特許第6753062号(P6753062)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6753062
(24)【登録日】2020年8月24日
(45)【発行日】2020年9月9日
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21V 17/00 20060101AFI20200831BHJP
   G02B 7/02 20060101ALI20200831BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20200831BHJP
   F21V 29/74 20150101ALI20200831BHJP
   F21V 17/10 20060101ALI20200831BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20200831BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20200831BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20200831BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20200831BHJP
   G02B 27/01 20060101ALN20200831BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20200831BHJP
【FI】
   F21V17/00 200
   G02B7/02 B
   F21V29/503
   F21V29/74
   F21V17/10 201
   F21V17/10 100
   F21V17/10 200
   F21V5/00 310
   F21V5/04
   F21S2/00 375
   F21V19/00 150
   !G02B27/01
   F21Y115:10
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-4707(P2016-4707)
(22)【出願日】2016年1月13日
(65)【公開番号】特開2017-126468(P2017-126468A)
(43)【公開日】2017年7月20日
【審査請求日】2018年11月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】茂野 孝紀
(72)【発明者】
【氏名】小口 慎二
(72)【発明者】
【氏名】小池 翔太
(72)【発明者】
【氏名】高頭 克衛
【審査官】 野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−097178(JP,A)
【文献】 特開2006−139980(JP,A)
【文献】 特開2015−090412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 17/00−17/20
F21S 2/00−19/00
G02B 27/00−27/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源が配置される回路基板と、
前記光源から放射された光が透過する第1レンズ部材と、
前記第1レンズ部材の外周に位置するレンズホルダと、
前記レンズホルダに固定され、前記第1レンズ部材を前記回路基板に向けて付勢する第1板ばね部材と、
前記第1板ばね部材における前記第1レンズ部材に付勢する方向と反対方向に位置し、弾性域にて弾性変形する前記第1板ばね部材に当接することで前記第1板ばね部材の塑性変形を抑制する第1ストッパ部と、を備え
前記レンズホルダは、前記第1板ばね部材に設けられた一対の第1挟持片が固定される第1側壁を有することを特徴とする、
照明装置。
【請求項2】
光源から放射された光が透過する第1レンズ部材と、
前記第1レンズ部材の外周に位置するレンズホルダと、
前記第1レンズ部材を透過した光を集光する第2レンズ部材と、
前記第2レンズ部材の外周に位置するカバーと、
前記カバーに固定され、前記第2レンズ部材を前記レンズホルダに向けて付勢する第2板ばね部材と、
前記第2板ばね部材における前記第2レンズ部材に付勢する方向と反対方向に位置し、弾性域にて弾性変形する前記第2板ばね部材に当接することで前記第2板ばね部材の塑性変形を抑制する第2ストッパ部と、を備え
