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特許6752275フェイスマスクの製造工程において予め切断されたノーズワイヤを配置するための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6752275
(24)【登録日】2020年8月20日
(45)【発行日】2020年9月9日
(54)【発明の名称】フェイスマスクの製造工程において予め切断されたノーズワイヤを配置するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20200831BHJP
【FI】
   A41D13/11 C
   A41D13/11 Z
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-519446(P2018-519446)
(86)(22)【出願日】2015年10月16日
(65)【公表番号】特表2019-535911(P2019-535911A)
(43)【公表日】2019年12月12日
(86)【国際出願番号】US2015055872
(87)【国際公開番号】WO2017065791
(87)【国際公開日】20170420
【審査請求日】2018年10月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】518174101
【氏名又は名称】オーアンドエム ハリヤード インターナショナル アンリミテッド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハリス、ネイサン・クレッグ
(72)【発明者】
【氏名】ウェバー、ジョセフ・ピー
(72)【発明者】
【氏名】フード、アージャイ・ワイ
(72)【発明者】
【氏名】ハリントン、デイビッド・ラマール
(72)【発明者】
【氏名】パンペリン、マーク・トーマス
【審査官】 ▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−216835(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0251210(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D13/11
A62B18/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェイスマスクの製造ラインにおいてノーズワイヤを配置する方法であって、
予め切断された個々のノーズワイヤを前記製造ライン中のディスペンサ装置に供給するステップと、
前記ディスペンサ装置により、個々のノーズワイヤを、前記ディスペンサ装置を通って搬送される走行キャリアウェブ上に予め定められた間隔及び向きで配置するステップと、
前記キャリアウェブ及びその表面に配置された前記ノーズワイヤを折り重ねステーションに搬送し、該ステーションにおいて、前記キャリアウェブの縁部にバインダウェブを折り重ねて、前記バインダウェブと前記キャリアウェブとの間に前記ノーズワイヤを封入するステップと、を含み、
前記予め切断されたノーズワイヤは、個々のノーズワイヤが互いに結合されていない形態で、または個々のノーズワイヤが互いに結合された形態で、前記ディスペンサ装置と共に動作可能に構成された装置に供給されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記予め切断されたノーズワイヤは、互いに結合されていない未結合の形態で、前記ディスペンサ装置と共に動作可能に構成されたホッパーに供給されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記予め切断されたノーズワイヤは、前記ディスペンサ装置に取り付けられるカートリッジ内に充填されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記予め切断されたノーズワイヤはストリップ形態で供給され、
