特許第6752641号(P6752641)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6752641
(24)【登録日】2020年8月21日
(45)【発行日】2020年9月9日
(54)【発明の名称】測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 21/00 20060101AFI20200831BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20200831BHJP
【FI】
   G01R21/00 P
   H02J50/10
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-127113(P2016-127113)
(22)【出願日】2016年6月28日
(65)【公開番号】特開2018-4285(P2018-4285A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年4月22日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成28年1月13日に、日置電機株式会社が、第33回エレクトロテストジャパンにおいて、本件出願の発明者らが発明した測定装置の発明に係るWPT評価システムについて公開した。また、平成28年4月1日に、日置電機株式会社が、ウェブサイト(http://briefcase.hioki.co.jp/mobile/books/view.php?book_id=380)にて、本件出願の発明者らが発明した測定装置の発明に係るWPT評価システムについて公開した。また、平成28年4月20日に、日置電機株式会社が、第34回モータ技術展において、本件出願の発明者らが発明した測定装置の発明に係るWPT評価システムについて公開した。
(73)【特許権者】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】塚崎 友英
(72)【発明者】
【氏名】宮下 夏樹
【審査官】 青木 洋平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−136281(JP,A)
【文献】 特開2014−147219(JP,A)
【文献】 特開2010−234878(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/179225(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0217966(US,A1)
【文献】 Jim Francfort,INL Efficiency and Security Testing of EVSE, DC Fast Chargers, and Wireless Charging Systems,2013 DOE Vehicle Technologies Program Annual Merit Review,Idaho National Laboratory,[online],2013年 5月14日,第1−32頁,[令和2年2月12日検索],インターネット<http://energy.gov/sites/prod/files/2014/03/f13/vss096_francfort_2013_o.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 21/00
H02J 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触給電装置についての被測定量を測定する測定部を備えた測定装置であって、
前記非接触給電装置における供給側および受電側の各電極のうちの一方の電極を1つのXY平面内で移動させて、当該各電極のうちの位置が固定された他方の電極に対する当該1つのXY平面における相対的な測定位置を変更させる移動機構と、前記被測定量に基づいて特定される給電効率に関する前記非接触給電装置についての評価用情報を表示部に表示させる処理部とを備え、
前記移動機構は、前記1つのXY平面において前記一方の電極の前記測定位置をX方向およびY方向にそれぞれ設定された移動範囲内においてX方向およびY方向にそれぞれ設定された移動間隔でXY方向の全ての測定位置に順次変更させ、
