(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る排気熱回収装置100について説明する。
【0010】
まず、
図1から
図4を参照して、排気熱回収装置100の全体構成について説明する。
【0011】
図1は、排気熱回収装置100の正面側の斜視図である。
図2は、
図1に示す排気熱回収装置100の上面図である。
図3は、
図1に示す排気熱回収装置100の背面側の斜視図である。
図4は、
図1に示す排気熱回収装置100の底面側の斜視図である。
図1から
図4では、第1流路部材1内の排気ガスの流れを矢印Aで示す。
【0012】
図1から
図4に示すように、排気熱回収装置100は、第1流路部材1と、第2流路部材2と、熱交換部3と、駆動部としてのアクチュエータ5と、ブラケット6と、を備える。なお、詳細は後述するが、排気熱回収装置100は、バルブ機構4も備える。
【0013】
図1から
図4に示すように、第1流路部材1は、本体部11と、第1流入口12と、第1流出口13と、を有する。
【0014】
図1に示すように、本体部11は、略直方体に形成される。本体部11は、一端に第1流入口12が開口し、他端に第1流出口13が開口する。
【0015】
第1流入口12は、エンジンの排気流路の上流側と接続される(図示省略)。また、第1流出口13は、エンジンの排気流路の下流側と接続される(図示省略)。また、詳細は後述するが、本体部11は、内部を排気ガスが通過可能な中空構造となっている。これらによって、
図1から
図4に矢印Aで示すように、エンジンの排気流路から流れる排気ガスは、第1流入口12から本体部11内へ流入し、第1流出口13から排気流路の下流側(本体部11の外部)へ流出することが可能となる。
【0016】
図1から
図4に示すように、第2流路部材2は、第1流路部材1と接続される構造に形成される。第2流路部材2は、第1流路部材1に隣接して設けられる。第2流路部材2は、熱交換部3を有する。詳細は後述するが、第2流路部材2は、内部を排気ガスが通過可能な中空構造となっている。また、第2流路部材2の中空構造は、第1流路部材1の中空構造と連結されており、第1流路部材1内に流入した排気ガスが第2流路部材2内に流入可能となっている。
【0017】
図1及び
図3に示すように、熱交換部3は、本体部21の外周の一部を構成する。熱交換部3は、内部に冷媒としての冷却水が流通するが、冷媒としては冷却水以外の熱交換に適した液体または気体等の媒体でもよい。熱交換部3は、第2流路部材2内を排気ガスが通過する場合には、当該排気ガスと熱交換部3内の冷却水との間で熱交換を行う。熱交換部3の構成の詳細は、後述する。
【0018】
図3に示すように、アクチュエータ5は、本体部52が傾斜して第2流路部材2及び熱交換部3の外周側の一部と重なる位置に設けられる。また、アクチュエータ5は、第1流路部材1にむけて延設される駆動軸51を有する(
図8参照)。
【0019】
図4に示すように、ブラケット6は、第2流路部材2及び熱交換部3の底面側の位置に設けられる。
【0020】
次に、
図1から
図4と併せて
図5から
図8を参照して、上記で説明した排気熱回収装置100の構成の詳細と、排気熱回収装置100が備えるバルブ機構4について説明する。
【0021】
図5は、
図4において、第1流路部材1に設けられる軸受15について説明するための図である。
図5では、第1流路部材1内の排気ガスの流れを矢印Aで示す。
図6は、
図1に示す排気熱回収装置100の分解斜視図である。
図7は、
図2のVII−VII断面の概要図である。
図8は、
図1に示す排気熱回収装置100を底面側から見た図であって、バルブ機構4及びアクチュエータ5を説明するための図である。
図8では、第1流路部材1内の排気ガスの流れを矢印Aで示す。
【0022】
まず、第1流路部材1及び第2流路部材2の構成の詳細について説明する。
【0023】
図7に示すように、第1流路部材1は、中空構造であり、内部に第1流路14が形成される。
