できるように、アップリンクサブフレーム3では、各セルにおいて、4つのサブフレームだけ前のサブフレーム(すなわち前の無線フレームのサブフレーム9)に関するHARQフィードバックが送信待ち状態でありうる。第1の代替の例示的な実施形態に従って、セルバンドリンググループの各セルにおいて、前の無線フレームのサブフレーム9に関するそれぞれのHARQフィードバックをバンドルし、セルバンドリンググループごとに、バンドルされたHARQフィードバックを生成し、次いでこれらをさらに処理し、一緒にアップリンクで送信することができる。
【0172】
HARQフィードバックを実際に送信するため、バンドルされたHARQフィードバックを多重化し、生成されてバンドルされたHARQフィードバックすべてを伝えるための適切なPUCCHフォーマットをUEが選択するものと想定する。例えば、この特定のシナリオにおいて、サブフレーム7におけるアップリンクフィードバック(2つのセルバンドリンググループの4つの(バンドルされた)HARQフィードバックが送信される)を考えると、例えばチャネル選択を含むPUCCHフォーマット1bを使用することができ、この場合、(背景技術のセクションで説明した
図10と比較して)各セルバンドリンググループは個別のセルであるものとして扱われる。
【0173】
上のシナリオでは、UEに対して設定されている6つのセルが同じTDD UL/DL構成に従って動作するものと想定した。しかしながら、例示的な実施形態は、セルが異なるTDD UL/DL構成に従って動作する場合にも適用することができる。特に、上に説明したように、この特定の例示的な実施形態では、現在標準化されているHARQ動作に対して定義されているHARQタイミングを再使用することができ、標準のHARQ動作では、現在、TDDにおいてキャリアアグリゲーションを使用する場合のHARQ動作(背景技術のセクションで
図12および
図13に関連して説明したように、さまざまなセルが異なるTDD UL/DL構成に従って動作する)もサポートする。
【0174】
図18では、同じ第1の代替の例示的な実施形態が、
図16および
図17において前に使用されたように適用されるが、さまざまなセルすべてが同じTDD UL/DL構成を使用していない。
図18は、
図6bに関連して説明したHARQタイミングに基づいており、すなわち、それぞれのアップリンクサブフレームにおいてHARQフィードバックが待ち状態にある対象のサブフレームを直接示している。説明を目的として、PCellがTDD構成1を使用し、セル1、セル2、およびセル4がTDD UL/DL構成0を使用し、セル5およびセル3がTDD UL/DL構成3を使用するものと想定する。
図18は、さまざまなセルの複数の異なるHARQフィードバックが、各セルに指定されているHARQフィードバックタイミングに従ってどのようにバンドルされるかを示している。
図18は、各セルについて、適用される対応するHARQフィードバックタイミングを示している。背景技術のセクションで
図12および
図13に関連して説明した方法と同じように、PCell(PUCCHを送信するのに使用される)とは異なるTDD構成に従って動作するSCellの特定のHARQフィードバックタイミングは、
図6a,6bのHARQフィードバックテーブルによって直接定義されているフィードバックタイミングと同じである必要はなく、別のダウンリンク基準構成のフィードバックタイミングに従うことができる。したがって、
図18において選択されているこのシナリオでは、セル1、セル2、およびセル4(いずれもTDD UL/DL構成0に従って動作するように構成されている)のHARQフィードバックタイミングは、TDD UL/DL構成1のHARQフィードバックタイミングに従い、この場合、ダウンリンクサブフレームではなくアップリンクサブフレームであるサブフレーム(すなわちアップリンクサブフレーム19,24に対するHARQフィードバック)には×印を付してある。同様に、セル3およびセル5(いずれもTDD UL/DL構成3に従って動作するように構成されている)のHARQフィードバックタイミングは、実際にはTDD UL/DL構成4のHARQフィードバックタイミングに従い、この場合、実際にはアップリンクサブフレームに関連するサブフレーム(すなわちサブフレーム14に対するHARQフィードバック)には×印を付してある。
【0175】
前に説明した第1の代替の例示的な実施形態のコンセプトに基づき、HARQフィードバックを、1つのセルバンドリンググループに関連付けられているさまざまなセルにまたがって、HARQフィードバックの順序に基づいてバンドルする。例えば、アップリンクサブフレーム22、セルバンドリンググループ0の場合、最大で、セル0およびセル2のサブフレーム15,16に対するHARQフィードバックと、セル5のサブフレーム10,14(この場合DTX),15,11に対するHARQフィードバックが、待ち状態となりうる。したがって、それぞれのセル0,2,5における以前のダウンリンクサブフレーム15,15,10に対するHARQフィードバックは、同じ最初の順序にあり、したがって一緒にバンドルされる。このことは、アップリンクサブフレーム22の2番目の順序のHARQフィードバックにも同様にあてはまり、この場合、それぞれのセル0およびセル2の以前のダウンリンクサブフレーム16に対するHARQフィードバックと、セル5のアップリンクサブフレーム14に対するDTXが、一緒にバンドルされる。セル5の以前のダウンリンクサブフレーム15,11に関連するHARQフィードバックは、アップリンクサブフレーム22における他の3番目の順序のHARQフィードバックが存在しないため、バンドルされず、単独で送信される。同じコンセプトは、セルバンドリンググループ1およびそのサブフレーム22にも、個別に適用される。このようにしてアップリンクサブフレーム22に生成された、バンドルされたHARQフィードバックおよびバンドルされていないHARQフィードバックを、(多重化して)アップリンクでPCellを介してeNodeBに送信することができる。
【0176】
図18から明らかであるように、この手順は、対応する各アップリンクサブフレームに同様に適用される。
【0177】
