(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
貫通電極のような上下両面に電極を有する半導体チップは、一般的な半導体チップと異なり、
図16に示すように半導体チップC上面にも電極ETによる突起がある。このため、フリップチップボンダー50の熱圧着ヘッド57で吸着保持する場合、熱圧着ヘッド57のアタッチメント59と半導体チップC上面に隙間が生じる。この隙間は僅かであるので、アタッチメントに上下両面に電極(ET、EB)を有する半導体チップCを保持することは可能である。しかし、減圧状態の吸着穴590内部には、半導体チップC周辺の空気が入り込み続けることになる(
図17)。
【0007】
このため、未硬化樹脂Rを介して、上下両面に電極を有する半導体チップCを被接合物S(配線基板または配線基板上に上下両面に電極を有する半導体を積層したもの)に熱圧着する場合では、加熱により樹脂からアウトガスGが発生し、吸着穴内部590に吸引されることになる。このアウトガスGの中には有機成分等が含まれており、吸着穴590内部に入り込む過程において、アタッチメント59の吸着面や吸着穴590内部にアウトガス成分が付着する。このアタッチメント59の吸着面や吸着穴590内部へのアウトガス成分の付着は、熱圧着を繰り返すことにより徐々に蓄積され、アタッチメント59の吸着面を汚染したり、吸着穴590を詰まらせて吸着不良に至ることもある。
【0008】
また、加熱を繰り返すことで、付着したアウトガス成分が炭化物となり、この炭化物が吸着穴から半導体チップC上に落下して品質不良を引き起こす懸念もある。
【0009】
そこで、
図18のように、半導体チップC上面とアタッチメント59の吸着面との間の隙間をなくすために、アタッチメント59の吸着面に、半導体チップC上面の電極ETを収納するような凹部592を設けることが考えられる。
【0010】
ところが、半導体チップC上面の電極ETを収納するような凹部592を設けようとすると、凹部592は電極ETより容積的に大きくなるので、凹部592と電極ETの間に隙間が生じる。このような隙間が生じると、この凹部592においてアタッチメント59から半導体チップCへの伝熱が阻害され、半導体チップCの加熱が不十分となる。特に、上
下両面の電極に貫通電極を用いた半導体チップでは、下面の電極への加熱が不十分となってしまい、接合不良の原因となる。また、圧力が大きい場合は、凹部592の周辺で剪断応力TA(
図19)が生じて半導体チップにダメージを与えることにもなるので好ましくない。
【0011】
一方、アタッチメント59の吸着面が平坦であれば、半導体チップC上面に突出した電極ETにしか熱と加重が加わらないため、半導体チップC下側の未硬化樹脂Rの流動性が低くなり、半導体チップCと被接合物Sの電極間に樹脂が噛み込んだりボイドが発生して接合不良の原因になる。
【0012】
また、アウトガスGが発生する温度に到達する前に吸着を止めて、アウトガス成分の吸着穴590内への流入を防いでから加熱する方法も考えられるが、吸着穴590の内部と外部の差圧から半導体チップCに向かって気流が逆流するため、加熱時の樹脂の流動により半導体チップCが位置ズレする懸念がある。さらに、加熱開始を遅らせるとタクトタイムが長くなって生産性が低下する。
【0013】
本発明は、上記問題に鑑みて成されたものであり、上下両面に電極を有する半導体チップを、前記半導体チップの下側に配置され、上面に電極を有する被接合物に、接着剤を介した状態で熱圧着するのに際して、アウトガスによる弊害もなく、接合品質も確保した実装装置および実装方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
上下両面に
突起する電極を有する半導体チップを、前記半導体チップの下側に配置され、上面に電極を有する被接合物に、熱硬化性の接着剤を介した状態で熱圧着する実装装置であって、
前記半導体チップを吸着保持する仮圧着ヘッドを用いて、前記接着剤からアウトガスが発生しない温度で、前記被接合物上に仮圧着する仮圧着部と、
前記被接合物上に仮圧着された前記半導体チップを、加熱機能および加圧機能を有する本圧着ヘッドを用いて、前記半導体チップ下面の電極と前記被接合物上面の電極を接合するとともに前記接着剤を熱硬化させて、前記被接合物に本圧着する本圧着部とを備え
、
前記仮圧着ヘッドが前記半導体チップを吸着保持する面の外周が、前記半導体チップの外周より内側にあることを特徴とする。
【0015】
請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載の実装装置であって、
前記本圧着ヘッドと前記被接合物に仮圧着された前記半導体チップの間に樹脂シートを供給する、樹脂シート供給機構を備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載の発明は、
