(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(a)第1の折り目を介して一体に連なり相互に重ね合わされた第1層部及び第2層部を有し、前記第1層部と前記第2層部の間に非シール領域とシール領域が形成され、前記非シール領域は前記第1の折り目に沿って配置され、前記シール領域は、前記非シール領域の前記第1の折り目に沿った部分以外の外周部を囲むように配置され、前記非シール領域を形成する部分に無端状の切断部が形成された溶媒不透性のカバーフィルムと、
(b)前記非シール領域において前記第1層部と前記第2層部の間に配置され、前記切断部の内側で前記カバーフィルムに固定された経皮吸収剤担持部材と、
(c)前記カバーフィルムの外面に剥離可能に貼り付けられた粘着シートと、
を備えたことを特徴とする経皮吸収剤デリバリーデバイス。
前記経皮吸収剤担持部材(20)は、第2の折り目(25)を介して一体に連なり相互に重ね合わされた第3層部(23)及び第4層部(24)を有することを特徴とする請求項1の経皮吸収剤デリバリーデバイス。
前記経皮吸収剤担持部材の第2の折り目(25)は、前記カバーフィルムの第1の折り目(13)に沿って配置されていることを特徴とする請求項2の経皮吸収剤デリバリーデバイス。
前記経皮吸収剤担持部材(120,220)は、相互に分離した別部材からなり相互に重ね合わされた第3層部(123,223a,223b)及び第4層部(124,224a,224b)を有することを特徴とする請求項1の経皮吸収剤デリバリーデバイス。
前記経皮吸収剤担持部材の第3層部(23,123,223a,223b)及び第4層部(24,124,224a,224b)は、全面に亘って相互に重なり合っていることを特徴とする請求項2〜4のいずれかの経皮吸収剤デリバリーデバイス。
前記経皮吸収剤担持部材の第3層部(23,123,223a,223b)は、前記カバーフィルムの第1層部(11)における前記切断部(17)の内側部分に重ね合わされ、
前記経皮吸収剤担持部材の第4層部(24,124,224a,224b)は、前記カバーフィルムの第2層部(12)における前記切断部(17)の内側部分に重ね合わされていることを特徴とする請求項2〜5のいずれかの経皮吸収剤デリバリーデバイス。
前記粘着シートの外周縁の少なくとも一部に沿って、前記カバーフィルムと前記粘着シートとの間に配置され、前記粘着シートの粘着面に剥離可能に貼り付けられた剥離フィルム(38,39)を有することを特徴とする請求項8の経皮吸収剤デリバリーデバイス。
前記粘着シート(30)は、前記カバーフィルムの第1の折り目(13)に沿って折り返されて、前記カバーフィルムの第1層部(11)の外面及び第2層部(12)の外面に貼り付けられていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかの経皮吸収剤デリバリーデバイス。
前記工程6では、前記カバーフィルムにおける前記経皮吸収剤担持部材が重ねられた部分に前記折り目が形成されるように前記カバーフィルムを折り畳むことで、前記カバーフィルムと共に折り畳まれた前記経皮吸収剤担持部材を前記第1フィルム部と前記第2フィルム部の間に挟み込むことを特徴とする請求項12又は13の経皮吸収剤デリバリーデバイスの製造方法。
前記工程4では、前記カバーフィルムにおける前記第1フィルム部に相当する部分と前記第2フィルム部に相当する部分に前記経皮吸収剤担持部材を固定することを特徴とする請求項14の経皮吸収剤デリバリーデバイスの製造方法。
前記工程2では、前記カバーフィルムにおける前記第1フィルム部に相当する部分と前記第2フィルム部に相当する部分に跨がって前記切断部を形成することを特徴とする請求項15の経皮吸収剤デリバリーデバイスの製造方法。
前記工程8では、前記折り目を覆うように前記第1フィルム部と前記第2フィルム部に跨がって、前記カバーフィルムの外面に前記粘着シートを貼り付けることを特徴とする請求項16の経皮吸収剤デリバリーデバイスの製造方法。
前記工程8の前に、前記粘着シートの外周縁の少なくとも一部に沿って、前記粘着シートの粘着面に剥離フィルムを貼り付けることを特徴とする請求項12〜17のいずれかの経皮吸収剤デリバリーデバイスの製造方法。
第1の折り目(13)を介して一体に連なり相互に重ね合わされた第1層部(11)及び第2層部(12)を有し、前記第1層部と前記第2層部の間に、前記第1の折り目(13)に沿って配置された第1非シール領域(815)と、前記第1非シール領域(815)の前記第1の折り目に沿った部分以外の外周部を囲むように配置されたシール領域(814)と、前記第1の折り目(13)とは反対側の端部と前記シール領域(814)との間に配置された第2非シール領域(816)とが形成された溶媒不透性のカバーフィルム(10)と、
前記第1層部(11)及び前記第2層部(12)における前記第1非シール領域(815)を形成する部分に設けられた無端状の第1切断部(817)と、
前記第1層部(11)における前記第2非シール領域(816)を形成する部分に、前記シール領域(814)との境界に沿って延びるように設けられた第2切断部(822)と、
前記第2層部(12)における前記第2非シール領域(816)を形成する部分に、前記シール領域(814)との境界に沿って延びるように設けられた第3切断部(823)と、
前記第1層部(11)と前記第2層部(12)の間に配置され、前記第1切断部(817)の内側で前記カバーフィルム(10)に固定された経皮吸収剤担持部材(20)と、
前記カバーフィルム(10)の第1の折り目(13)に沿って折り返されて、前記第1切断部(817)、前記第2切断部(822)及び前記第3切断部(823)を覆うように前記カバーフィルムの外面に剥離可能に貼り付けられた粘着シート(30)と、
を備えたことを特徴とする経皮吸収剤デリバリーデバイス。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して本発明に係る経皮吸収剤デリバリーデバイス(以下、単に「デバイス」という。)の実施形態とその製造方法を説明する。
【0018】
1―1.全体構造
図1及び
図2を参照すると、デバイスは、その全体が符号2で示されており、複数のシート又はフィルムを積層して構成されている。実施形態では、デバイス2の主要部は、カバーフィルム10及び粘着シート30によって構成されている。
