【文献】
SOBIERANSKI, et al.,Portable Digital In-line Holography Platform for Sperm Cell Visualization and Quantification,2014 27th SIBGRAPI Conference on Graphics, Patterns and Images,2014年,pp.274-281,DOI:10.1109/SIBGRAPI.2014.39
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】ホログラムシャドウをキャプチャするために構成された光学画像装置を示す概略図である。
【
図2】シングル光源の変化を使用する本発明の概念による方法を説明するためのブロック図を示す。
【
図3A】任意の入力信号に対するLRサブピクセルジェネレータを示す。
図3Aにおいて、レッドグリッド310の各四角が、光取得装置の各センサセルを表す。各セルによってキャプチャされた光の強度は、時間の経過と共に平均化される。
【
図3B】任意の入力信号に対するLRサブピクセルジェネレータを示す。
図3Bにおいて、1ピクセルおよびk=n=6(XおよびY軸にそれぞれ沿って)の精度で、センサーセルグリッド310の小さなシフトの結果として得られる画像のLRセットが示されている。得られたLRセットにおける画像の総数は、36枚である。
【
図4】複数のLR画像に対する超解像方法の実施例を提供する。連続光信号を示す入力画像(
図4A)が、画像(
図4B)間で画定される検出器の平面内における小さな空間シフトで36枚のLR画像にデジタル化されて合成され、シングルHR画像(
図4C)を生成する。
【
図5A】画像登録用アルゴリズムの実施例を示す。画像登録は、対象と参照画像との間で対応するキーポイントを追跡することにより行われる。レッドライン510は、グローバルラップ変換を計算するために用いられる各特定のキーポイントに対する変位ベクトルに関連する。
【
図5B】画像登録用アルゴリズムの実施例を示す。画像登録は、対象と参照画像との間で対応するキーポイントを追跡することにより行われる。レッドライン510は、グローバルラップ変換を計算するために用いられる各特定のキーポイントに対する変位ベクトルに関連する。
【
図5C】最適化の実施例を示す。最適化ステップが証明されており、より高いレベルのコントラストおよびホログラム間の画素のマッチングを達成するために、コスト関数の最小化が行われる。アルゴリズムは、LRセットにおける平面変換に対応するランダムな実数値を見つけるように構成されており、その品質は、コスト関数で測定される。特定の対象ソリューションの不十分な例が、ホログラフィック信号のぼやけた影響を生成するものとして、
図5Cの左側に示されている。一方、高品質のソリューションは、コスト関数を最小化するのに役立ち、その結果、鮮明レベルおよび結果として生じる最適化されたホログラムのホログラフィックの縞模様を増加させる(
図5Cの右側)。ホログラフィにおいて、回折画像の品質は、ホログラフィックの縞模様の数に比例的に関連する。このため、コスト関数の最小化は、サブピクセル画像登録用の高品質のソリューションをもたらす。
【
図6】本発明の関連する実施形態において、時間内に画像フレームの固定観察結果を示す。100マーカーに分割された1mmのパターン形式は、
図6(a)において提案されたホログラフィックプラットフォームを用いて画像化される。
図6(b)と
図6(c)に示されているように、連続フレームが得られ、その後、
図6(d)と
図6(e)において、異なるフレームで特定領域におけるピクセル強度が、それぞれ比較される。視覚的に認識した場合、
図6(d)と
図6(e)の画像は、同じ内容を有するように見えるが、
図6(d)の画像と
図6(e)との差が|d−e|に応じて
図6(f)に示されている。また、|d−e|
2として、
図6(d)と
図6(e)の画像データから決定された二乗誤差が、一定の連続フレームの固定監視を示す
図6(g)に示されており、ちらつきの変化を時間と共にキャプチャすることができる。
【
図7】
図7のブロック(a)に数値回折処理後の
図6のホログラフィックシャドウを示す。各ホログラムシャドウフレームは、
図7のブロック(b)と(c)にそれぞれ示されている。
図7のブロック(d)には、f=3に対して、フレームの固定監視に基づく静的なマルチフレーム処理(本発明の静的実施形態)の計算パイプラインの結果が示されている。
【
図8】微生物の原位置視覚化のためのホログラフィックビデオプラットフォームの概要を提供する。画像取得は、
図8のブロック(a)の実験的装置を用いて行われ、
図8のブロック(b)に示されているように、高フレームレートホログラフィックビデオが記録される。
図8のブロック(c)では、計算数値回折処理が適用され、各フレームを復号する。最終的に、
図8のブロック(d)では、画像処理と特徴抽出方法が適用され、微生物を読み取って追跡する。
【
図9A】水滴中にキャプチャされた線虫のホログラフィックビデオの数値回折処理の結果を示す。生デジタルホログラム(Raw digital holograms)は、第1列(a)に示されている。列(b)において、それらの生信号を表すデータは、予め指定されたz軸における振幅信号を使用して、数値回折方法に従って処理される。列(c)には、フェーズ信号が示されている。
【
図9B】水滴中にキャプチャされた線虫のホログラフィックビデオの数値回折処理の結果を示す。生デジタルホログラム(Raw digital holograms)は、第1列(a)に示されている。列(b)において、それらの生信号を表すデータは、予め指定されたz軸における振幅信号を使用して、数値回折方法に従って処理される。列(c)には、フェーズ信号が示されている。
【
図9C】水滴中にキャプチャされた線虫のホログラフィックビデオの数値回折処理の結果を示す。生デジタルホログラム(Raw digital holograms)は、第1列(a)に示されている。列(b)において、それらの生信号を表すデータは、予め指定されたz軸における振幅信号を使用して、数値回折方法に従って処理される。列(c)には、フェーズ信号が示されている。
【
図10A】本発明の実施形態において、計算的解釈および画像特徴抽出を時間の経過と共に示す。
図10Aは、線虫本体の長さおよびエリアをピクセルで示すキャプションを有する。そのエリアは、線虫本体の体積を示す。時間の経過と共に鼓動周波数を示すために、
図10Aは、線虫の頭部および尾部の動きの追跡をそれぞれ示す。
【
図10B】本発明の実施形態において、計算的解釈および画像特徴抽出を時間の経過と共に示す。時間の経過と共に鼓動周波数を示すために、
図10Bは、線虫の頭部および尾部の動きの追跡をそれぞれ示す。
【
図10C】本発明の実施形態において、計算的解釈および画像特徴抽出を時間の経過と共に示す。
【
図11】USAF1951解像チャート(USAF1951 resolution chart)に適用されるビデオで超解像用全変動(TV)方法(Total Variation (TV) Method for Super-resolution)の結果を示す。一実施形態では、空間解像度が、2.71ミクロン〜1.55ミクロンに増加する。
【
図12A】本発明の動的実施形態および本発明の静的実施形態を用いて、シングルイメージングフレームから直接形成されるホログラフィックシャドウ画像を示す。
【
図12B】本発明の動的実施形態および本発明の静的実施形態を用いて、シングルイメージングフレームから直接形成されるホログラフィックシャドウ画像を示す。
【
図12C】本発明の動的実施形態および本発明の静的実施形態を用いて、シングルイメージングフレームから直接形成されるホログラフィックシャドウ画像を示す。
【
図12D】本発明の動的実施形態および本発明の静的実施形態を用いて、シングルイメージングフレームから直接形成されるホログラフィックシャドウ画像を示す。
【
図12E】本発明の動的実施形態および本発明の静的実施形態を用いて、シングルイメージングフレームから直接形成されるホログラフィックシャドウ画像を示す。
【
図13】光データ取得のフレームレートと取得した光シャドウ画像により画定されるフィールドオブビューとの間で操作上の相互作用を示すプロットである。
【
図14】回折された数値回折後のLR画像(フレームA1,A2)とHR回折され且つ計算的に決定された画像(フレームB1、B2)とを視覚的に比較するための情報を提供する。HR対応部分を得るために用いられる分解増加係数(Resolution increment factor)は、f=4である。LR回折画像における分解チャートラインペアは、10マイクロメーターに対して約〜6ピクセルであり、一方、HR画像の対応部分においては、それは約2ピクセル<〜1マイクロメーターである。
【