請求項2に記載の実装装置であって、
前記仮圧着された半導体チップ上面の電極を、前記樹脂シートに埋め込んでから本圧着することを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載の発明は、
請求項2または請求項3に記載の実装装置であって、
前記本圧着後に、前記本圧着ヘッド表面に前記樹脂シートを密着させた状態で、前記樹脂 請求項5に記載の発明は、
請求項4に記載の実装装置であって、
前記本圧着ヘッドと前記樹脂シートを離間させる移動手段を備えたことを特徴とする。
【0018】
請求項6に記載の発明は、
請求項1から請求項5の何れかに記載の実装装置であって、
前記仮圧着ヘッドの前記半導体チップを吸着保持する面に、前記半導体チップ上面の電極を収納する凹部を有していることを特徴とする。
【0019】
請求項7に記載の発明は、
請求項1から請求項6の何れかに記載の実装装置であって、
前記接着剤からアウトガスが発生しない温度として、前記接着剤の硬化開始温度より低い温度を設定することを特徴とする。
【0020】
請求項8に記載の発明は、
上下両面に
突起する電極を有する半導体チップを、前記半導体チップの下側に配置され、上面に電極を有する被接合物に、熱硬化性の接着剤を介した状態で熱圧着する実装方法であって、
前記半導体チップを吸着保持する仮圧着ヘッドを用いて、前記接着剤からアウトガスが発生しない温度で、前記被接合物上に仮圧着する仮圧着工程と、
前記被接合物上に仮圧着された前記半導体チップを、加熱機能および加圧機能を有する本圧着ヘッドを用いて、前記半導体チップ下面の電極と前記被接合物上面の電極を接合するとともに前記接着剤を熱硬化させて、前記被接合物に熱圧着する本圧着工程と
を有し、
前記仮圧着ヘッドが前記半導体チップを吸着保持する面の外周が、前記半導体チップの外周より内側にあることを特徴とする。
【0021】
請求項9に記載の発明は、
請求項8に記載の実装方法であって、
前記本圧着ヘッドと前記被接合物に仮圧着された前記半導体チップの間に樹脂シートを供給する工程を有することを特徴とする。
【0022】
請求項10に記載の発明は、
請求項9に記載の実装方法であって、
本圧着工程前に前記仮圧着された半導体チップ上面の電極を、前記樹脂シートに埋め込んでから本圧着することを特徴とする。
【0023】
請求項11に記載の発明は、
請求項9または請求項10に記載の実装方法であって、
前記本圧着工程後に、前記本圧着ヘッド表面に前記樹脂シートを密着させた状態で、前記樹脂シートを前記半導体チップから離間させることを特徴とする。
【0024】
請求項12に記載の発明は、
請求項11に記載の実装方法であって、
前記樹脂シートを前記半導体チップから離間させた後に、前記本圧着ヘッドから前記樹脂シートを離間することを特徴とする。
【0025】
請求項13に記載の発明は、
請求項8から請求項12の何れかに記載の実装方法であって、
前記半導体チップを吸着保持する面に、前記半導体チップ上面の電極を収納する凹部が形成された仮圧着ヘッドを用いて、前記半導体チップ上面の電極を収納した状態で仮圧着を行うことを特徴とする。
【0026】
請求項14に記載の発明は、
請求項8から請求項13の何れかに記載の実装方法であって、
前記接着剤からアウトガスが発生しない温度として、前記接着剤の硬化開始温度より低い温度を設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明により、上下両面に電極を有する半導体チップを、前記半導体チップの下側に配置され、上面に電極を有する被接合物に、接着剤を介した状態で熱圧着するのに際して、アウトガスが発生しない状態で半導体チップを被接合物上に仮固定してから、半導体チップを吸着保持する必要なくアウトガスが発生する温度以上に加熱するので、アウトガスによる弊害もなく、接合品質も確保した実装が行える。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る実装装置の全体構成を示す図である。
【
図2】本発明で対象とする半導体チップと被接合物について説明する図である。
【
図3】本発明の第一実施形態に係る実装装置の仮圧着ヘッドの構成を示す図である。
【
図4】(a)本発明の第一実施形態に係る実装装置の仮圧着ヘッドが半導体チップを吸着している状態を説明する図である(b)本発明の第一実施形態に係る実装装置の仮圧着ヘッドの変形例で半導体チップを吸着している状態を示す図である。
【
図5】本発明の第一実施形態に係る実装装置の本圧着ヘッドの構成を示す図である。
【
図6】本発明の第一実施形態に係る実装装置の制御構成を示す図である。
【
図7】本発明の第一実施形態に係る実装工程に用いられるNCFの温度と粘度の関係をグラフで示す図である。
【
