(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る殺菌装置を示す図である。
【
図2】本実施形態の本体側係合爪及び扉側係合爪の配置関係を示す正面図である。
【
図3】本実施形態の開閉扉が閉鎖位置に移動し、本体と係合する様子を示す側面図である。
【
図4】本実施形態の本体側係合爪及びガイドを示す斜視図である。
【
図5】本実施形態のガイド、ローラ部及び支持ベースの様子を背面側から示す斜視図である。
【
図6】本実施形態のローラ部及び支持ベースの様子を示す背面図である。
【
図7】本実施形態のローラ部による係合位置での位置調整の様子を示す側面図である。
【
図8】本実施形態のロックピンが作動する様子を示す斜視図である。
【
図9】殺菌装置の開閉扉の状態を検出する構成を模式的に示すブロック図である。
【
図10】下部ロック装置がアーム部の下方で動作した様子を示す斜視図である。
【
図11】下部ロック装置がアーム部に重なる位置で動作した様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る殺菌装置1を示す図である。
図2は、本実施形態の本体側係合爪15及び扉側係合爪35の配置関係を示す正面図である。
図3は、本実施形態の開閉扉30が閉鎖位置に移動し、本体10と係合する様子を示す側面図である。
【0011】
図1及び
図2に示すように、本実施形態の殺菌装置1は、本体10と、開閉扉30と、移動機構40と、を備える。
【0012】
本体10は、殺菌対象の被処理物を収容する処理槽である。本体10は、一側の端部が開口され、他側の端部が閉塞する中空部19を有する円筒状の容器である。収容される被処理物として、缶詰、レトルトパウチ食品、成形容器食品、瓶詰食品等の容器包装詰食品が収容される。
【0013】
本体10の開口部の周囲には本体側フランジ11が設けられる。本体側フランジ11には、円環状の溝12が形成されており、この溝にはパッキン部材13が配置される。本実施形態では、エア供給源(図示省略)から供給されるエアにより、パッキン部材13が閉鎖位置にある開閉扉30に密着することによって高い密閉性を発揮できるようになっている。
【0014】
本体側フランジ11には、開閉扉30に係合する係合部としての本体側係合爪15が間隔をあけて複数配置される。
図2に示すように、本体側係合爪15は、本体側フランジ11における左右両側、斜め右下、斜め左下、最下部の合計5箇所に配置される。
図3に示すように、本体側係合爪15は、本体側フランジ11から前方に突出した後、本体10の径方向中心側に屈曲するように形成される。
【0015】
開閉扉30は、本体10の正面側に位置する開口を開閉する。開閉扉30は、前側が球面状に形成されている。開閉扉30の球面部分を囲うように扉側フランジ31が設けられる。
【0016】
開閉扉30の上部には、アーム部32が固定される。アーム部32は、開閉扉30の左右両側から水平方向にそれぞれ延び出るように形成されている。
【0017】
図2に示すように、扉側フランジ31には、本体10に係合する扉側係合爪35が間隔をあけて複数配置される。本実施形態の扉側係合爪35は、扉側フランジ31における最上部、最上部の両隣の3箇所に配置され、アーム部32の裏側に位置している。
【0018】
図3に示すように、扉側係合爪35は、扉側フランジ31から後方に突出した後、開閉扉30の径方向中心側に屈曲するように形成される。
【0019】
図1に示すように、移動機構40は、駆動源としての駆動モータ45と、左右一組の昇降部41と、左右一組の下部ロック装置51と、左右一組の上部ロック装置81と、を備える。
【0020】
駆動モータ45は、駆動軸46を介して左右それぞれの昇降部41に開閉扉30を昇降させるための駆動力を伝達する。昇降部41は、駆動モータ45の駆動力により開閉扉30を上下動する。
【0021】
次に、開閉扉30を閉鎖位置に導くガイド16について説明する。複数の本体側係合爪15のうち、もっとも上方にある左右両側の本体側係合爪15R,15Lには、ガイド16が設けられる。
図4は、本実施形態の本体側係合爪15R及びガイド16を示す斜視図である。
図5は、本実施形態のガイド16、ローラ部70及び支持ベース62の様子を背面側から示す斜視図である。
【0022】
図4に示すように、本体側係合爪15Rの上面には、略三角柱状のガイド16が固定されている。ガイド16は、上から下に進むに従って本体10に近づく傾斜面を有する。ガイド16の傾斜面は、その下端が本体側係合爪15Rの内側面に接続される。ガイド16の傾斜面により、扉側フランジ31が本体側係合爪15に係合する閉鎖位置までスムーズに導かれる(
図3参照)。
【0023】