以下では、TDDで動作しているセルのHARQフィードバックをバンドルするために使用することのできる、第2の代替の例示的な実施形態について説明する。この第2の代替の例示的な実施形態においても、
図16〜
図18においてすでに想定したシナリオと同じシナリオを想定することができる。したがって、
図19は、TDD UL/DL構成1に従って動作している6つのセルのセルアグリゲーション(cell aggregation)を示しており、この場合、UEに対してセルバンドリンググループ0およびセルバンドリンググループ1が定義されており、各セルバンドリンググループはこれらのセルのうちの3つに関連付けられている。
図16に関連して行った説明と同様に、第2の代替の例示的な実施形態は、PCellのアップリンクサブフレーム7における動作について説明してあり、この場合、各セルにおいて、以前のダウンリンクサブフレーム0および1に対するHARQフィードバックが送信待ち状態でありうる。
【0178】
この第2の代替の例示的な実施形態によると、各セル内でフィードバック情報項目をバンドルし、次いでセルバンドリンググループ内で多重化する。言い換えれば、バンドリングは、同じセルのフィードバック情報項目がバンドルされるように実行される。このことは
図19から理解することができ、
図19では、各セルにおいて、それぞれのセルのサブフレーム0およびサブフレーム1に対するHARQフィードバックが(論理AND演算の使用によって)一緒にバンドルされる。
図19の右側から明らかであるように、セルごとに、バンドルされたHARQフィードバックを生成し、次いでセルバンドリンググループ内でそれぞれのセルのインデックスの昇順に連結する(ここでは、セル0のHARQフィードバックが最初であり、次いでセル2のHARQフィードバック、最後にセル5のHARQフィードバック)。次いで、このようにして生成およびバンドルされたHARQフィードバックを、PCellを介してeNodeBに送信されるように多重化する。
【0179】
図20は、アップリンクサブフレーム7のみならず、無線フレームの他のアップリンクサブフレーム(すなわちアップリンクサブフレーム2,3,8)を対象とするこのコンセプトを示している。したがって、サブフレーム3およびサブフレーム8においてはバンドリングは実行されず、なぜならセルあたり、1つのサブフレームのみに対するHARQフィードバック情報が存在するためである。これらのHARQフィードバック情報は、セルバンドリンググループの残りのセルの別のHARQフィードバックと直接多重化される。
【0180】
結果として、アップリンクサブフレームごとに、かつセルバンドリンググループ内のセルごとに、バンドルされたフィードバック情報が生成される。
【0181】
第2の代替の例示的な実施形態は、いくつかのセルが異なるTDD構成を有するTDDシナリオにも適用することができる。
図21では、
図18と同様に、図示したTDD構成を有するシナリオを想定している。
図18とは異なり、バンドリングは、(セルにまたがらずに)
図20に関連して説明したようにセル内で実行され、結果として
図21に示したバンドリングとなる。
【0182】
ここまでの例示的な実施形態においては、生成されてバンドルされ、さらに多重化されたHARQフィードバック情報がアップリンクで(例えばPCellを介して)eNodeBに送信されるものと想定してきた。簡潔に言えば、このHARQフィードバックを伝えるためにUEが適切なPUCCHフォーマットを選択する。HARQフィードバックをどのようにeNodeBに送信するかは、本発明の趣旨ではない。したがって、背景技術のセクションにおいて説明したシステムによってすでに使用されているPUCCHフォーマットおよび対応するメカニズムを、最大限に再使用することができる。
【0183】
一般的には、第1の代替の実施形態および第2の代替の実施形態において説明したバンドリングメカニズムの結果として、1つのセルバンドリンググループのバンドルされたHARQフィードバックは、送信の観点からは、1つの「仮想」セルに関連するものとみなすことができる。
【0184】
HARQフィードバックをどのように送信するかについては、数多くのオプションが存在し、したがってUEは、例えば送信されるビット数(このビット数は、例えば空間多重化が使用されるか否かに依存する)に基づいて、適切なPUCCHフォーマットを選択しなければならない。UEは、背景技術のセクションで説明した方法と同様に、HARQフィードバックの送信方法をケースバイケースで選択することができ、これに加えて、特定のPUCCHフォーマットを使用するように、またはPUSCHを使用するように、UEを設定することができ、または設定しなくてもよい。
【0185】
例えば、チャネル選択を含むPUCCHフォーマット1bは、現時点では2つのセルのHARQフィードバックの送信をサポートするのみである。したがって、2つの異なるセルバンドリンググループに対して生成されたバンドルされたHARQフィードバックを送信するのに、チャネル選択を含むPUCCHフォーマット1bを使用することができる。しかしながら、3つ以上のセルバンドリンググループが存在する場合、UEはHARQフィードバックを送信するために例えばPUCCHフォーマット3を選択しなければならないかもしれない。
【0186】
しかしながら背景技術のセクションで説明したように、PUCCHフォーマット3は、限られたビット数(例えば20ビット)のHARQフィードバック情報をサポートするのみである。したがって、さらに多数のビットのHARQフィードバックをサポートする新規のPUCCHフォーマットが必要でありうる。これに代えて、より多数のビットのHARQフィードバックを送信するために、PCellにおける複数回のPUCCH送信を実行することができる。
【0187】
さらにこれに代えて、PUSCHを介してHARQフィードバックを送信することができる(eNodeBによってそのように(許可されている)設定されている場合)。
【0188】