図8】(a)本発明の第一実施形態に係る実装装置の仮圧着工程において半導体チップが被接合物に近接される状態を示す図である(b)同じく仮圧着工程において半導体チップの下面電極が被接合物に設けられているNCFに接触した状態を示す図である(C)同じく仮圧着工程で半導体チップを被接合物に仮固定した状態を示す図である。
【
図9】(a)本発明の第一実施形態に係る実装装置の本圧着工程において被接合物上に仮固定された半導体チップに本圧着ヘッドの本圧着用アタッチメントおよび樹脂シートが接近する状態を示す図である(b)同じく本圧着工程において本圧着用アタッチメントおよび樹脂シートが半導体チップに当接した状態を示す図である(c)同じく本圧着工程において半導体チップ上面の電極が樹脂シートに埋め込まれた状態を示す図である(d)同じく本圧着工程において半導体チップが熱加圧された状態を示す図である。
【
図10】(a)本発明の第一実施形態に係る実装装置の本圧着工程において熱圧着が完了した状態を示す図である(b)同じく本圧着工程後に本圧着用アタッチメントおよび樹脂シートが半導体チップから上方に移動した状態を示す図である(c)同じく本圧着工程後に本圧着用アタッチメントから樹脂シートを離間した状態を示す図である。
【
図11】(a)半導体チップの電極が樹脂シートに埋没したイメージ図である(b)半導体チップの電極が樹脂シートに埋没する一例を示す図である。
【
図12】本発明の第二実施形態に係る実装装置の全体構成を示す図である。
【
図13】(a)本発明の第二実施形態に係る実装装置の本圧着工程において被接合物上に仮固定された半導体チップに本圧着ヘッドの本圧着用アタッチメントが接近する状態を示す図である(b)同じく本圧着工程において本圧着用アタッチメントが半導体チップに当接した状態を示す図である
【
図14】従来のフリップチップボンダーの構成を示す図である。
【
図15】下面のみに電極を有する半導体チップを従来のフリップチップボンダーの熱圧着ヘッドが保持している状態を示す図である。
【
図16】上下両面に電極を有する半導体チップを従来のフリップチップボンダーの熱圧着ヘッドが保持している状態を示す図である。
【
図17】上下両面に電極を有する半導体チップを従来のフリップチップボンダーで熱圧着する際に発生するアウトガスについて説明する図である。
【
図18】従来のフリップチップボンダーで熱圧着ヘッドのアタッチメントに凹部を設けて上下両面に電極を有する半導体チップを保持する状態を示す図である。
【
図19】従来のフリップチップボンダー熱圧着ヘッドのアタッチメントに凹部を設けて上下両面に電極を有する半導体チップを熱圧着する際に生じる問題点を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
まず、
図1に示した本発明に係る一実施形態である実装装置1について説明する。以下の説明では仮圧着部2から本圧着部12へ被接合物Sを搬送する方向をX軸方向、これに直交するY軸方向、後述の仮圧着ヘッド7および本圧着ヘッド17の被接合物Sに垂直な移動方向をZ軸方向、Z軸を中心として回転する方向をθ方向として説明する。
【0030】
実装装置1で実装する半導体チップCは、
図2のように貫通電極により上下両面に電極を有しており、下面の電極EBは先端部にはんだBSを有するはんだバンプとなっており、上面の電極ETも上面から数μm程度突起している。被接合物Sは、
図2(a)に示すような基板S0、または
図2(b)に示すような配線基板S0に半導体チップCが積層されたものである。また、本実施形態において、半導体チップCと被接合物Sとを接着する接着剤として、熱硬化性樹脂を主成分とする非導電性フィルム(以下「NCF」と記す)を用いている。NCFは被接合物Sの表面に貼り付けられているものとするが、これに限定されるものではなく、半導体チップCの下面に貼り付けられていてもよい。さらに、接着剤として熱硬化性樹脂を主成分とする非導電性ペースト(以下「NCP」と記す)を用いてもよい。
【0031】
図1に示す実装装置1は、被接合物Sに半導体チップCを実装するものである。実装装置1は、仮圧着部2、本圧着部12、搬送機構21(
図6参照)および制御部23(
図6照)を備えている。
【0032】
仮圧着部2は、接着剤であるNCFによって被接合物Sに半導体チップCを仮圧着して仮固定するものである。仮圧着部2は、仮圧着用基台3、仮圧着用ステージ4、支持フレーム5、仮圧着ユニット6,仮圧着ヘッド7および仮圧着用画像認識装置10を備えている。
【0033】
仮圧着用基台3は、仮圧着部2を構成する主な構造体である。仮圧着用基台3は、仮圧着用ステージ4と支持フレーム5を支持している。
【0034】