【0024】
図7に示すように、第2流路部材2は、本体部21と、第2流入口22と、第2流出口23と、を有する。本体部21は、中空構造であり、内部に第2流路24が形成される。
本体部21は、一端側に第2流入口22が開口し、他端側に第2流出口23が開口する。なお、第2流入口22及び第2流出口23の開口位置は、排気熱回収装置100の設計に応じて適宜変更されるものであり、
図7に示す位置に限定されるものではない。
【0025】
図7に示すように、第2流入口22は、第1流路部材1と第1流入口12側で接続される。第2流出口23は、第1流路部材1と第1流出口13側で接続される。これにより、第1流路14と第2流路24とが連通する。すなわち、第1流入口12から本体部11の内部へ流入した排気ガスは、第2流入口22から本体部21内へ流入可能となる。また、第2流入口22から本体部21内に流入した排気ガスは、第2流出口23から本体部11へ流出可能となる。
【0026】
上記構成を言い換えれば、第2流路24は、第1流路14の一部(第2流入口22及び第2流出口23の区間)を迂回する構成とも言える。
【0027】
図7に示すように、第2流入口22及び第2流出口23は、浸水ラインWよりも高い位置で、第1流路部材1と接続される。ここで、浸水ラインWとは、排気熱回収装置100が水に浸かった場合に、排気熱回収装置100内部(第1流路14内)に水が流入しない水面の高さの上限を示すラインである。ここでは、第1流入口12及び第1流出口13の高さは同じであるため、浸水ラインWは、第1流入口12及び第1流出口13の下端に位置する。水面の高さが第1流入口12及び第1流出口13の下端を超えれば、水は第1流入口12及び第1流出口13から排気熱回収装置100内部の第1流路14へ流入するためである。
【0028】
第2流入口22及び第2流出口23を浸水ラインWよりも高い位置にすることで、仮に第1流路部材1の内部(第1流路14内)が浸水した場合であっても、第2流路24への水の侵入を防ぐことができる。すなわち、第2流路24内に水が侵入することによる第2流路24内の排気ガス―熱交換部3内の冷却水間の熱回収効率の低下を防ぐことができる。
【0029】
図7に示すように、第2流路部材2は、第1流路部材1に対して傾斜して配置される。詳細には、第2流路部材2は、第1流入口12から第1流出口13に向かって流れる第1流路14内の排気ガスの流れ方向に対して傾斜して配置される。さらに詳細には、第2流路部材2は、第1流路14内の排気ガスの流れ方向の上流側(第1流入口12側)から下流側(第1流出口13側)に向かって第1流路14から上方向に離れるように傾斜して配置される。
【0030】
図5に示すように、第2流路部材2が第1流路部材1に沿って第1流路部材1と隙間なく一体に接合され、かつ、第1流路14内の排気ガスの流れ方向に対して傾斜して配置されることで、アクチュエータ5の駆動軸51方向から見て(アクチュエータ5の駆動軸51の軸方向視にて)第2流路部材2の側方にあたる領域に領域S(
図5では、2点鎖線で示される領域)が形成される。当該領域Sには、後述するバルブ機構4の回転軸部43を支持するための軸受15が設けられる。
【0031】
上記の領域Sは、排気熱回収装置100をアクチュエータ5の駆動軸51の延伸方向から見た場合に、第2流路部材2の下側縁部2aと、第1流路部材1の下側縁部1aと、第1流路部材1内の排気ガスの流れ方向の下流側端部1bと、で囲まれる領域であるとも言える(
図5参照)。
【0032】
下側縁部2aは、第2流路部材2の底面2bの縁を含む部分である。すなわち、下側縁2a部は、第2流路部材2の底面2bであるとも言える(
図5参照)。
【0033】
下側縁部1aは、第1流路部材1の底面1cの縁を含む部分である。すなわち、下側縁部1aは、第1流路部材1の底面1cであるとも言える(
図5参照)。
【0034】
