(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
断熱材を含む壁体と前記壁体の周縁に位置する樹脂製のフレームとから構成された、開口を有するコンテナ本体及び前記コンテナ本体の前記開口を開閉可能に閉塞する開閉ドアを有する保冷コンテナの製造方法であって、
前記開閉ドアを構成する前記フレームは、前記開閉ドアを構成する前記壁体の周縁から内壁にまたがって形成される突条を含むフレーム本体及び、前記フレーム本体の横断面視において前記周縁及び/又は前記内壁から前記壁体の奥側に向かってそれぞれ延出するリブを有し、
前記フレーム本体及び前記リブを押出成形により形成する工程と、
前記フレーム本体上に、前記突条の一部を除去することにより前記リブを前記突条の側から露出させる凹部を形成する工程と、
前記凹部内に前記コンテナ本体及び前記開閉ドアを連結する連結用部材を配置するとともに、前記連結用部材を前記リブに固定する工程とを備えた、
保冷コンテナの製造方法。
【背景技術】
【0002】
図7は、従来の保冷コンテナを搭載した貨物自動車の構成を示す側面図である。
図7に示すように、貨物自動車100は、キャブ110の後方に設けられた荷台120上に載置された保冷コンテナ130を備える。保冷コンテナ130は、断熱性能を有するパネル及び直交する各パネルの間に配置されたフレームにより構成された箱型の外形を有し、パネルは保冷コンテナ130の外壁及び内壁を構成するアルミニウム等の金属製の一対のプレートと、内壁及び外壁の間に配置される断熱材とから構成される。なお、断熱材としては、プレートの形状に対応してこれと面接合する板状の発泡スチロール等の部材や、一対の対向配置したプレートの隙間に充填されるポリウレタン等の発泡樹脂が用いられる(例えば特許文献1、2を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の保冷コンテナにおいては、以下のような課題があった。すなわち、保冷コンテナ130においては、パネル及びフレームの他、コンテナ内に積荷を搬入出するための開口や当該開口を閉塞する開閉ドアを設ける必要があるが、開閉ドアを開閉、ロック等するための機構をパネルやフレーム内に配設するための工程は、保冷コンテナの製造工程を複雑化させ、高コスト化させることとなっていた。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、簡易な工程により開閉ドアの機構を保冷コンテナに配設することが可能な保冷コンテナの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の側面は、断熱材を含む壁体と前記壁体の周縁に位置する樹脂製のフレームとから構成された、開口を有するコンテナ本体及び前記コンテナ本体の前記開口を開閉可能に閉塞する開閉ドアを有する保冷コンテナの製造方法であって、
前記開閉ドアを構成する前記フレームは、
前記開閉ドアを構成する前記壁体の周縁から内壁にまたがって形成される突条を含むフレーム本体及び、
前記フレーム本体の横断面視において前記周縁及び/又は前記内壁から
前記壁体の奥側に向かってそれぞれ延出するリブを有し、前記フレーム本体及び前記リブを押出成形により形成する工程と、前記フレーム本体上に、
前記突条の一部を除去することにより前記リブを前記突条の側から露出させる凹部を形成する工程と、前記凹部内に前記コンテナ本体及び前記開閉ドアを連結する連結用部材を配置するとともに、前記連結用部材を前記リブに固定する工程とを備えた、保冷コンテナの製造方法である。
【0007】
なお、本発明は他の側面として、前記凹部を、前記開閉ドアを構成する前記フレームに形成するものとしてもよい。
【発明の効果】
【0008】
以上のような本発明は、簡易な工程により開閉ドアの機構を保冷コンテナに配設することが可能になるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態に係る保冷コンテナの構成を示す側面図であり、
図2は、
図1のA−A直線による断面により示した保冷コンテナの平面図であり、
図3は、
図2のB−B直線による断面により示した保冷コンテナの側面図である。ただし
図3は、
図1に対応して保冷コンテナ全体の断面を示した。
【0012】
各図に示すように、保冷コンテナ1は、車長方向に沿って前側に配置される前壁パネル10、車長方向に沿って後方、且つ前壁パネル10と平行をなすよう配置された一対の後壁パネル20、車長方向に沿って延出して前壁パネル10及び後壁パネル20の右端に接合される側壁パネル60、及び後壁パネル20の一端に接合されるとともに車長方向に沿って側壁パネル60と平行をなすよう延出して、前壁パネル10の左端と離隔して配置される側壁パネル50を備える。
【0013】
更に、保冷コンテナ1は、前壁パネル10、後壁パネル20、側壁パネル60及び側壁パネル50の上辺及び下辺にそれぞれ接合される天井パネル30及び床面パネル70を備え、各パネルにより囲まれた空間内に積荷を収容する。