図15】本発明の静的実施形態を用いて生成された結果の信号対ノイズ(SNR)評価を示す。参照フレームは参照として用いられ、その後、LR画像のそれぞれと比較されると共に、計算的に決定されたHR回折ホログラムとも比較される。LRセット用のSNRは、〜28から30dBに変化する。その一方で、HR画像では、LRセット用のSNRは、24dHBであり、LRセットのピークSNRは、35から30dBに変化し、HR画像では、30dBである。また、RMSEおよびMAEのメリットが示されており、その信号がLR画像よりも均一なので、両方ともHR画像に対してより高いレベルが示されている。これらの最後の2つの項目RMSEとMAEは、特定のパターンから著しくずれる傾向にある。
【
図16】静的実施形態のSNRの評価に対する追加の図である。HR回折画像は、参照画像として用いられる。一旦、HRがLRセットと同じデータ量から形成されると、LR対応部分画像と比較した場合に、SNR値は均等に分布されている。
【
図17】
図15および
図16におけるインデックスを計算するために用いられるSNRとエラー計量方程式のリストである。参照画像は、γで示され、tは、比較されるクエリー画像(query image)である。
【
図18A】49枚のLR画像から計算される高解像度の対応部分とシングルショット低解像度ホログラムとの比較を提供する。
【
図18B】49枚のLR画像から計算される高解像度の対応部分とシングルショット低解像度ホログラムとの比較を提供する。
【
図18C】49枚のLR画像から計算される高解像度の対応部分とシングルショット低解像度ホログラムとの比較を提供する。
【
図18D】49枚のLR画像から計算される高解像度の対応部分とシングルショット低解像度ホログラムとの比較を提供する。
【
図18E】49枚のLR画像から計算される高解像度の対応部分とシングルショット低解像度ホログラムとの比較を提供する。
【
図18F】49枚のLR画像から計算される高解像度の対応部分とシングルショット低解像度ホログラムとの比較を提供する。
【
図19】
図19のフレーム(A)〜(C)は、USAF−1951解像チャートの画像を示す。シングルショットホログラムの可視ラインペアは、7−4であり、一方、高解像度の対応部分の可視ラインペアは、約1.55マイクロメーターに相当する8−3である。
【
図20】プレウィットコンパスに適用されるLRホログラム(
図20のフレーム(A)〜(F))と、計算上決定されるHRホログラム(
図20のフレーム(G))と、の比較を容易にする。
【
図21】
図20のホログラムに対して、光源のシフトに基づくマルチフレーム超解像アプローチ用SNR(SNR for multi-frame super-resolution approach)を示す。参照画像と比較した場合のHRに対する有意差はない(reg 1. tif)。これは、ホログラフィックの縞模様に相当するLRセットから新しい情報を導入する方法の性質により説明することができる。
【
図22】
図20の全ての生ホログラムに関連する鮮明度測定を取りまとめたものである(プレウィットコンパス(Prewitt compass)上ではない)。
【
図23A】
図20の全ての生ホログラムに関連する鮮明測定を示す(プレウィットコンパス上ではない)。
【
図23B】
図20の全ての生ホログラムに関連する鮮明測定を示す(プレウィットコンパス上ではない)。
【
図23C】
図20の全ての生ホログラムに関連する鮮明測定を示す(プレウィットコンパス上ではない)。
【
図24】ホログラフィック測定に使用される鮮明度測定の決定に用いられるC++ソースコードの一部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の好ましい実施形態によれば、デジタルインラインホログラフィ(DIH:digital in-line holography)プロセスを計算マルチフレームピクセル超解像方法と統合するレンズレス広視野顕微鏡イメージングプラットフォーム用の方法および装置が開示されている。特に、標本のマルチ低解像(LR)ホログラムシャドウは、シングルコヒーレント照明源(single coherent-illumination source)だけを用いてキャプチャされている間に、相対的な空間的移動が、光源と標本との間にもたらされる(一実施形態では、標本に対する光源の空間的移動は、数ミリメートルの距離の範囲以内である)。LR画像フレーム(LR imaging frame)は、さまざまなピクセル内容を有するLRデータセットに記録される。全てのLRフレームまたはホログラムシャドウは、基本的に同じであるが、相対的な移動は、サブピクセルレベル光情報を利用することを可能にすることによって重要な役割を果たし、光源と標本との間における相対的位置変化で光センサセルに異なる光強度をキャプチャさせる。高解像度(HR)画像またはホログラムは、特徴登録およびサブピクセル最適化に基づき、そのような移動を定義することにより、その後得られる。LR画像は、最初に空間的に並べられ、同じ平面領域に登録され、そして、グローバルな最適解(global optimum solution)を見つけるために用いられる高速収束アプローチ(fast-convergence approach)に基づき、サブピクセル情報の最適化が行われる。取得したHRホログラムは、その後、異なる高さ位置の標本のHRシャドウ画像に位相回復方法(phase-retrieval method)でデコードされる。実験による結果のセットは、提案した方法論で、レンズレスのプラットフォーム(レンズ要素がないシステム、すなわち、レンズレス)を介してキャプチャされるシャドウ画像で見ると、約30mm
2のフィールドオブビューにおける1ミクロンサイズ未満の解像度に相当する空間解像度を有する画像を取得することができるということを明らかにしている。
実験的装置の例
【0012】
図1に概略的に示されているように、標本/サンプル104は、サンプルホルダー110(例えば、マイクロ流体チップおよび/またはカバーガラスの下)に保持されており、光源120のみ(単一)(一実施例では、約385mmで紫外線を生成するように構成されたLED)で放出される光Lで照射され、ピンホール(例えば、円形状)130で回折されて、発散波面を有する光ビームL1を形成する。システム100に存在する唯一の画像センサ(光検出器)150が、可能な限りサンプルの直下に配置されており(すなわち、すぐ近くでサンプルホルダー110と検出器150との間に追加の光学要素を挿入するのに十分な追加空間を残さない)、サンプル104のホログラフィックシャドウ画像をキャプチャする。通常、標本104の光シャドウは、時間内に停止または中断することなく、連続的に検出器150上に投影される。一実施形態では、検出器150は、約6.4mm×5.9mmの寸法(ゆえに、約30mm
2の高感度エリア)と、3840×2748ピクセルの空間解像度と、1.67ミクロンピクセルサイズと、を有するCMOS10メガピクセル単色センサである。
【0013】
空間シフトが光L1の発散ビームの波面軸の間に導入される実施形態では、点光源が、標本とセンサとの空間に固定された組み合わせに対して移動することができ、あるいは、標本104と検出器150の組み合わせがPLSに対して移動することができることが理解される。後者の実施形態では、標本104とセンサ150との組み合わせを、図面の簡略化のため示されていない独立した位置決めステージ上に配置することが必要である。点光源が、サンプルに対して、x軸方向とy軸方向に独立して検出器の平面と平行にシフトされると、サンプルは様々な方向から照射されるが、照射角度は同じである。複数画像を取得するために、シングル点光源のシフトは、予め定められた所定のステップサイズ(例えば、7×7の個々の位置で画定される正方形エリア、合計49の個々のLR画像)で行われる。また、任意の移動も、数と位置で行うことが可能であるが、大きなステップサイズのシフトは、システムに不利益をもたらし、個々のホログラフィックシャドウの異常および歪みを引き起こす可能性がある。固定の物理的エリア内(例えば、〜2.5×2.5cm)の任意の移動は、点光源のわずかなシフトでキャプチャされるいくつかのフレームで許容される。
【0014】
以下により詳細に記載するように、標本の個々のLR画像の多様性は、標本104の複数のLR画像の固定監視(stationary observation)と、画像フレームの合計を含む画像データ処理との結果により、静的に得ることができる。
【0015】