前記ノーズワイヤは、前記ストリップ形態における長手方向の縁部に沿って整列されかつ結合されていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ディスペンサ装置は、前記ノーズワイヤを前記キャリアウェブに配置するディスペンスサイクル毎に、前記ストリップ形態から先頭のノーズワイヤを分離することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ノーズワイヤは、前記ストリップ形態における長手方向の縁部に沿って、接着剤によって結合されていることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記ノーズワイヤにおける前記キャリアウェブと接触する面に接着剤が予め塗布されていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記キャリアウェブは、前記製造ラインで製造されるフェイスマスクの上側パネル部分を形成することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記キャリアウェブに前記ノーズワイヤを配置する前に、前記キャリアウェブにおける前記ノーズワイヤが配置される縁部に沿って接着剤を塗布するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の方法に従って、フェイスマスクの製造ラインにおいて予め切断されたノーズワイヤを配置するためのシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、概して、保護用フェイスマスクの分野に関し、特に、そのようなフェイスマスクの製造工程においてノーズワイヤを配置するための方法及びシステムに関する。
【0002】
(関連出願のファミリー)
本出願は、本出願と同日に出願された下記の国際特許出願(これらは全て、米国を指定してる)と、発明の主題が関連している。
(a)「フェイスマスク製造工程においてノーズワイヤをスプライシングする方法及びシステム」なる標題の国際特許出願第PCT/US2015/055858
(b)「フェイスマスク製造工程においてノーズワイヤをスプライシングする方法及びシステム」なる標題の国際特許出願第PCT/US2015/055861
(c)「フェイスマスク製造ラインにおいて予備のノーズワイヤを導入する方法及びシステム」なる標題の国際特許出願第PCT/US2015/055863
(d)「フェイスマスク製造工程においてノーズワイヤを切断し配置する方法及びシステム」なる標題の国際特許出願第PCT/US2015/055865
(e)「フェイスマスク製造工程においてノーズワイヤを配置する方法及びシステム」なる標題の国際特許出願第PCT/US2015/055867
(f)「フェイスマスク製造工程においてノーズワイヤを配置する方法及びシステム」なる標題の国際特許出願第PCT/US2015/055871
(g)「フェイスマスク製造ラインにおけるパッケージングのためのフェイスマスクを包装及び作製する方法及びシステム」なる標題の国際特許出願第PCT/US2015/055876
(h)「フェイスマスク製造ラインにおいて包装されたフェイスマスクをカートン内に自動的に積層させて充填する方法及びシステム」なる標題の国際特許出願第PCT/US2015/055878
(i)「フェイスマスク製造ラインにおいて包装されたフェイスマスクをカートン内に自動的に積層させて充填する方法及びシステム」なる標題の国際特許出願第PCT/US2015/055882
【0003】
上記の出願は、あらゆる目的のために、参照により本明細書に援用される。上記の出願に記載された発明主題の特徴及び態様の任意の組み合わせを、本出願の実施形態と組み合わせて、本発明のさらなる実施形態を創出することもできる。
【背景技術】
【0004】
様々な形態の使い捨て式フィルタリングフェイスマスク、すなわちレスピレータが知られており、これらは、「フェイスマスク」、「保護マスク(レスピレータ)」、「フィルタリングフェイスレスピレータ」等の様々な名称で呼ばれている。本開示の目的のために、これらを「フェイスマスク」と総称する。
【0005】
自然災害時または他の大惨事の発生時には、救援活動従事者、救急隊員、及び一般大衆に対して保護用フェイスマスクを供給できることが重要である。例えば、パンデミックが発生した場合には、フィルタを介した呼吸を可能にするフェイスマスクの使用が、そのような事態への対応や復旧において重要となる。このため、政府や自治体は、通常、緊急時にすぐに使用できるように、フェイスマスクの備蓄を維持している。しかしながら、フェイスマスクの貯蔵寿命は限られているため、有効期限の確認及び補充のために、フェイスマスクの備蓄を継続的にモニタする必要があった。そして、これは、非常にコストのかかる作業であった。
【0006】
