特許第6752471号(P6752471)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6752471-車線分離標立設具及び車線分離標 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6752471
(24)【登録日】2020年8月21日
(45)【発行日】2020年9月9日
(54)【発明の名称】車線分離標立設具及び車線分離標
(51)【国際特許分類】
   E01F 9/673 20160101AFI20200831BHJP
   E01F 15/00 20060101ALI20200831BHJP
   E01F 9/608 20160101ALI20200831BHJP
【FI】
   E01F9/673
   E01F15/00
   E01F9/608
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-109329(P2017-109329)
(22)【出願日】2017年6月1日
(65)【公開番号】特開2018-204258(P2018-204258A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2020年3月23日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509077200
【氏名又は名称】株式会社ネクスコ・メンテナンス東北
(73)【特許権者】
【識別番号】500333350
【氏名又は名称】橋爪商事株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】502270877
【氏名又は名称】株式会社宮古マランツ
(74)【代理人】
【識別番号】100131026
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 博
(74)【代理人】
【識別番号】100194124
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 まゆみ
(72)【発明者】
【氏名】梅川 卓
(72)【発明者】
【氏名】永沢 政勝
(72)【発明者】
【氏名】平 洋規
(72)【発明者】
【氏名】山野目 英勝
【審査官】 彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】 実開平03−103313(JP,U)
【文献】 特開2010−070953(JP,A)
【文献】 実開昭52−045392(JP,U)
【文献】 欧州特許出願公開第01676960(EP,A1)
【文献】 特開2010−185177(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/673
E01F 9/608
E01F 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
標示部を有する車線分離標本体を路面に立設する車線分離標立設具であって、
前記車線分離標本体の下端部に配設される棒状部材と、
この棒状部材の下端部を挿入する挿入孔が設けられ、路面に埋設される設置脚部とを備え、
前記挿入孔の側面には、複数の突起部が設けられ、
前記棒状部材の外周面には、前記突起部を係止する複数の係止溝が設けられ、
前記棒状部材の下端部と、前記挿入孔の底部との間には、前記棒状部材を上に向かって付勢する付勢部材が配設された
ことを特徴とする車線分離標立設具。
【請求項2】
前記設置脚部の外側面には、接着剤を溜める凹状の路面接着溜め部が設けられたことを特徴とする請求項1記載の車線分離標立設具。
【請求項3】
標示部を有する車線分離標本体と、
この車線分離標本体を路面に立設する車線分離標立設具とを備え、
前記車線分離標立設具は、前記車線分離標本体の下端部に配設される棒状部材と、この棒状部材の下端部を挿入する挿入孔が設けられ、路面に埋設される設置脚部とを備え、
前記挿入孔の側面には、複数の突起部が設けられ、
前記棒状部材の外周面には、前記突起部を係止する複数の係止溝が設けられ、
前記棒状部材の下端部と、前記挿入孔の底部との間には、前記棒状部材を上に向かって付勢する付勢部材が配設された
ことを特徴とする車線分離標。
【請求項4】
前記設置脚部の外側面には、接着剤を溜める凹状の路面接着溜め部が設けられたことを特徴とする請求項3記載の車線分離標。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車線分離標本体を路面に立設するための車線分離標立設具、及び、それを備えた車線分離標に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高速道路等では、中央分離帯、合流、分流地点等に車線誘導のための誘導標識柱として車線分離標が設置されている。車線分離標は、例えば、路面に設置される台座部の上に、軟質合成樹脂からなる筒状の標示部が配設され、その標示部の外周面に帯状の反射部材が貼り付けられた構成を有している。この車線分離標は、例えば、路面に埋設した設置脚部のねじ孔に、台座部又は標示部の下端部に設けられたボルトを螺合することにより、路面に着脱可能に立設される(例えば、特許文献1参照)。これにより、標示位置を変更する場合や、標示部等が破損した場合には、標示部等を路面から取り外して取り換えることができるようになっている。
