特許第6752941号(P6752941)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6752941検査装置、包装体製造装置及び包装体製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6752941
(24)【登録日】2020年8月21日
(45)【発行日】2020年9月9日
(54)【発明の名称】検査装置、包装体製造装置及び包装体製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/04 20180101AFI20200831BHJP
   G01N 23/083 20180101ALI20200831BHJP
   G01N 23/10 20180101ALI20200831BHJP
   G01N 23/18 20180101ALI20200831BHJP
【FI】
   G01N23/04
   G01N23/083
   G01N23/10
   G01N23/18
【請求項の数】6
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2019-111965(P2019-111965)
(22)【出願日】2019年6月17日
【審査請求日】2020年7月29日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】大谷 剛将
(72)【発明者】
【氏名】大山 剛
(72)【発明者】
【氏名】坂井田 憲彦
【審査官】 藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−85190(JP,A)
【文献】 特開2014−157122(JP,A)
【文献】 特開2014−145733(JP,A)
【文献】 特開2013−190361(JP,A)
【文献】 国際公開第2019/045653(WO,A1)
【文献】 宮崎 格,「X線透過検査による医薬品の品質管理の提案」,包装技術,公益社団法人日本包装技術協会,2013年11月 1日,Vol.51, No.11,pp.923-926
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/02−23/18
G01N 21/3581
G01N 21/85
G01N 21/89−21/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不透明材料からなる第1フィルムと、不透明材料からなる第2フィルムとが取着されるとともに、該両フィルム間に形成される収容空間内に内容物が収容された包装体を検査するための検査装置であって、
前記包装体に対し、前記第1フィルム側から前記包装体を透過可能な電磁波を照射する照射源を有してなる電磁波照射手段と、
前記包装体を挟んで前記電磁波照射手段と対向するように前記第2フィルム側に配置されるとともに前記包装体を透過した電磁波を検出可能な検出部を有し、前記包装体を透過した電磁波による該検出部からの検出出力に基づき、輝度に係る濃淡を有する電磁波透過画像を取得する撮像手段と、
前記撮像手段により取得された電磁波透過画像を基に、前記包装体に係る検査を実行可能な画像処理手段と、
前記電磁波透過画像に基づき、前記電磁波照射手段による電磁波の照射出力を表す照射出力検出値を算出する照射出力検出手段と、
前記照射出力検出値が所定値となるように前記電磁波照射手段による電磁波の照射出力を制御する出力制御手段とを有し、
前記照射出力検出手段は、前記電磁波透過画像における、前記照射源と前記検出部とを最短距離で結ぶ経路上にある、前記収容空間に対応する収容領域のうち前記内容物に対応する内容物領域を除く領域、及び、前記収容空間の周りのフランジ部に対応するフランジ部領域のうちの少なくとも一方の輝度に基づき、前記照射出力検出値を算出するように構成されていることを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記照射出力検出手段は、前記電磁波透過画像における、前記包装体に設けられた切離し用の切離部に対応する切離領域及び前記包装体に付された刻印に対応する刻印領域を除いた領域の輝度に基づき、前記照射出力検出値を算出するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記第1フィルム及び前記第2フィルムのうちの少なくとも一方は、内部空間が前記収容空間を形成するポケット部を有するとともに、金属製フィルム又は金属層を有するフィルムで構成されており、
前記電磁波透過画像における、前記内容物領域を特定するとともに、特定した前記内容物領域の周囲に位置する環状の影部分を前記収容空間の輪郭として特定し、該輪郭の内側を前記収容領域として特定する領域特定手段を有し、
前記照射出力検出手段は、前記電磁波透過画像における、前記領域特定手段により特定された前記収容領域のうち該領域特定手段により特定された前記内容物領域を除く領域の輝度に基づき、前記照射出力検出値を算出するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記電磁波透過画像における、異物に対応する異物領域を特定する異物特定手段を有し、
前記照射出力検出手段は、前記電磁波透過画像における、前記異物領域を除いた領域の輝度に基づき、前記照射出力検出値を算出するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の検査装置を備えたことを特徴とする包装体製造装置。
【請求項6】
不透明材料からなる帯状の第1フィルムと、不透明材料からなる帯状の第2フィルムとが取着されるとともに、該両フィルム間に形成される収容空間内に内容物が収容された包装体を得るときに用いられる包装体製造方法であって、
搬送される帯状の前記第1フィルムと、搬送される帯状の前記第2フィルムとを取着する取着工程と、
前記第1フィルムと前記第2フィルムとの間に形成される前記収容空間内に内容物を充填する充填工程と、
前記取着工程及び前記充填工程を経て得られた前記包装体の検査を実行する検査工程とを備え、
前記検査工程は、
所定の電磁波照射手段が有する照射源によって、前記包装体に対し、前記第1フィルム側から前記包装体を透過可能な電磁波を照射する照射工程と、
前記包装体を挟んで前記電磁波照射手段と対向するように前記第2フィルム側に配置されるとともに前記包装体を透過した電磁波を検出可能な検出部を有してなる撮像手段を用いて、前記包装体を透過した電磁波による該検出部からの検出出力に基づく、輝度に係る濃淡を有する電磁波透過画像を取得する撮像工程と、
前記撮像工程により取得された電磁波透過画像を基に、前記包装体に関する良否判定を行う良否判定工程と、
前記電磁波透過画像に基づき、前記電磁波照射手段による電磁波の照射出力を表す照射出力検出値を算出する照射出力検出工程と、
前記照射出力検出値が所定値となるように前記電磁波照射手段による電磁波の照射出力を制御する出力制御工程とを含み、
前記照射出力検出工程では、前記電磁波透過画像における、前記照射源と前記検出部とを最短距離で結ぶ経路上にある、前記収容空間に対応する収容領域のうち前記内容物に対応する内容物領域を除く領域、及び、前記収容空間の周りのフランジ部に対応するフランジ部領域のうちの少なくとも一方の輝度に基づき、前記照射出力検出値が算出されることを特徴とする包装体製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤等の内容物を収容した包装体を検査する際に用いられる装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医薬品や食料品などの各種分野において、錠剤などの内容物を包装する包装シートとして、PTP(Press Through Package)シートが広く利用されている。
【0003】
PTPシートは、内容物を収容するポケット部が形成された容器フィルムと、その容器フィルムに対しポケット部の開口側を密封するように取着されたカバーフィルムとを備えており、ポケット部を外側から押圧し、そこに収容された内容物によって蓋となるカバーフィルムを突き破ることで、該内容物を取出すことが可能に構成されている。
【0004】
かかるPTPシートは、帯状の容器フィルムに対しポケット部を形成していくポケット部形成工程、該ポケット部に錠剤などの内容物を充填していく充填工程、該ポケット部の開口側を密封するように容器フィルムに対し帯状のカバーフィルムを取着し、PTPフィルムを製造する取着工程、該PTPフィルムから最終製品となるPTPシートを切離す切離工程等を経て製造される。
【0005】
一般に、PTPシートの製造時には、PTPフィルムやPTPシート(以下、これらを「包装体」と総称する)を対象とした検査が行われる。検査には、錠剤の異常(例えばポケット部内における錠剤の有無、割れや欠け等の破損など)に関する検査や、ポケット部内の収容空間やポケット部周りのフランジ部における異物(例えば金属片や錠剤の破片など)の有無に関する検査などが含まれる。
【0006】
近年では、遮光性や防湿性の向上等を図るといった観点から、容器フィルム及びカバーフィルムの両フィルムがアルミニウム等を基材とした不透明材料により形成されることも多くなっている。
【0007】
かかる場合、上記各種検査はX線検査装置等を用いて行われることとなる。一般にX線検査装置は、包装体に対しX線を照射するX線発生器(X線源)と、該包装体を透過したX線を検出するX線検出器とを備えている。X線検査装置は、X線の透過量に応じた輝度に関する濃淡を有するX線透過画像を取得し、該X線透過画像に基づき各種検査を行う(例えば、特許文献1等参照)。尚、X線透過画像の輝度は、X線検出器による検出出力(例えばシンチレータによる光出力)に応じて増減する。
【0008】
また、X線発生器やX線検出器の劣化に伴い、X線検出器による検出出力が低下することを防止すべく、X線発生器の照射出力が所定出力となるように制御している場合に、X線検出器による検出出力が低下したときに、照射出力を増大させるようにX線発生器を制御する技術が知られている(例えば、特許文献2等参照)。この技術について、図17及び図18を用いつつ説明する。図17は、X線発生器における管電流及び照射出力の関係を簡潔的に示すグラフであり、X線発生器がさほど劣化していないときの該関係を実線で示し、X線発生器が劣化したときの該関係を点線で示している。図18は、X線検出器による検出出力(X線透過画像の輝度)及び照射出力の関係を簡潔的に示すグラフである。