仮圧着用ステージ4は、被接合物Sを保持しつつ、任意の位置に移動させるものである。仮圧着用ステージ4は、駆動ユニット4aに被接合物Sを吸着保持できる吸着テーブル4bが取り付けられ構成されている。仮圧着用ステージ4は、仮圧着用基台3に取り付けられ、駆動ユニット4aによって吸着テーブル4bをX軸方向およびY軸方向に移動できるように構成されている。すなわち、仮圧着用ステージ4は、仮圧着用基台3上において吸着テーブル4bに吸着された被接合物SをX軸方向およびY軸方向に移動できるように構成されている。なお、本実施形態において、仮圧着用ステージ4は、吸着により被接合物Sを保持しているがこれに限定されるものではない。
【0035】
支持フレーム5は、仮圧着ユニット6を支持するものである。支持フレーム5は、仮圧着用基台3の仮圧着用ステージ4の近傍からZ軸方向に向かって延びるように構成されている。
【0036】
仮圧ユニットである仮圧着ユニット6は、仮圧着ヘッド7をZ軸方向とθ方向に移動させるものである。仮圧着ユニット6は、図示しないサーボモータとボールねじから構成される。仮圧着ユニット6は、サーボモータによってボールねじを回転させることによりボールねじの軸方向の駆動力を発生するように構成されている。仮圧着ユニット6は、ボールねじの軸方向が被接合物Sに対して垂直なZ軸方向の駆動力(加圧力)を発生するように構成されている。仮圧着ユニット6は、サーボモーターの出力を制御することによりZ軸方向の加圧力である仮圧荷重Ftを任意に設定できるように構成されている。なお、本実施形態において、仮圧着ユニット6は、サーボモータとボールねじとの構成としたが、これに限定されるものではなく、空圧アクチュエータ、油圧アクチュエータやボイスコイルモータから構成してもよい。
【0037】
仮圧着ヘッド7は、半導体チップCを吸着保持して、仮圧着ユニット6の駆動力を半導体チップCに伝達するものである。仮圧着ヘッド7は、仮圧着ユニット6を構成している図示しないボールねじナットに取り付けられている。また、仮圧着ユニット6は、仮圧着用ステージ4と対向するように配置されている。また、仮圧着ヘッド7は、仮圧着ユニット6によってZ方向に移動されることで仮圧着用ステージ4に近接する。仮圧着ヘッド7の構成は
図3に示すが、仮圧着ヘッド7には、仮圧着ヒータ8、仮圧着用アタッチメント9が設けられている。
【0038】
図3に示す仮圧着ヒータ8は、半導体チップCを加熱するためのものであり、カートリッジヒータから構成されている。ただし、カートリッジヒータに限定されるものではなく、ラバーヒータ等、半導体チップCを加熱することができるものであればよい。また、仮圧着ヒータ8は、仮圧着ヘッド7に組み込まれているが、これに限定されるものではなく、仮圧着用ステージ4に組み込んで、仮圧着用ステージ4側から被接合物Sを介してNCFを加熱する構成でもよい。更に、仮圧着ヘッド7および仮圧着用ステージ4の両方にヒータを組み込んだ構成としても良い。
【0039】
仮圧着用アタッチメント9は、半導体チップCを保持するものである。仮圧着用アタッチメント9は、仮圧着ヘッド7に仮圧着用ステージ4と対向するように設けられている。仮圧着用アタッチメント9は、半導体チップCを位置決めしながら吸着保持できるように構成されている。また、仮圧着用アタッチメント9は、仮圧着ヒータ8によって加熱されるように構成されている。つまり、仮圧着用アタッチメント9は、半導体チップCを位置決め保持するとともに、仮圧着ヒータ8からの伝熱によって半導体チップCを加熱できるように構成されている。なお、仮圧着用アタッチメント9には、半導体チップCを吸着するための吸着穴90が設けられており、吸着穴90は減圧系91に連通されている。減圧系91を稼働することにより、吸着穴90内部は減圧され、仮圧着用アタッチメント9は半導体チップCを吸着保持する。ここで、
図3では吸着穴90は1個のみとなっているが、これに限定されるものではなく複数あってもよく、吸着する半導体チップCの大きさに応じて増やしてもよい。
【0040】
吸着穴90は、半導体チップC上面に突出した電極ETを避けた位置に設けることで、電極ETの頭頂部全面に加重を加えることができるため半導体チップC下面の電極EBに充分な力を加えることができる。
【0041】
なお、仮圧着用アタッチメント9の吸着穴90以外の部分の平面形状は、
図4(a)のように、平坦であっても半導体チップCの上面と下面の間で生じる気圧差により保持することが可能であるが、
図4(b)のように、半導体チップC上面の電極ETを収納するような凹部92を形成したものであってもよい。
図4(b)のように凹部92を形成すると、仮圧着用アタッチメント9の表面に、半導体チップCの上面が密着するので、吸着状態の半導体チップCが横ズレする可能性が低減する。なお、仮圧着工程では、はんだ溶融およびNCF硬化に必要な高温も、NCF硬化時の粘度を上回るような圧力も必要ないので、仮圧着用アタッチメント9に凹部92を設けても、半導体チップCに対する加熱不十分という問題や、剪断応力によるダメージという問題は生じない。
【0042】
