(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記隆起パネル(220)のそれぞれが、前記複数の溝(212)のうちの2つの溝(212)間および前記2つの溝(212)に交差する前記複数の交差溝(214)のうちの2つの溝(214)間に画定された菱形形状を有する、
請求項1に記載の電気コネクタ(104)。
前記隆起パネル(220)のそれぞれが、底辺(230)から頂上(232)まで径方向外方に延び、前記底辺(230)と前記頂上(232)との間に延びる少なくとも3つの側壁(234)を含み、
対応する隆起パネル(220)の複数の前記側壁(234)は、前記隆起パネル(220)が前記底辺(230)から前記頂上(232)へ先細りするように、互いに対して角度が付けられている、
請求項1に記載の電気コネクタ(104)。
前記溝(212)および前記交差溝(214)は、前記長手方向軸(210)に対してそれぞれの螺旋角(216、218)を画定し、前記溝(212)の前記螺旋角および前記交差溝(214)の前記螺旋角は、45度以下である、
請求項1に記載の電気コネクタ(104)。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態は、第1のコネクタおよび第2のコネクタを含むコネクタシステムを開示する。第1のコネクタまたは第2のコネクタのうちの少なくとも1つは、電気ケーブルに取り付けられる。たとえば、第1のコネクタおよび/または第2のコネクタは、外側コンタクトを含み、外側コンタクトは、電気ケーブルの導電層に圧着されて、それぞれのコネクタをケーブルに固定して電気的に接続する。外側コンタクトは、導電層の周りに延びる巻付けフェルールを使用して導電層に圧着することができ、フェルールは、外側コンタクトの端部部分を取り囲む。外側コンタクトの端部部分は、その外面に沿ってクロスハッチパターンを含み、クロスハッチパターンは、ケーブルの導電層の内面に係合する。クロスハッチパターンは、複数の溝と複数の交差溝とを含み、交差溝は溝に交差し、外側コンタクトの外面に沿って隆起パネルを画定する。
【0007】
クロスハッチパターンは、既知のケーブル取付けコネクタに比べて、それぞれのコネクタが提供することができる保持力の大きさを改善するために、外側コンタクトと導電層との間の把持力を増大させるように構成される。たとえば、いくつかの既知のコネクタは、外側コンタクトに沿って平行な刻み目を含み、これらの刻み目は、外側コンタクトの長手方向軸に概して直交する向きで、外側コンタクトの周りに円周方向に延びる。たとえば電気ケーブルのケーブル編組に圧着されるとき、ケーブル編組は、外側コンタクトに沿って円周方向に延びる隆起部に係合する。隆起部は、隣接する刻み目間に画定される。そのようなコネクタは、ケーブル編組が外側コンタクトから滑り落ちないうちに、望ましい力の大きさ(たとえば、120ニュートン(N))に耐えることができないことが知られている。本明細書に記載の外側コンタクトの外面に沿って位置する隆起パネルおよび溝は、外側コンタクトと外側コンタクトの周りに圧着されたケーブルの導電層との間の摩擦または干渉を増大させることによって、実現可能な保持力を改善することができる。たとえば、ケーブルと本明細書に記載のクロスハッチパターンを有する外側コンタクトとの間の圧着接続は、破断することなく、120N以上の力にうまく耐えることができる。
【0008】
1つまたは複数の実施形態では、外側コンタクトは、1枚の薄板金属の打抜きおよび形成によって作製される。クロスハッチパターンは、2つの型押し操作で外側コンタクトの外面に形成することができる。たとえば、型押しツールが、複数の隆起部を含むことができ、複数の隆起部は、型押しツールが外側コンタクトに当たる第1の型押し操作中に、溝(たとえば、第1の組の溝)を形成する。その後、型押しツールを外側コンタクトに対して回転させることができ、次いで第2の型押し操作で、型押しツールを動かして外側コンタクトに当てることができ、それによって型押しツールの隆起部が、溝に交差する交差溝を形成する。別法として、クロスハッチパターンは、外側コンタクトに型押しするのではなく、外側コンタクトの外面にわたってツールを転がすことなどによって、外側コンタクトに形成することもできる。
【0009】