【0009】
図17,18の例において、X線発生器がさほど劣化していない場合であって、X線発生器(X線管)に所定値の管電流が流されて、X線発生器の照射出力がLtとなる場合には、X線検出器における検出出力がSltになる。従って、X線検出器による検出出力の範囲は、出力Sltから最低検出出力Sminまでの範囲となる。しかし、X線発生器に劣化が生じた場合には、X線発生器に流される管電流が同一であっても、X線発生器の照射出力がLt´に低下し、その結果、X線検出器における検出出力がSlt´となる。従って、X線検出器による検出出力の範囲は、出力Slt´から最低検出出力Sminまでの範囲に狭まる。上記技術は、このように検出出力の範囲が狭まる場合に、例えば、管電流をΔiだけ増加させることで、照射出力をLtに戻し、検出出力範囲の狭小化を抑えるといったものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2013−253832号公報
【特許文献2】特開2018−28514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、図19に示すように、X線検出器による検出出力の最大範囲(以下、「計測可能階調範囲」という)は、最高検出出力Smaxから最低検出出力Sminまでの範囲となる。一方、包装体を透過したX線に基づくX線検出器による検出出力の範囲(以下、「有効階調範囲」という)に関しては、ポケット部(収容空間)を透過したX線による検出出力Sp又はフランジ部を透過したX線による検出出力Sfから、最低検出出力Sminまでの範囲となる。包装体においては、ポケット部やフランジ部のみが存在する部分がX線を最も透過しやすいからである。そして、この有効階調範囲内には、錠剤を透過したX線による検出出力Sta、錠剤の粉や破片を透過したX線による検出出力Stb及び金属片などの異物を透過したX線による検出出力Soなどが含まれることとなり、包装体の検査は、これら検出出力の違いによるX線透過画像における輝度の差を利用して行われることとなる。
【0012】
しかしながら、上記特許文献2に記載の技術では、検査対象の検査前など、X線発生器とX線検出器との間に検査対象を介在していない状態で、上記の制御を行っている。従って、該技術を包装体の検査に利用すると、包装体が存在する分だけ、X線検出器による実際の検出出力が相当低下してしまい、検出出力Spや検出出力Sfについても相当低くなるおそれがある。そのため、計測可能階調範囲に対して有効階調範囲が非常に狭くなって、X線検出器の能力が十分に生かされなくなり、結果的に、検出出力の階調ひいてはX線透過画像における輝度階調に係る分解能が低下して、高精度の検査を行うことができないおそれがある。
【0013】
尚、上記課題は、PTP包装のみならず、SP(Strip Package)包装など、錠剤などの内容物を包装する他の包装分野においても生じ得るものである。また、X線に限らず、テラヘルツ電磁波など、包装体を透過する他の電磁波を用いる場合においても生じ得るものである。
【0014】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、より高精度での検査を行うことが可能な検査装置、包装体製造装置及び包装体製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0016】
手段1.不透明材料からなる第1フィルムと、不透明材料からなる第2フィルムとが取着されるとともに、該両フィルム間に形成される収容空間内に内容物が収容された包装体を検査するための検査装置であって、
前記包装体に対し、前記第1フィルム側から前記包装体を透過可能な電磁波を照射する照射源を有してなる電磁波照射手段と、
前記包装体を挟んで前記電磁波照射手段と対向するように前記第2フィルム側に配置されるとともに前記包装体を透過した電磁波を検出可能な検出部を有し、前記包装体を透過した電磁波による該検出部からの検出出力に基づき、輝度に係る濃淡を有する電磁波透過画像を取得する撮像手段と、
前記撮像手段により取得された電磁波透過画像を基に、前記包装体に係る検査を実行可能な画像処理手段と、
前記電磁波透過画像に基づき、前記電磁波照射手段による電磁波の照射出力を表す照射出力検出値を算出する照射出力検出手段と、
前記照射出力検出値が所定値となるように前記電磁波照射手段による電磁波の照射出力を制御する出力制御手段とを有し、
前記照射出力検出手段は、前記電磁波透過画像における、前記照射源と前記検出部とを最短距離で結ぶ経路上にある、前記収容空間に対応する収容領域のうち前記内容物に対応する内容物領域を除く領域、及び、前記収容空間の周りのフランジ部に対応するフランジ部領域のうちの少なくとも一方の輝度に基づき、前記照射出力検出値を算出するように構成されていることを特徴とする検査装置。
【0017】
尚、以下の手段においても同様であるが、上記「包装体」には、製品となるシート状包装体(例えば「PTPシート」や「SPシート」などの包装シート)や、該シート状包装体が切離される前の帯状包装体(例えば「PTPフィルム」や「SPフィルム」などの包装フィルム)が含まれる。さらに、電磁波としては、X線又はテラヘルツ電磁波を挙げることができる。
【0018】
また、「照射出力検出値」としては、例えば、電磁波透過画像における輝度の平均値や中心値、重心値などを挙げることができる。さらに、「フランジ部」には、帯状包装体における収容空間の周りに位置し、最終的な製品を得る際に廃棄される部分(スクラップ部)が含まれる。
【0019】
上記手段1によれば、電磁波透過画像に基づき算出された照射出力検出値が所定値となるように電磁波照射手段による電磁波の照射出力が制御される。また、照射出力検出値は、電磁波透過画像における、照射源と検出部とを最短距離で結ぶ経路上にある、収容領域のうち内容物領域を除く領域、及び、フランジ部領域のうちの少なくとも一方の輝度に基づき算出される。
【0020】
ここで、検出部及び照射源間の距離の影響による電磁波の減衰を考慮したとき、検出部の検出出力としては、検出部及び照射源を最短距離で結ぶ経路を通った電磁波によるものが最も高い出力となる。そのため、電磁波透過画像における照射源及び検出部を最短距離で結ぶ経路上にある領域は、その他の領域よりも明るいものとなりやすい(輝度が高いものとなりやすい)。また、包装体の影響による電磁波の減衰を考慮したとき、検出部の検出出力としては、内容物を透過せず収容空間を形成する部分のみを透過した電磁波、又は、フランジ部のみを透過した電磁波によるものが最も高い出力となる。そのため、電磁波透過画像における収容領域のうち内容物領域を除いた領域やフランジ部領域は、電磁波透過画像におけるその他の領域よりも明るいものとなりやすい(輝度が高いものとなりやすい)。
【0021】
従って、上記手段1によれば、照射出力検出値は、電磁波透過画像のうち最も明るくなりやすい領域の輝度に基づき算出されることとなる。そして、この最も明るくなりやすい領域に係る照射出力検出値が所定値となるように、つまり、この最も明るくなりやすい領域が十分に高輝度となるように、電磁波照射手段が制御される。従って、検出部による検出出力の範囲(有効階調範囲)におけるその最高値を十分に高くすることができ、検出部による検出出力の最大範囲(計測可能階調範囲)に対して有効階調範囲をより広いものとすることができる。これにより、検出出力の階調ひいては電磁波透過画像における輝度階調に係る分解能を向上させることができ、より高精度の検査を行うことが可能となる。
【0022】
尚、包装体のうち収容空間を形成する部位は、収容空間の形成のために薄く延ばされていることが多い。そのため、電磁波透過画像において、収容領域のうち内容物領域を除く領域は、フランジ部領域よりも明るいものとなりやすい。従って、有効階調範囲をより適切に設定するという点では、収容領域のうち内容物領域を除く領域の輝度に基づき、照射出力検出値を算出するように構成することが好ましい。
【0023】
一方、フランジ部領域は、通常、収容領域のうち内容物領域を除く領域よりも広く存在している。そのため、照射出力検出値の算出に係る容易性を向上させるという点では、フランジ部領域の輝度に基づき照射出力検出値を算出するように構成することが好ましい。
【0024】
尚、所定値は、電磁波透過画像において表現可能な最高輝度(出力可能な検出出力のうち最も高い出力が検出部から出力されたときの輝度。例えば図19の例では、最高検出出力Smaxが出力されたときの輝度)を有する領域に基づき算出された照射出力検出値に近い値が好ましい。そして、結果的に、電磁波透過画像における最も明るくなりやすい領域(照射出力検出値の算出に使用される領域)の輝度が、電磁波透過画像において表現可能な最高輝度に近い輝度(例えば、最高輝度の80〜90%程度の輝度)となるように、電磁波照射手段による電磁波の照射出力を制御することが好ましい。
【0025】
また、後述する手段3のように、第1、第2フィルムのうちの少なくとも一方が、金属製フィルム等で構成されるとともに、収容空間を形成するためのポケット部を備える場合には、「収容領域のうち内容物領域を除いた領域」とあるのを、「収容領域のうち内容物領域及びポケット部の外縁に対応する領域を除いた領域」とすることが好ましい。ポケット部の外縁(側壁部に対応する部位)では電磁波が遮蔽されやすいため、より適正な照射出力検出値を得るという点では、該外縁に対応する領域の輝度を利用しない方が好ましいためである。
【0026】
手段2.前記照射出力検出手段は、前記電磁波透過画像における、前記包装体に設けられた切離し用の切離部に対応する切離領域及び前記包装体に付された刻印に対応する刻印領域を除いた領域の輝度に基づき、前記照射出力検出値を算出するように構成されていることを特徴とする手段1に記載の検査装置。
【0027】
切離部(例えば、ミシン目やスリット等)や刻印を透過する際に、電磁波はこれらの影響を受けるおそれがある。そのため、切離領域や刻印領域の輝度に基づき照射出力検出値を算出すると、照射出力検出値が不適正となるおそれがある。
【0028】
この点、上記手段2によれば、切離領域及び刻印領域を除いた領域の輝度に基づき、照射出力検出値が算出される。従って、切離部や刻印の影響を受けることなく、より適正な照射出力検出値を算出することができる。その結果、より高精度の検査をより安定的に行うことができる。
【0029】
手段3.前記第1フィルム及び前記第2フィルムのうちの少なくとも一方は、内部空間が前記収容空間を形成するポケット部を有するとともに、金属製フィルム又は金属層を有するフィルムで構成されており、