図1に示すように、デバイス2の平面形状は、第1の方向D1に延びる一対の辺と、第1の方向D1に直角な第2の方向D2に延びる一対の辺を有する四角形である。ただし、デバイス2の平面形状は、これに限るものでなく、円形、楕円形、その他の多角形であってもよい。
【0019】
1―2.カバーフィルム
カバーフィルム10は、溶媒不透性の材料からなるプラスチックのシート又はフィルムや積層フィルムで形成することが好ましく、通常のヒートシールで使用されるものであれば特に限定されるものではない。具体的な材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどポリオレフィン類、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、例えばナイロン−6、ナイロン−66等のポリアミド、ポリイミド、エチレンビニルアルコールなどの他、これらの高分子の共重合体が挙げられる。好ましくは、プラスチックシート又はプラスチックフィルムの材料からなるシート又はフィルムには、表裏プラスチック層の間にアルミニウム箔を配置した複合材又はアルミニウムを蒸着したプラスチック層を表裏プラスチック層の間に配置した複合材のようなアルミラミネートフィルムが用いられる。
【0020】
カバーフィルム10の少なくとも外面には、剥離剤がコーティングされることが好ましい。剥離剤としては、シリコン系剥離剤、又は、フッ素系剥離剤などの非シリコン系剥離剤が用いられる。
【0021】
カバーフィルム10は、長方形状のフィルムが二つ折りにされた状態で三方シールがなされたものである。カバーフィルム10は、その展開状態における第1の方向D1の中央部において、第2の方向D2に延びる折り目(第1の折り目)13に沿って折り返されている。これにより、カバーフィルム10の折り目13を挟んだ一方側に、
図2の上側に配置される上層部(第1層部)11が形成され、他方側に、
図2の下側に配置される下層部(第2層部)12が形成されている。上層部11と下層部12は、折り目13を介して一体に連なり、相互に重ね合わされている。好ましくは、上層部11と下層部12は、同じ平面形状及び同じ大きさを有し、全面に亘って相互に重なり合っている。
【0022】
図3に示すように、カバーフィルム10の上層部11と下層部12の間には、シール領域14と非シール領域15が形成されている。なお、
図3において、シール領域14は、チェックパターンが付された領域であり、カバーフィルム10における残りの領域が非シール領域15である。
【0023】
非シール領域15は、例えば四角形の領域であるが、非シール領域15の形状は特に限定されるものでなく、半円形などであってもよい。非シール領域15は、第1の方向D1及び第2の方向D2に関して上層部11及び下層部12よりも小さな寸法を有する。非シール領域15は、第1の方向D1に関しては、カバーフィルム10の折り目13側に寄せて配置されており、第2の方向D2に関しては、カバーフィルム10の中央部に配置されている。より具体的に、第1の方向D1に関して、非シール領域15の一方側の縁部は、折り目13に沿って配置され、他方側の縁部は、上層部11及び下層部12の縁部よりも中央部側に配置されている。第2の方向D2に関して、非シール領域15の両側の縁部は、上層部11及び下層部12の縁部よりも中央部側に配置されている。
【0024】
シール領域14は、三方シールによって形成された例えばコ字状の領域である。シール領域14では、上層部11と下層部12がヒートシール18によって接着されてシールされている。シール領域14は、非シール領域15に対して、第1の方向D1における折り目13とは反対側及び第2の方向D2の両側に隣接して配置されている。これにより、シール領域14は、非シール領域15の折り目13に沿った部分以外の外周部を連続的に囲んでいる。このように形成されたシール領域14と折り目13によって、非シール領域15は全周に亘って囲まれており、これにより、非シール領域15に密閉空間が形成されている。
【0025】
図1〜
図3に示すように、カバーフィルム10には無端状の切断部17が形成されている。これにより、カバーフィルム10は、切断部17で囲まれた内側領域19Aと、切断部17よりも外側に配置された外側領域19Bに区画されている。切断部17は、カバーフィルム10の展開状態において上層部11に相当する部分と下層部12に相当する部分に跨がって形成されている。切断部17は、カバーフィルム10の展開状態において、例えば四角形の平面形状を有する。ただし、カバーフィルム10の展開状態における切断部17の平面形状は、無端状であれば特に限定されるものでなく、例えば、楕円形、長円形などの環状の形状であってもよい。
【0026】
切断部17は、カバーフィルム10における非シール領域15を形成する部分に形成されている。カバーフィルム10の折り畳み状態において、切断部17は、非シール領域15とシール領域14の境界に沿って配置されている。
【0027】
切断部17は、連続した切り目であってもよいし、断続的なミシン目であってもよい。また、切断部17は、カバーフィルム10の一方の面から他方の面に到達するいわゆるフルカットであってもよいし、カバーフィルム10の一方の面の近傍の一部を切らずに残すいわゆるハーフカットであってもよい。フルカットの場合は一部カットをしない部分を残したいわゆるミシン目であることが好ましい。なお、経皮吸収薬剤の溶媒の蒸発、飛散を回避し易くするために、切断部17はハーフカットであることが好ましい。図示する実施形態では、切断部17は、カバーフィルム10の外面から内面の近くまで延びるハーフカットである。
【0028】
1−3.経皮吸収剤担持部材
図1及び
図2に示すように、カバーフィルム10の非シール領域15において、上層部11と下層部12の間には、経皮吸収剤担持部材(以下、「担持部材」という。)20が配置されている。担持部材20は、熱接着部21によって、カバーフィルム10の内側領域19Aに固定されている。熱接着部21は、スポット溶着で形成されており、担持部材20には、複数の熱接着部21が点在している。
【0029】
担持部材20は、液状又はペースト状の経皮吸収薬剤(以下、「薬剤」という。)22を安定に含浸又は保持できる部材であれば特に限定されない。例えば、脱脂綿、ガーゼ等のコットン織物、不織布、ポリエステル、ポリエチレン、ポリビニル等の合成繊維織物、スポンジ、紙等を用いることができる。スポンジとしては発泡ウレタン等の合成スポンジや天然スポンジを用いることができる。いずれにしても、担持部材20は、これに担持される薬剤22の種類に応じて最適なものが選択できる。