前記測定部は、前記1つのXY平面内での前全ての測定位置における前記被測定量を測定し、
前記処理部は、前記1つのXY平面内での前記全ての測定位置における各前記給電効率を識別可能な表示形態で示す情報を前記評価用情報として前記表示部に表示させる際に、予め設定された複数の効率範囲のいずれに前記給電効率が属するかによって前記各測定位置を分類し、当該分類した測定位置が存在する前記効率範囲毎の前記1つのXY平面における各領域を特定し、当該各領域の表示形態を互いに異ならせた2次元画像を前記評価用情報として前記表示部に表示させる測定装置。
【請求項2】
前記移動機構は、前記1つのXY平面と平行な1または複数の他のXY平面において前記一方の電極の前記測定位置をX方向およびY方向にそれぞれ設定された移動範囲内においてX方向およびY方向にそれぞれ設定された移動間隔でXY方向の全ての測定位置に順次変更させ、
前記測定部は、前記他のXY平面内での前全ての測定位置における前記被測定量を測定し、
前記処理部は、前記他のXY平面内での前記全ての測定位置における各前記給電効率を識別可能な表示形態で示す情報を前記評価用情報として前記表示部に表示させる際に、前記複数の効率範囲のいずれに前記給電効率が属するかによって前記各測定位置を分類し、当該分類した測定位置が存在する前記効率範囲毎の前記他のXY平面における各領域を特定し、当該各領域の表示形態を互いに異ならせた2次元画像を、前記1つのXY平面における前記2次元画像と共に前記評価用情報として前記表示部に表示させる請求項記載の測定装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記被測定量の測定時における移動対象の前記電極の前記XY平面についての移動面積と、前記給電効率が予め決められた条件を満たす前記測定位置が存在する前記XY平面についての領域の面積との割合を示す情報を前記評価用情報として前記表示部に表示させる請求項1または2記載の測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触給電装置についての被測定量を測定する測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の測定装置として、下記非特許文献1に開示された試験装置が知られている。この試験装置は、非接触給電装置の評価をするための試験装置であって、非接触給電装置における供給側の第1コイル(Primary Coil)と受電側の第2コイル(Secondary Coil)とを対向させた状態で、第1コイルから電力を供給すると共に第2コイルで受電した電力を測定可能に構成されている。この場合、各コイルの相対的位置を変更して、相対的位置毎に上記した電力を測定することで、非接触給電装置の効率等を評価する。このため、この試験装置では、位置決め機構を備え、各コイルの相対的位置を変更することが可能となっている。具体的には、この試験装置の位置決め機構では、第1コイルを支持する支持部がXY方向に移動可能に構成されると共に、XY平面に垂直な軸を中心とする回転方向(θ方向)に回転可能に構成されている。また、第2コイルを支持する支持部がZ方向に移動可能に構成されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】INL Efficiency and Security Testing ofEVSE, DC Fast Chargers, and Wireless Charging Systems[平成28年6月13日検索]、インターネット<http://energy.gov/sites/prod/files/2014/03/f13/vss096_francfort_2013_o.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記した従来の試験装置には、改善すべき以下の課題がある。すなわち、この試験装置では、相対的位置毎に電力を測定し、その測定位置に基づいて非接触給電装置の効率等を評価する。ここで、この種の評価をする際には、第1コイルおよび第2コイルの位置関係がどのようなときに給電効率が高いかを把握する必要がある。しかしながら、この試験装置では、第1コイルおよび第2コイルの位置関係と給電効率とを関連づけて表示することができないため、非接触給電装置の的確な評価を行うことが困難となっており、この点の改善が望まれている。