前記電磁波透過画像における、前記内容物領域を特定するとともに、特定した前記内容物領域の周囲に位置する環状の影部分を前記収容空間の輪郭として特定し、該輪郭の内側を前記収容領域として特定する領域特定手段を有し、
前記照射出力検出手段は、前記電磁波透過画像における、前記領域特定手段により特定された前記収容領域のうち該領域特定手段により特定された前記内容物領域を除く領域の輝度に基づき、前記照射出力検出値を算出するように構成されていることを特徴とする手段1又は2に記載の検査装置。
【0030】
第1フィルム及び第2フィルムのうちの少なくとも一方が、ポケット部を有するとともに、金属製フィルム又は金属層を有するフィルムで形成されている場合、電磁波透過画像では、内容物の周囲に位置しポケット部(収容空間)の外縁に対応する環状部位が、周囲と比べて暗い影部分として表れることになる。
【0031】
この点を利用して、上記手段3によれば、特定された内容物領域の周囲に位置する環状の影部分が収容空間の輪郭として特定され、該輪郭の内側が収容領域として特定される。従って、収容領域の位置をより正確に、かつ、比較的簡易に特定することができる。その結果、一層適正な照射出力検出値を算出することが可能となる。
【0032】
手段4.前記電磁波透過画像における、異物に対応する異物領域を特定する異物特定手段を有し、
前記照射出力検出手段は、前記電磁波透過画像における、前記異物領域を除いた領域の輝度に基づき、前記照射出力検出値を算出するように構成されていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の検査装置。
【0033】
上記手段4によれば、異物領域(例えば、金属片、錠剤の破片や粉、毛髪等の線状異物などがあると考えられる領域)を除いた領域の輝度に基づき、照射出力検出値が算出される。従って、異物の影響を受けることなく、より一層適正な照射出力検出値を算出することができる。その結果、より高精度の検査を一層安定的に行うことができる。
【0034】
手段5.手段1乃至4のいずれかに記載の検査装置を備えたことを特徴とする包装体製造装置。
【0035】
上記手段5によれば、上記手段1等と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0036】
手段6.不透明材料からなる帯状の第1フィルムと、不透明材料からなる帯状の第2フィルムとが取着されるとともに、該両フィルム間に形成される収容空間内に内容物が収容された包装体を得るときに用いられる包装体製造方法であって、
搬送される帯状の前記第1フィルムと、搬送される帯状の前記第2フィルムとを取着する取着工程と、
前記第1フィルムと前記第2フィルムとの間に形成される前記収容空間内に内容物を充填する充填工程と、
前記取着工程及び前記充填工程を経て得られた前記包装体の検査を実行する検査工程とを備え、
前記検査工程は、
所定の電磁波照射手段が有する照射源によって、前記包装体に対し、前記第1フィルム側から前記包装体を透過可能な電磁波を照射する照射工程と、
前記包装体を挟んで前記電磁波照射手段と対向するように前記第2フィルム側に配置されるとともに前記包装体を透過した電磁波を検出可能な検出部を有してなる撮像手段を用いて、前記包装体を透過した電磁波による該検出部からの検出出力に基づく、輝度に係る濃淡を有する電磁波透過画像を取得する撮像工程と、
前記撮像工程により取得された電磁波透過画像を基に、前記包装体に関する良否判定を行う良否判定工程と、
前記電磁波透過画像に基づき、前記電磁波照射手段による電磁波の照射出力を表す照射出力検出値を算出する照射出力検出工程と、
前記照射出力検出値が所定値となるように前記電磁波照射手段による電磁波の照射出力を制御する出力制御工程とを含み、
前記照射出力検出工程では、前記電磁波透過画像における、前記照射源と前記検出部とを最短距離で結ぶ経路上にある、前記収容空間に対応する収容領域のうち前記内容物に対応する内容物領域を除く領域、及び、前記収容空間の周りのフランジ部に対応するフランジ部領域のうちの少なくとも一方の輝度に基づき、前記照射出力検出値が算出されることを特徴とする包装体製造方法。
【0037】
上記手段6によれば、上記手段1と同様の作用効果が奏されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】PTPシートの斜視図である。
図2】PTPシートの部分拡大断面図である。
図3】PTPフィルム及び検査領域などを示す模式図である。
図4】PTPフィルム及び刻印領域などを示す模式図である。
図5】PTP包装機の概略構成図である。
図6】X線検査装置の電気的構成を示すブロック図である。
図7】X線検査装置の概略構成を示す模式図である。
図8】製造工程を示すフローチャートである。
図9】領域特定工程を示すフローチャートである。
図10】良否判定工程を示すフローチャートである。
図11】照射出力検出工程を示すフローチャートである。
図12】X線透過画像における検出対象領域などを示す模式図である。
図13】別の実施形態において、X線透過画像における検出対象領域などを示す模式図である。
図14】SPシートを示す平面図である。
図15】別の実施形態におけるX線検査装置の配置位置を示すための図である。
図16】別の実施形態において、X線透過画像におけるミシン目領域などを示す模式図である。
図17】X線発生器における管電流及び照射出力の関係を簡潔的に示すグラフである。
図18】X線検出器による検出出力及び照射出力の関係を簡潔的に示すグラフである。
図19】計測可能階調範囲及び有効階調範囲などを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まず包装シート(シート状包装体)としてのPTPシート1について説明する。
【0040】
図1,2に示すように、PTPシート1は、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。本実施形態では、PTPシート1のうちポケット部2(後述する収容空間2a)周りに位置するシートフランジ部1bにおいて、容器フィルム3に対しカバーフィルム4が取着された状態となっている。尚、本実施形態では、「容器フィルム3」が「第1フィルム」を構成し、「カバーフィルム4」が「第2フィルム」を構成する。
【0041】
本実施形態における容器フィルム3及びカバーフィルム4は、アルミニウムを基材(主材料)とした不透明材料により構成されている。例えば容器フィルム3は、アルミラミネートフィルム(アルミフィルムに対し合成樹脂フィルムをラミネートしたもの)により形成されている。一方、カバーフィルム4は、アルミフィルムにより形成されている。
【0042】
PTPシート1は、平面視略矩形状に形成され、その四隅が円弧状に丸みを帯びた形状となっている。PTPシート1には、シート短手方向に沿って配列された2個のポケット部2からなるポケット部列が、シート長手方向に5列形成されている。つまり、計10個のポケット部2が形成されている。各ポケット部2の内部空間である収容空間2aには、「内容物」としての錠剤5が1つずつ収容されている。
【0043】
また、PTPシート1には、所定数(本実施形態では2つ)のポケット部2を含むシート小片6単位に切離し可能とするための「切離部」としてのミシン目7がシート短手方向に沿って複数形成されている。
【0044】
加えて、PTPシート1には、シート長手方向一端部において、錠剤名称やロットナンバー等の各種情報(本実施形態では「ABC」の文字)を示すための刻印8aが形成されたタグ部8が付設されている。タグ部8は、ポケット部2が設けられておらず、5つのシート小片6からなるシート本体部1aとの間で1本のミシン目7によって仕切られている。
【0045】
本実施形態のPTPシート1は、帯状の容器フィルム3と帯状のカバーフィルム4とが取着されてなる「帯状包装体」としての帯状のPTPフィルム9(図3,4参照)から最終製品たるPTPシート1を矩形シート状に打抜く工程等を経て製造される。
【0046】
図3及び図4に示すように、本実施形態に係るPTPフィルム9は、該PTPフィルム9の搬送方向(PTPフィルム9の長手方向)にPTPシート1の打抜範囲Ka(以下、単に「シート打抜範囲Ka」という)が1列に並ぶレイアウトとなっている。図3は、容器フィルム3とカバーフィルム4とが取着された直後のPTPフィルム9を示す。図4は、後述するミシン目形成装置33及び刻印装置34によって、ミシン目7及び刻印8aが形成されたPTPフィルム9を示す。
【0047】
また、PTPフィルム9の幅方向両端部には、シート打抜範囲Kaを挟むようにして、PTPフィルム9の搬送方向に沿って帯状に延びる2本の側部スクラップ9aが存在している。本実施形態では、PTPフィルム9のうち前記シートフランジ部1bに対応する部分及び側部スクラップ9aによって、PTPフィルム9におけるポケット部2(収容空間2a)周りのフランジ部9bが構成されている。
【0048】
次に、上記PTPシート1を製造するPTP包装機10の概略構成について図5を参照して説明する。本実施形態では、「PTP包装機10」が「包装体製造装置」を構成する。
【0049】
図5に示すように、PTP包装機10の最上流側では、帯状の容器フィルム3の原反がロール状に巻回されている。ロール状に巻回された容器フィルム3の引出し端側は、ガイドロール13に案内されている。容器フィルム3は、ガイドロール13の下流側において間欠送りロール14に掛装されている。間欠送りロール14は、間欠的に回転するモータに連結されており、容器フィルム3を間欠的に搬送する。
【0050】
ガイドロール13と間欠送りロール14との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、ポケット部形成手段としてのポケット部形成装置16が配設されている。このポケット部形成装置16によって、冷間加工により容器フィルム3の所定の位置に複数のポケット部2が一度に形成される。ポケット部2の形成は、間欠送りロール14による容器フィルム3の搬送動作間のインターバル中に行われる。
【0051】
但し、本実施形態におけるPTP包装機10は、容器フィルム3を、アルミニウム製のみならず、例えばPP(ポリプロピレン)やPVC(ポリ塩化ビニル)等の比較的硬質で所定の剛性を有する熱可塑性樹脂材料によっても製造可能に構成された包装機(兼用機)である。そのため、ポケット部形成装置16の上流側において、容器フィルム3を加熱し柔軟な状態とするための加熱装置15を備えている。勿論、アルミニウム製の容器フィルム3を形成する場合には加熱装置15は使用されない。
【0052】
