(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の警告設定点温度値及び前記第2の警告設定点温度値は、前記第1及び第2の温度センサそれぞれの記憶ユニットにプログラムされた、所定値である、請求項3に記載の薬剤送達デバイス。
前記制御ユニットは、前記第2の温度値が所定の時間内に前記作用温度値へと調整されなかったことを決定するとすぐに、前記制御ユニットに連結された表示ユニットにエラー信号を送信する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の薬剤送達デバイス。
前記制御ユニットは更に、前記薬剤の前記検出された第2の温度の調整後に、前記制御ユニットに連結された記憶ユニットに、前記作用温度値を記憶する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の薬剤送達デバイス。
前記作用温度値の範囲は、前記薬剤の所望の前記作用温度のパーセンテージとなるようにプログラムされた上限値及び下限値を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の薬剤送達デバイス。
前記制御ユニットは、ユーザから起動信号を受信するとすぐに、前記薬剤を内包する前記カートリッジの温めの開始を指示する命令信号を前記ヒータに送信する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の薬剤送達デバイス。
前記識別システムは、前記カートリッジの存在を示すステータス信号を前記制御ユニットに送信するよう構成された、カートリッジセンサを更に含む、請求項12に記載の薬剤送達デバイス。
前記制御ユニットは、前記カートリッジタグが、前記タグセンサが受信する情報に基づいて可読であるかどうかを決定する、請求項15〜17のいずれか1項に記載の薬剤送達デバイス。
前記制御ユニットは更に、前記カートリッジタグが可読である場合に、前記カートリッジの識別を決定する、請求項15〜17のいずれか1項に記載の薬剤送達デバイス。
前記制御ユニットは、前記カートリッジタグから前記情報を受信するとすぐに、薬剤送達プロセスに関連する1つ又は複数のパラメータを構成する、請求項17〜21のいずれか1項に記載の薬剤送達デバイス。
前記検出された第2の温度値の調整は、前記カートリッジに配置されたタグから受信された温め期間情報に基づいて、所定の時間内に前記薬剤を温めるための、前記ヒータへの命令信号の送信を更に含む、請求項12〜23のいずれか1項に記載の薬剤送達デバイス。
前記制御ユニットは、前記薬剤の前記検出された第2の温度の調整後の作用温度値を、前記通信ユニットを介して、遠隔記憶ユニットに記憶する、請求項20に記載の薬剤送達デバイス。
前記制御ユニットは、前記温度制御システム及び前記識別システムのうちの少なくとも1つから受信した情報に基づいて、前記カートリッジの針が前記ハウジング内にある第1の位置から、前記針が前記ハウジングから遠位に延伸する第2の位置へと、前記カートリッジを移動させるように、前記カートリッジキャリアを制御する、請求項12〜25のいずれか1項に記載の薬剤送達デバイス。
前記制御ユニットは、前記薬物の前記検出された第2の温度値が前記薬剤作用温度値の範囲内にあると判定されたときに前記薬物を送達するように前記駆動制御機構を制御するように更に構成される、請求項1〜28のいずれか1項に記載の薬剤送達デバイス。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明は、温度センサ及び温度制御要素を組み込んだ、薬剤送達用の新規の自動注射器に関する。患者による家庭での薬剤の自己投与をますます可能とするデバイスの開発は、ヘルスケアのコストを削減し、患者のストレス及び不便性を低減し、医師、看護師及び他の介護者に対する要求を低減する可能性を有する。場合によっては、薬剤が特定の温度範囲内にあるか又は患者の体温と同一の温度付近であるときに上記薬剤を投与する場合、薬剤の有効性又は患者の快適性が改善される。更に、薬剤の温度は薬剤の粘度に関連し得、薬剤投与にはある程度の粘度が好ましい。同時に、少なくともいくつかの薬剤の貯蔵寿命は、薬剤を低温で保管した場合に増大する。適切な温度で薬剤が投与される蓋然性を増大させるために、本開示の自動注射デバイスは、薬剤及び/又は薬剤コンテナが指定された温度範囲内又は指定された温度を超える温度であることを決定できる要素を提供する。少なくとも1つの実施形態では、自動注射デバイスが、薬剤又は薬剤コンテナが上記指定された温度範囲内にないことを決定した場合、自動注射デバイスは:針シールドの除去;針の挿入;及び薬剤注射のステップのうちの1つ又は複数を患者が実施することを防止する。更なる実施形態では、自動注射器は更に温度制御要素を備え、これにより自動注射器は、温度が上記指定された範囲内となるまで、薬剤又は薬剤コンテナの温度に影響を及ぼすことができる。本発明のオート注射器は更に、カートリッジ又はシリンジ上に位置するカートリッジタグ/シリンジタグを解釈するよう構成してよい。このデータタグは、内包された薬剤に関連する情報を含んでよく、これは、オート注射器の動作への入力として役立ち得る。これは:送達のために使用されるシリンジ及び/又はカートリッジのタイプ;シリンジ及び/又はカートリッジのロット及び/又はシリアルナンバー;送達される薬剤のタイプ;送達される薬剤のシリアル及び/又はロットナンバー;送達される薬剤の使用期限;送達するべき薬剤の量;薬剤送達の速度;送達時の薬剤の温度;並びに自動注射器による薬剤の正確な送達に必要な他の動作パラメータの、識別及び通信を可能とする、識別システム又は識別センサシステムの組み込みによって達成できる。
【0043】
本発明の自動注射器は、単回使用デバイス又は再使用可能な自動注射器であってよく、更にウェアラブル自動注射器であってよい。より具体的には、本発明の実施形態は、駆動機構、注射シリンジ又は薬剤コンテナを利用して:安全キャップ又は針シールドの除去;針の挿入;薬剤の用量の送達;並びにシリンジ及び/又は針の引き込みのステップのうちの1つ又は複数を実施する、自動注射デバイスに関する。本発明はまた、温度センサ及び/又は温度制御要素を備える自動注射デバイス、並びにその使用方法にも関する。更に任意に、上記自動注射器は、ユーザへの針の注射及び薬剤用量送達の前に、薬剤投薬量の一部分をリザーバに吐出する等によって、用量体積を調整するよう構成してよい。
【0044】
温度センサ、温度制御要素、自動注射器、カートリッジ、又は本発明の構成部品の相対位置のいずれを説明するために本明細書で使用される場合、用語「軸方向の(axial)」又は「軸方向に(axially)」は、一般に長手方向軸「A」を指し、再使用可能な自動注射器は好ましくはこの長手方向軸「A」の周りに位置決めされるが、長手方向軸「A」の周りで対称である必要はない。用語「近位の(proximal)」、「後方の(rear)」、「後方へ(rearward)」、「後ろの(back)」又は「後ろ向きに(backward)」は一般に、プランジャロッド又は伝動組立体の方向の軸方向を指す。用語「遠位の(distal)」、「前方の(front)」、「前方へ(frontward)」、「凹んだ(depressed)」又は「前向きに(forward)」は一般に、針又は剛性針シールドの方向の軸方向を指す。用語「側方に(laterally)」は、長手方向軸「A」に対して垂直な平面内の方向を指す。用語「径方向の(radial)」は一般に、軸Aに対して垂直な方向を指す。
【0045】
本明細書において使用される場合、用語「ガラス」は、通常ガラスを必要とする医薬グレードの用途における使用に好適な他の同様の非反応性材料を含むと理解されるものとする。用語「プラスチック(plastic)」は、熱可塑性及び熱硬化性ポリマーの両方を含んでよい。熱可塑性ポリマーは、熱によってその原初状態へと再軟化させることができ、熱硬化性ポリマーはこれが不可能である。本明細書において使用される場合、用語「プラスチック」は主に、例えばポリエチレン及びポリプロピレンといった成形可能な熱可塑性ポリマー、又はアクリル樹脂を指し、これらは典型的には、硬化剤、充填剤、補強剤、着色料及び/又は可塑化剤といった他の成分も含有し、また熱及び圧力下で形成又は成形できる。本明細書において使用される場合、用語「プラスチック(plastic)」は、プラスチックと相互作用し得る、又はプラスチックから上記液体中に入る置換基によって劣化し得る治療用液体と、直接接触するような用途における使用が認められたガラス又はエラストマを含まない。用語「エラストマ(elastomer)」、「エラストマの(elastomeric)」又は「エラストマ材料(elastomeric material)」は主に、プラスチックより容易に変形可能であるものの、医薬グレード流体との併用が認められており、かつ溶出又はガス移動に容易には影響されない、架橋熱硬化性ゴムポリマーを指す。
【0046】
「流体(fluid)」は主に液体を指すが、液体中に分散した固体の懸濁液、及びカートリッジの流体内包部分内の液体中に溶解した、又はその他の様式で上記液体中に存在する、ガスも含んでよい。用語「薬剤(drug)」、「薬(medicine)」及び「医薬(medicament)」は、針又はカニューレを通してカートリッジから投与されるいずれの物質を指すために使用され、医薬物質に限定されず、例えばビタミン又はミネラルを含んでよい。
【0047】
本明細書において使用される場合、用語「自動注射器(automatic injector)」及び「オート注射器(auto‐injector)」は、同一の再使用可能なデバイスを指すことを意図しており、これは頭字語「RAI」によって表される場合もある。本明細書に記載の発明はまた、本明細書において詳述するようにウェアラブル注射器にも適用可能であり、用語「自動注射器」は本明細書において、上記ウェアラブル注射器を組み込むために使用される。
【0048】
まず
図1及び2に移ると、本発明の少なくとも1つの実施形態による自動注射器50が示されている。自動注射器50は、注射のためのシリンジ又はカートリッジ54、及び注射システムの様々な構成部品を受承及び支持するよう適合された、ハウジング52を含む。本発明の再使用可能な自動注射器50において、自動引き込み特徴部分を有するものを含む様々なカートリッジ54を利用してよい。例えば、一体型針引き込み機構を有する安全シリンジを、再使用可能な自動注射器50と共に使用してよい。安全シリンジの形態のこのようなカートリッジ54の一例を
図2に示し、これは、バレル56、針(図示せず)、剛性針シールド60、並びにプランジャシール64、プランジャロッド62及びプランジャヘッド68を含むプランジャ組立体を含む。図示されている実施形態では、カートリッジ54のバレル56は、標準的なバレル56の設計において一般に使用されるもの等の、拡張フィンガフランジ70を含む。カートリッジ54は、薬剤を事前充填でき、又はユーザによる使用時に、即ち再使用可能な自動注射器50内への配置の直前に、充填できる。カートリッジ54の代替実施形態は、単なる例として、プランジャシール64によって密閉されたバレル56を有するもののプランジャロッド62を有しないカートリッジ54を含んでよい。
【0049】
ハウジング52は任意に、カートリッジカバー72によって被覆されてよく、これは同様にいずれの適切な設計のものであってよい。自動注射器50のステータスをユーザが視認できるようにするために、カートリッジカバー72は全体的に又は部分的に半透明又は透明であってよい。あるいはカートリッジカバー72は全体的に又は部分的に不透明であってよい。
図1及び2のカートリッジカバー72は、支持されているカートリッジ54のバレル56に略隣接して配置された窓74を含み、これにより、薬剤送達のステータスをユーザが視認できる。任意に、窓74、又は上記窓に隣接するカートリッジカバー72の一部分は、薬剤送達前、薬剤送達中及び/又は薬剤送達後にカートリッジ54に内包されている薬剤の用量体積をユーザが識別できるようにするための、用量識別マーキングを有してよい。
【0050】
図示されている実施形態では、カートリッジカバー72はハウジング52にヒンジ留めされるが、代替的な構成を提供してもよい。例えばカートリッジカバー72又はハウジング52は、噛合突出部を含んでよく、カートリッジカバー72又はハウジング52のうちのもう一方は、上記突出部を受承するためのデテントを含んでよい。このような突出部及びデテントは、単独で、又はヒンジ構成と組み合わせて設けてよく、またハウジング52とカートリッジカバー72との間のいずれの適切な位置に設けてよい。このようなある実施形態では、
図3に示すように、噛合突出部78を有する遠位デテント76を、自動注射器50の遠位端に、又はその略近傍に配置してよく、これにより、カートリッジカバー72の遠位端がハウジング52に対して堅固に保持され、カートリッジカバー72とハウジング52との間の接触表面の略全体に沿って確実な閉鎖が提供される。ハウジング52及びカートリッジカバー72は別個の構成部品として形成してよいが、あるいはカートリッジカバー72及びハウジング52を、所謂リビングヒンジ(図示せず)によって連結された単一のユニットとして形成してもよい。
【0051】
自動注射器50は更に、ケーシング本体80を含んでよく、これは、ハウジング52に滑らかな外観を与える。ケーシング本体80は、ハウジング52を受承する内部チャンバを提示する、ハウジング52とは別個の構造体として形成してよく、又はハウジング52及びケーシング本体80は、単一のユニットとして形成してよい。自動注射器50がカートリッジカバー72を含む場合、カートリッジカバー72は、ケーシング本体80によってハウジング52に連結され得ることを理解されたい。即ちカートリッジカバー72は、ハウジング52を受承するケーシング本体80に連結してよい。ハウジング52及びカートリッジカバー72と同様、ケーシング本体80及びカートリッジカバー72は別個に、又は例えばリビングヒンジ(図示せず)によって接続される単一のユニットとして、形成してよい。
【0052】
図1〜4に示す実施形態では、カートリッジカバー72は、選択的に起動できるラッチ86によって、ハウジング52を覆う閉鎖位置に保持される。図示されている実施形態では、カートリッジカバー72は、ハウジング52の凹部90に受承される突出部88を含む。ラッチリリース92を側部へと摺動させるか又は押し下げることによって、カートリッジカバー72をハウジング52に対してラッチ係合又はラッチ係合解除できる。
【0053】
カートリッジセンサ645(
図6参照)は、カートリッジキャリア126内に位置決めしてよく、また任意に、カートリッジ54が再使用可能な自動注射器50のカートリッジキャリア126内に配置されたことを感知するために利用できる。図示されている実施形態では、カートリッジセンサはハウジング52の底部に配置されるが、交互に位置決めしてもよい。カートリッジセンサがカートリッジ54の存在を感知できるような、カートリッジキャリア126内のカートリッジ54の配置は、再使用可能な自動注射器50の起動を可能とする指標を提供でき、及び/又はオート注射器の様々な動作を起動できる。
【0054】
カートリッジセンサ645は、いずれの適切な設計のものであってよい。例えばカートリッジセンサは機械式センサであってよく、これにより、カートリッジキャリア内にカートリッジ54を配置することによって、機械式センサの変位が引き起こされる。あるいは、又は更に、カートリッジセンサ645は、電気センサ及び/又は電気機械式センサであってよく、これは、以下において議論するように、オート注射器50の主要プロセッサシステム又は制御ユニット605に好適に電気的に接続できる。
【0055】
更に、カートリッジセンサの作動は、カートリッジセンサが電気的なものであるか機械的なものであるかにかかわらず、自動注射器50の動作に関連付けることができ、これにより、例えばカートリッジセンサの作動によってカートリッジカバー72を閉鎖及びラッチ係合でき、又は自動注射器50の作動を可能とする信号がプロセッサに提供される。起動するとすぐに、プランジャキャリア138のプランジャ境界特徴部分がカートリッジ54のプランジャロッド62の近位端と接触又は隣接する正確な位置へと、モータ106が伝動組立体110に駆動ねじ114を駆動させる。あるいは、又は更に、カートリッジカバーセンサ615(
図6参照)を利用して、カートリッジカバー72の閉鎖又は開放を示してよい。カートリッジカバーセンサ615は、電気センサ及び/又は電気機械式センサであってよく、これは、以下において議論するように、オート注射器50の主要プロセッサシステム又は制御ユニット605に好適に電気的に接続できる。
【0056】
剛性針シールド60の除去を容易にするために、自動注射器50は、剛性針シールド60と係合する構造体を含んでよく、これにより、近位方向のカートリッジ54の移動によって剛性針シールド60の除去が起こる。任意に、針シールドセンサ625(
図6参照)を利用して、針シールドの除去を示してよい。針シールドセンサ625は、電気センサ及び/又は電気機械式センサであってよく、これは、オート注射器50の主要プロセッサシステム又は制御ユニット605に好適に電気的に接続できる。