本明細書では、「取り囲む」という用語は、物体の長さの一部分に沿ってその物体を囲むことなど、少なくとも1つの寸法において別の物体の周辺部に延びることを意味する。本明細書では、「取り囲む」という用語は、取り囲まれている物体が取り囲んでいる物体によってすべての寸法で完全に封入または包装されることを必ずしも必要としない。
【0010】
図1は、例示的な実施形態によって形成されたコネクタシステム100を示す。コネクタシステム100は、第1の電気コネクタ102および第2の電気コネクタ104を含む。第1の電気コネクタ102および第2の電気コネクタ104は、ともに嵌合されて第1の電気コネクタ102と第2の電気コネクタ104との間で電気信号を伝送するように構成される。図示の実施形態では、第1の電気コネクタ102はオスコネクタであり、第2の電気コネクタ104はメスコネクタであり、それによって第1の電気コネクタ102の一部分は、嵌合操作中に第2の電気コネクタ104の空洞106内に受け取られる。より具体的には、第1のコネクタ102のオスハウジング108(たとえば、ノーズコーン)が、メスコネクタ104のメスハウジング110によって画定された空洞106内に受け取られる。
図1には嵌合されていない状態で示されているが、第1のコネクタ102および第2のコネクタ104は、嵌合軸112に沿って嵌合する態勢が整っている。本明細書では、第1の電気コネクタ102をオスコネクタ102または嵌合コネクタ102と呼び、第2の電気コネクタ104をメスコネクタ104または単にコネクタ104と呼ぶ。
【0011】
コネクタシステム100は、自動車業界、家庭用電気機器業界、航空機業界などの様々な業界にわたって多数の適用分野で、2つ以上のデバイスおよび/または電気構成要素を電気的に結合するために使用することができる。たとえば、自動車業界では、電気コネクタ102、104は、無線周波通信のために、アンテナをコントローラおよび/または処理デバイスに電気的に接続するためなどに使用することができる。
【0012】
オスコネクタ102およびメスコネクタ104はそれぞれ、異なる電気構成要素に電気的に接続されて、対応する電気構成要素間に導電経路を提供する。図示の実施形態では、オスコネクタ102およびメスコネクタ104は、同軸ケーブルなどの対応する電気ケーブル114、116に取り付けられて電気的に接続される。代替実施形態では、オスコネクタ102またはメスコネクタ104は、対応する回路基板に取り付けることができる(たとえば、エッジマウント)。ケーブル114は、オスコネクタ102の電気コンタクトに電気的に終端される(たとえば、圧着、はんだ付けなど)。ケーブル116は、メスコネクタ104の電気コンタクトに電気的に終端される。オスコネクタ102の電気コンタクトは、コネクタ102、104が嵌合されるとき、メスコネクタ104の電気コンタクトに係合して、ケーブル114とケーブル116との間で電力、制御メッセージ、データなどを伝える様々な電気信号を伝送する。
【0013】
図示の実施形態では、オスコネクタ102およびメスコネクタ104はどちらも、一列に並んだ形状を有する。たとえば、オスコネクタ102が空洞106に装入される嵌合軸112は、オスコネクタ102から出るケーブル114およびメスコネクタ104から出るケーブル116の向きに対して略平行である。代替実施形態では、オスコネクタ102および/またはメスコネクタ104は、直角の形状を有することもできる。
【0014】
図示の実施形態では、オスコネクタ102およびメスコネクタ104は、FAKRA自動車専門家グループによって確立された均一のコネクタシステムのための標準に準拠するインターフェースを有するRFコネクタであるFAKRAコネクタを構成する。FAKRAは、ドイツ標準化機構内の自動車標準化委員会であり、自動車分野における国際標準化の利益を代表する。FAKRAコネクタは、自動車適用分野の高い機能および安全要件を満たす標準化されたキーイングシステムおよびロックシステムを有する。たとえば、図示の実施形態では、オスコネクタ102は、1つまたは複数のキーイングリブ118を有し、メスコネクタ104は、1つまたは複数のキーイングチャネル120を有し、キーイングチャネル120は、コネクタ102、104が嵌合されたとき、キーイングリブ118を受け取る。キーイングリブ118およびキーイングチャネル120は、FAKRA標準に従って、各コネクタ102、104と1つまたは複数の特有の嵌合コネクタとの嵌合性を制限するように構成される。コネクタシステム100は、本明細書に記載のFAKRAコネクタ以外の他のタイプのコネクタを利用することもできる。
