(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
流体を流動させるべく延びる内部流路を有する管状の継手本体部と、前記内部流路の二個以上の開口部分のそれぞれに設けられて、他の樹脂製配管部材の溶着端部と突き合わせて溶着される二個以上の溶着端部とを備え、前記内部流路が、その延在途中に、該内部流路を二叉以上に分岐させる分岐点、該内部流路を屈曲させる屈曲点、又は、内部流路の内径を変化させる内径遷移点を有する樹脂製管継手であって、
前記分岐点、屈曲点又は内径遷移点から溶着端部の端面までの長さを、当該樹脂製管継手を用いて構成する配管の、互いに隣接する分岐点、屈曲点又は内径遷移点間の二点間直線距離のうち、最も短い二点間直線距離の半分より短くしてなり、
前記内部流路は、該内部流路の流路断面積が、前記溶着端部のそれぞれに向かうに従って次第に大きくなるテーパ形状を有する樹脂製管継手。
前記分岐点、屈曲点又は内径遷移点から溶着端部の端面までの長さを、該溶着端部での管外径に対する比で表して、0.81〜3.90の範囲内としてなる請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂製管継手。
二個以上の樹脂製管継手を含む複数個の樹脂製配管部材を備える配管であって、前記樹脂製管継手の少なくとも一個を、請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂製管継手としてなる配管。
分岐点、屈曲点又は内径遷移点から溶着端部の端面までの長さが、当該配管の、互いに隣接する分岐点、屈曲点又は内径遷移点間の二点間直線距離のうち、最も短い二点間直線距離の半分より短い樹脂製管継手を備える、請求項5に記載の配管。
当該配管の、互いに隣接する分岐点、屈曲点又は内径遷移点間の二点間直線距離のうち、最も短い二点間直線距離を、当該分岐点、屈曲点又は内径遷移点を有する前記樹脂製管継手の溶着端部での管外径に対する比で表して、1.61〜7.9の範囲内としてなる請求項5又は6に記載の配管。
請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂製管継手を含む二個の樹脂製管継手と、それらの樹脂製管継手の間に連結された直管状の樹脂製配管部材とで構成される配管部分を有し、前記配管部分の当該二個の樹脂製管継手のそれぞれの分岐点、屈曲点又は内径遷移点の間の距離を、前記互いに隣接する分岐点、屈曲点又は内径遷移点間の二点間直線距離としてなる請求項5〜7のいずれか一項に記載の配管。
複数個の樹脂製配管部材を連結して、配管を製造する方法であって、二個の樹脂製配管部材を互いに連結するに当り、当該二個の樹脂製配管部材のうちの少なくとも一個を請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂製管継手とし、当該二個の樹脂製配管部材のそれぞれの、互いに内径の等しい溶着端部どうしを突き合わせて溶着させる、配管の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで近年は、配管を設置する場所のスペース上の制約等より、配管全体の寸法ないしボリュームを低減することが求められている状況にある。なお、いわゆるメカニカル継手は、ボルトやナットを用いて連結されて配管ボリュームの増大を招くことから、配管ボリューム低減の観点では、かかるメカニカル継手よりも、上述したような、樹脂の溶着により連結される樹脂製管継手が有利である。
【0005】
このような状況の下、樹脂製管継手を用いて製造しようとする配管に、互いに隣接する二個の樹脂製管継手の分岐点、屈曲点又は内径遷移点間の距離が比較的短い配管部分が存在する場合、配管の製造時に現場で、樹脂製管継手の端部を切断して短くするととともに、切断後の端面に所定の処理を施すことを行っていたが、このような作業は、製造能率の低下をもたらすという問題があった。