前記カバーは、前記第2板ばね部材に設けられた一対の第2挟持片が固定される第2側壁を有することを特徴とする、
照明装置。
【請求項3】
前記レンズホルダは、一面が開放された箱状であり、底壁に第1開口部が設けられ、
前記第1レンズ部材を透過した光を集光する第2レンズ部材は、前記第1開口部を覆うように配置され、
前記第1板ばね部材は
前記第1挟持片から前記レンズホルダの内側に向かって延出する第1延出片と、
前記第1延出片の先端部から前記底壁へ向かう方向へ延出する第2延出片と、を有し、
前記第1板ばね部材の前記第1延出片の先端部は、前記第1レンズ部材の一部に当接し、
前記第1ストッパ部は、前記レンズホルダ内において前記底壁側から前記第2延出片の先端部に対向する形で配置されていることを特徴とする、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
前記カバーは、一面が開放された箱状であり、底壁に第2開口部が設けられ、
前記第2レンズ部材は、レンズ部と前記レンズ部の外周部に設けられたフランジ部とを有し、
前記第2板ばね部材は
前記第2挟持片から延出する第3延出片と、
前記第3延出片の先端部から前記カバーの底壁に近づく方向へ延出する第4延出片と、を有し、
前記第2ばね部材の前記第3延出片の先端部は、前記フランジ部に当接していることを特徴とする、
請求項2に記載の照明装置。
【請求項5】
複数の固定部材により前記レンズホルダが固定される取付面を有するヒートシンクを更に備え、
前記ヒートシンクの前記取付面には、前記レンズホルダの位置を規定する位置決め用孔が形成され、
前記レンズホルダは、先端部が前記位置決め用孔に嵌入される形で前記レンズホルダが前記取付面上に配置されることにより前記レンズホルダの位置決めを行うことができる位置決め用突起部を有し、
前記位置決め用突起部のうち前記位置決め用孔に嵌入された部分の長さは、前記レンズホルダが前記取付面に対して所定の角度だけ傾いた場合に前記位置決め用孔から離脱しない長さに設定されていることを特徴とする、
請求項1から4のいずれか1項に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される照明装置として、レンズとレンズを保持するケース体とを備える照明装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。この照明装置では、ケース体が樹脂から形成されている。また、この場合、照明装置はヘッドアップディスプレイ装置に搭載されたバックライトユニットとして構成されるものであり、当該照明装置から出射される表示光は、液晶表示パネルおよび反射ミラーを経てウインドシールドに照射され、車両を運転する運転者は、この照射によって得られた表示像を視認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−191723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された照明装置では、ケース体が樹脂から形成されているため、ケース体内部に収納された光源で発生する熱やケース体に照射される太陽光の熱によりケースが比較的変形し易い。そうすると、ケースの変形に伴い、ケースに保持されているレンズの位置がずれてしまう虞がある。
【0005】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、レンズの位置ずれが抑制される照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る照明装置は、
光源が配置される回路基板と、
前記光源から放射された光が透過する第1レンズ部材と、
前記第1レンズ部材の外周に位置するレンズホルダと、
前記レンズホルダに固定され、前記第1レンズ部材を前記回路基板に向けて付勢する第1板ばね部材と、
前記第1板ばね部材における前記第1レンズ部材に付勢する方向と反対方向に位置し、弾性域にて弾性変形する前記第1板ばね部材に当接することで前記第1板ばね部材の塑性変形を抑制する第1ストッパ部と、を備え
前記レンズホルダは、前記第1板ばね部材に設けられた一対の第1挟持片が固定される第1側壁を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、レンズの位置ずれが抑制される照明装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態に係る照明装置の斜視図である。
図2】実施の形態に係る照明装置の平面図である。