【0015】
嵌合中、オスコネクタ102の前端126が、嵌合軸112に沿って動かされ、メスコネクタ104の前端128を通ってメスコネクタ104の空洞106内へ差し込まれる。本明細書では、「前」、「後」、「上」、または「下」などの相対的または空間的な用語は、参照する要素を区別するためだけに使用されており、コネクタシステム100の周囲環境に対する特定の位置または向きを必ずしも必要とするものではない。オスコネクタ102は、2つのコネクタ102、104間の嵌合接続を保持する(コネクタ102、104の望ましくない嵌合解除を制限することによる)ために、メスコネクタ104の相補形で撓み可能なラッチ124に係合するように構成された止め面122を有する。ラッチ124は、オスコネクタ102およびメスコネクタ104を切り離すために、止め面122の上に持ち上げられまたは旋回するように構成される。
【0016】
図2は、一実施形態によるメスコネクタ104およびケーブル116の分解図である。メスコネクタ104は、メスハウジング110(本明細書では、外側ハウジング110とも呼ぶ)およびコンタクトアセンブリ130を含む。コンタクトアセンブリ130は、外側ハウジング110内に保持される。コンタクトアセンブリ130は、中央コンタクト132、誘電体134、外側コンタクト136、およびキャビティインサート138を含む。他の実施形態では、メスコネクタ104は、1つもしくは複数の追加の構成要素を含んでもよく、かつ/または記載の構成要素をすべて含むとは限らない。コンタクトアセンブリ130は、フェルール140を介してケーブル116に終端させられる。
【0017】
ケーブル116は、誘電体層172によって取り囲まれた中央導体170(たとえば、1つまたは複数の電気ワイヤ)を有する同軸ケーブルとすることができる。中央導体170は、
図2に破線で示されている。中央導体170は、銅、銀、アルミニウム、および/または1つもしくは複数の他の金属から構成することができる。誘電体層172によって共通に取り囲まれた単一の束として破線で示すが、中央導体170は、別個の絶縁層によって個々に取り囲まれた複数のワイヤを含むこともできる。誘電体層172は、誘電体層172を取り囲む導電性シールド層174から中央導体170を保護して電気的に絶縁するために、1つまたは複数のプラスチックから構成することができる。導電性シールド層174は、中央導体170に沿って伝送される信号の電気シールドを提供しており、電気接地経路を提供することもできる。導電性シールド層174は、誘電体層172を取り囲む層として織られたもしくは編まれた金属撚線を含むケーブル編組174とすることができ、またはそのようなケーブル編組174を含むことができる。任意選択で、導電性シールド層174はまた、箔層を含むことができる。
図2に示すように、ケーブル編組174の端部部分175は広がっており、外側コンタクト136の一部分を取り囲むように構成される。ケーブル編組174の端部部分175は、ケーブル116をコンタクトアセンブリ130に電気的に接続して機械的に結合するために、フェルール140を介して外側コンタクト136に圧着するように構成される。ケーブルジャケット176が、ケーブル編組174を取り囲み、ケーブル編組174、誘電体層172、および中央導体170に対して、外力および汚染物質からの保護を提供する。
【0018】
図示の実施形態では、コンタクトアセンブリ130の中央コンタクト132は、オスコネクタ102(
図1に示す)のピンコンタクトを受け取って電気的に係合するように構成されたソケットコンタクトを構成する。別法として、中央コンタクト132は、ピンコンタクトまたは別のタイプのコンタクトとすることができる。中央コンタクト132は、1つまたは複数の金属などの導電材料から構成される。中央コンタクト132は、圧着またははんだ付けなどを介して、ケーブル116の中央導体170に終端させられる。
【0019】
誘電体134は、中央コンタクト132を取り囲む。たとえば、誘電体134は、中央コンタクト132を受け取る通路142を画定する。誘電体134は、1つまたは複数のプラスチックなどの誘電体材料から構成される。誘電体134は、中央コンタクト132と外側コンタクト136との間に延びてコンタクト132、136を互いに電気的に絶縁するように構成される。