電子回路およびデータ収集プラットフォーム160は、適切なプログラムコードを有する有形の非一時的記憶媒体を備えており、位置決めステージと、光検出器150と、任意に光源とに動作可能に接続されて、それらの操作を管理し、光学データ(例えば、6ビット生データの形式)を収集し、以下に説明する実施形態で必要とされるようなデータ処理を実行する。一旦ピクセル情報がハードウェアで変更されると(例えば、ゲイン及びガンマ補正、アンチエイリアス処理)、生データの後処理がより高解像度の信号取得を困難にすることから、単色生データの収集がサブピクセル計算にとって重要であることに留意されたい。また、カラーベースの光センサは、カラーフィルター(例えば、Bayer-8)を使用するため、適切な空間解像度を実現することが難しい。
動的実施形態
サブピクセルシフトに基づくシャドウ画像の解像度改善の方法論
【0016】
本発明のマルチフレームピクセル超解像度方法論では、対象の多数のLR監視や画像(完璧なまたは部分的な画像)が対象の画像に復元されたときに、LRレベル以上の画像の解像度を増加させる追加情報を含むという認識から生じる。対象の多数のLR監視や画像における異なるLR画像は、周波数領域または空間領域のいずれかで画像装置に導入される小さな障害の条件下で取得される。
【0017】
したがって、本発明の発想は、LRセット(シーン画像のLRセット)と呼ばれる同じシーンの複数監視セットからHR画像を取得するという前提に基づいている。特に、シーンまたは対象の複数画像のそれぞれが、シングル発散光波面(シングル光源のみで生成される)だけで、その対象の照明または照射の結果として得られる。発散光波面の軸は、画像システムのシングル検出器の平面と垂直であり、その発散角度は、複数の画像取得の処理を通して変化しない。つまり、対象が画像ライトで照射される角度は、連続的に取得されるLR画像の間で変化しない。
【0018】
個々のLR画像は、シーンのシングルかつ特定(時間内)の監視(すなわち、シングルショット監視または画像)および異なるLR画像として定義され、その一方で、同じ対象またはシーンの画像は、サブピクセル空間シフトにより互いに区別される。求められているHR画像は、画像として定義される。そのピクセルの空間密度は、LRセットからの各LR画像の空間密度よりも大きい。このようにして、本発明の超解像方法では、ピクセル変化を計算的に探索するために用いられ、LR画像の所定のLRセットからHR画像を取得する。
【0019】
既に上述したように、所定の標本104のホログラムシャドウへの適用において、LRホログラムシャドウのセットは、光源と標本との間の小さな移動を利用して得られる。
図2は、本発明の方法をまとめたものである。
【0020】
最初(
図2のブロック(a))に、N個のホログラムシャドウのLRセットが、
図1のシャドウ画像システムの実施形態100を利用して得られる。HR画像内のシャドウ画像データをさらに処理するために取得しなければならないLR画像の数Nは、ほぼ任意である。その一方で、より大きい数のLRセットは、より多くの画像情報を格納し、その結果、求められているHR画像の品質を向上させることに留意されたい。
【0021】
特に、サブピクセル光情報を抽出することは、サブピクセルのほんの一部を有する同一の二次元平面下で、そのような画像が完全に登録されて参照フレームに位置合わせされている場合のみに、複数のLR画像から得ることができる。最初に、LRセットからのLR画像の高速配列(fast alignment)は、特徴ベース登録方法(feature-based registration method)(
図2のブロック(b))で行われ、平面変換(plane transformations)のホログラフィマトリックスを決める(各フレームの1つは、変換に対応し、参照フレームに対する候補をラップする必要がある)。
【0022】
以下は、探索空間でグローバル最適点を決定するためのコスト関数(cost function)のサブピクセル最適化である(
図2のブロック(c))。目的コスト関数は、2つのペナルティ項目、すなわち、初期登録の場所を保持するための忠実度項目および微調整を容易にするための焦点計算項目で形成され、特定の登録の品質を推定し、鮮明測定に基づきホログラムフリンジを増やし、低空間周波数波と高空間周波数波の両方を表す情報を回復させる。
【0023】
参照フレームに対する各LR画像の混合登録(hybrid registration)のこのような手順の結果として、HRホログラムシャドウ画像が形成され、その低/高周波が回復する(
図2のブロック(d))。混合登録アプローチは、ノイズフィルタの効果を生成するために構成されている。ノイズおよび他の望ましくないアーチファクト(例えば、システム100を通して光の光路に存在するほこりや傷により生じる光アーチファクト)が、時間と空間で抑制される。
【0024】
図2のブロック(e)に示されているステップでは、HRホログラムシャドウが、例えば、フェーズ回復方法でデコードされる。これを達成するために、例えば、角度回折計算またはフルネル畳み込み法(Fresnel convolution method)を用いて、ブロック(d)のHRホログラフィック画像を実信号、虚数信号、フェーズ信号、および、振幅信号に変換してもよい。
【0025】
この処理の結果の汎用例を提供するために、画像デジタル化の手順の計算的実証、超解像方法、および、LRセットにおける制御されたサブピクセルの変化の重要性が、
図3A、
図3B、
図4A〜
図4Cに示されている。
【0026】
ここで、LR画像ジェネレータは、入力信号(画像)からLR画像を生成し、センサセル(ピクセル)上に制御された空間移動(シフト)を達成し、それによって、連続的信号をシミュレートするために(実験的環境でデジタル取得装置/カメラで行われるように)、開発されている。
図3Aに示されている入力信号は、ダウンサンプリング係数k(down-sampling factor k)を用いてその光強度を平均化することによりピクセル化される。
図3Aの入力信号から推定されるLR画像は、
図3Bに示されているように(例えば、「低解像度#1」画像)、オリジナル入力信号よりk倍少ないピクセルを有する。次のステップでは、グリッド300(光センサの領域)を1ピクセルユニットだけ移動させて、新しいLR画像への光強度を平均化させることにより、対象の新しい鮮明なLR画像が生成される(「低画像度#2」画像)。この手順は、k×n領域の範囲でピクセルごとのシフトを生成するために、継続的に適用される。
図3Aに示されている例は、k=6、n=6とし、36枚のLR画像(図示していない最後の「低解像度#36」画像)を有する従来のシャドウ画像システムに対応する。各LR画像は、特定の対応する空間シフトにより生成され、変化したピクセル強度を含む。
【0027】
図面に存在する結果は、サブピクセル情報のキャプチャを容易にするためのマルチフレーム処理に対して制御された空間的シフトの重要性を証明している。LRセットからの各特定画像の情報内容は、同じセットからの他の画像のものと視覚的に同じであるが、その一方で、強度における変化は、
図3Aに示されるように、セットからのLR画像がピクセルごとに評価される場合に特定される。それらの変化は、その後、より高いピクセルベースの解像度でシングル画像に再結合される。通常、超解像度方法では、ローカル情報を回復してぼかし効果を減らすために、デコンボリューション(deconvolution)や鮮明アルゴリズム(sharpness algorithms)と組み合わせて登録方法の評価を必要とすることがある。光学装置によるデータ転送は、回折限界(diffraction limit)により制限されることが知られている。一方、空間解像度は、複数のサンプルから情報を組み合わせることにより、この限界近くまで増加させることができる。
図4A〜
図4Cにおいて、
図3Aと
図3Bに先に示されているLRセットに適用される超解像度方法のアプリケーションが、実証されている。入力信号は、
図4Aに示されている。
図4Bに示されているように、36枚のLR画像が分解されている(k=6、n=6)。再結合した後に、36枚のLR画像のLRセットは、
図4Cに示すシングルHR画像を生成する(
図4CのHR画像は、以下に説明するように、登録手順を除いて、点光源のランダム動作を用いる特定の実施形態を用いて取得される。登録手順は、もうすでに知られており、すべでのシングル画像が、1ピクセルユニットの間引き(decimation)であり、登録手順後に、各LR画像の最適化されたアライメント(alignment)を表す適切な登録と共にLRセットを平均化する)。
【0028】
特に、
図4Cの求められているHR画像は、各LR画像(
図4B)と比較した場合、画像情報の重要なレベルの詳細および幾何学的形状を見ることができる。LR画像は、電子画像装置の実際の状態および容量を密に表し、超解像度の実装は、実際の画像を処理するために用いられるものと同じである。
図4Cの結果として生じるHR画像は、
図4Aの入力信号と比較して、光学的情報の損失やぼやけのある程度のレベルを示す。しかしながら、この影響は、
図3Aのレッドグリッド310で用いられるサンプリングピッチのデジタル化手順およびサイズで予想される。