【0057】
所望の注射パラメータに応じて、針を注射するとすぐに薬剤を即座に送達してよく、又はこれら2つの段階の間に一時的な遅延が存在してよい。このようなパラメータは、再使用可能な自動注射器50の動作にとって望ましいものとすることができるように、制御システムにプログラムしてよく、又はユーザが開始してよい。一例としては、このような遅延パラメータ及び/又はタイミングパラメータは、オート注射器制御システム600のタイマーユニット630に及び/又は記憶ユニット640にプログラムしてよい。
【0058】
自動注射器50は更に、起動ボタン501(
図5A参照)等の特徴部分を有するユーザインタフェース96を含んでよく、上記起動ボタン501を押し込むことによって、自動注射器50の動作又は他の動作性特徴部分の選択を開始できる。他の動作性特徴部分としては、単なる例ではあるが、カートリッジ54内で利用される針に基づく調整の識別、又はカートリッジ54内で搬送される医薬の体積、及び吐出される体積が挙げられ、これらについては以下で更に詳細に説明する。自動注射器50は更に、1つ又は複数のライト98、スピーカー(図示せず)等を含んでよく、これらは、自動注射器50の動作の状態を示す。いくつかの例では、ユーザは、音声命令によって自動注射器に動作入力を提供できると考えられる。このような例では、制御システムは、ユーザの音声命令を処理するためのマイクロフォン(図示せず)を含んでよい。
【0059】
ハウジング52は、いずれの適切な設計のものであってよく、一体型構造体として形成してよく、又は複数の構成部品を含んでよい。
図4を参照すると、ハウジング52は、上面に沿って又はハウジング52と関連する構造体に沿って、カートリッジ54を除去可能に支持するよう適合された、細長フレーム102である。ハウジング52は更に、自動注射器50の動作又は使用に関連する構造体のうちの1つ又は複数を支持してよい。より具体的には、
図4に示す実施形態では、ハウジング52は更に、ハウジング52内のカートリッジ54の構成部品の運動を制御する、駆動制御機構104を支持する。駆動制御機構104は、エネルギ源108によって給電されるモータ106によって動作させることができる。モータ106及びエネルギ源108は、ハウジング52上に支持されているものとして図示されているが、これらは他の様式で、例えばケーシング本体80内に支持することができる。エネルギ源108は、多数の異なる構成、並びに例えば使い捨てバッテリ、又は充電式及び再使用可能なバッテリを含む様々な源であってよい。伝動組立体110は、モータ106の回転運動を駆動制御機構104に連結する。
【0060】
以下で議論されるように、電気駆動ユニット610(
図6参照)をモータ106に及び/又は駆動制御機構104に電気的に結合することにより、オート注射器50の様々な構成部品の運動を制御してよい。更に、エネルギ源又はバッテリセンサ620(
図6参照)を利用して、エネルギ源108の動作能力(例えばバッテリの充電残量)を示してよい。本明細書に記載及び図示されている駆動制御機構104は、例示を目的としたものであり、この用途に好適ないずれの構成のものであってよい。例えばPCT出願国際公開特許PCT/US2013/049314(参照により全体が本出願に援用される)を参照。温度センサ520のステータスは例えば、主要制御ユニット605への入力として使用してよく、主要制御ユニット605は、温度センサ520のステータスに応じてモータ106を作動及び/又は停止させる。
【0061】
図2は、(ここではシリンジとして図示されているが、いずれのタイプの薬剤コンテナ又はカートリッジであってよい)カートリッジ54に、情報の機械可読タグ820が刻印又は貼付されている、本発明のある実施形態を示す。タグ820は例えば、バーコード、QRコード、無線周波数識別(radio‐frequency identification:RFID)タグ、近距離通信(near‐field communication:NFC)タグ、又は当業者に公知の他の同様のタグ若しくは通信プロトコルであってよい。簡潔性のために、用語「タグ(tag)」は、このような公知の機械可読ラベルを包含するために使用される。タグ820は、製造時、充填時、処方時、又は薬剤注射前の他のいずれの時点において、カートリッジ54上に配置してよい。少なくとも1つの実施形態では、タグ820は、スマートフォン、タブレットコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント(personal digital assistant:PDA)、ラップトップコンピュータ等を含む、このような用途に好適な遠隔デバイスによって読み取られるよう構成される。上記デバイスによって読み取られる情報、並びに/又は他の情報(例えばスキャンの日付及び時刻)は、上記遠隔デバイスに記憶してよく、又はWi‐Fiネットワーク、セルラーネットワーク若しくは他のいずれの手段によって、「クラウド(cloud)」ベースのストレージ等の遠隔メモリに転送してよい。タグ820の読み取り時に使用するために、並びに収集した情報を視認及び/又は編集するために、モバイルアプリ等のコンピュータプログラムを遠隔デバイスに記憶してよい。ユーザは、薬剤投与前又は後に、このような遠隔デバイスを用いて、タグ820に内包された情報を読み取ってよい。タグ820は、カートリッジ54上のいずれの位置に配置してよい。例えばタグ820は、バレル56、プランジャロッド62、又はプランジャヘッド68上に配置してよい。
【0062】
図2に示すように、カートリッジ54上のタグ820は、自動注射器50の構成部品であるセンサ810によって読み取ってよい。タグ820の読み取りは、針シールドの除去、針の挿入、薬剤送達及び針の引き込みのうちの1つ又は複数の実施を自動注射器に開始させる機構と同一の起動機構によって、起動してよい。あるいは、タグ820は、カートリッジ54の挿入後すぐに(例えばカートリッジセンサをトリガした後すぐに)自動的に読み取ってよく、又はタグ820は、何らかのユーザの操作時に読み取ってよい。センサ810は、自動注射器内に配置してよい。あるいは、又は更に、センサは、自動注射器のハウジング52又はケーシング本体80の外側に配置してよく、これにより、自動注射器を、以前に説明した遠隔デバイスと同様の様式で使用できる。一例として、センサ810は、自動注射器にカートリッジを挿入した後すぐに、又は自動注射器の動作中に、カートリッジを識別するための、カートリッジキャリアに隣接して位置する、RFIDセンサ又はアンテナ等の無線データセンサである。
図2、8A〜8E及び9に示すように、RFIDセンサ810は、自動注射器50に取り付け可能なセンサキャリッジ850上に位置する。あるいは、センサ810は、自動注射器50に直接設置してよい。自動注射器50のセンサ810によって読み取られるデータは、自動注射器50内に内包されるオンボードメモリに記憶してよく、又は無線で若しくは有線接続によって転送して、外部若しくは遠隔デバイスメモリに記憶してよい。一実施形態では、記録されたデータは、
図6を参照して議論されるように、オンボードメモリストレージ640に記憶される。メモリストレージ640は任意に、フラッシュメモリ源、ソリッドステートメモリ源、SDメモリ源、ハードディスク記憶デバイス、又はこの用途に好適ないずれの記憶手段であってよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、この情報は後に、患者又は医師、看護師若しくは介護者によって、コンピュータ又はサーバにアップロードされる。一実施形態では、自動注射器は、USB、TCP/IP若しくはイーサネット(登録商標)ケーブル、及び/又はいずれの好適な無線若しくは有線接続といった接続を用いて、パーソナルコンピュータ(PC)、ラップトップ、又は他の計算デバイスに接続される。任意に、この情報は、自動注射器50から取り外し可能なSDメモリ源等のメモリストレージ640に記憶してよい。自動注射器50からメモリ記憶ユニット640を取り外すとすぐに、メモリ記憶ユニット640を、ラップトップ又はデスクトップコンピュータ等の外部デバイスに挿入又は接続してよく、これにより、メモリストレージ640から上記外部デバイスにデータを転送できる。あるいは、又は更に、自動注射器50は、無線接続を用いて、外部デバイスに又は遠隔メモリストレージに無線接続してよい。
【0064】
1つ又は複数の実施形態では、機械可読タグ820は、薬剤コンテナ若しくはシリンジ及び/又は薬剤に関する情報を内包する。この情報としては例えば、薬剤コンテナ又はシリンジのシリアル又はロットナンバー、薬剤コンテナ又はシリンジの製造日、薬剤のタイプ、充填日、薬剤のシリアル又はロットナンバー、コンテナ内に内包される薬剤の体積、薬剤の使用期限等が挙げられる。任意に、複数の機械可読タグが薬剤コンテナ又はシリンジ上に存在してよい。第1のタグは、シリアル/ロットナンバー、製造日等を含む、薬剤コンテナ又はシリンジに関する情報を内包してよい。追加のタグは、薬剤に関する情報を内包してよい。このようにして、第1のタグをシリンジ又は薬剤コンテナの製造時に、又は製造時付近に添付してよく、第2のタグを薬剤充填時に、又は薬剤充填時付近に添付してよい。提案された又は必要な薬剤送達速度、薬剤又は薬剤コンテナの提案された又は必要な送達時温度、自動注射器及び/又は薬剤の一意ID等といった追加の情報が含まれていてもよい。主要制御ユニット605は、この情報を用いて、様々な動作パラメータを設定してよい。いくつかの実施形態では、他の機械又はデバイス(例えば携帯電話デバイス)によって使用できる又は読み取ることができるように、追加のタグを使用してよい。
【0065】
データの送信が提供される全ての実施形態において、未承認ユーザによって情報にアクセスされるリスクを低減するために、データの送信を暗号化してよい。この暗号化は、患者の識別情報及び医療記録を保護するため、並びに/又は薬剤若しくは薬剤送達デバイスに関する占有情報を保護するために、実装してよい。更に、暗号化によって偽造が困難になり得る。自動注射器が記録した情報は、患者及び/又は医師、看護師若しくは介護者が遠隔地からアクセスできるサーバ上に記憶してよい。患者が診察室を訪問する際にこの情報にアクセスしてよく、これにより医師は患者のコンプライアンスのレベルを判断できる。あるいは、又は更に、医師が患者のコンプライアンスを評価するために、このデータにいつでもアクセスしてよく、これにより医師は、患者が処方された治療に従っていない場合に患者に強制させることができる。任意に、薬剤の製造者若しくは設計者、及び/又は薬剤コンテナの製造者若しくは設計者が、このデータにアクセスしてもよい。本開示のデータ記録及び送信特徴部分は、単回使用を意図した自動注射器、再使用されることを意図した自動注射器、及びウェアラブル自動注射器に組み込んでよい。このデータの一部分を、エンティティ(例えば製造者、医師)の識別情報に基づいてアクセスできるようにすることが考えられる。即ち、ある主体は、当該主体に提供されたアクセス特権に基づいて、データの特定の部分にしかアクセスできない。これにより、デバイス50が記憶又は転送するデータに対して、更なる安全性及びプライバシーを提供できる。
【0066】
本発明の一実施形態を
図5Aに示す。この実施形態では、オート注射器50は、温度制御要素650を含む。温度制御要素650は、薬剤コンテナ又は薬剤カートリッジ54に隣接又は近接して位置決めしてよい。一例では、温度制御要素650を用いて、薬剤又は薬剤コンテナ54の温度を、ある温度値範囲とする。例えば上記温度値範囲は、薬剤の作用温度値の範囲であってよい。タグ820に内包される情報は、薬剤の作用温度に関連する情報を含んでよい。温度制御要素650としては、ポリエステル可撓性ヒータ、厚膜金属ヒータ、シリコーンヒータ、又は抵抗性ポリイミドヒータが挙げられるが、これらに限定されない。少なくとも1つの実施形態では、温度制御要素650は抵抗性ポリイミドヒータである。この実施形態では、薬剤カートリッジに隣接又は近接して位置決めされた導電要素を、電流が通過する。上記導電要素は例えば、導電性フレックス回路から構成してよい。あるいは、温度制御要素650は白熱光であってよい。上記白熱光から発せられた熱を用いて、薬剤カートリッジ54又は薬剤カートリッジが内包する薬剤を加熱してよい。温度制御要素650は更に、当業者に公知の、いずれの加熱要素、又は同一のタイプ若しくは異なるタイプの複数の加熱要素の組み合わせであってよい。温度制御要素は、誘導加熱、放射加熱又は対流加熱を提供するよう設計してよい。温度制御要素650は、可撓性ケーブルコネクタ550を介して、オート注射器50のマイクロプロセッサ(例えば制御ユニット605)に接続してよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、オート注射器50は1つ又は複数の温度センサ520を含む。
図5A〜5Bに示すように、一実装形態では、温度センサ520は更に、温度センサ‐A655及び温度センサ‐B660を含む。温度センサ‐A655及び温度センサ‐B660(又は温度センサ520)は、薬剤コンテナ54及び温度制御要素650に隣接又は近接して位置決めされ、薬剤コンテナを設置した場合に薬剤コンテナ54に接触してよく、又は接触しなくてもよく、また温度制御要素650に接触又は近接していてよい。センサ520は、アクティブセンサ又はパッシブセンサであってよい。温度センサ520は、この用途に好適ないずれの形態を取ってよい。例えば温度センサ520は、赤外線温度計タイプのセンサであってよい。これらのセンサは、ある距離から物質の温度を測定できる。この特徴は、温度センサ520の位置決めの柔軟性を増大させることができる。あるいは温度センサ520は、無線周波数識別(RFID)センサであってよく、これは、薬剤コンテナ54内又は薬剤コンテナ54上に位置するRFIDチップが送信する温度情報を受信できる。このようなRFID温度センサは、データタグ820を読み取るために使用できるセンサ810と同様のものであってよく、また少なくとも1つの実施形態では、これら2つのセンサの機能性は、1つのセンサが両方の動作を実施することによって達成してよい。あるいは温度センサ520は、薬剤コンテナ又は薬剤の温度に基づいて外観を変化させる薬剤コンテナの一部分の外観を判別するよう構成された、光センサであってよい。例えば色変インクのストリップを薬剤コンテナ上に配置してよい。薬剤又は薬剤カートリッジの温度が所定の温度範囲に到達すると、インクは第1の色から第2の色へと外観を変化させる。温度センサ520は、この温度の変化を検出するよう構成してよい。いくつかの実施形態では、温度センサ520は、上述のような異なるタイプの複数の温度センサの組み合わせを含んでよいことが考えられる。
【0068】
一実施形態では、温度センサ520は、薬剤カートリッジ54及び温度制御ユニット650に隣接又は近接して設置された、熱電対又はサーミスタ(即ち温度によって抵抗が大幅に変化する抵抗器)であってよい。サーミスタは、サーミスタの抵抗がある特定の範囲にある場合に特定の特徴を有するように構成された、電気回路の構成部品であってよい。この範囲は、薬剤の及び温度制御要素650の作用及び/又は非作用温度に関連するように設計してよい。熱電対又はサーミスタセンサ520は、薬剤及び/又は温度制御要素650の温度がそれぞれの指定された範囲内であることを温度センサ520が検出した場合にオート注射器50の特定の動作を実行又は防止する、マイクロプロセッサ(例えば
図6の605)に接続してよい。以下に詳細に説明するように、いくつかの実施形態では、温度センサ‐A又はヒータ温度センサ655は、温度制御要素650に近接して位置決めしてよく、また、温度制御要素又はヒータ650の温度を検出するよう構成してよい。温度センサ‐B又は薬剤温度センサ660は、薬剤及び/又は薬剤コンテナ54に近接するように位置決めしてよく、薬剤の温度を検出するよう構成してよい。
【0069】
図5Bは、温度制御要素650及び温度センサ655、660の構成の一実施形態の展開図である。温度センサ655、660及び温度制御要素650は、ライナー540上に取り外し可能に位置決めしてよい。これらの構成部品(655、660、650及び406)は、ハウジング52又はカートリッジキャリア126に適合してこれらの中に嵌合するように構成してよく、キャリッジベッド530上に静置されてよい。キャリッジベッド530は、1つ又は複数の可撓性クリップ535を含んでよく、上記可撓性クリップ535は、ハウジング52の凹部537に係合して、キャリッジベッド530をハウジング52に確実に添付してよい。
【0070】
ヒータ650は、可撓性フラットケーブル(flexible flat cable:FFC)コネクタ550等の電気延長ケーブルを含んでよい。このようにして、(例えば温度センサが温度制御要素又はヒータ650と一体の部分である場合に)ヒータ650及びセンサ655、660を自動注射器の制御ユニット605に接続してよい。あるいはヒータ650及び温度センサは、それぞれのコネクタによって制御ユニット605に接続してよい。ヒータ650及び温度センサ520は、はんだ付けワイヤ接続によるものを含む当業者に公知のいずれの手段によって、制御ユニット605に接続してよい。
