特許第6753346号(P6753346)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6753346
(24)【登録日】2020年8月24日
(45)【発行日】2020年9月9日
(54)【発明の名称】オイルレベルゲージガイド
(51)【国際特許分類】
   F01M 11/12 20060101AFI20200831BHJP
【FI】
   F01M11/12 A
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-59243(P2017-59243)
(22)【出願日】2017年3月24日
(65)【公開番号】特開2018-162691(P2018-162691A)
(43)【公開日】2018年10月18日
【審査請求日】2019年6月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 悟
【審査官】 家喜 健太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−050821(JP,A)
【文献】 特開平04−228816(JP,A)
【文献】 実開平02−105123(JP,U)
【文献】 特開平09−170422(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0314141(US,A1)
【文献】 中国実用新案第202152696(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01M 11/12
G01F 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルレベルゲージの細長い板状のゲージ本体が抜き差しされるゲージガイド通路を有するオイルレベルゲージガイドであって、
前記ゲージガイド通路は、前記ゲージ本体をその板厚方向に湾曲させる2次元曲げ湾曲部と、前記ゲージ本体を前記2次元曲げ湾曲部の曲げ平面とは異なる曲げ平面で湾曲させる3次元曲げ湾曲部とを備えており、
前記3次元曲げ湾曲部には、前記ゲージ本体の曲げ方向を案内する曲げ案内部が設けられており、
前記曲げ案内部は、前記ゲージ本体の前記ゲージガイド通路への挿入時に、前記ゲージ本体の曲がり方向内側面に対して斜めに摺動接触して前記ゲージ本体を幅方向へ捻りながら前記3次元曲げ湾曲部の曲がり方向へ案内し、
前記ゲージガイド通路を備える管状のゲージガイド本体と、
前記ゲージガイド本体に前記3次元曲げ湾曲部を横切るように取り付けられかつ前記曲げ案内部を形成する軸状部材と、
を備えている、オイルレベルゲージガイド。
【請求項2】
オイルレベルゲージの細長い板状のゲージ本体が抜き差しされるゲージガイド通路を有するオイルレベルゲージガイドであって、
前記ゲージガイド通路は、前記ゲージ本体をその板厚方向に湾曲させる2次元曲げ湾曲部と、前記ゲージ本体を前記2次元曲げ湾曲部の曲げ平面とは異なる曲げ平面で湾曲させる3次元曲げ湾曲部とを備えており、
前記3次元曲げ湾曲部には、前記ゲージ本体の曲げ方向を案内する曲げ案内部が設けられており、
前記曲げ案内部は、前記ゲージ本体の前記ゲージガイド通路への挿入時に、前記ゲージ本体の曲がり方向内側面に対して斜めに摺動接触して前記ゲージ本体を幅方向へ捻りながら前記3次元曲げ湾曲部の曲がり方向へ案内し、
前記ゲージガイド通路は、鋳造シリンダブロックに形成された鋳抜き通路であり、
前記曲げ案内部は、前記鋳抜き通路の前記3次元曲げ湾曲部における湾曲後通路の入口と湾曲前通路の出口とを偏在させることで形成した突起部である、オイルレベルゲージガイド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイルレベルゲージガイドに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両のエンジンオイルの油量確認には、オイルレベルゲージが用いられる(例えば、特許文献1参照)。特許文献1のオイルレベルゲージは、レベルゲージガイドに挿入される細長い板状のゲージ部と、ゲージ部をレベルゲージガイドに挿入する際に把持される把持部と、を有している。