【0006】
また、樹脂製管継手を射出成形により成形する際の、その内部流路を形成するためのコアピンの引抜き容易性を考慮して、
図8(a)に示すように、内部流路Pの流路断面積が溶着端部112に向かうに従って次第に大きくなるテーパ形状とした樹脂製管継手111の場合、同図に破線で示すように、上述した理由により樹脂製管継手111の端部112を切断すると、樹脂製管継手111の切断後の端部112aの管内径が、元の端部112の管内径よりも小さくなる。それにより、このように端部112を短くした樹脂製管継手111を、樹脂製チューブ部材121等の端部122と溶着させた場合、
図8(b)に示すように、そこに内径差に起因する段差DLが形成されて、使用時の液溜まりや流量の低下を招くという問題もある。
【0007】
この発明は、このような問題を解決することを課題とするものであり、それの目的とするところは、所定の配管形状に合わせて樹脂製管継手の端部を切断する等の作業なしに、様々な形状の配管に適合する樹脂製管継手、配管及び、配管の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者は、鋭意検討の結果、樹脂製管継手の分岐点、屈曲点又は内径遷移点から溶着端部までの長さが、その樹脂製管継手を用いて製造しようとする配管の、互いに隣接する分岐点、屈曲点又は内径遷移点間の距離の半分より短くなる寸法形状の樹脂製管継手とすることにより、配管の製造時に、樹脂製管継手の端部の切断作業を不要とすることができると考えた。
【0009】
この知見の下、この発明の樹脂製管継手は、流体を流動させるべく延びる内部流路を有する管状の継手本体部と、前記内部流路の二個以上の開口部分のそれぞれに設けられて、他の樹脂製配管部材の溶着端部と突き合わせて溶着される二個以上の溶着端部とを備え、前記内部流路が、その延在途中に、該内部流路を二叉以上に分岐させる分岐点、該内部流路を屈曲させる屈曲点、又は、内部流路の内径を変化させる内径遷移点を有するものであって、前記分岐点、屈曲点又は内径遷移点から溶着端部の端面までの長さを、当該樹脂製管継手を用いて構成する配管の、互いに隣接する分岐点、屈曲点又は内径遷移点間の二点間直線距離のうち、最も短い二点間直線距離の半分より短くしてな
り、前記内部流路は、該内部流路の流路断面積が、前記溶着端部のそれぞれに向かうに従って次第に大きくなるテーパ形状を有するものである。この二点間直線距離は、当該樹脂製管継手が用いられる配管部分における二点間直線距離を意味する。
好ましくは、前記樹脂製管継手の溶着端部の内径と、当該樹脂製管継手の溶着端部に溶着される他の樹脂製配管部材の溶着端部の内径が等しいものとする。
【0010】
この発明の樹脂製管継手では、前記分岐点、屈曲点又は内径遷移点から溶着端部の端面までの長さを、該溶着端部での管外径の半分より長くすることが好ましい。
また、この発明の樹脂製管継手では、前記分岐点、屈曲点又は内径遷移点から溶着端部の端面までの長さを、該溶着端部での管外径に対する比で表して、0.81〜3.90の範囲内とすることが好ましい。
【0011】
この発明の配管は、二個以上の樹脂製管継手を含む複数個の樹脂製配管部材を備える配管であって、前記樹脂製管継手の少なくとも一個を、上記のいずれかの樹脂製管継手としてなるものである。
【0012】
この発明の配管は、分岐点、屈曲点又は内径遷移点から溶着端部の端面までの長さが、当該配管の、互いに隣接する分岐点、屈曲点又は内径遷移点間の二点間直線距離のうち、最も短い二点間直線距離の半分より短い樹脂製管継手を備えることが好ましい。
【0013】