【0030】
担持部材20は、二つ折りで折り畳まれた状態でカバーフィルム10の上層部11と下層部12の間に収容されている。展開状態の担持部材20の形状は、例えば、第1の方向D1に延びる一対の辺と第2の方向D2に延びる一対の辺を有する四角形である。ただし、展開状態の担持部材20の形状は、これに限るものでなく、例えば、円形、楕円形、又は、四角形以外の多角形であってもよい。
【0031】
担持部材20は、その展開状態における第1の方向D1の中央部において、第2の方向D2に延びる折り目(第2の折り目)25に沿って折り返されている。これにより、担持部材20の折り目25を挟んだ一方側に、
図2の上側に配置される上層部(第3層部)23が形成され、他方側に、
図2の下側に配置される下層部(第4層部)24が形成されている。好ましくは、上層部23と下層部24は、折り目25を介して一体に連なり、相互に重ね合わされている。上層部23と下層部24は、同じ平面形状及び同じ大きさを有し、全面に亘って相互に重なり合っている。
【0032】
担持部材20の折り目25は、カバーフィルム10の折り目13に沿って配置されている。担持部材20の上層部23は、カバーフィルム10の内側領域19Aにおける上層部11の内面に重ね合わされ、該上層部11に熱接着部21によって固定されている。担持部材20の下層部24は、カバーフィルム10の内側領域19Aにおける下層部12の内面に重ね合わされ、該下層部12に熱接着部21によって固定されている。
【0033】
なお、担持部材20とカバーフィルム10との接着部の構成は、上述のように複数箇所に点在するように形成されるものに限られるものでなく、例えば、線状に延びる接着部又は面状に拡がる接着部が1箇所又は複数箇所に形成されてもよい。
【0034】
薬剤22は、経皮吸収薬剤としての薬効成分を有する液状、ゲル状又はペースト状の材料である。例えば、薬効成分を溶解した水溶液あるいは有機溶媒を挙げることができる。有機溶媒としては経皮吸収用貼付剤に使用可能なものであれば、特に限定されるものではない。また、溶解力の強い溶媒である有機イオン液体もこの中に含まれる。更には、これらの混合物も含まれる。有機溶媒としては、例えばパルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、乳酸セチル、セバシン酸ジエチル、ラウリン酸ヘキシル、イソオクタン酸セチル、乳酸ラウリル、オレイン酸エチル等の脂肪酸エステル、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等のグリコール類、例えばエタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類等を挙げることができる。
【0035】
有機イオン液体としては、脂肪酸と有機アミン化合物とで形成される常温液体のブレンステッド型の塩を挙げることができる。脂肪酸や有機アミン化合物としては、貼付剤として使用可能なものであれば、特に限定されるものではない。例えば、レブリン酸、オクタン酸、デカン酸、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸等の脂肪酸が挙げられ、例えばジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等の低級アルキルアミンを挙げることができる。
【0036】
薬剤22には、経皮吸収促進剤が添加されていてもよい。経皮吸収促進剤としては、例えば、セタノール、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、セトステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコール類やメントールやリモネンを挙げることができる。更には、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、セバシン酸ジエチル、炭酸プロピレン等のエステル系溶媒や、N−メチル−2−ピロリドンから選択される1種以上のものを使用することができる。更に、界面活性剤を使用することができ、上記界面活性剤としては、非イオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤を挙げることができる。非イオン系界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンセスキオレート、グリセリンモノステアレート、デカグリセリルモノラウレート、ヘキサグリセリンポリリシノレート、ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(4,2)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(5)ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(7,5)ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10)ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(3)オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10)オイレルアミン、ポリオキシ(5)オレイルアミン、ポリオキシ(5)オレイン酸アミド、ポリオキシエチレン(2)モノラウレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンヒマシ油(硬化ヒマシ油)等が挙げられる。
【0037】
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、セチル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(10)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(5)セチルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(6)オイレルエーテルリン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0038】