【0005】
本発明は、かかる改善すべき課題に鑑みてなされたものであり、非接触給電装置を的確に評価し得る測定装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく請求項1記載の測定装置は、非接触給電装置についての被測定量を測定する測定部を備えた測定装置であって、前記非接触給電装置における供給側および受電側の各電極のうちの一方の電極を1つのXY平面内で移動させて、当該各電極のうちの位置が固定された他方の電極に対する当該1つのXY平面における相対的な測定位置を変更させる移動機構と、前記被測定量に基づいて特定される給電効率に関する前記非接触給電装置についての評価用情報を表示部に表示させる処理部とを備え、前記移動機構は、前記1つのXY平面において前記一方の電極の前記測定位置をX方向およびY方向にそれぞれ設定された移動範囲内においてX方向およびY方向にそれぞれ設定された移動間隔でXY方向の全ての測定位置に順次変更させ、前記測定部は、前記1つのXY平面内での前全ての測定位置における前記被測定量を測定し、前記処理部は、前記1つのXY平面内での前記全ての測定位置における各前記給電効率を識別可能な表示形態で示す情報を前記評価用情報として前記表示部に表示させる際に、予め設定された複数の効率範囲のいずれに前記給電効率が属するかによって前記各測定位置を分類し、当該分類した測定位置が存在する前記効率範囲毎の前記1つのXY平面における各領域を特定し、当該各領域の表示形態を互いに異ならせた2次元画像を前記評価用情報として前記表示部に表示させる。
【0008】
また、請求項記載の測定装置は、請求項1記載の測定装置において、前記移動機構は、前記1つのXY平面と平行な1または複数の他のXY平面において前記一方の電極の前記測定位置をX方向およびY方向にそれぞれ設定された移動範囲内においてX方向およびY方向にそれぞれ設定された移動間隔でXY方向の全ての測定位置に順次変更させ、前記測定部は、前記他のXY平面内での前全ての測定位置における前記被測定量を測定し、前記処理部は、前記他のXY平面内での前記全ての測定位置における各前記給電効率を識別可能な表示形態で示す情報を前記評価用情報として前記表示部に表示させる際に、前記複数の効率範囲のいずれに前記給電効率が属するかによって前記各測定位置を分類し、当該分類した測定位置が存在する前記効率範囲毎の前記他のXY平面における各領域を特定し、当該各領域の表示形態を互いに異ならせた2次元画像を、前記1つのXY平面における前記2次元画像と共に前記評価用情報として前記表示部に表示させる。
【0009】
また、請求項記載の測定装置は、請求項1または2記載の測定装置において、前記処理部は、前記被測定量の測定時における移動対象の前記電極の前記XY平面についての移動面積と、前記給電効率が予め決められた条件を満たす前記測定位置が存在する前記XY平面についての領域の面積との割合を示す情報を前記評価用情報として前記表示部に表示させる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の測定装置によれば、1つのXY平面内での互いに異なる複数の測定位置における各給電効率を識別可能な表示形態で示す情報を評価用情報として表示部に表示させることにより、この評価用情報を視認することで、供給側の電極と受電側の電極との位置関係がどのようなときに給電効率が高いか(または、低いか)を容易に把握することができる。したがって、この測定装置によれば、非接触給電装置を的確に評価することができる。
【0011】
また、この測定装置によれば、予め設定された複数の効率範囲のいずれに給電効率が属するかによって各測定位置を分類し、分類した測定位置が存在する効率範囲毎の1つのXY平面における各領域を特定し、各領域の表示形態を互いに異ならせた2次元画像を評価用情報として表示部に表示させることにより、この2次元画像を視認することで、供給側の電極と受電側の電極との位置関係がどのようなときに給電効率が高いか(または、低いか)を視覚的に一目で把握することができるため、非接触給電装置の評価を容易に行うことができる。
【0012】