この発明の配管では、当該配管の、互いに隣接する分岐点、屈曲点間又は内径遷移点の二点間直線距離のうち、最も短い二点間直線距離を、当該分岐点、屈曲点又は内径遷移点を有する前記樹脂製管継手の溶着端部での管外径に対する比で表して、1.61〜7.9の範囲内とすることが好ましい。
【0014】
また、この発明の配管では、上記のいずれかの樹脂製管継手を含む二個の樹脂製管継手と、それらの樹脂製管継手の間に連結された直管状の樹脂製配管部材とで構成される配管部分を有し、前記配管部分の当該二個の樹脂製管継手のそれぞれの分岐点、屈曲点又は内径遷移点の間の距離を、前記互いに隣接する分岐点、屈曲点又は内径遷移点間の二点間直線距離とすることが好ましい。
【0015】
この発明の配管の製造方法は、複数個の樹脂製配管部材を連結して、配管を製造する方法であって、二個の樹脂製配管部材を互いに連結するに当り、当該二個の樹脂製配管部材のうちの少なくとも一個を、上記のいずれかの樹脂製管継手とし、当該二個の樹脂製配管部材のそれぞれの、互いに内径の等しい溶着端部どうしを突き合わせて溶着させることにある。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、樹脂製管継手の分岐点、屈曲点又は内径遷移点から溶着端部の端面までの長さを、当該樹脂製管継手を用いて構成する配管の、互いに隣接する分岐点、屈曲点又は内径遷移点間の二点間直線距離の半分より短くしたことにより、この樹脂製管継手の端部を切断しなくとも、所定の形状の配管を製造することができるので、当該樹脂製管継手を、様々な形状の配管に適合させることができる。
また、この発明の樹脂製管継手では、分岐点、屈曲点又は内径遷移点から溶着端部の端面までの長さを、上記の二点間直線距離の半分より短くしたことから、他の樹脂製配管部材と端部で溶着する際に端部を切断することが不要になる。その結果として、テーパ形状の内部流路を有する樹脂製管継手であっても、他の樹脂製配管部材との溶着部内面への段差の発生を防止することができて、従来のものに比して、内部流路を流れる流体の流動抵抗を低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に図面を参照しながら、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1(a)及び(b)にそれぞれ平面図及び断面図で例示する樹脂製管継手1は、いわゆるチーズと称され得るものであって、
図1(b)に示す断面でT字状をなす内部流路Pを有する管状の継手本体部2と、内部流路Pの三個の開口部分A1〜A3のそれぞれに設けた溶着端部3a〜3cとを備えてなる。なお、T字状の内部流路Pを有する継手本体部2もまた、
図1(a)に示すように略T字状の外形を有する。
【0019】
ここで、樹脂製管継手1の溶着端部3a〜3cは、樹脂製管継手1を含む後述の配管を構成する際に、図示しない溶着機等を用いて、直管ないし曲管状等の樹脂製チューブ部材または他の樹脂製管継手等の樹脂製配管部材の端部と突き合わせて溶着されるものである。この溶着は、たとえば、溶着機の対をなすクランプ治具のそれぞれに、樹脂製管継手1の端部と樹脂製配管部材の端部とが互いに対向する姿勢で、それらの樹脂製管継手1及び樹樹脂製配管部材のそれぞれを保持させ、その後、クランプ治具に保持させた樹脂製管継手1及び樹脂製配管部材の両端部を、ヒーターその他の加熱装置によって加熱して溶融させた状態で、樹脂製管継手1及び樹脂製配管部材を互いに接近させ、それらの端部を、所要の圧力の作用により突き合わせることにより行うことができる。溶着端部3a〜3cは、溶着代として1mm以上の厚みを与えることができる。
【0020】