図5に示すように、ガイド16の傾斜面には、ボルト取付孔17が二箇所形成される。ガイド16は、ボルト取付孔17を通じて本体側係合爪15R(本体側係合爪15L)にボルト(図示省略)によって締結される。また、本実施形態のガイド16は、前後方向の後端面が本体側係合爪15Rの内側空間に若干重なるように配置されている。なお、本体側係合爪15Lの上方に固定されるガイド16は、本体側係合爪15Rに固定されるガイド16と同様の構成である。
【0024】
昇降部41の内側には、駆動モータ45の駆動力が伝達されるボールネジ機構60が設けられる。ボールネジ機構60は、ネジ溝が形成される軸部61と、昇降部41の内側を上下動する支持ベース62と、を備える。支持ベース62の上面は平坦に形成されている。
【0025】
アーム部32は、その左右両側にローラ部70を備える。ローラ部70は、アーム部32から下方に突出しており、その底部が支持ベース62によって支持される。ローラ部70の底部には、複数の車輪71が設けられており、支持ベース62に対して前後方向に移動可能になっている。
【0026】
ローラ部70が上面に配置された支持ベース62が上下動することにより、アーム部32と一体的な部材である開閉扉30が上下動する。また、本実施形態のローラ部70の後面側には前方向に窪む凹部72が形成されている。
【0027】
図6は、本実施形態のローラ部70及び支持ベース62の様子を示す背面図である。
図6に示すように、支持ベース62には、リミットスイッチ65を保持するブラケット66が設けられる。リミットスイッチ65は、ローラ部70を含むアーム部32と支持ベース62の離間を検出するための接触状態検出部である。本実施形態では、リミットスイッチ65及びブラケット66は、左右両側の支持ベース62にそれぞれ設けられている。
【0028】
図6の鎖線に示すように、アーム部32が何らかの原因によって支持ベース62から浮き上がると、リミットスイッチ65の検出部がローラ部70から離間し、その検出信号がON信号からOFF信号(又はOFF信号からON信号)に切り替わって異常状態が生じていることを判定することができる。
【0029】
次に、下部ロック装置51によるロック機構について説明する。
図8は、本実施形態の下部ロック装置51が作動する様子を示す斜視図である。下部ロック装置51は、待機位置と規制位置の間で縮退するロックピン52を備える。ロックピン52は、例えばエアシリンダ機構によって本体部分から突出するように構成されている。また、下部ロック装置51は、ロックピン52の押出を検知するための近接センサ(図示省略)を備え、該近接センサによりロックピン52が押出されドアの動きが規制されている状態を検知できるように構成される。
【0030】
図8の鎖線に示すように、左右の下部ロック装置51のロックピン52は、開閉扉30が閉鎖位置にある状態で待機位置から規制位置にそれぞれ突出した状態となる。アーム部32の上方にロックピン52が位置することで、アーム部32の上方への移動がロックピン52に妨げられる状態となる。即ち、開閉扉30が閉鎖位置でロックされた状態となるのである。開閉扉30と本体10が適切に密着した状態で被処理物の殺菌処理が行われる。
【0031】
上部ロック装置81は、下部ロック装置51と同様の構成であり、待機位置から規制位置に移動するロックピン82を備える。開閉扉30が開放位置に移動するとき、又は移動した後に作動して開閉扉30の開放位置から離れる移動を規制する。また、上部ロック装置81は、ロックピン82の押出を検知するための近接センサ(図示省略)を備え、該近接センサによりロックピン82が押出されドアの動きが規制されている状態を検知できるように構成される。
【0032】
次に、開閉扉30のアーム部32が支持ベース62に適切に支持されなくなった場合の動作について説明する。
図9は、殺菌装置1の開閉扉30の状態を検出する構成を模式的に示すブロック図である。
【0033】
図9に示すように、殺菌装置1は、殺菌装置1の殺菌処理や自動開閉機構の制御を行う制御部90を備える。制御部90は、CPUや記憶部等からなるコンピュータであり、駆動モータ45、上部ロック装置81、下部ロック装置51等の駆動手段やリミットスイッチ65等の検出部が電気的に接続されている。
【0034】
制御部90は、駆動モータ45に制御信号を送信して開閉扉30を上下動させる。本実施形態の制御部90は、開閉扉30の移動制御中に、リミットスイッチ65の検出信号に基づいてアーム部32が支持ベース62から離間した非接触状態を検出すると、移動機構40の駆動モータ45を停止する。
【0035】
