(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来のこのような問題点を解決するためになされたものである。本発明の目的の一は、低コストで電池セルの表面の絶縁を可能とした電源装置とこの電源装置を備える電源システム、及び電池セル用のセパレータを提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、電池セル同士の絶縁構造を簡素化しながら、電池セルと締結部材との絶縁状態を保持して結露水等を介したショートを効果的に防止できる電源装置とこの電源装置を備える電源システム、及び電池セル用のセパレータを提供することにある。
さらにまた、本発明の他の目的は、電源装置の製造工程において、複数の電池セルを積層する際に、組み立てを簡素化して効率よく生産できる電源装置とこの電源装置を備える電源システム、及び電池セル用のセパレータを提供することにある。
【0007】
本発明の一態様に係る電源装置によれば、主面1Xの幅よりも厚さを薄くした外形を角形とする複数の電池セル1と、複数の電池セル1の各々に連結されて、電池セル1の表面を少なくとも部分的に被覆するセパレータ2、62と、セパレータ2、62で被覆された電池セル1を、主面1X同士が対向する姿勢で複数個積層してなる電池積層体9を締結する締結部材3とを備えている。セパレータ2、62は、弾性変形する絶縁性の部材で構成され、さらに、対向して配置される電池セル1の主面1Xを被覆する本体プレート部20と、この本体プレート部20の第一面20A側の底部分に設けられて、電池セル1の底面部1Tを挿入して被覆する箱状被覆部21と、本体プレート部20の第一面20A側の天部分に設けられて、電池セル1の天面部の隅部1Sを被覆する隅角被覆部22とを備えている。
【0008】
上記構成により、シュリンクチューブのような被覆材を使用することなく、電池セルの底面部をスペーサの箱状被覆部でもって被覆ことにより、底面に結露などの水分が溜まった状態でも、結露水による短絡を効果的に防止できる利点が得られる。また、セパレータの箱状被覆部に電池セルの底面部を挿入し、電池セルの天面部の隅部を隅角被覆部で被覆して保持することで、簡単かつ容易に電池セルをセパレータの定位置に配置して、電池セルの表面をセパレータで被覆して絶縁できる。
【0009】
本発明の電源装置は、セパレータ2、62の箱状被覆部21に電池セル1の底面部1Tを挿入すると共に、電池セル1の天面部の隅部1Sを隅角被覆部22で被覆して、電池セル1の定位置にセパレータ2、62が装着された電池セルユニット10、60を形成し、電池セルユニット10、60を複数個積層して電池積層体9を形成することができる。
【0010】
上記構成により、セパレータの箱状被覆部に電池セルの底面部を挿入し、電池セルの天面部の両隅部を隅角被覆部で被覆して保持することで、簡単かつ確実に電池セルの定位置にセパレータが装着された電池セルユニットを形成できる。このため、製造工程においては、電池セルにセパレータが装着された電池セルユニット単位で保管、搬送、及び組み立てができ、シュリンクレス構造の電池セルを使用しながら、安全かつ安心して作業できる。とくに、組み立て工程においては、電池セルにセパレータが装着された電池セルユニットを複数積層して電池積層体を形成することで、組み立て作業を簡素化して生産性を向上できる。
【0011】
本発明の電源装置は、セパレータ2が、さらに本体プレート部20の第一面20A側の側面に、箱状被覆部21と隅角被覆部22の側面を形成する側壁23を備えて、側壁23の中間に切り欠き24を形成することができる。
【0012】
上記構成により、セパレータの本体プレート部の第一面側の側面に側壁を設けることで、セパレータが連結される電池セルの側面を側壁で被覆して絶縁しながら、側壁の中間部に切り欠きを設けることで、セパレータの本体プレート部を撓み易くして、電池セルをセパレータにセットし易くできる。このセパレータは、例えば、本体プレート部を側壁の切り欠きにおいて、第一面と反対側に折曲する状態で箱状被覆部に電池セルの底面部を挿入した後、本体プレート部を元の姿勢に復元させつつ、隅角被覆部に電池セルの天面部の隅部を案内することで、簡単かつ容易に電池セルをセパレータの定位置にセットできる。
【0013】
本発明の電源装置は、セパレータ2が、本体プレート部20の第一面20A側に積層される電池セル1と本体プレート部20との間に風路8を形成するための第一送風溝30Aを本体プレート部20の第一面20Aに形成して、第一送風溝30Aの両端開口を、切り欠き24に連通することができる。
【0014】
上記構成により、本体プレート部の第一面側に積層される電池セルを冷却するための風路を、本体プレート部の第一面側であって側壁の切り欠きに連通して設けることで、冷却気体の経路を確保しつつ、セパレータを弾性変形しやすい構造を実現できる。
【0015】
本発明の電源装置は、セパレータ2が、本体プレート部20の第一面20Aと反対側の面である第二面20B側に積層される電池セル1と本体プレート部20との間に風路8を形成するための第二送風溝30Bを本体プレート部20の第二面20Bに形成して、第二送風溝30Bの両端開口を側壁23に沿って開口することができる。
【0016】
上記構成により、本体プレート部の第二面側に積層される電池セルを冷却するための風路を、本体プレート部の第二面側であって側壁に沿って設けることで、電池セルを冷却する冷却気体の風路を効率よく確保できる。
【0017】
本発明の電源装置は、本体プレート部20が、切り欠き24に沿って、第二面20B側に延長された逆延長側壁25を備えて、この逆延長側壁25を隣接して配置されるセパレータ2の切り欠き24と嵌合する形状に形成することができる。
【0018】
上記構成により、電池セルに連結されたセパレータを積層した状態で逆延長側壁と切り欠きとで嵌合させることで、セパレータ同士を機械的に連結することができる。また、これにより、電池セルの側面のほぼ全体を被覆することができる。
【0019】
本発明の電源装置は、側壁23が、縦方向に沿って垂直壁31を備えて、逆延長側壁25が、縦方向に沿って垂直壁32を備えることができる。
【0020】
上記構成により、隣接する電池セル間において、側壁及び逆延長側壁に設けた垂直壁でもって沿面距離を延長させて、結露等による意図しない短絡が生じるのを有効に防止でき、電池セル同士の絶縁性を高めることが可能となる。
【0021】
本発明の電源装置は、締結部材3が、電池積層体9の両端面に配置される一対のエンドプレート4と、一対のエンドプレート4に両端が連結されるバインドバー5とを備え、バインドバー5が、電池積層体9の側面を被覆する側面プレート部5Xを備え、側面プレート部5Xに、風路8の開口部を臨む送風開口5Dを設けて、側壁23及び逆延長側壁25に形成された垂直壁31、32を送風開口5Dに配置することができる。
【0022】
上記構成により、電池積層体の側面に配置されるバインドバーに開口された送風開口に、側壁及び逆延長側壁に設けた垂直壁を配置することで、電池セルとバインドバーとの沿面距離を延長させて、結露等による電池セルとバインドバーとの意図しない短絡を有効に防止できる。また、バインドバーに開口された送風開口に、垂直壁を配置することで、この垂直壁に沿って冷却気体を風路の開口部に流入させることができ、風路への送風経路を確保できる。
【0023】
本発明の電源装置は、側壁23及び逆延長側壁25が、互いに対向する位置に2列の垂直壁31、32を備えており、互いに対向する2列の垂直壁31、32で、連続する縦溝34を形成することができる。バインドバー5は、送風開口5Dが開口された側面プレート部5Xを補強する連結バー5Fを備えると共に、連結バー5Fを介して側面プレート部5Xに複数の送風開口5Dを形成し、連結バー5Fを縦溝34に挿入することができる。