【0020】
外側コンタクト136は、誘電体134と、誘電体134内に位置する中央コンタクト132とを取り囲む。外側コンタクト136は、1つまたは複数の金属などの導電材料から構成される。外側コンタクト136は、中央コンタクト132に対して、電磁または無線周波干渉などからのシールドを提供する。外側コンタクト136は、前端144と後端146との間に延びており、外側コンタクト136を通って前端144と後端146との間に延びるチャンバ148を画定する。チャンバ148は、誘電体134と、誘電体134内に位置する中央コンタクト132とを受け取る。チャンバ148はまた、中央導体170および誘電体層172など、ケーブル116の少なくともいくつかの部分を受け取ることができる。外側コンタクト136は、略円筒形または樽形の形状を有する。たとえば、外側コンタクト136は、円筒形の形状を有するが、外側コンタクトの長さ全体に沿って前端144と後端146との間で一定の直径を有する必要はない。一実施形態では、外側コンタクト136は、1枚の薄板金属を打ち抜き、次いで丸めることによって、略円筒形の形状に打ち抜かれて形成される。たとえば、外側コンタクト136は、一体のワンピース本体158を含み、本体158は、円筒形の形状に丸められると、外側コンタクト136の長さに延びる継ぎ目(seam)160を含む。継ぎ目160は、本体158の第1の丸め縁部164と反対側の第2の丸め縁部165との間に画定される。丸め縁部164、165は、相補形のタブおよび凹部を画定することができ、それによって継ぎ目160で第1の丸め縁部164が第2の丸め縁部165と噛み合い、外側コンタクト136の円筒形の形状を保つ。
【0021】
一実施形態では、外側コンタクト136は、前端144から後方へ延びる嵌合部150と、後端146から前方へ延びる終端部152とを含む。嵌合部150は、嵌合操作中、オスコネクタ102(
図1に示す)などの嵌合コネクタの外側嵌合コンタクト(図示せず)に係合するように構成される。嵌合部150は、外側コンタクト136の嵌合部150と外側嵌合コンタクトとの間の係合を維持するために、撓み可能なビーム、バンプ、バーブなどの1つまたは複数の保持機構154を含むことができる。終端部152は、ケーブル116のケーブル編組174に電気的に接続するように構成される。たとえば、ケーブル編組174は、終端部152を取り囲むことができ、フェルール140を介して終端部152に圧着することができる。一実施形態では、外側コンタクト136の終端部152は、終端部152の外面192に沿ってクロスハッチパターン190を有する。クロスハッチパターン190は、少なくともクロスハッチパターンを含まない既知の外側コンタクトに比べて、終端部152の周りに圧着されるケーブル116のケーブル編組174に対して強化された把持力を提供するように構成される。
【0022】
任意選択で、外側コンタクト136は、外側コンタクト136の長さに沿って嵌合部150と終端部152との間に中間部156を含むことができる。中間部156は、嵌合部150および終端部152のうちの少なくとも1つとは異なる直径を有することができる。たとえば、図示の実施形態では、中間部156の直径は、嵌合部150より小さく、終端部152より大きい。代替実施形態では、終端部152は、終端部152がケーブル116より大きいケーブルに圧着するように構成される場合などに、中間部156より大きい直径を有することができる。
【0023】
キャビティインサート138は、外側コンタクト136の少なくとも一部分を取り囲む。キャビティインサート138は、キャビティインサート138を通って延びるチャネル166を画定し、外側コンタクト136は、チャネル166内に保持される。一実施形態では、外側コンタクト136は、外側コンタクト136の中間部156を取り囲む。キャビティインサート138は、任意選択で、嵌合部150の少なくとも一部分および/または終端部152の少なくとも一部分を取り囲むことができる。キャビティインサート138は、外側コンタクト136をチャネル166内で軸方向に固定するように構成され、したがって外側コンタクト136は、キャビティインサート138に対して軸方向に動かないようになっている。キャビティインサート138は、外側ハウジング110に係合して、コンタクトアセンブリ130をハウジング110の空洞106内で固定の軸方向位置に保持するように構成されたアダプタである。たとえば、キャビティインサート138は、キャビティインサート138の外周に沿って円周方向に延びる少なくとも1つのフランジ186を含むことができる。フランジ186は、空洞106内で外側ハウジング110に係合してコンタクトアセンブリ130の軸方向位置を固定するように構成される。