カチオン系界面活性剤としては、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム等が挙げられる。
【0039】
両性界面活性剤としては、例えば、ホスファチジルコリン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。上記以外のものとして、ラウロイルジエタノールアミドも使用可能である。
【0040】
「薬効成分」とは、経皮吸収薬剤として使用可能な薬効成分であれば特に限定されるものではないが、例えばインドメタシン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、ジクロフェナク等の非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAID)、例えばリドカイン、ジブカイン等の局所麻酔剤、トラマドール、エペリゾン、ラメルテオン、ドネペジル、エスシタロプラム、ガランタミン、ラメルテオン、モルヒネ、オキシコドン、パロキセチン、ロピニロール、ペルゴリド、オンダンセトロン、ラロキシフェン、ロチゴニン、アリピプラゾール、フェンタニル、アポモルヒネ、メマンチン、アマンタジン、ツブテロール、トルブタミド、グリベンクラミド、オキシブチニン、ネオスチグミン、ニカルジピン、ドパミン等を挙げることができる。更にはこれらの薬効成分の組合せを使用することができる。また、薬効成分が、酸と塩基の組合せによりイオン液体化しているものも使用することができる。例えば好ましいものとして、酸として上述のNSAIDと、塩基として局所麻酔剤の組合せを挙げることができる。
【0041】
「溶媒」とは、薬効成分を溶解するための水溶液あるいは上記有機溶媒のことを言う。更に、有機溶媒としては、上記経皮吸収促進剤を包含したもののことを言う。即ち、有機溶媒としては経皮吸収用貼付剤に使用可能なものであれば、特に限定されるものではない。また、溶解力の強い溶媒である有機イオン液体もこの中に含まれる。更には、これらの混合物も含まれる。
【0042】
1―4.粘着シート
図1及び
図2に示すように、粘着シート30は、基材層33と、基材層33のカバーフィルム10に対向する面(内面)に設けられた粘着層34を有する。粘着層34は、基材層33の内面の全体に設けられている。
【0043】
基材層33は、不織布、織布、合成樹脂シートやそれらの複合体で形成されている。基材層33の材料としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエステル類、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、綿、ウレタン等を挙げることができ、更には、これらの複合体を挙げることができる。
【0044】
粘着層34は、カバーフィルム10の外面との間に必要な粘着力を発揮し得る粘着剤が用いられる。また、カバーフィルム10の切断部17がフルカットである場合、好ましくは、カバーフィルム10と粘着層34の界面を通じて、担持部材20に担持された薬剤22が外部に漏れ出るのを防止し得る粘着剤が用いられる。具体的には、アクリル系、合成ゴム系、天然ゴム系等の粘着剤を適宜選択して使用することができるが、好ましいものとして、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、エチルアクリレート、メタクリル酸メチルなどのアクリル系モノマーの共重合体を主成分とするアクリル系粘着剤、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)とテルペン樹脂等の粘着付与剤などの合成ゴム系粘着剤を挙げることができる。耐液体性を向上させるために、可塑剤としてトリメリット酸エステル系可塑剤あるいはポリエステル系可塑剤を併用することができる。
【0045】
粘着シート30の粘着層34は、カバーフィルム10の外面に剥離可能に貼り付けられている。これにより、カバーフィルム10の外側に、粘着層34と基材層33がこの順で積層されている。粘着シート30は、カバーフィルム10の折り目13に沿って折り返される折返し部35を有する。粘着シート30には、折返し部35を挟んだ一方側に、デバイス2の一方の面を構成する第1面部としての上面部31が形成され、他方側に、デバイス2の他方の面を構成する第2面部としての下面部32が形成されている。上面部31は、カバーフィルム10の上層部11の外面に貼り付けられており、下面部32は、カバーフィルム10の下層部12の外面に貼り付けられている。
【0046】
粘着シート30は、カバーフィルム10の外面の全体を覆うように設けられている。ただし、粘着シート30は、カバーフィルム10の少なくとも内側領域19Aを覆うようにすれば、カバーフィルム10の外面を部分的に覆うように設けられてもよい。
【0047】
1−5.剥離フィルム
図1及び
図2に示すように、粘着シート30の外周縁には、カバーフィルム10と粘着シート30の間に剥離フィルム38,39を設けることが好ましい。剥離フィルム38,39は、粘着シート30の粘着層34に剥離可能に貼り付けられる。
【0048】
図示の例において、剥離フィルム38,39は、粘着シート30の上面部31とカバーフィルム10の上層部11の間、及び、粘着シート30の下面部32とカバーフィルム10の下層部12の間にそれぞれ設けられている。剥離フィルム38,39は、第2の方向D2に延びる帯状に形成されており、粘着シート30の上面部31及び下面部32における折返し部35とは反対側の縁部に沿って設けられている。
【0049】
なお、剥離フィルム38,39は、上面部31又は下面部32の一方のみに設けられてもよい。また、剥離フィルム38,39は、長手方向に延びる折り目に沿って折り曲げられた状態でカバーフィルム10と粘着シート30の間に設けられてもよい。
【0050】
剥離フィルム38,39の材料は、特に限定的ではないが、例えばポリエチレン、ポリプリピレン、ポリエステル類等を使用することができる。なお、剥離フィルム38,39の表面には、膏体との剥離を容易にするために、シリコン加工してもよい。