ゲージ部と把持部とがゲージ部の軸回りに回転可能に連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−120407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、オイルレベルゲージのゲージ部をレベルゲージガイド内に挿入する際に、ゲージ部が2次元曲げの湾曲部、及び、3次元曲げの湾曲部に追従するように、曲がり易い方向に回転しながら撓むと記述されている。しかしながら、把持部に対してゲージ部が回転可能であっても、2次元曲げの湾曲部でゲージ部を回転させたい方向と、3次元曲げの湾曲部でゲージ部を回転させたい方向とが異なるような場合には、ゲージ部をそれら両方の湾曲部に沿って円滑に案内することは難しい。したがって、特許文献1のオイルレベルゲージガイドによると、3次元曲げ湾曲部を含むゲージガイド通路に対する細長い板状のゲージ部の挿入作業性が悪い。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、3次元曲げ湾曲部を含むゲージガイド通路に対するオイルレベルゲージの細長い板状のゲージ本体の挿入作業性を向上することのできるオイルレベルゲージガイドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、本発明のオイルレベルゲージガイドにより解決することができる。第1の発明は、オイルレベルゲージの細長い板状のゲージ本体が抜き差しされるゲージガイド通路を有するオイルレベルゲージガイドであって、前記ゲージガイド通路は、前記ゲージ本体をその板厚方向に湾曲させる2次元曲げ湾曲部と、前記ゲージ本体を前記2次元曲げ湾曲部の曲げ平面とは異なる曲げ平面で湾曲させる3次元曲げ湾曲部とを備えており、前記3次元曲げ湾曲部には、前記ゲージ本体の曲げ方向を案内する曲げ案内部が設けられており、前記曲げ案内部は、前記ゲージ本体の前記ゲージガイド通路への挿入時に、前記ゲージ本体の曲がり方向内側面に対して斜めに摺動接触して前記ゲージ本体を幅方向へ捻りながら前記3次元曲げ湾曲部の曲がり方向へ案内する、オイルレベルゲージガイドである。
【0007】
第1の発明によると、オイルレベルゲージガイドのゲージガイド通路にオイルレベルゲージの細長い板状のゲージ本体を挿入する際に、ゲージガイド通路の3次元曲げ湾曲部において曲げ案内部にゲージ本体の曲がり方向内側面が斜めに摺動接触する。すると、ゲージ本体が幅方向へ捻られながら3次元曲げ湾曲部の曲がり方向へ案内されることにより、ゲージ本体の3次元曲げが円滑に行われる。したがって、3次元曲げ湾曲部を含むゲージガイド通路に対するオイルレベルゲージの細長い板状のゲージ本体の挿入作業性を向上することができる。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、前記ゲージガイド通路を備える管状のゲージガイド本体と、前記ゲージガイド本体に前記3次元曲げ湾曲部を横切るように取り付けられかつ前記曲げ案内部を形成する軸状部材と、を備えている、オイルレベルゲージガイドである。
【0009】
第2の発明によると、管状のゲージガイド本体にゲージガイド通路の3次元曲げ湾曲部を横切るように取り付けられた軸状部材によって、曲げ案内部を形成することができる。
【0010】
第3の発明は、第1の発明において、前記ゲージガイド通路は、鋳造シリンダブロックに形成された鋳抜き通路であり、前記曲げ案内部は、前記鋳抜き通路の前記3次元曲げ湾曲部における湾曲後通路の入口と湾曲前通路の出口とを偏在させることで形成した突起部である、オイルレベルゲージガイドである。
【0011】
第3の発明によると、鋳造シリンダブロックの鋳造と同時に、ゲージガイド通路及び曲げ案内部を含むオイルレベルゲージガイドを同時に形成することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のオイルレベルゲージガイドによれば、3次元曲げ湾曲部を含むゲージガイド通路に対するオイルレベルゲージの細長い板状のゲージ本体の挿入作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態1にかかるオイルレベル装置を示す側面図である。
図2】オイルレベル装置を示す平面図である。