【0024】
上記構成により、送風開口が開口される側面プレート部を連結バーで補強しながら、この連結バーを、側壁及び逆延長側壁に形成された垂直壁で構成される縦溝に挿入することで、結露等による電池セルと連結バーとの意図しない短絡を有効に防止できる。また、連結バーを縦溝内に配置することで、強制送風される冷却気体が連結バーの影響を受けるのを阻止して、効果的な冷却が実現できる。
【0025】
本発明の電源装置は、さらに、電池セル1を部分的に被覆する絶縁性のカバーフィルム63を備え、カバーフィルム63は、セパレータ62で被覆された電池セル1において、少なくとも箱状被覆部21によって被覆されている電池セル1の表面から隅角被覆部22によって被覆されている電池セル1の表面にかけて延在させることができる。
【0026】
上記構成により、電池セルの底面部をスペーサの箱状被覆部で被覆すると共に、電池セルの天面部の隅部を隅角被覆部で被覆し、さらに、箱状被覆部で被覆された電池セルの表面から隅角被覆部で被覆された電池セルの表面にかけて、絶縁性のカバーフィルムで電池セルを被覆するので、電池セルの底面部から天面部にかけての領域を絶縁状態に被覆でき、電池セルの表面に人や金属が直接接触するのを防止して、意図しない通電を確実に防止できる。
【0027】
本発明の電源装置は、電池積層体9の両側面が上下方向を向く横倒しの姿勢で配置することができる。
【0028】
上記構成により、電池セルの底面部をスペーサの箱状被覆部で被覆し、電池セルの天面部の隅部を隅角被覆部で被覆することで、電池積層体の両側面が上下方向を向く横倒しの姿勢で配置する状態においても、結露などで生じた水分を箱状被覆部や隅角被覆部の内面に沿って流下させて、結露水による短絡を効果的に防止できる。とくに、セパレータの本体プレート部に側壁と逆延長側壁を設けて、これらの側壁及び逆延長側壁に垂直壁を設ける構造においては、横倒しの姿勢で配置される電源装置の下面側に配置される垂直壁でもって、箱状被覆部や隅角被覆部の内面に沿って流下する結露水等の沿面距離を延長させて、結露等による意図しない短絡が生じるのを有効に防止でき、電池セル同士の絶縁性を高めることが可能となる。また、電池セルの天面を左右方向に向けて配置するので、上下方向に対する荷重等の制約を低減できる。
【0029】
本発明の電源システムは、以上のいずれかの電源装置100を複数備えることができ、少なくとも一対の電源装置100を備えて、各々の電源装置100を、電池積層体9の両側面が上下方向を向く横倒しの姿勢で配置すると共に、一対の電源装置100を、電池積層体9の底面が互いに対向する姿勢で配置して、電池セル1の天面を互いに左右の逆方向に配置することができる。
【0030】
上記構成により、一対の電源装置を、電池積層体の両側面が上下方向を向く横倒しの姿勢で配置しながら、電池積層体の底面が互いに対向する姿勢で配置することで、一対の電源装置を省スペースに配置しながら、電池セルの天面を互いに左右の逆方向に配置して、各電池セルの電極端子を効率よく配線できる。
【0031】
本発明のセパレータは、主面1Xの幅よりも厚さを薄くした外形を角形とする複数の電池セル1を積層してなる電源装置に用いる各電池セル1の表面を絶縁するためのセパレータであって、対向して配置される電池セル1の主面1Xを被覆する本体プレート部20と、本体プレート部20の第一面20A側の底部分に設けられて、電池セル1の底面部1Tを挿入して被覆する箱状被覆部21と、本体プレート部20の第一面20A側の天部分に設けられて、電池セル1の天面部の隅部1Sを被覆する隅角被覆部22とを備え、弾性変形する絶縁性の部材で構成することができる。
【0032】
上記構成により、シュリンクチューブのような被覆材を使用することなく、電池セルの底面部をセパレータの箱状被覆部でもって覆うことにより、底面に結露などの水分が溜まった状態でも、結露水による短絡を効果的に防止できる利点が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の一実施の形態にかかる電源装置100を
図1〜
図4に示している。
図1〜
図4に示す電源装置100は、外形を角形とする複数の電池セル1と、複数の電池セル1の各々に連結されて、電池セル1の表面を少なくとも部分的に被覆するセパレータ2と、セパレータ2で被覆された電池セル1を、主面1X同士が対向する姿勢で複数個積層してなる電池積層体9を締結する締結部材3とを備えている。
図1〜
図4の電源装置は、
図5に示すように、電池セル1にセパレータ2を装着して電池セルユニット10を構成しており、この電池セルユニット10を複数個積層して電池積層体9を形成している。
【0035】
(電池セル1)
電池セル1は、幅広面である主面1Xの外形を四角形とする角形電池であって、主面1Xの幅よりも厚さを薄くしている。さらに、電池セル1は、充放電できる二次電池であって、リチウムイオン二次電池としている。ただし、本発明の電源装置は、電池セルをリチウムイオン二次電池には特定せず、充放電できる全ての電池、たとえばリチウムイオン二次電池以外の非水系電解液二次電池やニッケル水電池セルなども使用できる。
【0036】
電池セル1は、正負の電極板を積層している電極体を外装缶1aに収納して電解液を充填して気密に密閉したものである。外装缶1aは、
図6に示すように、底を閉塞する四角い筒状に成形したもので、上方の開口部を金属板の封口板1bで気密に閉塞している。外装缶1aは、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属板を深絞り加工して製作される。封口板1bは、外装缶1aと同じように、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属板で製作される。封口板1bは、外装缶1aの開口部に挿入され、封口板1bの外周と外装缶1aの内周との境界にレーザービームを照射して、封口板1bを外装缶1aにレーザー溶接して気密に固定している。
【0037】
電池セル1は、
図6に示すように、封口板1bの両端部に正負の電極端子13を突出させて固定している。正負の電極端子13は、内蔵する正負の電極板(図示せず)にそれぞれ接続される。電池セル1の天面に固定される電極端子13の位置は、正極と負極が左右対称となる位置としている。これにより、電池セル1を左右反転させて積層し、隣接して接近する正極と負極の電極端子13を金属板のバスバー17で接続して、直列に接続できる。電池セル1を直列に接続する電源装置は、出力電圧を高くして出力を大きくできる。ただし、電源装置は、電池セルを並列と直列に接続することもできる。
【0038】
角形電池である電池セル1は、
図5に示すように、セパレータ2が装着されて電池セルユニット10を構成している。さらに、複数個の電池セルユニット10が、電池セル1の厚さ方向に積層されて電池積層体9を構成している。なお、本明細書において電池セル1の上下方向は、
図6において特定するものとする。また、電池セル1の側面1Yとは、幅広面である主面1Xを互いに対向する姿勢で複数の電池セルユニット10を積層して電池積層体9とする状態で、電池積層体9の両側に配置される幅狭面を意味している。
【0039】
(セパレータ2)
セパレータ2は、絶縁部材で構成されており、
図3〜
図9に示すように、各々の電池セル1に連結されて、電池セル1の表面を部分的に被覆して絶縁する。さらに、セパレータ2は、互いに積層される電池セル1同士を絶縁しながら、隣接する電池セル1を一定の間隔に保持する。このようなセパレータ2は、プラスチック等の絶縁材を成形して製作される。とくに、セパレータ2は、弾性を有する軟質素材であって、例えばPP等のプラスチック材料、あるいはシリコン等で製造される。