また、下流側端部1bは、第1流路部材1の排気ガス流れ方向の下流側の側面1dの縁を含む部分である。すなわち、下流側端部1bは、第1流路部材1の排気ガス流れ方向の下流側の側面1dであるとも言える(
図5参照)。
【0035】
すなわち、各々の面を含む3つの平面(第2流路部材2の底面2b、第1流路部材1の底面1c、第1流路部材1の排気ガス流れ方向の下流側の側面1d)で囲まれた領域が、領域Sとなる。また、領域Sは、第2流路部材2の底面2bと第1流路部材1の側面1eとに囲まれた領域とも言える(
図5参照)。
【0036】
また、上記の領域Sは、言い換えれば、第1流路部材1の外周の第2流路部材2側のうち第2流路部材2と隣接しない領域であるとも言える。また、
図5の方向から見ると、領域Sに配置される軸受15は、紙面上下方向において第2流路部材2と並んで配置されているとも言える(
図5参照)。なお、軸受15の位置は、排気熱回収装置100の大きさに応じて、領域S内で適宜変更可能である。
【0037】
続いて、第2流路部材2に組み込まれた熱交換部3の構成の詳細について説明する。
【0038】
図1から
図3、
図5、及び
図7に示すように、熱交換部3は、冷媒流入部31と、熱交換器本体部32と、冷媒流出部33と、を有する。
図7に示すように、熱交換部3は、浸水ラインWよりも高い位置に設けられている。
【0039】
すなわち、熱交換部3は、排気熱回収装置100が浸水して第1流路14内に水が浸入した場合であっても、水面が到達しない位置に設けられる。これにより、熱交換部3が浸水することを防ぐことができる。したがって、熱交換部3の浸水による第2流路24内の排気ガス―熱交換部3内の冷却水間の熱回収効率の低下を防ぐことができる。
【0040】
冷媒流入部31は、エンジンを冷却する前の冷却水が流れる流路(図示省略)と熱交換器本体部32の内部とを繋ぐ中空管形状の部位である。冷媒流入部31は、上記流路から供給される冷媒としての冷却水を熱交換器本体部32の内部へ流入させる。
【0041】
図3に示すように、熱交換器本体部32は、本体部21の外周の一部を構成する。熱交換器本体部32の内部には、冷媒流入部31から流入した冷却水が流通している。
【0042】
冷媒流出部33は、熱交換器本体部32の内部とエンジンへ冷却水を供給する流路(図示省略)とを繋ぐ中空菅形状の部位である。冷媒流入部31は、熱交換器本体部32の内部を流れた冷却水を、上記流路へ流出させる。
【0043】
上記の構成の熱交換部3は、第2流路部材2の本体部21のうち熱交換器本体部32に取り囲まれた部位内(第2流路24のうち熱交換器本体部32に取り囲まれた部位)を排気ガスが流れる際には、当該排気ガスと熱交換器本体部32の内部を流れる冷却水との間で熱交換を行い、排気ガスの熱を冷却水へ移動させて回収する。
【0044】
ここで、第2流路24へ排気ガスを流入させる第2流入口22、及び第2流路24から排気ガスを流出させる第2流出口23は、浸水ラインWよりも高い位置に設けられる(
図7参照)。これによれば、熱交換部3が浸水することを防ぐことができる。したがって、熱交換部3が浸水することによって第2流路24内の排気ガスの流れが邪魔されることが防げる。これにより、排気ガスと熱交換部3内の冷却水との間の熱回収効率の低下を防ぐことができる。
【0045】
続いて、バルブ機構4について説明する。
【0046】
図6から
図8に示すように、排気熱回収装置100は、バルブ機構4を備える。バルブ機構4は、バタフライバルブ41と、シャッタ部42と、を有する。バタフライバルブ41は、回転軸部43と、弁体44と、を有する。
図6に示すように、バルブ機構4は、分割された第1流路部材構成部品1A,1Bを組み合わせる際に、第1流路部材1内に組み込まれる。
【0047】
図8に示すように、バルブ機構4は、回転軸部43の一端(先端部)43aが軸受15によって支持される。これにより、バルブ機構4は、第1流路14内で回転可能に支持される。
【0048】
図8に示すように、回転軸部43の一端43a側は、第1流路部材1の外側(