間欠送りロール14から送り出された容器フィルム3は、テンションロール18、ガイドロール19及びフィルム受けロール20の順に掛装されている。フィルム受けロール20は、一定回転するモータに連結されているため、容器フィルム3を連続的に且つ一定速度で搬送する。テンションロール18は、容器フィルム3を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記間欠送りロール14とフィルム受けロール20との搬送動作の相違による容器フィルム3の弛みを防止して容器フィルム3を常時緊張状態に保持する。
【0053】
ガイドロール19とフィルム受けロール20との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、充填手段としての錠剤充填装置21が配設されている。
【0054】
錠剤充填装置21は、ポケット部2に錠剤5を自動的に充填する機能を有する。錠剤充填装置21は、フィルム受けロール20による容器フィルム3の搬送動作と同期して、所定間隔毎にシャッタを開くことで錠剤5を落下させるものであり、このシャッタ開放動作に伴って各ポケット部2に錠剤5が充填される。
【0055】
一方、帯状に形成されたカバーフィルム4の原反は、最上流側においてロール状に巻回されている。ロール状に巻回されたカバーフィルム4の引出し端は、ガイドロール22を介して加熱ロール23の方へと案内されている。加熱ロール23は、前記フィルム受けロール20に圧接可能となっており、両ロール20,23間に容器フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれるようになっている。
【0056】
そして、容器フィルム3及びカバーフィルム4が、両ロール20,23間を加熱圧接状態で通過することで、容器フィルム3のポケット部2周りの部分に対しカバーフィルム4が貼着され、ポケット部2がカバーフィルム4で塞がれる。これにより、錠剤5が各ポケット部2に充填された、「包装体」としてのPTPフィルム9が製造される。尚、加熱ロール23の表面には、シール用の網目状の微細な凸条が形成されており、これが強く圧接することで、強固なシールが実現されるようになっている。
【0057】
また、フィルム受けロール20には、図示しないエンコーダが設けられており、該フィルム受けロール20が所定量回転する毎、すなわちPTPフィルム9が所定量搬送される毎に、後述するX線検査装置45に対し所定のタイミング信号を出力するよう構成されている。
【0058】
フィルム受けロール20から送り出されたPTPフィルム9は、テンションロール27及び間欠送りロール28の順に掛装されている。
【0059】
間欠送りロール28は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム9を間欠的に搬送する。テンションロール27は、PTPフィルム9を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記フィルム受けロール20と間欠送りロール28との搬送動作の相違によるPTPフィルム9の弛みを防止してPTPフィルム9を常時緊張状態に保持する。
【0060】
フィルム受けロール20とテンションロール27との間には、PTPフィルム9の搬送経路に沿ってX線検査装置45が配設されている。X線検査装置45は、ポケット部2の異常(例えば収容空間2aにおける異物の有無など)の検出、ポケット部2以外のフランジ部9bの異常(例えばフランジ部9bに存在する異物など)の検出を主目的としたX線検査を行うためのものである。勿論、検査項目は、これらに限定されるものではなく、他の検査項目を実施してもよい。本実施形態では、「X線検査装置45」が「検査装置」を構成する。
【0061】
間欠送りロール28から送り出されたPTPフィルム9は、テンションロール29及び間欠送りロール30の順に掛装されている。間欠送りロール30は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム9を間欠的に搬送する。テンションロール29は、PTPフィルム9を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記間欠送りロール28,30間でのPTPフィルム9の弛みを防止する。
【0062】
間欠送りロール28とテンションロール29との間には、PTPフィルム9の搬送経路に沿って、ミシン目形成装置33及び刻印装置34が順に配設されている。ミシン目形成装置33は、PTPフィルム9の所定位置に上記ミシン目7を形成する機能を有する。刻印装置34は、PTPフィルム9の所定位置(上記タグ部8に対応する位置)に上記刻印8aを形成する機能を有する。尚、PTPフィルム9におけるミシン目7や刻印8aの形成された部位は、アルミフィルムが破断された状態となり得る。
【0063】
間欠送りロール30から送り出されたPTPフィルム9は、その下流側においてテンションロール35及び連続送りロール36の順に掛装されている。間欠送りロール30とテンションロール35との間には、PTPフィルム9の搬送経路に沿って、シート打抜装置37が配設されている。シート打抜装置37は、PTPフィルム9をPTPシート1単位にその外縁を打抜くシート打抜手段(切離手段)としての機能を有する。
【0064】
シート打抜装置37によって打抜かれたPTPシート1は、コンベア39によって搬送され、完成品用ホッパ40に一旦貯留される。但し、上記X線検査装置45によって不良品と判定された場合、その不良品と判定されたPTPシート1は、完成品用ホッパ40へ送られることなく、図示しない排出手段としての不良シート排出機構によって別途排出され、図示しない不良品ホッパに移送される。
【0065】
連続送りロール36の下流側には、裁断装置41が配設されている。そして、シート打抜装置37による打抜き後に帯状に残った側部スクラップ9aは、前記テンションロール35及び連続送りロール36に案内された後、裁断装置41に導かれる。ここで、連続送りロール36は従動ロールが圧接されており、側部スクラップ9aを挟持しながら搬送動作を行う。
【0066】
裁断装置41は、側部スクラップ9aを所定寸法に裁断する機能を有する。裁断された側部スクラップ9aはスクラップ用ホッパ43に貯留された後、別途廃棄処理される。
【0067】
尚、上記各ロール14,19,20,28,29,30などは、そのロール表面とポケット部2とが対向する位置関係となっているが、間欠送りロール14等の各ロールの表面には、ポケット部2が収容される凹部が形成されているため、ポケット部2が潰れてしまうことがない。また、ポケット部2が間欠送りロール14等の各ロールの各凹部に収容されながら送り動作が行われることで、間欠送り動作や連続送り動作が確実に行われる。
【0068】
PTP包装機10の概略は以上のとおりであるが、以下に上記X線検査装置45の構成について図面を参照して詳しく説明する。図6は、X線検査装置45の電気的構成を示すブロック図である。図7は、X線検査装置45の概略構成を示す模式図である。
【0069】
図6,7に示すように、X線検査装置45は、PTPフィルム9に対しX線を照射するX線照射装置51と、該X線の照射されたPTPフィルム9のX線透過画像を取得するX線ラインセンサカメラ52と、X線照射装置51やX線ラインセンサカメラ52の駆動制御などX線検査装置45内における各種制御や画像処理、演算処理等を実施するための制御処理装置53とを備えている。
【0070】
本実施形態において「X線」が「電磁波」に相当する。また、「X線透過画像」が「電磁波透過画像」を構成し、「制御処理装置53」が「画像処理手段」を構成し、「X線照射装置51」が「電磁波照射手段」を構成し、「X線ラインセンサカメラ52」が「撮像手段」を構成する。
【0071】
尚、X線照射装置51及びX線ラインセンサカメラ52は、X線を遮蔽可能な材質で構成された遮蔽ボックス(不図示)内に収容されている。遮蔽ボックスは、PTPフィルム9を通過させるためのスリット状の開口が設けられている他は、外部へのX線の漏洩を極力抑えた構造となっている。
【0072】
X線照射装置51は、鉛直方向下向きに搬送されるPTPフィルム9の容器フィルム3側に配置されている。X線照射装置51は、PTPフィルム9のうち後述する検査領域Kbの幅方向中心部と相対する位置に、X線を照射する照射源51aを有している。照射源51aは、X線を発生させるX線管やX線を絞るためのコリメータ(それぞれ不図示)を有しており、PTPフィルム9の幅方向へ所定の広がり(ファン角)を有するファンビーム状のX線を、容器フィルム3側から、PTPフィルム9に対し照射可能に構成されている。X線照射装置51によるX線の照射角(ファン角)は、PTPフィルム9のうち後述する検査領域Kbに対応する範囲を照射可能な角度に設定されている。尚、PTPフィルム9の搬送方向に対しても所定の広がりを有するコーンビーム状のX線を照射可能な構成としてもよい。
【0073】
また、X線照射装置51の前記X線管に投入される管電流は、制御処理装置53(特に後述するマイクロコンピュータ71)によって増減可能とされている。管電流の増減に伴い、X線照射装置51から照射されるX線の照射出力は増減する。
【0074】
X線ラインセンサカメラ52は、PTPフィルム9の搬送方向と直交する方向に沿ってX線照射装置51と対向するように、PTPフィルム9を挟んでX線照射装置51とは反対側(本実施形態ではカバーフィルム4側)に配置されている。
【0075】
X線ラインセンサカメラ52は、PTPフィルム9を透過したX線を検出可能な複数のX線検出素子がフィルム幅方向に沿って1列に並んでなるX線ラインセンサ52aを有し、PTPフィルム9を透過したX線を撮像(露光)可能に構成されている。X線検出素子としては、例えばシンチレータによる光変換層を持つCCD(Charge Coupled Device)などが挙げられる。本実施形態では、「X線ラインセンサ52a」が「検出部」を構成する。
【0076】
X線ラインセンサ52aは、PTPフィルム9を透過して自身に照射されたX線の強度に応じた検出出力を出力する。但し、X線ラインセンサ52aは、自身に照射されたX線の強度が所定の最小基準値以下の場合には、一定の最低検出出力を出力し、自身に照射されたX線の強度が所定の最大基準値以上の場合には、一定の最高検出出力を出力する。
【0077】
尚、X線ラインセンサ52aにおける検出出力の最大範囲(以下、「計測可能階調範囲」という)は、最高検出出力から最低検出出力までの範囲となるが、PTPフィルム9を透過したX線に基づくX線ラインセンサ52aによる検出出力の範囲(以下、「有効階調範囲」という)は、最も減衰することなくPTPフィルム9を透過したX線による検出出力から、最低検出出力までの範囲となる。