【0051】
2.製造方法
以上の構成を備えたデバイス2の製造方法について、
図4を参照して説明する。
【0052】
製造プロセスは、以下の工程1〜工程10を含む。以下、それぞれの工程を説明する。
【0053】
工程1:カバーフィルムの供給
図4に示す製造プロセス50では、カバーフィルム10が、図の左側から右側に向かう搬送方向D3に沿って連続的に供給される。カバーフィルム10は、上記の第2の方向D2(
図1及び
図3参照)が搬送方向D3に平行になる姿勢で搬送される。
【0054】
工程2:切断部の形成
カバーフィルム10の下面にカッター51が当てられ、切断部17が形成される。図示しないが、カバーフィルム10を挟んでカッター51の反対側には支持テーブルが設置されており、カッター51と支持テーブルに挟まれたカバーフィルム10に切断部17が形成される。上述のように、切断部17の種類(連続切り目、ミシン目、フルカット、ハーフカット)に応じて、カッター51の種類が選択される。
【0055】
工程3:担持部材の供給
担持部材供給装置52により、担持部材20がカバーフィルム10の上面に置かれる。このとき、担持部材20は、カバーフィルム10の内側領域19Aに置かれる。
【0056】
工程4:担持部材の固定
担持部材20とカバーフィルム10を、例えば超音波スポット溶接機53によって複数箇所で溶着して、熱接着部21を形成する。
【0057】
工程5:薬剤の供給
薬剤供給装置54から担持部材20に薬剤22を供給する。
【0058】
工程6:カバーフィルム及び担持部材の折り畳み
搬送方向D3に搬送されるカバーフィルム10と担持部材20は、搬送経路に設けられた第1の折り畳み機構55によって、搬送方向D3(第2の方向D2)に延びる折り目13,25(
図1及び
図2参照)に沿って折り畳まれる。
【0059】
工程7:ヒートシール
ヒートシーラー56を用いて、折り畳まれることによってカバーフィルム10に形成された一対のフィルム部分(上層部11と下層部12)を、外側領域19Bにおいてヒートシール18する。このヒートシール18は、カバーフィルム10における折り目13以外の3つの縁部をシールする三方シールであり、カバーフィルム10の内側領域19Aはシールされない。これにより、カバーフィルム10に、コ字状のシール領域14と、シール領域14と折り目13に囲まれた非シール領域15が形成されるとともに、非シール領域15に形成された密閉空間に担持部材20が収容される。
【0060】
工程8:粘着シートの供給
担持部材20を収容した折り畳み状態のカバーフィルム10の下に、粘着シート30を、粘着層34が上を向いた姿勢で供給して重ね、カバーフィルム10の下に重ねられた粘着シート30を、カバーフィルム10と共に搬送方向D3に沿って搬送する。粘着シート30は、搬送経路に設けられた第2の折り畳み機構57によって、搬送方向D3(第2の方向D2)に延びるカバーフィルム10の折り目13に沿って折り返され、粘着シート30の折り返された部分がカバーフィルム10の上に重ねられる。
【0061】
工程8では、予め粘着層34の縁部に剥離フィルム38,39が貼り付けられた粘着シート30を供給してもよいし、粘着シート30とは個別に供給された剥離フィルム38,39を、第2の折り畳み機構57によって折り返される前の粘着シート30に貼り付けてもよい。
【0062】
工程9:ラミネート
粘着シート30で覆われたカバーフィルム10を上下からラミネート装置58で加圧し、粘着シート30の粘着層34をカバーフィルム10の外面に粘着させる。
【0063】
工程10:打ち抜き
以上のようにして積層された複数のシート又はフィルムからなる積層体を、デバイス2の輪郭に沿った刃を有する打ち抜きカッター59で打ち抜く。この打ち抜きは、積層体の折り目に沿った部分以外の外周部について行われる。
【0064】
以上の説明では、カバーフィルム10に切断部17を形成する工程2を、担持部材20を供給する工程3の直前に設けたが、切断部17を形成する工程2は、カバーフィルム10及び担持部材20を折り畳む工程6の前であればいつ行ってもよく、例えば、担持部材20を固定する工程4の後、又は、薬剤22を供給する工程5の後に行ってもよい。
【0065】
また、以上の説明では、粘着シート30を供給する固定8を、三方シールを行う工程7の後に設けたが、予め小さくカットされた粘着シート30を間欠的に供給する場合は、間欠的に供給された粘着シート30をカバーフィルム10の外面に部分的に重ねた後に、カバーフィルム10の粘着シート30が重ねられていない部分に対して、粘着シート30の外縁に沿った領域で三方シールを行ってもよい。
【0066】
3.使用
以上のようにして製造されたデバイス2の使用を説明する。
【0067】
図5Aに示すように、使用にあたっては、先ず、粘着シート30の例えば上面部31における剥離フィルム38が貼り付けられた縁部を掴み、上面部31をカバーフィルム10の上層部11から引き剥がす。ここで、カバーフィルム10は切断部17によって内側領域19Aと外側領域19Bに区画されているため、カバーフィルム10の上層部11における外側領域19Bから粘着シート30が剥がされるのに対して、上層部11の内側領域19Aは、切断部17に沿って外側領域19Bから切り離されて、粘着シート30上に留まる。また、カバーフィルム10の内側領域19Aに固定されている担持部材20も、内側領域19Aを介して粘着シート30上に留まる。
【0068】
次に、
図5Bに示すように、粘着シート30の下面部32における剥離フィルム39が貼り付けられた縁部を掴み、下面部32をカバーフィルム10の下層部12から引き剥がす。これにより、
図5Cに示すように、カバーフィルム10の内側領域19Aは、全周に亘って外側領域19Bから切り離されて、外側領域19Bの全部が粘着シート30から剥がされる。このとき、粘着シート30上には、カバーフィルム10の内側領域19Aの全部と担持部材20の全部が留まっている。展開された粘着シート30上には、カバーフィルム10の内側領域19A及び担持部材20がいずれも展開された状態で保持されている。
【0069】
図5Dに示すように、カバーフィルム10の外側領域19Bが除かれたデバイス2は、粘着層34を皮膚100に載せて貼り付けられる。最後に、粘着シート30の粘着層34から剥離フィルム38,39を剥がし、粘着層34の全体を皮膚100に貼り付ける。