【0003】
しかしながら、ねじによる着脱方式の場合には、雨水や凍結防止剤等によりねじ部が腐食し、取り外しができなくなる場合があるという問題があった。また、ねじは着脱に手間がかかるという問題もあった。そこで、簡単に、かつ、年月が経過しても取り外すことができる新しい着脱方式の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−53816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような問題に基づきなされたものであり、年月が経過しても取り外すことができ、かつ、簡単に着脱することができる車線分離標立設具及び車線分離標を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車線分離標立設具は、標示部を有する車線分離標本体を路面に立設するものであって、車線分離標本体の下端部に配設される棒状部材と、この棒状部材の下端部を挿入する挿入孔が設けられ、路面に埋設される設置脚部とを備え、挿入孔の側面には、複数の突起部が設けられ、棒状部材の外周面には、突起部を係止する複数の係止溝が設けられ、棒状部材の下端部と、挿入孔の底部との間には、棒状部材を上に向かって付勢する付勢部材が配設されたものである。
【0007】
本発明の車線分離標は、標示部を有する車線分離標本体と、この車線分離標本体を路面に立設する車線分離標立設具とを備え、車線分離標立設具は、車線分離標本体の下端部に配設される棒状部材と、この棒状部材の下端部を挿入する挿入孔が設けられ、路面に埋設される設置脚部とを備え、挿入孔の側面には、複数の突起部が設けられ、棒状部材の外周面には、突起部を係止する複数の係止溝が設けられ、棒状部材の下端部と、挿入孔の底部との間には、棒状部材を上に向かって付勢する付勢部材が配設されたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車線分離標本体の下端部に棒状部材を配設すると共に、棒状部材の下端部を挿入する挿入孔が設けられた設置脚部を路面に埋設し、挿入孔の側面に複数の突起部を設け、棒状部材の外周面に突起部を係止する複数の係止溝を設けるようにしたので、突起部を係止溝に挿入することにより簡単に車線分離標本体を立設することができ、突起部を係止溝から外すことにより簡単に車線分離標本体を取り外すことができる。また、ねじを用いていないので、腐食により取り外しができなくなることが生じ難く、年月が経過しても容易に取り外すことができる。
【0009】
更に、設置脚部の外側面に、接着剤を溜める凹状の路面接着溜め部を設けるようにしたので、路面接着溜め部に接着剤が溜まり、路面に対して強固に接着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態に係る車線分離標の構成を表す部分断面図である。
図2図1に示した車線分離標立設具の構成を表す断面図である。
図3図1に示した棒状部材の構成を表す図である。
図4図1に示した設置脚部の構成を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施の形態に係る車線分離標1の全体構成を表すものである。この車線分離標1は、例えば、中央分離帯、合流、分流地点等に車線誘導のための誘導標識柱として路面Mに設置されるものである。車線分離標1は、例えば、標示部11を有する車線分離標本体10と、この車線分離標本体10を路面Mに立設する車線分離標立設具20とを備えている。なお、図1において、車線分離標立設具20は概略構成を表したものである。
【0013】
車線分離標本体10は、例えば、路面Mに設置される台座部12の上に、軟質合成樹脂からなる筒状の標示部11が配設された構成を有しており、標示部12の外周面には例えば帯状の反射部材13が貼り付けられている。標示部11と台座部12とは一体的に形成されていてもよく、別体で形成されていてもよい。
【0014】
図2は、車線分離標立設具20の構成を表すものである。車線分離標立設具20は、車線分離標本体10の下端部に配設される棒状部材21と、この棒状部材21の下端部を挿入する挿入孔22Aが設けられた設置脚部22とを備えている。棒状部材21及び設置脚部22は、例えば、ステンレス等の金属、又は、プラスチックにより構成されている。
【0015】
図3は、棒状部材21の構成を表すものであり、(A)は側面から見た構成、(B)は(A)に示したIII−III線(※電子出願する関係からローマ数字はこのように表示することになっていますのでよろしくお願いします)に沿った断面構成、(C)は斜視構成を表すものである。図4は、設置脚部22の構成を表すものであり、(A)は側面から見た構成、(B)は上から見た構成、(C)は斜視構造を表すものである。
【0016】
棒状部材21は、例えば、上側が車線分離標本体10、具体的には台座部12に固定され、下側が車線分離標本体10から突出するように配設されている。棒状部材21の車線分離標本体10から突出している部分は、例えば、円柱状に形成されている。なお、棒状部材21の車線分離標本体10に対する固定強度を高めるために、車線分離標本体10の下面に、棒状部材21を覆う円筒状の被覆突起部14が設けられていることが好ましい。設置脚部22は、例えば、棒状部材21を支持するものであり、路面Mに埋設して用いられる。挿入孔22Aは、例えば、棒状部材21及び被覆突起部14に合わせて形成されており、上側中央部に設けられている。