また、請求項記載の測定装置によれば、1つのXY平面と平行な1または複数の他のXY平面内(1つのXY平面に直交する方向の位置が異なる1または複数のXY平面内)での互いに異なる複数の測定位置における各給電効率を識別可能な表示形態で示す情報を価用情報として表示することにより、供給側の電極と受電側の電極との位置関係がどのようなときに給電効率が高いか(または、低いか)を1つのXY平面に直交する方向の位置が異なる複数のXY平面について容易に把握することができる。したがって、この測定装置によれば、非接触給電装置をより的確に評価することができる。
【0013】
また、請求項記載の測定装置によれば、被測定量の測定時における移動対象の電極のXY平面についての移動面積と、給電効率が予め決められた条件を満たす測定位置が存在するXY平面についての領域の面積との割合を示す情報を評価用情報として表示部に表示させることにより、所望の給電効率を確保できる各電極の相対的な位置の範囲をこの情報に基づいて容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】測定装置1の構成を示す構成図である。
図2】保持装置2の斜視図である。
図3】保持装置2の正面図である。
図4】設定画面Psの表示画面図である。
図5】2次元画像Gbを含む評価用情報画像Gaの表示画面図である。
図6】3次元画像Gcを含む評価用情報画像Gaの表示画面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、測定装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0016】
最初に、測定装置の一例としての図1に示す測定装置1の構成について説明する。測定装置1は、同図に示すように、保持装置2、出力部3、測定部4、操作部5、記憶部6、表示部7および処理部8を備え、非接触給電装置(ワイヤレス給電装置)についての被測定量(後述する受電電力)を測定すると共に、受電電力に基づいて特定される給電効率(供給電力に対する受電電力の比率)に関する非接触給電装置の評価用の情報を表示可能に構成されている。
【0017】
保持装置2は、図2,3に示すように、供給側保持部21、受電側保持部22、移動機構23およびフレーム24を備えて構成されている。
【0018】
供給側保持部21は、図2,3に示すように、非接触給電装置の供給側電極101を載置可能なテーブルと、必要に応じてテーブルに載置した供給側電極101を固定する図外の固定具とを備えて、供給側電極101を保持可能に構成されている。また、供給側保持部21は、移動機構23における後述する回転テーブル32の上に固定されて、移動機構23によって移動させられる。なお、図2では、供給側保持部21を回転テーブル32から上方に離間させた状態で図示している。
【0019】
受電側保持部22は、図2,3に示すように、非接触給電装置の受電側電極102(以下、供給側電極101と受電側電極102とを合わせて「電極101,102」ともいう)を下面に配置するボードと、必要に応じてボードに配置した受電側電極102を固定する図外の固定具とを備えて、受電側電極102を保持可能に構成されている。また、受電側保持部22は、フレーム24に固定されている。
【0020】
移動機構23は、図2に示すように、X方向、Y方向およびZ方向にそれぞれ移動可能な3つの移動テーブル31x,31y,31z(以下、区別しないときには「移動テーブル31」ともいう)と、θ方向に移動(回動)可能に構成されて供給側保持部21が固定される回転テーブル32とを備えて構成されている。この移動機構23は、処理部8の制御に従い、供給側保持部21を図2に示すXY方向に移動(1つの平面(XY平面)内で移動)させて、XY方向に沿った供給側電極101の測定位置(電極101,102の相対的な測定位置)を変更させると共に、供給側保持部21を同図に示すZ方向(1つの平面に直交する方向)に移動させて、Z方向に沿った電極101の測定位置(電極101,102の相対的な測定位置)を変更させる。また、移動機構23は、処理部8の制御に従い、供給側保持部21を同図に示すθ方向(Z方向の軸を中心とする回動方向)に回動させて受電側電極102に対する供給側電極101の相対的な姿勢を変更させる。
【0021】
出力部3は、処理部8の制御に従い、供給側電極101を介して供給する電力を出力する。
【0022】
測定部4は、処理部8の制御に従い、供給側電極101を介して電力(供給電力)が供給されているときに受電側電極102で受電される被測定量としての受電電力を測定する。
【0023】