ところで、仮圧着用アタッチメント9の半導体チップCを吸着する面の外周サイズは、、半導体チップCのサイズよりも小さくすることで、半導体チップCと被接合物Sの間からNCFがはみ出したとしても仮圧着用アタッチメント9に付着するという問題は生じない。仮圧着用アタッチメント9の各辺は、半導体チップCの各辺に対して0.1mmから0.5mm程度小さくすることが望ましい。
【0043】
仮圧着用画像認識装置10は、画像によって半導体チップCと被接合物Sとの位置情報を取得するものである。仮圧着用画像認識装置10は、仮圧着用ステージ4に保持されている被接合物S上面の位置合わせマークと、仮圧着用アタッチメント9に保持されている半導体チップC下面の位置合わせマークとを画像認識して、被接合物Sと半導体チップCとの位置情報を取得するように構成されている。なお、被接合物Sの位置合わせマークとは、被接合物Sが配線基板S0のみの場合は配線基板S0に記された位置合わせマークを用い、被接合物Sが配線基板S0上に半導体チップCが積層されたものである場合は、配線基板S0に記された位置合わせマークまたは積層された最上層の半導体チップCの位置合わせマークを用いる。
【0044】
図1に示す本圧着部12は、半導体チップC下面の電極と被接合物S上面の電極とをはんだの溶着により接合するとともにNCFを熱硬化し、半導体チップCを被接合物Sの上に固定するものである。本圧着部12は、本圧着用基台13、本圧着用ステージ14、支持フレーム15、本圧着ユニット16、本圧着ヘッド17、および本圧着用画像認識装置20を備えている。
【0045】
本圧着用基台13は、本圧着部12を構成する主な構造体である。本圧着用基台13は充分な剛性を有するように構成されている。本圧着用基台13は、本圧着用ステージ14と支持フレーム15とを支持している。
【0046】
本圧着用ステージ14は、被接合物Sを保持しつつ、任意の位置に移動させるものである。本圧着用ステージ14は、駆動ユニット14aに被接合物Sを吸着保持できる吸着テーブル14bが取り付けられて構成されている。本圧着用ステージ14は、本圧着用基台13に取り付けられ、駆動ユニット14aによって吸着テーブル14bをX軸方向、Y軸方向およびθ方向に移動できるように構成されている。すなわち、本圧着用ステージ14は、本圧着用基台13上において吸着テーブル14bに吸着された被接合物SをX軸方向、Y軸方向、θ軸方向に移動できるように構成されている。なお、本実施形態において、本圧着用ステージ14は、吸着により被接合物Sを保持しているが、これに限定されるものではない。
【0047】
支持フレーム15は、本圧着ユニット16を支持するものである。支持フレーム15は、本圧着用基台13の本圧着用ステージ14の近傍からZ軸方向に向かって延びるように構成されている。
【0048】
加圧ユニットである本圧着ユニット16は、本圧着ヘッド17を移動させるものである。本圧着ユニット16は、図示しないサーボモータとボールねじとから構成される。本圧着ユニット16は、サーボモータによってボールねじを回転させることによりボールねじの軸方向の駆動力を発生するように構成されている。本圧着ユニット16は、ボールねじの軸方向が被接合物Sに対して垂直なZ軸方向になるように支持フレーム15に取り付けられている。つまり、本圧着ユニット16は、Z軸方向の駆動力(加圧力)を発生できるように構成されている。本圧着ユニット16は、サーボモータの出力を制御することによりZ軸方向の加圧力である本圧荷重Fpを任意に設定できるように構成されている。なお、本実施形態において、本圧着ユニット16は、サーボモータとボールねじとの構成としたが、これに限定されるものではなく、空圧アクチュエータ、油圧アクチュエータやボイスコイルモータから構成してもよい。本圧着ユニット16の加圧力は、半導体チップCの電極の数や、被接合物Sとの電極同士の接触面積に応じて可変できるよう制御される。
【0049】
本圧着ヘッド17は、本圧着ユニット16の駆動力を半導体チップCに伝達するものである。本圧着ヘッド17は、本圧着ユニット16を構成している図示しないボールねじナットに取り付けられている。つまり、本圧着ユニット16は、本圧着用ステージと対向するように配置されている。つまり、本圧着ヘッド17は、本圧着ユニット16によってZ軸方向に移動されることで、本圧着用ステージ14に近接する。本圧着ヘッド17の構成を
図5に示すが、本圧着ヘッド17には、本圧着ヒータ18および本圧着用アタッチメント19が設けられている。
【0050】