【0024】
フェルール140は、ケーブル116を覆って外側コンタクト136の終端部152に圧着するように構成される。フェルール140は、外側コンタクト136に対するケーブル編組174の電気的終端およびケーブル116に対する張力緩和を提供する。例示的な実施形態では、フェルール140は、ケーブル116のケーブル編組174とケーブルジャケット176との両方に圧着するように構成される。
【0025】
メス外側ハウジング110は、前端128と後端129との間に延びる。外側ハウジング110は、略箱形の外側プロファイルを有する。外側ハウジング110の空洞106は、外側ハウジング110を通って前端128と後端129との間に延びる略円筒形の孔とすることができる。空洞106は、空洞106内でキャビティインサート138に係合してそれを固定するように形成された段、肩部、および/またはチャネルを有することができる。外側ハウジング110は、任意選択で、ハウジング110の側壁184内の開口を通って延びる保持クリップ182を受け取るように構成される。保持クリップ182は、コンタクトアセンブリ130がハウジング110に装入された後、ハウジング110に装入されて、コンタクトアセンブリ130をハウジング110に固定するように構成される。たとえば、保持クリップ182は、キャビティインサート138の1つまたは複数のフランジ186に係合して、空洞106内でコンタクトアセンブリ130の軸方向位置を固定することができる。
【0026】
図2ではメスコネクタ104について図示および説明するが、オスコネクタ102(
図1に示す)も、メスコネクタ104の構成要素に類似および/または同一の構成要素を有することができる。たとえば、オスコネクタ102は、オスハウジング108(
図1に示す)内に受け取られたコンタクトアセンブリを含むことができる。オスコネクタ102のコンタクトアセンブリは、
図2に説明するコンタクトアセンブリ130の構成要素に少なくとも類似している中央コンタクト、誘電体、外側コンタクト、およびキャビティインサートを含むことができる。たとえば、オスコネクタ102の外側コンタクトは、以下に図示および説明するメスコネクタ104の外側コンタクト136に類似のものとすることができる。
【0027】
図3は、
図1に示す線3−3に沿った組み立てられたメスコネクタ104の後部の断面図である。ケーブル編組174の端部部分175は、外側コンタクト136の終端部152の上に延びて終端部152を取り囲む。ケーブル編組174の内面194は、終端部152の外面192に沿ってクロスハッチパターン190に係合する。ケーブル編組174は、ケーブル編組174を外側コンタクト136に固定するために、フェルール140を介して終端部152の周りに圧着される。たとえば、フェルール140は、ケーブル編組174の端部部分175の外周に延び、ケーブル編組174の外面196に係合する。したがって、ケーブル編組174の端部部分175は、径方向に終端部152とフェルール140との間に挟まれる。図示の実施形態では、フェルール140は、ケーブル編組174に係合する編組部198と、ケーブルジャケット176の周りに延びて係合するジャケット部199とを含む。
【0028】
本明細書により詳細に図示および説明するように、終端部152のクロスハッチパターン190は、ケーブル編組174に対して強化された把持力を提供することができ、それによってケーブル116がハウジング110から引き離されるのを防止するためにコネクタ104が提供することが可能な保持力の大きさが増大する。たとえば、フェルール140をケーブル編組174の周りに圧着することで、クロスハッチパターン190の突起が編組174の内面194に食い込むことができる。クロスハッチパターン190は、既知の円周方向の刻み目に比べて、終端部152の外面192と編組174の内面194との間の接触表面積を増大させることができ、それによって摩擦および保持力が増大する。