図5の領域Sにあたる)に突出している。回転軸部43の一端43aは、カップリング50を介して、後述するアクチュエータ5の駆動軸51と連結される。具体的には、回転軸部43は軸受15に挿入され、当該回転軸部43の一端43aが軸受15の先端から突出する。軸受15とカップリング50との間に回転軸43の一端43aを取り囲むようにバネが組み込まれ、当該バネの弾性力を使ってカップリング50を押し上げるようになっている。これにより、カップリング50が有する挿入孔に駆動軸51の先端部にある爪が挿入され、カップリング50はバネの反発力を受けた状態で、駆動軸51と連結される。すなわち、カップリング50の機構を通じて回転軸部43は、駆動軸51と回転可能に連結される。また、回転軸部43の一端43aと駆動軸51とがカップリング50を介して連結する位置は、例えば本実施形態では、領域S内である(
図5参照)。また、回転軸43の根元部に軸受15との間の全周には、ガス等の漏れを防止するためのシール部材が設けられている。
【0049】
これによれば、回転軸部43全体が第1流路部材1内に配置される場合と比べて、本実施形態の回転軸部43では、領域Sにおいて駆動軸51との接続が行われる構造のため、第1流路14内を流れる排気ガスの熱の影響を受ける範囲が小さくなる。これにより、排気ガスの熱による回転軸部43(または駆動軸51)への影響を低減させることができる。したがって、排気熱回収装置100の耐久性を向上させることができる。
【0050】
図6及び
図8に示すように、回転軸部43の他端43b側には、バタフライバルブ41の弁体44が設けられる。バタフライバルブ41の弁体44は、第1流路14を閉塞可能な長さ及び幅に形成される板状の部位である。弁体44は、回転軸部43とともに回転移動し、移動位置に応じて第1流路14を開閉させる。
【0051】
図6及び
図7に示すように、弁体44の一端44a側には、シャッタ部42が設けられる。
【0052】
シャッタ部42は、第2流出口23を閉塞可能な形状に形成される部位である。本実施形態では、シャッタ部42は、第2流出口23を閉塞可能な長さ及び幅に形成されるシャッタ本体部42aと、シャッタ本体部42aと弁体44の一端44a側とを連結してシャッタ本体部42aを支持する連結部42bと、を有する。
図6に示すように、本実施形態では、シャッタ本体部42aは、2個の連結部42bにより支持される。なお、連結部42bの数は、シャッタ本体部42aを支持可能であれば、
図6に示す数に限られない。例えば、連結部42bは、1個でもよく、3個以上であってもよい。
【0053】
シャッタ部42は、弁体44の回転とともに回転移動し、移動位置に応じて第2流出口23を開閉させる。すなわち、バルブ機構4は、回転軸部43のみを回転させることで、バタフライバルブ41の弁体44及びシャッタ部42を同時に移動させ、第1流路14及び第2流出口23を開閉することができる。これによれば、バタフライバルブ41(弁体44)とシャッタ部42とをそれぞれ別の機構で回転移動させる場合よりも、部品点数を少なくすることができる。また、非熱回収時(バルブ機構4が
図9に示す位置の状態を指す。詳細については後述する。)に第2流路24を開くことがなく第2流路24への排気ガスの流入を防ぐことができるため、排気熱回収装置100の非熱回収時の性能を向上させることができる。
【0054】
ところで、バルブ機構4の回転軸部43を支持する軸受15は、第1流路部材1に隣接して設けられ、かつ、第1流路14内の排気ガスの流れ方向に対して傾斜して配置されることで、アクチュエータ5の駆動軸51方向から見て第2流路部材2の側方に形成される領域Sに設けられる(
図5参照)。すなわち、回転軸部43も、当該領域S内の位置に配置されることになる。当該領域Sは、第2流路部材2を第1流路14内の排気ガスの流れ方向に対して傾斜して配置することで形成される。すなわち、当該領域Sに回転軸部43を配置することで、第2流路部材2が傾斜して配置されない場合と比べて、回転軸部43(バルブ機構4)を第1流路14内の排気ガスの流れ方向の上流側に配置することができる。これにより、排気熱回収装置100全体を、第1流路14内の排気ガスの流れ方向においてコンパクトにすることができる。