図3】実施の形態に係る照明装置の図2のA−A線における断面矢視図である。
図4】実施の形態に係る第1板ばね部材が固定されたレンズホルダの斜視図である。
図5】実施の形態に係る照明装置の図2のB−B線における断面矢視図である。
図6】実施の形態に係る第2板ばね部材が固定されたカバーの斜視図である。
図7】実施の形態に係る照明装置について、カバーのレンズホルダへの取り付け方法を示す分解斜視図である。
図8】実施の形態に係る照明装置の一部を示す断面図である。
図9】実施の形態に係る照明装置の図3の一点鎖線P1で囲んだ部分の拡大図であり、(A)は通常状態を示す図であり、(B)はレンズアレイが上方へ移動した状態を示す図である。
図10】実施の形態に係る照明装置の図3の一点鎖線P2で囲んだ部分の拡大図であり、(A)は通常状態を示す図であり、(B)は集光レンズが上方へ移動した状態を示す図である。
図11】実施の形態に係る照明装置のヒートシンクを取り除いた状態を示す斜視図である。
図12】実施の形態に係る照明装置の図2のC−C線における断面矢視図である。
図13】変形例に係る照明装置の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の一実施形態に係る照明装置について添付図面を参照しながら説明する。この照明装置は、例えばヘッドアップディスプレイ装置に搭載されたバックライトユニットとして構成されるものであり、当該照明装置から出射される表示光は、ここでの詳細図示は省略するが、液晶表示パネルおよび反射ミラーを経てウインドシールドに照射され、車両を運転する運転者は、この照射によって得られた表示像(虚像)を風景と重畳させて視認することができる。照明装置は、図1および図2に示すように、装置本体1と、装置本体1が固定されるヒートシンク2と、を備える。装置本体1は、LED(光源:Light Emitting Diode)が実装された回路基板11と、回路基板11を覆うように配置されたレンズホルダ12と、集光レンズ(第2レンズ部材)16と、カバー14と、を備える。ヒートシンク2は、レンズホルダ12が取り付けられる取付面2aを有する。そして、レンズホルダ12は、4つの螺子(固定部材)21によりヒートシンク2の取付面2aに固定されている。以下、適宜、回路基板11、レンズホルダ12および集光レンズ16が重なる方向における集光レンズ16側を上側、回路基板11側を下側として説明する。
【0010】
また、装置本体1は、更に、図3に示すように、レンズアレイ(第1レンズ部材)24と、拡散板22と、レンズホルダ12に固定された第1板ばね部材25と、カバー14に固定された第2板ばね部材23と、を備える。
【0011】
回路基板11は、ヒートシンク2に放熱シート(図示せず)を介して接している。回路基板11は、ガラスエポキシ基板やガラスコンポジット基板等から構成され、LEDの実装面に導電パターンが形成されている。回路基板11の一部には、回路基板11の位置決め用の貫通孔111が設けられている。
【0012】
レンズアレイ24は、透光性の樹脂材料から形成され、回路基板11の上側を覆うように配置されている。レンズアレイ24は、回路基板11に実装されたLEDに対向して位置し、LEDから放射された光を透過させる。レンズアレイ24は、レンズアレイ本体240と支柱部241、242、243とを有する。レンズアレイ本体240は、下側が開放された扁平薄型な矩形箱状であり、上側にマトリクス状に複数のレンズ部240aが形成されている。支柱部241、242、243は、レンズアレイ本体240の下面において、下側に向かうにつれて小径となる円錐台に形成される。支柱部241、242、243は、レンズアレイ本体240と回路基板11とが離間した状態でレンズアレイ本体240を支持する。支柱部241、243の先端面には、レンズアレイ24の位置決め用の突起部244、245が設けられている。突起部244、245は、それぞれ、先端が先細りした円柱状に形成されている。突起部244は、回路基板11の貫通孔111に挿通された状態でヒートシンク2に設けられた位置決め用の孔201に嵌入されている。また、突起部245もヒートシンク2に設けられた位置決め用の孔203に嵌入されている。
【0013】
ケースとしてのレンズホルダ12は、その上方に集光レンズ16を保持し、レンズホルダ12の内部において、第1板ばね部材25を介してレンズアレイ24を保持する。レンズホルダ12は、図4に示すように、一面が開放された平面視略矩形の箱状であり、底壁120aに矩形状の開口部(第1開口部)120cが設けられている。レンズホルダ12の平面視における中心を挟んで対向する2つの角部近傍それぞれには、レンズホルダ12のヒートシンク2に対する位置決め用の突起部(位置決め用突起部)121が設けられている。突起部121は、先細りの円柱状に形成されている。