【0014】
また、前壁パネル10、側壁パネル50、天井パネル30及び床面パネル70の各辺は保冷コンテナ1の内部空間と外部とを連通させる開口を形成するとともに、当該開口は保冷コンテナ1の壁体の一部としての開閉ドア40により開閉可能に閉塞される。開閉ドア40はハンドル40aの操作により開閉されるスライドドアとして構成され、床面パネル70に隣接して設けられた支持部材71上に載置されるとともに、側壁パネル50の表面上に設けられた凹溝50aに沿って移動自在に連結されることにより、車長方向に沿って開閉される。なお、一対の後壁パネル20も、それぞれ一端が側壁パネル50及び60に蝶番を介して接続されることにより観音開きのドアとして働き、保冷コンテナ1の内部空間と外部とを連通させることができる。
【0015】
前壁パネル10は、外壁及び内壁となる金属製のプレート11a及び11bと、プレート11a及び11bの空隙に位置する断熱材13と、プレート11a及び11b並びに断熱材13の両端に位置する樹脂製のフレーム12a及び12bとから構成される。なお、断熱材13としては従来例同様、プレート11a及び11bの隙間に充填される発泡樹脂が例示される。
【0016】
同様に、側壁パネル60はプレート61a及び61b、断熱材63、並びにフレーム62a及び62bから構成され、側壁パネル60はプレート61a及び61b、断熱材63、並びにフレーム62a及び62bから構成され、後壁パネル20はプレート21a及び21b、断熱材23、並びにフレーム22a及び22bから構成され、側壁パネル50はプレート51a及び51b、断熱材53、並びにフレーム52a及び52bから構成され、開閉ドア40はプレート41a及び41b、断熱材43、並びにフレーム42a及び42bから構成される。なお、符号及び詳細な説明は略するが、天井パネル30及び床面パネル70も上記各パネルと同様の構成を有する。
【0017】
次に、開閉ドア40のフレーム42bを例に取り、各パネルのフレームの構成を説明する。
図4(a)(b)の斜視図に示すように、開閉ドア40の辺に沿って延出してなるフレーム本体Bから構成される、外形板状の部材である。フレーム本体Bは、プレート41bとともに保冷コンテナ1の内壁を形成する主面42b1、主面42b1に正対してプレート41aとともに保冷コンテナの外壁を形成する主面42b2とを有し、主面42b1は凸に屈曲することにより、フレーム本体Bの延出方向に平行な突条42b7が形成される。また、主面42b1の反転形状として凹に屈曲した主面42b2上には、フレーム本体Bの延出方向に平行なリブ42b5及び42b6が形成される。更に、フレーム本体Bの一端は、プレート41aの端部が嵌め込まれる、フレーム本体Bの延出方向に平行に延出するスリット42b3xが刻まれた結合端42b3を形成する。同様に、フレーム本体Bの他端は、プレート41bの端部が嵌め込まれる、フレーム本体Bの延出方向に平行に延出するスリット42b4xが刻まれた結合端42b4を形成する。
【0018】
次に、
図5を参照して、保冷コンテナ1における開閉ドア40と側壁パネル50との結合箇所の構成を説明する。ただし、
図5は
図3のC−C直線による断面図であり、開閉ドア40が閉じられた状態を示す。
【0019】
図5に示すように、開閉ドア40と側壁パネル50とは、車長方向に沿った向きにて開閉ドアの後端と側壁パネル50の前端とが対向して、パネル表面に対応するプレート41aと51aとが面一になるよう配置される。また、側壁パネル50において車長方向に沿って延出して形成された凹溝50aは、端部に向かうにつれて保冷コンテナ1の内側へ向かって湾曲しており、フレーム52aも凹溝50aの形状に対応して保冷コンテナ1の内側へ向かって突出する向きに形成される。凹溝50aの天井には後述するドアアーム80の動きを規制するガイドレール50a1が配設されている。
【0020】
次に、側壁パネル50の端部に位置するフレーム52aは、
図3に示すように、側壁パネル50の端部に位置して全高が床面パネル70から天井パネル30まで達し、保冷コンテナ1において中間ピラーを形成している。フレーム52aは、開閉ドア40のフレーム42bの主面42b1とオーバーラップする側に位置するピラー端部52a1の先端にウェザーストリップ90が装着されており、ウェザーストリップ90がフレーム42bの主面42b1に圧接されることにより、開閉ドア40と側壁パネル50との隙間は密閉され、保冷コンテナ1内への外気の流入が抑制される。
【0021】