【0055】
また、
図8に示すように、回転軸部43は、一端43a側のみが軸受15に支持される。すなわち、回転軸部43は片持ち構造である。ここで、軸受15に支持される回転軸部43の一端43a側は、片持ち構造により支持されるように長めに設けられる(
図6参照)。
【0056】
これによれば、回転軸部43を一端43a側で支持するとともに他端43b側にも軸受構造を設けて支持する場合(すなわち、片持ち構造ではなく、回転軸部43を2点で支持する場合)と比べて、本実施形態の回転軸部43では第1流路14内を流れる排気ガスの熱の影響を受ける範囲が小さくなる。これにより、排気ガスの熱によるバルブ機構4(回転軸部43)や軸受15への影響を低減させることができる。したがって、排気熱回収装置100の耐久性を向上させることができる。
【0057】
続いてアクチュエータ5の構成の詳細を説明する。
図2から
図4、
図6、及び
図8に示すように、アクチュエータ5は、駆動軸51と、本体部52と、コネクタ53と、を有する。
【0058】
図8に示すように、駆動軸51は、第1流路部材1の側面1eに向けて延設される。駆動軸51は、カップリング50を介して、回転軸部43の一端43aと領域Sで連結(接続)される(
図5及び
図8参照)。詳細には、駆動軸51は、領域Sにおいて、第1流路部材1の外側に突出した回転軸部43の一端43aに接続される。
【0059】
本体部52は、駆動軸51を回転駆動する機構を有する。コネクタ53は、電力供給部(図示省略)と電線によって連結される。本体部52は、コネクタ53を介して電力供給部から供給される電力と制御部(図示省略)の制御とに応じて駆動軸51を回転駆動する。
【0060】
駆動軸51が回転すると、駆動軸51と連結する回転軸部43が回転する。回転軸部43の回転に応じて、バルブ機構4のバタフライバルブ41及びシャッタ部42は回転移動される。
【0061】
図3に示すように、本体部52は、第1流路部材1との間に第2流路部材2を挟んで配置される。また、本体部52は、第2流路部材2に組み込まれた熱交換器本体部32の外装(ハウジング)にその一部が固定され、そのほかの固定はブラケット6に対して行われる。すなわち、本体部52は、少なくとも第1流路14から離れた位置に配置される。そのため、本体部52は、上記位置に設けられることで、第1流路14内を流れる排気ガスの熱の影響を受けづらくなる。これにより、アクチュエータ5の耐久性を向上させることができる。また、本実施形態では、アクチュエータ5を熱交換器本体部32に対応する位置に設けることで、第2流路部材2を流れる排気ガスの熱の影響も防ぐことができる。なお、熱交換器本体部32だけにアクチュエータ5を固定するようにしてもよい。
【0062】
なお、本体部52を領域S内に収まる大きさとする場合には、本体部52を領域S内に配置してもよい。この場合には、排気熱回収装置100を、第1流路14内の排気ガスの流れ方向(長手方向)と直交する方向(短手方向)にコンパクトにすることができる。ここで、領域S内に本体部52を配置する場合には、少なくとも第1流路部材1と本体部52との間に断熱材または空間を設けることが望ましい。また、この場合でも、本体部52は、第2流路部材2における熱交換部3に対応する位置に固定されることが望ましい。本体部52が、第1流路部材1内及び第2流路部材2内を流れる排気ガスの熱の影響を受けないようにするためである。
【0063】
また、アクチュエータ5(本体部52)は、傾斜して配置される(
図3及び
図4参照)。詳細には、アクチュエータ5(本体部52)は、第1流路部材1に沿って、第1流路14内の排気ガスの流れ方向(
図3及び
図4の矢印A)に対して傾斜して配置される。
【0064】
上記配置によって、本体部52の一部は、第2流路部材2の第2流出口23側及び熱交換部3の外周面と隣接する(