図3】オイルレベルゲージを示す正面図である。
図4】オイルレベルゲージを示す側面図である。
図5】オイルレベルゲージガイドを破断して示す側面図である。
図6】オイルレベルゲージガイドを破断して示す平面図である。
図7】第2曲管部を一部破断して示す側面図である。
図8図7のVIII視図である。
図9】実施形態2にかかるシリンダブロックを示す概略図である。
図10】ゲージガイド通路の3次元曲がり通路を示す概略図である。
図11】中子を示す正面図である。
図12】中子を示す側面図である。
図13】中子を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
【0015】
[実施形態1]オイルレベルゲージガイドの説明に先立って、オイルレベル装置の概要から説明する。オイルレベル装置は、例えば、自動車等の車両のエンジンのエンジン本体に装着されており、エンジン本体のオイルパン内に貯留されたエンジンオイルの油量等の確認に用いられる。図1はオイルレベル装置を示す側面図、図2は同じく平面図である。また、図中の矢印は、オイルレベル装置にかかる方位を示している。上下方向は、エンジン本体に装着された状態での重力方向いわゆる天地方向に対応する。また、前後左右方向は特定するものではない。図1及び図2に示すように、オイルレベル装置10は、オイルレベルゲージ12とオイルレベルゲージガイド14とを備えている。図3はオイルレベルゲージを示す正面図、図4は同じく側面図である。
【0016】
図3及び図4に示すように、オイルレベルゲージ12は、ゲージ本体16と把持部18とキャップ部20とを有している。ゲージ本体16は、金属製の板材いわゆるバネ板材により平細長い板状に形成されており、板厚方向に湾曲可能な可撓性を有している。ゲージ本体16は、長手方向に一定の板厚t(図4参照)と幅w(図3参照)とを有している。ゲージ本体16の一端部(下端部)には、測定部17が形成されている。測定部17は、例えば、ゲージ本体16aの表裏面がローレット状に形成されてなる。ゲージ本体16の下端の両角部は丸められている。把持部18は、樹脂製で、ゲージ本体16の他端部(上端部)にリング状に形成されている。把持部18は、オイルレベルゲージガイド14に対するオイルレベルゲージ12の挿入又は引き抜きの際に作業者の手によって把持される。また、キャップ部20は、ゴム製で、把持部18の基端側(下端側)に設けられている。なお、細長い板状のゲージ本体16を有するオイルレベルゲージ12は、「ブレードタイプ」と呼ばれるものである。
【0017】
図1及び図2に示すように、オイルレベルゲージガイド14は、オイルレベルゲージ12のゲージ本体16を抜き差し可能に案内しかつ保持する丸管状のゲージガイド本体22を主体として構成されている。ゲージガイド本体22は、金属製、例えば鉄系材料により形成されたパイプ製であり、中空部がゲージガイド通路24になっている。ゲージガイド本体22は、図示しないエンジン本体に取り付け金具を介して取り付けられている。ゲージガイド本体22は、エンジン本体の上方に開口する上端開口部22aと、オイルパン(図示せず)内に開口する下端開口部22bとを有している。
【0018】
オイルレベル装置10において、オイルレベルゲージ12がオイルレベルゲージガイド14に挿入される。詳しくは、ゲージ本体16が、ゲージガイド本体22の上端開口部22aからゲージガイド通路24に挿入される。すると、ゲージガイド通路24を通過したゲージガイド本体22の測定部17が、ゲージガイド本体22の下端開口部22bから突出され、エンジン本体のオイルパン内のエンジンオイルに浸漬される。また、ゲージガイド本体22の上端開口部22aがキャップ部20の弾性的な嵌合によって塞がれる。また、オイルパン内のエンジンオイルの油量等を確認する場合には、オイルレベルゲージ12をオイルレベルゲージガイド14から引き抜いて測定部17を見ればよい。
【0019】
次に、オイルレベルゲージガイド14について詳しく説明する。図5はオイルレベルゲージガイドを破断して示す側面図、図6は同じく平面図である。図5に示すように、ゲージガイド本体22は、1本の金属製パイプ材を複数回曲げ加工することにより、2次元曲げ湾曲部と3次元曲げ湾曲部とを含む3次元曲げ形状に形成されている(図6参照)。ゲージガイド本体22は、上端から下方前方斜め左方に向かってなだらかに連続する第1直管部26、第1曲管部28、第2直管部30、第2曲管部32、第3直管部34、第3曲管部36及び第4直管部38を有している。