樹脂シート供給機構22は、樹脂シート巻出部22Sおよび樹脂シート巻取部22Rを構成要素として、樹脂シート巻出部22Sに巻かれたテープ状の樹脂シートPを本圧着用アタッチメント19と半導体チップCの間に供給した後に樹脂シート巻取部22Rで巻取るものである。樹脂シート供給機構22には、樹脂シート巻出部22Sと樹脂シート巻取部22R以外に、樹脂シートPを安定に搬送するためのガイドロール等があってもよい。ここで、樹脂シートPとしては、柔軟性を有しつつ、耐熱性に優れ、半導体チップに対する防着性にも優れている材料が好ましく、この特性を備えた材料として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等のフッ素樹脂が好適である。また、厚みとしては、機械的強度を保持しつつも半導体チップへの熱伝導性も考慮して20〜50μm程度が好ましい。
【0051】
図5に示す本圧着ヒータ18は、半導体チップCを加熱するためのものである。本圧着ヒータ18は、カートリッジヒータから構成され、本圧着ヘッド17に組み込まれている。本実施形態において、本圧着ヒータ18はカートリッジヒータから構成されているが、これに限定されるものではなく、セラミックヒータ、ラバーヒータ等、半導体チップCを所定の温度まで加熱することができるものであればよい。
【0052】
本圧着用アタッチメント19は、樹脂シートPを介して半導体チップCを加圧するものである。本圧着用アタッチメント19は、本圧着ヘッド17に本圧着用ステージ14と対面するように設けられている。さらに、本圧着用アタッチメント19は、本圧着ヒータ18によって加熱されるように構成されている。つまり、本圧着用アタッチメント19は、半導体チップCを加圧すると同時に、本圧着ヒータ18からの伝熱によって加熱できるように構成されている。なお、仮圧着用アタッチメント9と異なり、本圧着用アタッチメント19は半導体チップCを吸着保持する必要がないので、吸着穴はなくてもよい。
【0053】
樹脂シートPにより、本圧着時に半導体チップCからNCFがはみ出しても本圧着用アタッチメント19に付着することがないので、本圧着用アタッチメント19は圧着面の外周サイズを半導体チップCよりも大きくすることができる。そのため、半導体チップCの周辺部まで全面に熱を伝えることができ、半導体チップC外周にはみだしたNCFのフィレット形状を安定させ、接合強度を高めることができる。また、半導体チップCを圧着する面の外周サイズを、実装のピッチサイズよりも小さくすることで、隣接半導体チップC間での干渉を抑えて本圧着を行うことができる。なお、本圧着用アタッチメント19には、効率よく熱を伝えるために50W/mK以上の熱伝導率を有する材料を用いることが好ましい。
【0054】
本圧着アタッチメント19は、本圧着ヒータ18と分離されていて脱着できる構成であれば、安価であり、交換することで複数品種に対応できて好ましいが、一体型の構造であってもよい。
【0055】
本圧着用画像認識装置20は、画像によって半導体チップCと被接合物Sとの位置情報を取得するものである。本圧着用画像認識装置20は、被接合物Sを構成する配線基板S0上面の位置合わせマークと、被接合物Sに仮固定された半導体チップC上面の位置合わせマークとを画像認識して、被接合物Sと半導体チップCとの位置情報を取得するように構成されている。
【0056】
搬送機構21は、仮圧着部2と本圧着部12との間で被接合物Sの受け渡しを行うものである。搬送機構21は、仮圧着部2の仮圧着用ステージ4で半導体チップCが仮圧着された被接合物Sを本圧着部12の本圧着用ステージ14に搬送できるように構成されている。
【0057】
搬送機構21には、被接合物Sをθ方向に回転させる機能を持たせてもよい。こうすることで、本圧着部12にθ方向に回転させる機構が不要となり、X方向およびY軸方向のみに移動する機構とすることで、剛性の高い本圧着用ステージ14にすることができ、高い荷重を受けることができ、多数の電極を有する半導体チップCの実装に対応できる。
【0058】
図6に示すように、制御部23は、仮圧着部2、本圧着部12および搬送機構21等を制御するものである。制御部23は、具体的には、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続される構成される構成であってもよく、あるいはワンチップのLSI等からなる構成であってもよい。制御部23は、仮圧着部2、本圧着部12および搬送機構21等を制御するための種々のプログラムやデータが格納されている。
【0059】
制御部23は、仮圧着用ステージ4と本圧着用ステージ14とに接続され、仮圧着用ステージ4と本圧着用ステージ14のX軸方向、Y軸方向、θ軸方向の移動量をそれぞれ制御することができる。
【0060】
制御部23は、樹脂シート供給機構22に接続され、本圧着アタッチメント19直下の樹脂シートPの搬送を制御することができる。
【0061】
制御部23は、仮圧着ヒータ8と本圧着ヒータ18とに接続され、仮圧着ヒータ8と本圧着ヒータ18との温度をそれぞれ制御することができる。特に、制御部23は、本圧着ヘッド17の加圧時における平均温度をNCFの硬化開始温度(後述の基準温度Ts)以上かつはんだの融点以上の温度からなる一定範囲内に維持することができる。
【0062】