【0040】
セパレータ2は、
図3〜
図9に示すように、対向して配置される電池セル1の主面1Xを被覆する本体プレート部20と、本体プレート部20の第一面20A側の底部分に設けられて、電池セル1の底面部1Tを挿入して被覆する箱状被覆部21と、本体プレート部20の第一面20A側の天部分に設けられて、電池セル1の天面部の隅部1Sを被覆する隅角被覆部22とを備えている。このセパレータ2は、ひとつの電池セルユニット10を構成する電池セル1の一方の主面1Xを本体プレート部20で被覆すると共に、箱状被覆部21で電池セル1の底面部1Tを、隅角被覆部22で電池セル1の天面部の隅部1Sを保持して、電池セル1を定位置に保持している。
【0041】
(本体プレート部20)
本体プレート部20は、
図6と
図7に示すように、電池セル1の主面1Xとほぼ等しい大きさと形状の板状としている。本体プレート部20は、電池セルユニット10を構成する電池セル1が配置される側を第一面20Aとして、この第一面20A側の底部分に箱状被覆部21を、天部分の両隅部に隅角被覆部22を設けている。さらに、本体プレート部20は、第一面20Aと反対側の面を第二面20Bとして、隣接して積層される電池セルユニット10を構成する電池セル1の主面1Xに第二面20Bを当接させている。すなわち、本体プレート部20は、このセパレータ2にセットされて電池セルユニット10を構成する電池セル1の第1の主面1Xaを第一面20Aに当接させて被覆し、隣接して積層される電池セルユニット10を構成する電池セル1の第2の主面1Xbを第二面20Bに当接させて被覆している。
【0042】
(箱状被覆部21)
箱状被覆部21は、電池セル1の底面部を挿入できる箱状に形成されている。
図6〜
図9に示す箱状被覆部21は、角形の電池セル1の底面部を、底面全体にわたって挿入して被覆できるように、上方開口の箱状としている。この箱状被覆部21は、本体プレート部20の下端縁に沿って形成されて、第一面20A側に突出する底面被覆部21Aと、この底面被覆部21Aの先端縁から上方に立ち上げられた前面被覆部21Bと、本体プレート部20、底面被覆部21A、及び前面被覆部21Bの両側縁を連結してなる側面被覆部21Cとを備えている。箱状被覆部21は、本体プレート部20に一体成形して設けられている。
【0043】
この箱状被覆部21は、本体プレート部20の第一面20Aに沿って挿入される電池セル1の底面を底面被覆部21Aで被覆し、この電池セル1の第2の主面1Xbの底部を前面被覆部21Bで被覆し、両側面1Yの底部を側面被覆部21Cで被覆する。この構造の箱状被覆部21は、ここに挿入される電池セル1の底面部1Tの全体を隙間なく被覆する。したがって、結露水等の水滴が電池セル1の底面側に流れ込むことがあっても、電池セル1の底面部1Tの全体を箱状被覆部21で被覆することで、この水滴に起因する短絡を確実に防止できる。
【0044】
さらに、
図3と
図6に示す箱状被覆部21は、底面被覆部21Aの内面の両端部に、内面側に突出する段差凸部21Dを形成しており、この段差凸部21Dに電池セル1の底面を当接させる状態で、電池セル1の底面と底面被覆部21Aの内面との間に隙間29を形成している。この構造は、箱状被覆部21に流れ込む水滴をこの隙間29に流入させて一時的に貯溜することで、外部に流出するのを防止している。
【0045】
(隅角被覆部22)
隅角被覆部22は、角形の電池セル1の天面部の隅部1Sを案内して、この隅部1Sを係止できる構造としている。
図6〜
図9に示す隅角被覆部22は、角形の電池セル1の隅部1Sを嵌着できるように、箱形状の開口部からひとつの側面を除去した凹部形状としている。この隅角被覆部22は、本体プレート部20の上端縁の両側縁部に形成されて、第一面20A側に突出する天面被覆部22Aと、この天面被覆部22Aの先端縁から下方に延長された前面被覆部22Bと、本体プレート部20、天面被覆部22A、及び前面被覆部22Bの側縁を連結してなる側面被覆部22Cとを備えている。隅角被覆部22は、本体プレート部20に一体成形して設けられている。
【0046】
この隅角被覆部22は、箱状被覆部21に底面部1Tが挿入された電池セル1の天面(封口板1b)の両端部を天面被覆部22Aで被覆し、この電池セル1の第2の主面1Xbの天部の両側部を前面被覆部22Bで被覆し、両側面1Yの天部を側面被覆部22Cで被覆する。この構造の隅角被覆部22は、電池セル1の隅部1Sを案内する際に、弾性変形する前面被覆部22Bを外側にめくり上げる(
図10の矢印C参照)ことで、凹部の開口部を広げて、電池セル1の隅部1Sを挿入しやすくする。また、隅角被覆部22に電池セル1の隅部1Sを案内した状態では、天面被覆部22A、前面被覆部22B、及び側面被覆部22Cの内面を電池セル1の隅部1Sの表面に当接させて、電池セル1の隅部1Sを位置決めできる。
【0047】
さらに、
図4と
図8に示す隅角被覆部22は、天面被覆部22Aの内面に突出して位置決凸部22Dを設けている。このセパレータ2は、位置決凸部22Dを電池セル1の天面の両側部に当接させて、電池セル1をセパレータ2の定位置に配置できるようにしている。
【0048】
(側壁23)
さらに、セパレータ2は、本体プレート部20の第一面20A側の側面に、箱状被覆部21と隅角被覆部22の側面を形成する側壁23を備えている。
図5〜
図9に示す側壁23は、箱状被覆部21の側面を含む下部側壁23Aと、隅角被覆部22の側面を含む上部側壁23Bとを備えている。図の側壁23は、中間に切り欠き24を形成しており、この切り欠き24によって、下部側壁23Aと上部側壁23Bとを上下に分割している。下部側壁23Aは、箱状被覆部21の側面被覆部21Cと、この側面被覆部21Cから上方に延長された縦側壁26とを備えており、側面被覆部21Cと縦側壁26とで対向する電池セル1の側面1Yの底部を被覆している。上部側壁23Bは、隅角被覆部22の側面被覆部22Cと、この側面被覆部22Cから下方に延長された縦側壁26とを備えており、側面被覆部22Cと縦側壁26とで対向する電池セル1の側面1Yの天部を被覆している。電池セル1の側面1Yの中央部は、側壁23で被覆されることなく、
図5に示すように、セパレータ2が装着された状態では外部に露出している。
【0049】
下部側壁23Aと上部側壁23Bの縦側壁26は、一方の側縁を本体プレート部20に連結すると共に、他方の側縁を電池セル1の第2の主面1Xbよりも手前に位置させており、その横幅を電池セル1の厚さよりも小さくしている。すなわち、図に示す下部側壁23Aと上部側壁23Bは、縦側壁26の横幅を側面被覆部21C、22Cの横幅よりも狭くしており、縦側壁26の第2の主面1Xb側の側縁に表出カット部27を設けて、この部分において、電池セル1の外装缶1aのコーナー部を表出させている。縦側壁26の表出カット部27は、詳細には後述するが、対向して配置されるセパレータ2の本体プレート部20との間に形成される風路8の両端開口部が配置される。言い換えると、側壁23は、縦側壁26の表出カット部27に沿って外装缶1aのコーナー部を表出させることで、風路8への送風経路を確保している。
【0050】
このセパレータ2は、本体プレート部20の第一面20A側の側面に側壁23を設けることで、セパレータ2が装着される電池セル1の側面1Yを側壁23で被覆して絶縁しながら、側壁23の中間部に切り欠き24を設けることで、本体プレート部20を切り欠き24の部分で撓み易くして、電池セル1にセットし易くしている。このセパレータ2は、