図3及び
図4参照)。
【0065】
ここで、第2流路部材2の第2流出口23側部分内を流れる排気ガスは、既に熱交換部3によって熱回収がされた後であるため温度が低い。そのため、第2流路部材2の第2流出口23側部分の外周面の温度も低くなる。また、熱交換部3の外周面の温度も、熱回収によって低くなる。
【0066】
そのため、本体部52は、上記位置に設けられることで、第2流路24内を流れる排気ガスの熱による影響が抑えられる。これにより、アクチュエータ5の耐久性を向上させることができる。したがって、排気熱回収装置100の耐久性を向上させることができる。
【0067】
また、
図3及び
図4に示すように、コネクタ53も傾斜して設けられる。これにより、コネクタ53は、内部に水が入ってきたとしても、当該水を外部へ排出することができる。すなわち、コネクタ53に水が溜まらないようにできる。
【0068】
ところで、バルブ機構4の回転軸部43を支持する軸受15は、第1流路部材1に隣接して設けられ、かつ、第1流路14内の排気ガスの流れ方向に対して傾斜して配置されることで、アクチュエータ5の駆動軸51方向から見て第2流路部材2の側方に形成される領域Sに設けられる(
図5参照)。すなわち、回転軸部43に接続される駆動軸51も当該領域Sに配置される(
図5及び
図8参照)。当該領域Sは、第2流路部材2を第1流路14内の排気ガスの流れ方向に対して傾斜して配置することで生ずるものである。すなわち、当該領域Sに駆動軸51を配置する(領域Sにおいて駆動軸51が回転軸部43に接続される)ことで、第2流路部材2が傾斜して配置されない場合と比べて、駆動軸51及びアクチュエータ5全体を第1流路14内の排気ガスの流れ方向の上流側に配置することができる。これにより、第1流路14内の排気ガスの流れ方向(長手方向)においてコンパクトにすることができる。
【0069】
これまで述べたように、排気熱回収装置100は、第2流路部材2が第1流路部材1に対して傾斜して配置されることで形成される領域Sにて駆動軸51が第1流路部材1に向けて延設されて回転軸部43に接続される構成であるとともに、アクチュエータ5が第1流路部材1との間に第2流路部材2を挟んで配置される構成をとる。上記2つの構成をとることで、排気熱回収装置100は、第1流路14内の排気ガスの流れ方向(長手方向)においてコンパクトになるとともに、排気ガスの熱によるアクチュエータ5への影響を抑制してアクチュエータ5の耐久性(ひいては排気熱回収装置100の耐久性)を向上させることができる。
【0070】
続いて、ブラケット6について説明する。
【0071】
図4及び
図6に示すように、排気熱回収装置100は、駆動軸51,軸受15,及び回転軸部43の外側を包囲するブラケット6をさらに備える。ブラケット6を備えることで、駆動軸51,軸受15,及び回転軸部43を、飛び石などといった飛散してくる物体から保護することができる。本実施形態では、ブラケット6は、第1流路部材1に設けられる(
図4及び
図6参照)。ブラケット6は、第2流路部材2に設けてもよい。
【0072】
次に、
図9から
図12を参照して、上記構成の排気熱回収装置100による熱回収について、説明する。
【0073】
図9は、
図7において、排気ガスが第1流路14を流れる場合の概要図である。
図10は、
図7において、排気ガスが第2流路24を流れる場合の概要図である。
図11は、
図2のXI−XI断面の概要図であって、排気ガスが第1流路14を流れる場合の概要図である。
図12は、
図11において、排気ガスが第2流路24を流れる場合の概要図である。
【0074】
まず、
図9及び
図11を参照して、排気ガスからの熱回収が不要である場合としての非熱回収時(例えば、エンジンの暖機が不要である場合)について説明する。当該場合には、制御部は、駆動軸51を回転駆動して回転軸部43を回転させることで、バルブ機構4の弁体44及びシャッタ部42を