【0029】
一実施形態では、キャビティインサート138は、外側コンタクト136の一部分を取り囲み、ハウジング110に係合して、ハウジング110の空洞106内でコンタクトアセンブリ130(
図2に示す)を固定する。たとえば、キャビティインサート138は、空洞106内でキャビティインサート138を固定するために、空洞106内で保持クリップ182(
図2に示す)および/またはハウジング110の1つもしくは複数の肩部に係合することができる。
【0030】
図4は、一実施形態によるメスコネクタ104の外側コンタクト136の一部分の斜視図である。図示の部分は、終端部152を含む。外側コンタクト136は、終端部152を含めて、長手方向軸210に沿って延びる。長手方向軸210は、メスコネクタ104が組み立てられたとき、嵌合軸112(
図1に示す)に対して平行に延びる。一実施形態では、クロスハッチパターン190は、外面192に沿って画定された複数のチャネル211を含む。チャネル211は、溝212および交差溝214を含む。交差溝214は溝212に交差し、終端部152の外面192に沿って複数の隆起パネル220を画定する。図示の実施形態では、隆起パネル220は、2つの隣接する溝212間およびこれら2つの溝212に交差する2つの隣接する交差溝214間に画定される。他の実施形態では、隆起パネル220は、たとえば、4つのチャネル211間ではなく、3つまたは5つの交差チャネル211間に画定することもできる。
【0031】
図示の実施形態では、溝212は、互いに対して平行である。溝212はまた、長手方向軸210に対して斜めに延び、したがって溝212は、長手方向軸210に対して平行でも垂直でもない。同様に、交差溝214も互いに対して平行であり、長手方向軸210に対して斜めに延びる。代替実施形態では、溝212は、長手方向軸210に対して平行または垂直に延びることができ、交差溝214は、長手方向軸210および溝212に対して斜めの角度のままである。チャネル211は、終端部152の周りに螺旋状に延び、それによってチャネル211はそれぞれ、終端部152の円周の少なくとも一部分を取り巻く。一実施形態では、溝212は、長手方向軸210に対して第1の螺旋角216を有し、交差溝214は、長手方向軸210に対して第2の螺旋角218を有する。一実施形態では、第1の螺旋角216および第2の螺旋角218はどちらも、60度以下である。たとえば、第1の螺旋角216および第2の螺旋角218はそれぞれ、45度以下とすることができる。図示の実施形態では、螺旋角216、218は、45度未満である。螺旋角が比較的小さいことにより、溝212または交差溝214はどちらも、個々に終端部152の全周には延びない。チャネル211は、外側コンタクト136の後端146と、終端部152および中間部156間の肩部222との間の終端部152の長さより長いそれぞれのピッチを有する。本明細書では、ピッチとは、画定された螺旋角で螺旋チャネルが終端部152の周りに完全なループを完成させる長手方向の距離を指す。螺旋角が小さいことにより、隆起パネル220は、長手方向に概して細長い。代替実施形態では、溝212の螺旋角216および/または交差溝214の螺旋角218は、60度より大きくまたは少なくとも45度より大きくすることができる。
【0032】
図示の実施形態では、終端部152に沿って位置する第1の丸め縁部164は、第2の丸め縁部165から隔置されて、継ぎ目160に沿って間隙224を画定する。間隙224は、終端部152の長さに沿って外側コンタクト136の後端146まで、蛇行する経路または曲がりくねった経路に沿って延びることができる。一実施形態では、フェルール140(
図3に示す)を介して終端部152の周りにケーブル編組174(
図3)を固定する圧着操作中、終端部152にかかる圧縮力が間隙224の幅を低減させる。間隙224の蛇行する経路は、圧着操作中に間隙224が狭くなるにつれて、ケーブル編組174(または別のコネクタ構成要素もしくはケーブル構成要素)の一部分が第1の丸め縁部164と第2の丸め縁部165との間に挟まれる可能性を低減させることができる。間隙224はまた、コンタクトアセンブリ130(
図3に示す)とケーブル116(
図3)との間のインピーダンス整合を支持することができる。