【0078】
そして、X線ラインセンサカメラ52は、X線ラインセンサ52aからの検出出力に基づき、輝度に関する濃淡を有するX線透過画像を得る。X線透過画像の輝度は、X線ラインセンサ52aによる検出出力に応じて増減し、X線透過画像のうち前記最低検出出力に対応する領域(座標)は最低輝度となり、X線透過画像のうち前記最高検出出力に対応する領域(座標)の最高輝度となる。
【0079】
さらに、X線ラインセンサカメラ52によって取得されたX線透過画像は、PTPフィルム9が所定量搬送される毎に、該カメラ52内部においてデジタル信号(画像信号)に変換された上で、デジタル信号の形で制御処理装置53(画像データ記憶装置74)に対し出力される。そして、制御処理装置53は、該X線透過画像を画像処理する等して後述する検査を実施する。
【0080】
さらに、照射源51a及びX線ラインセンサ52aを最短距離で結ぶ経路L1上に、PTPフィルム9における後述する検査領域Kbに対応する部位のうち、該PTPフィルム9の幅方向中心に位置する部位が配置されるように構成されている。これにより、本実施形態では、PTPフィルム9の搬送に伴い、フランジ部9b及び収容空間2aが交互に経路L1を通過していくこととなる。また、経路L1を収容空間2aが通過するときには、該収容空間2aに収容された錠剤5が該経路L1を通過することがある。
【0081】
次に、制御処理装置53について図6を参照して説明する。制御処理装置53は、X線検査装置45全体の制御を司るマイクロコンピュータ71、キーボードやマウス、タッチパネル等で構成される入力装置(不図示)、CRTや液晶などの表示画面を有する表示装置(不図示)、各種画像データ等を記憶するための画像データ記憶装置74、各種演算結果等を記憶するための演算結果記憶装置75、各種情報を予め記憶しておくための設定データ記憶装置76、検査に係るソフトウエアを記憶するための検査ルーチン記憶装置77などを備えている。尚、これら各装置は、マイクロコンピュータ71に対し電気的に接続されている。
【0082】
マイクロコンピュータ71は、演算手段としてのCPU71aや、各種プログラムを記憶するROM71b、演算データや入出力データなどの各種データを一時的に記憶するRAM71cなどを備え、制御処理装置53における各種制御を司るとともに、PTP包装機10と各種信号を送受信可能に接続されている。
【0083】
かかる構成の下、マイクロコンピュータ71は、例えばX線照射装置51やX線ラインセンサカメラ52を駆動制御して、PTPフィルム9に係るX線透過画像を取得する撮像処理や、該X線透過画像を基にPTPフィルム9の所定部位を検査する検査処理、該X線透過画像を基にX線照射装置51によるX線の照射出力を調節する処理、前記検査処理に係る検査結果をPTP包装機10の不良シート排出機構などへ出力する出力処理などを実行する。
【0084】
画像データ記憶装置74は、X線ラインセンサカメラ52により取得されるX線透過画像をはじめ、二値化処理された二値化画像などの各種画像データを記憶する。
【0085】
演算結果記憶装置75は、検査結果データや、該検査結果データを確率統計的に処理した統計データなどを記憶する。これらの検査結果データや統計データは、前記表示装置に適宜表示させることができる。
【0086】
設定データ記憶装置76は、検査に用いられる各種情報を記憶する。これら各種情報として、例えばPTPシート1、ポケット部2及び錠剤5の形状及び寸法、検査領域Kbを画定するためのシート枠の形状及び寸法、ポケット枠の形状及び寸法、二値化処理に用いられる輝度閾値、良否判定を行うときに利用される基準値(例えば、ノイズによる影響を除外するための最小面積値Lo等)、X線照射装置51によるX線の照射出力を制御するときに利用される所定値K1などが設定記憶されている。
【0087】
本実施形態では、輝度閾値として、閾値δ1が記憶されている。閾値δ1は、錠剤5やポケット部2の外縁部分、異物(錠剤5の破片や粉、金属片など)を特定するために用いられる輝度閾値である。閾値δ1は、X線照射装置51の前記X線管に投入される管電流の増減に伴いX線照射装置51による照射出力が増減すると、マイクロコンピュータ71によって、新たな照射出力に応じて更新される。閾値δ1の更新は、設定データ記憶装置76に予め記憶された、閾値δ1と管電流との関係を示す数式やテーブルなどに基づいて行われる。例えば管電流がある値に変更されると、前記数式や前記テーブルなどに基づき、この値に対応する閾値δ1が新たに設定され、設定データ記憶装置76に記憶される。尚、閾値δ1を更新することなく、常に一定の値としてもよい。
【0088】
また、閾値δ1は、X線透過画像における錠剤5に相当する部分、該部分の周囲に表れる影部分2c(図12参照)及び異物に相当する部分の各輝度よりも高く、X線透過画像における収容空間2a(但しポケット部2の外縁や錠剤5に対応する部分を除く)やフランジ部9bに相当する部分の輝度(例えば、収容空間2aやフランジ部9bに相当する部分の輝度のうち最も低い輝度)よりも低くなる値に設定される。
【0089】
さらに、本実施形態では、検査領域Kbとして、PTPフィルム9におけるPTPシート1に対応する領域のうち、タグ部8に対応する領域を除く、5つのシート小片6からなるシート本体部1aに対応する領域が設定されている(図3,4参照)。
【0090】
検査ルーチン記憶装置77は、検査処理を実行するためのソフトウエアを記憶する。検査ルーチン記憶装置77に記憶されるソフトウエアには、領域特定用ソフトウエア77a、良否判定用ソフトウエア77b、照射出力検出用ソフトウエア77c及び出力制御用ソフトウエア77dが含まれる。
【0091】
領域特定用ソフトウエア77aは、設定データ記憶装置76に記憶されたシート枠の形状及び寸法に基づき、X線透過画像における所定の検査領域(本実施形態では、検査領域Kb)を特定するプログラムと、前記閾値δ1を用いて、特定した検査領域Kbにおける、収容空間2aに対応する収容領域2x、フランジ部9bに対応するフランジ部領域9x、錠剤5に対応する錠剤領域5x、錠剤5の粉や破片、金属片などの異物に対応する異物領域100x(それぞれ図12参照)などを特定するプログラムとを含む。本実施形態では、「錠剤領域5x」が「内容物領域」に相当する。
【0092】
良否判定用ソフトウエア77bは、ポケット部2やフランジ部9bにおける異物(錠剤5の破片や粉等)の検出を行うためのプログラムを含む。
【0093】
照射出力検出用ソフトウエア77cは、X線透過画像に基づき、X線照射装置51によるX線の照射出力を表す照射出力検出値を算出するためのプログラムを含む。
【0094】
出力制御用ソフトウエア77dは、照射出力検出値が前記所定値K1となるように、X線照射装置51によるX線の照射出力を制御するためのプログラムを含む。
【0095】
X線ラインセンサカメラ52によって、製品となるPTPシート1の少なくとも1枚分に係るX線透過画像が取得されると、マイクロコンピュータ71により、領域特定用ソフトウエア77a、良否判定用ソフトウエア77b、照射出力検出用ソフトウエア77c及び出力制御用ソフトウエア77dが実行される。
【0096】
領域特定用ソフトウエア77aが実行されると、まず、X線透過画像に対し前記シート枠が設定されることで、X線透過画像における検査領域Kbが画定される。また、該検査領域Kbに対応するX線透過画像が、シート濃淡画像Xb(図12参照)として取得されるとともに、該シート濃淡画像Xbが画像データ記憶装置74に記憶される。
【0097】
尚、図12に示すように、X線透過画像Xaやシート濃淡画像Xb(検査領域Kbに係る濃淡画像)において、収容領域2xのうち錠剤領域5xや前記影部分2cを除く領域とフランジ部領域9xとの間では、明暗の差はほぼないが、前者の方が、後者(フランジ部領域9x)よりもやや明るいものとなりやすい。PTPフィルム9における収容空間2aを形成する部位は、収容空間2aの形成のために薄く延ばされており、フランジ部9bよりもX線の透過が生じやすいからである。
【0098】
さらに、X線透過画像Xaやシート濃淡画像Xbにおいて、錠剤領域5xは、フランジ部領域9xなどと比較して暗い状態となる。錠剤5の厚さに依存してX線が減衰するからである。また、X線透過画像Xaやシート濃淡画像Xaにおいて、異物領域100xのうち錠剤5の破片や粉に基づくものは、錠剤領域5xとほぼ同じ明るさ又はこれよりも若干明るい状態となる。一方、異物領域100xのうち金属片などの異物に基づくものは、錠剤領域5xよりも暗い状態となる。金属片などの異物は、錠剤5よりもX線を遮蔽しやすいからである。
【0099】
シート濃淡画像Xbが取得されると、閾値δ1を用いて、該シート濃淡画像Xaに対し二値化処理が施される。例えば前記閾値δ1以上を「1(明部)」、前記閾値δ1未満を「0(暗部)」としてシート濃淡画像Xbが二値化画像に変換されるとともに、この二値化画像が画像データ記憶装置74に記憶される。本実施形態において、二値化画像では、錠剤5や影部分2c、異物に相当する部分が「0(暗部)」として表れる。
【0100】
次いで、上記二値化画像に対し塊処理が実行される。塊処理としては、二値化画像の「0(暗部)」及び「1(明部)」についてそれぞれ連結成分を特定する処理と、それぞれの連結成分についてラベル付けを行うラベル付け処理とが行われる。ここで、それぞれ特定される各連結成分の占有面積はX線ラインセンサカメラ52の画素に応じたドット数で表される。
【0101】
そして、塊処理によって特定された「0(暗部)」の連結成分の中から、錠剤5に相当する連結成分すなわち錠剤領域5xが特定される。錠剤5に相当する連結成分は、所定の座標を含む連結成分、所定の形状である連結成分、或いは所定の面積であるところの連結成分等を判断することにより特定することができる。
【0102】
次いで、塊処理によって特定された「0(暗部)」の連結成分の中から、錠剤5に相当する連結成分の周囲に位置し、ポケット部2の外縁に相当する環状の影部分2cが特定される。影部分2cの特定は、例えば、錠剤5に相当する連結成分に対し所定の位置関係にある連結成分を判断すること等により特定することができる。そして、特定された影部分2cの最外周部が、収容空間2aの輪郭として特定される。
【0103】
次に、検査領域Kbに対応するX線透過画像(シート濃淡画像Xa)における収容空間2aの輪郭よりも内側が、収容領域2xとして特定される。また、検査領域Kbに対応するX線透過画像(シート濃淡画像Xa)における収容領域2x以外の領域が、フランジ部領域9xとして特定される。
【0104】