図9に示す位置に切り換える。よって、バルブ機構4は、バタフライバルブ41の弁体44が第1流路14を開放し、シャッタ部42が第2流出口23を閉塞するように切り換わる。
【0075】
図9に示すように、第1流路14が開放されるとともに第2流出口23が閉塞されることで、排気流路から流れる排気ガスは、矢印Aで示すように第1流入口12から本体部11の内部を通過して第1流出口13から排気流路の下流側(本体部11の外部)へ流出する。また、第2流出口23が閉塞されることで、
図11に示すように排気ガスは本体部21内(第2流路24内)を流れない。そのため、排気ガスと熱交換部3を流通する冷却水との間での熱交換は行われない。すなわち、排気ガスは、熱回収されることなく外部へと排出される。
【0076】
次に、
図10及び
図12を参照して、排気ガスからの熱回収が必要である場合(例えば、エンジンを暖機する必要がある場合)について説明する。当該場合には、制御部は、駆動軸51を回転駆動して回転軸部43を回転させることで、バルブ機構4の弁体44及びシャッタ部42を
図10に示す位置に切り換える。よって、バルブ機構4は、バタフライバルブ41の弁体44が第1流路14を閉塞し、シャッタ部42が第2流出口23を開放するように切り換わる。
【0077】
図10に示すように、第1流路14が閉塞されるとともに第2流出口23が開放されることで、排気流路から流れる排気ガスは、矢印Bで示すように第1流入口12から第2流入口22を通過して、第2流路部材2の本体部21内(第2流路24)に流入する。
図12に示すように、第2流入口22から本体部21内に流入した排気ガスは、矢印Cの方向に流れる。ここで、排気ガスが本体部21のうち熱交換器本体部32内を流れるときに、当該排気ガスと熱交換部3を流通する冷却水(
図12の破線矢印Xの方向に流れる冷却水)との間で熱交換が行われる。すなわち、冷却水が暖められる。暖められた冷却水は、冷媒流出部33から流出してエンジンへ供給され、エンジンを暖機することができる。
【0078】
熱回収後の排気ガスは、
図10及び
図12に矢印C及び矢印Dで示すように、第2流出口23を通過して第1流出口13から排気流路の下流側(本体部11の外部)へ流出する。
【0079】
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0080】
エンジンから排出された排気ガスの熱を冷媒との熱交換によって回収する排気熱回収装置100は、排気ガスが流れる第1流路14が内部に形成される第1流路部材1と、第1流路部材1に隣接して設けられ、第1流路14の一部を迂回する第2流路24が内部に形成され、第2流路24内を流れる排気ガスと冷媒との間で熱交換を行う熱交換部3を有する第2流路部材2と、第1流路部材1内に配置される回転軸部43の回転により第1流路14と前記第2流路24との開閉を切り換えるバルブ機構4と、回転軸部43を回転させる駆動軸51を有するアクチュエータ5と、を備え、第2流路部材2は、第1流路14内の排気ガスの流れ方向に対して傾斜して配置され、第2流路部材2が第1流路部材1に対して傾斜して配置されることでアクチュエータ5の駆動軸51の軸方向視において第2流路部材2の側方に形成される領域Sにて、駆動軸51が第1流路部材1に向けて延設されて回転軸部43に接続される。
【0081】
また、第2流路部材2は、第1流路14内の排気ガスの流れ方向の上流側から下流側に向かって第1流路14から離れるように傾斜して配置される。
【0082】
また、駆動軸51は、アクチュエータ5の駆動軸51の軸方向視において、第2流路部材2の下側縁部2aと、第1流路部材1の下側縁部1aと、第1流路部材1内の排気ガスの流れ方向の下流側端部1bと、で囲まれる領域に配置される。
【0083】
これらの構成によれば、回転軸部43(バルブ機構4)及び駆動軸51(アクチュエータ5)を第1流路14内の排気ガスの流れ方向の上流側に配置することができる。これにより、排気熱回収装置100全体を、第1流路14内の排気ガスの流れ方向(長手方向)においてコンパクトにすることができる。