【0071】
温度センサの精度は、薬剤カートリッジ54が内包する薬剤、及びヒータ650の要件に対応するように選択してよい。好ましくは、上記精度は少なくとも±1℃である。
図5Bに示すように、1つ又は複数の温度センサが、ヒータ650の上面上(即ち薬剤コンテナに近接した表面上)に位置していてよい。一例では、(1つの温度センサ‐B660の代わりに)複数の薬剤温度センサ660をこの表面上で利用することによって、薬剤コンテナ54及び/又は薬剤の温度を2箇所以上の位置において測定してよく、これにより、自動注射器50が、薬剤及び/又は薬剤コンテナ全体が所望の作用温度に到達したことを決定できるようにすることができる。更にこれにより、複数のセンサのうちの1つが故障した場合に冗長性を提供できる。上述のように、温度センサ660及び655は、ヒータ650に組み込まれた電気的接続を通して、制御ユニット605に接続してよい。
【0072】
任意に、カートリッジ54と、温度制御要素又はヒータ650の上面との間に、ポリイミドテープ(図示せず)を利用して、ヒータ及び電気的接続を保護してよい。ポリイミドテープは更に、温度センサ及び制御組立体(例えばオート注射器50の制御システム600の構成部品)を位置決め及び/又は固定するために使用してよい。更に、又はあるいは、温度センサ及びコントローラ組立体の構成部品を、接着剤及び機械的締結具(例えばねじ、リベット、ピン等)を含むいずれの手段によって、キャリッジベッド530上に固定及び/又は位置決めしてよい。任意に、絶縁テープ(図示せず)を用いて、キャリッジベッドに移動する熱を最小化することによって薬剤の加熱速度を増大させてよく、これにより熱を薬剤カートリッジ54へと配向する。
【0073】
ヒータ650は、薬剤又は薬剤カートリッジ54への熱の制御された印加を可能とする、エッチド箔(etched foil)加熱要素を内包してよい。ヒータ650は可撓性であってよく、ハウジング52又はカートリッジキャリア126の輪郭に適合でき、これによりヒータ650は薬剤カートリッジ54の輪郭にも適合することによって、薬剤カートリッジの周縁部にわたって熱を印加できる。ライナー540を発泡材料から構成することによって、保護及び/又は追加の絶縁を提供してよい。ライナー540は、ライナーをキャリッジベッド及び/又は温度制御要素650に添付するための1つ又は複数の接着層を含んでよい。ライナー540は更に、カートリッジ54の輪郭に適合できる、適合性材料の層を含んでよい。これにより、センサ655、660及び温度制御要素650がカートリッジに近接することを保証できる。上記適合性層は、エラストマ性、発泡性、又は他の適合性材料から構成してよい。
【0074】
いくつかの他の実施形態では、自動注射器50は、外部加熱デバイスを備えてよい。この別個の加熱デバイスは、自動注射器のバッテリを充電するために使用される充電ベースに関連付けられていてよい。このようにして、ユーザは、薬剤コンテナを自動注射器50に挿入する前に、上記別個の加熱デバイス上に薬剤コンテナを配置してよく、又は上記別個の加熱デバイスに薬剤コンテナを取り付けてよい。更に温度センサを上記外部加熱デバイスに関連付けてよく、これは、薬剤又は薬剤コンテナが指定された温度に到達した時点をユーザに示すために使用できる。あるいは、上述のような色変インクを薬剤コンテナに塗布してよい。薬剤又は薬剤コンテナが指定された温度範囲に到達すると、上記色変インクの外観は第1の色から第2の色へと変化し、これによりユーザに、薬剤又は薬剤コンテナが上記指定された温度範囲にあることの視覚的指標が提供される。
【0075】
更に、
図1、5A〜5Bに示すように、いくつかの実施形態では、オート注射器50は表示ユニット635を含んでよい。この表示ユニットは、液晶ディスプレイ(LCD)薄膜トランジスタ(TFT)であってよい。表示ユニット635は、視覚的情報(例えば通知)をユーザに提供するために文字列及び/又は図形を表示するよう構成してよい。ユーザはまた、(例えば起動ボタン501によって)オート注射器に入力を提供することによって、上記通知に対する応答を提供してよい。いくつかの実装形態では、ユーザは、表示ユニット635を用いて、ユーザのタッチによって及び/又はスタイラスによって入力を提供することにより、オート注射器50と対話してよい。このような実装形態では、表示ユニット635は更に、容量性又は抵抗性オーバレイを含んでよい。表示ユニット635が受信した入力は、オート注射器50の動作を実行するために、オート注射器制御システムによって処理してよい。
【0076】
オート注射器は更に、自動注射器50の動作、又は他の動作性特徴部分の選択を開始するために押すことができる、起動ボタン501を含んでよい。
【0077】
更に、再使用可能な自動注射器50は、自動注射器50の様々な動作のタイミング及びパラメータを制御するために使用できる、1つ若しくは複数の制御システム(例えば制御システム600)又は制御ユニットを含んでよい。一例では、オート注射器制御システムは、オート注射器50の様々なセンサ及び構成部品に連結できる、オート注射器制御ユニット又は主要制御ユニット605を含んでよい。従って、オート注射器の制御システムの動作は、(
図5Bに示すような)温度センサ520等の1つ若しくは複数のセンサからのフィードバック、又はユーザインタフェース96若しくは起動ボタン501を用いてユーザから、若しくは表示ユニット635から受信した入力に基づくものであってよい。例えば自動注射器50は、ハウジング52に向かうカートリッジカバー72の閉鎖又はラッチリリース92の位置に関連する特徴部分を含んでよい。動作中(例えば薬剤の温めセッション中)の自動注射器50の偶発的な作動の機会を最小化するために、カートリッジカバーセンサ615を利用して、カートリッジカバー72が開放されているか閉鎖されているかを信号送信してよく、これにより制御システムは、カートリッジカバー72が閉鎖されていない場合の作動(例えば薬剤の温めの開始)を防止できる。同様に制御システムは、内部構成部品が1つ若しくは複数の特定の位置にない場合、及び/又は薬剤温め期間中に、カートリッジカバー72の開放、即ちラッチリリース92の運動を防止してよい。
【0078】
オート注射器50の制御ユニット605は、温度センサのうちの1つ(例えば薬剤温度センサ‐B660)が、薬剤の温度が指定された作用温度範囲内にないことを検出した場合、及び/又はヒータ温度センサ655が、ヒータ650の温度が警告点温度である、若しくはそれを超える、若しくはそれ未満であることを検出した場合に、自動注射器の動作を停止させるよう構成してよい。一例では、(駆動ユニット610による)機械的インターロックは、温度センサ520に接続された、又は温度センサ520から入力を受信する電子回路(例えば制御ユニット605)によって操作可能であってよい。第1の位置では、上記機械的インターロックは、針の挿入及び/又は針シールドの除去等の1つ又は複数の動作を起動できなくするよう構成してよい。第2の位置では、上記機械的インターロックは、起動が制限されないような方法で構成してよい。温度センサ660が、薬剤又は薬剤コンテナが指定された温度範囲内にあることを検出すると、制御ユニットは、機械的インターロックを第1の位置から第2の位置へと(例えば駆動ユニット610によって)変化させてよく、これによって自動注射器を起動できる。
【0079】
自動注射器50は更に、オーバライド機構を備えてよく、これにより、センサ660が、薬剤又は薬剤コンテナが薬剤の作用温度範囲内にないことを検出した場合に、ユーザが自動注射器50を起動できる。
【0080】
自動注射器50又はオート注射器50の制御ユニット605は、薬剤及び/又はヒータ650の温度を示すよう構成してよい。従って(制御ユニット605に連結された)表示ユニット635は更に、温度ステータスインジケータとして動作してよい。更に、表示ユニット635は、薬剤が作用温度範囲内にあるかないか等、温度及び薬剤の温めプロセスに関連する通知をユーザに提供してよい。一例では、温度センサ及び/又は制御ユニットが、薬剤の温度が指定された作用温度範囲内にあると決定した場合に、ライト(例えば発光ダイオード(LED))(図示せず)を発光させてよい。
【0081】
更に、又はあるいは、オート注射器50は、薬剤が指定された温度範囲内にあることの可聴警告をユーザに提供するためのスピーカー(図示せず)を備えてよい。
【0082】
様々な薬剤の作用温度範囲は、以下に説明するようにオート注射器50の製造プロセス中に、管理者によって設定され、オート注射器50の記憶ユニットに記憶させてよい。あるいは、作用温度範囲はタグ820に内包されてよく、タグ820からオート注射器が受信してよい。
【0083】
一実施形態では、温度センサ660及び/又は温度センサ655は、(例えば制御ユニット605から命令信号を受信した際に)能動的に温度を測定する第1の状態と、能動的に温度を測定しない第2の状態とを有するように構成してよい。例えば温度センサ660、655は、薬剤カートリッジ54がカートリッジキャリア126に挿入されるとすぐに、第2の状態から第1の状態へと変化してよい。これはカートリッジセンサ645をトリガでき、これにより、薬剤を内包するカートリッジ54の存在を示すステータス信号が制御ユニット605に送信される。次に制御ユニット605は、温度センサに、第2の状態から第1の状態へと切り替えて、カートリッジセンサ信号及びカートリッジカバー信号に基づいて温度の検出を開始するよう命令してよい。しかしながら、薬剤カートリッジが検出されない場合、温度センサは第2の状態であってよい。第2の状態にある場合、温度センサが消費する電力は、第1の状態にある場合よりも少なくてよい。薬剤コンテナが設置されていない場合に温度センサを第2の状態とすることにより、自動注射器50のバッテリ寿命を増大させることができる。
【0084】
これより、
図6を参照して、オート注射器の例示的なオート注射器制御システムの詳細を提供する。
【0085】
図6は、オート注射器50が含んでよい制御システム600を示す。制御システム600は、オート注射器50の1つ又は複数のセンサ、タイマー及び記憶ユニットに接続された、1つ又は複数の制御ユニットを含んでよい。
【0086】
いくつかの実装形態では、制御システム600は、温度制御システムとして構成してよい。このような実装形態では、温度制御システムは、薬剤を内包するカートリッジの温度を感知及び制御するよう構成してよい。温度制御システムは、システム600の全ての要素を含んでも含まなくてもよく、及び/又は追加の要素を含んでよい。一例では、温度制御システムは、オート注射器50用に構成してよい。
【0087】
いくつかの他の実施形態では、制御システム600は、識別システムとして構成してよい。このような実装形態では、上記識別システムは、カートリッジの存在を識別及び/又は検出し、カートリッジ及び/又はカートリッジタグから情報を通信及び/又は取得するよう構成してよい。識別システムはシステム600の全ての要素を含んでも含まなくてもよく、及び/又は追加の要素を含んでよい。ひとつの例では、上記識別システムはオート注射器50のために構成され得る。更に、いくつかの例では、オート注射器50は、温度制御システム及び識別システムを含むがこれらに限定されない1つ又は複数の制御システムを含んでよく、またオート注射器の動作のための追加の要素を含んでよい。従って制御システム600は、温度制御システム、識別システム又はこれら両方のための制御システムを組み込んでよく、またこのような制御システムであってよく、また同様に他の別個の制御システムを組み込んでよい。
【0088】
いくつかの実施形態では、制御システム600は、主要制御ユニット605を含んでよい。主要制御ユニット605は、1つ若しくは複数のコントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、又は特定用途向け集積回路(ASIC)を含んでよい。主要制御ユニット605は、ハードウェア、又はハードウェアと、命令によってプログラムできるソフトウェアとの組み合わせとして、実装してよい。主要制御ユニット605は、例えば駆動ユニット610、カートリッジカバーセンサ615、エネルギ源センサ620、針シールドセンサ625、タイマーユニット630、表示ユニット635、記憶ユニット640、カートリッジセンサ645、ヒータ温度センサ又は温度センサ‐A655、薬剤温度センサ又はセンサ‐B660、ヒータ又は温度制御ユニット650、タグセンサ810、通信ユニット680、及びトランシーバ830に対して、信号又はデータを送受信することによって、通信するよう構成してよい。主要制御ユニット605は、1つ又は複数の制御システムの様々な要素が収集又は監視しているデータを処理及び解釈することによって、オート注射器50の様々な機能及び動作を決定及び実行してよい。
【0089】
主要制御ユニット605は、温度センサ655、660等の個々のセンサからフィードバックを受信し、温度制御ユニット650の特定のアクティビティを発生させるよう、構成してよい。更に制御ユニット605は、駆動ユニット610によって、1つ又は複数の温度センサからの変動するフィードバックに基づいて、モータ106及び伝動組立体110の特定のアクティビティを発生させるよう、構成してよい。
【0090】
少なくとも1つの実施形態では、主要制御ユニット605は、伝動組立体110及びユーザインタフェース96に隣接する、自動注射器50の近位端に位置する。
【0091】
本発明のいくつかの実施形態によると、主要制御ユニット605は、投与される薬品の用量を正確に制御するようプログラムしてよい。例えばカートリッジ54が、投与に必要な体積を超えた体積を含む場合、薬剤を温める前、温めている間、又は温めた後に、不要な体積を吐出するようにユーザに指示してよい。一例では、制御ユニット605は、RFIDセンサ810を介して及び/又はトランシーバ830を介して、タグセンサ820から、薬剤体積に関する情報を得てよい。これに続いて、主要制御ユニット605は表示ユニット635によって、通知を用いて、不要な体積を吐出するよう促してよい。これに応答して、ユーザは所定の回数だけ起動ボタン501を押し、ヒータ650で薬剤を温める前に不要な体積を吐出してよい。従って自動注射器50は、ユーザへの針の注射及び薬剤の投与量の送達の前に、薬剤の投与量の一部分をリザーバ又は環境へと吐出又は廃棄することによって、薬剤の体積を削減又は調整するよう構成される。次に、調整された体積の薬剤の温度を、温度センサ660によって検出して、制御ユニットによって(ヒータ650を介して)薬剤の作用温度の範囲へと温めてよい。その後自動注射器50を注射部位に対して配置し、用量の投与を可能してよい。
【0092】
いくつかの実施形態では、駆動ユニット610は、電気回路構成を含み、駆動制御機構104に電気的に接続され、上記駆動制御機構104は、主要制御ユニット610から命令を受信するとすぐに、モータ106によって動作させることができる。更に駆動ユニット610は、駆動制御機構104から受信したフィードバックに基づいて、主要制御ユニット605に信号を送信してよい。
【0093】
一実施形態では、主要制御ユニット605は、プログラムされた体積の薬品を投与した後、駆動ユニット610に命令信号を送信することによって、カートリッジを近位方向へと移動させて、針を標的組織から引き込むようにプログラムしてよい。あるいは針は、薬剤送達の完了時に、針の自動引き込みによって、標的組織からシリンジ内へと除去してよい。
【0094】
本発明のいくつかの実施形態によると、自動注射器50の主要制御ユニット605は、駆動ユニット610に命令信号を送信し、また任意に駆動ユニット610から応答信号を受信することによって、装填されたカートリッジ54の予測可能な運動を命令又は制御するよう構成してよい。いくつかの実施形態では、主要制御ユニット605は、複数のカートリッジ54を用いて自動注射器50を繰り返し利用できるよう、繰り返し可能な運動を制御するように構成してよい。これらの実施形態では、患者に注射するために、自動注射器50は、標的組織内に向かう針の運動、プランジャシール64の運動による注射の投与を含む複数の段階を進んでよく、また任意に針の引き込みを発生させる、又は可能としてよい。
【0095】
自動注射器50はまた、動作の特定の段階中にカートリッジカバーが開放されるのを防止する、カバーリリース安全機構も含んでよい。本発明の少なくとも1つの実施形態によると、カートリッジカバーリリース安全機構は、主要制御ユニット605が:シリンジへのカートリッジ装填;薬剤温めセッション;剛性針シールドの除去;針の注射;薬剤用量の送達;並びに針及び/又はカートリッジ引き込みの段階を進む際に駆動ユニット610に命令することにより、主要制御ユニット605が操作してよい。換言すると、主要制御ユニット605は、針がユーザに対して露出していない場合、即ち保護針シールドが所定の位置にあるときのカートリッジの初期装填中、並びに/又は薬剤送達及び任意の針の引き込み又は遮蔽後にのみ、カートリッジカバーの開放を許可する。主要制御ユニット605は、動作の他の段階の間、例えば針が薬剤送達のために露出しているとき、及び/又は薬剤の温め中に、カートリッジカバーが開放されるのを防止する。このようにして、カバーリリース安全機構は、ユーザが偶発的に針及びヒータに曝露されるのを阻止することによって、偶然の針刺し傷害又は偶然の皮膚の火傷を削減又は排除し、従って極めて望ましい安全特性を提供するように動作する。特に、カバー安全機構を確実なものとするために、いくつかの実施形態では、主要制御ユニット605はカートリッジカバーセンサ615と通信する。