図5に示すように、クロスハッチパターン190は、第1の丸め縁部164および第2の丸め縁部165の両方に延びる。クロスハッチパターン190は、丸め縁部164、165間で外側コンタクト136の終端部152の全周に延びることができる。一実施形態では、クロスハッチパターン190は、終端部152の外面192全体に沿って画定され、外面192全体を覆う。別法として、クロスハッチパターン190は、外面192の表面積のすべてではないが大部分に沿って画定される。
【0033】
図5は、
図4に示す終端部152の一部分の拡大斜視図である。
図6は、
図4に示す線6−6に沿った終端部152の一部分の断面図である。隆起パネル220は、それぞれの対応するパネル220を取り囲むチャネル211によって画定された形状を有する。隆起パネル220は、パターンで配置された材料の島である。各パネル220は、パネル220の底辺230から頂上232まで径方向外方に延びる。底辺230は、パネル220を画定する対応するチャネル211の最低点236または最深点に位置する。パネル220は、平行六面体構造を有する。たとえば、各パネル220は、それぞれ底辺230と頂上232との間に延びる少なくとも3つの側壁234を含む。図示の実施形態では、パネル220は、4つの側壁234を有する。各パネル220の側壁234は、パネル220が底辺230から頂上232へ先細りするように、互いに対して角度が付けられている。たとえば、側壁234は、(底辺230に対して頂上232の方へ高さが増大するとともに)少なくとも部分的に互いの方へ延びるように傾斜している。隆起パネル220の頂上232は、上壁または点によって画定することができる。図示の実施形態では、頂上232は、略平面の上壁である。パネル220は先細りしているため、各パネル220の上壁232の形状は、そのパネル220の底辺230に類似しているが、上壁232の表面積は、底辺230の底面積より小さい。代替実施形態では、パネル220は1点に先細りすることができ、それによってパネル220は角錐に類似する。
【0034】
側壁234は、チャネル211の形状によって画定される。図示の実施形態では、溝212および交差溝214は、V字状の断面を有する。一実施形態では、溝212は、交差溝214と同じ寸法を有する。図示の実施形態では、側壁234は平面であるが、他の実施形態では、凸曲面または凹曲面を有することもできる。
【0035】
図示の実施形態では、各隆起パネル220は、2つの隣接する溝212間およびこれら2つの溝212に交差する2つの隣接する交差溝214間に画定されたダイヤモンドの形状を有する。4つの側壁234はそれぞれ、溝212および交差溝214のうちの異なるものによって画定される。パネル220は、ダイヤモンド形の頂上232がダイヤモンド形の底辺230より小さくなるように先細りする。一実施形態では、隆起パネル220はすべて、互いに同じ形状および同じサイズを有する。
【0036】
図7は、一実施形態による電気コネクタを組み立てる方法700の流れ図である。方法700は、メスコネクタ104またはオスコネクタ102(どちらも
図1に示す)を組み立てるために実行することができる。たとえば、方法700に記載する構成要素は、
図2〜6に示すメスコネクタ104の構成要素と同じまたは類似のものとすることができる。702で、外側コンタクトが形成される。外側コンタクトは、平坦な金属ワークピースを略円筒形の形状に丸めることによって形成される。外側コンタクトの終端部は、その外面に沿ってクロスハッチパターンを有する。クロスハッチパターンは、互いに対して平行に延びる複数の溝と、互いに対して平行に延びる複数の交差溝とを含む。交差溝は溝に交差し、外面に沿って複数の隆起パネルを画定する。
【0037】
図8を次に参照すると、
図8は、一実施形態による外側コンタクトの形成で使用される平板状ワークピース400の一部分の上面斜視図を示す。ワークピース400は、支持ベース404に配置される。一実施形態では、クロスハッチパターンは、その作業面に沿って平行な隆起部を含むハッチングツールに外側コンタクトの外面を接触させることによって、外側コンタクトに形成される。図示の実施形態では、ハッチングツールは、平板状ワークピース400に押圧されて溝および交差溝を画定するように構成された型押しツール402(破線で示す)である。たとえば、型押しツール402の平行な隆起部(図示せず)が、第1の接触(又は押圧)操作中に溝を形成することができる。