制御部23は、仮圧着ユニット6と本圧着ユニット16とに接続され、仮圧着ユニット6と本圧着ユニット16のZ軸方向の加圧力をそれぞれ制御することができる。
【0063】
制御部23は、仮圧着用アタッチメント9の吸着穴90に連通した減圧系91に接続され、仮圧着アタッチメント9の吸着状態を制御することができる。
【0064】
制御部23は、仮圧着用画像認識装置10と本圧着用画像認識装置20に接続され、仮圧着用画像認識装置10と本圧着用画像認識装置20とをそれぞれ制御し、半導体チップCと被接合物Sとの位置情報を取得することができる。
【0065】
制御部23は、搬送機構21に接続され、搬送機構21を制御することができる。
【0066】
以下では、
図7から
図9用いて、本発明に係る実装装置1の仮圧着工程と本圧着工程について説明するが、まず、NCFの特性について説明する。
【0067】
図7に示すように、NCFは、その温度に応じて粘度が変動する。具体的には、熱硬化性樹脂を主成分として構成されるNCFは、樹脂の特性から定まる硬化開始温度である基準温度Ts未満の温度域においては硬化することなく、可逆的に温度上昇に伴って粘度が低くなる性質を示す。一方、NCFは、基準温度Ts以上の温度域においては硬化し、不可逆的に温度上昇に伴って、粘度が高くなる性質を示す。また、基準温度Ts未満ではアウトガスは殆ど発生しないが、基準温度Ts以上に加熱するとアウトガスが発生し易くなる。
【0068】
実装装置1は、仮圧着工程において、仮圧着部2の仮圧着用アタッチメント9に吸着保持した半導体チップCを仮圧着ヒータ8によって所定の仮圧温度Ttまで加熱する。ここで、仮圧温度Ttは、NCFを硬化させず、アウトガスも発生させないために基準温度Tsよりも低く設定されている。一方において、仮圧温度Ttが低すぎるとNCFの粘度が高いため、被接合物Sに半導体チップCを仮固定することが難しくなる。このため、基準温度Tsと仮圧温度Ttの差が40℃を超えることは好ましくない。すなわち、基準温度Tsと仮圧温度Ttの差は、0℃より大で40℃より小であることが好ましく、10℃以上で30℃以下に設定することが更に望ましい。具体的な設定値としては、NCFの組成によって異なるが、Ttを120℃以下にしておけばアウトガスの発生は殆どなく、更に望ましくは100℃以下が良い。
【0069】
図8(a)に示すように、実装装置1は、仮圧温度Ttに加熱された半導体チップCを仮圧着ユニット6によって被接合物Sに向かってZ軸方向に移動させる。
図8(b)に示すように、被接合物Sに向かって移動された半導体チップC下面の電極は、被接合物Sに貼られたNCFに接触する。半導体チップCは、下面電極EBがNCFに接触したことで、仮圧着ユニット6から仮圧加重FtがZ軸方向に加わる。
【0070】
半導体チップCは、仮圧着ヒータ8によって加熱されることで、半導体チップC下面の電極EB(および半導体チップCの下面)と接触したNCFの粘度が下がり、仮圧着ユニット6によって被接合物Sに向かって加圧される。そして、NCFが加圧荷重Ftにより変形していく。この際、半導体チップCには、仮圧加重Ftに対してNCFの粘性抵抗による反力が生じる。半導体チップCに生じるNCFの粘性抵抗による反力は、被接合物Sと半導体チップCとにはさみこまれたNCFの変形量に応じて増加する。このため、仮圧加重Ftで加圧されている半導体チップCは、仮圧加重Ftにつり合う粘性抵抗による反力が生じるNCFの変形量に到達するとZ軸方向の位置が定まる(
図8(c))。
【0071】
すなわち、仮圧着工程における半導体チップCのZ軸方向の位置は、仮圧加重FtとNCFの粘度によって定まる。したがって、実装装置1は、仮圧着部2において、仮圧着ユニット6による仮圧加重FtとNCFの粘度を設定するための仮圧着ヒータ8の温度とによって被接合物Sの電極ESと半導体チップC下面の電極EBとの間隔を所定範囲に調整することができる。
【0072】
この過程において、仮圧温度Ttは
図7における基準温度Tsよりも低いことからアウトガスは殆ど発生しない。このため、仮圧着用アタッチメント9の表面や吸着穴90の内部にアウトガスの成分が付着することもない。
【0073】
次に、本発明に係る実装装置1の本圧着工程について説明する、
図9に示すように、実装装置1は、本圧着工程において、本圧着ユニット16によって、樹脂シートPを介して本圧着用アタッチメント19を、被接合物Sに仮固定された半導体チップCの上面に突出した電極ETの頭頂部に当接させる(
図9(a)、
図9(b))。次いで、電極ETが樹脂シートPに埋没するまで押し込む(