【0029】
以下の例では、
図1のシステム100のピンホールにより形成される点光源のランダム動作の特定状態が、デジタルホログラフィック顕微鏡プラットフォーム用LR画像のセットを生成するために用いられる。この特定のケースでは、点光源自体を除いて、全て固定である。点光源は、ピクセル化された検出器150の平面上に標本のシャドウを投影するために任意の方法で動かされる。このプラットフォームは、シングル点光源(光源のアレイに構成されるLEDのような複数の光源の代わりに)を使用する利点、複雑な再配置や空間移動機構の低減、自動的な登録やサブピクセル最適化のためのアルゴリズムの使用する利点を有する。通常、完全に任意の予め定められていない移動(空間的シフト)が、示されたハイブリッド計算アプローチを使用して、決定される。
【0030】
図1のシャドウ画像システムを参照すると、CO
2レーザーカッター研磨機を使用して、〜10×10cm
2のエリアを有する基礎を構築し、その下に配置されるセンサ150を結合させる。同じ基礎で、画像化されるサンプル104(マイクロ流体チップまたはスライドガラス)は、サンプルと検出器150の平面との間で最小化された状態で、収容される。位置決めステージ140は、ピンホール130を介して放出される光Lによって形成される点光源をシフトさせるために構成されており、検出器の平面に平行な同一平面のX軸とY軸に沿ったピンホールの異なる位置により定義される別々の様々な視点からサンプル104を照らす。複数の画像を取得するために、シングル点光源のシフトは、約1mm
2のエリア内の7×7空間グリッドまたはマトリックス内部に、固定の定められたステップサイズで行われており、その後、サンプルの合計49個の別個の観察が、ピクセルの変化した内容で取得される。
【0031】
選択された固定の物理エリア(例えば、〜2.5×2.5cm)内の任意の移動は、点光源のわずかに小さいシフトでキャプチャされたいくつかのフレームで許容できる。また、大きな移動が、検出器で衝突する波面の入射角度における変化により、ホログラムシャドウ上の異常の存在を容易にさせることができることに留意されたい。
【0032】
複数のフレームを解釈するための計算アプローチは、C++とR統計的言語で開発されており、LR画像の取得したセットを表すデータを含むデータ登録簿を読み込み、LR画像を変換マトリックスで登録し、所定のサブウィンドウエリアで自動的にサブピクセル最適化を実行する。このアプローチの性質上、使用された点光源が全ての特定のLR画像に対して動くので(点光源が、固定されておらず、各取得手続きに対して変化する)、平面をラップするための変換の静的マトリックスが他の最先端のアプローチのように固定することはできない。ゆえに、ハイブリッドアプローチは、(a)特徴ベースアプローチを使用するLRセットの高速画像登録と、(b)エリアマッチングアプローチに基づく最適化手順(最小化エラー)と、を用いて、LRセットを同一平面ドメインに自動的に登録する。
【0033】
高速画像登録
画像登録は、2つ以上の画像間の最適な変換を計算し、そのような画像を固有の座標系に空間的に整列させるプロセスである。これは、所定の参照画像に対し完全な照合を探す画像の変換および回転などの空間参照操作のセットにより行うことができる。LRセットから異なる画像を取得中、実験的セットアップにおける唯一の変更は、点光源の非常に小さな移動であるので、個々のLR画像のそれぞれのシーンは実質的に平面のままである。各LR画像は、照明光L1と同じ強度、かつ、同じ光源と標本との間の距離(source-to-specimen distance)で取得されるので、異なるLR画像間の画像情報で生じる唯一の変化は、移動ステップサイズを表すものである。したがって、特徴ベース方法またはエリアベース方法の使用でLR画像を整列することができる。エリアベース方法は、互いに個々の画像の照合品質を測定するために、ある程度の誤差計量(error metric)を必要とする。特徴ベース方法は、ホモグラフィを決定するために照合されるまばらな特徴点のセット(そのようなポイントの3つが同じ直線上にない最小4つのキーポイント)に基づいて、画像を記録する。
【0034】
図5Aと
図5Bを参照すると、実施形態で用いられ、特徴ベース登録手順を採用する高速画像登録は、次のように行われる。
【0035】
キーポイントは、参照画像と対象画像との両方に対して検出され、特徴ベクトルが計算される。Haarウェーブレッド(Haar wavelets)の合計に基づいてIFT(Scale-Invariant Feature-Transform:スケール不変特徴変換)アルゴリズムに触発されるSURF(Speeded Up Robust Features:頑健な特徴量の高速化)アルゴリズムは、関連するキーポイントを特定するために用いられる(例えば、Goshtasby A.A., 画像登録−原理、ツールおよび方法、コンピュータビジョンおよびパターン認識の進歩(Image registration - Principle, Tools and Methods, in Advances in Computer Vision and Pattern Recognition)を参照)。
【0036】
参照画像および対象画像の特徴ベクトルは、近傍関数により整合される。FLANN(Fast Approximate Nearest Neighbor matcher: 高速近傍探索整合)は、キーポイントと関連付けるために用いられる。
【0037】
高品質の照合のみを選択するために、取得した結果は、異常値のポイントを除去するように設計されたクラスタリング技術(clustering technique)で確認される。これらの異常値は、LRセットの参照画像と対象画像との間の幾何学的距離および角度係数に基づいて、最小二乗適合(least-square fitting)で検出することができる。
【0038】
取得したマトリックス −マッチング(matrix-matching)は、ランダムサンプル合意スアルゴリズム(Random Sample Consensus algorithm)(上述で参照されたGoshtasbyを参照)を用いてシングルLR画像ごとに計算され、ホモグラフィマトリックス(homography matrix)を推定する。取得したホモグラフィマトリックスを用いて、参照対象LR画像がラップされる。各LR画像は、それぞれ対応するホモグラフィマトリックスを必要とするため、この手順は、N−1LR画像に適用される。
【0039】
サブピクセル最適化
本発明の方法における次の手続きステップは、エリアマッチングアプローチ(area matching approach)の使用で行われる最適化手続きを含む。エリアマッチングアプローチは、登録エラーの推定を表すエネルギーE(コスト関数)を最小化しようとするが、一般的に時間がかかる。このプロセスは、Eの値を最小限にしている間、モデルのペナルティ項目の中で妥協を見つける必要がある。ここで、2つのペナルティ項目は、エネルギーコスト関数を定義するために用いられる。データ項目または忠実度項目と呼ばれる第1項目は、LR画像セットからの対象HR画像のずれに不利益を与え、結果が、最小化中にオリジナルのLRデータに可能な限り近い(登録された後で、適切な位置に近い)ものでなければならないという推定を表す。第2項目は、鮮明測定(sharpness measure)と呼ばれ、対象決定が、適切なホログラフィック伝播(holographic propagation)を有するときを示すように設計されている。LRセットからLR画像に関連する対象HR画像決定Iに対して、この決定のエネルギーEは、次のように定義される。
【0041】
式(1)において、Lは、Lの濃度としてmを有する決定連続変数のセットにより変換されたLR画像のセットである。第1項目は、Iに対する各LR画像間の近似値の品質を測定し、空間的場所に関連し、不十分な対応の解に不利益を与える忠実度項目(例えば、理想的なマッチングから離れている変換を試みる決定変数)である。第2項目β(∇I)は、画像の鮮明度を表すフォーカス尺度(focus measure)であり、画像の相対的なフォーカス度を計算するために使用される。この項目は、サムLAMP方法(sum modified-Laplacian method:和修正ラプラシアン方法)により得ることができる。パラメータαおよびβは、従来技術で定式化された多くの変分モデルと同様に、各ペナルティ項目の相対的重要度を制御する。LRセットが空間的移動(光源のシフト)により得られるので、回折パターンは、光源の位置およびその形状に応じて変化し、ホログラフィックの縞模様が、LR画像ごとにわずかに異なる。前述の式は、他の変分モデルから提示された超解像の一般的な式と同じであるが、縞模様の伝播の増加にも関連する鮮明度の向上を測定するために特別に設計された項目が追加されている(