【0096】
カートリッジカバーセンサ615は、主要制御ユニット605と通信するよう構成された電気センサであってよい。例えば主要制御ユニット605は、カートリッジカバーセンサ615から受信した動作ステータス信号(例えばON/OFF)に基づいて、カートリッジカバー72が閉鎖されているか開放されているかを決定してよい。この決定に基づいて、主要制御ユニット605は例えば、駆動ユニット610による駆動機構104の動作を開始又は停止させてよい。一実装形態では、カートリッジカバー72は、駆動制御機構の一部であってよい。従ってカートリッジカバーセンサ615は、駆動ユニット610を介して、主要制御ユニットに対して信号を送受信してよい。カートリッジカバーセンサ615は、制御システム600に含まれていてもいなくてもよい。
【0097】
エネルギ源センサ620は、エネルギ源108の充電容量(例えばバッテリに充電がどの程度残っているか)を示すために主要制御ユニット605と通信できる、電気センサであってよい。一例では、このような主要制御ユニット605は、ユーザインタフェース96又は起動ボタン501から、薬剤送達プロセス等のオート注射器50の動作の開始を示す命令信号を受信してよい。この命令信号を受信するとすぐに、主要制御ユニット605は、エネルギ源108が、薬剤送達プロセス全体を完了するために十分な充電を有しているかどうかを確認してよい。主要制御ユニット605は、エネルギ源108の充電容量を決定するために、エネルギ源センサ620、又はエネルギ源108の制御ユニット(図示せず)に問い合わせてよい。
【0098】
あるいは、又は更に、主要制御ユニット605は、過去の薬剤送達プロセスからのエネルギ源108の充電容量情報の記録を記憶できる記憶ユニット640に問い合わせてよい。上記決定に基づいて、主要制御ユニット605は、表示ユニット635を介して、現在の薬剤送達プロセスを継続するか、現在の薬剤送達プロセス又はシーケンスの開始前にエネルギ源を充電するかの通知を提供してよい。バッテリセンサ又はエネルギ源センサ620は、制御システム600に含まれていてもいなくてもよい。更に、制御ユニット605はエネルギ源センサ620に問い合わせて、エネルギ源108に、温度制御ユニット650を用いて薬剤を温めるために十分な充電があるかどうかを決定してよい。更に別の例では、制御ユニットは更に、タグ820、タグセンサ810及びトランシーバ830に問い合わせて、薬剤の温め時間に関する情報を得てよい。薬剤の温め時間及びエネルギ源の充電残量に関する情報に基づいて、オート注射器50はユーザに、オート注射器50が薬剤送達及び/又は薬剤の温め前に充電を必要としているかどうかを通知してよい。
【0099】
針シールド60は、駆動制御機構の一部であってよく、また、カートリッジ54の近位方向の運動によって剛性針シールド60の除去が発生するように、剛性針シールド60に係合する構造体を含んでよい。これにより、駆動ユニット610が主要制御ユニットに、針シールドの除去を示す信号を送信してよい。上記決定に基づいて、主要制御ユニット605は例えば、薬剤送達プロセスの間又は前に、駆動ユニット610による駆動機構104の動作を開始又は停止させてよい。任意に、針シールドセンサ625は、主要制御ユニット605と通信するよう構成された電気センサであってよい。例えば主要制御ユニット605は、針シールドセンサ625から受信した動作ステータス信号(例えばON/OFF)に基づいて、針シールド60が除去されているか、シリンジ針上の所定の位置にあるかを決定してよい。針シールドセンサ625は、制御システム600に含まれていてもいなくてもよい。
【0100】
タイマーユニット630は、デジタル時計であってよく、これは例えば、オート注射器50の様々な動作のための期間を設定するためにプログラムしてよい。例えばタイマーユニット630は、ある動作に関するタイムアウト期間(例えば所定の薬剤温め期間又はセッション、カートリッジ配置後の待機時間等)、又は動作と動作との間の遅延期間(例えばカートリッジカバー72の閉鎖と薬剤の温めの開始との間の時間遅延)を、主要制御ユニット605に示すよう構成される。いくつかの実施形態では、タイマーユニット630は、様々なセンサの制御ユニットと直接通信してよい。いくつかの実装形態では、タイマーユニット630は主要制御ユニット605に含まれていてよい。
【0101】
表示ユニット635は、LCD TFTであってよい。表示ユニット635は、主要制御ユニット605に電気的に接続してよく、視覚的情報(例えば通知)をユーザに提供するために文字列及び/又は図形を表示するための命令を(主要制御ユニット605から)受信してよい。ユーザは、(例えば起動ボタン501を介して及び/又は表示ユニット635との対話によって)オート注射器に入力を提供することによって、上記通知に対する応答を提供してよい。
【0102】
表示ユニット635は、表示ユニット635を介してオート注射器50の特定の動作を実施するための入力を提供するよう、ユーザに促してよい。このような例では、表示ユニット635は、(ユーザのタッチによる及び/又はスタイラスを介した)ユーザからの入力又は命令を受信するよう構成してよい、グラフィカルユーザインタフェース及び/又はタッチスクリーンインタフェースを含んでよい。この表示ユニットは更に、容量性又は抵抗性オーバレイを含んでよい。
【0103】
一例では、表示ユニット635はメニューオプションを提供してよく、これによりユーザは、オート注射器50の様々な設定を選択及び修正してよい。更に上記メニューオプションを、ホームスクリーン及び設定スクリーン等の複数のスクリーンに分類してよい。ホームスクリーンは、現在のカートリッジ動作に関連する表示オプション(例えばキャリア126内のカートリッジの挿入の確認、及びカートリッジカバーが閉鎖されているかどうかの確認)を表示してよい。一例では、ホームスクリーンは、薬剤の温めに関連するオプションを提供してよい。例えばこれらのオプションのうちの1つは、キャリア126内にカートリッジが挿入されるとすぐに、薬剤又は薬剤カートリッジを温めるようユーザに促すことを含んでよい。一方、設定スクリーンは、言語設定、注射の速度設定等といった、オート注射器50のメニューオプションを提供してよい。
【0104】
表示ユニット635が受信した入力は、オート注射器50の動作を実行するために、主要制御ユニット605によって処理してよい。例えば、上述のように(ホームスクリーンにおいて)薬剤の温めを促すとすぐに、ユーザは、「はい(yes)」のオプション(図示せず)を選択することによって、薬剤の温めを開始することを選択してよい。あるいはユーザは、「中止(opt‐out)」のオプションを選択することによって、薬剤の温めを中止する、又は飛ばすことができる。表示ユニット635は制御システム600に含まれていてもいなくてもよいことに留意されたい。
【0105】
制御システム600は、記憶ユニット640を含んでよい。記憶ユニット640は、主要制御ユニット605のための一時的パラメータ、情報及び命令を記憶するための、ランダムアクセスメモリ(RAM)若しくは他の動的記憶デバイス、及び/又は読み取り専用メモリ(ROM)、及び/又は電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)といった、1つ又は複数の記憶ユニットを含んでよい。いくつかの実装形態では、記憶ユニットは、非一時的コンピュータ可読媒体として実装してよく、これは、オート注射器の制御システムの動作を制御するために制御ユニットによって処理及び実行できる命令を記憶する。更に、記憶ユニット640は、オート注射器50のセンサ及び制御ユニットに関連する様々な動作に関するエラーコード又はエラー通知を記憶してよい。上記エラーコードは、例えばオート注射器50の管理者によって、記憶ユニット640にプログラムしてよい。一例では、主要制御ユニット605は、センサから受信したエラー信号に基づいて、適切なエラーコードを取得してよく、また更に、(例えば表示ユニット635を介して)センサに関するエラー通知をユーザに示してよい。
【0106】
少なくとも1つの実施形態では、記憶ユニット640は、薬剤の温め及び温度検出に関するエラーコードを記憶してよい。例えば主要制御ユニットは、表示ユニット635を介してユーザに通知するために、適切なエラーコードにアクセスしてよい。例えばヒータ650が薬剤を過熱した場合、適切なエラーコードは、薬剤が過熱されていることを示してよい。更に、薬剤又は薬剤コンテナ54の、初期の(即ち薬剤の温めの前の)検出された温度が、警告点温度を超えている、又はそれ未満である場合、適切なエラーコードは、カートリッジが熱すぎる又は冷たすぎることを示してよい。
【0107】
記憶ユニット640は更に、様々な薬剤に関する所定の薬剤温め期間を記憶してよい。一例では、ヒータ650がある薬剤を、その所定の温め期間を超えて温めていることを、制御ユニット605が決定した場合、制御ユニットは、エラー通知を提供してよく、及び/又はオート注射器をシャットダウンしてよい。更に、上記様々な薬剤の作用温度値の範囲を、記憶ユニットに記憶してよい。一例では、上記作用温度値の範囲、上記所定の薬剤温め期間、粘度値、薬剤ID、及び他の適切な薬剤情報を、各薬剤の様々な薬剤プロファイルに記憶してよい。以下において議論されるように、いくつかの例では、薬剤情報は、タグセンサ810を介してタグ820から受信してよい。
【0108】
いくつかの実施形態では、様々な薬品に関するエラーコード及び薬剤プロファイルを、オート注射器50の製造プロセス中に、管理者によって事前プログラムして記憶ユニットに記憶してよく、好ましくは制御ユニット605によってアクセスしてよい。あるいはこのような情報は、識別システムのタグセンサ810を介して、タグ820からオート注射器50によって得てよい。
【0109】
いくつかの実施形態では、オート注射器50は更に、データタグセンサ又はカートリッジIDセンサ810(本明細書では「タグセンサ」と呼ばれる)を含んでよく、これは、制御システム及び/又は制御ユニットに連結してよく、またシリンジ又はカートリッジタグ820(本明細書では「シリンジタグ」又は「タグ」と呼ばれる)を読み取る、又はスキャンするよう構成してよい。いくつかの実施形態では、タグセンサ810は、データの送受信が可能なレシーバ及び/又はトランシーバ830を介して制御ユニット605と通信してよい。いくつかの例では、トランシーバ830は、タグセンサ810が受信する信号特性及び/又はデータを監視及び/又は送信してよい。制御ユニットは、トランシーバ830を介して、タグセンサからデータ/情報を受信してよい。いくつかの実施形態では、トランシーバ830は、変調/復調動作等の通信信号処理動作を実施してよい。
【0110】
シリンジタグは、カートリッジ54上に連結して設けてよい。シリンジタグ820は、
図8A〜8Eに示すように、カートリッジ54上に連結してよい、及び/又は設けてよい。シリンジタグは、カートリッジ54が内包する薬剤の薬剤プロファイル等の情報を含んでよい。例えば上記薬剤プロファイルは、限定するものではないが、薬剤ID(例えばカートリッジ54が内包する薬剤の独自の識別情報)、薬剤の体積情報、薬剤の粘度情報、薬剤の温度情報、薬剤の温め期間及び/又は薬剤の使用期限、製造ID、ロットナンバー等の情報を含んでよい。薬剤タグは、限定するものではないが、バーコード、クイックレスポンス(QR)コード(登録商標)又はRFIDタグへとエンコードしてよい。
【0111】
タグセンサ又はカートリッジIDセンサ810は、薬剤タグをスキャンし、又は読み取り、薬剤タグをデコードするよう構成してよい。例えばタグセンサは、バーコードスキャナ、QRコードスキャナ、質問器、アンテナ、又は当業者に公知の他のいずれのスキャナ若しくはリーダであってよく、これは、
図8A〜10を参照して議論されるように、薬剤タグを好適にスキャンでき、又は読み取ることができる。
【0112】
いくつかの例では、制御ユニット605は、カートリッジタグ820のデータを、トランシーバ830を介してタグセンサ810から受信してよい。このような例では、制御ユニット605は、制御システム600のコード/デコード又は暗号化/復号化モジュール(図示せず)に問い合わせて、シリンジタグ820のデータをデコードしてよい。このコード/デコードモジュールは、様々なコーディング/デコーディングスキームを記憶してよく、主要制御ユニットは、適切なデコーディングスキームにアクセスすることによって薬剤タグをデコードしてよい。いくつかの例では、コード/デコードモジュールは制御ユニット605に含まれていてよい。更に、又はあるいは、タグセンサ810及び/又はトランシーバ830は、タグ820から受信したデータを直接デコード又は復号化してよい。
【0113】
更に別の実装形態では、オート注射器50は、薬剤の識別の確認を外部で実施してよい。このような実装形態では、制御ユニット605は、コード化されたシリンジタグ情報を受信してよく、更にクラウドサーバ(図示せず)、又はユーザ機器(UE)デバイス(例えば携帯電話デバイス)(図示せず)といった外部コンピュータデバイスに問い合わせて、上記シリンジタグをデコードしてよい。このような実装形態では、主要制御ユニット605は、通信ユニット680を介して外部サーバ又はUEデバイスと通信してよい。この通信としては、外部コンピュータデバイスへのシリンジタグ情報の送信、並びにこれに応答した、デコードされたシリンジタグ及び/又は薬剤の薬剤プロファイルの受信が挙げられるが、これらに限定されない。
【0114】
いくつかの例では、制御システム600は通信ユニット680を含んでよい。通信ユニット680は、1つ又は複数の802.11 Wi‐Fiトランシーバ、セルラートランシーバ、IEEE802.14 ZigBeeトランシーバ、Bluetooth(登録商標)トランシーバ、及び/又はBluetooth Low Energy(BLE)トランシーバを含んでよい。上述のように、オート注射器50は、通信ユニット680を介して、外部コンピュータデバイスと、及び/又はシリンジタグと通信してよい。いくつかの実装形態では、オート注射器50は、近距離通信(NFC)、赤外線又は超音波といった無線通信プロトコルによって外部コンピュータデバイス及び/又はシリンジタグと通信するための、適切なトランシーバを含んでよい。
【0115】
いくつかの実装形態では、制御ユニット605は、タグセンサ810にシリンジタグ820をスキャンさせて、薬剤の薬剤プロファイル情報にアクセスさせてよい。このスキャンに基づいて、制御ユニット605は、(例えば薬剤タグのデコード前及び/又は後に)薬剤の薬剤プロファイルにアクセスしてよい。
【0116】
一例では、主要制御ユニット605は、薬剤プロファイルに含まれる薬剤IDを識別してよい。例えば主要制御ユニットは、(スキャンに基づく)受信した薬剤IDと、オート注射器50の記憶ユニット内のルックアップテーブル又はデータベースに記憶してよい複数の薬剤IDとを比較してよい。この比較に基づいて、主要制御ユニット605は、上記スキャンされた薬剤IDと、記憶されている薬剤IDのうちの1つとが適合している場合に、上記スキャンされた薬剤IDが識別又は認識されていると決定してよい。次に主要制御ユニット605は、表示ユニットに、薬剤又は薬剤カートリッジ54が識別されていることを示す適切な通知を表示させてよい。
【0117】
主要制御ユニット605は、識別された薬剤の(例えば上記スキャンに基づく)他の薬剤プロファイル情報を受信してよく、薬剤の送達に関連する様々なアクティビティを発生させてよい。例えば薬剤の温め期間、作用温度範囲、体積及び/又は粘度情報に基づいて、主要制御ユニット605は、適切な動作パラメータ(例えば制御ループパラメータ)を設定してよく、本明細書の他の箇所において説明したように、温度感知及び制御要素に、所定の時間内に薬剤をその作用温度まで温めさせてよい。
【0118】
別の例では、シリンジタグ情報は薬剤IDのみを含んでよい。従って主要制御ユニット605は、上で議論したように、薬剤IDに基づいて薬剤を識別してよく、その後、記憶ユニット640から、又は識別された薬剤のための外部コンピュータデバイスから、対応する薬剤プロファイル情報(例えば温め期間、作用温度範囲、体積及び/又は粘度情報、並びにエラーコード)を取得してよい。取得した情報に基づいて、制御ユニット605は、本明細書の他の箇所において説明したように、薬剤をその作用温度範囲まで温めるように制御ループパラメータを設定してよい。
【0119】
少なくとも1つの実施形態では、タグセンサ810は、