【0014】
レンズホルダ12は、底壁120aを囲む4つの側壁のうち、互いに対面する、短い1対の側壁120bを備える。各側壁120bには、第1板ばね部材25の塑性変形を規制するストッパ部(第1ストッパ部)122が設けられている。ストッパ部122は、レンズホルダ12と一体に形成され、第1板ばね部材25におけるレンズアレイ24に付勢する方向と反対方向(上方向)に位置し、第1板ばね部材25に当接することで、弾性域にて弾性変形する第1板ばね部材25の塑性変形を抑制する。ストッパ部122は、底壁120aの各角部に位置し、側壁120bに直交する方向に長い中空の長方形柱状に形成されている。底壁120aの上面には、集光レンズ16を保持する保持部126と、集光レンズ16および拡散板22の位置決め用の突起部123と、が設けられている。突起部123は、円柱状の基台部の上面に先細りの円柱状の突出部が設けられてなる形状を有し、底壁120aの上面に,設けられている。保持部126は、矩形板状の形状を有し、底壁120aの上面における突起部123の両側に設けられている。また、レンズホルダ12の底壁における開口部120cの外周部には、平面視矩形状の4つの貫通孔125が設けられている。各貫通孔125には、後述のカバー14の脚部142が挿通される。
【0015】
第1板ばね部材25は、レンズホルダ12に固定され、レンズアレイ24を、レンズアレイ24が固定される対象(回路基板11)に向けて付勢する。第1板ばね部材25は、レンズホルダ12の側壁120bに固定される固定片251と、固定片251の2箇所から延出する第1延出片252と、第1延出片252の先端部から延出する第2延出片253と、を有する。この第1板ばね部材25は、1枚の金属板に打ち抜き加工及び曲げ加工を施すことにより形成される。固定片251は、図9に示すように、略断面U字状に形成されるとともに、側壁120bをその厚さ方向の両側から挟持する挟持片251a、251bを有する。第1延出片252は、側壁120bの内面に沿って配置された挟持片251aから、ストッパ部122の下面に沿うようにレンズホルダ12の内側に向かって延出している。第1延出片252は、その先端側に向かうにつれて、ストッパ部122の下面から遠ざかるように傾斜している。第2延出片253は、その先端側に向かうにつれて、ストッパ部122の下面に近づくように傾斜している。第1延出片252の先端部は、レンズアレイ24の一部に当接している。また、レンズホルダ12のストッパ部122は、レンズホルダ12内において底壁120a側から第2延出片253の先端部に対向する形で配置されている。
【0016】
そして、レンズホルダ12は、レンズアレイ24の外周に位置し、レンズアレイ24をその外周から囲んでいる。そして、レンズホルダ12は、第1板ばね部材25の第1延出片252の先端部がレンズアレイ24のレンズアレイ本体240に掛止された状態でレンズアレイ24に支持されている。また、ストッパ部122は、レンズホルダ12内において上側から第2延出片253の先端部に対向する形で配置されている。
【0017】
図3に戻って、拡散板22は、集光レンズ16とレンズアレイ24との間に配置されている。この拡散板22は、透光性を有する樹脂材料から形成され、少なくとも一面に微細な凹凸加工が施された板状である。拡散板22は、レンズホルダ12の上側において、図4に示すレンズホルダ12の開口部120cを覆うように配置されている。また、拡散板22の周部には、図3に示すように、拡散板22の位置決め用の貫通孔221が設けられている。この貫通孔221には、レンズホルダ12の突起部123が挿通される。
【0018】
集光レンズ16は、拡散板22の上方に位置し、カバー14内において、LEDから放射される光の進行方向から見てレンズホルダ12の開口部120c(図4参照)を覆うように配置される。集光レンズ16は、拡散板22を介して、レンズアレイ24に対向して配置され、レンズアレイ24を透過した光を集光(透過)する。集光レンズ16は、図5に示すように、レンズ部161と、レンズ部161の外周部に設けられたフランジ部162と、フランジ部162の下面から下側に突出し先端部が拡散板22に当接する円錐台の支柱部163と、を有する。支柱部163は、レンズ部161と拡散板22とが離間した状態でレンズ部161およびフランジ部162を支持する。また、フランジ部162には、図3に示すように、集光レンズ16の位置決め用の貫通孔164が設けられている。この貫通孔164には、レンズホルダ12の突起部123が挿通される。