図5Cに示す)。
【0042】
図5A、5B、5Cにおいて、説明した登録および最適化手順を示す。ここで、高速登録は、ホモグラフィマトリックス(例えば、任意の2つの平面をラップする変換マトリックス)を計算するために空間的に配置されたキーポイントのセットを有する上述の特徴ベースアルゴリズムを用いて行われる。ホモグラフィマトリックスは、第2ステップのための初期推測解として用いられる。第2ステップでは、サブピクセルレベルで微調整が行われる。前述のステップは、コスト関数の最小化に基づいてLRセットを整列させる強度分布の重心を計算することを主な目的として存在する。最適化は、勾配降下方法(gradient descent method)を用いて行われる。勾配降下方法では、さまざまなデシメーションの検索空間(xとyの位置で許容可能な変換、回転)が、連続のACO(Ant Colony Optimization:蟻コロニー最適化)アプローチにより作成される。AOCアプローチは、反復回数が完了した後にグローバル最適解を見つけるように設計されている(例えば、Socha K and Dorigo M., Europ. J. of Operational Res., 185 (3), 20018, pp. 1155-1173を参照、参照によりこの明細書に組み込まれる)。
【0043】
本発明で用いた高速登録および最適化手続きの結果は、
図18A〜
図18Eに示されている。
図18Aと
図18Dは、このようなホログラムにおいて勾配差を強調し和らげるために使用されるプレウィットコンパス演算子(Prewitt compass operator)に適用されるLRホログラムを表す。本発明の動的実施形態を用いて
図18Aと
図18DのLR画像のセットから得られるHRコンピュータ分解画像は、それぞれ、
図18Bと
図18Eに示されている。
図18Cと
図18Fは、それらの領域周辺でピクセルの平均強度を取得するために、対応するマークされた経路A−LR、A−HR、B−LR、B−HRに沿って、LR画像とHR画像(ホログラム)に対してプロットされたピクセル平均強度プロファイルを示す。これらのプロファイルの分析は、各特定のホログラム(LRおよびHR)のホログラフィックの縞模様作用を明らかにする。サイクル数が多いほど、数値回折処理が適用された後のホログラフィック信号の品質が良くなる。
図18Cにおいて、A−HRプロファイルが、縞模様の16サイクルをカウントし、その一方で、A−RLの対応部分は、6サイクルのみを周期的に解析することができる。また、周期的な縞模様情報は、LRケースと比較して、HRケースに対しより低い値の強度を達成し、低および高ホログラフィック周波数に対してより良い精細度を示す。
図18Fで描かれている場合では、プロファイルラインB−LRとB−HRが示されている。当業者は、シングルショットフレームと比較して、波サイクルのホログラフィック伝播と精細度における利点を繰り返し観察することができる。
【0044】
また、
図18A〜
図18Fを参照すると、本発明の実施形態の実装は、実質的なノイズ制御が生じる関連技術の手順よりも予想外の利点を有する。LRケースで示されているように、HRホログラムのバックグランドエリアが、単独のピクセル強度勾配のピークの影響を受けにくいことが当業者であれば理解できるだろう。バックグランド範囲は、サブピクセル情報の微調整で整列された後に連続するホモグラフィック画像から実行される画像加算手順に起因して、あらゆる種類の不均一性(inhomogeneities)を抑制する強度の暗い領域である。
【0045】
図19(フレームA、B,C)は、物質的なUSAF1961解像(physical USAF1951 resolution)を使用して測定される空間解像チャートを示し、シーンの複数の観察からキャプチャする。
図19のフレーム(A)で示されているホログラムは、LR部とHR部(
図19の右側のフレーム(B)とフレーム(C)にそれぞれ示されている)を用いて数値的に回折される。フレーム(B)のLR結果は、ある程度の解像度アスペクト比で明確に視認できるラインペア7−4(line-pairs 7-4 )を表示している。最適化手続きが適用された後、49回の観察から本発明の動的実施形態を用いて、約1.55マイクロメーターに相当するラインペア8−3(line pairs 8-3)の視覚情報が達成される。
【0046】
また、ノイズ抑制測定も本発明の動的実施形態を用いて行った。その比較は、
図21に示されているように、選択されたLR画像(
図20のフレーム(A)〜(F)のLR画像から)を用いて行われ、続いて、SNR、PSNR、RMSE、および、MAEインデックスの比較が行われる。得られた結果は、前のLRセットと比較した場合、HR画像に対して有意差がないことを表示している。また、二乗誤差ベースSNR推定の結果として、登録方法の性質により、ホログラフィック縞模様の伝播のために設計された追加のホログラフィック縞模様が導入されることが理解されるだろう。
【0047】
新しい測定は、ラプラス演算子に基づいて(例えば、S. Pertuz, D. Puig, and M. A. Garcia, “Analysis of focus measure operators for shape-from-focus,” Pattern Recognition, vol. 46, no. 5, pp. 1415 − 1432, 2013に記載されている)、ノイズ抑制推定およびLRとHR画像の鮮明レベルを考慮して行われる。演算子のこのカテゴリーは、鮮明レベルを計算するのにとても適している。すなわち、画像から2つの偏導関数(partial derivatives)を計算することにより、画像の焦点レベルを表すことができる。フォトグラフィック画像係数である鮮明度は、画像システムが再現できる詳細な量を決める(Nayar, “Shape from Focus”, 1994)。
図22、23A、23B、および、23Cに示されているように、ラプラス演算子ベースの方法論の実装は、HR画像とLR画像の両方のノイズ抑制の正確な推定および鮮明度の正確な評価を証明している。
図23A〜23Cは、評価方法の個々のカテゴリーのグラフプロットを提供する。3つの鮮明度の推定量に対して、HR画像は、LRセットと比較して、ノイズ抑制と鮮明レベルとを含む、より良好なフォーカスレベルを有する。ラプラスベースの演算子の方法論は、
図24に示されているように、C++で実現される。
静的実施形態:時間の経過に伴うホログラムシャドウの固定観察の利用
【0048】
この関連した実施形態において、対象の照射のシングル光源(
図1の画像システムの座標系に固定される)は、対象とその対象を照射するシングル光波面の軸との間の相対移動が導入されていない間、固定する方法で同じシーンまたは対象の画像セットをキャプチャするために用いられる。この固定のアプローチでは、上述に記載した実施形態で必要とされた空間的シフトの不在を補って、対象のLR画像の連続的な取得中に情報を変更するために、時間と共に光L1のビームの強度のちらつき、および、複数のLR画像データセットのフィルタリングの利点を有し、ノイズを低減すると共に、空間解像度を増加させる。特に、シーンまたは対象の複数の画像のそれぞれは、シングルの固定発散光学波面で、対象の照明または照射の結果として得られる。その波面の軸は、画像システムのシングル検出器の平面と垂直であり、その波面の発散角は、複数の画像取得のプロセスを通して変化しない。つまり、対象が画像光源で照射される角度が、連続して取得されるLR画像間で変化しない。このアプローチは、その単純さにおいて有利である。特に、データ取得方法が、光源、サンプル、または、光検出器の任意の動きを受けない点で有利である。
【0049】
本発明のこの実施形態によれば、同じ対象の複数の固定観察(複数のホログラムシャドウ)は、システムのシングル検出器で取得される。そして、画像フレームのノイズ抑制および合計によるホログラムの品質を時間の経過と共に増加させるために、マルチフレームアプローチを用いることができる。また、シャドウを移動させるために光源の空間物理的シフトがない場合を除いて、強度変化は、連続するフレームで行われる取得ステップ中、確認することができる。幾何学的解像度向上のカテゴリーでは、光のちらつきの強度により生じる固有ノイズ、または、画像装置の電子的または物理的状況に関連する固有ノイズが、ホログラフィック信号を変動させる可能性がある。
【0050】
それらの変化を示すために、
図6(a)では、静的に取得されたLR画像フレームが、時間の経過と共に表示されており、ピクセル強度の変化を観察することができる。ここで、100ラインに分けられる1mmのパターン(各ラインは、ラインペア毎間で10ミクロの距離を有する)は、
図10のシャドウ画像システム100を用いて連続的にかつ静的に画像化され、50枚の画像を形成する。異なる個々のフレームは、