さらに、塊処理によって特定された「0(暗部)」の連結成分の中から、錠剤領域5x及び影部分2cを除いた連結成分が、異物領域100xとして特定される。
【0105】
本実施形態では、「マイクロコンピュータ71」、「設定データ記憶装置76」及び領域特定用ソフトウエア77aを記憶する「検査ルーチン記憶装置77」によって、「領域特定手段」及び「異物特定手段」としての「領域特定部78」(図6参照)が構成される。
【0106】
尚、本実施形態では、各領域を特定するための閾値として閾値δ1のみが用いられているが、複数種類の閾値を用いることとしてもよい。本実施形態では、後述するように、X線透過画像を多段階の輝度階調を有するものとすることが可能であるため、複数種類の閾値を用いることで、各領域をより正確に特定することが可能となる。また、後述する照射出力検出値に応じて、利用する複数種類の閾値をそれぞれ変更させてもよい。
【0107】
領域特定用ソフトウエア77aに続いて、良否判定用ソフトウエア77bが実行される。良否判定用ソフトウエア77bが実行されると、収容領域2xにおいて、面積値が前記最小面積値Lo以上となった異物領域100xが抽出される(ノイズの影響を考慮して、Lo未満の異物領域100xが無視される)。そして、Lo以上の異物領域100xが存在する場合には、錠剤5の破片や粉、金属片などの異物がポケット部2に存在すると判定される。一方、Lo以上の異物領域100xが存在しない場合には、ポケット部2に異物が存在せず、錠剤5は良品と判定される。尚、異物が存在するか否かの判定は、各収容領域2xのそれぞれを対象に行われる。
【0108】
さらに、フランジ部領域9xにおいて、面積値が前記最小面積値Lo以上となった異物領域100xが抽出される(Lo未満の異物領域100xが無視される)。そして、Lo以上の異物領域100xが存在する場合には、錠剤5の破片や粉、金属片などの異物がフランジ部9bに存在すると判定され、一方、Lo以上の異物領域100xが存在しない場合には、フランジ部9bに異物が存在しないと判定される。
【0109】
また、錠剤5やフランジ部9bの良否判定に応じて、検査領域Kbに対応するPTPシート1の良否が判定され、その良否判定結果が演算結果記憶装置75に記憶されるとともに、PTP包装機10(不良シート排出機構を含む)に対し出力される。
【0110】
さらに、領域特定用ソフトウエア77aに続いて、照射出力検出用ソフトウエア77cが実行される。照射出力検出用ソフトウエア77cの実行は、良否判定用ソフトウエア77bの実行前若しくは後、又は、良否判定用ソフトウエア77bの実行と同時期であってもよい。
【0111】
照射出力検出用ソフトウエア77cが実行されると、シート濃淡画像Xaのうち、PTPフィルム9における前記経路L1を通過した部分に対応する領域が特定される。つまり、X線透過画像における経路L1上にある領域が特定される。この領域特定は、例えば、X線透過画像における予め設定された範囲を抽出することで行うことができる。尚、「X線透過画像における経路L1上にある領域」は、経路L1上にある直線的な領域(一次元的な領域)であってもよいし、該直線的な領域に隣接する領域を含み、ある程度の幅を有する平面的な領域(二次元的な領域)であってもよい。
【0112】
次いで、特定した領域に含まれる収容領域2xが特定されるとともに、該収容領域2xから、錠剤領域5x、影部分2c及び異物領域100xを除いた領域が特定される。つまり、X線透過画像において、経路L1上にある収容領域2xのうち、錠剤領域5x、影部分2c及び異物領域100xを除いた領域(以下、「検出対象領域Ta」と称す)が特定される(図12参照)。
【0113】
その後、検出対象領域Taにおける輝度に基づき、X線の照射出力を表す照射出力検出値が算出される。本実施形態では、照射出力検出値として、検出対象領域Taに対応する各画素の輝度の平均値が算出される。尚、照射出力検出値として、検出対象領域Taに対応する各画素の輝度の中央値や重心値などを算出することとしてもよい。
【0114】
本実施形態では、「マイクロコンピュータ71」及び照射出力検出用ソフトウエア77cを記憶する「検査ルーチン記憶装置77」によって、「照射出力検出手段」としての「照射出力検出部79」(図6参照)が構成される。
【0115】
さらに、照射出力検出値が算出されると、出力制御用ソフトウエア77dが実行される。出力制御用ソフトウエア77dが実行されると、算出された照射出力検出値を基に、次回の照射出力検出用ソフトウエア77cの実行時に算出される照射出力検出値が前記所定値K1となるようにX線照射装置51(X線管)に投入される管電流が調節され、X線照射装置51によるX線の照射出力が制御される。本実施形態では、X線透過画像における最も明るくなりやすい領域(つまり検出対象領域Ta)の輝度が、X線透過画像において表現可能な最高輝度に近い輝度(例えば、最高輝度の80〜90%程度の輝度)となるように、X線照射装置51によるX線の照射出力が制御される。尚、X線照射装置51に投入する管電流は、例えば、設定データ記憶装置76に予め記憶された、照射出力検出値及び所定値K1の差と、検出対象領域Taを上記のような輝度とするために必要となる管電流の増減値との関係を示す数式やテーブルなどに基づき算出することができる。
【0116】
本実施形態では、「マイクロコンピュータ71」、所定値K1を記憶する「設定データ記憶装置76」及び出力制御用ソフトウエア77dを記憶する「検査ルーチン記憶装置77」によって、「出力制御手段」としての「出力制御部80」(図6参照)が構成される。
【0117】
次にX線検査装置45により行われる検査工程を含む、PTPシート1の製造工程について説明する。
【0118】
図8に示すように、まず、ステップS1のポケット部形成工程において、容器フィルム3に対し、ポケット部形成装置16によりポケット部2が順次形成されていく。次いで、ステップS2の充填工程において、錠剤充填装置21によりポケット部2の収容空間2aへと錠剤5が充填される。
【0119】
充填工程に続いては、ステップS3の取着工程が行われる。取着工程では、前記両ロール20,23間に、搬送される容器フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれることで、容器フィルム3にカバーフィルム4が取着され、PTPフィルム9が得られる。
【0120】
その後、X線検査装置45に関する工程として、ステップS4の検査工程が行われる。検査工程は、ステップS41の照射工程、ステップS42の撮像工程、ステップS43の領域特定工程、ステップS44の良否判定工程、ステップS46の照射出力検出工程及びステップS47の出力制御工程を含む。
【0121】
ステップS41の照射工程では、マイクロコンピュータ71によりX線照射装置51及びX線ラインセンサカメラ52が駆動制御されることで、PTPフィルム9に対しX線が照射される。このとき、X線照射装置51によるX線の照射出力は、前回の検査工程におけるステップS5の照射出力検出工程で算出された照射出力検出値に基づき制御される。その結果、今回のステップS5の照射出力検出工程にて算出される照射出力検出値が所定値K1となるように、X線照射装置51によるX線の照射出力が制御される。
【0122】
さらに、ステップS42の撮像工程では、PTPフィルム9が所定量搬送される(本実施形態では、前記タイミング信号がX線検査装置45に入力される)毎に、X線ラインセンサカメラ52によって、PTPフィルム9を透過したX線を撮像した一次元的なX線透過画像が取得される。
【0123】
そして、X線ラインセンサカメラ52によって取得されたX線透過画像は、該カメラ52内部においてデジタル信号に変換された上で、デジタル信号の形で制御処理装置53(画像データ記憶装置74)に対し出力される。本実施形態では、PTPフィルム9の搬送方向におけるX線ラインセンサ52aの幅、すなわちCCD1つ分の幅に相当する長さ分、PTPフィルム9が搬送される毎に、X線ラインセンサカメラ52によってX線透過画像が取得される構成となっている。勿論、これとは異なる構成を採用してもよい。
【0124】
X線ラインセンサカメラ52から出力されたX線透過画像は、画像データ記憶装置74に時系列で順次記憶されていく。
【0125】
そして、PTPフィルム9が所定量搬送される毎に上記一連の処理が繰り返し行われることで、画像データ記憶装置74には、最終的に1枚分のPTPシート1に係るX線透過画像が記憶される。このとき、上記のようにX線照射装置51によるX線の照射出力が制御されることで、X線透過画像は、多段階の輝度階調を有するものとなり得る。そして、製品となるPTPシート1に係るX線透過画像が取得されると、ステップS43の領域特定工程及びステップS44の良否判定工程が実行される。
【0126】
尚、領域特定工程や良否判定工程等は、製品となる各PTPシート1のそれぞれに対し行われる処理である。従って、本実施形態では、PTPフィルム9が1枚のPTPシート1に相当する分だけ搬送される毎に、X線透過画像に含まれる1枚分のPTPシート1に係る部分に対し領域特定工程や良否判定工程等が行われることとなる。
【0127】
次に、ステップS43の領域特定工程について図9のフローチャートを参照して説明する。領域特定工程では、まず、ステップS431の検査画像取得処理が実行される。詳しくは、X線透過画像のうち、検査対象となるPTPシート1に係る画像が画像データ記憶装置74から検査画像として読み出される。
【0128】
次いで、ステップS432において、読み出された検査画像に対し前記シート枠が設定されることで、X線透過画像における検査領域Kbが画定されて、シート濃淡画像Xbが得られる。得られたシート濃淡画像Xbは、画像データ記憶装置74に記憶される。
【0129】
尚、本実施形態において、上記シート枠の設定位置は、PTPフィルム9との相対位置関係により予め定められている。そのため、本実施形態では、シート枠の設定位置が検査画像に応じてその都度、位置調整されることはないが、これに限らず、位置ずれの発生等を考慮して、X線透過画像から得られる情報を基にシート枠の設定位置を適宜、調整する構成としてもよい。
【0130】
さらに、続くステップS433の錠剤領域特定処理においては、まず、閾値δ1を用いて、得られたシート濃淡画像Xbに対し二値化処理が施されるとともに、該処理により得られた二値化画像が画像データ記憶装置74に記憶される。その後、上記二値化画像に対し塊処理が実行されるとともに、塊処理によって特定された「0(暗部)」の連結成分の中から、錠剤5に相当する連結成分つまり錠剤領域5xが特定される。
【0131】