図8A〜8Eに示すような無線周波数ID(RFID)センサ810である。一例では、制御ユニット605はRFIDタグセンサ810にシリンジタグ820をスキャンさせて、(例えばトランシーバ830を介して)薬剤の薬剤プロファイル情報にアクセスさせてよい。上で議論したように、カートリッジキャリア126内にカートリッジ54を配置すると、カートリッジセンサ645は、カートリッジ54の存在を示す信号を主要制御ユニット605に送信してよい。受信した上記信号に基づいて、主要制御ユニット605は例えば、オート注射器50の特定の動作を起動してよい。少なくとも1つの実施形態では、(単独で、カートリッジカバー72が閉鎖されていることをカートリッジカバーセンサ615が信号送信した後で、又は上記信号送信と合わせての)カートリッジセンサ645に基づくカートリッジ54の存在又は識別は、タグセンサ810の起動をトリガできる。
【0120】
タグセンサ810は、内部ハウジング表面52A等のハウジング52の表面上に、又は後にハウジング52に設置されるセンサキャリッジ850上に、直接設置してよい。後者の構成は、センサキャリッジ850及びタグセンサ810がデバイス50への一体化のためのモジュール式サブアセンブリとなることができることが望ましい場合にそのようになり得るため、組み立ての容易さを提供できる。
【0121】
図8Aは、カートリッジ54、タグセンサ810及びに任意のセンサキャリッジ850の、軸「B」に沿った部分展開図を示す。
図8Aに示すように、センサキャリッジ850は、スナッププロング850A、850B又は他の同様の特徴部分を有してよく、これにより、内部ハウジング表面52A等における、ハウジング52上での組み立て及び設置を容易にすることができる。
【0122】
図8Bは、
図8Aに示した特定の構成部品の一部分の拡大等角図を示す。この実施形態では、タグ820はカートリッジ54のバレル56に添付されている。タグ820は、接着剤又は糊によるものを含むがこれに限定されない多数の公知の方法で添付してよい。
【0123】
少なくとも1つの実施形態では、タグセンサは、例えばタグ上の情報に基づいて、薬剤を内包するカートリッジ、及び/又はカートリッジタグ820、又は具体的にはRFIDタグを識別するための信号を送信できる、RFIDセンサ又はアンテナである。更にタグ820は、それ固有の内蔵型電源を必要とせず、質問器アンテナ又はセンサ810のフィールド内に位置する際にデータ送信が可能な、パッシブタグであってよい。このような構成は経済的であり得、また比較的小さい組立体サイズを提供できる。しかしながらいくつかの実施形態では、RFIDタグは、RFIDタグがそれ自体で信号を送信できるようにする内蔵型電源を有するアクティブタグである場合もあると考えられる。このような状況では、アクティブRFIDタグとの通信のために、適切なセンサ810を実装してよい。
【0124】
図8Dは、
図8A〜8Bに示すようにシリンジ又はカートリッジ54に取り付け可能なRFIDタグ820又はインレイの例示的実施形態を示す。一例では、タグ820は、1つ又は複数のアンテナコンダクタトレース820A、及び集積回路(IC)820Bを含んでよい。RFIDタグ820はパッシブ型の要素であってよく、従って動作状態とするため又は起動するための内部電源を必要としなくてよい。
【0125】
一例では、タグセンサ810はタグ820と通信してよい。タグセンサ810とタグ820との間の通信は、非接触通信(例えば無線通信)であってよい。例えばタグセンサ810は、タグ820を励起又は起動できる質問信号を送信してよい。一例では、上記質問信号は、13.56メガヘルツ(MHz)の周波数で動作する無線周波数(RF)信号であってよい。このような周波数における動作は有利には、タグセンサ810がタグ820からのデータ情報にアクセスできる適切な動作距離を提供できることに留意されたい。上記質問信号は、タグ820に検出されるとすぐに、IC820Bの電源がオンとなって、薬剤又は薬剤カートリッジに付属するデータ及び情報(例えば薬剤プロファイル)を含む応答信号を送信し返すために十分な電力を提供できる。
【0126】
一例では、上記データ又は情報(例えば薬剤プロファイル)は、タグ820の記憶ユニットに(例えば不揮発性メモリに)(図示せず)記憶してよい。記憶された情報は、カートリッジ及び/又はカートリッジに内包された薬剤に関する情報、並びに他の動作プロトコル又はパラメータを含んでよい。いくつかの実装形態では、データの少なくともある程度の部分が上書きされてもされなくてもよいと考えられる。例えば読み取り専用データは上書きされなくてよいが、他のデータは、タグセンサ810又はオート注射器50によって上書きされてよい。上で議論したように、いくつかの実施形態では、タグ820に記憶されたデータはエンコード/暗号化してよく、これは有利には、ユーザに対して安全性及び/又はプライバシーを提供できる。
【0127】
図8Eは、
図8Aに示すようにセンサキャリッジ850に、又は直接ハウジング52に取り付け可能な、RFIDアンテナ又はセンサ810の例示的実施形態である。このようなセンサ810は、1つ又は複数のセンサアンテナトレース810A、及び制御システムへの接続のために構成されたアンテナ供給ライン又はその態様(例えばフレックスコネクタ)の端部の接続点810Bを含む。一例では、供給ライン810Cは、アンテナトレース810Aを接続点810Bに連結してよい。810Aは複数のループ又はトレースを示すが、一例では単一のループ又はトレースを使用する場合があると考えられる。上で議論したように、一実装形態では、タグセンサ810は、パッシブタグ820を起動するため、及びこれに応答してタグ820に記憶されたデータ又は情報を受信するために、質問信号を発してよい。更にタグセンサ810は、タグ820から受信したデータ(例えば薬剤プロファイル)を直接復号化又はデコードしてよく、これを主要制御ユニット605へと送信してよい。いくつかの実施形態では、タグセンサは、タグ820から受信したデータを復号化するために、制御システムの復号化/暗号化モジュール(図示せず)に問い合わせてよい。
【0128】
あるいはいくつかの実施形態では、主要制御ユニット605は、(例えばトランシーバを介して)タグセンサから暗号化されたデータを受信してよく、続いてこのデータを(例えば復号化/暗号化モジュールに問い合わせた後すぐに)復号化して、オート注射器50の様々な動作に関連するパラメータを起動及び/又は設定してよい。
【0129】
図8Cは、
図8Aに示す特定の構成部品の、軸「B」に沿った断面図である。図示されているように、本発明の少なくとも1つの実施形態では、タグ820及びセンサ810は、データ通信に関わる部分において、略同心の構成となっている。この同心係合は、タグ820とセンサ810との間の平面係合(図示せず)と略同様であり得る、増強された対話を提供できることに留意されたい。即ちこの同心構成では、タグ820の対応するアンテナコンダクタトレース820Aと、センサ810のアンテナトレース810Aとは、これらの構成部品が平坦かつ平行な面内にある(例えば互いに重ねて静置されている)のと略同様の様式で整列されている。
【0130】
更に、センサ810の弓状組立体により、センサ810は、例えばシリンジ又はカートリッジ54が湾曲したタグ820を有する場合に、タグ820を効果的に刺激してタグからデータを受信できる様式で、(例えば質問信号の送信中に)電磁場を発することができることに留意されたい。
【0131】
図8Cは、タグ820及びセンサ810の同心整列による、タグ820から発された電磁場と、センサ810から発された対応する電磁場との、例示的な衝突又は結合を示す。タグ820及びセンサ810は互いに電磁的に連結されている。一例では、この連結は誘導性又は磁性連結である。
【0132】
センサ810は、タグ820及びセンサ810の略同心状の整列による連続的な衝突又は連結を通して、タグ820と通信する(複数の点850A、B、Cは単に例示を目的として示されており、これらの電磁場はタグ820とセンサ810との間で連続していることに留意されたい)。この同心構成により、ユーザは、センサ820に対するタグの配向に注意する必要なく、オート注射器上にカートリッジを即座に装填できるようになることが理解されるだろう。更に、上記同心構成が、タグ820とセンサ810との間の簡単かつ直接的な整列を提供するため、オート注射器は、いずれの追加の機械的送り出し又は整列用特徴部分又は構成部品を必要としないものとすることができる。
【0133】
このような整列が、タグ820とセンサ810との間のデータ通信を改善でき、薬剤ID、動作パラメータ、及びタグ820に記憶してよい他の情報の、信頼できるデータ収集を保証することが理解されるだろう。
【0134】
上で議論したように、オート注射器は、タグセンサ810を介してタグ820から薬剤情報を受信してよいが、いくつかの実施形態では、ユーザは、起動ボタン(例えば起動ボタンを所定の回数だけ押すこと)を介して、及び/又は必要な薬剤情報(例えば薬剤ID等)を提供するためのタッチ入力により、表示ユニット635を介して、薬剤情報を手動で提供してよい。受信した入力に基づいて、主要制御ユニット605は薬剤を識別して、記憶ユニット640からの対応する薬剤プロファイルにアクセスしてよく、これにより、薬剤送達のための様々な動作を実施できる。
【0135】
再び
図6を参照すると、いくつかの実施形態では、デバイス50は、主要制御ユニット605に電気的又は電気機械的に接続できる、カートリッジセンサ645を含んでよい。上で議論したように、カートリッジキャリア126内にカートリッジ54を配置することにより、カートリッジセンサに、カートリッジ54の存在を示す信号を主要制御ユニットに送信させることができる。受信した信号に基づいて、主要制御ユニット605は例えば、オート注射器50の特定の動作を起動してよい(例えば温度制御要素650に命令信号を送信することにより、薬剤の加熱を開始してよい)。カートリッジセンサ645は、制御システム600に含まれていてもいなくてもよい。
【0136】
温度制御ユニット又はヒータ650は、(例えば
図5Bに示すようなフレックスケーブルコネクタを介して)制御ユニット605に電気的に接続されてよい。制御ユニット605は、ヒータ650が薬剤又は薬剤カートリッジ54のいずれを温めることができるかに基づいて、ヒータ650に命令信号(例えばパルス幅変調信号)を送信してよい。一例では、制御ユニット605は、ヒータ温度センサ655及び薬剤温度センサ660から受信した温度フィードバックに基づいて、(ヒータ650による)薬剤の温めを制御するための命令信号を送信してよい。一例では、主要制御ユニットは、薬剤の薬剤プロファイル情報(例えば上記薬剤の作用温度値、上記薬剤の所定の温め時間、体積、粘度等)にアクセスしてこれを処理することにより、ヒータ650による上記薬剤の温めを開始してよい。
【0137】
いくつかの実施形態では、ヒータセンサ655は、制御ユニット605に電気的に接続されてよい。上で議論したように、ヒータセンサ655は、(
図5Bに示すように)ヒータ650に近接して位置決めしてよい。ヒータセンサ655は、ヒータ655の温度値の範囲を検出して、検出した温度値を主要制御ユニット605に送信するよう構成してよい。更にヒータセンサ655は、このヒータセンサの記憶ユニット(図示せず)に、1つ又は複数の警告温度値を記憶するよう構成又はプログラムしてよい。一例では、ヒータセンサ655が、警告温度値を超える、又は別の警告温度値未満であるヒータ650の温度を検出した場合、警告設定ピン(図示せず)をヒータセンサ655においてトリガしてよい。ヒータ温度センサ655は次に、警告信号を制御ユニット605に送信してよい。続いて主要制御ユニットは、表示ユニットにエラー信号を表示させてよい。ヒータ温度センサ655は、薬剤の温め期間前及び温め期間中のヒータの温度値の範囲を監視して、制御ユニット605に温度フィードバックを提供するよう構成してよい。従って制御ユニット605は、薬剤の温度を、薬剤の作用温度に、及び/又は複数の作用温度値の範囲に、調整してよい。
【0138】
いくつかの実施形態では、薬剤又は薬剤カートリッジ温度センサ660は、制御ユニット605に電気的に接続されてよい。上で議論したように、薬剤温度センサ660は、(
図5Bに示すように)薬剤及び/又は薬剤カートリッジ54に近接して位置決めしてよい。薬剤温度センサ660は、薬剤の温度値の範囲を検出して、検出した温度値を主要制御ユニット605に送信するよう構成してよい。更に薬剤温度センサ660は、この薬剤温度センサの記憶ユニット(図示せず)に、1つ又は複数の警告温度値を記憶するよう構成又はプログラムしてよい。一例では、薬剤温度センサ660が、警告温度値を超える、又は別の警告温度値未満である薬剤の温度を検出した場合、警告設定ピン(図示せず)を薬剤温度センサ660においてトリガしてよい。上記センサ660は次に、警告信号を制御ユニット605に送信してよい。続いて主要制御ユニットは、表示ユニットにエラー信号を表示させてよい。センサ660は、薬剤の温め期間前及び温め期間中の、薬剤の作用温度値を含む温度値の範囲を監視して、制御ユニット605に温度フィードバックを提供するよう構成してよい。従って制御ユニット605は、薬剤の温度を、薬剤の作用温度に、及び/又は複数の作用温度値の範囲に、調整してよい。
【0139】
少なくとも1つの実装形態では、制御ユニット605は、例えば薬剤の温度を薬剤の作用温度へと調整する(例えば温める)ために、フィードバックループによってヒータ又は温度制御要素650を制御する、比例・積分・導関数Proportional‐Integral‐Derivative:PID)コントローラとなるように構成してよい。このような実装形態では、温度センサ655及び660は、それぞれヒータ650及び薬剤の温度を検出し、検出した温度に基づく出力信号を制御ユニット605に送信する。例えば制御ユニット605は、薬剤温度センサ660から出力信号を受信して、受信した薬剤の温度値が、この薬剤の作用温度値の範囲内にあるかどうかを決定する。この決定に基づいて、PIDコントローラ又は制御ユニット605は続いて、ヒータ650を制御する。一例では、制御ユニット605は、この決定を実施するために、記憶ユニット640に記憶されている上記薬剤の作用温度値の範囲を問い合わせてよく、又は(本明細書に記載されているように)タグ820若しくは薬剤IDからこれらの作用温度値を受信してよい。
【0140】
制御ユニット605は、例えば変調された電流又は電圧信号によって、ヒータ650に命令信号を送信し、温度を上昇させてよい。更に、(ヒータ650の近傍に位置する)センサ655は、薬剤の上昇した温度を検出して、制御ユニット605に更にフィードバック信号を送信してよい。ヒータ温度センサ655から受信したフィードバック信号に基づいて、制御ユニット605のフィードバック制御ループは更に、ヒータ650によって、薬剤の温度又は加熱特性を修正又は調整してよい。
【0141】
更に、制御ユニット605による温度の調整は、薬剤又は薬剤コンテナ54の温度の適切な上昇又は低下を含んでよい。例えば温度センサ655及び660は、後続の温度の読み取り値を周期的に決定してよく、また制御ユニット605のフィードバック制御ループは、(センサからの温度フィードバックに基づいて)薬剤の作用温度が望ましい不確定度、例えば作用温度の±2.5℃又は±1℃の範囲内で達成されるまで、ヒータ650の温度を断続的に又は連続的に調整してよい。この調整プロセス中、PID制御ユニットは、薬剤の記憶された作用温度値に定常的にアクセスして比較を行ってよい。
【0142】
薬剤は、上限及び下限によって範囲を画定された作用温度値の範囲を有してよい。これらの限度は、薬剤の作用温度値のパーセンテージとして算出してよい。これらの値は、上で議論したように、記憶ユニット640に事前にプログラムしてよい。
【0143】
一例では、PIDコントローラ/制御ユニット605は、薬剤の温度の作用温度への調整が所定の時間(例えば薬剤の薬剤プロファイル中で提供される時間)内に確実に達成されるように、タイマーユニット630に問い合わせてよい。更に、検出された温度値を、制御ユニット605が所定の時間間隔で(例えば30秒毎に)受信又は決定してよい。一例では、P、I及びD等のフィードバックコントローラのパラメータを適切に制御及び調整することにより、最適な温度に到達するための時間といった特定の要件を満たしてよい。別の例では、これらのパラメータを適切に調整することによって、調製された温度を作用温度値の範囲内としてよい。適切な制御は、1つ又は複数のPIDパラメータを使用して、又は使用せずに達成する場合があると考えられる。あるいは、又は更に、PIDコントローラのみを実装する代わりに、主要制御ユニット605に、当業者に公知の他の制御ループフィードバックアルゴリズムをプログラムしてよい。
【0144】
本発明の温度制御システム及び/又は識別システムの、温度感知要素655及び660並びに温度制御要素650は、特許文献21、国際公開特許PCT/US2013/057259、米国特許第8,939,935号、特許文献23及び特許文献28に記載されているようなウェアラブル自動注射器と共に使用してよいと考えられる。
【0145】
図9は、温度感知及び温度制御要素520と、RFIDアンテナ又はセンサ810等のデータ通信要素との両方を内包する、自動注射器50の別の実施形態の等角図である。
【0146】
以下の、