【0070】
なお、カバーフィルム10の外側領域19Bから粘着シート30を引き剥がすときに、カバーフィルム10の内側領域19Aが粘着シート30の粘着層34に粘着された状態を確実に維持しつつ、内側領域19Aが切断部17に沿って外側領域19Bから切り離される必要がある。そのために、切断部17におけるハーフカットの深さと粘着層34の粘着力は、カバーフィルム10の内側領域19Aを担持部材20とともに粘着シート30上に残した状態で、カバーフィルム10の外側領域19Bを粘着シート30から剥離可能となるように決められている。
【0071】
以上のように、実施形態のデバイス2によれば、カバーフィルム10の外側領域19Bをデバイス2から剥がした状態で、担持部材20は粘着シート30に保持されているため、担持部材20を、粘着シート30と共に皮膚100に貼り付けることができる。また、粘着シート30に対する担持部材20の位置を調整するといった作業が不要であるため、利用者の指に薬剤が付着することもない。
【0072】
また、実施形態のデバイス2によれば、薬剤22として液剤を担持部材20に含浸させておくことで、液剤の貼付剤化を容易に図ることができるとともに、軟膏製剤又はテープ剤を用いる場合と比較して、放出性及び経皮吸収性が良好な液剤を投与できる利点が得られる。
【0073】
さらに、実施形態のデバイス2によれば、開封前の状態において、担持部材20は折り畳まれており、担持部材20の上層部23と下層部24は、カバーフィルム10に固定された面のみがカバーフィルム10に対向しており、反対側の面では、上層部23と下層部24が相互に向き合っている。そのため、担持部材20に担持された薬剤22が、カバーフィルム10における担持部材20を保持しない部分に付着することを防止できる。したがって、カバーフィルム10への付着によって薬剤22の投与量が減少することを抑制でき、これにより、一定の皮膚面積に対して一定量の液剤を経皮投与するというデバイス2の目的を効果的に果たすことができる。
【0074】
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【0075】
例えば、上述の実施形態では、カバーフィルムの2つの層間に1つの経皮吸収剤担持部材が収容される例を説明したが、本発明では、複数の経皮吸収剤担持部材がカバーフィルムの2つの層間に収容されてもよい。
【0076】
また、上述の実施形態では、折り畳まれた経皮吸収剤担持部材の2つの層が重なり合う例を説明したが、本発明では、2つの経皮吸収剤担持部材を重ね合わせ、一方の経皮吸収剤担持部材をカバーフィルムの一方の層に固定し、他方の経皮吸収剤担持部材をカバーフィルムの他方の層に固定してもよい。
【0077】
4.変形例
以下、
図6〜
図15Dを参照しながら、第1〜第8変形例に係るデバイス(経皮吸収剤デリバリーデバイス)について説明する。なお、第1〜第8変形例において、上述の実施形態と同様の構成要素については、
図6〜
図15Dにおいて同じ符号を付すとともに、その説明を省略する。
【0078】
[第1変形例及び第2変形例]
図6は、第1変形例に係るデバイス102を示し、
図7は、第2変形例に係るデバイス202を示している。
図6に示すデバイス102では、担持部材120として、相互に分離した2枚の部材123,124が重ねて設けられ、
図7に示すデバイス202には、担持部材220として、4枚の部材223a,223b,224a,224bが設けられ、これらの部材223a,223b,224a,224bは、2枚ずつ重ね合わされている。
【0079】
図6及び
図7に示すように、第1変形例及び第2変形例では、相互に分離した部材により担持部材120,220の2つの層(第3層部及び第4層部)を形成することにより、柔軟性に乏しい担持部材を折り返して2つの層を形成する場合に比べて、2つの層を厚み方向にコンパクトに重ねることができる。したがって、担持部材120,220の柔軟性が乏しく、折り畳み難い場合には、このように相互に独立した部材で第3層部及び第4層部を形成することで、担持部材120,220がカバーフィルム10の中にコンパクトに収納されたデバイス102,202を作製できる。
【0080】
図6及び
図7に示すように、相互に分離した担持部材からなる第3層部123,223a,223b及び第4層部124,224a,224bを有するデバイス102,202の製造にあたっては、展開状態のカバーフィルム10における第1の方向D1の中央部(第2の方向D2に延びる第1の折り目13が形成される直線部分)に対して、担持部材123,124,223a,223b,224a,224bを線対称に配置して、これらをカバーフィルム10に固定すればよい。これにより、カバーフィルム10が第1の折り目13に沿って折り畳まれるとき、第3層部を形成する担持部材123,223a,223bと、第4層部を形成する担持部材124,224a,224bを、相互に全面に亘って重ね合わせることができる。これにより、各担持部材123,124,223a,223b,224a,224bに含浸された液剤が、カバーフィルム10における担持部材を保持しない部分に付着することを確実に防止できる。
【0081】
なお、本発明において、相互に分離した複数の担持部材で第3層部及び第4層部を形成する場合、担持部材の個数は任意であり、上記のような2つ又は4つに限定されるものでない。なお、上記のように展開状態のカバーフィルムに対して担持部材を線対称に配置する場合は、偶数個の担持部材を用いて、第3層部の担持部材と第4層部の担持部材の個数を一致させることが好ましい。ただし、本発明は、第3層部の担持部材と第4層部の担持部材の個数が相違することを妨げるものでない。
【0082】
さらに、本発明は、1つの経皮吸収剤担持部材を折り畳むことなく収容することを妨げるものでなく、この場合、カバーフィルムへの薬剤の付着防止についての課題は残るが、カバーフィルムのシール領域の縮小によるデバイス全体のコンパクト化、及び、使用時に廃棄されるフィルム部分の削減を実現することはできる。この場合、カバーフィルムの一方の層のみに経皮吸収剤担持部材が固定されるため、この層のみに切断部を設けてもよい。
【0083】
[第3変形例]