上述の通り、リミットスイッチ65は、左右両側の支持ベース62に配置されている。本実施形態の制御部90は、左右のリミットスイッチ65が1つでも非接触状態を検知した場合は駆動モータ45を停止する制御を行う。これにより、アーム部32の左右両側のローラ部70のうち、一側だけが離れるようなアーム部32の傾き状態を検出することができる。制御部90は、アーム部32が傾いている状態では、支持ベース62により開閉扉30が適切に支持されている状態とはいえないと判定するのである。
【0036】
図10は、下部ロック装置51がアーム部32の下方で動作した様子を示す斜視図である。制御部90は、非接触状態を検出すると次に、左右両側に配置される下部ロック装置51を制御してロックピン52を待機位置から突出位置に移動させる。
【0037】
図10に示すように、支持ベース62とアーム部32が離間して開閉扉30が中に浮いた状態となった後、落下したとしても突出位置のロックピン52がアーム部32(ローラ部70)の下面を支持し、開閉扉30のそれ以上の落下を防止することができる。
【0038】
図11は、下部ロック装置51がアーム部32に重なる位置で動作した様子を示す斜視図である。
図11に示すように、アーム部32(ローラ部70)の下面がロックピン52の突出位置を通過していたとしても、アーム部32が閉鎖位置に至る前であれば、ロックピン52を動作させることによってアーム部32にロックピン52を接触させて開閉扉30の落下を防止することができる。
図11の例では、アーム部32の裏側に形成される凹部に嵌るようなかたちで開閉扉30のそれ以上の落下が防止される。
【0039】
いずれの場合においても、落下する開閉扉30と本体10の衝突を防止でき、開閉扉30及び本体10の損傷を効果的に防止することができるのである。
【0040】
以上説明した実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
即ち、本実施形態の殺菌装置1は、被処理物を収容する開口が形成される本体10と、本体の開口を開閉する開閉扉30と、開閉扉30に設けられるアーム部32と、アーム部32を支持する支持ベース62と、支持ベース62を上下に移動させることにより、本体10の開口を閉じる閉鎖位置と開口を開ける開放位置の間で開閉扉30を移動させる移動機構40と、アーム部32と支持ベース62の接触状態を検出するリミットスイッチ65と、開閉扉30の移動中に、リミットスイッチ65がアーム部32と支持ベース62の非接触状態を検出すると開閉扉30の移動を停止するように移動機構40を制御する制御部90と、を備える。
【0041】
これにより、開閉扉30が中に浮いたまま移動機構40の駆動モータ45が駆動し続ける事態を確実に防止することができる。開閉扉30のアーム部32と支持ベース62の間の距離が大きくなった状態で開閉扉30が落下して開閉扉30及び本体10が大きく損傷する事態や、支持ベース62にアーム部32が適切に支持されていない状態で駆動モータ45が無理に駆動し続けることによって駆動系統に大きな負担が掛かり、故障の原因となる事態を避けることができ、殺菌装置1の自動開閉を安定的に行うことができる。
【0042】
アーム部32は、開閉扉30の両側で支持ベース62に下から支持されており、移動機構40は、左右両側にそれぞれ配置され、閉鎖位置よりも上方でアーム部32を支持する突出位置とアーム部32に接触しない待機位置の間で前後方向に伸縮可能なロックピン52を有し、制御部90は、開閉扉30の移動中に、非接触状態を検出するとロックピン52を待機位置から突出位置に移動させる。
【0043】
これにより、アーム部32と支持ベース62が離間して開閉扉30が落下したとしても、ロックピン52により開閉扉30と本体10の衝突を効果的に防止できる。例えば、本体側係合爪15と開閉扉30の扉側フランジ31が係合する構成では、開閉扉30の落下によって本体側係合爪15が変形すると、開閉扉30と本体10の密閉状態が良好に維持できなくなるおそれがあるが、本実施形態の構成によればロックピン52によって落下する開閉扉30の扉側フランジ31と本体側係合爪15の衝突を効果的に回避できるのである。
【0044】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0045】
上記実施形態では、リミットスイッチ65は、支持ベース62に配置される構成であるが、接触状態検出部の数や配置位置等は事情に応じて適宜変更することができる。例えば、リミットスイッチをアーム部側に配置することもできる。また、左右両側に配置される支持ベース62の片側のみにリミットスイッチを設ける構成としてもよい。
【0046】
上記実施形態では、接触状態検出部としてリミットスイッチを採用する構成であるが、この構成に限定されない。例えば、光学的な非接触センサによってアーム部32と支持ベース62の離間を検出する構成としてもよい。