図6のブロック(a)の画像の同じ部分に対して、
図6のブロック(b)と(c)、および、ブロック(d)と(e)に、それぞれ示されている。
図6のブロック(d)と(e)のフレーム間の直接の比較は、時間の経過と共に分析される同じホログラムシャドウにおけるピクセル強度の変動で明らかになる。したがって、同じ対象の連続的かつ静的に取得されたシャドウ画像は、そのような画像にわたって光強度の異なる分布を持つ。
【0051】
より詳細な検証は、
図6のブロック(d)と(e)に示されている例の間で簡単な減算が行われる際に得られる。この目的のために、それらのフレーム間の絶対差を用いて、
図6のブロック(f)に示されているフレームを形成する。このため、各特定のピクセル(例えば、|d−e|
2)ごとの強度差の二乗値は、
図6のブロック(g)に示されており、他の変化しない画像状況下で得られる連続的な画像フレームにおいてさえ、キャプチャされた画像全体の強度分布が変化するという証拠を提供する。時間の経過による光強度のそのような「ちらつき(flickering)」は、対象照射光ビームL1の発散波面に空間的変動をもたらす。このため、空間は、約1ミクロンの状態で画像化される対象のシャドウにおいて変化する。
【0052】
検出される小さなピクセル変化に基づき、マルチフレームと非線形フィルタリングとを組み合わせる以下の手順が採用されて、ノイズを低減し、LRセットから受け取る詳細なレベルを増加させる。
【0053】
(a)各LR画像は、鮮明なアルゴリズムに適用され、Lanczos補間(Lanczos interpolation)を用いて、係数kによってアップサンプリング(up-sampled)される。
【0054】
(b)アップサンプリングされた画像を用いて異方性拡散を適用し、アップサンプリングされた画像のピクセルの幾何学的情報を修正する。多数の変換の特性により、境界線が保存され、ノイズが同時に選択的に平滑化され、反復プロセスに条件付けられる。
【0055】
(c)マルチフレームデータ統合が行われ、最終ステップとして、シングルHR画像を推定する。このプロセスは、アップサンプリング処理された画像の合計に基づいている。
【0056】
具体的には、(a)Lanczos補間は、シンク関数(sinc function)を使用してピクセル強度の平均に基づいている。シンク関数の使用は、正弦補間と同じであり、その作用は、三次補間法と計算的に類似している。一方、その目的のために、三次補間は、境界線を滑らかにする傾向があり、カーネルサイズに応じていくつかの境界情報を失う。しかしながら、Lanczos補間は、ぼかし効果を避けるように設計されたリンギング形状(ringing shape)を有するカーネルを使用する。このLanczos補間は、次のように定義される。
【0058】
−a<x<a、かつ、L(x)=0ならば、パラメータaは、画像に適用されたカーネルサイズを決める正の整数である。
【0059】
他の方法と比較すると、双一次(bilinear)、双三次(bicubic)、ガウス分布に基づくものであっても、正のカーネルを有する畳み込み演算子であり、隣接ピクセルを平均化する。Lanczos補間は、局所的なコントラストを保持したり向上させたりすることが可能になるので、畳み込みに基づく他の多くの方法よりも優れている。これは、重要な特徴であり、特に、サンプリングされた画像が、グラデーション情報などの詳細な特徴を示す際に重要である。Lanczos補間は、画像上の境界および勾配ピークを検出する能力を増加させる傾向がある。このアプローチで用いられるLanczosアルゴリズムは、オープンCVコンピュータビジョンライブラリ(OpenCV computer vision library)で利用可能であり、マルチフレームアプローチのC++の実装で用いられる。
【0060】
(b)第2ステップは、勾配の細部を失うことなく、非線形異方性拡散フィルター(nonlinear Anisotropic Diffusion Filter:ADF)を、効果的な方法で隣接ピクセルをフィルタリングするように設計された反復アルゴリズムに適用することである。フィルターは、画像上で平滑化を行うが、それと同時に、隣接する領域間の境界線を保つことで作用する。プロセスは、ホットスポット近傍の強度変化を測定する拡散マトリックス、および、拡散が二乗カーネルで行われるべき場所を選択的に決めるコントラストパラメータ(λ)により制御される。一方、アルゴリズムが、多くの反復で適用される場合、拡散マトリックスは、新しい局所強度にゆっくり適応し、領域を同様に分割する傾向を有し、隣接する領域間の適切な境界を見つける。
【0061】
このアプローチで用いられる異方性拡散フィルターは、Joachim Weickerにより提案されており、選択的畳み込み技術として知られている。画像上で特定の平滑化を行う適応マトリックス値カーネル(adaptive matrix-valued kernel)を用いて、エッジピクセルの平滑化を抑制し、内部範囲でそれを刺激する。Mチャネルを有する画像I(x、y)およびu(x、y、0)=I(x、y)で初期化された信号に対する一般的な拡散方程式は、以下の式(4)である。
【0063】
Dは、マトリックス値関数(matrix-valued function)または拡散カーネルであり、i=1、・・・、Mは、個々のチャネル(この場合では、1次元)である。カーネルDの各コンポーネントは、以下の拡散係数gの式によって計算できる。
【0065】
x
2は、ホットスポット(通常、L
2−ノルム(L
2-norm))上の領域における変化を示し、λは、拡散がどの領域にどれだけ強くなければならないかを決定するパラメータである。一般的に、カーネルは、不均一なマトリックス(3×3)であり、カーネルが拡散関数によって定義された後、畳み込みが行われ、そして、反復が終了する。アルゴリズムの他の関連パラメータは、隣接するピクセル回りの多数の移動の革新的影響(progressive effect of mass transportation)が何回実施されるべきかを決める反復回数tである。このアプローチで用いられる実装は、C++で書かれており、組み込みシステムによりホログラフィックプラットフォームに簡単に統合されている。
【0066】
統合手順は、以下の式により行われる合計を含む。
【0068】
Liは、特定のLR画像であり、係数kで縮小され、拡散手続きで後処理される。HR画像Iは、簡単な合計手続きを用いて得られる後処理された画像の合成である。
図6は、結果として生じるホログラムシャドウを形成するために用いられる固定シングルショットの個々の画像フレームを備えた静的観察方法論に従って生成される結果で生じた画像の比較を表す。
図6で用いられている同じパターンは、
図7のブロック(a)に示されており、連続的なシングルショット画像フレームは、
図7のブロック(b)と(c)に示されている。当業者は、
図7のフレーム(b)と(c)との間のピクセルレベルでの強度分布の差異を容易に検証することができる。係数k=3で得られる「静的観察」結果は、
図7のブロック(d)に表されており、シングル画像フレームと比較して画像品質の有利な改善を証明する。観察された解像度の増加は、ピクセル数の3倍であった。アルゴリズムは、明確に定義された領域上のパターンラインを分離するADFによって提供される事前セグメンテーションの傾向を示す。
【0069】
また、このアプローチは、その実装が画像システムハードウェア内の動きの欠如に基づいていることから、データ処理プラットフォームをより単純化する。このため、サブピクセルの処理に対して登録する必要性はない(例えば、関連する実施形態において記載されているように、光源をシフトするために、複雑な装置は必要ないことから、ハードウェアプラットフォーム全体の最小化を容易にする)。
【0070】
図12は、シングルショットの結果と、本実施形態による複数の静的観察と、上述した動的実施形態の使用と、装置100のピンホール130によって形成される点光源のシフトを利用したものと、の比較を提供する。
図12Aと12Bの画像は、静的および動的な実施形態について、平面上の点光源の移動のマップをそれぞれ示す。
図12C、12Dおよび12Eは、シングルフレームで取得されるホログラムシャドウと、静的実施形態の使用で形成されるホログラムシャドウと、動的実施形態で形成されるホログラムシャドウと、をそれぞれ示す。
【0071】
図14(フレームA1、A2、B1、B2を示す)において、両方とも数値的に回折されるLR画像(左側)と計算上決定されたHR画像(右側)との視認比較が、示されている。ホログラム(シャドウ画像)は、10マイクロメーターだけ間隔を置いたラインを備えた解像度チャートである対象により形成される。