図10に示すように、側壁23の切り欠き24において、本体プレート部20の上部を第二面20B側に折曲(矢印A参照)することで、箱状被覆部21の内側に電池セル1の底面部1Tを挿入(矢印B参照)し易くできると共に、折曲された本体プレート部20の上部を元の姿勢に復元させつつ、隅角被覆部22の内側に電池セル1の隅部1Sを案内することで、電池セル1をセパレータ2の定位置にセットできる。とくに、隅角被覆部22に電池セル1の隅部1Sを案内する際には、弾性変形する前面被覆部22Bを外側にめくり上げて(矢印C参照)凹部の開口部を広げることで、電池セル1の隅部1Sを挿入しやすくできる。
【0051】
さらに、図に示す側壁23は、側面被覆部21C、22Cの表面に、外側に突出する凸部28を形成している。この凸部28は、先端面を平面状としており、電池積層体9の側面に配置されるバインドバー5の内側面を当接させて、位置決めできるようにしている。このセパレータ2は、凸部28の先端面にバインドバー5の内面を当接させることで、バインドバー5との間隔を所定の間隔に保持できるようにしている。
【0052】
(逆延長側壁23)
さらに、セパレータ2は、側壁23の切り欠き24に沿って、本体プレート部20の第二面20B側に延長された逆延長側壁25を備えている。逆延長側壁25は、本体プレート部20の第二面20B側に突出する板状で、
図5に示すように、隣接して配置されるセパレータ2の切り欠き24と嵌合する形状に形成されている。さらに、
図7と
図9に示す逆延長側壁25は、電池セル1の側面1Yとの対向面側の上下の両端に沿って段差凹部25Aを形成しており、対向するセパレータ2の縦側壁26の先端縁をこの段差凹部25Aに案内して互いに嵌合できる構造としている。この逆延長側壁25は、縦側壁26の先端縁と段差凹部25Aとが互いに積層されるラップ構造とすることで、結露水等がこの部分を通過するのを有効に防止している。また、側壁23の内面と逆延長側壁25の内面とを同一平面上に配置して、電池セル1の側面1Yに沿って配置できるようにしている。
【0053】
以上のように、逆延長側壁25を備えるセパレータ2は、互いに隣接する電池セルユニット10を積層する状態では、対向するセパレータ同士を逆延長側壁25と切り欠き24とで嵌合させて機械的に連結することができる。したがって、複数の電池セルユニット10を積層する工程では、電池セルユニット10の向きを間違えることなく正しい姿勢で速やかに積層できる。また、セパレータ2の切り欠き24部分に生じる電池セル1の露出部を、隣接する電池セルユニット10のセパレータ2の逆延長側壁25で被覆するので、電池セル1の側面1Yのほぼ全体を被覆することができる。したがって、電池積層体9の両側面は、セパレータ2の側壁23と逆延長側壁25により、ほぼ全体が被覆されて、電位を有する外装缶1aの表面が外部に表出するのを防止して安全性を向上できる。
【0054】
(風路8)
さらに、セパレータ2は、電池セル1の表面に密着された状態で電池セル1の表面に沿って冷却気体を送風するために、本体プレート部20の表面に溝状の凹部を設けて、対向する電池セル表面との間に風路8を形成している。
図3〜
図5、
図7、及び
図8に示すセパレータ2は、電池セル1との対向面に、両側縁まで延びる送風溝30を設けており、この送風溝30と電池セル1の主面1Xとの間にできる隙間を風路8としている。風路8は、
図1及び
図6〜
図9に示すように、電池積層体9の左右の側面に開口するように水平方向に設けられている。
【0055】
図3、
図6〜
図9、及び
図11のセパレータ2は、本体プレート部20の両面に複数列の送風溝30を設けて、本体プレート部20の両面に風路8を形成している。本体プレート部20の両面に形成される風路8は、直線状であって、複数列を互いに平行に設けている。この構造は、本体プレート部20の両面に形成される風路8で、両面に対向して配置される電池セル1を効果的に冷却できる特長がある。ただ、セパレータは、片面にのみ送風溝を設けて、電池セルと本体プレート部との間に風路を設けることもできる。 このセパレータは、例えば、電池セルの中央部と対向する中央部分にのみ風路を設けることができる。
【0056】
図6、
図8、及び
図11に示すセパレータ2は、本体プレート部20の第一面20Aに第一送風溝30Aを形成しており、この第一送風溝30Aにより、本体プレート部20の第一面20A側に積層される電池セル1と本体プレート部20との間に風路8を形成している。図のセパレータ2は、本体プレート部20の第一面20Aの中央部に2列の第一送風溝30Aを形成しており、第一送風溝30Aの両端開口を切り欠き24に連通している。この構造は、本体プレート部20の第一面20A側に積層される電池セル1を冷却するための風路8を側壁23の切り欠き24に連通して設けることで、冷却気体の経路を電池積層体9の左右の側面側に確保することができる。また、切り欠き24に嵌合状態で配置される逆延長側壁25は、第一送風溝30Aの両端開口を閉塞しないように、第二面20B側への突出量を調整している。
【0057】
また、
図7、
図9、及び
図11に示すセパレータ2は、本体プレート部20の第二面20Bに第二送風溝30Bを形成しており、この第二送風溝30Bにより、本体プレート部20の第二面20B側に積層される電池セル1と本体プレート部20との間に風路8を形成している。図のセパレータ2は、本体プレート部20の第二面20Bの上下に1列ずつの第二送風溝30Bを形成している。セパレータ2は、第一面20Aに形成される第一送風溝30Aの背面であって、第二面20B側に突出する凸条の上下に沿って第二送風溝30Bを形成しており、第二送風溝30Bの両端開口を側壁23に沿って開口している。さらに、図に示すセパレータ2は、第二送風溝30Bの両端開口を、対向して積層されるセパレータ2の側壁23に設けた表出カット部27に沿って配置している。これにより、第二送風溝30Bの両端開口を外部に表出させて、冷却気体の経路を電池積層体9の左右の側面側に確保している。
【0058】
本体プレート部20の両面に形成される風路8は、冷却気体を送風させるために、
図4に示すように、電池積層体9の側面に配置されるバインドバー5に開口された送風開口5Dに対向して配置される。電池セル1に強制送風される冷却気体は、一方のバインドバー5に開口された送風開口5Dから風路8に流入して電池セルを冷却し、風路8を通過した後、他方のバインドバー5に開口された送風開口5Dから外部に流出する。
【0059】
(垂直壁31、32)
さらに、セパレータ2は、電池セル1の側面1Yに配置される側壁23と逆延長側壁25の縦方向に沿って垂直壁31、32を備えている。
図5〜
図9に示す側壁23は、側面被覆部21C、22Cから延長された縦側壁26の両側縁に沿って、外側に突出する2列の垂直壁31を設けている。側壁23は、2列の垂直壁31を互いに平行に形成している。2列の垂直壁31のうち、表出カット部27に沿って形成される垂直壁31は、側面被覆部21C、22Cとの境界部分に沿って湾曲部31Aを設けており、表出カット部27の全ての領域にわたって側壁23の内面側と外面側との沿面距離を長くしている。図の湾曲部31Aは、内面に沿って、側壁23と平行なリブ33を設けて補強している。さらに、側壁23の表出カット部27に沿って形成される垂直壁31は、対向して配置される電池セル1との間に形成される第二送風溝30Bの両端開口に沿って立設されるので、外部から送風される冷却気体を、この垂直壁31に沿って効率よく風路8に流入できる。
【0060】
また、
図5〜
図9に示す逆延長側壁25は、縦方向に沿って2列の垂直壁32を平行に設けている。逆延長側壁25に形成される2列の垂直壁32は、