このように、セルのTDD動作の場合の2つの代替の例示的な実施形態では、増大した数のセルにおいて生成される多数のACK/NACK/DTXを扱うことができ、したがって多数のACK/NACK/DTXを限られたPUCCHリソースで送信することができる。FDDの実施形態に関連してすでに説明したように、eNBは、いくつのセルバンドリンググループを定義するかと、セルバンドリンググループにさまざまなセルをどのように分散させるかを決定することができ、これにより、実行されるバンドリングの回数を制御し、UEの状態および/または能力に合わせてバンドリングの回数を調整することができる。
【0189】
図16〜
図18に関連して説明した第1の代替の例示的な実施形態に関連するさらなる利点として、同じサブフレームにおいて1つまたは数個のキャリアのみをスケジューリングすることによって、ダウンリンクスループットの影響を最小にすることができる。第1の代替形態においては、バンドリングがサービングセルにまたがって適用される。多数のキャリアが設定されているが、UEのアップリンク電力が制限されているため数個のみのキャリアが同時にスケジューリングされるものと想定すると、ACK/NACKバンドリングによって発生する追加のダウンリンク再送信が制限される。
【0190】
その一方で、
図19〜
図21に関連して説明した第2の代替の実施形態に関連する利点として、HARQバンドリングによって発生する再送信は同じキャリアに影響するのみであり、なぜならセル内のHARQフィードバックを対象としてバンドリングが実行されるためである。それによって別のセルにおける再送信が発生することはない。これに加えて、1つのキャリアにおけるチャネルは同じ周波数帯域に属す。1つの周波数帯域におけるチャネル条件が1つの無線フレーム(すなわち10ms)内で大幅に変動することはないことを考えると、1つのフレーム(すなわち10ms)の中のPDSCH送信に対するHARQフィードバック情報は、相互に関連する。したがって、1フレーム内のHARQフィードバック情報がすべてACKである、またはすべてNACKである可能性が高い。したがって、1つの周波数帯域における1つのフレーム内のACK/NACKをバンドルすることによって、ダウンリンクスループットが低下することはない。
【0191】
図15に関連してFDDの解決策においてすでに説明したように、背景技術のセクションで説明したHARQ動作の場合に類似する目的で第3の状態(DTX)をフィードバックするため、背景技術のセクションからすでに公知であるダウンリンク割当てインデックス(DAI)を実施することにより、HARQ動作をさらに改良することができる。したがって、DAI(ダウンリンク割当てインデックス)は、UEがバンドリングウィンドウ内で現在までに受信したはずのダウンリンク送信の数を示す。クロスキャリアバンドリングが使用される第1の代替のTDDの解決策におけるバンドリングウィンドウは、セルバンドリンググループ内の複数のキャリアにまたがり、例えば、
図18のセルバンドリンググループ0のアップリンクサブフレーム22を考えると、セル0、セル2、およびセル5には、HARQフィードバックの最初の順序および2番目の順序それぞれにおいて2つのバンドリングウィンドウが形成されている。
【0192】
例えば、対応するダウンリンク送信が実際に実行されると想定すると、セル0のダウンリンクサブフレーム15に関連するPDCCHにおけるDAIが0を示し、セル2のダウンリンクサブフレーム15に関連するPDCCHにおけるDAIが1を示し、セル5のダウンリンクサブフレーム10に関連するPDCCHにおけるDAIが2を示しうる。あるいは、セル2のダウンリンクサブフレーム15においてeNodeBによってダウンリンク送信が実行されないものと想定すると、eNodeBは、セル0のダウンリンクサブフレーム15に関連するPDCCHにおいて、0を示すDAIを送信し、セル5のダウンリンクサブフレーム10に関連するPDCCHにおけるDAIは1を示す。これによりUEは、セル2のダウンリンクサブフレーム15においてはダウンリンク送信が予期されず、したがってこのダウンリンクサブフレームに対するHARQフィードバックとしてDTXをフィードバックするべきことを導くことができる。
【0193】
その一方で、クロスサブフレームバンドリング(cross subframe bundling)が使用される第2の代替の解決策では、バンドリングウィンドウは、セル内のダウンリンクサブフレームおよびアップリンクサブフレームにまたがり、例えば
図21のセル5のアップリンクサブフレーム22を考えると、バンドリングウィンドウには、サブフレーム10,14,15,11に対するHARQフィードバックが含まれる。したがって、それぞれのバンドリングウィンドウのダウンリンク送信に対応する(1つまたは複数の)PDCCHにおいてeNodeBによってDAIが送信され、DAIは、送信されるPDCCHの数とともに増大する。例えば、
図21のセル5のアップリンクサブフレーム23を考えると、バンドリングウィンドウには、4つの発生しうるダウンリンク送信に対するHARQフィードバックが含まれる。したがってeNodeBは、DAIによって示される数を、バンドリングウィンドウ内で実際に実行したダウンリンク送信の数に従って大きくする。説明を目的として、4つのサブフレームすべてにおいてeNodeBによってダウンリンク送信が実行されると想定すると、eNodeBは、セル5のダウンリンクサブフレーム17のPDCCHに関連するDAIを0と定義し、セル5のダウンリンクサブフレーム18のPDCCHに関連するDAIを1と定義し、セル5のダウンリンクサブフレーム19のPDCCHに関連するDAIを2と定義し、セル5のダウンリンクサブフレーム16のPDCCHに関連するDAIを3と定義する。
【0194】