またここで、継手本体部2の内部流路Pは、一般には円形の流路断面を有するものであり、樹脂製管継手1を用いた配管の使用時に、たとえば薬液等の液体もしくは気体その他の流体を流動させて、該流体を所定の場所に送るべく機能する。この実施形態における内部流路Pは、直線状に延びる中心軸線C1を有する基部、及び、基部の延在途中の中央で基部から垂直に分岐する中心軸線C2を有する分岐部からなる。
そしてこの樹脂製管継手1は、内部流路Pの基部の中心軸線C1と、分岐部の中心軸線C2とが交わる位置に、内部流路Pを二叉に分岐させる分岐点Bpを有する。図示の樹脂製管継手1は、内部流路Pの基部の中心軸線C1と、分岐部の中心軸線C2とが、分岐点Bpで90°で交わるものであるが、それ以外の角度で交わる樹脂製管継手とすることも可能である。
【0021】
図2に、他の実施形態の樹脂製管継手11を示す。この樹脂製管継手11は、いわゆるエルボと称され得るものであり、
図2(a)に示す外形及び
図2(b)に示す内部流路Pの形状がともに略L字状をなす継手本体部12と、内部流路Pの二個の開口部分A1及びA2のそれぞれに設けた溶着端部13a及び13bとを備える。
この実施形態では、内部流路Pが、その延在途中で屈曲して、互いに90°で交わる直線状の中心軸線C1及びC2を有する。そして、樹脂製管継手11は、二本の直線状の中心軸線C1及びC2が互いに交わる位置に、内部流路Pを屈曲させる屈曲点Cpを有する。なお、図示は省略するが、中心軸線が90°以外の角度で交わる内部流路を有するものとすることもできる。
【0022】
図3に、さらに他の実施形態の樹脂製管継手21を示す。この樹脂製管継手21は、いわゆるレデューサと称され得るものあり、内径が途中で変化する内部流路Pを有する継手本体部22と、内部流路のPの二個の開口部分A1及びA2のそれぞれに設けた溶着端部23a及び23bとを備える。
この実施形態では、
図3(b)に示すように、内部流路Pの内径が、同図の右側の溶着端部23aから左側の溶着端部23bに至る途中において、図示の断面で直線状に増加し、それにより、溶着端部23a、23bは内径が異なるものとなる。そして、樹脂製管継手21は、内径が変化する領域Adの、内部流路Pの中心軸線Cの方向(
図3では左右方向)の中心位置に、内径遷移点Tpを有する。
なお、このような内径遷移点を有する樹脂製管継手は、
図3に示す実施形態のものに限定されるものではなく、たとえば、図示は省略するが、内径が断面視で曲線状に変化する内部流路を有するものとすることも可能である。
【0023】
上述した樹脂製管継手1、11、21等の樹脂製管継手や、直管状の樹脂製チューブ部材を含む複数個の樹脂製配管部材を、先述したように溶着端部で溶着して順次に連結していくことにより、
図4に例示するような配管部分を有する配管を製造することができる。
図4(a)に示す配管部分は、
図1に示す二個の樹脂製管継手1と、それらの樹脂製管継手1の間に連結された所定の長さの直管状の樹脂製チューブ部材51とで構成されるものである。
図4(b)に示す配管部分は、
図1に示す樹脂製管継手1と、
図2に示す樹脂製管継手11と、それらの樹脂製管継手1、11の間に連結された所定の長さの直管状の樹脂製チューブ部材52とで構成されるものである。
図4(c)に示す配管部分は、
図2に示す二個の樹脂製管継手11と、それらの樹脂製管継手11の間に連結された所定の長さの直管状の樹脂製チューブ部材53とで構成されるものである。
【0024】
このような配管部分を有する配管を製造するに当っては、配管を配置しようとするスペースその他の条件を考慮して、予め決められた形状の配管になるように、樹脂製管継手や樹脂製チューブ部材等の複数個の樹脂製配管部材を用いるところ、配管ボリュームの低減が希求されている近年の状況下では、特に、配管の互いに隣接する樹脂製管継手の分岐点Bp、屈曲点Cp又は内径遷移点Tp間の二点間直線距離SDを比較的短くすることが必要になる。