最近、備蓄に頼るのではなく、パンデミックまたは他の災害の発生時に「必要に応じて」フェイスマスクを大量生産することが実現可能か否かについての調査が開始された。例えば、2013年に、米国保健福祉省(HHS)の事前準備対応次官補局(ASPA)の一部門である生物医学先端研究開発局(BARDA)は、米国でのパンデミックの発生時には最大1億個のフェイスマスクが必要となると推定し、備蓄を避けるために、1日当たり150万〜200万個のフェイスマスクを大量生産することによって、この需要を満たすことができるか否かについての研究を提案した。これは、1分当たり約1500個のマスクを生産することを意味する。現行のフェイスマスク製造ラインは、技術と装置の限界のために1分当たり約100個のマスクしか生産することができず、上記の推定目標値に遠く及ばない。したがって、パンデミック発生時の「オンデマンドの」フェイスマスクの上記の目標値を実現するためには、製造・生産工程の進歩が必要である。
【0007】
様々な形態のフィルタフェイスマスクは、よく知られているように、使用中にフェイスマスクの形をユーザの鼻の形に一致させてフェイスマスクを適所に保持することができるように、上側フィルタパネルの縁部に沿って、「ノーズワイヤ」として知られている可撓性及び応従性を有する金属片を備えている。ノーズワイヤは、様々なサイズ及びマスク構造間で様々な長さ及び幅を有し得るが、一般的には、連続的なインライン製造工程においてスプールから切り出され、走行するキャリア不織ウェブ(複数の不織布層を含むものであり得る)上に、完成品のマスクの上側縁部になる縁部に沿って載置される。その後、ノーズワイヤが載置された縁部はバインダ材料で密封される。また、このバインダ材料によって、ノーズワイヤは、完成品のマスクの上側縁部の所定位置に封入され、恒久的に保持される。
【0008】
連続的なワイヤを搬送して供給し、そのワイヤをカッターで切断して個々のノーズワイヤを形成し、カッターで切断されたノーズワイヤを配置する工程ステップは、時間がかかり、特殊な器具を必要とする。加えて、連続的に走行するワイヤに、予備のワイヤをスプライシング(継続導入)するためには、一般的に、製造ラインを停止する必要がある。インライン製造工程において上記のスループット(製造速度)でフェイスマスクを大量生産するためには、走行ワイヤが使い果たされたときに予備のワイヤをスプライシングするステップはもちろんのこと、上記の切断ステップも完全に省略することが望ましい。
【0009】
本発明は、このような要求に応えるべく案出されたものであり、フェイスマスクのインライン製造工程において、ノーズワイヤを切断し、走行するキャリアウェブ上に配置する作業を高速で行うための方法及びシステムを提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的及び利点は、その一部が以下の説明に記載されており、あるいは以下の説明から明らかであり、あるいは本発明の実施により学ぶことができるであろう。
【0011】
本発明の態様によれば、フェイスマスクの製造ラインにおいてノーズワイヤを配置する方法が提供される。ノーズワイヤは、所定の長さに予め切断されており、製造ライン中のディスペンサ装置に供給される。ディスペンサ装置により、個々のノーズワイヤ102は、ディスペンサ装置を通って搬送される走行キャリアウェブ上に予め定められた間隔及び向きで配置される。例えば、個々のノーズワイヤは、完成品のフェイスマスクの上側パネルの上側縁部に対応するキャリアウェブの縁部に沿って配置される。キャリアウェブ及びその表面に配置されたノーズワイヤは、その後、折り重ねステーションに搬送され、該ステーションにおいて、キャリアウェブの縁部にバインダウェブを折り重ねて、バインダウェブとキャリアウェブとの間にノーズワイヤを封入する。
【0012】
特定の実施形態では、前記予め切断されたノーズワイヤは、互いに結合されていない未結合の形態で、前記ディスペンサ装置と共に動作可能に構成されたホッパーに供給される。ホッパーは、シュート(または他の誘導手段)を通じてディスペンサ装置に落下させるノーズワイヤを配向するための任意の態様の機械的手段を含み得る。
【0013】
ディスペンサ装置は、ストリップ形態で供給されるノーズワイヤから単一のノーズワイヤを分離し、分離した単一のノーズワイヤを回転または直線的な態様でキャリアウェブ上に配置する目的のために様々に構成され得る。本発明に係る方法は、任意の特定の種類のディスペンサ装置またはディスペンス方法に限定されるものではない。
【0014】