ここまでのシナリオにおいては、ダウンリンク送信が1つのコードワードを含むのみである(すなわち空間多重化が使用されない)と想定した。さまざまな実施形態は、以下に説明するように、eNodeBによって空間多重化が採用され、したがってeNodeBが2つのコードワードを同時に送信するシナリオにも適用することができる。なお一般的には、空間バンドリング(すなわち2つのコードワードに対するHARQフィードバックのバンドリング)は、背景技術のセクションで説明したように、いくつかの条件に応じて(例えば、HARQフィードバックを送信するために使用されるPUCCHフォーマットに応じて、および/または、送信されるHARQビットの数に応じて)、適用する、または適用されないことに留意されたい。一実施形態によると、空間多重化のシナリオの場合、空間バンドリングは、背景技術のセクションで説明した状況と同じ状況において使用され、例えば、送信されるHARQフィードバックが1つのみであるときには、空間バンドリングは使用されない。したがって以下では、ここまでに提示したさまざまな実施形態を、空間多重化を使用するシナリオ(空間バンドリングは使用される、または使用されない)にどのように適用することができるかについて説明する。空間バンドリングが使用されるときと空間バンドリングが使用されないときの厳密な条件は、本発明が機能するうえで重要ではない。どのような場合にも、ここまでに説明したさまざまな実施形態は、空間多重化のシナリオ(空間バンドリングあり、またはなし)におけるHARQフィードバックの送信/バンドリングをサポートする。
【0195】
具体的には、最初に、
図15に関連して説明したFDDのシナリオを考え、すべてのセルのサブフレーム0におけるダウンリンク送信が2つのコードワードを含むように拡張する。空間バンドリングが適用される場合、空間バンドリングは、異なるセルバンドリンググループ内でのクロスキャリアバンドリングの前に行われる。したがって、説明した実施形態によるクロスキャリアバンドリングのプロセスは実質的に変更されず、なぜならクロスキャリアバンドリングを開始するときには、(この場合には両方のコードワードに対する)1つのACK/NACK/DTXのみが存在するためである。その一方で、空間バンドリングが適用されないときには、コードワードごとにクロスキャリアバンドリングが実行され、これは、セル0,2,5のサブフレーム0において送信される最初のコードワードのHARQフィードバックをバンドルし、次いで、セル0,2,5のサブフレーム0において送信される2番目のコードワードのHARQフィードバックをバンドルすることによる。当然ながら、セルバンドリンググループ1のセルのサブフレーム0の2つのコードワードのHARQフィードバックにも、同じ手順が適用される。
【0196】
セルがTDD構成に従って動作するシナリオにも、類似する処理を適用することができ、以下では、
図16および
図19に関連して説明する。FDDの解決策の場合と同様に、すべてのセルのサブフレーム0のダウンリンク送信が2つのコードワードを含み、対応するHARQフィードバックがアップリンクサブフレーム7においてeNodeBにフィードバックされるものと想定することができる。FDDの場合においてすでに説明したように、空間バンドリングが実行されるときには、第1の代替の実施形態のクロスキャリアバンドリング、またはクロスサブフレームバンドリングの前に空間バンドリングが実行され、したがって本発明の趣旨は実質的に変更されない。空間バンドリングが使用されないときには、第1の代替の実施形態のクロスキャリアバンドリング(例えば
図16)がコードワードごとに実行され、これは、セル0,2,5のサブフレーム0において送信される最初のコードワードのHARQフィードバックをバンドルし、次いで、セル0,2,5のサブフレーム0において送信される2番目のコードワードのHARQフィードバックをバンドルし、以下同様に行うことによる。
【0197】
空間バンドリングが使用されないとき、第2の代替の実施形態のクロスサブフレームバンドリング(例えば
図19)も、コードワードごとに実行され、これは、セル0におけるサブフレーム0およびサブフレーム1の最初のコードワードのHARQフィードバックをバンドルし、次いで、セル0におけるサブフレーム0およびサブフレーム1の2番目のコードワードのHARQフィードバックをバンドルし、すべてのセルについて同様に行うことによる。さらに、ここまでのシナリオにおいては、HARQフィードバックを対応するPUCCHフォーマットで送信するのにPCellが使用されるものと想定した。しかしながら、背景技術のセクションですでに説明したように、将来的なPUCCHは、例えば複数の異なるPUCCHセルグループを使用することによって、SCellを介して送信することもできる。ここまでに説明したさまざまな例示的な実施形態は、PUCCHセルグループが実施されるこのようなシナリオにも適用することができる。しかしながら、特に、特定のPUCCHセルグループに関連付けられているセルが1つのセルバンドリンググループのみに関連付けられているように、セルバンドリンググループおよびそれらのPUCCHセルグループの定義を調整しなければならない。言い換えれば、各セルバンドリンググループがPUCCHセルグループの1つに関連付けられているように、セルバンドリンググループの1つに関連付けられているすべてのセルが、PUCCHセルグループの1つに関連付けられる。これは、1つのセルバンドリンググループにおいて生成されるHARQフィードバック情報が、それぞれのPUCCHセルグループのPUCCHを送信するのに使用されるセルを介して送信されるようにするためである。
【0198】
一例として、セルバンドリンググループ0およびセルバンドリンググループ1を、対応するPUCCHセルグループ0およびPUCCHセルグループ1と同じにする(すなわち両方がそれぞれ同じセルに関連付けられる)ことができる。
図16〜
図21に関連して本発明を説明するのに使用したシナリオを想定すると、PUCCHセルグループ0をセル0,2,5に関連付けることができ、この場合、セル0(PCell)がアップリンク制御シグナリングを送信するのに使用され、さらに、PUCCHセルグループ1をセル1,3,4に関連付けることができ、この場合、セル1がアップリンク制御シグナリングを送信するのに使用される。ここまでの例示的な実施形態とは異なり、2つのセルバンドリンググループに関連するHARQフィードバックは、1回のPUCCH送信において一緒に(多重化されて)送信されるのではなく、2つのセルを介して個別に(すなわち、セルバンドリンググループ0に関連するHARQフィードバックはPCellを介して、セルバンドリンググループ1に関連するHARQフィードバックはセル1を介して)送信される。この目的のため、UEは、HARQフィードバックのアップリンク送信に実際に使用されるセルを最初に決定する必要があり、この決定は、特定のPUCCHセルグループへのセルの関連付け(すなわち1つのPUCCHセルグループへの1つのセルバンドリンググループの関連付け)に基づいて行うことができる。1つのセルバンドリンググループと1つのPUCCHセルグループとの間の関連付けは、上位層シグナリングによって設定することができる。