図8に示すように、第3変形例に係るデバイス302は、折り畳み状態において、第1の方向D1における折り目13側の端部を構成する第1縁部311、第1の方向D1における折り目13とは反対側の端部を構成する第2縁部312、第2の方向D2における一方の端部を構成する第3縁部313、及び、第2の方向D2における他方の端部を構成する第4縁部314に加えて、第2縁部312と第3縁部313との間のコーナ部を切り欠いて両者を繋ぐ第1傾斜縁部315と、第2縁部312と第4縁部314との間のコーナ部を切り欠いて両者を繋ぐ第2傾斜縁部316とを更に備えている。
【0084】
このように、第3変形例に係るデバイス302では、折り目13とは反対側の2つのコーナ部が切り欠かれている。そのため、使用の際、粘着シート30における剥離フィルム38が貼り付けられた縁部を掴むとき、第1傾斜縁部315及び第2傾斜縁部316では、粘着シート30における剥離フィルム38が貼り付けられた縁部を掴み難くなっている。そのため、粘着シート30は、第2縁部312において掴まれることが促され、これにより、粘着シート30が第1の方向D1に沿ってカバーフィルム10から引き剥がされることが促される。
【0085】
カバーフィルム10に形成された切断部17における第1の方向D1の第2縁部312側の端部は、第1の方向D1に直角な方向に延びるように配置されているため、上記のように粘着シート30が第1の方向D1に沿って引き剥がされるとき、第1の方向D1に対して直角に配置された切断部17に沿って、カバーフィルム10の内側領域19Aを外側領域19Bからスムーズに切り離すことができる(
図5A参照)。
【0086】
[第4変形例]
図9に示すように、第4変形例に係るデバイス402において、剥離フィルム38,39の第1の方向D1における折り目13側の端部410は、全体的には、第2の方向D2に沿って直線状に延びるように形成されているが、この端部410の長さ方向中央部には、第1の方向D1の折り目13側に向かって膨出した膨出部420が形成されている。なお、
図9には、一方の剥離フィルム38の膨出部420のみが図示されているが、他方の剥離フィルム39にも同様の膨出部420が形成されている。
【0087】
これにより、デバイス402からカバーフィルム10の外側領域19Bが取り除かれた状態において(
図5C参照)、粘着シート30の粘着層34から剥離フィルム38,39を剥がすために剥離フィルム38,39の端部410を摘まむとき、上記の膨出部420において剥離フィルム38,39を容易に摘まむことができる。
【0088】
[第5変形例]
図10に示すように、第5変形例に係るデバイス502では、剥離フィルム38,39の第1の方向D1における折り目13側の端部510が、第2の方向D2に沿って波状に蛇行しながら延びている。このように波状に形成された剥離フィルム38,39の端部510には、第1の方向D1の折り目13側に向かって膨出した膨出部520が形成される。各剥離フィルム38,39において、膨出部520は、第2の方向D2に間隔を空けて複数設けられている。
【0089】
これにより、デバイス502からカバーフィルム10の外側領域19Bが取り除かれた状態において(
図5C参照)、粘着シート30の粘着層34から剥離フィルム38,39を剥がすために剥離フィルム38,39の端部510を摘まむとき、上記の膨出部520において剥離フィルム38,39を容易に摘まむことができる。
【0090】
[第6変形例]
図11に示すように、第6変形例に係るデバイス602は、
図8に示す第3変形例のデバイス302と同様、第1縁部611、第2縁部612、第3縁部613、及び、第4縁部614に加えて、第2縁部612と第3縁部613との間のコーナ部を切り欠いて両者を繋ぐ第1傾斜縁部615と、第2縁部612と第4縁部614との間のコーナ部を切り欠いて両者を繋ぐ第2傾斜縁部616とを更に備えている。
【0091】
これにより、上述の第3変形例と同様、粘着シート30は、第2縁部612において掴まれて第1の方向D1に沿ってカバーフィルム10から引き剥がされることが促される。そのため、第1の方向D1に対して直角に配置された切断部17に沿って、カバーフィルム10の内側領域19Aを外側領域19Bからスムーズに切り離すことができる(
図5A参照)。
【0092】
また、第6変形例では、粘着シート30の粘着層34に対して、剥離フィルム638,639が粘着シート30からはみ出した状態で貼り付けられている。より具体的に、各剥離フィルム638,639は、第1の方向D1において粘着シート30の第2縁部612よりも外側に突出し、第2の方向D2において粘着シート30の第1傾斜縁部615及び第2傾斜縁部616よりもそれぞれ外側に突出している。これにより、剥離フィルム638,639を、粘着シート30よりも外側に突出した部分において摘まみやすくなっている。
【0093】
したがって、カバーフィルム10から粘着シート30を引き剥がすために粘着シート30における剥離フィルム638が貼り付けられた縁部を掴む動作(
図5A参照)、及び、粘着シート30の粘着層34から剥離フィルム638,639を剥がすために剥離フィルム638,639を摘まむ動作をスムーズに行うことができる。
【0094】
[第7変形例]
図12に示すように、第7変形例に係るデバイス702では、剥離フィルム738,739が折り曲げられた状態でカバーフィルム10と粘着シート30の粘着層34との間に介在されている。各剥離フィルム738,739は、粘着層34に貼り付けられた外層部740と、第2の方向D2(
図1参照)に延びる折り目741を介して外層部740の第1の方向D1の一端部に連なり、外層部740とカバーフィルム10との間に介在される内層部742とを備えている。
【0095】
剥離フィルム738,739の折り目741は、第1の方向D1において、粘着シート30の縁部とは反対側に配置されている。剥離フィルム738,739の内層部742は、第1の方向D1において外層部740よりも短い。内層部742は、カバーフィルム10の外面に貼り付けられることなく接している。
【0096】
剥離フィルム738,739の外層部740とカバーフィルム10との間には、剥離フィルム738,739の内層部742が介在することにより隙間が生じやすくなっている。そのため、カバーフィルム10から粘着シート30を引き剥がす際(
図5A参照)、粘着シート30における剥離フィルム738が貼り付けられた縁部を掴みやすくなっている。
【0097】