図10に焦点を当てた詳細は、タグ820とタグセンサ810との間で情報を通信するための例示的方法を示すフローチャート900を参照して、これらの要素の一体化のための議論を提供する。
【0147】
更に、薬剤の温めに関連する例示的方法の詳細を、
図7A〜7Bを参照して提供する。方法700は例えば、薬剤の温度が上記薬剤の作用温度値の範囲内にあるかどうかの決定に関連する複数のステップを含む。この方法はまた、ヒータ温度センサ655及び薬剤温度センサ660からのフィードバックに基づいて、薬剤の温度を作用温度値のうちの1つへと調整するための、複数のステップも含む。この方法は更に、薬剤又は薬剤カートリッジ54の温度を温める又は調整するようにヒータ650を制御することに関連する複数のステップを含む。
【0148】
ここで
図7A及び10を参照すると、図示されているプロセスフローは、本発明の単なる実施形態であり、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。例えば、方法又はプロセスの説明のいずれにおいて列挙されているステップは、いずれの順序で実行してよく、提示されている順序に限定されない。更に、以下の説明は、
図7A及び10に図示されているステップだけでなく、本発明を参照して説明されたような様々なシステム構成部品についても、適切に参照を行っていることが理解されるだろう。
【0149】
上述のように、薬剤プロファイル及び/又は薬剤ID情報は、RFIDセンサ810及び/又はトランシーバ830を介して、タグ820から得ることができる。これより、このデータ(例えば薬剤プロファイル)を得ることに関する詳細を、
図10を参照して提供する。
【0150】
図10は、RFIDタグ又はインレイ820とRFIDアンテナ又はセンサ810との間のデータ通信のための例示的方法900を示すフローチャートである。
【0151】
ステップ901では、ユーザはカートリッジ54をカートリッジキャリア126内に配置することにより、カートリッジセンサ645に、カートリッジ54の存在を示す信号を主要制御ユニット605に送信させてよい。受信した信号に基づいて、主要制御ユニット605は、カートリッジ54がデバイス50内に装填されていることを示してよい。例えば主要制御ユニット605は、表示ユニット635に、装填されたカートリッジ54をユーザに通知する適切なメッセージを表示させてよい。
【0152】
ステップ901の完了は、自動的な起動を引き起こすか、又はユーザにオート注射器50の特定の動作を起動するよう促してよい。少なくとも1つの実施形態では、(単独で、カートリッジカバー72が閉鎖されていることをカートリッジカバーセンサ615が信号送信した後で、又は上記信号送信と合わせての)カートリッジセンサ645のトリガは、(ステップ903に示すように)タグセンサ810の起動を更にトリガしてよい。例えばタグセンサ605の電源をオンにしてよく、主要制御ユニット605はタグセンサ810に、無線周波数(RF)波(例えば上で議論したような質問信号)を発させてよい。
【0153】
ステップ905では、センサ810及び/又は主要制御ユニット605は、(装填されたカートリッジ54上の)タグ820が可読であるかどうかを決定してよい。
【0154】
一例では、センサ810は、上記質問信号の送信後すぐに、カートリッジ54上のカートリッジタグ820から応答信号を受信しない場合がある。従ってステップ909では、センサ810及び/又は主要制御ユニット605は、(例えばトランシーバ830から受信した信号によって)上記タグが可読でないこと、又はカートリッジ上にタグが存在しないことを決定してよい。
【0155】
更に、又はあるいは、このステップは更にエラーチェックを含んでよい。例えばセンサ810は、カートリッジIDのみ又は薬剤IDのみに関してタグ820に質問してよい。タグ820が応答を返さない(即ちいずれの信号もセンサに送信し返さない)場合、センサ810及び/又は主要制御ユニット605は、タグ820が可読でないと決定してよい。次にこの方法は、ユーザにエラーメッセージを提供するか、又はユーザに更なる操作を促してよい。例えばオート注射器50はユーザに、タグが可読でないことを理由にカートリッジを交換するよう促してよい。またユーザは、適切なカートリッジがデバイス50に装填されていることを点検するよう促される場合もある。デバイス50は、特定の薬剤療法又はこのような療法を内包する特定のカートリッジと共に使用するために構成してよいため、これは適切な安全性チェックとなり得る。更に、又はあるいは、この方法は、本明細書の他の箇所に記載されているような他の手段を通して、必要な薬剤情報及び/又は動作入力を入力するように、ユーザに促してよい。
【0156】
あるいは他のいくつかの実施形態では、カートリッジタグからの1つ若しくは複数のパラメータ又は複数のパラメータの組み合わせを用いて、上記タグが可読であるかどうかを決定してよい。
【0157】
方法900は、ステップ905において受信したフィードバックに基づいて、タグ820が可読であることを決定してよい。この例では、タグセンサ810は、質問信号の送信後すぐに、(例えばエラーチェックに合格した後すぐにタグ820から応答信号を受信してよい。次にステップ907では、タグセンサ810は、タグ820から薬剤プロファイル等のデータを取得して読み取ってよい。
【0158】
本明細書に記載され、ステップ911に示されているように、タグ上のデータは、デバイス50によって確認される薬剤プロファイル及び動作パラメータを包括したものであってよく、又はタグ820は、薬剤ID若しくは他の識別情報のみ、若しくはいずれのパラメータ及び/若しくは複数のパラメータの組み合わせのみを内包してよく、これはデバイス50に、これらの情報を外部コンピュータデバイスから得るために、記憶ユニットに記憶されたデータベース若しくはルックアップテーブルへの問い合わせ、又は遠隔データベースへの問い合わせを行わせる。
【0159】
一例では、タグセンサ810は、薬剤の識別情報に関する情報、薬剤の温め情報、薬剤の体積及び薬剤の粘度を含んでよいがこれらに限定されない薬剤プロファイルを、タグ820から取得してよい。
【0160】
別の例では、タグセンサ及び/又は主要制御ユニットは、タグ820から薬剤IDのみを受信してよい。従って主要制御ユニット605は次に、内部及び/又は外部の記憶ユニット又はコンピュータデバイスに問い合わせて、受信した薬剤ID又はカートリッジIDに対応する薬剤プロファイル情報を取得してよい。
【0161】
主要制御ユニット605及び/又はセンサ810は更に、タグ820から取得したデータを復号化又はデコードしてよい。更に、主要制御ユニット及び/又はセンサは、上記データが破壊されていないことを確認してよい。例えば、最初の試行において、取得したデータが破壊されていることが決定された場合、上記センサは、タグ820からデータを取得することを所定の回数繰り返してよい。上記所定の回数の試行後に上記データが取得できなかった場合、デバイス50はユーザに通知して、カートリッジを点検するよう更に促してよい。
【0162】
次に方法900はステップ915に進む。ステップ915では、この方法は、取得したデータの確実性を決定してよく、並びに/又は薬剤が使用のために許容可能であるかどうか、及び/若しくはカートリッジ54がリコールされているかどうかをチェックしてよい。
【0163】
一例では、データの確実性及び/又はカーリッジの使用の許容可能性は、製造者のID(即ち薬剤を製造した製造者の識別情報)、又は薬剤プロファイル及び/若しくはカートリッジタグから受信したいずれの情報に含まれ得るいずれのパラメータ及び/若しくは複数のパラメータの組み合わせに基づいて決定してよい。主要制御ユニット605は、受信した製造者IDに対する適合が(外部又は内部データベースのうちの1つに)存在することを決定してよい。この決定に基づいて、制御ユニットはユーザに、タグ820から受信したデータが確実なものであることを通知してよい。更に、又はあるいは、別の例では、主要制御ユニットは、(薬剤プロファイルに含まれ得る)使用期限をチェックすることによって、薬剤に対するリコールが存在しているかどうか、及び/又は薬剤が使用のために許容可能であるかどうかを決定してよい。
【0164】
一例では、データが確実でない、並びに/又は製造者ID及び/若しくは使用期限に基づいてリコールが存在する場合、オート注射器50はエラーをユーザに通知して、ユーザにアクションを促してよい(ステップ919)。このステップは、カートリッジに内包された薬剤がリコールされており破棄しなければならないこと、又は何らかの他の潜在的問題が存在すること(例えば薬剤がオリジナルの製造者からのものでないかも知れないこと、若しくは薬剤の使用期限が切れていること)をユーザに通知することによって、更なる安全性のチェックを提供してよいことに留意されたい。従っていくつかの例では、カートリッジ又はカートリッジ内の薬剤製品に、許容不可能な製品としてフラグを設定してよい。
【0165】
データが確実なものであること、並びに、薬剤に対してリコールが存在しない及び/又はカートリッジが使用のために許容可能であることが決定されると、この方法はステップ917へと進んでよい。従って、次にタグ820から受信したデータ又は薬剤プロファイルを用いて、デバイスの動作パラメータを設定してよく、及び/又はユーザに起動を促してよい。一例では、薬剤の作用温度範囲、所定の温め時間、警告温度、薬剤の体積、薬剤の粘度等に関するデータを、タグセンサ810を介してタグ820から受信してよく、これに基づいて、制御ユニットは、薬剤を所定の時間内にその作用温度範囲まで温めるように、制御ループパラメータ(例えばPIDパラメータ)を設定してよい。
【0166】
別の例では、タグセンサ及びタグ820から受信したデータ(例えば薬剤の体積及び/又は薬剤の粘度)に基づいて、制御ユニット605は更に、薬剤を所定の時間内に温めるために好適に使用できる熱プロファイルを(内部又は遠隔記憶デバイスから)取得してよい。
【0167】
更に別の例では、タグセンサ820から薬剤のデータを受信するとすぐに、制御ユニットは、対応するパラメータ及び/又は熱プロファイルが最新のものでないことを決定してよく、続いて遠隔コンピュータデバイス(例えばサーバ)に、(例えば通信ユニットを介して)アップデートを促してよく、又はインターネットからアップデートをダウンロードしてよい。更に、又はあるいは、上記遠隔コンピュータデバイスは、(様々なパラメータ及び/又はファームウェアアップデートに関連するものであってよい)オーバ・ジ・エア(over‐the‐air:OTA)アップデートをオート注射器50に(例えば通信ユニットを介して)周期的に行わせてよい。アップデートを受信するとすぐに、オート注射器はこのアップデートからデータを自動的にインストールしてよい。あるいはオート注射器は、ユーザにこのアップデートの利用可能性を促してよく、またこのアップデートから選択的にデータをインストールするオプションを提供してよい。
【0168】
更に、上記アップデートは場所ベースのものであってよいと考えられる。例えば、オート注射器50のユーザがある特定の場所(例えば医師のオフィス)に到着し、上記特定の場所において通信ネットワーク又はコンピュータデバイスに接続すると、オート注射器は上記アップデートを促してよく、及び/又は上記特定の場所に到着するとすぐに上記アップデートを利用可能としてよい。
【0169】
ステップ920では、動作パラメータは、これらのパラメータを設定する前及び/又は後に、(例えば内部及び/又は外部記憶ユニット内の)デバイスメモリに記憶してよい。これらのパラメータを、本明細書中の他の箇所において議論されているように、ユーザ、ヘルスケア提供者、又は製薬会社が吟味して、薬剤が適切なパラメータ設定で投与されたことを保証してよい。
【0170】
次の方法900はステップ921に進んでよく、ここではオート注射器50は、例えばユーザによる起動に基づいて、様々な動作を実施してよい。温度感知及び温度制御要素520を組み込んだ一実施形態では、ステップ701は、
図7Aを参照して説明したフローチャートの第1のステップとして実施してよい。いくつかの実装形態では、ステップ921における1つ又は複数の動作は、ステップ701の前、ステップ701の間又は後に実施してよい。
【0171】
オート注射器50は、ユーザが起動ボタン501を押すと、薬剤送達プロセスのために初期化され得る。一例では、主要制御ユニット605は、(例えばステップ901において、又はステップ901の前に)オート注射器50の初期化中にオート注射器50の電源をオンにしてよい。起動信号を受信すると、主要制御ユニット605は任意に、ウェルカムメッセージを表示するように表示ユニット635に命令してよい。
【0172】
初期化後、主要制御ユニット605は任意に、オート注射器50の様々なセンサ及び制御ユニットと通信して、薬剤温めプロセスの前、上記プロセスの間又は後に、センサ及び制御ユニットの動作ステータスを確認してよい。例えば主要制御ユニット605が、1つ又は複数のセンサが完全に動作していないことを決定すると、主要制御ユニット605は、表示ユニット635によってユーザに適切なエラーメッセージを提供してよい。主要制御ユニット605は任意に、薬剤温めプロセスの前、上記プロセスの間又は後に、オート注射器50の様々な動作を制御してよい。
【0173】
一例では、主要制御ユニット605は任意に、エネルギ源108が、薬剤の温めプロセスを含む薬剤送達プロセス全体を完了するために十分な充電を有するかどうかを決定してよい。主要制御ユニット605は任意に、エネルギ源センサ620、又はエネルギ源108の制御ユニット(図示せず)に問い合わせて、エネルギ源108の充電容量を決定してよい。この決定に基づいて、主要制御ユニット605は、表示ユニット635を介して通知を提供してよい。例えば、バッテリが薬剤送達シーケンス全体のために十分な充電を有する場合、オート注射器デバイスはユーザに、現在の薬剤送達プロセスを継続するよう促してよい。あるいは、バッテリ又はエネルギ源108が十分な充電を有しない場合、オート注射器デバイスは、薬剤送達プロセスの開始前にバッテリを充電するよう、要求メッセージを表示してよい。
【0174】
一例では、ユーザは任意に、(例えばエネルギ源108中に十分な充電が存在することが決定された場合に)カートリッジキャリア126上にカートリッジ54を装填又は挿入した後、カートリッジカバー72を閉鎖するよう、先に進んでよい。主要制御ユニット605は、上で議論したように、カートリッジセンサ645に問い合わせて、カートリッジ54が動作前にカートリッジキャリア126内の正確な所定の位置にあることを保証してよい。このステップは任意に、ステップ901の前、ステップ901の間又は後に実施してよい。
【0175】
一実装形態では、主要制御ユニット605は更に、タイマーユニット630に問い合わせて、カートリッジ54が所定の時間内にキャリア126内に配置されたかどうかを決定してよい。主要制御ユニット605が上記所定の時間内にカートリッジセンサ645からステータス信号を受信しない場合、主要制御ユニット605はタイムアウトを示してよく、適切なエラーメッセージを表示ユニット635に表示してよい。ユーザはまた、(ディスプレイユニット上で)オート注射器50を再初期化するよう促される場合もある。
【0176】
更に、及び/又はあるいは、主要制御ユニット605は、初期化されるとすぐに、(前の薬剤送達シーケンスからの)カートリッジが既にカートリッジキャリア内に存在していることを識別してよい。従って、新規のカートリッジを用いた新規の薬剤送達シーケンスを開始するために、ユーザに、古いカートリッジを除去することを促してよい。このステップは任意に、ステップ901の前、ステップ901の間又は後に実施してよい。
【0177】
更に、主要制御ユニット605はカートリッジカバーセンサ615に問い合わせて、カートリッジカバー72が薬剤送達プロセスの前、及び/又はカートリッジがキャリア126内に適切に配置された後に閉鎖されていることを保証してよい。しかしながら、主要制御ユニット605が、(カートリッジカバーセンサへの問い合わせ後に)カートリッジカバーが閉鎖されていないことを決定した場合、主要制御ユニットは任意に、薬剤送達プロセスを継続するためにカートリッジカバーを閉鎖するよう、(表示ユニット内の要求メッセージによって)ユーザに要求を送信してよい。このステップは任意に、ステップ901の前、ステップ901の間又は後に実施してよい。
【0178】
ここで
図7Aを参照すると、一例では、オート注射器50はユーザに、薬剤送達プロセス中に薬剤を温めるよう促してよい。例えばステップ701では、カートリッジキャリア126内に、薬剤を内包する薬剤カートリッジ54を挿入すると、カートリッジセンサ645をトリガすることによって、薬剤を温めるためのオプションを(制御ユニット605によって)表示ユニット635上に表示させてよい。ユーザは、この薬剤の温めオプションを(起動ボタンを押すことによって、又は表示スクリーン上にタッチ入力を提供することによって)選択することにより、この要求に応答してよい。別の例では、ユーザは、この薬剤の温めオプションを選択しないことによって、薬剤の温めを飛ばしてよい。あるいはユーザは、(例えば表示オプションが提供されない場合に)起動ボタンを所定の回数だけ押すことによって、薬剤カートリッジ54を挿入した後に温めオプションを選択してよい。