ここで従来は、樹脂製管継手の分岐点Bp、屈曲点Cp又は内径遷移点Tpから溶着端部の端面までの長さLhが、所定の形状の配管の所定箇所に用いるものとしては長すぎる場合、配管の製造時に、樹脂製管継手の端部を切断して短くしていたが、このような切断作業は、配管の製造能率を著しく低下させるという問題があった。
【0025】
また、たとえば、チーズとしての樹脂製管継手1を製造するには、
図5に例示するように、図示しない成形金型の、樹脂製管継手1の外面形状に対応するキャビティ内に、同図に破線で示すように、T字状の内部流路を形成するための三個のコアピン101a〜101cを先端で相互に近接させてT字状に配置した状態で、キャビティ内に樹脂を射出して硬化させることにより行うことができるが、このときにキャビティ内に配置するコアピン101a〜101cは、樹脂硬化後の、同図に矢印で示す向きの引抜き性を確保するためにテーパ形状とすることがある。この場合、成形される樹脂製管継手1の内部流路Pは、
図1(b)に誇張して示すように、その流路断面積が、各溶着端部103a〜103cに向かうに従って次第に大きくなるテーパ形状となる。このテーパ形状による管内壁面のテーパ角度は一般に、
図5に示す断面で、内部流路Pの中心軸線に対して0.5°〜1.0°程度である。
そして、このような樹脂製管継手1で、先述したように、配管形状に合わせて端部を切断すると、切断後の端部の管内径が、元の端部の管内径より小さくなるので、樹脂製チューブ部材等と端部で溶着させた場合、溶着部に内径差に起因する段差が形成されて、使用時の液溜まりや流量の低下を生じる。但し、この発明は、内部流路が上記のテーパ形状ではない樹脂製管継手にも適用可能である。
【0026】
このような問題に対処するため、この発明では、樹脂製管継手1、11、21の分岐点Bp、屈曲点Cp又は内径遷移点Tpから溶着端部3a〜3c、13a、13bの端面までの長さLhを、樹脂製管継手1、11を用いて構成する配管の、互いに隣接する分岐点Bp、屈曲点Cp又は内径遷移点Tp間の二点間直線距離SDの半分より短くする。さらに、
図4に示す配管部分からなる配管を例として説明すると、樹脂製管継手1、11の分岐点Bp又は屈曲点Cpから溶着端部3a〜3c、13a、13bの端面までの長さLhは、互いに隣接する分岐点Bp又は屈曲点Cp間の二点間直線距離SD1、SD2、SD3のなかで最も短い二点間直線距離SD1(SDmin)の半分より短くすることが好適である。
【0027】
これにより、樹脂製管継手1、11、21の端部を切断することなしに、樹脂製管継手1、11、21を、所定の形状の配管に用いることができるので、上述したような問題のある端部の切断作業を不要にすることができる。配管における所定の配管部分の形状において、互いに隣接する樹脂製管継手1、11、21の分岐点Bp、屈曲点Cp又は内径遷移点Tpから溶着端部3a〜3c、13a、13bの端面までの長さLhが短い場合は、
図4に例示するように、それらの間に、適切な長さの直管状の樹脂製チューブ部材51、52、53等を配置すればよい。一般に樹脂製チューブ部材は押出成形により成形することができ、それにより、その内部流路は、全長にわたって一定の断面積とすることができるから、仮に樹脂製チューブ部材を切断して短くしたとしても、内径差に起因する流量低下等の問題は生じないようにすることが可能である。
【0028】
上記の樹脂製管継手1等の端部3cを、他の樹脂製配管部材、たとえば樹脂製チューブ部材51等の端部51aと溶着させる場合、樹脂製管継手1、11の端部3cを切断することを要しないので、
図6(a)、(b)に示すように、樹脂製管継手1と樹脂製チューブ部材51との相互に内径が等しい端部3c、51aを突き合わせて溶着させることができ、