図5に示すように、互いに隣接する電池セルユニット10を積層して、一方の逆延長側壁25を他方の切り欠き24に嵌合させる状態で、側壁23に形成された2列の垂直壁32の延長線上に位置するように形成されている。逆延長側壁25の先端縁に沿って形成される垂直壁32は、第一送風溝30Aの両端開口に沿って立設されるので、外部から送風される冷却気体を、この垂直壁32に沿って効率よく風路8に流入できる。
【0061】
側壁23及び逆延長側壁25に形成された垂直壁31、32は、
図12に示すように、電池積層体9の側面に配置されるバインドバー5の側面プレート部5Xに開口された送風開口5Dに配置される。これにより、電池セル1とバインドバー5との沿面距離を延長させて、結露等による電池セル1とバインドバー5と短絡を防止している。図に示す垂直壁31、32は、その先端縁が、バインドバー5の外側表面とほぼ同一平面上に位置するように突出量を調整している。ただ、垂直壁は、その先端縁をバインドバーの外側表面よりも突出させることもできる。さらに、バインドバー5の送風開口5Dに垂直壁31、32を配置する構造は、垂直壁31、32に沿って開口される風路8への冷却気体の流入をスムーズにできる。
【0062】
さらに、
図12に示す側壁23及び逆延長側壁25は、互いに対向する位置に配置される2列の垂直壁31、32で、連続する縦溝34を形成している。図の電源装置は、電池積層体9の側面に配置されるバインドバー5が、送風開口5Dに連結バー5Fを備えており、この連結バー5Fを縦溝34に挿入している。この構造は、側壁23及び逆延長側壁25に設けた垂直壁31、32で形成される縦溝34に、バインドバー5の連結バー5Fを挿入することで、結露等による電池セル1と連結バー5Fとの短絡を有効に防止できる。
【0063】
(位置決め連結部40)
さらに、図のセパレータ2は、互いに隣接して積層される電池セルユニット10を定位置に連結できるように、本体プレート部20の外周に沿って、電池セル1の積層方向に突出する位置決め連結部40を設けている。図に示す位置決め連結部40は、セパレータ2の底面側の両隅部を位置決めする底面連結部41と、セパレータ2の天面側の両隅部を位置決めするコーナー連結部42とを備えている。
【0064】
(底面連結部41)
底面連結部41は、本体プレート部20の下端縁に沿って第二面20B側に突出して形成されている。底面連結部41は、電池セル1の積層方向に延長された板状であって、箱状被覆部21の底面の全体にわたって設けられている。底面連結部41は、隣接して積層される電池セルユニット10の箱状被覆部21の底面に積層されて、対向するセパレータ2の箱状被覆部21の外側に連結される。図に示す底面連結部41は、両側部を箱状被覆部21の両隅部に沿って立ち上げており、この立ち上げ部により、箱状被覆部21の左右方向を位置決めしながら連結する構造としている。
【0065】
このように、箱状被覆部21の底面部分を底面連結部41との二重壁構造とすることで、経時的な劣化や振動等により箱状被覆部21と底面連結部41のいずれかが破損しても、結露水等によるバインドバー5への導通を有効に防止できる。ただ、底面連結部は、隣接するセパレータを位置決めしながら連結する観点からみると、必ずしも底面全体を被覆する必要はなく、底面の両側部のみを被覆する構造とすることもできる。この場合には、好ましくは、底面連結部は、バインドバーの下端折曲部と当接する部位に対向して形成される。
【0066】
さらに、
図3〜
図7に示す底面連結部41は、バインドバー5の下端折曲部5Aに当接して位置決めする凸条43を備えている。図に示す底面連結部41は、バインドバー5の下端折曲部5Aとの対向部分に、電池セル1の積層方向に延びる凸条43を設けている。この凸条43は、複数のセパレータ2を積層して連結する状態では、互いに隣接するセパレータ2の凸条43を直線状に連結して、バインドバー5の下端折曲部5Aの延長方向に延びる1列の連結凸条を形成する。この凸条43は、電池積層体9の側面にバインドバー5を配置する状態で、凸条43の先端面に下端折曲部5Aの内面を当接させて位置決めできる。さらに、
図8と
図9に示す底面連結部41は、凸条43と対向する先端部に切欠部44を設けており、対向するセパレータ2の凸条43をこの切欠部44に嵌入させて位置決めできる構造としている。
図8と
図9に示す凸条43は、底面連結部41から箱状被覆部21の一部に跨がって設けられており、箱状被覆部21の底面において、底面連結部41の切欠部44に嵌合構造で連結される。
【0067】
(コーナー連結部42)
コーナー連結部42は、本体プレート部20の天面側の両隅部に沿って第二面20B側に突出して形成されている。コーナー連結部42は、垂直断面を略L字状とする板状として電池セル1の積層方向に延長されている。このコーナー連結部42は、隅角被覆部22の天面被覆部22Aと側面被覆部22Cの上端部に沿って積層されて、隅角被覆部22の外側に連結される。垂直断面を略L字状とするコーナー連結部42は、水平部で上下方向を位置決めし、垂直部で左右方向を位置決めしながら隅角被覆部22に連結される。
【0068】
さらに、
図8と
図9に示すコーナー連結部42は、水平部の先端部に嵌合切欠部46を設けており、対向するセパレータ2の天面被覆部22Aの表面に形成された嵌合凸部47を嵌入して互いに位置決めできる構造としている。
【0069】
さらに、
図3〜
図7に示すコーナー連結部42は、バインドバー5の上端折曲部5Bに当接して位置決めする凸条45を備えている。図に示すコーナー連結部42は、バインドバー5の上端折曲部5Bとの対向部分であって、水平部の上面に、電池セル1の積層方向に延びる凸条45を設けている。この凸条45は、複数のセパレータ2を積層して連結する状態では、互いに隣接するセパレータ2の凸条45を直線状に連結して、バインドバー5の上端折曲部5Bの延長方向に延びる1列の連結凸条を形成する。このセパレータ2は、電池積層体9の側面にバインドバー5を配置する状態で、凸条45の先端面にバインドバー5の上端折曲部5Bの内面を当接させて位置決めできる。
【0070】
さらに、
図4ないし
図9に示すセパレータ2は、天面の両側部において、隅角被覆部22とコーナー連結部42の側縁に沿って上方に突出する起立壁48を設けている。この起立壁48は、電池セル1の天面に設けた電極端子13とバインドバー5の上端折曲部5Bの先端縁とを区画して絶縁する。このように、バインドバー5の先端縁と電池セル1の上面との間に起立壁48を設ける構造は、この部分における沿面距離を長くして、意図しない短絡を有効に防止できる。
【0071】
以上の位置決め連結部40は、
図11に示すように、互いに隣接する電池セルユニット10を積層して連結する状態では、底面連結部41が箱状被覆部21の底面に沿って連結されると共に、コーナー連結部42が隅角被覆部22の外周に沿って連結されて、互いに隣接して積層されるセパレータ2同士を、上下左右を位置決めしながら連結する。さらに、箱状被覆部21の底面に沿って連結される底面連結部41は、先端部に形成された切欠部44に、対向するセパレータ2の凸条43が嵌入されて位置決めされる。また、隅角被覆部22の外周に沿って連結されるコーナー連結部42は、水平部の先端部に形成された嵌合切欠部46に、対向するセパレータ2の嵌合凸部47が嵌入されて位置決めされる。
【0072】
(電池セルユニット10)
以上のセパレータ2は、