【0179】
ユーザはオート注射器50を、ユーザが薬剤送達プロセスのためのオート注射器50の動作を開始する度に上記薬剤の温めオプションを提供する、又は提供しないようにプログラムしてよいと考えられる。
【0180】
更に、上で議論したように、オート注射器50は任意に、カートリッジ54上に設けられたシリンジタグ820に基づいて薬剤の識別情報を決定してよい。オート注射器50は、RFIDセンサ810を利用して、シリンジタグ820又は薬剤IDに基づいて薬剤を認識してよい。例えば制御ユニット605は、シリンジタグ820から取得又は受信した、デコードされた薬剤IDを、(記憶ユニット640のルックアップテーブル及び/又はデータベース内に記憶された)記憶された薬剤IDのうちの1つと適合させてよい。あるいはオート注射器は、クラウドベースの記憶システムと通信して、適切な薬剤IDにアクセスしてよい。適合が存在していると制御ユニットがひとたび決定すると、制御ユニット605は次に、識別した薬剤と、薬剤の薬剤プロファイル情報(例えば薬剤の作用温度、薬剤を温める必要がある時間、薬剤の粘度、薬剤の体積等に関する情報)とを関連付けてよい。この関連付けは、記憶ユニット640から、又はクラウドベースのストレージからの薬剤プロファイルへのアクセスに基づくものであってよい。
【0181】
更に別の実施形態では、ユーザは、起動ボタンを所定の回数だけ押すことによって(例えば起動ボタンを4回押すことは、薬剤Aを指示してよい)、又は表示ユニットと対話することによって、薬剤の識別情報を指示してよく、この指示に基づいて、主要制御ユニット605は、薬剤の薬剤プロファイル、及び薬剤に関する他の適切な情報を取得してよい。
【0182】
薬剤の温めオプションの選択後、ステップ703では、主要制御ユニット605は、オート注射器50のヒータ650の電源をオンにしてよい。更に、任意に、ヒータ650の動作ステータスを示すために、表示ユニット635上に通知(例えばヒータON)を表示してよい。
【0183】
ステップ705では、主要制御ユニット605は、ヒータ温度センサ655及び薬剤温度センサ660から、入力又はフィードバックを受信してよい。例えばヒータ温度センサ655は、ヒータの温度情報を検出して主要制御ユニット605に送信してよく、また薬剤温度センサ660は、薬剤の温度情報を検出して主要制御ユニット605に送信してよい。
【0184】
ステップ707では、温度センサ655及び660が、ヒータ650の温度及び薬剤の温度が、ある警告温度超、又は別の警告温度値未満であることを検出すると、主要制御ユニット605は、薬剤温め動作を動作させてよいことを決定してよい。従って主要制御ユニット605は次に、表示ユニット635にエラー通知を表示させてよい(ステップ709)。警告温度は、各センサ655及び660の記憶ユニット(図示せず)にローカルに記憶させてよい。一例では、上記記憶ユニットは、製造プロセス中に管理者が警告温度値をプログラムできる、電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)であってよい。
【0185】
一例では、警告温度値は40℃であってよい(
図7Bの751参照)。別の例では、警告温度は5℃であってよい。従って、温度センサ655及び660が、ヒータ及び/又は薬剤のいずれの温度が40℃以上又は5℃以下であることを検出した場合、各温度センサの警告ピン(図示せず)をトリガして、主要制御ユニット605をステップ709に進めてよい。一例では、検出された温度が所定の時間(例えば2分)にわたって上記警告温度超又は未満に留まっている場合、安全のために、主要制御ユニット605は、ステップ709においてオート注射器50の電源をオフにしてよい。
【0186】
ステップ707では、主要制御ユニット605は、ヒータ温度センサ655及び薬剤温度センサ660それぞれから受信したフィードバックに基づいて、ヒータ650及び薬剤又は薬剤カートリッジ54の検出された温度が、上記警告温度超ではない(例えば検出された温度が40℃超ではない)、又は警告温度未満ではない(例えば検出された温度が5℃未満ではない)ことを検出してよい。更に主要制御ユニット605は更に、検出された薬剤の温度が20℃未満(例えば18℃)であることを決定してよい。主要制御ユニットは次に、薬剤の薬剤プロファイルを問い合わせてよい。一例では、薬剤プロファイルは、薬剤の作用温度が22.5℃であること、及び作用温度値の範囲が±2.5℃であることを示してよい(
図7Bの752及び756参照)。即ち薬剤の作用温度値の範囲は、20℃〜25℃である。従って主要制御ユニット605は、現在の薬剤の温度(即ち18℃)が薬剤の作用温度(即ち22.5℃)未満であることを決定してよい。更に主要制御ユニットは、薬剤の所定の温め時間が少なくとも4分であることを(薬剤の記憶された薬剤プロファイルに基づいて)更に決定してよい。制御ユニット605によって実施されたこれらの決定は、タグセンサ810を介して(例えばトランシーバ830を介して)受信された、タグから取得されたデータに基づくものであってよい。
【0187】
ステップ711では、主要制御ユニットは、(上で議論したように、PIDコントローラとしてプログラムされるとすぐに)命令信号(例えば変調された電圧信号)をヒータ650に送信して、薬剤を温めてよい。
図7Bに示すように、一例では、薬剤の熱プロファイルは曲線754に従ってよい。
【0188】
ステップ713では、主要制御ユニット605は、薬剤温度センサ660から温度フィードバックを受信してよい。このフィードバックに基づいて、主要制御ユニットは薬剤の温度を調整して、この温度を、薬剤の作用温度値の範囲としてよい(例えば
図7Bの756)。調整は、上記温度を上げる又は上げないよう、主要制御ユニット605によってヒータ650に命令信号を送信するステップを含んでよい。例えばスイッチ(図示せず)を制御ユニット605によって実装して、ヒータ650への電流のオフ及びオンを切り替えてよい。更にヒータ温度センサ655は、ヒータ650の温度の検出及び主要制御ユニット605へのフィードバックの送信を継続してよい。このフィードバックに基づいて、主要制御ユニット605は、警告点がトリガされていないことを決定してよい。
【0189】
このようにして、主要制御ユニット605は、薬剤温度センサ660が検出した温度が、所定の時間内(例えば240秒以内)に作用温度(例えば752)に到達する又は薬剤の作用温度範囲756内となるまで、この調整プロセスを継続してよい。
【0190】
上述のように、いくつかの実装形態では、PIDコントローラ/制御ユニット605が実施する上記調整プロセスは、タグセンサ810を介して受信されて記憶ユニット640に記憶された、タグから取得されたデータ及び/若しくは薬剤プロファイルに基づくものであってよく、並びに/又はステップ917で設定されたパラメータに基づくものであってよい。
【0191】
ステップ715では、主要制御ユニット605が、温度フィードバックに基づいて、検出された薬剤の温度が作用温度値の範囲(例えば756)内にないことを検出すると、主要制御ユニット605はステップ711にループして戻る。
【0192】
一例では、主要制御ユニット605が、薬剤の温度が作用温度値に達していることを検出すると、本方法はステップ719へと進む。
【0193】
これより
図7Bを参照して、薬剤の熱プロファイルに関する議論を提供する。
図7Bに示すように、曲線754は、薬剤の例示的な熱プロファイルを示す。この熱プロファイルは、薬剤の温め動作中に主要制御ユニットがフィードバックループを制御する際の、時間753に対する薬剤温度755の変化を示す。
【0194】
薬剤の薬剤プロファイル(例えば薬剤粘度情報、薬剤体積情報、作用温度値、薬剤の所定の温め時間、薬剤使用期限等)にアクセスするとすぐに、主要制御ユニット605は、薬剤を温める方法を決定してよいことに留意されたい。更に主要制御ユニット605は、制御ループのパラメータを調整及び修正して、(熱プロファイルのうちの1つに従ってよい)薬剤の温めを引き起こしてよい。グラフ750は、例示的な熱プロファイル754、757を示す。例えばアクセスした薬剤情報に基づいて、主要制御ユニット605は、薬剤の温度を急速に上昇させる必要があり得ることを決定し、それに続いて発振してよく、その後所定の時間内に作用温度に到達する。このような場合、薬剤の温めは熱プロファイル754に従ってよい。別の例では、主要制御ユニット605は、薬剤の温度をゆっくりと又は徐々に上昇させる必要があり得ることを決定してよく、その後薬剤の作用温度に到達する。このような場合、薬剤の温めは熱プロファイル757に従ってよい。熱プロファイル757は、同一の薬剤又は異なる薬剤の熱プロファイルであってよく、薬剤に関する作用温度は756の範囲内のいずれの値となり得ることに留意されたい。熱プロファイルは:薬剤の要件;電力の最適化;加熱期間の最小化;及びステップ917で設定されたパラメータのうちの少なくとも1つに基づいてよい。
【0195】
図7Aに戻ると、ステップ719では、主要制御ユニット605は、薬剤の作用温度が達成されたことを決定してよく、続いて主要制御ユニットは、作用温度(即ち温めた後に到達した実際の作用温度)、及び上記作用温度に到達するために必要だった時間(即ち薬剤の温め時間)の情報を、薬剤の温めに関する他のいずれの適切な情報と共に記憶してよい。
【0196】
ステップ720では、主要制御ユニットはこのデータを記憶ユニット640に転送してよい。一例では、このデータを後に、ユーザの担当医がアクセス及び処理してよい。通信ユニット680を介して、データを別のデバイス(例えばモバイルユーザデバイス)に転送してよい。あるいは、又は更に、データを外部記憶デバイスに記憶してよい。このデータを、例えば本明細書中の他の箇所において議論されているように、ユーザ、ヘルスケア提供者、又は製薬会社が吟味して、薬剤が適切なパラメータ設定で投与されたことを保証してよい。
【0197】
ステップ721では、薬剤温めプロセスの完了後、主要制御ユニット605は任意に、表示ユニット635に、薬剤温めプロセスが完了したことを示すための通知を表示させてよい。
【0198】
いくつかの実施形態では、オート注射器50は、例えばヒータ650若しくは温度センサの機能不全により、又は所定の温め時間を過ぎてしまうことにより、薬剤を適切に温めることができない場合があることに留意されたい。このような場合、オート注射器50は、表示ユニット635及び/又は可聴音によって、ユーザに(上記機能不全又はエラーに関連する)適切な通知を提供してよい。更に、又はあるいは、オート注射器50は、薬剤を温めるための代替的な方法をユーザに通知するよう、又は温めプロセス全体を飛ばすよう、プログラムしてよい。
【0199】
主要制御ユニット605は、薬剤温めプロセス700の完了後、任意に、針シールド60を除去するようユーザに促してよく、及び/又は針シールドの除去を開始することをユーザに通知してよい。ユーザが針シールド60を除去すると、主要制御ユニット605は次に、薬剤送達シーケンスを(例えば起動ボタン501を押すことによって)開始するようユーザに更に促してよい。
【0200】
針シールドを除去すると、カートリッジを注射のために(即ち薬剤送達投薬のために)使用する必要があることに留意されたい。上記用量の送達前にオート注射器の電源がオフになると、カートリッジ54はオート注射器50によって使用できない。従って主要制御ユニット605は、(表示ユニットを介して)ユーザに適切な通知を提供してよく、薬剤送達プロセスの前に新規のカートリッジを再び温める必要があり得る。更に、針シールドが除去されている場合、制御ユニットは、針シールドが再配置されるまで、又は針の引き込みが行われるまで、カートリッジカバー72の開放を防止してよい。
【0201】
更に、薬剤送達シーケンスが開始されると、カートリッジカバーを開放してカートリッジ54を除去するために、ユーザは注射をキャンセルする必要があり得る。ユーザが現在の注射をキャンセルした場合、(例えば表示ユニット上に)ドア開放オプションが現れ、その後ユーザがデバイスからカートリッジを除去してよい。
【0202】
更に、薬剤温めプロセスの完了後、ユーザは任意に、オート注射器50を注射部位に対して保持するよう、表示ユニット635上で促される場合がある。例えば主要制御ユニット605は表示ユニットに、オート注射器50を注射部位に対して保持することに関する適切な通知を表示するよう命令してよい。ユーザがオート注射器50を注射部位に対して配置すると、主要制御ユニット605は、ユーザの皮膚の一部分が、オート注射器50に実質的に近接しているのか、又は接触しているのかを(オート注射器の皮膚センサ(図示せず)から受信したフィードバックに基づいて)決定してよい。皮膚の接触が確立され、投薬シーケンスが開始されると、オート注射器デバイスは薬剤送達段階に入る。
【0203】
針シールドの除去後(及び投薬シーケンスの開始後)にユーザが注射をキャンセルしたい場合、この用量は、カートリッジをオート注射器から除去する前に吐出又は廃棄しなければならないことに留意されたい。同様に、用量全体が送達されていない場合、ユーザは、カバーを開放してカートリッジ54をオート注射器から除去する前に、残った用量を廃棄しなければならない。例えば主要制御ユニット605は、薬剤送達のキャンセルのための信号を受信してよい(例えばユーザはキャンセルを示すために、起動ボタン501を所定の回数だけ押してよい)。薬剤送達ユニット605は次に、カートリッジ内にある薬剤を吐出するようユーザに促してよい。例えば主要制御ユニット605は、カートリッジ内の残った薬剤を吐出するために、ゴミ箱付近に行く等の命令を提供してよい。
【0204】
薬剤が送達されると、ユーザは、投薬の終了通知を促され得る。主要制御ユニット605は任意に、上記投薬の終了通知後にカートリッジ54を除去することをユーザに更に促してよい。一例では、主要制御ユニット605は、使用されたカートリッジ54がオート注射器50から除去されるまで、ユーザがオート注射器50をシャットダウンできないようにしてよい。
【0205】
上で議論したように、オート注射器の安全性のために、1つ又は複数のセンサを利用してよい。例えば温度センサ655及び660を利用して、薬剤送達前に薬剤がその作用温度まで温められていることを保証してよい。カートリッジセンサ645を同様に用いて、動作前にカートリッジ54がカートリッジキャリア126内の正確な所定の位置にあることを保証してよい。当該技術分野において公知の他のセンサを、この目的又は他の目的のために利用してよく、またこれらは本発明の実施形態の範囲内にあると考えられ、本発明の実施形態の範囲内に包含される。同様に、他の構成部品を任意に利用して、自動注射器50の安全性及び機能性を増強してよい。例えばカートリッジイジェクタ組立体182を利用して、動作中及び動作後それぞれにおいて、カートリッジ54を除去可能にロック及び排出してよい。カートリッジイジェクタ組立体182の一例を
図4に示す。カートリッジイジェクタ組立体182は、駆動ユニット610に連結されるとすぐに、主要制御ユニット605によって制御してよい。
【0206】
更に、安全シリンジを自動注射器50のカートリッジ54として使用する場合、上記安全シリンジの安全機構は、シリンジの動作により、薬剤送達段階の終了時においてトリガしてよい。この場合、駆動ユニット610は例えば、薬剤送達段階の終了を主要制御ユニット605に示してよい。従って、自動注射器50のカートリッジキャリア126内に配置されたカートリッジ54は、ユーザが除去及び処分するにあたって安全となる。任意に、ユーザは、シリンジの使用後に、カートリッジ54の遠位端に(例えばバレル56の遠位端に)剛性針シールド60を再び取り付けてよい。
【0207】
本発明の再使用可能な自動注射器50は、1mLカートリッジ54を含む様々な容量の、部分的に又は完全に充填されたカートリッジ54を収容できる。上記再使用可能な自動注射器は、充填済みシリンジを含む引き込み式又は安全シリンジと共に、及び非安全シリンジと共に、使用してよい。非安全シリンジと共に使用する場合、カートリッジ54は、注射後、又は患者の皮膚との接触が失われてすぐに、再使用可能な自動注射器のハウジング52内へと完全に引き戻され、これによりユーザを、露出した針から保護する。注射完了信号に従って、又はカートリッジの引き込み後すぐに、ユーザは、非安全シリンジが再使用可能な自動注射器のハウジング52内に残っている間に、針刺し傷害のリスクなく、非安全シリンジに再びキャップを取り付けることができる。というのは、針の先端がハウジング52内に内包されているためである。次に、再使用可能な自動注射器又はカートリッジカバー72を開放でき、使用されたカートリッジ54を、鋭利物コンテナ内に安全に処分できる。従って、上記再使用可能な自動注射器50は、大半の引き込み式針シリンジと共に動作するのに加えて、非安全シリンジのための安全な注射を提供することになる。本発明はまた、人間工学的であり、使用が容易であり、自己投与を行う患者が現在採用している製品と審美的に同等である、再使用可能なオート注射器も提供する。本発明の自動注射器は、看護師又は医師による注射を模倣するために好適な速度で十分な力を提供しながらも、自己投与を行う患者に対して使用の自由度を提供する。本発明の再使用可能な自動注射器はまた、長期間にわたる頻繁な使用、例えば毎日の使用に耐えられるよう構成される。上記再使用可能な自動注射器に給電するエネルギ源も同様に交換可能であってよく、再充電可能であってよく、又は長期間にわたる注射器の使用のための電力を他の方法で提供してよい。これにより本発明は、一体型安全機構を有する再使用可能な自動注射器を提供し、これは、患者にとって便利で使用が容易なパッケージ内において、再使用可能な自動注射器内に引き込み式針シリンジを組み込むことを可能とする。