【0199】
ここまでの例においては、バンドリングは論理AND演算を使用して適用される。別の代替形態として、バンドリングの機能が、論理ANDと論理ORの組合せとして、上位層シグナリングによって設定される、またはPDSCH送信のQoS(サービス品質)要件によって暗黙的に決定される。例えば、QoS要件の低いサービス(例:ベストエフォート型サービス)には論理ORが使用され、したがって同じバンドリンググループ内の別のサービスにおける不必要な再送信がトリガーされない。QoS要件の高いサービス(例:音声サービス)には論理ANDが使用され、したがってNACKが存在する場合、サービス品質を保証するため再送信がトリガーされる。
【0200】
<さらなる実施形態>
第1の態様によると、移動通信システムにおいてユーザ機器が再送信プロトコルのフィードバック情報を無線基地局に提供する方法、を提供する。ユーザ機器に対して少なくとも2つのセルが設定されている。ユーザ機器に対して少なくとも1つのセルバンドリンググループが定義されており、少なくとも1つのセルバンドリンググループの1つが、少なくとも2つのセルのうちの少なくとも2つに関連付けられている。ユーザ機器は無線基地局と通信しており、少なくとも2つのセルの少なくとも1つを介してダウンリンク送信を受信する。ユーザ機器は、無線基地局と一緒に再送信プロトコルを動作させるように構成されており、少なくとも2つのセルを介してのダウンリンク通信に対するフィードバック情報を無線基地局に提供するステップを含む。UEは、セルバンドリンググループごとにバンドルされたフィードバック情報を生成するために、セルバンドリンググループごとに、それぞれのセルバンドリンググループに関連付けられているセルに関連して生成されたフィードバック情報をバンドルするように構成されている。次いで、UEは、各セルバンドリンググループのバンドルされたフィードバック情報を無線基地局に送信する。
【0201】
上の態様に加えて、または上の態様に代えて使用することのできる、第1の態様の有利なバリエーションによると、バンドルされたフィードバック情報を送信するステップは、1)バンドルされたフィードバック情報を無線基地局に送信するための適切なアップリンク制御情報フォーマットを選択するステップと、2)バンドルされたフィードバック情報を、選択されたアップリンク制御情報フォーマットを使用して無線基地局に送信するステップと、を含む。オプションとして、適切なアップリンク制御情報フォーマットを選択するステップにおいては、セルバンドリンググループが1つのセルであると想定され、したがって1つのセルバンドリンググループのバンドルされたフィードバック情報が、1つのセルのフィードバック情報であると想定される。
【0202】
上の態様に加えて、または上の態様に代えて使用することのできる、第1の態様の有利なバリエーションによると、特定のタイプのセル(アンライセンスセルなど)のすべてが、少なくとも1つのセルバンドリンググループの1つに関連付けられている。特定の一例においては、セルバンドリンググループのバンドルされたフィードバック情報は、アップリンク制御情報フォーマットの別の送信を使用することによって、他のセルのフィードバック情報とは個別に送信される。これに代えて、セルバンドリンググループのバンドルされたフィードバック情報は、アップリンク制御情報フォーマットの同じ送信を使用することによって、他のセルのフィードバック情報と一緒に送信される。
【0203】
上の態様に加えて、または上の態様に代えて使用することのできる、第1の態様の有利なバリエーションによると、ユーザ機器に、少なくとも1つのセルバンドリンググループの定義に関する情報が、好ましくは無線基地局から上位層シグナリングによって、提供される。
【0204】
上の態様に加えて、または上の態様に代えて使用することのできる、第1の態様の有利なバリエーションによると、少なくとも2つのセルは、少なくともプライマリセルを含み、各セルバンドリンググループのバンドルされたフィードバック情報を無線基地局に送信するステップが、プライマリセルを介して実行される。上の態様に加えて、または上の態様に代えて使用することのできる、第1の態様の有利なバリエーションによると、いくつかのセルを介してのアップリンク制御情報の送信をサポートするため、ユーザ機器に対して少なくとも2つのアップリンク制御セルグループが定義され、この定義は、少なくとも2つのアップリンク制御セルグループのそれぞれを、アップリンク制御情報を送信するために使用される異なるセルに関連付け、少なくとも2つのセルそれぞれを、少なくとも2つのアップリンク制御セルグループのうちの1つに関連付けて、それぞれのセルのアップリンク制御情報をアップリンク制御セルグループに関連付けることによる。さらには、各アップリンク制御情報に対して、次のステップ、すなわち、アップリンク制御情報が関連付けられているアップリンク制御セルグループに関連付けられている、それぞれのアップリンク制御情報を送信するためのセル、を求めるステップ、を実行する。さらには、少なくとも1つのセルバンドリンググループのそれぞれが、少なくとも2つのアップリンク制御セルグループの1つに関連付けられているように、少なくとも1つのセルバンドリンググループの1つに関連付けられているすべてのセルが、少なくとも2つのアップリンク制御セルグループの1つに関連付けられている。バンドルされたフィードバック情報を送信するステップは、1)セルバンドリンググループが関連付けられているアップリンク制御セルグループに関連付けられているセル、を求めるステップと、2)バンドルされたフィードバック情報を、求めたセルを介して無線基地局に送信するステップと、を含む。
【0205】