図9(c))。半導体チップCは、本圧着ヒータ18によって本圧着用アタッチメント19、樹脂シートPを介して、半導体チップC全面にわたって所定の本圧温度Tpまで加熱される。これに伴って、半導体チップC下面の電極EBとNCFは加熱された半導体チップCの熱が伝わり、電極EB先端のはんだBSも含めて、半導体チップCと略同一の本圧温度TPに加熱される。ここで、本圧温度Tpは、基準温度Ts以上かつはんだBSの融点以上の一定範囲内に設定されている。すなわち、実装装置1は、NCFが硬化する温度域であってNCFが所定の本圧粘度(硬度)になるとともに、はんだBSが溶融するように本圧着ヒータ18の温度を制御している。
【0074】
実装装置1は、本圧温度Tpに加熱された半導体チップCを本圧着ユニット16によってZ軸方向に本圧加重Fpで加圧する。半導体チップCは、本圧着ユニット16によって被接合物Sに向かって加圧されることで、半導体チップC下面の電極EBと被接合物S上面の電極ESとの間隙をなくすように近接する(
図9(d))。
【0075】
この際、NCFは、基準温度TS以上に加熱されているため硬化が始まるとともにアウトガスを発生する。しかし、本圧着用アタッチメント19は半導体チップCを吸着する必要がなく、このため、アウトガスが半導体チップC上面と本圧着用アタッチメント19の間の隙間に引き込まれるようなことはなく、アウトガスが半導体チップCの上面や本圧着用アタッチメント19の表面には殆ど付着しない。
【0076】
本圧着工程での熱圧着が終了すると(
図10(a))、本圧着用アタッチメント19は樹脂シートPとともに上昇する(
図10(b))。樹脂シートPは本圧着後は半導体チップCの上面の突起電極ETが埋没した状態なので、本圧着用アタッチメント19のみを上昇させると、樹脂シートPが冷却され、収縮により電極ETから離間出来ない状態になるので、本圧着用アタッチメント19に密着した状態で上昇させるのが望ましい。その後、樹脂シートPを本圧着アタッチメント19の表面から離間させる(
図10(c))。樹脂シートPを本圧着アタッチメント19表面から離間することにより、樹脂シート供給機構22は、樹脂シートPの搬送を行う事が容易になる。なお、本圧着部12は、本圧着ユニット16又と樹脂シート供給機構22のZ軸方向の相対距離を移動させる図示しない移動手段を備えており、この移動手段により樹脂シートPと本圧着アタッチメント19の接近および離間を行う。
【0077】
なお、
図9(c)、9(d)および
図10(a)において、電極ETが樹脂シートPに埋没する状態を、
図11(a)のようなイメージ図で示しているが、実際には
図11(b)に一例を示すように電極ETの周囲には隙間PVが形成されている。ただし、隙間PVの周囲で樹脂シートPは半導体チップCの上面に密着しているので、圧着ヒータ18の熱は、アタッチメント19、樹脂シートPを介して、半導体チップCに伝わる。
【0078】
以下に、
図12を用いて、本発明の第二実施形態に係る実装装置30について説明する。なお、以下の実施形態において、既に説明した実施形態と同様の点に関しては、その具体的説明を省略し、相違する部分を中心に説明する。
【0079】
図12の実装装置30は、仮圧着部2において、被接合物Sに半導体チップCを一つずつ仮固定することに関しては実装装置1と同じであるが、本圧着部32において被接合物Sに仮固定された複数の半導体チップCを一括して熱圧着する機能を有している。実装装置30の本圧着部32は、本圧着用基台33、本圧着用ステージ34、支持フレーム35、本圧着ユニット36、本圧着ヘッド37、および本圧着用画像認識装置40を備えており、実装装置1の本圧着部12と同様な構成および機能を有している。また、本圧着ヘッド37に、本圧着ヒータ38と本圧着アタッチメント39が設けられている。更に、図示はしていないが、本圧着アッタチメント39の圧着面と半導体チップCの間に樹脂シートPを供給する樹脂シート供給機構も構成要素として含まれている。本圧着用アタッチメント39は、
図13(a)に示すように、半導体チップC単位で分割する構成となっている。また、被接合物Sおよび半導体チップCに厚さばらつきがあっても、複数の半導体チップCの加圧力を同等にするために、本圧着ヒータ38と本圧着用アタッチメント39の間に弾性体39aを挟みこんでいる。
【0080】
本圧着部32は、仮圧着された複数の半導体チップCを同じタイミング熱圧着するのであれば、1チップ毎に本圧着する本圧着ヘッドを複数配置した構成であってもよい。
【0081】
実装装置30の本圧着部32での半導体チップCの本圧着に際しては、実装装置1の本圧着部12吐同様に、樹脂シートPを介して本圧着用アタッチメント39を、被接合物Sに仮固定された半導体チップCの上面に突出した電極ETの頭頂部に当接させる(
図13(a)、
図13(b))。次いで、電極ETが樹脂シートPに埋没するまで押し込んでから(
図13(c))、本圧温度Tpに加熱する。
【0082】
一般的に、仮圧着工程よりも本圧着工程に要する時間が長い。このため、
図12の実装装置30では、第一実施形態の実装装置1と同様な作用効果が得られるとともに、複数の半導体チップを一括で本圧着することができるので、タクト短縮の効果も得られる。