【0208】
本発明は、ヒータの第1の温度値を、上記ヒータに近接して位置決めされた第1の温度センサによって検出するステップであって、上記ヒータは、薬剤を最適に内包するカートリッジに近接して位置決めされる、ステップを含む方法を提供する。本方法は、上記薬剤の第2の温度値を、上記薬剤に近接して位置決めされた第2の温度センサによって検出する。本方法は更に、上記ヒータの検出された上記第1の温度値が第1の警告設定点温度値未満であるかどうか、及び上記薬剤の検出された上記第2の温度値が薬剤作用温度値の範囲内にあるかどうかを、上記ヒータ、上記第1の温度センサ及び上記第2の温度センサに電気的に接続されたフィードバック制御ユニットによって決定する。本方法は、上記検出された第1の温度値が上記第1の警告設定点温度値未満であること、及び上記検出された第2の温度値が上記薬剤作用温度値の上記範囲内にないことの決定に基づいて、上記フィードバック制御ユニットによって、上記薬剤の上記検出された第2の温度値を、上記薬剤作用温度値の上記範囲内である上記薬剤の作用温度値へと調整するステップを含む。
【0209】
以上に記載の実施形態のうちの1つ又は複数は、患者に更なる望ましい特徴を提供できる。例えば本発明の自動注射器又は制御システム600は、針の挿入の深さを制限するために、ハウジング内の既存の又は追加の構成部品を利用してよい。このようなある実施形態では、上記ハウジング又はガイド上に位置する特徴部分をこの目的のために利用してよい。別の実施形態では、駆動ユニット(例えば駆動制御機構、カートリッジキャリア、プランジャキャリア又は駆動ねじ)に機械的制限手段を一体化して、シリンジ針の、患者の体内への進入の範囲を制限してよい。同様に、上述のように、再使用可能なオート注射器の起動時にシリンジ針から針シールドを自動的に除去するために、1つ又は複数の構成部品を採用してよい。
【0210】
別の実施形態では、本発明による単一の自動注射器を、様々な長さの複数の針を含むカートリッジを収容できるように調整してよい。このようにして、単一の自動注射器を、例えば筋肉注射及び皮下注射のために利用できる。様々な針の長さに対する調整において、自動注射器は、機械的調整、及び/又は例えばユーザインタフェースによる電気的調整を含んでよい。針の挿入の深さは、ハウジング内でのカートリッジキャリアの運動に基づいて調整してよい。
【0211】
本明細書において図示及び説明されている実施形態は、本発明のいくつかの可能な変形例を開示するのみであり、他の同様の変形例が考えられ、本開示の範囲内に組み込まれる。当業者であれば容易に理解できるように、上述の多数のパラメータ、形状及び寸法は、本発明の範囲内に留まったまま修正してよい。このような自動注射器は例えば、定期的に又は長期間にわたって、医薬を自己注射する必要がある患者によって採用され得る。従って、上で挙げた例と同様に、本発明の自動注射器は、本発明の範囲内に留まったまま、薬剤送達を開始して針の引き込みを起動するために構成、修正及び利用してよい。従って本発明は、本発明の修正例及び変形例が添付の請求項及びその均等物の範囲内である場合、上記修正例及び変形例を包含することを意図したものである。
【0212】
以上の説明は、本開示のシステム及び技術の例を提供するものであることが理解されるだろう。しかしながら、以上の例とは細部が異なり得る、本開示の他の実装形態も考えられる。本開示又はその例に対するあらゆる言及は、その箇所において議論されている特定の例についての言及を意図しており、本開示の範囲に関するいずれの限定をより広く暗示することを意図したものではない。特定の特徴に対する区別及び排除を意味する用語は、これらの特徴に対する選択の欠如を示すことを意図したものであり、そうでないことが指示されていない限り、本開示の範囲からこれらを完全に排除することを意図したものではない。
【0213】
本発明を説明する文脈における(特に以下の請求項の文脈における)用語「ある(a、an)」及び「上記(the)」並びに「少なくとも1つの(at least one)」並びに同様の指示語の使用は、そうでないことが示されていない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の両方を包含するものと解釈されるものとする。1つ又は複数の項目の列挙に続く、用語「少なくとも1つの」の使用(例えば「A及びBのうちの少なくとも1つ(at least one of A and B)」は、そうでないことが示されていない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、列挙された項目から選択された1つの項目(A若しくはB)、又は列挙された項目のうちの2つ以上のいずれの組み合わせ(A及びB)を意味するものとして解釈されるものとする。
【0214】
本明細書における値の範囲の列挙は、そうでないことが示されていない限り、単に、その範囲内の個々の値それぞれに別個に言及する簡略化された方法として機能することが意図されたものであり、個々の値それぞれは、本明細書中に別個に列挙されているかのように、本明細書に組み込まれている。本明細書に記載の全ての方法は、そうでないことが示されていない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、いずれの好適な順序で実施できる。
【0215】
従って本開示は、適用法令が許容するような、本明細書に添付された請求項中で列挙された主題のあらゆる修正例及び均等物を含む。更に、上述の複数の要素の、全ての可能な変形形態におけるいずれの組み合わせは、そうでないことが示されていない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、本開示に包含される。
(付記)
付記1の温度制御システムは、薬剤を内包するカートリッジの温度を感知及び制御するよう構成された、薬剤送達デバイスのための温度制御システムであって、前記温度制御システムは:前記カートリッジに近接するよう構成され、かつ前記薬剤を温めるよう構成された、ヒータ;前記ヒータに近接して位置決めされ、前記ヒータの第1の温度値を検出するよう構成された、第1の温度センサ;前記カートリッジに近接して位置決めされ、前記薬剤の第2の温度値を検出するよう構成された、第2の温度センサ;並びに前記ヒータ、前記第1の温度センサ及び前記第2の温度センサに電気的に接続された、第1の制御ユニットを備え、前記第1の制御ユニットは:前記ヒータの検出された前記第1の温度値が、第1の警告設定点温度値未満であるかどうか、及び前記薬剤の検出された前記第2の温度値が薬剤作用温度値の範囲内であるかどうかを決定するよう;並びに前記検出された第1の温度値が前記第1の警告設定点温度値未満であること、及び前記検出された第2の温度値が薬剤作用温度値の範囲内ではないことの決定に基づいて、前記薬剤の検出された前記第2の温度値を、薬剤作用温度値の範囲内である前記薬剤の作用温度値へと調整するよう、構成される。
付記2の温度制御システムは、付記1に記載の温度制御システムにおいて、前記第1の制御ユニットは、前記検出された第1及び第2の温度値をそれぞれ前記第1及び第2の温度センサから受信する、フィードバック制御ユニットである。
付記3の温度制御システムは、付記1又は2に記載の温度制御システムにおいて、前記第1の制御ユニットは、前記ヒータの前記検出された第1の温度値、及び前記薬剤の前記検出された第2の温度値が、前記第1の警告設定点温度値超又は第2の警告設定点温度値未満であることを決定するとすぐに、エラー信号を送信する。
付記4の温度制御システムは、付記1〜3のいずれか1項に記載の温度制御システムにおいて、前記第1の警告設定点温度値及び前記第2の警告設定点温度値は、前記第1及び第2の温度センサそれぞれの記憶ユニットにプログラムされた、所定値である。
付記5の温度制御システムは、付記1〜4のいずれか1項に記載の温度制御システムにおいて、前記検出された第2の温度値の調整は更に、前記ヒータの前記第1の温度値を監視しながら前記薬剤を所定の時間内で温めるための、前記第1の制御ユニットによる、前記ヒータへの命令信号の送信を含む。
付記6の温度制御システムは、付記5に記載の温度制御システムにおいて、前記第1の制御ユニットは、前記ヒータによって前記薬剤を前記所定の時間内で温めるための、前記送信された命令信号を、前記薬剤の熱プロファイルに基づいて制御する。
付記7の温度制御システムは、付記1〜6のいずれか1項に記載の温度制御システムにおいて、前記第1の制御ユニットは、前記第2の温度値が前記所定の時間内に前記作用温度へと調整されなかったことを決定するとすぐに、前記第1の制御ユニットに連結された表示ユニットに別のエラー信号を送信する。
付記8の温度制御システムは、付記1〜7のいずれか1項に記載の温度制御システムにおいて、前記第1の制御ユニットは、前記検出された第2の温度を前記作用温度へと調整するとすぐに、前記カートリッジからの薬剤送達に関連する1つ又は複数の動作を起動することをユーザに要求する。
付記9の温度制御システムは、付記1〜8のいずれか1項に記載の温度制御システムにおいて、前記第1の制御ユニットは更に、前記薬剤の前記検出された第2の温度の調整後に、前記第1の制御ユニットに連結された記憶ユニットに、前記作用温度値を記憶する。
付記10の温度制御システムは、付記1〜9のいずれか1項に記載の温度制御システムにおいて、前記作用温度値の範囲は、前記作用温度値のパーセンテージとなるようにプログラムされた上限値及び下限値を有する。
付記11の温度制御システムは、付記1〜10のいずれか1項に記載の温度制御システムにおいて、前記第1の制御ユニットは、ユーザから起動信号を受信するとすぐに、前記薬剤を内包する前記カートリッジの温めの開始を指示する命令信号を前記ヒータに送信する。
付記12の識別システムは、薬剤を内包するカートリッジを識別するよう構成された、薬剤送達デバイス用の識別システム又は識別センサシステムであって、前記識別システムは:制御ユニット;及び前記制御ユニットに電気的に接続されたタグセンサを備え、前記制御ユニットは、前記カートリッジの存在を検出するとすぐに、前記タグセンサを起動させて、前記カートリッジとの非接触通信を開始する。
付記13の識別システムは、付記12に記載の識別システムにおいて、前記カートリッジの存在を示すステータス信号を前記制御ユニットに送信するよう構成された、カートリッジセンサを更に含む。
付記14の識別システムは、付記12又は13に記載の識別システムにおいて、前記タグセンサは、前記非接触通信を開始するために、前記カートリッジに対して質問信号を発する。
付記15の識別システムは、付記12〜14のいずれか1項に記載の識別システムにおいて、前記タグセンサは弓形であり、前記タグセンサは、前記カートリッジの表面に添付されたカートリッジタグと略弓状に整列する。
付記16の識別システムは、付記15に記載の識別システムにおいて、前記非接触通信は無線通信であり、前記タグセンサは、前記カートリッジタグと略整列されるとすぐに、前記質問信号によって前記カートリッジタグを電磁的に刺激する。
付記17の識別システムは、付記15又は16に記載の識別システムにおいて、前記タグセンサは、前記質問信号が前記カートリッジタグを刺激した場合に、前記カートリッジから応答信号を受信し、前記応答信号は、前記カートリッジが内包する前記薬剤に関連する情報を含む。
付記18の識別システムは、付記15〜17のいずれか1項に記載の識別システムにおいて、前記制御ユニットは、前記カートリッジタグが、前記タグセンサが受信する情報に基づいて可読であるかどうかを決定する。
付記19の識別システムは、付記15〜17のいずれか1項に記載の識別システムにおいて、前記制御ユニットは更に、前記カートリッジタグが可読である場合に、前記カートリッジの識別を決定する。
付記20の識別システムは、付記19のいずれか1項に記載の識別システムにおいて、通信ユニットを更に含み、前記通信ユニットは、前記カートリッジの前記識別に基づいて、前記通信ユニットを介して遠隔コンピュータデバイスと情報交換することによって、前記カートリッジタグからの前記情報が有効であるかどうかを更に決定する。
付記21の識別システムは、付記17〜20のいずれか1項に記載の識別システムにおいて、前記情報は:前記薬剤の使用期限;製造識別情報(ID);及び前記薬剤の薬剤IDからなる群から選択されるパラメータを含み、前記制御ユニットは、前記パラメータのうちの少なくとも1つ又は組み合わせに基づいて、前記薬剤が使用のために許容可能であるか、又はリコールされているかを決定する。
付記22の識別システムは、付記17〜21のいずれか1項に記載の識別システムにおいて、前記制御ユニットは、前記カートリッジタグから前記情報を受信するとすぐに、薬剤送達プロセスに関連する1つ又は複数のパラメータを構成する。
付記23のAIデバイスは、薬剤を内包するカートリッジを受承するよう適合された、自動注射器(automatic injector:AI)デバイスであって、前記AIデバイスは、バレルと、針と、プランジャシールを含むプランジャ組立体とを含み、前記カートリッジは長手方向軸を画定し、 前記AIデバイスは:ハウジング;前記カートリッジの少なくとも一部分を受承するよう適合されたカートリッジキャリアであって、前記カートリッジキャリアは、前記ハウジングに対して、前記カートリッジの前記長手方向軸に平行な方向に移動するよう配置される、カートリッジキャリア;前記カートリッジキャリアに対して移動するよう配置されたプランジャキャリア;前記プランジャキャリアに連結された細長駆動デバイスであって、前記細長駆動デバイスは、前記カートリッジの前記長手方向軸に平行な方向の前記プランジャキャリアの移動を提供するよう配置される、プランジャキャリア;モータ;前記モータを前記細長駆動デバイスに連結する伝動組立体;付記1〜11のいずれか1項に記載の温度制御システム;付記12〜22のいずれか1項に記載の識別システム;並びに第2の制御ユニットであって:前記識別システムのタグセンサから受信した前記薬剤の情報を処理し;処理された前記情報の少なくとも一部分に基づいて、前記温度制御システムのヒータの検出された第1の温度値が、第1の警告設定点温度値未満であるかどうか、及び前記薬剤の検出された第2の温度値が、薬剤作用温度値の範囲内であるかどうかを決定し;更に、前記処理された情報に基づいて、前記モータを制御するよう構成された、第2の制御ユニットを備える。
付記24のAIデバイスは、付記23に記載のAIデバイスにおいて、前記第2の制御ユニットは、前記タグセンサが起動されており、かつ前記薬剤情報を無線で受信したことを示す起動信号を前記タグセンサから受信するとすぐに、命令信号を前記ヒータに送信する。
付記25のAIデバイスは、付記23又は24に記載のAIデバイスにおいて、前記検出された第2の温度値の調整は、前記カートリッジタグから受信された温め期間情報に基づいて、所定の時間内に前記薬剤を温めるための、前記ヒータへの命令信号の送信を更に含む。
付記26のAIデバイスは、付記23〜25のいずれか1項に記載のAIデバイスにおいて、前記第2の制御ユニットは、前記薬剤の前記検出された第2の温度の調整後の作用温度値、及び取得された前記薬剤データを、前記通信ユニットを介して、遠隔記憶ユニットに記憶する。
付記27のAIデバイスは、付記23〜26のいずれか1項に記載のAIデバイスにおいて、前記第2の制御ユニットは、前記温度制御センサ及び前記識別システムのうちの少なくとも1つから受信した情報に基づいて、前記針が前記ハウジング内にある第1の位置から、前記針が前記ハウジングから遠位に延伸する第2の位置へと、前記カートリッジを移動させるように、前記カートリッジキャリアを制御する。
付記28のAIデバイスは、付記23〜27のいずれか1項に記載のAIデバイスにおいて、前記第2の制御ユニットは、前記温度制御システムの前記第1の制御ユニット、及び前記識別システムの前記制御ユニットと同一である。
付記29のAIデバイスは、付記23〜28のいずれか1項に記載のAIデバイスにおいて、前記タグセンサを受承するよう構成されるセンサキャリッジを更に備え、前記制御ユニットは、前記センサキャリッジ内の前記カートリッジの存在を検出するとすぐに、前記タグセンサを起動して、前記カートリッジとの非接触通信を開始する。
付記30のAIデバイスは、付記23〜29のいずれか1項に記載のAIデバイスにおいて、前記プランジャキャリアの運動は、前記タグセンサが前記カートリッジタグから受信した情報に基づいて、前記制御ユニットによって制御され、これによって薬剤送達の速度を制御できる。