操作部5は、例えば、キーボートやポインティングデバイスを備えて構成され、測定や表示に関する各種の操作を行う際に用いられる。具体的には、操作部5は、測定開始の指示操作や測定終了の指示操作を行う際に用いられる。また、操作部5は、保持装置2の供給側保持部21によって保持されている供給側電極101を移動させる移動範囲や供給側電極101の回動量等の設定値を設定する操作、および表示部7に表示させる後述する評価用情報の種類を指定する操作を行う際に用いられる。
【0024】
記憶部6は、処理部8の制御に従い、操作部5を介して設定された設定値を示す設定値データDsを記憶する。また、記憶部6は、処理部8の制御に従い、測定部4によって測定された受電電力の測定値を記憶する。
【0025】
表示部7は、処理部8の制御に従い、設定値を設定する際に用いる設定画面Ps(図4参照)や、供給電力に基づいて特定される給電効率に関する情報であって、非接触給電装置の評価に用いる情報(以下、「評価用情報」ともいう)を表示する。
【0026】
処理部8は、操作部5に対する操作に従って測定装置1を構成する各構成要素を制御する。具体的には、処理部8は、移動機構23による供給側保持部21の移動や回動を制御する。また、処理部8は、測定部4を制御して被測定量としての受電電力を測定させる。また、処理部8は、測定部4によって測定された受電電力と、受電電力の測定時に供給側電極101を介して供給された供給電力とに基づいて非接触給電装置の給電効率(供給電力に対する受電電力の比率)を特定する。また、処理部8は、評価用情報を表示部7に表示させる表示処理を実行する。
【0027】
次に、測定装置1の使用方法について図面を参照して説明する。
【0028】
この測定装置1は、例えば、電気製品のバッテリーの充電に使用される非接触給電装置についての被測定量を測定して、その非接触給電装置の評価を行う際に使用することができる。このような使用形態では、まず、図3に示すように、評価対象の非接触給電装置の供給側電極101を保持装置2の供給側保持部21の上に載置して図外の固定具で固定することにより、供給側電極101を供給側保持部21に保持させる。次いで、非接触給電装置の受電側電極102を受電側保持部22の下面に配置して図外の固定具で固定することにより、受電側電極102を受電側保持部22に保持させる。
【0029】
続いて、操作部5を操作して各種の設定を行う。まず、測定装置1に測定させる被測定量として、受電電力を指定する。この場合、この測定装置1では、受電電力の測定において、XYZ方向の移動範囲と各方向における移動間隔とを指定すると共に、θ方向の回動範囲と回動間隔(回動角度の間隔)とを指定して、指定した移動範囲で指定した移動間隔で供給側電極101を移動させると共に指定した回動範囲で指定した回動間隔で供給側電極101を回動させて、受電側電極102に対する供給側電極101の相対的な測定位置や姿勢を自動的に変更させつつ各測定位置および姿勢毎に給電効率を連続測定させることが可能となっている。
【0030】
この連続測定を実行させるときには、図4に示すように、操作部5を操作して設定画面Psを表示させる。次いで、設定画面Ps内の各項目に所望の数値を入力して供給側保持部21(供給側電極101)の移動範囲や回動量を設定する。この場合、同図に示すように、XYZ方向の移動開始位置の座標、および移動の終了位置の座標を入力してXYZ方向の移動範囲を設定すると共に、移動間隔を入力する。また、θ方向に供給側電極101を回動させるときには、回動の開始角度、および回動の終了角度を入力して回動範囲を設定すると共に、回動間隔を入力する。なお、この例では、受電側電極102に対する供給側電極101の姿勢を一定に維持して、供給側電極101をXYZ方向にのみ移動させるものとする。このため、移動条件入力画面における回動の開始角度および終了角度、並びに回動間隔の入力欄は、未入力の状態とする。続いて、設定が終了したときには、処理部8は入力した設定値を示す設定値データDsを記憶部6に記憶させる。
【0031】
次いで、操作部5を操作して、測定開始の指示操作を行う。これに応じて、処理部8が、出力部3を制御して、電力の出力を開始させる。続いて、処理部8は、記憶部6から設定値データDsを読み出して、設定値データDsに基づいて最初の測定位置(移動開始位置)を特定する。次いで、処理部8は、保持装置2の移動機構23を制御して、供給側保持部21に支持されている供給側電極101が最初の測定位置に位置するように供給側保持部21を移動させる。
【0032】