図5に示すように、電池セル1に装着されて電池セルユニット10を構成する。電池セルユニット10は、電池セル1の表面がセパレータ2で部分的に被覆されており、さらに、複数の電池セルユニット10を積層して電池積層体9を構成する状態では、電池セル1の天面の一部、例えば電極端子13の部分を除くほぼ全ての領域を被覆できる構造としている。この構造は、電位を持つ電池セル1の表面に人や金属が直接接触するのを確実に防止して、意図しない通電を防止できる。さらに、電池セル1のほぼ全面を被覆することで、結露水が発生しても、電池セル1の表面が外装部材、例えばバインドバー5に接触して通電されるのを有効に防止できる。
【0073】
さらに、電池セル1とセパレータ2とで電池セルユニット10を構成することで、製造工程においては、電池セルユニット10単位で扱うことが可能となるため、作業性を向上できる特徴もある。例えば、従来の電源装置では、複数の電池セルとこれ等の間に介在されるセパレータとを交互に積層して電池積層体とし、この電池積層体を両端から押圧する状態で締結するので、電池セルとセパレータとを互いに積層する必要があり、この工程に手間が掛かっていた。これに対して本発明では、電池セル1にセパレータ2を装着して電池セルユニット10とし、複数の電池セルユニット10を互いに積層して電池積層体9とするので作業を簡素化して生産性を向上できる。また、電池セル1にセパレータ2を装着した状態で、保管、搬送、組み立て等の作業ができ、安全性を向上できる。
【0074】
(他の実施例)
さらに、セパレータは、
図13に示す構造とすることもできる。ここで、
図13に示す実施例のセパレータ62は、
図6に示す前述のセパレータ2に対して電池セル1の側面1Yを被覆する側壁23及び逆延長側壁25を省略している。すなわち、このセパレータ62は、側壁23及び逆延長側壁25以外の構成要素については、
図6に示す前述のセパレータ2と同じ構成とすることができる。したがって、
図13において、
図6の実施例と同じ構成要素については、同符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0075】
図13に示すセパレータ62は、対向して配置される電池セル1の主面1Xを被覆する本体プレート部20の第一面20A側の底部分に、電池セル1の底面部1Tを挿入して被覆する箱状被覆部21を設けると共に、本体プレート部20の第一面20A側の天部分に、電池セル1の天面部の隅部1Sを被覆する隅角被覆部22とを設けている。このセパレータ62は、電池セル1の側面1Yの中間部と対向する部分には側壁及び逆延長側壁を設けることなく、電池セル1の側面側を露出させる構造としている。図に示すセパレータ62は、本体プレート部20の両側縁を切断縁としている。
【0076】
このセパレータ62は、本体プレート部20の側面に側壁や逆延長側壁を形成しないので、セパレータ62を製造する金型を簡単にして、低コストに多量生産できる特徴がある。また、側壁を設けていないセパレータ62は、本体プレート部20を中間部分において自由に撓ませることが可能となり、簡単かつ容易に電池セル1にセットできる。このセパレータ62も、
図10に示すセパレータ2と同様に、本体プレート部20の上部を第一面20Aと反対側に湾曲ないし折曲させることで、箱状被覆部21の内側に電池セル1の底面部1Tを挿入し易くできると共に、湾曲ないし折曲された本体プレート部20の上部を元の姿勢に復元させつつ、隅角被覆部22の内側に電池セル1の隅部1Sを案内することで、電池セル1をセパレータ62の定位置にセットできる。
【0077】
さらに、
図13に示す本体プレート部20は、対向する電池セル表面との間に風路を形成する送風溝30を設けている。
図13に示すセパレータ62は、本体プレート部20の第一面20Aの中央部分に2列の第一送風溝30Aを形成しており、反対側の面において、第一送風溝30Aの上下に1列ずつの第二送風溝30Bを形成している。ただ、このセパレータは、本体部プレート部を断面視において凹凸形状として、両面に交互に第一送風溝と第二送風溝を形成することもできる。
【0078】
さらに、
図13のセパレータ62は側面を開放しているが、ここにセットされる電池セル1の外周面を絶縁性のカバーフィルム63で被覆することで、この部分がセパレータ62の側面から外部に露出するのを防止している。
図13に示す電池セル1は、角筒状の外装缶1Aの上下の中間部分にカバーフィルム63を装着している。このカバーフィルム63は、例えば、シリコンフィルムで、
図14に示すように、外装缶1aの外周面に沿う筒状に形成されている。このカバーフィルム63が電池セル1の外装缶1aの表面に密着状態で被覆されて、電池セル1の外周面の中間部分が絶縁状態で被覆される。
【0079】
このカバーフィルム63は、電池セル1の外装缶1aがセパレータ62の側面から外部に露出するのを防止する。したがって、
図13に示すカバーフィルム63は、電池セル1の側面1Yの内、箱状被覆部21の側面被覆部21Cと隅角被覆部22の側面被覆部22Cで被覆されない部分をカバーできる長さとしている。言い換えると、カバーフィルム63は、セパレータ62で被覆された電池セル1において、少なくとも箱状被覆部21によって被覆されている電池セル1の表面から隅角被覆部22によって被覆されている電池セル1の表面にかけて延在させている。このように、電池セル1にカバーフィルム63を設けることで、セパレータ62の構造を簡単にして安価に製造しながら、セパレータ62の表面から露出する部分を確実に絶縁できる。
【0080】
ここで、電池セル1の表面をカバーフィルム63で被覆する構造は、電池セル1の表面をフィルム等で被覆しない構造に比べて製造コストが高くなる。ただ、図に示すカバーフィルム63は、従来のシュリンクチューブのように、電池セルの外装缶の底部を含むほぼ全体を被覆するものではなく、外装缶1aの中間部分のみを被覆するので、従来のシュリンクチューブのように、全体を熱収縮させる複雑な製造工程で電池セルの表面に密着させる必要はなく、電池セル1をフィルムで被覆する工程を簡単にしつつ、しかもセパレータ62で電池セル1の底面部を被覆することで、確実に絶縁できる。外装缶1aの中間部分のみを被覆するカバーフィルム63は、例えば、筒状に成形して熱収縮等により密着させることなく、帯状のフィルムを電池セル1の外周面に沿って巻回することで密着状態に被覆させることができる。すなわち、このカバーフィルム63は、従来のシュリンクチューブで被覆するのが難しかった電池セルの底面部分を被覆することなく、外装缶の中間部分のみを被覆することで、製造工程を簡単にでき、製造コストを低減できる。
【0081】
以上のセパレータ62も、カバーフィルム63で被覆された電池セル1に装着されて電池セルユニット60を構成する。この電池セルユニット60は、電池セル1の一方の主面1Xがセパレータ62の本体プレート部20で被覆されると共に、電池セル1の底面部1Tが箱状被覆部21で被覆され、天面部の隅部1Sが隅角被覆部22で被覆される。さらに、セパレータ62で被覆されない電池セル1の表面であって、電池セル1の他方の主面1Xと側面1Yにはカバーフィルム63が被覆されている。このため、この電池セルユニット60は、電池セル1の天面部を除く表面のほぼ全体が絶縁状態に被覆されるので、保管、搬送、組み立て等の作業時における安全性を向上できる。
【0082】
さらに、複数の電池セルユニットを積層して電池積層体を構成する状態では、隣接する電池セル1同士の間に本体プレート部20を介在させて絶縁すると共に、側面から露出する部分においては、電池セル1の外装缶1aをカバーフィルム63で被覆している。したがって、電極端子13の部分を除くほぼ全ての領域を被覆できる構造としている。このため、電位を持つ電池セル1の表面に人や金属が直接接触するのを確実に防止して、意図しない通電を防止できる。さらに、カバーフィルム63とセパレータ62とを介して電池セル1のほぼ全面を被覆することで、結露水が発生しても、電池セル1の表面が外装部材、例えばバインドバー5に接触して通電されるのを有効に防止できる。