別の実施形態では、予め切断されたノーズワイヤは、ディスペンサ装置に取り付けられるカートリッジまたは他のパッケージ内に、ディスペンスのために整列して充填される。カートリッジは、ノーズワイヤが消費されるに従ってノーズワイヤをディスペンサ装置に向けて変位させる例えばばね等の内部付勢要素を含み得る。あるいは、ディスペンサ装置は、カートリッジが充填されたラックまたはトレイを有し得る。この場合、ラックまたはトレイはノーズワイヤを前進させるための付勢機構を有する。
【0015】
さらに別の実施形態では、予め切断されたノーズワイヤは、ストリップ形態で供給される。ノーズワイヤは、ストリップ形態における長手方向の縁部に沿って整列され、かつ例えば接着剤によって結合されている。例えば、ノーズワイヤは、従来のステーブルガンに供給される個々のステーブルのストリップと同様に構成され得る。ディスペンサ装置は、ディスペンスサイクル毎に、ストリップから先頭のノーズワイヤを分離するとともに、分離された個々のノーズワイヤを下方のキャリアウェブ上に配置するパンチ部材を有するステーブルガンのヘッドと同様に機能する。
【0016】
いくつかの実施形態では、ノーズワイヤにおけるキャリアウェブと接触する面に、接着剤を予め塗布しておくことが望ましい。この接着剤は、ノーズワイヤが所定の間隔及び向きでキャリアウェブに結合されることを確実にするために、十分な粘性を有するべきである。
【0017】
本発明はまた、本明細書に記載された本発明の方法に従って、フェイスマスクの製造ラインにおいて予め切断されたノーズワイヤを配置するためのシステムの様々な実施形態を包含する。
【0018】
本発明の他の特徴及び態様は、以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
当業者を対象にした本開示の完全かつ実現可能な開示(ベストモードを含む)が、添付図面を参照して、本明細書の残りの部分により詳細に説明される。
【0020】
図1】フェイスマスクの形をユーザの顔の形に一致させるノーズワイヤが組み込まれた従来の呼吸用フェイスマスクをユーザに装着した状態を示す斜視図
図2図1の従来のフェイスマスクの折り畳んだ状態を示す上面図
図3図2のフェイスマスクを図2に示した線に沿って切った断面図
図4】交互に配置された複数のフェイスマスクパネルが画定されたウェブと、各パネルの縁部に組み込まれたノーズワイヤを示す上面図
図5】ノーズワイヤを切断しウェブ上に配置する工程に関連するフェイスマスク製造ラインの一部の概略図
図6】本発明の態様に従って、個々の予め切断されたノーズワイヤをキャリアウェブ上に配置する一実施形態の概略図
図7】本発明の態様に従って、個々の予め切断されたノーズワイヤをキャリアウェブ上に配置する別の実施形態の概略図
図8】本発明の態様に従って、個々の予め切断されたノーズワイヤをキャリアウェブ上に配置するさらに別の実施形態の概略図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の様々な実施形態及びその1以上の実施例を詳細に説明する。各実施例は、本発明を説明するために提示されたものであり、本発明を限定するものではない。実際、本発明において、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、本発明の様々な変更形態及び変形形態が可能であることは、当業者にとって明らかであろう。例えば、ある実施形態の一部として例示または説明された特徴を、別の実施形態において用いて、さらなる別の実施形態を創出することもできる。したがって、本発明は、添付された特許請求の範囲及びその均等物の範囲に含まれる限り、そのような変更形態及び変形形態を包含することを意図している。
【0022】
上述したように、本発明は、フェイスマスク製造ラインにおいて、個々のノーズワイヤを切断し配置する方法に関する。下流のフェイスマスク製造工程は、本発明の態様を限定するものではないので、本明細書では詳細に説明しない。
【0023】
また、本開示は、製造ラインを通じてのフェイスマスクの特定の構成要素の搬送または輸送について言及または暗示している。物品搬送装置(例えば、ロータリコンベヤまたはリニアコンベヤ)、物品配置装置(例えば、真空パッドプレイサ)、及び移送装置の任意の態様または組み合わせは、物品搬送産業ではよく知られており、本明細書に記載された目的に使用できることは容易に理解できるであろう。本発明の方法の理解及び把握のために、これらの既知の装置やシステムの詳細な説明を提供する必要はない。
【0024】