図8に示す従来の樹脂製管継手111のような段差DLの発生の問題は生じない。
【0029】
ここで、分岐点Bpや屈曲点Cpは、樹脂製管継手1、11を例として先に述べたように、内部流路Pが分岐ないし屈曲する樹脂製管継手で、相互に延びる方向が異なる内部流路Pの中心軸線が交わる点をいう。また、内径遷移点Tpは、樹脂製管継手21を例として先述したように、内部流路Pの内径が変化する樹脂製管継手で、内径が変化する領域Adにおける、内部流路Pの中心軸線C上の中点を意味する。
またここで、分岐点Bp、屈曲点Cp又は内径遷移点Tpから溶着端部の端面までの長さLhは、その部分における内部流路Pの中心軸線に沿った方向に測定するものとする。
【0030】
そしてまた、配管の互いに隣接する分岐点Bp、屈曲点Cp又は内径遷移点Tp間の二点間直線距離SDは、樹脂製管継手を用いて構成される配管において、当該樹脂製管継手の分岐点、屈曲点又は内径遷移点と、それに隣接する他の樹脂製管継手の分岐点、屈曲点又は内径遷移点との間の直線距離を意味する。従って、たとえば、
図7に例示する配管部分では、上記の二点間直線距離SDは、互いに隣接する樹脂製管継手31のそれぞれの屈曲点Cpを結ぶ線分の長さSD4である。
なおここでいう「互いに隣接する分岐点、屈曲点又は内径遷移点」とは、配管の延びる方向で隣り合う二個の樹脂製管継手の分岐点、屈曲点又は内径遷移点のことをいい、互いに隣接する樹脂製管継手と他の樹脂製管継手との間には、直管状の樹脂製チューブ部材が存在することもあるが、さらに他の樹脂製管継手は存在しない。
【0031】
このような樹脂製管継手1、11、21を用いて配管を製造する場合、配管の最短の二点間距離SDminになる部分に用いる樹脂製管継手1、11、21であっても、その端部を切断することを要しない。
それにより、たとえば、内部流路Pがテーパ形状になる樹脂製管継手1の場合、端部の切断による内径の変化をもたらすことなしに、他の樹脂製配管部材と連結させることができる。つまり、ここでは、樹脂製管継手1と他の樹脂製配管部材とを連結する際には、樹脂製管継手1の溶着端部3a、3b又は3cと、その溶着端部3a、3b又は3cと内径が等しい他の樹脂製管継手の端部とを突き合わせて溶着させることができる。その結果として、先述したような、溶着部での内径差に起因する、使用時の流量の低下や液溜まりのおそれを取り除くことができる。但し、ここでいう「内径が等しい」とは、内径が厳密に一致することまでは要せず、たとえば0.4mm以下程度の、成形上やむを得ず生じる公差とみなせる内径差は許容される。
【0032】
なお、この発明の配管では、配管を構成する二個以上の樹脂製管継手のうちの少なくとも一個が、上述したような、長さLhを二点間直線距離SDの半分より短くした樹脂製管継手であればよい。好ましくは、二個以上の樹脂製管継手を、長さLhを最短の二点間直線距離SDminの半分より短くした樹脂製管継手とする。特に、配管を構成するこのような樹脂製管継手の長さLhは、最短の二点間直線距離SDminの半分より短くすることがより好ましい。
【0033】
一方、樹脂製管継手1、11、21の分岐点Bp、屈曲点Cp又は内径遷移点Tpから溶着端部3a〜3c、13a、13b、23a、23bの端面までの長さLhを短くしすぎると、溶着代が十分にとれずに強固に溶着できなくなる場合がある他、溶着時にヒーターの熱により、溶着しようとする端部ではない端部が溶融してしまうおそれがある。たとえば、
図1に示す樹脂製管継手1で、長さLhを短くしすぎると、溶着しようとする端部3aをヒーターで加熱した際に、他の端部3b、3cの側面が加熱溶融してしまうおそれがある。
そのため、樹脂製管継手1、11、21の分岐点Bp、屈曲点Cp又は内径遷移点Tpから溶着端部3a〜3c、13a、13b、23a、23bの端面までの長さLhは、溶着端部3a〜3c、13a、13b、23a、23bでの管外径Deの半分より長くすることが好ましい。