上の態様に加えて、または上の態様に代えて使用することのできる、第1の態様の有利なバリエーションによると、ユーザ機器は、少なくとも2つのセルを周波数分割複信(FDD)において動作させており、ダウンリンク送信に対するフィードバック情報が、ダウンリンク送信を受信してから所定の時間長だけ後に、ユーザ機器によって送信される。この場合、セルバンドリンググループごとにバンドルするステップは、各サブフレームにおいて、それぞれのサブフレーム内で送信待ち状態にある生成されたフィードバック情報を、それぞれのセルバンドリンググループに関連付けられているセルにまたがってバンドルするステップ、を含む。このステップは、サブフレームごとに、かつセルバンドリンググループごとに、バンドルされたフィードバック情報を生成するために行われる。
【0206】
上の態様に加えて、または上の態様に代えて使用することのできる、第1の態様の有利なバリエーションによると、ユーザ機器は、少なくとも2つのセルのそれぞれを、複数の時分割複信(TDD)構成のうちの1つに従って動作させており、時分割複信(TDD)構成が、各無線フレームについて、無線フレームのサブフレームを、アップリンクサブフレーム、ダウンリンクサブフレーム、またはスペシャルサブフレームとして定義する。複数のTDD構成のそれぞれにおいて、所定のフィードバックタイミング情報は、各アップリンクサブフレームについて、以前の(1つまたは複数の)ダウンリンクサブフレームのフィードバック情報がそれぞれのアップリンクサブフレームにおいて送信されるか、および以前のどの(1つまたは複数の)ダウンリンクサブフレームに対して送信されるか、を定義する。本方法は、バンドルされたフィードバック情報が送信されるセルの各アップリンクサブフレームに対して実行される以下のステップ、すなわち、
各セルにおいて、それぞれのアップリンクサブフレームの所定のフィードバックタイミング情報によって定義される以前の(1つまたは複数の)ダウンリンクサブフレームのそれぞれに対するフィードバック情報の項目、を生成するステップ、
を含み、
セルバンドリンググループごとにフィードバック情報をバンドルするステップが、
同じ順序のフィードバック情報項目がバンドルされるように、生成されたフィードバック情報項目を、それぞれのセルバンドリンググループに関連付けられているセルにまたがって、フィードバック情報項目の連続する順序においてバンドルするステップ、
を含む。
【0207】
このステップは、アップリンクサブフレームごとに、かつセルバンドリンググループごとに、かつフィードバック情報項目の順序ごとに、同じ連続する順序におけるバンドルされたフィードバック情報項目を生成するために行われる。
【0208】
オプションとして、バンドルされたフィードバック情報を送信するステップでは、各セルバンドリンググループの、順序ごとにバンドルされたフィードバック情報を、アップリンクサブフレームにおいてアップリンク制御情報フォーマットで一緒に送信する。さらなるオプションとして、フィードバック情報項目の順序は、それぞれのアップリンクサブフレームの所定のフィードバックタイミング情報に基づく。
【0209】
上の態様に加えて、または上の態様に代えて使用することのできる、第1の態様の有利なバリエーションによると、ユーザ機器は、少なくとも2つのセルのそれぞれを、複数の時分割複信(TDD)構成のうちの1つに従って動作させており、時分割複信(TDD)構成が、各無線フレームについて、無線フレームのサブフレームを、アップリンクサブフレーム、ダウンリンクサブフレーム、またはスペシャルサブフレームとして定義する。複数のTDD構成のそれぞれにおいて、所定のフィードバックタイミング情報は、各アップリンクサブフレームについて、以前の(1つまたは複数の)ダウンリンクサブフレームのフィードバック情報がそれぞれのアップリンクサブフレームにおいて送信されるか、および以前のどの(1つまたは複数の)ダウンリンクサブフレームに対して送信されるか、を定義する。本方法は、バンドルされたフィードバック情報が送信されるセルの各アップリンクサブフレームに対して実行される以下のステップ、すなわち、
各セルにおいて、それぞれのアップリンクサブフレームの所定のフィードバックタイミング情報によって定義される以前の(1つまたは複数の)ダウンリンクサブフレームのそれぞれに対するフィードバック情報の項目、を生成するステップ、
を含み、
セルバンドリンググループごとにフィードバック情報をバンドルするステップが、同じセルのフィードバック情報項目がバンドルされるように、生成されたフィードバック情報項目を、それぞれのセルバンドリンググループに関連付けられている各セル内でバンドルするステップ、を含む。
【0210】
このステップは、アップリンクサブフレームごとに、かつセルバンドリンググループごとに、かつセルごとに、バンドルされたフィードバック情報を生成するために行われる。
【0211】
オプションとして、バンドルされたフィードバック情報を送信するステップでは、各セルバンドリンググループの、セルごとにバンドルされたフィードバック情報を、アップリンクサブフレームにおいてアップリンク制御情報フォーマットで一緒に送信する。さらなるオプションとして、セルごとにバンドルされたフィードバック情報は、各セルバンドリンググループ内で、それぞれのセルのインデックスの昇順に連結される。
【0212】
別の実施形態によると、移動通信システムにおいて再送信プロトコルのフィードバック情報を無線基地局に提供するユーザ機器、を提供する。UEに対して少なくとも2つのセルが設定されており、かつ、ユーザ機器に対して少なくとも1つのセルバンドリンググループが定義されており、少なくとも1つのセルバンドリンググループの1つが、少なくとも2つのセルのうちの少なくとも2つに関連付けられている。ユーザ機器は無線基地局と通信しており、少なくとも2つのセルの少なくとも1つを介してダウンリンク送信を受信し、ユーザ機器は、無線基地局と一緒に再送信プロトコルを動作させるように構成されており、少なくとも2つのセルを介してのダウンリンク通信に対するフィードバック情報を無線基地局に提供するステップを含む。UEのプロセッサは、セルバンドリンググループごとにバンドルされたフィードバック情報を生成するために、セルバンドリンググループごとに、それぞれのセルバンドリンググループに関連付けられているセルに関連して生成されたフィードバック情報をバンドルする。送信機は、各セルバンドリンググループのバンドルされたフィードバック情報を無線基地局に送信する。
【0213】