平らなプリーツ付きフェイスマスクを含む、ノーズワイヤが組み込まれたフェイスマスクの様々な形式や形態がよく知られており、本発明の方法は、これらの従来のマスクのための製造ラインとして有用であり得る。単なる例示を目的として、本明細書では、本発明の方法の態様を、図1に示すような当分野で「カモノハシ型」マスクと称される特定のタイプの呼吸用フェイスマスクを参照して説明する。
【0025】
図1図3を参照すると、代表的なフェイスマスク11(例えば、カモノハシ型フェイスマスク)を着用者12の顔に装着した状態が示されている。このマスク11は、弾性及び伸縮性を有するストラップ、すなわち固定部材16及び固定部材18によって着用者12に固定されるフィルタ本体14を含む。フィルタ本体14は、上側部分20及び下側部分22を有する。上側部分20及び下側部分22は、互いに相補的な台形形状を有し、好ましくは熱及び/または超音波シーリング等によって、その3つの辺縁に沿って互いに接合される。このようにして接合することにより、マスク11に、重要な構造的完全性が付加される。
【0026】
マスク11の第4の辺縁は、開放されており、上側縁部24及び下側縁部38を有する。上側縁部24及び下側縁部38は、互いに協働して、マスク11における、着用者の顔に接触する周縁部分を画定する。上側縁部24は、平坦な金属製のリボンまたはワイヤ状の細長い応従性部材26(本明細書では「ノーズワイヤ」と称する)を受容するように構成される(図2及び図3参照)。ノーズワイヤ26は、マスク11の上側縁部24の形状を着用者12の鼻や頬の外形に密着させることができるように設けられる。ノーズワイヤ26は、一般的に、矩形の断面形状を有するアルミニウムストリップから構成される。マスク11の上側部分20が上側縁部24に沿って配置されたノーズワイヤ26を有することを除けば、マスク11の上側部分20と下側部分22は互いに同一であり得る。
【0027】
図1に示すように、カモノハシ型マスク11は、着用者12の顔に装着したときには、カップ状または円錐状の全体形状を有する。これにより、使用時には円錐状のマスクが「顔から離れる」という利点と、使用前には折り畳んだマスク11をポケットに入れて容易に持ち運びすることができるという利点が提供される。「顔から離れる」形式のマスクは、着用者の顔のかなりの部分に接触する柔らかいプリーツ付きマスクと比べて、より大きな呼吸チャンバを提供する。そのため、「顔から離れる」マスクは、より落ち着いたより楽な呼吸を可能にする。
【0028】
着用者12の通常の呼吸に関連する呼吸漏れは、ノーズワイヤ26の寸法やノーズワイヤ26の上側縁部24に対する位置を適切に選択することによって、実質的に排除される。ノーズワイヤ26は、上側縁部24の中央に配置され、上側縁部24の全長の50−70%の範囲の長さを有することが好ましい。
【0029】
図3の断面図に示すように、上側部分20及び下側部分22の各々は、外側マスク層30及び内側マスク層32を含む複数の層を有する。外側マスク層30と内側マスク層32との間には、マスク11用のフィルタ媒体を含む1以上の中間層34が介在されている。この中間層34は、一般的に、メルトブローンポリプロピレン、押出成形ポリカーボネート、メルトブローンポリエステル、またはメルトブローンウレタンから作製される。
【0030】
マスク11の上側縁部24は、マスク11の開放端の全体にわたって延在し、かつノーズワイヤ26を覆う上側縁部バインダ36によって取り囲まれている。同様に、下側縁部38は、下側縁部バインダ40によって取り囲まれている。上側縁部バインダ36及び下側縁部バインダ40は、ノーズワイヤ26を上側縁部24に沿って配置した後に、それぞれ上側縁部24または下側縁部38上に折り重ねて接合される。上側縁部バインダ36及び下側縁部バインダ40は、スパンレースされたポリエステル材料から作製され得る。
【0031】
図4は、マスク11の上側部分20を形成する層を切断するための略台形形状のレイアウトを示す。同様のレイアウトが下側部分22用に作製され、この下側部分22は、フェイスマスク製造ラインにおいて、上側部分20と整列され、接合される。より正確には、図4のレイアウトは、平坦な各材料シートから上側部分20のための層30及び32を最終的に切断する切断装置の概要を表す。このレイアウトは、上側縁部24と下側縁部38とにより形成されるマスク11の開放端側となる縁部50、52の間の平坦な材料シート上に、交互パターンで配置される。このレイアウト配置により、マスク11の作製に利用される切断装置(図示せず)に材料を供給したときに、連続的な切り抜き片(piece of scrap)を形成することができる。図4は、上側縁部バインダ36及び下側縁部バインダ40を上側縁部24または下側縁部38に沿って折り重ねて接合する前に、連続したウェブにおける上側縁部24に対応する部分の上に切断されたノーズワイヤ26を配置した状態を示す。