続いて、処理部8は、測定部4を制御して、供給側電極101からの供給電力によって受電側電極102で受電される受電電力を測定させる。また、処理部8は、測定された受電電力の測定値を記憶部6に記憶させる。次いで、処理部8は、設定値データDsに基づいて次の測定位置を特定し、移動機構23を制御して供給側電極101が次の測定位置に位置するように供給側保持部21を移動させる。続いて、処理部8は、測定部4を制御して受電電力を測定させ、測定された受電電力の測定値を記憶部6に記憶させる。
【0033】
以下、処理部8は、移動機構23および測定部4を制御して、設定された移動範囲内において設定された移動間隔で供給側保持部21(供給側電極101)の測定位置を順次変更させ、各測定位置において受電電力を測定させると共に、測定された受電電力の測定値を記憶部6に記憶させる。この場合、測定位置を変更する方法としては、測定が終了した測定位置に最も近い測定位置をXYZ方向のいずれの方向であるかに拘わらず次の測定位置とする方法を採用することもできるし、Z方向の座標を一定にした状態でXY方向の全ての測定位置を変更する工程を、Z方向の座標を変更しつつ順次行う方法を採用することもできる。
【0034】
次いで、設定値データDsに基づいて特定される全ての位置における受電電力の測定が終了したときには、処理部8は、測定が終了した旨を表示部7に表示させる。続いて、操作部5を操作して、測定終了の指示操作を行う。これに応じて、処理部8は、出力部3を制御して、電力の出力を停止させる。
【0035】
一方、この測定装置1では、非接触給電装置の性能を評価するための各種の評価用情報を表示部7に表示させることが可能となっている。例えば、XY方向において互いに異なる複数の測定位置における各給電効率を識別可能な表示形態で示す情報を含む評価用情報画像Ga(図5参照)を評価用情報として表示させることが可能となっている。この場合、給電効率が予め設定された(後述するように、操作部5の操作によって予め設定した)複数の効率範囲のいずれに属するかによって各測定位置を分類し、各測定位置が存在する効率範囲毎のXY方向の各領域を指定されたZ方向の座標について特定し、各領域の表示形態(例えば、同図に示すような表示パターン)を互いに異ならせた画像(例えば、図5に示す2次元画像Gb)を評価用情報画像Gaに含ませることができる。
【0036】
また、上記した2次元画像GbをZ方向に並べた画像(例えば、図6に示す3次元画像Gc)を評価用情報画像Gaに含ませることもできる。さらに、供給側電極101(移動対象の電極)のXY方向における測定時の移動範囲の面積と、給電効率が予め決められた条件(例えば、給電効率が上記した効率範囲に属するとの条件)を満たす測定位置が存在するXY方向の領域の面積との面積割合Raを示す文字情報Ci2(図5,6参照)を評価用情報画像Gaに含ませることもできる。なお、文字情報Ci2に代えて、例えば、面積割合Raの大小に応じて色や形状の異なるマークを評価用情報画像Gaに含ませることもできる。
【0037】
上記した各評価用情報のうちの、例えば、2次元画像Gbと面積割合Raを示す文字情報Ci2とを含む評価用情報画像Gaを表示させる際には、操作部5を操作して、Z方向の座標を指定する。次いで、操作部5を操作して、上記した複数の効率範囲を設定する。この場合、図5に示すように、一例として、0%以上20%未満、20%以上40%未満、40%以上60%未満、60%以上80%未満、および80%以上100%未満の5つの効率範囲を規定したものとする。
【0038】
次いで、操作部5を操作して表示処理の実行を指示し、これに応じて、処理部8が表示処理を実行する。この表示処理では、処理部8は、各測定位置における受電電力の測定値および設定値データDsを記憶部6から読み出し、次いで、受電電力の測定の際に供給側電極101を介して供給していた供給電力(この例では、供給電力が既知であるものとする)で受電電力を除算して、供給電力に対する受電電力の比率である給電効率を各測定位置毎に特定する。続いて、処理部8は、給電効率が予め設定された複数の効率範囲のいずれに属するかによって各測定位置を分類する。
【0039】