【0083】
(電池積層体9)
電池積層体9は、
図2〜
図5に示すように、電池セル1の表面をセパレータ2で被覆してなる複数の電池セルユニット10を、電池セル1の主面1Xが対向する姿勢で積層している。さらに、
図2に示す電池積層体9は、中間に中間ブラケット6を介在させている。この構造は、電池積層体9の中間部分を中間ブラケット6で補強することで、電池セル1の積層数が増えた場合でも剛性を維持できる利点が得られる。ただ、電池積層体は、必ずしも中間に中間ブラケットを介在させる必要はなく、中間ブラケットを省略することもできる。
【0084】
(締結部材3)
複数の電池セルユニット10を積層してなる電池積層体9は、
図1と
図2に示すように、締結部材3を介して積層方向に締結される。締結部材3は、電池積層体9の積層方向の両端面に配置されるエンドプレート4と、このエンドプレート4に両端部を固定して積層状態の電池セル1を加圧状態に固定してなるバインドバー5とを備えている。電池積層体9は、その両端面に配置される一対のエンドプレート4がバインドバー5の両端に連結されると共に、中間ブラケット6がバインドバー5の中間部に固定されて、積層状態の電池セル1を主面1Xと直交する方向に加圧して固定される。ただ、締結部材は、エンドプレートとバインドバーとに特定しない。締結部材は、電池積層体を積層方向に締結できる他の全ての構造が使用できる。
【0085】
(エンドプレート3)
電池積層体9の両端面には一対のエンドプレート4を配置して、一対のエンドプレート4で電池積層体9を締結している。エンドプレート4の外形は、電池セル1の外形にほぼ等しく、あるいはこれよりもわずかに大きくして、電池積層体9を加圧状態に固定して変形しない四角形の板状としている。エンドプレート4は、十分な強度を発揮する材質、例えば金属製とする。ただ、エンドプレートは、材質を樹脂製とすることや、さらに、この樹脂製のエンドプレートを金属製の材質からなる部材で補強して構成することもできる。
図1〜
図3に示す電源装置は、エンドプレート4を、2枚の金属板4A、4Bの積層体としている。金属製のエンドプレート4は、絶縁材であるエンドセパレータ12を介して電池積層体9に積層される。
【0086】
(バインドバー5)
バインドバー5は、
図1と
図2に示すように、両端にエンドプレート4が積層された電池積層体9の側面側に配置され、両端部が一対のエンドプレート4に固定されて電池積層体9を締結する。バインドバー5は金属板をプレス加工して製作される。このバインドバー5には、鉄などの金属板、好ましくは、鋼板が使用できる。図のバインドバー5は、電池積層体9の側面に配置される側面プレート部5Xと、この側面プレート部5Xの両端部にあってエンドプレート4の外側端面に配置される固定部5Cとを備えている。側面プレート部5Xの外形は、電池積層体9の側面の外形にほぼ等しく、正確にはわずかに大きくしている。固定部5Cは、止ネジ19を介してエンドプレート4の外側端面に固定されている。
図1〜
図3のバインドバー5は、止ネジ19でエンドプレート4に固定しているが、バインドバーの端部を内側に折曲してエンドプレートに連結し、あるいはまた、端部をかしめてエンドプレートに連結することもできる。
【0087】
さらに、バインドバー5は、
図1、
図2、及び
図4に示すように、電池積層体9の天面側の側縁部に配置される上端折曲部5Bと、電池積層体9の底面側の側縁部に配置される下端折曲部5Aとを有する。電池積層体9は、上端折曲部5Bと下端折曲部5Aの間に配置される。図のバインドバー5は、側面プレート部5Xの上縁部を内側に直角に折曲して上端折曲部5Bを設け、下縁部を内側に直角に折曲して下端折曲部5Aを設けている。このバインドバー5は、側面プレート部5Xの上下の端縁部を折曲することで、長手方向と交差する断面形状をコ字状として、剛性を高めることが可能となる。
【0088】
さらに、バインドバー5は、側面プレート部5Xの外周縁部を除く内部に送風開口5Dを設けて、側面プレート部5Xを貫通して冷却気体を送風できる形状としている。図のバインドバー5は、側面プレート部5Xのほぼ全体に送風開口5Dを設けている。このバインドバー5は、側面プレート部5Xの外周縁部に四角形の周縁プレート部5Eを設けて、周縁プレート部5Eの内側に送風開口5Dを設けている。さらに、
図2の側面プレート部5Xは、四角形の周縁プレート部5Eを複数列の連結バー5Fで上下に連結しており、これ等の連結バー5Fで周縁プレート部5Eを補強している。図のバインドバー5は、周縁プレート部5Eを上下に連結する複数列の連結バー5Fにより、周縁プレート部5Eの内側に複数の領域に区画された送風開口5Dを設けている。複数列の連結バー5Fは、互いに平行な姿勢で、電池積層体9の積層方向に離間して配置されている。さらに、
図11に示す電源装置は、バインドバー5の連結バー5Fを、セパレータ2の垂直壁31、32で構成される縦溝34の内部に案内するようにしている。これにより、バインドバー5の連結バー5Fと電池セル1との短絡を有効に防止している。
【0089】
以上のバインドバー5は、側面プレート部5Xが電池積層体9の側面に配置される状態で、周縁プレート部5Eがセパレータ2の側壁23の外側に配置され、下端折曲部5Aがセパレータ2の底面連結部41の下面に配置され、上端折曲部5Bがセパレータ2のコーナー連結部42の上面に配置される。このバインドバー5は、周縁プレート部5Eの内面が側壁23に形成された凸部に当接して位置決めされ、下端折曲部5Aの内面が底面連結部41に形成された凸条に当接して位置決めされ、さらに、上端折曲部5Bの内面がコーナー連結部42に形成された凸条に当接して位置決めされる。
【0090】
(パッキン11)
さらに、電源装置は、
図2と
図4に示すように、バインドバー5と電池積層体9との間にパッキン11を配置している。パッキン11は、シート状であって、一枚の樹脂シートを、たとえば真空成型した後、裁断して製作され、あるいは熱可塑性樹脂を射出成形などの方法で、所定の立体形状のシート状に成形して製作することができる。
図2と
図4示すシート状のパッキン11は、バインドバー5の内面に面接触状態で密着する平面部11Aと、この平面部11Aから電池積層体9の表面に向かって突出すると共に、バインドバー5の送風開口5Dの全体を囲うように延在する中空状の弾性突出部11Bとを有する形状に成形している。シート状のパッキン11は、平面部11Aをバインドバー5の内面に密着させると共に、弾性突出部11Bを弾性的に電池積層体9の表面に密着させて、バインドバー5と電池積層体9との間の冷却気体の漏れを防止する。
【0091】
シート状のパッキン11は、周縁プレート部5E、下端折曲部5A、及び上端折曲部5Bの内面に平面部11Aが配置されており、周縁プレート部5Eに対向して配置される弾性突出部11Bを電池積層体9の表面に弾性的に押圧して、バインドバー5と電池積層体9との間の隙間、すなわち、周縁プレート部5Eとセパレータ2との間の隙間を閉塞して、冷却気体漏れを阻止する。シート状のパッキン11は、
図3の拡大断面図に示すように、横断面形状をU字状の溝形とする弾性突出部11Bの両側に平面部11Aを連結してなる形状に、弾性変形する樹脂シートを成形している。
【0092】
(エンドセパレータ12)
さらに、図の電源装置100は、電池積層体9の両端及び中間において、エンドプレート4と内側に配置される電池セル1との間、及び中間ブラケット6と両面に配置される電池セル1との間に、それぞれ絶縁性を有するエンドセパレータ12を配置している。この構造は、外装缶1aを金属製とする電池セル1と金属製のエンドプレート4とをエンドセパレータ12で絶縁しながら積層できる。エンドセパレータ12は、