接触操作中、型押しツール402は、接触軌道408に沿って動き、支持ベース404に位置するワークピース400に当たり、押圧し、かつ/または穿孔する。その後、型押しツール402を回転させることができ、それによって作業面はワークピースに対して回転し、第1の接触操作中に溝を形成したのと同じ平行な隆起部が、第2の接触操作中に交差溝を形成することができる。別法として、第1の接触操作と第2の接触操作との間に、ワークピース400または支持ベース404を型押しツール402に対して回転させることもできる。代替実施形態では、型押しツール402は、溝を形成する隆起部と交差溝を形成する別個の隆起部との両方を含むことができ、したがってワークピース400にクロスハッチパターンを画定するのに必要とされるのは1回の接触操作だけになる。別の実施形態では、ハッチングツールは、ホイールに隆起部を有するローラとすることができ、クロスハッチパターンは、ワークピース400上でホイールを転がすことによって形成される。
【0038】
図8に示す図示の実施形態では、平板状ワークピース400にクロスハッチパターンを形成した後、ワークピース400を丸めて略円筒形の形状にし、形成された外側コンタクト(たとえば、
図2および
図3に示す)を画定する。図示されていない代替実施形態では、平板状ワークピースを丸めて外側コンタクトの円筒形の形状にしてから、ワークピースをハッチングツールに接触させることによってクロスハッチパターンを形成することもできる。たとえば、円筒形の外側コンタクトは比較的曲げやすいため、少なくとも終端部に沿って棒などの支持部材を外側コンタクトのチャンバに挿入してから、外側コンタクトの外面をハッチングツールに接触させることができる。次いで、ハッチングツールは終端部に接触し、クロスハッチパターンを画定することができ、支持部材は、クロスハッチパターンの形成プロセス中、終端部の内面に係合して、外側コンタクトの略円筒形の形状を維持することができる。
【0039】
704で、コンタクトアセンブリが組み立てられる。コンタクトアセンブリは、中央コンタクトおよび誘電体を外側コンタクトのチャンバに挿入することによって、少なくとも部分的に組み立てられる。誘電体は、中央コンタクトおよび外側コンタクトを互いに電気的に絶縁するように、径方向に中央コンタクトと外側コンタクトとの間に配置される。706で、外側コンタクトにケーブルが位置決めされる。より具体的には、ケーブルの導電層が外側コンタクトの終端部の周りに、終端部を取り囲むように装入される。導電層は、導電編組とすることができる。708で、外側コンタクトにケーブルが圧着される。たとえば、圧着操作中、ケーブルの導電層および外側コンタクトの終端部(導電層内)の周りに、フェルールが圧着される。圧着操作は、外側コンタクトをケーブルに固定して電気的に接続する。
【0040】
本明細書に記載のケーブル取付け電気コネクタは、コネクタの外側コンタクトと、外側コンタクトに終端するケーブルの導電層との間に、強化された把持力を提供するように構成される。強化された把持力により、電気コネクタは、少なくとも120Nなど、ケーブルをコネクタから引き離す所望の引っ張り力に耐えることが可能になる。外側コンタクトは、打ち抜いて形成することができ、それにより本明細書に記載のケーブル取付け電気コネクタは、ダイキャスト製の外側コンタクトを有する既知のコネクタに比べて、より軽く、より小さく、かつ/またはより安価に形成することが可能である。
【0041】
上記の説明は、限定ではなく例示を意図するものであることを理解されたい。たとえば、前述の実施形態(および/またはそれらの態様)は、互いに組み合わせて使用することができる。加えて、特定の状況または材料を本発明の教示に適合させるために、本発明の範囲から逸脱することなく、多くの修正を加えることができる。本明細書に記載の寸法、材料のタイプ、様々な構成要素の向き、ならびに様々な構成要素の数および位置は、特定の実施形態のパラメータを定義することを意図するものであり、何ら限定的ではなく、単に例示的な実施形態である。特許請求の範囲の精神および範囲内の多くの他の実施形態および修正形態は、上記の説明を読めば当業者には明らかであろう。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲に与えられる完全な均等物の範囲とともに決定されるべきである。