次いで、処理部8は、分類した各測定位置が存在する効率範囲毎のXY方向の各領域を特定する。続いて、処理部8は、各領域の表示形態を異ならせた2次元画像Gb(図5参照)を生成する。この場合、同図では、異なる表示形態の一例として、各領域に異なる種類のハッチングを付しているが、各領域に異なる色を付したり、各領域の輪郭を異なる種類の線で描画したりする表示形態を採用することもできる。また、処理部8は、各領域の表示形態(この例では、ハッチングの種類)に対応する効率範囲の上下限値を示す文字情報Ci1(同図参照)を生成する。
【0040】
次いで、処理部8は、供給側電極101(移動対象の電極)のXY方向における移動範囲の面積を設定値データDsに基づいて特定する。続いて、上記した各領域のXY方向の面積を特定する。次いで、処理部8は、移動範囲の面積に対する各領域の面積の面積割合Raを特定し、その面積割合Ra示す文字情報Ci2(図5参照)を生成する。続いて、処理部8は、図5に示すように、上記した2次元画像Gbおよび文字情報Ci1,Ci2を含んだ評価用情報画像Gaを表示部7に表示せる。
【0041】
この場合、評価用情報画像Gaには、XY方向において互いに異なる複数の測定位置における各給電効率を識別可能な表示形態で示す2次元画像Gbが含まれている。このため、この評価用情報画像Gaを視認することで、供給側電極101と受電側電極102との位置関係がどのようなときに給電効率が高いか(または、低いか)を容易に把握することができる。したがって、この測定装置1では、非接触給電装置を的確に評価することが可能となっている。
【0042】
また、給電効率が予め設定された複数の効率範囲のいずれに属するかによって各測定位置を分類し、各測定位置が存在する効率範囲毎のXY方向の各領域を特定し、各領域の表示形態を互いに異ならせた画像で2次元画像Gbが構成されている。このため、この測定装置1では、この2次元画像Gbを視認することで、供給側電極101と受電側電極102との位置関係がどのようなときに給電効率が高いか(または、低いか)を視覚的に一目で把握することができるため、非接触給電装置の評価を容易に行うことが可能となっている。
【0043】
また、XY方向における供給側電極101の移動範囲の面積と、給電効率が効率範囲に属するとの条件(予め決められた条件)を満たす測定位置が存在するXY方向の領域の面積との面積割合Raを示す文字情報Ci2が評価用情報画像Gaに含まている。このため、この測定装置1では、所望の給電効率を確保できる電極101,102の相対的な位置関係の範囲をこの文字情報Ci2および2次元画像Gbに基づいて容易に把握することが可能となっている。
【0044】
一方、操作部5を操作して、例えば、3次元画像Gcと面積割合Raを示す文字情報Ci2とを含む評価用情報画像Gaの表示を指示したときには、処理部8は、表示処理において、複数の2次元画像GbをZ方向に並べた3次元画像Gc(図6参照)を生成する。また、処理部8は、表示処理において、3次元画像Gcを構成する各2次元画像Gbについての面積割合Raを2次元画像Gb毎に特定し、その面積割合Raを示す文字情報Ci2(同図参照)を生成する。次いで、処理部8は、同図に示すように、上記した3次元画像Gcおよび文字情報Ci1,Ci2を含んだ評価用情報画像Gaを表示部7に表示せる。
【0045】
この場合、3次元画像Gcは、複数の2次元画像GbをZ方向に並べて構成されている。つまり、この3次元画像Gcは、1つの平面についての2次元画像Gbと、その1つの平面に直交するZ方向(1つの平面に直交する方向)の位置が異なる複数の他の平面(1または複数の他の平面(XY平面)の一例)内での互いに異なる複数の測定位置における各給電効率を識別可能な表示形態で示すように構成されている。このため、この測定装置1では、供給側電極101と受電側電極102との位置関係がどのようなときに給電効率が高いか(または、低いか)をZ方向の位置が異なる複数の平面について容易に把握することができる。したがって、この測定装置1では、非接触給電装置をより的確に評価することが可能となっている。
【0046】
このように、この測定装置1によれば、1つの平面内での互いに異なる複数の測定位置における各給電効率を識別可能な表示形態で示す情報(評価用情報画像Ga)を評価用情報として表示部に表示させることにより、この評価用情報画像Gaを視認することで、供給側電極101と受電側電極102との位置関係がどのようなときに給電効率が高いか(または、低いか)を容易に把握することができる。したがって、この測定装置1によれば、非接触給電装置を的確に評価することができる。
【0047】