また、剥離フィルム738,739の内層部742は、粘着シート30に貼り付けられていないため、粘着シート30から剥離フィルム738,739を剥がす際、剥離フィルム738,739の内層部742を容易に摘まむことができ、剥離フィルム738,739をスムーズに剥がすことができる。
【0098】
[第8変形例]
図13に示すように、第8変形例に係るデバイス802では、カバーフィルム10の上層部11と下層部12を接着するヒートシール18が、第1の方向D1における折り目13とは反対側の端部に設けられていない点で、上述の実施形態のデバイス2(
図2参照)と異なる。
【0099】
これにより、第8変形例では、
図14に示すように、カバーフィルム10の上層部11と下層部12との間には、折り目13に沿って配置された第1非シール領域815、第1非シール領域815の折り目13に沿った部分以外の外周部を囲むように配置されたシール領域814、及び、第1の方向D1における折り目13とは反対側の端部とシール領域814との間に配置された第2非シール領域816が形成されている。
【0100】
第1非シール領域815は、上述の実施形態における非シール領域15(
図3参照)に相当する領域であり、シール領域814は、上述の実施形態におけるシール領域14(
図3参照)から第2非シール領域816を除外した領域である。第1非シール領域815は、シール領域814と折り目13によって全周に亘って囲まれており、これにより、第1非シール領域815に密閉空間が形成されている。
【0101】
カバーフィルム10の上層部11及び下層部12における第1非シール領域815を形成する部分には、上述の実施形態の切断部17(
図3参照)と同様の第1切断部817が形成されている。担持部材20は、カバーフィルム10の第1非シール領域815における第1切断部817で囲まれた部分に固定されている。
【0102】
第2非シール領域816は、シール領域814との境界以外の周縁部において開放されている。カバーフィルム10の上層部11における第2非シール領域816を形成する部分には、シール領域814との境界に沿って第2の方向D2に延びる第2切断部822が形成され、カバーフィルム10の下層部12における第2非シール領域816を形成する部分には、シール領域814との境界に沿って第2の方向D2に延びる第3切断部823が形成されている。
【0103】
第1〜第3切断部817,822,823は、連続した切り目であってもよいし、断続的なミシン目であってもよい。また、第1〜第3切断部817,822,823は、カバーフィルム10の一方の面から他方の面に到達するいわゆるフルカットであってもよいし、カバーフィルム10の一方の面の近傍の一部を切らずに残すいわゆるハーフカットであってもよい。フルカットの場合は一部カットをしない部分を残したいわゆるミシン目であることが好ましい。なお、経皮吸収薬剤の溶媒の蒸発、飛散を回避し易くするために、第1切断部817はハーフカットであることが好ましい。
図13に図示された第1切断部817は、カバーフィルム10の外面から内面の近くまで延びるハーフカットである。
【0104】
カバーフィルム10は、第1切断部817で囲まれた内側領域830、第1切断部817の外側且つ第2切断部822及び第3切断部823の内側に配置された第1外側領域831、第2切断部822の外側に配置された第2外側領域832、及び、第3切断部823の外側に配置された第3外側領域833に区画されている。
【0105】
図13に示すように、粘着シート30は、上述の実施形態と同様、カバーフィルム10の折り目13に沿って折り返されて、カバーフィルム10の上層部11の外面及び下層部12の外面に貼り付けられている。これにより、カバーフィルム10に形成された上記の第1切断部817、第2切断部822及び第3切断部823は、粘着シート30によって外側から覆われている。
【0106】
図15Aに示すように、第8変形例のデバイス802の使用にあたっては、先ず、粘着シート30の例えば上面部31の縁部と、この部分に接着されたカバーフィルム10の第2外側領域832を形成する部分とを掴み、第2外側領域832を第2切断部822(
図13及び
図14参照)に沿ってカバーフィルム10から切り離しながら、粘着シート30の上面部31をカバーフィルム10の上層部11から引き剥がす。
【0107】
これにより、粘着シート30の上面部31は、カバーフィルム10の上層部11における第1外側領域831から剥がされるが、上層部11の内側領域830は、第1切断部817に沿って第1外側領域831から切り離されて、粘着シート30上に留まる。また、カバーフィルム10の内側領域830に固定されている担持部材20も、内側領域830を介して粘着シート30上に留まる。
【0108】
次に、
図15Bに示すように、粘着シート30の下面部32の縁部と、この部分に接着されたカバーフィルム10の第3外側領域833を形成する部分とを掴み、第3外側領域833を第3切断部823に沿ってカバーフィルム10から切り離しながら、粘着シート30の下面部32をカバーフィルム10の下層部12から引き剥がす。
【0109】
これにより、
図15Cに示すように、カバーフィルム10の内側領域830は、全周に亘って第1外側領域831から切り離されて、第1外側領域831の全部が粘着シート30から剥がされる。このとき、粘着シート30上には、カバーフィルム10の内側領域830、第2外側領域832、第3外側領域833及び担持部材20が留まっている。展開された粘着シート30上には、カバーフィルム10の内側領域830及び担持部材20がいずれも展開された状態で保持されている。
【0110】
図15Dに示すように、カバーフィルム10の第1外側領域831が除かれたデバイス802は、粘着層34を皮膚100に載せて貼り付けられる。粘着シート30の粘着層34からカバーフィルム10の第2外側領域832及び第3外側領域833(
図15C参照)を剥がすことで、粘着層34の全体を皮膚100に貼り付けることができる。
【0111】
第8変形例のデバイス802によれば、カバーフィルム10に第2非シール領域816(
図13及び
図14参照)が設けられることで、カバーフィルム10の第2外側領域832及び第3外側領域833が、上述の実施形態における剥離フィルム38,39(
図5参照)と同様の機能を果たす。したがって、剥離フィルム38,39の省略によって部品点数の削減を図りつつ、上述の実施形態に類似した方法でデバイス802を使用することができる。