【0019】
カバー14は、集光レンズ16の外周に位置し、集光レンズ16を集光レンズ16の外周から囲んでいる。このカバー14は、LEDから放射される光の進行方向と反対方向からレンズホルダ12に装着される。カバー14は、図6に示すように、一面が開放された薄型の箱状のカバー本体140と、カバー本体140の4つの角部それぞれから延出する4つの脚部142と、を備える。カバー本体140は、底壁140aを囲む4つの側壁のうち、互いに対面する、長い1対の側壁140bを備える。カバー本体140は、底壁140aに平面視矩形状の開口部140cが設けられ、集光レンズ16の上側から集光レンズ16のフランジ部162を覆うように配置されている。集光レンズ16のレンズ部161は、カバー14の開口部140cを介して外部に露出されている。各脚部142の先端部には、脚部142がレンズホルダ12の貫通孔125に挿通されると貫通孔125の外周部に係合するフック部143が設けられている。
【0020】
ケースとしてのカバー14は、図7の破線矢印で示すように、4つの脚部142がレンズホルダ12に設けられた4つの貫通孔125それぞれに挿入される形でレンズホルダ12に取り付けられる。このとき、各脚部142のフック部143が、図8に示すように、レンズホルダ12の底壁120aの貫通孔125の外周部に係合して、カバー14がレンズホルダ12に固定される。
【0021】
このように、カバー14は、フック部143が設けられた脚部142を有し、各脚部142をレンズホルダ12の貫通孔125に挿通されるだけで、レンズホルダ12に固定される。従って、カバー14をレンズホルダ12に固定するための接着剤やその他固定部材が不要なので、装置本体1の部品点数の削減を図ることができる。
【0022】
また、カバー本体140における開口部140cの周縁部には、図5に示すように、上側へ突出し集光レンズ16を保護するための保護リブ141が設けられている。この保護リブ141の高さは、集光レンズ16の上端よりも高さW1だけ高くなるように設定されている。
【0023】
このように、カバー本体140に保護リブ141が設けられていることにより、例えば他の部材が装置本体1の斜め上方から装置本体1に接触した場合において、他の部材と集光レンズ16との接触が生じにくく集光レンズ16の破損が抑制される。
【0024】
第2板ばね部材23は、集光レンズ16を、集光レンズ16が固定される対象(レンズホルダ12)に向けて付勢する。第2板ばね部材23は、図6に示すように、カバー本体140の側壁140bに固定される固定片231と、固定片231から互いに離れる方向へ延出する第3延出片232と、第3延出片232の先端部から延出する第4延出片233と、を有する。この第2板ばね部材23は、第1板ばね部材25と同様に、1枚の金属板に打ち抜き加工及び曲げ加工を施すことにより形成される。固定片231は、略断面U字状に形成されるとともに、側壁140bをその厚さ方向の両側から挟持する挟持片231a、231bと、側壁140bの内面に沿って配置された挟持片231aから延出し底壁140aの内面に沿って配置された主片231cと、を有する。第3延出片232は、その先端側に向かうにつれて底壁140aの内面から遠ざかるように、主片231cから互いに離れる方向へ延出している。第4延出片233は、その先端側に向かうにつれて底壁140aの内面に近づくように傾斜している。また、第3延出片232の先端部は、集光レンズ16のフランジ部162に当接している。そして、カバー14の底壁140aが、カバー14と一体に形成され、第2板ばね部材23における集光レンズ16に付勢する方向と反対方向(上方向)に位置し、第2板ばね部材23に当接することで、弾性域にて弾性変形する第2板ばね部材23の塑性変形を抑制するストッパ部(第2ストッパ部)として機能する。
【0025】
そして、カバー14は、第2板ばね部材23の第3延出片232の先端部を介して、集光レンズ16のフランジ部162をレンズホルダ12に向かって付勢している。
【0026】
次に、本実施の形態に係る装置本体1に外力が加わった場合の動作について説明する。レンズホルダ12に外力が加わっていない状態では、第1板ばね部材25は、図9(A)に示すように、第2延出片253の先端部がストッパ部122から離間した状態にある。そして、図9(B)の矢印AR1に示すように、レンズアレイ24が上方に移動することにより第1板ばね部材25の第2延出片253の先端部が上方へ変位すると、第1板ばね部材25は、固定片251の挟持片251aと第1延出片252とのなす角度θ1が広がるように弾性変形する。そして、第2延出片253の先端部が弾性域にてストッパ部122に当接することで第1板ばね部材25の塑性変形が規制される。