上の態様に加えて、または上の態様に代えて使用することのできる、第1の態様の有利なバリエーションによると、送信機は、バンドルされたフィードバック情報を送信するときに、以下のステップ、すなわち、1)バンドルされたフィードバック情報を無線基地局に送信するための適切なアップリンク制御情報フォーマットを選択するステップと、2)バンドルされたフィードバック情報を、選択されたアップリンク制御情報フォーマットを使用して無線基地局に送信するステップと、を実行する。オプションとして、適切なアップリンク制御情報フォーマットを選択するステップにおいては、セルバンドリンググループが1つのセルであると想定され、したがって1つのセルバンドリンググループのバンドルされたフィードバック情報が、1つのセルのフィードバック情報であると想定される。
【0214】
上の態様に加えて、または上の態様に代えて使用することのできる、第1の態様の有利なバリエーションによると、少なくとも2つのセルは、少なくともプライマリセルを含み、送信機が、各セルバンドリンググループのバンドルされたフィードバック情報をプライマリセルを介して無線基地局に送信する。
【0215】
上の態様に加えて、または上の態様に代えて使用することのできる、第1の態様の有利なバリエーションによると、いくつかのセルを介してのアップリンク制御情報の送信をサポートするため、ユーザ機器に対して少なくとも2つのアップリンク制御セルグループが定義され、この定義は、少なくとも2つのアップリンク制御セルグループのそれぞれを、アップリンク制御情報を送信するために使用される異なるセルに関連付け、少なくとも2つのセルそれぞれを、少なくとも2つのアップリンク制御セルグループのうちの1つに関連付けて、それぞれのセルのアップリンク制御情報をアップリンク制御セルグループに関連付けることによる。結果として、プロセッサは、各アップリンク制御情報に対して、アップリンク制御情報が関連付けられているアップリンク制御セルグループに関連付けられている、それぞれのアップリンク制御情報を送信するためのセル、を求めるように構成されている。少なくとも1つのセルバンドリンググループのそれぞれが、少なくとも2つのアップリンク制御セルグループの1つに関連付けられているように、少なくとも1つのセルバンドリンググループの1つに関連付けられているすべてのセルが、少なくとも2つのアップリンク制御セルグループの1つに関連付けられており、送信機は、バンドルされたフィードバック情報を送信するときに、以下のステップ、すなわち、1)セルバンドリンググループが関連付けられているアップリンク制御セルグループに関連付けられているセル、を求めるステップと、2)バンドルされたフィードバック情報を、求めたセルを介して無線基地局に送信するステップと、を実行する。
【0216】
上の態様に加えて、または上の態様に代えて使用することのできる、第1の態様の有利なバリエーションによると、ユーザ機器は、少なくとも2つのセルを周波数分割複信(FDD)において動作させており、ダウンリンク送信に対するフィードバック情報が、ダウンリンク送信を受信してから所定の時間長だけ後に、ユーザ機器によって送信される。プロセッサは、各サブフレームにおいて、セルバンドリンググループごとにバンドルするステップを実行し、これは、それぞれのサブフレーム内で送信待ち状態にある生成されたフィードバック情報を、それぞれのセルバンドリンググループに関連付けられているセルにまたがってバンドルすることによる。このステップは、サブフレームごとに、かつセルバンドリンググループごとに、バンドルされたフィードバック情報を生成するために、行われる。
【0217】
上の態様に加えて、または上の態様に代えて使用することのできる、第1の態様の有利なバリエーションによると、ユーザ機器は、少なくとも2つのセルのそれぞれを、複数の時分割複信(TDD)構成のうちの1つに従って動作させており、時分割複信(TDD)構成が、各無線フレームについて、無線フレームのサブフレームを、アップリンクサブフレーム、ダウンリンクサブフレーム、またはスペシャルサブフレームとして定義する。複数のTDD構成のそれぞれにおいて、所定のフィードバックタイミング情報は、各アップリンクサブフレームについて、以前の(1つまたは複数の)ダウンリンクサブフレームのフィードバック情報がそれぞれのアップリンクサブフレームにおいて送信されるか、および以前のどの(1つまたは複数の)ダウンリンクサブフレームに対して送信されるか、を定義する。プロセッサは、バンドルされたフィードバック情報が送信されるセルの各アップリンクサブフレームに対して、以下のステップ、すなわち、
各セルにおいて、それぞれのアップリンクサブフレームの所定のフィードバックタイミング情報によって定義される以前の(1つまたは複数の)ダウンリンクサブフレームのそれぞれに対するフィードバック情報の項目、を生成するステップ、
を実行し、
プロセッサが、
同じ順序のフィードバック情報項目がバンドルされるように、生成されたフィードバック情報項目を、それぞれのセルバンドリンググループに関連付けられているセルにまたがって、フィードバック情報項目の連続する順序においてバンドルするステップ、によって、
セルバンドリンググループごとにフィードバック情報をバンドルするステップを実行するように構成されている。
【0218】
このステップは、アップリンクサブフレームごとに、かつセルバンドリンググループごとに、かつフィードバック情報項目の順序ごとに、同じ連続する順序におけるバンドルされたフィードバック情報項目を生成するために行われる。
【0219】
オプションとして、送信機は、各セルバンドリンググループの、順序ごとにバンドルされたフィードバック情報を、アップリンクサブフレームにおいてアップリンク制御情報フォーマットで一緒に送信するように構成されている。さらなるオプションとして、フィードバック情報項目の順序は、それぞれのアップリンクサブフレームの所定のフィードバックタイミング情報に基づく。
【0220】