次いで、ステップS434において、特定された錠剤領域5xの周囲に位置する環状の影部分2cが特定される。
【0132】
その後、ステップS435において、検査領域Kbに対応するX線透過画像(シート濃淡画像Xa)における影部分2cの最外周部よりも内側の領域が収容領域2xとして特定される。また、続くステップS436において、シート濃淡画像Xbのうち、収容領域2x以外の領域がフランジ部領域9xとして特定される。
【0133】
そして、領域特定工程の最後には、ステップS437の異物領域特定処理が行われる。ステップS437においては、塊処理によって特定された「0(暗部)」の連結成分の中から、錠剤領域5x及び影部分2cを除いた成分が、異物領域100xとして特定される。
【0134】
次いで、ステップS44の良否判定工程について図10のフローチャートを参照して説明する。
【0135】
まず、ステップS441において、全ポケット部2の錠剤良品フラグの値が「0」に設定される。尚、「錠剤良品フラグ」は、対応するポケット部2に収容された錠剤5の良否判定結果を示すためのものであり、演算結果記憶装置75に設定される。そして、所定のポケット部2に収容された錠剤5が良品判定された場合には、これに対応する錠剤良品フラグの値が「1」に設定される。
【0136】
続くステップS442において、演算結果記憶装置75に設定されたポケット番号カウンタの値Cが初期値である「1」に設定される。尚、「ポケット番号のカウントの値C」とは、1枚のPTPシート1に係る検査領域Kb内における10個のポケット部2のそれぞれに対応して設定された通し番号であり、ポケット番号カウンタの値C(以下、単に「ポケット番号C」という)によりポケット部2の位置を特定することができる。
【0137】
そして、ステップS443において、ポケット番号Cが一検査領域あたり(1枚のPTPシート1あたり)のポケット数N(本実施形態では「10」)以下であるか否かが判定される。
【0138】
ステップS443で肯定判定された場合にはステップS444へ移行し、ステップS43の領域特定工程による処理結果を基に、現在のポケット番号C(例えばC=1)に対応する収容領域2x(ポケット部2)における、面積値が前記最低面積値Lo以上となった異物領域100xが抽出される。そして、続くステップS445において、収容領域2xにLo以上の異物領域100xがあれば、該収容領域2xには錠剤5の破片や金属片などの異物があると判定され、そのままステップS447へ移行する。一方、収容領域2xにLo以上の異物領域100xがなければ、ステップS446へ移行する。
【0139】
ステップS446では、現在のポケット番号Cに対応する収容領域2x(ポケット部2)に異物はないと判定され、該ポケット番号Cに対応する錠剤良品フラグの値が「1」に設定される。その後、ステップS447へ移行する。
【0140】
ステップS447では、現在のポケット番号Cに「1」が加えられることで、新たなポケット番号Cが設定される。その後、ステップS443へ戻る。
【0141】
そして、新たに設定したポケット番号Cが未だポケット数N(本実施形態では「10」)以下である場合には、再度ステップS444へ移行し、上記一連の判定処理が繰り返し実行される。
【0142】
一方、新たに設定したポケット番号Cがポケット数Nを超えたと判定された場合、つまりステップS443にて否定判定された場合には、すべてのポケット部2(収容領域2x)に関する良否判定が終了したとみなし、ステップS448へ移行する。
【0143】
ステップS448では、ステップS43の領域特定工程による処理結果を基に、フランジ部領域9xにおける、面積値が前記最小面積値Lo以上となった異物領域100xが抽出される。そして、続くステップS449において、フランジ部領域9xにLo以上の異物領域100xがあれば、フランジ部領域9xには錠剤5の破片や金属片などの異物があると判定され、そのままステップS452へ移行する。一方、フランジ部領域9xにLo以上の異物領域がなければ、ステップS450へ移行する。
【0144】
ステップS450では、検査領域Kb内の全ポケット部2の錠剤良品フラグの値が「1」であるか否かが判定される。ここで肯定判定された場合、すなわち検査領域Kb内のすべてのポケット部2に異物が存在しない場合には、ステップS451において、該検査領域Kbに対応するPTPシート1が「良品」と判定され、良否判定工程が終了される。
【0145】
一方、ステップS450において否定判定された場合、すなわち検査領域Kb内の全ポケット部2のうちの少なくとも1つに異常が存在する場合には、ステップS452へ移行する。
【0146】
ステップS452では、検査領域Kbに対応するPTPシート1が「不良品」と判定され、良否判定工程が終了される。
【0147】
尚、ステップS451の良品判定処理、及び、ステップS452の不良品判定処理では、検査領域Kbに対応するPTPシート1に関する検査結果が、演算結果記憶装置75に記憶されるとともに、PTP包装機10(不良シート排出機構を含む)に対し出力される。
【0148】
次いで、ステップS46の照射出力検出工程について説明する。図11に示すように、照射出力検出工程では、まず、ステップS461において、シート濃淡画像Xaのうち、PTPフィルム9における前記経路L1を通過した部分に対応する領域が特定される。次いで、ステップS462において、特定した領域に含まれる収容領域2xから、錠剤領域5x、影部分2c及び異物領域100xを除いた領域が、検出対象領域Taとして特定される。その後、ステップS463において、検出対象領域Taにおける輝度に基づき、X線の照射出力を表す照射出力検出値が算出されることで、照射出力検出工程が終了される。
【0149】
図8に戻り、照射出力検出工程に続いて、ステップS47の出力制御工程が行われる。出力制御工程では、照射出力検出工程にて算出された照射出力検出値を基に、次回の照射出力検出工程にて算出される照射出力検出値が前記所定値K1となるように、X線照射装置51によるX線の照射出力が制御される。
【0150】
次いで、ステップS5のミシン目形成工程において、ミシン目形成装置33によりPTPフィルム9の所定位置にミシン目7が形成される。また、続くステップS6の刻印工程において、刻印装置34によりPTPフィルム9に刻印8aが設けられる。その後、ステップS7の切離工程が行われることで、PTPシート1の製造工程が終了する。切離工程では、シート打抜装置37によりPTPフィルム9が打抜かれて、PTPフィルム9からPTPシート1が切離されることで、PTPシート1が製造される。
【0151】
以上詳述したように、本実施形態によれば、照射出力検出値は、X線透過画像のうち最も明るくなりやすい領域つまり検出対象領域Taの輝度に基づき算出される。そして、この最も明るくなりやすい領域に係る照射出力検出値が所定値K1となるように、つまり、この最も明るくなりやすい領域が十分に高輝度となるように、X線照射装置51が制御される。従って、有効階調範囲(X線ラインセンサ52aによる検出出力の範囲)におけるその最高値を十分に高くすることができ、計測可能階調範囲(X線ラインセンサ52aによる検出出力の最大範囲)に対して有効階調範囲をより広いものとすることができる。これにより、検出出力の階調ひいてはX線透過画像における輝度階調に係る分解能を向上させることができ、より高精度の検査を行うことが可能となる。
【0152】
特に本実施形態では、収容領域2xのうち錠剤領域5xや影部分2cを除く領域という、X線透過画像のうち最も明るくなりやすい領域の輝度に基づき、照射出力検出値が算出される。従って、有効階調範囲をより適切に設定することができる。
【0153】
また、検出対象領域Taは影部分2cを含まないものであるため、より適正な照射出力検出値を得ることができる。
【0154】
さらに、特定された錠剤領域5xの周囲に位置する環状の影部分2cが収容空間2aの輪郭として特定され、該輪郭の内側が収容領域2xとして特定される。従って、収容領域2xの位置をより正確に、かつ、比較的簡易に特定することができる。その結果、一層適正な照射出力検出値を算出することが可能となる。
【0155】
加えて、異物領域100xを除いた領域の輝度に基づき、照射出力検出値が算出される。従って、異物の影響を受けることなく、より一層適正な照射出力検出値を算出することができる。
【0156】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0157】
(a)上記実施形態において、検出対象領域Taは、経路L1上にある領域であって、収容領域2xから錠剤領域5x、影部分2c及び異物領域100xを除いた領域とされている。これに対し、図13に示すように、検出対象領域Taを、経路L1上にあるフランジ部領域9xとしてもよい。この場合であっても、照射出力検出値を、X線透過画像(シート濃淡画像Xb)のうち最も明るくなりやすい領域のうちの1つの輝度に基づき算出することができる。また、フランジ部領域9xは、収容領域2xのうち錠剤領域5xを除く領域よりも広く存在しているため、フランジ部領域9xの輝度に基づき照射出力検出値を算出することで、照射出力検出値の算出に係る容易性を向上させることができる。
【0158】
尚、異物による悪影響を考慮して、検出対象領域Taを、経路L1上にある領域であって、フランジ部領域9xから異物領域100xを除いた領域としてもよい。
【0159】
また、収容領域2xから錠剤領域5xを除いた領域、及び、フランジ部領域9xのそれぞれを検出対象領域Taとしてもよい。この場合においても、照射出力検出値をより正確に算出するという点から、影部分2cや異物領域100xが含まれないように検出対象領域Taを設定することが好ましい。
【0160】
(b)包装シートは、上記実施形態に係るPTPシート1に限定されるものではなく、例えばSPシートであってもよい。
【0161】
図14に示すように、一般的なSPシート90は、アルミニウムを基材とした不透明材料よりなる帯状の2枚のフィルム91,92を重ね合わせていくとともに、両フィルム91,92間に錠剤5を充填しつつ、該錠剤5の周囲に袋状の収容空間93を残すように、該収容空間93の周囲(図14中の網掛模様部分)の両フィルム91,92を接合することにより、帯状の包装フィルムとした上で、該包装フィルムを矩形シート状に切離すことにより形成されている。
【0162】
尚、SPシート90には、1つの収容空間93を含むシート小片94単位に切離し可能とするための「切離部」として、シート長手方向に沿って形成された縦ミシン目95、及び、シート短手方向に沿って形成された横ミシン目96を形成してもよい。また、SPシート90には、シート長手方向一端部において、各種情報(本実施形態では「ABC」の文字)が印刷されたタグ部97を付設してもよい。