【0027】
ここで、第2延出片253の先端部がストッパ部122に当接したときのレンズアレイ24のレンズアレイ本体240上面とストッパ部122の下面との間の距離をL1、第2延出片253の長さをL2、第1延出片252と第2延出片253とのなす角度をθ2とする。また、挟持片251aと第1延出片252とのなす角度θ1に対する弾性限界に相当する角度をθ1thとする。この場合、下記式(1)の関係式が成立する。
θ1=θ2−θ3=θ2−arccos(L1/L2)<θ1th・・・式(1)
即ち、第2延出片253の長さL2と第1延出片252と第2延出片253とのなす角度θ2とは、距離L1に応じて、式(1)の関係式に基づいて設定される。例えば距離L1が10mmに設定され、角度θ1thが80°であるとする。この場合、角度θ2を120°にすると、第2延出片253の長さL2は13mmよりも長く設定すればよい。
【0028】
また、カバー14に外力が加わっていない状態では、第2板ばね部材23は、図10(A)に示すように、第4延出片233の先端部がカバー14の底壁140aから離間した状態にある。そして、図10(B)の矢印AR2に示すように、集光レンズ16が上方へ移動すると、第2板ばね部材23は、主片231cと第3延出片232とのなす角度θ11が広がるように弾性変形する。そして、第4延出片233の先端部が底壁140aに当接すると第2板ばね部材23の変形が規制される。
【0029】
ここで、第4延出片233の先端部が底壁140aに当接したときの集光レンズ16のフランジ部162の上面と底壁140aの下面との間の距離をL11、第4延出片233の長さをL12、第3延出片232と第4延出片233とのなす角度をθ12とする。また、主片231cと第3延出片232とのなす角度θ11に対する弾性限界をθ11thとする。この場合、下記式(2)の関係式が成立する。
θ11=θ12−θ13+90°
=θ12−arccos(L11/L12)+90°<θ11th・・・式(2)
即ち、第4延出片233の長さL12と第3延出片232と第4延出片233とのなす角度θ12とは、距離L11に応じて、式(2)の関係式に基づいて設定される。例えば距離L11が10mmに設定され、角度θ11thが170°であるとする。この場合、角度θ12を120°にすると、第4延出片233の長さL12は13mmよりも長く設定すればよい。
【0030】
以上説明したように、本実施の形態に係る装置本体1では、第1板ばね部材25が、レンズアレイ24を、回路基板11に向けて付勢し、ストッパ部122が、第1板ばね部材25に当接することで第1板ばね部材25の塑性変形を抑制する。これにより、レンズアレイ24が回路基板11に比較的堅固に固定されるので、レンズアレイ24の位置ずれを防止でき、レンズアレイ24の位置決め精度も向上させることができる。また、ストッパ部122を備えることにより、第1板ばね部材25の塑性変形に起因したレンズアレイ24と集光レンズ16との位置関係のずれの発生を抑制することができる。そして、このようにレンズアレイ24と集光レンズ16の位置関係のずれの発生が抑制されることで、表示像の輝度ムラを防止することができるという利点がある。
【0031】
ところで、車両に搭載される照明装置として、レンズと内側にレンズの周縁部が嵌め込まれる溝部が形成されたレンズホルダとを備え、溝部の内側面とレンズの周縁部との間にばね体を介在させることにより、バックライトに加わる衝撃のレンズへの伝達を緩和している照明装置が考えられる。この種の照明装置では、衝撃による塑性変形が防止される程度に剛性を高めることが必要である。しかしながら、ばね体の剛性を高めるとそれに伴いばね体自体が大型化してしまう。そうすると、ばね体を含むバックライト全体の小型化が難しくなる虞がある。
【0032】
これに対して、本実施の形態に係る装置本体1では、レンズアレイ24が上方へ移動した場合、第2延出片253の先端部がストッパ部122に当接することにより第1板ばね部材25の塑性変形が抑制される。また、集光レンズ16が上方へ移動した場合、第4延出片233の先端部が底壁140aに当接することにより第2板ばね部材23の塑性変形が抑制される。これにより、板ばね部材23、25として比較的剛性の低いものを使用しても、板ばね部材23、25が塑性変形することを抑制できる。そして、板ばね部材23、25として比較的剛性の低いものを使用できる分、板ばね部材23、25を小型化することができるので、装置本体1全体の小型化が図れる。