【0017】
挿入孔22Aの側面には、複数の突起部22Bが内側に向かって突出して設けられている。突起部22Bは、例えば、対向する位置に2つ設けられることが好ましい。また、棒状部材21の外周面には、突起部22Bに対応して、突起部22Bを係止する複数の係止溝21Aが設けられている。係止溝21Aは、例えば、突起部22Bと同様に、対向する位置に2つ設けられることが好ましい。
【0018】
係止溝21Aは、例えば、棒状部材21の下端部から上端側に向かい突起部22Bを案内するように伸長された挿入溝部21Bと、この挿入溝部21Bから周方向に突起部22Bを案内するように伸長された回転溝部21Cと、この回転溝部21Cから下端部に向かい、突起部22Bが回転溝部21Cよりも下側でかつ下端部よりも上側に位置するように設けられた折り返し溝部21Dとを有している。これにより、突起部22Bを挿入溝部21Bに挿入し、回転溝部21Cに合わせて突起部22Bの位置を移動させ、折り返し溝部21Dに突起部22Bを挿入することにより、突起部22Bを係止することができるようになっている。
【0019】
また、棒状部材21の下端部と、挿入孔22Aの底部との間には、棒状部材21を上に向かって付勢する付勢部材23が配設されている。突起部22Bを折り返し溝部21Dに固定し、棒状部材21を挿入孔22Aに強固に固定するためである。付勢部材23としては、コイルばね等のばねが好ましい。
【0020】
設置脚部22は、例えば、接着剤により路面Mに固定される。設置脚部22の外側面には、例えば、接着剤を溜める凹状の路面接着溜め部22Cが設けられていることが好ましい。路面接着溜め部22Cは、例えば、円柱状の外側面の一部を横方向に削り取り、上下に凸曲線状の段差部が形成された形状とされていることが好ましい。路面接着溜め部22Cは、例えば、間隔を開けて複数(例えば4個)設けられていることが好ましい。
【0021】
棒状部材21の車線分離標本体10に固定されている部分は、例えば、円柱状であり、長さ方向における一部に窪み部21Eが設けられていることが好ましい。棒状部材21を車線分離標本体10に強固に固定し、抜けを防止するためである。
【0022】
この車線分離標1は、例えば、次のようにして路面に設置される。まず、路面Mに設置脚部22を埋設する孔をあけ、この孔に所定量の接着剤を投入した後、設置脚部22を挿入して路面Mに固定する。次いで、棒状部材21の挿入溝部21Bを設置脚部22の突起部22Bに合わせ、挿入溝部21Bに沿って突起部22Bを移動させ、付勢部材23の付勢力に抗して、棒状部材21を挿入孔22Aに挿入する。次に、回転溝部21Cに沿って突起部22Bを移動させて棒状部材21を回転させ、更に、折り返し溝部21Dに沿って突起部22Bを移動させる。これにより、棒状部材21は付勢部材23により上に付勢され、突起部22Bは折り返し溝部21Dに固定され、棒状部材21は設置脚部22に強固に固定される。
【0023】
また、棒状部材21を設置脚部22から取り外す際には、逆に、付勢部材23の付勢力に抗して、折り返し溝部21Dに沿って突起部22Bを移動させ、回転溝部21Cに沿って突起部22Bを移動させたのち、挿入溝部21Bに沿って突起部22Bを移動させて、棒状部材21を挿入孔22Aから抜く。これにより、簡単に取り付け取り外しをすることができる。
【0024】
このように本実施の形態によれば、車線分離標本体10の下端部に棒状部材21を配設すると共に、棒状部材21の下端部を挿入する挿入孔22Aが設けられた設置脚部22を路面Mに埋設し、挿入孔22Aの側面に複数の突起部22Bを設け、棒状部材21の外周面に突起部22Bを係止する複数の係止溝21Aを設けるようにしたので、突起部22Bを係止溝21Aに挿入することにより簡単に車線分離標本体10を立設することができ、突起部22Bを係止溝21Aから外すことにより簡単に車線分離標本体10を取り外すことができる。また、ねじを用いていないので、腐食により取り外しができなくなるということが生じ難く、年月が経過しても取り外すことができる。
【0025】
更に、設置脚部22の外側面に、接着剤を溜める凹状の路面接着溜め部22Cを設けるようにしたので、路面接着溜め部22Cに接着剤が溜まり、路面に対して強固に接着することができる。
【0026】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態では、車線分離標の立設具としての説明をしたが、類似する他の用具についても応用することができる。また、上記実施の形態では、各構成要素についても具体的に説明したが、全ての構成要素を備えていなくてもよく、また、他の構成要素を備えていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0027】
道路に設置される車両分離標に用いることができる。
【符号の説明】
【0028】
1…車線分離標、10…車線分離標本体、11…標示部、12…台座部、13…反射部材、14…被覆突起部、20…車線分離標立設具、21…棒状部材、21A…係止溝、21B…挿入溝部、21C…回転溝部、21D…折り返し溝部、21E…窪み部、22…設置脚部、22A…挿入孔、22B…突起部、22C…路面接着溜め部、23…付勢部材、M…路面
図1
図2
図3
図4