【0163】
(c)上記実施形態において、X線検査装置45は、フィルム受けロール20及び加熱ロール23の下流であって、ミシン目形成装置33及び刻印装置34の上流に設けられている。これに対し、図15に示すように、X線検査装置45を、ミシン目形成装置33及び刻印装置34の下流であって、シート打抜装置37の上流に設けることとしてもよい。
【0164】
この場合には、図16に示すように、X線透過画像Xaやシート濃淡画像Xbには、ミシン目7に対応する「切離領域」としてのミシン目領域7xや刻印8aに対応する刻印領域8xが存在した状態となるが、ミシン目領域7xや刻印領域8xを除いた領域の輝度に基づき、照射出力検出値を算出するように構成することが好ましい。このように構成することで、ミシン目7や刻印8aの影響を受けることなく、より適正な照射出力検出値を算出することができる。その結果、より高精度の検査をより安定的に行うことができる。
【0165】
尚、ミシン目形成装置33及び刻印装置34の上流にX線検査装置45を設けることで、結果的に、ミシン目領域7x及び刻印領域8xを除いた領域の輝度に基づき、照射出力検出値が算出されることとなる。従って、上記実施形態に関しても、ミシン目領域7x及び刻印領域8xを除いた領域の輝度に基づき、照射出力検出値を算出していると言える。
【0166】
(d)上記実施形態では、X線透過画像における、錠剤領域5xを特定するとともに、特定した錠剤領域5xの周囲に位置する環状の影部分2cを収容空間2aの輪郭として特定し、該輪郭の内側を収容領域2xとして特定するように構成されているが、その他の手法により収容領域2xを特定してもよい。
【0167】
例えば、錠剤領域5xを特定するとともに、特定した錠剤領域5xを膨張させてなる領域を収容領域2xとして特定するように構成してもよい。この場合には、比較的簡単な処理によって、収容領域2xをある程度正確に特定(推定)することができる。
【0168】
また、錠剤領域5xを特定するとともに、特定した錠剤領域5xの中心又は重心を取得し、取得した中心又は重心及び収容空間2aの位置に関する設計上のデータに基づき収容領域2xを特定するように構成してもよい。この場合にも、比較的簡単な処理によって、収容領域2xをある程度正確に特定(推定)することができる。
【0169】
さらに、PTPフィルム9を撮像して、PTPフィルム9の外観に係る外観画像を取得するとともに、この外観画像における収容空間2aの位置を特定し、特定された収容空間2aの位置に基づき収容領域2xを特定するように構成してもよい。この場合には、収容空間2aの実際の位置に基づき収容領域2xが特定されるため、収容領域2xを極めて正確に特定することができ、優れた検査精度を実現することができる。
【0170】
(e)PTPシート1単位のポケット部2の配列や、個数も上記実施形態の態様(2列、10個)に何ら限定されるものではなく、例えば3列12個のポケット部2(収容空間2a)を有するタイプをはじめ、様々な配列、個数からなるPTPシートを採用することができる(上記SPシートについても同様)。勿論、1つのシート小片に包含されるポケット部2(収容空間2a)の数も上記実施形態に何ら限定されるものではない。
【0171】
(f)上記実施形態に係るPTPシート1には、「切離部」として、PTPシート1の厚み方向に貫通した切込みが断続的に並んだミシン目7が形成されているが、「切離部」は、これに限定されるものではなく、容器フィルム3及びカバーフィルム4の材質等に応じて異なる構成を採用してもよい。例えば、断面略V字状をなす非貫通のスリット(ハーフカット線)が「切離部」を構成することとしてもよい。また、ミシン目7等の「切離部」が形成されない構成としてもよい。
【0172】
(g)第1フィルム及び第2フィルムの材質や層構造等は、上記実施形態に係る容器フィルム3やカバーフィルム4に係る構成に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、容器フィルム3及びカバーフィルム4が、アルミニウム等の金属材料を基材として形成されているが、これに限らず、他の材質のものを採用してもよい。例えば可視光等を透過しない合成樹脂材料等を採用してもよい。
【0173】
(h)帯状包装体の構成は上記実施形態に限定されるものではなく、他の構成を採用してもよい。
【0174】
上記実施形態において、PTPフィルム9は、その幅方向に沿って1シート分に対応する数のポケット部2が配列された構成となっているが、これに限定されるものではなく、例えば、その幅方向に沿って複数シート分に対応する数のポケット部2が配列された構成であってもよい。
【0175】
(i)電磁波照射手段の構成は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態では、電磁波としてX線を照射する構成となっているが、これに限らず、テラヘルツ電磁波など、PTPフィルム9を透過する他の電磁波を用いる構成としてもよい。
【0176】
(j)撮像手段の構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、撮像手段としてCCDを1列に並べたX線ラインセンサカメラ52を採用しているが、これに限らず、例えばPTPフィルム9の搬送方向にCCD列(検出素子列)を複数列備えたX線TDI(Time Delay Integration)カメラを採用してもよい。これにより、検査精度及び検査効率のさらなる向上を図ることができる。
【0177】
(k)X線検査装置45に係る構成やX線検査装置45及びPTPフィルム9の位置関係等は、上記実施形態に限定されるものではない。
【0178】
例えば上記実施形態では、PTPフィルム9が上下方向に搬送される位置においてX線検査装置45が配置された構成となっているが、これに限らず、例えばPTPフィルム9が水平方向に搬送される位置や、斜めに搬送される位置にX線検査装置45を配置した構成としてもよい。
【0179】
また、PTPフィルム9の大きさやレイアウトなどに合わせて、X線照射装置51及びX線ラインセンサカメラ52を、PTPフィルム9の搬送方向やPTPフィルム9の幅方向、PTPフィルム9に対する接離方向に沿って移動可能な位置調整機構(位置調整手段)を備えた構成としてもよい。
【0180】
さらに、上記実施形態では、X線照射装置51がPTPフィルム9の容器フィルム3側に配置され、X線ラインセンサカメラ52がPTPフィルム9のカバーフィルム4側に配置された構成となっているが、両者の位置関係を逆にして、X線照射装置51をカバーフィルム4側に配置し、X線ラインセンサカメラ52を容器フィルム3側に配置した構成としてもよい。かかる場合、「容器フィルム3」が「第2フィルム」を構成し、「カバーフィルム4」が「第1フィルム」を構成することとなる。
【0181】
(l)上記実施形態では、PTPフィルム9からPTPシート1が打抜かれるよりも前工程においてX線検査装置45によるX線検査が行われる構成となっているが、これに限らず、PTPフィルム9からPTPシート1が打抜かれた後工程において、PTPシート1に対し検査を行う構成としてもよい。例えば、コンベア39によって搬送されているPTPシート1に対し検査を行う構成としてもよい。この場合、「PTPシート1」が「包装体」を構成し、「シートフランジ部1b」が「フランジ部」を構成する。
【0182】
また、この場合には、X線検査装置45がPTP包装機10内に設けられた構成(インライン構成)としてもよいし、X線検査装置45がPTP包装機10とは別に設けられた構成(オフライン構成)としてもよい。但し、オフライン構成の場合には、検査対象となるPTPシート1の位置や向きがX線検査装置45に対して一定とならないおそれがあるため、検査を行うにあたり、事前にPTPシート1の位置や向きを調整する必要がある。尚、PTPシート1の位置や向きの調整は検査速度及び検査精度の低下を招くおそれがあるため、この点を考慮すると、インライン構成を採用する方が好ましい。
【0183】
(m)上記実施形態では、PTPフィルム9の搬送に伴い、フランジ部9b及び収容空間2aが交互に経路L1を通過していくように構成されているが、PTPフィルム9の搬送時に、経路L1を収容空間2aが通過しないように構成してもよい。すなわち、PTPフィルム9の搬送時に、経路L1を常にフランジ部9bが通過していくように構成してもよい。この場合には、経路L1上にあるフランジ部領域9xの輝度に基づき、照射出力検出値が算出されることとなる。
【0184】
(n)上記実施形態では、内容物として錠剤5を挙げているが、内容物はこれに限られず、例えばカプセルや食料品、小型部品などであってもよい。
【符号の説明】
【0185】
1…PTPシート、2…ポケット部、2a…収容空間、2c…影部分、2x…収容領域、3…容器フィルム(第1フィルム)、4…カバーフィルム(第2フィルム)、5…錠剤(内容物)、5x…錠剤領域、7…ミシン目(切離部)、7x…ミシン目領域(切離領域)、8a…刻印、8x…刻印領域、9…PTPフィルム(包装体)、9b…フランジ部、9x…フランジ部領域、10…PTP包装機(包装体製造装置)、45…X線検査装置(検査装置)、51…X線照射装置(電磁波照射手段)、51a…照射源、52…X線ラインセンサカメラ(撮像手段)、52a…X線ラインセンサ(検出部)、53…制御処理装置(画像処理装置)、78…領域特定部(領域特定手段、異物特定手段)、79…照射出力検出部(照射出力検出手段)、80…出力制御部(出力制御手段)、100x…異物領域。
【要約】
【課題】より高精度での検査を行うことが可能な検査装置等を提供する。
【解決手段】X線透過画像を基にX線照射装置によるX線の照射出力を表す照射出力検出値が算出されるともに、照射出力検出値が所定値となるようにX線照射装置による照射出力が制御される。照射出力検出値は、X線透過画像における、照射源とX線ラインセンサとを最短距離で結ぶ経路上にある、収容領域2xのうち錠剤領域5xを除く領域及び/又はフランジ部領域9xの輝度に基づき算出される。従って、X線透過画像のうち最も明るくなりやすい領域の輝度に基づき照射出力検出値が算出され、この最も明るくなりやすい領域に係る照射出力検出値が所定値となるように、つまり、この最も明るくなりやすい領域が十分に高輝度となるようにX線照射装置が制御される。そのため、X線ラインセンサによる検出出力の範囲をより広げて、より高精度の検査を行うことが可能となる。
【選択図】 図12
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