また、この測定装置1によれば、給電効率が予め設定された複数の効率範囲のいずれに属するかによって各測定位置を分類し、各測定位置が存在する効率範囲毎のXY方向の各領域を特定し、各領域の表示形態を互いに異ならせた2次元画像Gbを評価用情報として表示させることにより、この2次元画像Gbを視認することで、供給側電極101と受電側電極102との位置関係がどのようなときに給電効率が高いか(または、低いか)を視覚的に一目で把握することができるため、非接触給電装置の評価を容易に行うことができる。
【0048】
また、この測定装置1によれば、Z方向(1つの平面に直交する方向)の位置が異なる複数の平面内での互いに異なる複数の測定位置における各給電効率を識別可能な表示形態で示す情報を価用情報として表示することにより、供給側電極101と受電側電極102との位置関係がどのようなときに給電効率が高いか(または、低いか)をZ方向の位置が異なる複数の平面について容易に把握することができる。したがって、この測定装置1によれば、非接触給電装置をより的確に評価することができる。
【0049】
また、この測定装置1によれば、XY方向における供給側電極101の移動範囲の面積と、給電効率が効率範囲に属するとの条件(予め決められた条件)を満たす測定位置が存在するXY方向の領域の面積との面積割合Raを示す文字情報Ci2を評価用情報として表示させることにより、所望の給電効率を確保できる電極101,102の相対的な位置の範囲をこの文字情報Ci2に基づいて容易に把握することができる。
【0050】
なお、測定装置は、上記の構成に限定されない。例えば、移動範囲と移動間隔とを設定することによって複数の測定位置を自動的に変更させつつ各測定位置毎に給電効率を連続測定させる例について上記したが、測定位置(XYZ座標)を1つずつ指定したり、指定した各測定位置毎に受電電力の測定を指示する構成を採用することもできる。
【0051】
また、非接触給電装置の供給側電極101を保持する供給側保持部21を移動機構23が移動させる構成例について上記したが、非接触給電装置の受電側電極102を保持する受電側保持部22を移動機構23が移動させる構成を採用することもできる。また、供給側電極101を保持する供給側保持部21、および受電側電極102を保持する受電側保持部22の双方を移動機構23が移動させる構成を採用することもできる。
【0052】
また、電気製品のバッテリーの充電に使用される非接触給電装置についての被測定量を測定して評価用情報を表示する例について上記したが、評価対象の非接触給電装置は、これに限定されない。例えば、電気自動車のバッテリーを充電するのに用いられる非接触給電装置を評価対象とすることもできる。
【0053】
また、上記の例では、受電側電極102に対する供給側電極101の姿勢を一定に維持して(供給側電極101をθ方向に回動させることなく)、供給側電極101をXYZ方向に移動させつつ被測定量を測定する例について上記したが、XYZ方向の位置を一定に維持して供給側電極101をθ方向に回動させつつ被測定量を測定し、各測定位置(回動位置)における給電効率を識別可能な表示形態で示す情報を評価用情報として表示させることもできる。
【0054】
また、θ方向への回動に加えてX方向、Y方向およびZ方向のうちの任意の1〜3方向に供給側電極101を移動させつつ被測定量を測定し、各測定位置(回動位置)における給電効率を識別可能な表示形態で示す情報を評価用情報として表示させることもできる。
【0055】
さらに、θ方向に加えて、φ方向(X方向の軸を中心とする回動方向)およびψ方向(Y方向の軸を中心とする回動方向)に供給側電極101を回動可能な移動機構を採用し、X方向、Y方向、Z方向、θ方向、φ方向およびψ方向のうちの任意の1〜6方向に供給側電極101を移動(回動)させつつ被測定量を測定し、各測定位置(回動位置)における給電効率を識別可能な表示形態で示す情報を評価用情報として表示させることもできる。
【0056】
また、表示部7を備え、その表示部7に評価用情報を表示させる構成例について上記したが、外部の表示部に評価用情報を表示させる構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0057】
1 測定装置
4 測定部
7 表示部
8 処理部
23 移動機構
101 供給側電極
102 受電側電極
Ci2 文字情報
Ga 評価用情報画像
Gb 2次元画像
Gc 3次元画像
Ra 面積割合
図1
図2
図3
図4
図5
図6