図14のフレームA1とA2は、異なる倍率を有するLR画像部分を示す。また、フレームB1とB2は、異なる倍率を有するHR画像部分を示す。この実験では、増分係数f=4が、このシーンの静的観察のセットからシングルHR画像を計算するために用いられている。LR画像(フレームA1、A2)とHR画像(フレームB1、B2)との間の直接的視覚比較は、HR回折画像に対してラインペア間の空間解像度の増分を示す。LR画像の初期解像度は、1.67マイクロメーターであると推定され、明確に定義されていないエリアを有するぼやけによる影響を受ける。HR部分では、ラインペアを明確に認識することができ、各ラインペア間の24ピクセルを観察することができ、本発明の実施形態で得られる大きさの範囲の2〜3の命令で解像度利益をもたらす。本発明の静的実施形態による画像取得ワンド処理(image acquisition wand processing)の結果としてのSNRにおける変化を表すデータは、追加的に得られる。
【0072】
図15では、基準γとしての特定の任意フレームを用いて、6枚のLRおよびHR画像選択のSNR評価が行われた。結果は、SNRレベル(LRセットにおいて約28〜30dBまで最初に変化する)で24dB(HR画像に対して)まで減少した。LRセットにおけるPSNRのピーク値は、約35から39dBまで変化し、HR画像ではそのようなピークは、約30dBまで減少した。また、RMSEやMAEのような他の測定が示されている。その信号がLR画像よりも均質であることから、HR画像では高いレベルを示す。それら最後の測定は、特定のパターンからかなりの偏差を特定する傾向がある。
【0073】
また、HR画像を基準として使用するSNR値の比較が、
図16に示されている。HR画像は、LR画像セットから定期的に計算されるので、得られた結果は、SNR値の実質的に等しい分布を示す。また、その結果は、バイアスされたLR画像がないことを示し、そのLR画像は、他のLRとは異なって提供される、または、合計手続きで重み付けされる。
【0074】
図17には、ノイズ品質評価のSNR、PSNR、RMSEおよびMAEの項目を計算するために用いられる式が列挙されている。
高速フレームレートホログラフィックビデオ処理の実施形態
【0075】
この関連する実施形態は、4Dホログラフィックビデオ処理用に構成される顕微鏡用プラットフォームを実装する。上述の動的および静的実施形態で利用される同じシングル標準画像センサが用いられ、専用の特定高速画像装置を必要とせずに、非常に高いフレームレートを達成する。
【0076】
使用されるCMOS画像センサ150は、この画像装置で利用可能なフィールドオブビュー(FOV)全体(約30mm
2)を考慮すると、3840×2748の最大空間解像度と、2.6〜3.2フレーム/秒(fps)の範囲のフレームレート内で、単色モードでフレームをキャプチャすることができる。実用的なアプリケーションに対して、この種の画像センサは、静的サンプルのみの視覚化に限定され、上述の動作フレームレートを考慮すると、時間の経過と共にホログラムシャドウの(非常に)高速な動きのため、ホログラフィックビデオ取得を実現することはできない。
【0077】
一方、CMOS画像装置におけるセンサセルは、CCD技術に根ざしているものとは異なり、チップ構造(chip architecture)のために、各ピクセルは、それ自体の増幅器を有し、光電子の変換が並行して行われる。そして、取得中にアクティブフィールドオブビュー(画像のFOV)を減らすことにより、その構成およびデータ処理/計算パイプラインにおけるいくつかの特定の変更と共に、同じハードウェアセットアップ(例えば、静的取得構成に使用されるものと同じもの)を用いて、非常に高速にフレームレートを増やすことが可能である。後者は、製造者が提供するSDK(ソフトウェア開発キット)を用いて、バイナリコードで書かれてコンパイルされた外部プログラムを使用して直接実施することができる(このアプローチで用いられている画像センサの場合において)。ホログラムをキャプチャするために利用可能なアクティブFOVの大幅な減少に加えて、新しい実施形態のフレームレートはかなり増加し、それによって、非常に高いフレームレートで連続フレームをキャプチャすることが可能になる。実施された実験では、〜48fpsのレートの動作中の微生物物体(例えば、712×668ピクセル)の周りで適合されるFOVの再定義が、達成された。
図13に示すグラフは、FOVの再定義後のフレームレート(FPS)と画像フレーム寸法(ピクセルにおける画像FOV)との間の経験的なトレードオフをまとめたものである。通常、画像FOVは、予め定められた要件なしに、より大きな画像フィールドのサブセットとして構成または定義することができる。例えば、画像フィールドで初期のX位置とY位置、または、基準を設定することにより、構成又は定義され、画像FOVの対応する幅および高さが、その後設定される。したがって、一実施形態において、光学データのシャドウベース取得は、(i)検出器上の対象の全体的な光学シャドウからシングルLR画像のそれぞれに対するフィールドオブビューを減少させている間に、対象のマルチLR画像のフレームレートのビデオ取得を増加し、および/または、(ii)最初のフィールドオブビューを増加している間に、そのようなフレームレートを減少させる。例えば、
図13を再度参照すると、シングルキャプチャ画像の領域を約4倍に縮小すると、光学データ取得のフレームレートは、3倍以上増加する。他の例では、シングルキャプチャLR画像の領域を約4倍に増加すると、光学データ取得のフレームレートは、約2.3倍まで減少する。
【0078】
いくつかの顕微鏡アプリケーションでは、ホログラムを取り込み、移動中の微生物の特異性を視覚化するために、約30fpsのフレームレート以上が必要となり、その結果、4Dホログラフィック処理用のアプリケーションの新しい範囲を開くことになる。提案されたアプローチの利点は、従来のCMOS検出器を使用して、画像フレームレートを大幅に増加させるために、FOVを再構成できることである。このため、特定の高フレームレートの工業用カメラを有することなく、画像システムを構成することができる。
【0079】
実際には、以下の変更が、実施形態のシステム100で行われ、高フレームレートホログラフィックビデオ取得を達成する。
【0080】
ホログラムをキャプチャすると同時に、自動的に再寸法出力画像を出力するために、新しいアクティブFOVを再定義する特定のユーザのインターフェースを作成する。
【0081】
画像取得中、露光時間を短縮する。ピンホール130がレンズレスプラットフォーム100で使用される際、光源は、ピンホールにできるだけ近づけておくべきである。そうしないと、光が遮断され、サンプルを得てホログラムを生成するのに必要な光子量が、画像を生成するのに不十分である。この幾何学的な制限を補うために、シャッターが開いている時は、一般的には、光を取り込むために可能な最高レベル(この場合では、約500マイクロ秒)まで大幅に増加させ、キャプチャされた画像のぼかしに(大きな露出を介して)貢献する。本発明の実施形態では、この問題が解消されている。特に、
図1を参照して説明した光源120と比較して、光源が、光出力の強度をさらに低下する安価なArduinoSMDレッドLRD(そこからレンズが除去された)と置き換えられる。このレッドLEDは、それ自体で小さな点光源を提供する。このため、部分的コヒーレント光(coherent light)を得るための追加のピンホールの必要性が緩和され、この実施形態は、実施形態100と比較して、ピンホール130を有していない。このため、LED光源は、検出器150の平面から3cmだけ離れて位置付けられており、それにより、数マイクロ秒(10マイクロ秒未満、好ましくは、5マイクロ秒未満、シャドウ画像に使用されていたものよりも低いレベルの予想外の2桁の大きさ)まで開くシャッターの継続時間を減少させることを容易にし、非常に高フレームレートでぼかし効果のないホログラム取得をもたらす。
【0082】
対象の昇温問題は、検出器と平面との間の距離を増加させる(実際には、1〜約1.2mmの距離に達し、これは一般的に典型的なスライドガラスの厚みに相当する)ことにより対処される。サンプルは、サンプルとセンサ表面との間の直接的な接触をさけて位置づけされている。また、冷却システム(小さなGPGPUプロセッサファンなど)は、検出器/プラットフォームの下に配置され、熱を分散させ、および/または過度の蒸発を避けたり減らしたりする。
【0083】
粒子の合流(Confluence)および密度は、デジタルインラインホログラフィ(digital in-line holography)でよく認識される固有の問題である。この問題を対処するために、
図8のブロック(a)に示されているように、スライドガラスは、検査すべき流体の滴と一緒のみに使用される。
【0084】