【0084】
また、駆動軸51は、領域Sにおいて、第1流路部材1の外側に突出した回転軸部43の一端43aに接続される。
【0085】
また、回転軸部43は一端43aのみが支持される片持ち構造である。
【0086】
これらの構成によれば、排気ガスの熱によるバルブ機構4(回転軸部43)への影響を低減させることができる。したがって、排気熱回収装置100の耐久性を向上させることができる。
【0087】
また、アクチュエータ5は、第1流路部材1との間に第2流路部材2を挟んで配置される。
【0088】
また、アクチュエータ5は、第1流路14に沿って、前記第1流路14内の排気ガスの流れ方向に対して傾斜して配置される。
【0089】
これらの構成によれば、排気ガスの熱によるアクチュエータ5への影響を抑制することができる。すなわち、アクチュエータ5の耐久性を向上させることができる。したがって、排気熱回収装置100の耐久性を向上させることができる。
【0090】
また、排気熱回収装置100は、駆動軸51の外側を包囲するブラケット6をさらに備える。
【0091】
この構成によれば、駆動軸51を、飛び石などといった飛散してくる物体から保護することができる。
【0092】
また、第1流路部材1は、排気ガスが流入する第1流入口12と、第1流入口12から流入した排気ガスが流出する第1流出口13と、を有し、第2流路部材2は、第1流路部材1と第1流入口12側で接続される第2流入口22と、第1流路部材1と第1流出口13側で接続される第2流出口23と、を有する。また、バルブ機構4は、第1流路14を開閉するバタフライバルブ41と、バタフライバルブ41が第1流路14を開放すると第2流出口23を閉塞し、バタフライバルブ41が第1流路14を閉塞すると第2流出口23を開放するシャッタ部42と、をさらに有する。
【0093】
この構成によれば、バタフライバルブ41とシャッタ部42とが一体に移動することで、第1流路14及び第2流出口23を開閉することができる。すなわち、バタフライバルブ41(弁体44)とシャッタ部42とをそれぞれ別の機構で回転移動させる場合よりも、部品点数を少なくすることができる。また、非熱回収時に第2流路24を開くことがなく第2流路24への排気ガスの流入を防ぐことができるため、排気熱回収装置100の非熱回収時の性能を向上させることができる。
【0094】
また、熱交換部3は、第1流入口12及び第1流出口13の下端に位置する浸水ラインWよりも高い位置に設けられる。
【0095】
また、第2流入口22及び第2流出口23は、浸水ラインWよりも高い位置に設けられる。
【0096】
これらの構成によれば、熱交換部3が浸水することを防ぐことができる。したがって、熱交換部3が浸水することによって第2流路24内の排気ガスの流れが邪魔されることが防げる。これにより、排気ガスと熱交換部3内の冷却水との間の熱回収効率の低下を防ぐことができる。
【0097】
また、アクチュエータ(駆動部)5の本体部52は、熱交換部3における熱交換器本体部32の外装部(ハウジング)に固定される。
【0098】
この構成によれば、第1流路部材1を流れる排気ガスの熱や、第2流路部材2を流れる排気ガスの熱の影響を、アクチュエータ5の本体部52が受けにくい構成となるため、アクチュエータ5の耐久性を確保することができる他、アクチュエータ5における特別な熱対策が不要となりコストを下げることができる。
【0099】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【解決手段】第2流路部材2が第1流路14内の排気ガスの流れ方向に対して傾斜して配置され、第2流路部材2が第1流路部材1に対して傾斜して配置されることでアクチュエータ5の駆動軸51の軸方向視において第2流路部材2の側方に形成される領域Sにて、駆動軸51が第1流路部材1に向けて延設されて回転軸部43に接続される排気熱回収装置100が提供される。