図2と
図3に示すように、電池積層体9とエンドプレート4との間に配置されて、金属製のエンドプレート4を電池セル1から絶縁している。
【0093】
さらに、電池セル1の第2の主面1Xb側に配置されるエンドセパレータ12は、前述のセパレータ2と同様に、対向するセパレータ2の切り欠き24に嵌合するように、逆延長側壁25を突出して設けている。これにより、エンドプレート4や中間ブラケット6に第2の主面1Xbを対向させる電池セルユニット10の切り欠き24を露出させることなく被覆できる。さらに、電池セル1の第2の主面1Xb側に配置されるエンドセパレータ12は、対向する電池セル1との間に風路8を形成するために第二送風溝30Bも設けている。
【0094】
(バスバー7)
電池積層体9を構成する複数の電池セル1は、正負の電極端子13がバスバー7を介して互いに直列に接続される。複数の電池セル1を直列に接続する電源装置は、出力電圧を高くできる。ただし、電源装置は、電池セルを並列に接続して電流容量を大きくすることもできる。
【0095】
(送風ダクト51)
電源装置100は、電池セル1とセパレータ2との間に設けた風路8に冷却気体を強制送風するために、
図1に示すように、両側に一対の送風ダクト51が設けられて、これらの送風ダクト51に強制送風機構52が連結される。この電源装置100は、送風ダクト51から風路8に冷却気体を強制送風して、電池セル1を冷却する。ただ、電源装置100は、送風ダクト51から風路8に加温気体を強制送風して、電池セル1を加温することもできる。
【0096】
送風ダクト51は、流入ダクト51Aと排出ダクト51Bからなる。流入ダクト51Aと排出ダクト51Bは、互いに反対側に設けられて、冷却気体を流入ダクト51Aから風路8に、風路8から排出ダクト51Bに送風して、電池セル1を冷却する。流入ダクト51Aと排出ダクト51Bには複数の風路8が並列に連結される。したがって、流入ダクト51Aに送風される冷却気体は、複数の風路8に分岐して送風され、流入ダクト51Aから排出ダクト51Bに送風される。
図1の電源装置100は、流入ダクト51Aと排出ダクト51Bを両側に設けているので、風路8を水平方向に伸びるように設けている。冷却気体は、風路8に水平方向に送風されて、電池セル1を冷却する。なお、送風ダクトの形状は、
図1に例示される形状に限る必要はなく、風路8に対して平行な方向に沿って送風ダクトを設けることもできる。
【0097】
(強制送風機構52)
強制送風機構52は、モータで回転されるファンを備え、このファンを送風ダクト51に連結している。電源装置100は、たとえば、流入ダクト51Aに強制送風機構52を連結して、強制送風機構52から流入ダクト51Aに冷却気体を強制送風する。この電源装置100は、強制送風機構52→流入ダクト51A→風路8→排出ダクト51Bに冷却気体を送風して、電池セル1を冷却する。ただし、強制送風機は、排出ダクトに連結することもできる。この強制送風機は、排出ダクトから冷却気体を強制的に吸入して排気する。したがって、この電源装置は、冷却気体を、流入ダクト→風路→排出ダクト→強制送風機に送風して、電池セルを冷却する。
【0098】
(電源システム)
さらに、
図15は、
図1に示す電源装置100を、電池積層体9の両側面が上下方向を向く横倒しの姿勢で配置する例を示している。
図15は、一対の電源装置100を備える電源システムを示している。
図15に示す電源システムは、各々の電源装置100を、
図1に示す姿勢から横倒しの姿勢として、電池セル1の正負の電極端子13を設けた天面が左右方向を向くように配置している。さらに、電源システムは、一対の電源装置100の底面を対向する姿勢で配置して、各電池積層体9の天面が左右逆方向に向く姿勢で連結している。
【0099】
電源装置100をこの姿勢で配置する電源システムは、電池積層体9の両側面が上下方向を向く姿勢で配置されるので、
図15で示す電源装置100の下面には、
図16に示すように、各々の電池セル1の側面1Yに対向して配置されたセパレータ2の側壁23が配置される。この側壁23は、縦方向に延びる垂直壁31を備えており、これ等の垂直壁31がバインドバー5の送風開口5Dから下方に表出する状態で配置される。この電源装置100は、電池セル1の表面に発生する結露水が下面側に位置する電池セル1の側面1Yに向かって結露水が流下する構造となる。このとき、下面側に位置する電池セル1の側面1Yは、外装缶1aの底面側の隅部が箱状被覆部21で覆われ、封口板1b側の隅部1Sが隅角被覆部22で覆われているので、これらの部分からの水滴の流下が阻止されてバインドバー5に直接接触するのが阻止される。さらに、箱状被覆部21及び隅角被覆部22の側面に設けた側壁23は、電池セル1の中間部に向かって延長されているので、結露水は
図16の矢印で示すように、側壁23に連続して形成された垂直壁31に沿って流下する。このため、縁面距離を長くして絶縁性を高めることができる。また、図の側壁23は、側面被覆部21C、22Cと縦側壁26との境界に設けた湾曲部31Aの上下の中間にリブ33を形成しているので、このリブ33により、さらに縁面距離が延長される。
【0100】
以上の電源システムは、電池セル1とセパレータ2との間に設けた風路8に冷却気体を強制送風するために、
図15に示すように、底面で連結された一対の電源装置100の上下に一対の送風ダクト51が設けられて、これらの送風ダクト51に強制送風機構52が連結される。この電源システムも、送風ダクト51から風路8に冷却気体を強制送風して、電池セル1を冷却する。図に示す電源システムは、2列の電源装置100の上方に流入ダクト51Aを配置して、下方に排出ダクト51Bを配置している。この構造は、電池セル1とセパレータ2との間に形成されて、上下に配列される複数の風路8に、上方から下方に向かって送風して電池セル1を冷却する。したがって、結露等によって発生する結露水等を風路8に沿って下方に速やかに流下させて排水できる特徴がある。すなわち、この構造の電源システムでは、下方に配置される排出ダクト51Bを結露水等の排水ダクトに兼用できる。ただ、電源システムは、電源装置の下方に流入ダクトを連結して、上方に排出ダクトを配置することもできる。
【0101】
なお、
図15では、電源装置100を
図1で示す姿勢から横倒しの姿勢として電池セル1の天面が左右方向を向く姿勢とすると共に、一対の電源装置100を互いの底面が対向する姿勢で配置する電源システムの例を示したが、複数の電源装置を備える電源システムは、図示しないが、
図1に示す姿勢の電源装置を左右2列に平行な姿勢で並べて配置することも、上下2段に平行な姿勢で並べて配置することもできる。
【0102】
以上の電源装置及び電源システムは、ハイブリッドカーや電気自動車などの電動車両に搭載されて走行モータに電力を供給する電源、太陽光発電や風力発電などの自然エネルギーの発電電力を蓄電する電源、あるいは深夜電力を蓄電する電源など、種々の用途に使用され、とくに大電力、大電流の用途に好適な電源として使用される。
【0103】
以上、本発明の実施形態乃至実施例を図面に基づいて説明した。ただ、上記の実施形態乃至実施例は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は上記のものに特定されない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以上の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。