取得と計算処理は、非同期モード(すなわち、初期に取得し、次にフレームごとの処理)で順次行われる。画像取得が終了した直後に、データの数値回折処理が行われる。得られたホログラフィックビデオは、数値回折を用いて繰り返し分析することができ、特定の平面(2次元平面(2D for plane)+1次元時間(1D for time))、または、容積分析(3次元体積+1次元時間)を検査する。
【0085】
3次元ホログラフィック視覚化(2次元平面画像および追加時間領域)は、ホログラフィックビデオにおける特定のフレームを選択することにより行われ、そして、数値回折処理をいくつかの対象面に適用し、数値回折アルゴリズムのパラメータとして用いられる適切な回折距離を見つける。その後、特定の平面(z軸)は、適切なパラメータを用いてフレームごとに数値回折処理を適用することによりビデオ全体を処理するために選択され、各フレームに対し1つの回折出力が得られる。それらのステップに続いて、統合手続きを使用して、個々に得たフレームを、実信号、虚数信号、振幅信号、および、位相信号が利用可能である回折ビデオに再構成する。また、多次元カラービデオは、実部および虚部を多次元RGB画像に再結合することにより得られる。4次元ホログラフィック視覚化(3次元体積+1次元時間軸)は、現在開発中であり、それは、新しいFOB上の任意のホログラフィックシャドウまたはサブウィンドウの回折点を自動的に決定するオートフォーカス方法の使用と組み合わせる。上述の視覚化モデルと同様に、ホログラフィックビデオは、パラメータとして初期の対象平面および最終の対象平面を有する数値回折に直接送られて、各フレームに対して体積を構成するいくつかの対象平面が取得されることを意味する。いくつかの平面の体積では、オートフォーカス方法が、検出器の平面からの距離を決定するのに役立つ。この手続きは、ホログラフィックビデオにおける各フレームに適用されるが、時間的に標本をx、y、zで視覚化することができる時間的体積再構築を出力として有する。
【0086】
高フレームレートビデオ処理に対する提案されたホログラフィックプラットフォームの一般的な概要は、
図8のブロック(a)、(b)、(c)、および、(d)に示されている。実験的セットアップは、
図8のブロック(a)に示されており、微生物に接する液滴は、スライドガラス上に直接置かれ、
図8のブロック(b)に示すようにホログラフィックビデオを記録する。ビデオ処理用に特別に設計された計算ライブラリ(FFMPEGなど)を使用すると、フレームが抽出されて、特定のz軸を用いる数値回折方法が適用されて、
図8のブロック(c)に示されているように、信号を再構成する。分析される標本に応じて、
図8のブロック(d)に示されるように、画像処理および特徴抽出方法を意思決定手続きで使用することができ、線虫本体分析は、その本体を自動的に分割し、経時的に追跡し、関連する特徴を抽出するように実施される。
【0087】
提案されたホログラフィックビデオプラットフォームにより得られた結果の例は、
図9A、9B、9Cのブロック(a)、(b)、(c)に示されている。オリジナルホログラフィックビデオの異なるフレームのいくつかは、ブロック(a)に示されており、複雑なホログラフィックパターンを時間の関数として提示する。数値回折処理が適用された後、振幅信号は、微生物の動きを示す(ブロック(b)に示す)。文字HとTは、それぞれ、線虫頭部と尾部を表す。また、フェーズ信号は、ブロック(c)に示されているように、実信号と虚信号との間の角度から得られる。
【0088】
このホログラフィックビデオプラットフォームを補う計算的解釈が、現在開発中である。
図10A、10B、10Cにおいて、線虫が時間の経過と共に追跡され、関連する特徴が特定のプロファイルを識別するために抽出される。
図10Aでは、線虫本体と体積情報が証明されている。
図10Bと10Cでは、曲線1010、1020で示すように、時間の経過とともに線虫の追跡が行われ、頭部と尾部のそれぞれは別の動きを示す。
【0089】
原位置観察用ホログラフィックビデオ(Holographic video for in-situ inspection)は、提案された実施形態の可能なアプリケーションの1つである。組み込まれた画像処理とパターン再認方法を組み合わせることにより、標本の定量的(数量的)および定性的分析のための特定のアプリケーションの開発が可能となる。ホログラフィックビデオを繰り返し再生することができるので、サンプルの体積X時間分析のために4次元ホログラフィを開発することができる。実験的には、
図11に示すようなホログラフィックビデオ処理についても、解像度の向上が観察された。シングルフレーム(
図11の左側に示す)を、時間の経過と共に連続的に分析することができ、増加させた解像度を有する(
図11の右側で示されている)。ここで、
図11の要素は、解像度チャートを示し、セクション8−3に対応するペアラインは、図の高解像度対応部分で視認できる。より高い空間解像度を達成するためにマルチフレームを組み合わせることができるという同じ仮定に基づいて、ホログラフィックビデオは、ビデオの超解像度用の特定の方法を用いることにより増加させる解像度を有する。
図11において、全変動(total variation)(TVL1)およびオプティカルフローアルゴリズム(Optical Flow Algorithm)のアプリケーション(Mitzel, Pock, Schoenemann, Cremers., Video super resolution using duality based TV-L1 Optical Flow, DAGM, 2009の参照により、ここに組み込まれる)に基づき、画像化された超解像度が示されている。
【0090】
本発明の実施形態で用いられる数値回折計算は、例えば、角度スペクトル方法(Angular Spectrum Method:ASM、例えば、Shimobaba T. et al, Computational wave optics library for C++: CWO++ library 183(5), 2012; pp 1124-1138を参照。参照により、ここに組み込まれる)を用いて行うことができる。ASMは、複雑な波動場を平面波の無数の総和に拡大することにより、波動場(wave-field)の伝播をモデル化するための技術を表す。空間周波数fxとfyとすると、波動場は、以下のように表すことができる。
【0092】
検出器のピクセルのx方向ピッチ、y方向ピッチに応じて、周波数領域で離散化された空間周波数は、(fx、fy)=(m1Δfx、n1Δfy)として表すことができ、m1とn1は、目的平面を誘導する整数である。伝達関数Hは、次の式により与えられる。
【0094】
λは、光源により生成される光の波長であり、kは、波数である。その値は、光源の平面(開口関数よって表される)u1(x1、y1)と目的平面(光検出器の平面)u2(x2、y2)の間の距離を示し、異なる高さの位置で焦点距離に等しいアルゴリズムのパラメータとして使用される。
【0095】
本発明の実施形態は、実施形態によって実行され、有形の非一時的メモリ記憶装置に格納され、書き込み不可能な記憶媒体(すなわち、ROMなどのコンピュータ内の読み出し専用メモリデバイス、または、CD−ROMまたはDVDディスクなどのコンピュータI/Oアタッチメントによって読み取り可能なデバイス)に永久に保存される情報、書込み可能な記憶媒体(すなわち、フロッピーディスク、リムーバブルフラッシュメモリ、および、ハードドライブ)に変更可能に記憶される情報、または、有線または無線のコンピュータネットワークを含む通信媒体を介してコンピュータに伝達される情報を含む多くの形態でプロセッサに送信する機能を定義する命令やプログラムにより制御されるプロセッサを含むものとして説明したが、それに限定されない。また、本発明は、ソフトウェアで実施することができる一方で、本発明を実施するために必要な機能は、任意選択的または代替的に、組み合わせロジック、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または、他のハードウェア、ハードウェア、ソフトウェアおよび/またはファームウェアコンポーネントのいくつかの組み合わせのようなファームウェアおよび/またはハードウェア構成要素を使用して部分的にまたは全体的に実施することができる。
【0096】
本発明の実施形態によって実行されるいくつかのプロセスは、組み合わされ、別々の動作ステップに分離され、および/または、異なる順序で実行されるステップを示すフローチャートおよび/またはブロック図を参照して説明されている。
【0097】
本発明は、上述の例示的な実施形態を通じて説明されているが、当業者には、本明細書に開示された発明の概念から逸脱することなく、図示された実施形態に対する変更および変形が可能であることが理解されるだろう。
【0098】
開示された態様またはこれらの態様の一部は、上記に列挙されていない方法で組み合わせることができる。 ゆえに、本発明は、開示された実施形態に限定されるものではない。