【0034】
より詳細には、分岐点Bp、屈曲点Cp又は内径遷移点Tpから溶着端部3a〜3c、13a、13b、23a、23bの端面までの長さLhの、上記の管外径Deに対する比(Lh/De)は、0.81〜3.90の範囲内とすることが好ましい。これはすなわち、管外径Deに対する長さLhの比(Lh/De)を0.81未満とした場合は、先述したように溶着代が十分にとれなくなったり、溶着時のヒーター熱により意図しない部分が溶融したりするおそれがあり、この一方で、管外径Deに対する長さLhの比(Lh/De)を3.90より大きくした場合は、構成する配管の二点間直線距離SDが長くなり、端部の切断の必要性が生じる可能性がある。この観点から、管外径Deに対する長さLhの比(Lh/De)は、0.98〜3.23とすることがより一層好ましい。
分岐点Bp、屈曲点Cp又は内径遷移点Tpから溶着端部3a〜3c、13a、13b、23a、23bの端面までの長さLhは、たとえば12.5mm〜25.0mmとすることができる。
【0035】
なお図示は省略するが、仮に、樹脂製管継手が有する二個以上の溶着端部のそれぞれで管外径Deが異なる場合は、最も大きい溶着端部の管外径Deを基準として、上記の長さLhの条件を満たすものとすることが好適である。あるいは、
図1に示すようなT字状の内部流路を有する樹脂製管継手で、分岐部の溶着端部の管外径と基部の溶着端部の管外径とが異なるものでは、分岐点から分岐部の溶着端部の端面までの長さは、基部の溶着端部の管外径を基準として上記長さLhの条件を満たし、分岐点から基部の溶着端部の端面までの長さは、分岐部の溶着端部の管外径を基準として上記長さLhの条件を満たすものとすることができる。
【0036】
また樹脂製管継手1、11、21を用いて構成される配管では、互いに隣接する分岐点Bp、屈曲点Cp又は内径遷移点Tp間の二点間直線距離SDのうち、最も短い二点間直線距離SDminは、それらの分岐点Bp、屈曲点Cp又は内径遷移点Tpを有する樹脂製管継手1、11、21の溶着端部3a〜3c、13a、13b、23a、23bでの管外径Deに対する比(SDmin/De)で表して、1.61〜7.9の範囲内とすることが好ましい。
【0037】
この比(SDmin/De)が1.61未満である場合は、樹脂製管継手の溶着代が十分にとれなくなったり、溶着時のヒーター熱により、樹脂製管継手の意図しない部分が溶融したりすることが懸念され、また、この比(SDmin/De)が7.9より大きい場合は、構成する配管の二点間直線距離SDが長くなるおそれがある。
このような理由より、比(SDmin/De)は、2.0〜6.46とすることがさらに好適である。
【0038】
なおここで、最も短い二点間直線距離SDminを構成する二個の樹脂製管継手の溶着端部が異なる管外径Deを有する場合は、それらのうちの大きいほうの溶着端部の管外径Deを基準として、上記の比(SDmin/De)を算出することができる。
最短の二点間直線距離SDminは、具体的には、25.0mm〜50.0mmとすることができる。
【0039】
この発明では、樹脂製配管部材には、
図1に示すチーズや
図2に示すエルボ、
図3に示すレデューサ等の様々な樹脂製管継手、並びに、直線状に延びる直管状の樹脂製チューブ部材及び、直管状のものを加熱して湾曲させた曲管状の樹脂製チューブ部材の他、配管を構成するための管状部材が含まれるものとする。
かかる樹脂製配管部材を構成する材料としては、たとえば、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等を挙げることができるが、ここで挙げた材料以外のものを用いることも可能である。