【0032】
図5は、ノーズワイヤ26(図4)が組み込まれたフェイスマスクを製造するための製造ライン106の一部を示す。走行ワイヤ101が、例えば被動ロール104等の供給源から切断ステーション108に、連続的なストリップ形態で供給される。好適な切断ステーション108は、公知であり、従来の製造ラインで使用されている。切断ステーション108は、一般的に、被動ニップを画定する一対のフィードローラ110を有する。フィードローラの一方は被動ローラであるが、他方はアイドラローラであってもよい。走行ワイヤ101は、アンビル114(固定アンビルまたは回転アンブルであり得る)に対向して配置された切断ローラ112に供給される。切断ローラ112は、走行ワイヤ101を、予め定められた長さを有する個々のノーズワイヤ102に切断するべく、所定の速度で駆動される。切断ローラ112の下流側では、一対の搬送ローラ116によって、個々のノーズワイヤ102が切断ステーション108からキャリアウェブ118上に搬送される。図4を参照すると、キャリアウェブ118は、マスク11の上側部分20(上側パネル部分)を画定する連続的な多層ウェブであり得、個々のノーズワイヤ26は、キャリアウェブ118におけるマスク11の上側縁部24に対応する縁部に沿って配置される。
【0033】
個々のノーズワイヤ102をキャリアウェブ118上の所定の位置に配置した後、バインダウェブ120が、キャリアウェブ118の両側縁部にそれぞれ沿って製造ライン106に導入される(図5では、一方のバインダウェブ120のみを図示している)。キャリアウェブ118、ノーズワイヤ26、及びバインダウェブ120の組み合わせは、折り重ねステーション122(フォルダ)に搬送され、この折り重ねステーション122において、バインダウェブ120は、走行するキャリアウェブ118の各縁部50、52の周りに折り重ねられる(図4)。その後、キャリアウェブ118、ノーズワイヤ26、及びバインダウェブ120の組み合わせは、接合ステーション124(ボンダー)に搬送される。この接合ステーション124において、バインダウェブ120は、キャリアウェブ118に熱接合され、これにより、図3に示した、上側縁部バインダ36または下側縁部バインダ40によって取り囲まれた上側縁部24及び下側縁部38が構成される。ノーズワイヤ26は、上側縁部バインダ36によって、上側縁部24に対して所定の位置に保持される。
【0034】
接合ステーション124から、キャリアウェブ118と上側縁部バインダ36により覆われたノーズワイヤ102との連続的な組み合わせが、さらに下流の処理ステーション126に搬送され、この処理ステーション126において、個々のフェイスマスクの切断、接合、ヘッドストラップの取り付け等が行われる。
【0035】
図6図8を参照して、上述したように、本発明に係る発明の目的は、製造ライン106から切断ステーション108を排除することである。これに関して、本方法100では、所定の長さに予め切断されたノーズワイヤ102を製造ライン106中のディスペンサ装置132に供給する。このディスペンサ装置132により、個々のノーズワイヤ102は、ディスペンサ装置132を通って搬送される走行キャリアウェブ118上に予め定められた間隔及び向きで配置される。例えば、個々のノーズワイヤ102は、完成品のフェイスマスクの上側部分20の上側縁部24に対応するキャリアウェブ118の縁部に沿って配置される。図4に示したウェブにおけるネスト化された上側部分20の反対側にノーズワイヤを配置するために、図6に図示したディスペンサ装置132の反対側(及び上流側または下流側)に、別のディスペンサ装置132を動作可能に配置してもよいことを理解されたい。理解を容易にするために、このようなディスペンサ装置132の1つのみを図示及び説明する。
【0036】
ディスペンサ装置132の特定の種類及び動作は、本発明の範囲及び精神の範囲内で変更可能である。例えば、ディスペンサ装置132として、第1の位置で個々のノーズワイヤ102をスロット内に受け取り、第2の位置に回転し、第2の位置でノーズワイヤ102をスロットから下方のキャリアウェブ上に落下させる(または放出する)回転ホイールを使用することができる。別の実施形態では、ディスペンサ装置132は、個々のノーズワイヤ102と係合し、係合したノーズワイヤ102をキャリアウェブ118上に落下させるスロットまで押して変位させる直線スライド機構を使用することができる。本方法100は、任意の特定のディスペンサ装置の使用に限定されるものではない。