上の態様に加えて、または上の態様に代えて使用することのできる、第1の態様の有利なバリエーションによると、ユーザ機器は、少なくとも2つのセルのそれぞれを、複数の時分割複信(TDD)構成のうちの1つに従って動作させており、時分割複信(TDD)構成が、各無線フレームについて、無線フレームのサブフレームを、アップリンクサブフレーム、ダウンリンクサブフレーム、またはスペシャルサブフレームとして定義する。複数のTDD構成のそれぞれにおいて、所定のフィードバックタイミング情報は、各アップリンクサブフレームについて、以前の(1つまたは複数の)ダウンリンクサブフレームのフィードバック情報がそれぞれのアップリンクサブフレームにおいて送信されるか、および以前のどの(1つまたは複数の)ダウンリンクサブフレームに対して送信されるか、を定義する。プロセッサは、バンドルされたフィードバック情報が送信されるセルの各アップリンクサブフレームに対して、以下のステップ、すなわち、
各セルにおいて、それぞれのアップリンクサブフレームの所定のフィードバックタイミング情報によって定義される以前の(1つまたは複数の)ダウンリンクサブフレームのそれぞれに対するフィードバック情報の項目、を生成するステップ、
を実行し、
プロセッサが、
同じセルのフィードバック情報項目がバンドルされるように、生成されたフィードバック情報項目を、それぞれのセルバンドリンググループに関連付けられている各セル内でバンドルするステップ、によって、
セルバンドリンググループごとにフィードバック情報をバンドルするステップを実行する。
【0221】
このステップは、アップリンクサブフレームごとに、かつセルバンドリンググループごとに、かつセルごとに、バンドルされたフィードバック情報を生成するために、行われる。
【0222】
オプションとして、送信機は、各セルバンドリンググループの、セルごとにバンドルされたフィードバック情報を、アップリンクサブフレームにおいてアップリンク制御情報フォーマットで一緒に送信するように構成されている。さらなるオプションとして、セルごとにバンドルされたフィードバック情報は、各セルバンドリンググループ内で、それぞれのセルのインデックスの昇順に連結される。
【0223】
一実施形態によると、再送信プロトコルのフィードバック情報をユーザ機器から受信する無線基地局、を提供する。ユーザ機器に対して少なくとも2つのセルが設定されており、かつ、ユーザ機器に対して少なくとも1つのセルバンドリンググループが定義されており、少なくとも1つのセルバンドリンググループの1つが、少なくとも2つのセルのうちの少なくとも2つに関連付けられている。ユーザ機器は無線基地局と通信しており、少なくとも2つのセルの少なくとも1つを介してダウンリンク送信を受信する。無線基地局は、ユーザ機器と一緒に再送信プロトコルを動作させるように構成されており、少なくとも2つのセルを介してのダウンリンク通信に対するフィードバック情報をユーザ機器から受信するステップを含む。無線基地局の受信機は、各セルバンドリンググループのバンドルされたフィードバック情報を、ユーザ機器から受信する。セルバンドリンググループごとにバンドルされたフィードバック情報を生成するために、バンドルされたフィードバック情報は、セルバンドリンググループごとに、それぞれのセルバンドリンググループに関連付けられているセルに関連して生成されたフィードバック情報をバンドルすることによって、ユーザ機器によって生成される。
【0224】
<ハードウェアおよびソフトウェアによる本開示の実施>
別の例示的な実施形態は、上述したさまざまな実施形態を、ハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアと協働するソフトウェアを使用して実施することに関する。これに関連して、ユーザ端末(移動端末)およびeNodeB(基地局)を提供する。ユーザ端末および基地局は、本明細書に記載されている方法を実行するように構成されており、これらの方法に適切に関与する対応するエンティティ(受信機、送信機、プロセッサなど)を含む。
【0225】
さまざまな実施形態は、コンピューティングデバイス(プロセッサ)を使用して実施または実行され得るものとさらに認識される。コンピューティングデバイスまたはプロセッサは、例えば、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または、その他プログラマブルロジックデバイスなどである。さまざまな実施形態は、これらのデバイスの組合せによっても実行または具体化され得る。特に、上に説明した各実施形態の説明において使用される各機能ブロックは、集積回路としてのLSIによって実施することができる。これらの機能ブロックは、チップとして個別に形成する、または、機能ブロックの一部またはすべてが含まれるように1個のチップを形成することができる。これらのチップは、自身に結合されているデータ入出力部を含むことができる。LSIは、集積度の違いに応じて、IC、システムLSI、スーパーLSI、またはウルトラLSIとも称される。しかしながら、集積回路を実施する技術は、LSIに限定されず、専用回路または汎用プロセッサを使用することによって達成することができる。さらには、LSIの製造後にプログラムすることのできるFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、あるいはLSI内部に配置されている回路セルの接続および設定を再設定できるリコンフィギャラブルプロセッサを使用することもできる。さらに、さまざまな実施形態は、ソフトウェアモジュールによっても実施され得る。これらのソフトウェアモジュールは、プロセッサによって実行され、または、ハードウェアにおいて直接実行される。また、ソフトウェアモジュールとハードウェア実装の組合せも可能である。ソフトウェアモジュールは、任意の種類のコンピュータ可読記憶媒体、例えば、RAMやEPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、レジスタ、ハードディスク、CD−ROM、DVDなどに格納され得る。さらには、複数の異なる実施形態の個々の特徴は、個々に、または任意の組合せにおいて、別の実施形態の主題とすることができることに留意されたい。
【0226】
具体的な実施形態に示した本開示には、広義に記載されている本発明の概念または範囲から逸脱することなく、さまざまな変更および/または修正を行うことができることが、当業者には理解されるであろう。したがって、本明細書に示した実施形態は、あらゆる点において例示的であり、本発明を制限するものではないものとみなされる。