【0033】
また、本実施の形態では、第1板ばね部材25に第2延出片253を設けてストッパ部122を上側から第2延出片253の先端部に対向する形で配置することにより第1板ばね部材25の塑性変形を抑制する構造を実現している。更に、第2板ばね部材23に第4延出片233を設けることにより第2板ばね部材23の塑性変形を抑制する構造を実現している。これらのように、比較的簡単な構造で板ばね部材23、25の過度の変形を規制するので、装置本体1の構造の簡素化が図られ装置本体1の組立作業を容易にできるという利点がある。
【0034】
また、本実施の形態に係る装置本体1では、図11に示すように、レンズホルダ12が突起部121を有する。一方、ヒートシンク2は、図12に示すように、取付面2aにおけるレンズホルダ12の位置を規定する孔(位置決め用孔)204を有する。そして、レンズホルダ12が、突起部121の先端部が孔204に嵌入される形でヒートシンク2の取付面2aに載置されることによりレンズホルダ12の位置決めを行うことができる。この突起部121の孔204に嵌入された部分の長さL31は、レンズホルダ12が取付面2aに対して予め設定された角度の範囲内で所定の角度だけ傾いた場合に孔204から離脱しない長さに設定されている。例えば、2つの螺子21のうち突起部121からの距離が遠い方の螺子21と突起部121との間の距離をL41とし、予め設定された角度の範囲を0〜θ41th[rad]とする。この場合、長さL31は、下記式(3)の関係式が成立するように設定される。
L41×tanθ41th<L31・・・式(3)
例えば距離L41が100mmに設定され、予め設定された角度の範囲の上限を規定する角度θ11thが5°であるとする。この場合、突起部121の孔204に嵌入された部分の長さL31は、8.7mmよりも長く設定すればよい。
【0035】
この場合、照明装置を組み立てる作業者が、2つの螺子21のうち突起部121からの距離が遠い方の螺子21を締め過ぎて、レンズホルダ12が取付面2aに対してθ41th未満の所定の角度だけ傾いたとしても突起部121は孔204から抜けない。従って、突起部121が孔204から抜けてしまうことに起因したレンズホルダ12の位置ずれが防止される。
【0036】
このように、照明装置を組み立てる作業者がレンズホルダ12をヒートシンク2に固定する際におけるレンズホルダ12の位置ずれを抑制することができるので、照明装置の組立作業の円滑化を図ることができる。
【0037】
[変形例]
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は前述の実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば、図13に示すように、カバー14の底壁140aにおける第2板ばね部材23の第4延出片233の先端部に対向する位置に、突起部140dが設けられている構成であってもよい。この場合、第4延出片233の先端部が突起部140dの下面に当接すると、第2板ばね部材23の変形が規制される。
【0038】
本構成によれば、突起部140dの突出量を適宜設定することにより、第2板ばね部材23の変形可能な範囲を設定することができる。従って、第2板ばね部材23の変形可能な範囲を、第2板ばね部材23の大きさや形状、材料に応じた最適な範囲にすることができる。
【符号の説明】
【0039】
1:装置本体、2:ヒートシンク、2a:取付面、11:回路基板、12:レンズホルダ、14:カバー、16:集光レンズ、21:螺子、22:拡散板、23:第2板ばね部材、25:第1板ばね部材、24:レンズアレイ、111,125,164,221:貫通孔、140:カバー本体、240:レンズアレイ本体、120a,140a:底壁、120b,140b:側壁、120c,140c:開口部、121,123,140d,244,245:突起部、122:ストッパ部、126:保持部、141:保護リブ、142:脚部、143:フック部、161,240a:レンズ部、162:フランジ部、163,241,242,243:支柱部、201,203,204:孔、202:螺子孔、231,251:固定片、231a,231b,251a,251b:挟持片、231c:主片、232:第3延出片、233:第4延出片、252:第1延出片、253:第2延出片
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