【0037】
図6を参照して、予め切断されたノーズワイヤ102は、互いに結合されていない未結合の形態で、ディスペンサ装置132と共に動作可能に構成されたホッパーまたはアキュムレータ134に供給される。シュート136は、ホッパー134と一体的な部品であってもよいし、またはホッパー134とディスペンサ装置132との間に配置された別個の部品であってもよい。ホッパー134及びシュート136は、シュート136(または他の誘導手段)を通じてディスペンサ装置132に落下させるノーズワイヤ102を配向するための任意の態様の機械的手段を含み得る。ディスペンサ装置132によってノーズワイヤ102がキャリアウェブ118上に配置されると、ノーズワイヤ102及びキャリアウェブ118は、折り重ねステーション122に搬送され、図5を参照して上述したように、バインダウェブ120と結合される。
【0038】
図7を参照して、本方法100の別の実施形態では、予め切断されたノーズワイヤ102は、ストリップ形態138で供給される。ノーズワイヤ102は、ストリップ形態138における長手方向の縁部に沿って整列され、かつ例えば接着剤によって結合されている。この構成により、ノーズワイヤ102は、従来のステーブルガンに供給される個々のステーブルのストリップと同様に構成され得る。ディスペンサ装置132は、ディスペンスサイクル毎に、ストリップ138から先頭のノーズワイヤ102を分離するとともに、分離された個々のノーズワイヤ102を下方のキャリアウェブ118上に配置するパンチ部材を有するステーブルガンのヘッドと同様に機能する。
【0039】
図8に示す本方法100の別の実施形態では、予め切断されたノーズワイヤ102は、ディスペンサ装置132に取り付けられるカートリッジ140または他のパッケージ内に、ディスペンスのために整列して充填される。ノーズワイヤ102は、カートリッジ140内に、例えば接着剤によって互いに結合された状態で配置されるか、または、カートリッジ140内に互いに結合されていない未結合の状態で配置される。カートリッジ140は、ノーズワイヤ102が消費されるに従ってノーズワイヤ102をディスペンサ装置132に向けて変位させる例えばばね142等の内部付勢要素を含み得る。あるいは、ディスペンサ装置132は、カートリッジが充填されたラックまたはトレイを有し得る。この場合、ラックまたはトレイはノーズワイヤを前進させるための付勢機構を有する。
【0040】
ノーズワイヤ102におけるキャリアウェブ118と接触する面に、接着剤を予め塗布しておくことが望ましい。この接着剤は、ノーズワイヤ102が所定の間隔及び向きでキャリアウェブ118に結合されることを確実にするために、十分な粘性を有するべきである。
【0041】
図7及び図8に示した別の実施形態では、接着剤塗布器135を使用して、接着剤が、キャリアウェブ118の表面におけるノーズワイヤ102が配置される縁部に沿って塗布される。これにより、ノーズワイヤ102を所定の間隔及び向きでキャリアウェブ118上に保持するのをさらに助ける。
【0042】
図7及び図8を参照して、ディスペンサ装置132がノーズワイヤ102をキャリアウェブ118の縁部に沿って適切な間隔で配置するのに必要とされる速度でサイクル動作するのを確実にするために、制御装置144(コントローラ)がディスペンサ装置132と共に構成される。速度センサ146は、キャリアウェブ118の近傍に配置され、かつ制御装置144に接続されている。ディスペンサ装置132のサイクル速度は、キャリアウェブ118の実際の速度にタイミングが合わされる。
【0043】
上述したように、本発明は、本発明の方法に従って、フェイスマスク製造ラインにおいて、予め切断されたノーズワイヤをウェブ上に配置するための様々なシステムの実施形態も包含する。このようなシステムの態様は、添付図面に示され、本明細書にも記載されている。
【0044】
図示及び上述した特定の内容は、本発明の主題の様々な例示的な実施形態を説明及び教示するためのものであり、本発明の限定を意図するものではない。添付した特許請求の範囲に記載されているように、本発明の範囲は、当業者が想到可能な改変形態及び変更形態と共に、本明細書に記載した様々な特徴の組み合わせ及びサブコンビネーションの両方を包含する。
図1
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図5
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図7
図8