次に、開閉ドア40においては、側壁パネル50の凹溝50aとの対向面において、フレーム42bの突条42b7を含む一部が除去されることにより、リブ42b5及び42b6を側壁パネル50側へ露出させる凹部Sが形成されている。凹部S内には、アーム基部81、アーム基部81とピボット82を介して車高方向に直交する面上を回動自在に接続されたローラブラケット83、及びローラブラケットの先端に装着されたローラ84を備えたドアアーム80が位置している。ドアアーム80と開閉ドア40とは、アーム基部81がブラケット85を介してフレーム42bに接合されることにより固定される。具体的には、アーム基部81はブラケット85に対してボルト81aにより締結され、ブラケット85はフレーム42bのリブ42b5及び42b6に対してボルト85a及び85bにより締結されることでそれぞれ固定されている。
【0022】
これにより、開閉ドア40の開閉時においては、ローラ84がガイドレール50a1上を回転しながら移動することにより、開閉ドア40は側壁パネル50のプレート51a上を平行に移動するようにして開口を開閉する。なお、
図3においては、点線により開放状態にある開閉ドア40の位置を示した。
【0023】
以上の構成において、開閉ドア40を除く保冷コンテナ1は本発明のコンテナ本体に相当し、開閉ドア40は本発明の開閉ドアに相当する。また、開閉ドア40においてプレート41a及び41b並びに断熱材43の組合せは本発明の壁体に相当し、断熱材43は本発明の断熱材に相当し、フレーム42a及び42bは本発明のフレームに相当し、前壁パネル10その他の各パネルにおけるプレート、断熱材及びフレームについても同様の対応を有する。また、ドアアーム80及びブラケット85は本発明の連結用部材に相当する。
【0024】
このような構成を有する本発明の実施の形態に係る保冷コンテナの製造方法は、開閉ドア40を構成する、凹部Sを含めたフレーム42bの製造工程に特徴を有する。
【0025】
以下、説明を行う。フレーム42bは、
図4(a)(b)に示すように、フレーム本体Bにおいて、スリット42b3x及び42b4xをそれぞれ有する結合端42b3及び42b4、リブ42b5及び42b6、並びに主面42b1を凸に屈曲させて形成される突条42b7がいずれもフレーム本体Bの延出方向と平行に設けられる。
【0026】
そこで、結合端42b3及び42b4、リブ42b5及び42b6、並びに突条42b7の各部の平面形状に対応した形状の金型を用いてフレーム本体Bを押出成形により作成する。
【0027】
更に、凹部Sは、
図6に示すように、押出成形したフレーム本体Bから、突条42b7の一部Rを切削加工等により除去することにより形成する。
【0028】
最後に、凹部S内にブラケット85を配置し、ボルト85a、85bにより締結してリブ42b5及び42b6にそれぞれ固定し、ブラケット85にドアアーム80をボルト81aにより締結して固定する。
【0029】
以上の各工程によりフレーム42bを作成することにより、フレーム本体Bの基材である樹脂の射出方向に沿って、結合端42b3及び42b4、リブ42b5及び42b6、並びに突条42b7を一度の工程にて形成することが可能となる。更に、凹部Sの形成は単純な切削加工により行うことができる。
【0030】
したがって、複雑な形状の金型を用いたインジェクション成型や、金属材料を基材として用いた切削加工に比して簡易な工程によりフレームを作成してドアアーム80を配設することができる。ひいては、保冷コンテナの製造工程の単純化、保冷コンテナの低コスト化を実現することが可能となる。
【0031】
なお、上記の説明においては、フレーム42bを例に取り、凹部Sの形成を開閉ドア40側に行うものとしたが、フレーム52aの作成に本発明を適用して、凹部Sを側壁パネル50側に設けるようにしてもよい。
【0032】
また、上記の説明においては、貨物自動車の保冷コンテナを例にとったが、本発明の保冷コンテナの製造方法は、列車船舶等の任意の輸送機器に搭載される保冷コンテナにおいて実施してもよい。
【0033】
以上のように、本発明は、断熱材を含む壁体と前記壁体の周縁に位置する樹脂製のフレームとから構成された、開口を有するコンテナ本体及び前記コンテナ本体の前記開口を開閉可能に閉塞する開閉ドアを有する保冷コンテナの製造方法であって、
前記開閉ドアを構成する前記フレームは、
前記開閉ドアを構成する前記壁体の周縁から内壁にまたがって形成される突条を含むフレーム本体及び、
前記フレーム本体の横断面視において前記周縁及び/又は前記内壁から
前記壁体の奥側に向かってそれぞれ延出するリブを有し、前記フレーム本体及び前記リブを押出成形により形成する工程と、前記フレーム本体上に、
前記突条の一部を除去することにより前記リブを前記突条の側から露出させる凹部を形成する工程と、前記凹部内に前記コンテナ本体及び前記開閉ドアを連結する連結用部材を配置するとともに、前記連結用部材を前記リブに固定する工程とを備えたものであればよく、その他の具体的な目的、用途、構成によって限定されるものではない。
【0034】
したがって、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲内であれば、以上説明したものを含め、上記実施の形態に種々の変更を加えたものとして実施してもよい。