【0020】
ゲージガイド通路24のうち、第1直管部26の中空部を第1直状通路部26aといい、第2直管部30の中空部を第2直状通路部30aといい、第3直管部34の中空部を第3直状通路部34aといい、第4直管部38の中空部を第4直状通路部38aという。また、第1曲管部28の中空部を第1曲がり通路部28aといい、第2曲管部32の中空部を第2曲がり通路部32aといい、第3曲管部36の中空部を第3曲がり通路部36aという。
【0021】
各直管部26,30,34及び各曲管部28,32,36は、同一の内径を有している。その内径は、ゲージ本体16の幅w(図3参照)よりも僅かに大きい。各直管部26,30,34は、それぞれ所要の長さを有している。各曲管部28,32,36は、それぞれ所要の曲がり角度、所要の曲率半径を有している。
【0022】
ゲージガイド本体22は、大別すると、第1直管部26、第1曲管部28及び第2直管部30を含む第1管状部分P1と、第2曲管部32、第3直管部34、第3曲管部36及び第4直管部38を含む第2管状部分P2とにより構成されている。第1直管部26の軸線L1及び第2直管部30の軸線L2は、同一平面上に配置されている。第1直管部26は、上下方向に延びている。第2直管部30の下半部は、上半部から前下方へ延びている。
【0023】
第3直管部34の軸線L3及び第4直管部38の軸線L4は、同一平面上に配置されている。軸縁L1〜軸線L4は連続している。しかし、軸線L1,L2を含む平面と軸線L3,L3を含む平面とは、交差する関係をなしている。すなわち、第2管状部分P2(詳しくは、第2曲管部32の上端)は、第1管状部分P1(詳しくは、第2直管部30の下端)に対して平面視で左回り方向に所定角度(例えば、3〜5°)ずらした形態をなしている。これにより、ゲージガイド本体22及びゲージガイド通路24が、2次元曲げ湾曲部と3次元曲げ湾曲部とを含む3次元曲げ形状に形成されている(図6参照)。第2曲管部32の下半部は、上半部から前下方で僅かに右方へ傾くように延びている。第3曲管部36の下半部は、上半部から前下方で左へ傾くように延びている。
【0024】
なお、第2曲がり通路部32aは本明細書でいう「3次元曲げ湾曲部」に相当する。また、第1曲がり通路部28a及び第3曲がり通路部36aは本明細書でいう「2次元曲げ湾曲部」に相当する。また、軸線L1,L2を含む平面は本明細書でいう「2次元曲げ湾曲部の曲げ平面」に相当する。また、軸線L3,L4を含む平面は本明細書でいう「2次元曲げ湾曲部の曲げ平面」に相当する。また、軸線L2と軸線L3を含む平面は、本明細書でいう「3次元曲げ湾曲部の曲げ平面」に相当する。
【0025】
ところで、オイルレベルゲージ12のゲージ本体16をオイルレベルゲージガイド14のゲージガイド通路24に挿入する際に、ゲージ本体16は、板厚方向を前後方向に向けた状態とされる。そして、ゲージ本体16は、第1曲管部28を含む第1管状部分P1に挿入されると、2次元曲げ湾曲部である第1曲がり通路部28aにおいて、ゲージ本体16の板厚方向に曲げられる。この第1曲がり通路部28aでのゲージ本体16の曲がり方向は、細長い板状のゲージ本体16の板厚方向であるため、支障なく曲げられる。このときの板厚方向は、軸線L1,L2(図5参照)を含む曲げ平面に交差する方向である。
【0026】
続いて、ゲージ本体16がゲージガイド通路24に更に差し込まれて、ゲージ本体16の先端側が第2管状部分P2の第2曲がり通路部32aを通過しようとする。ところが、第2曲がり通路部32aの曲げ平面は、第1曲がり通路部28aの曲げ平面と交差するため、ゲージ本体16を第1管状部分P1の曲り方向とは異なる方向、すなわち、幅方向に捻った方向へ曲がらなければならない。
【0027】
そこで、本実施形態では、ゲージガイド本体22の第2曲管部32には、案内シャフト40が第2曲がり通路部32aを横切るように取り付けられている。案内シャフト40は、金属製、例えば鉄系材料により丸軸状に形成されている。すなわち、オイルレベルゲージガイド14は、ゲージガイド本体22と案内シャフト40とを備えている。図7は第2曲管部を一部破断して示す側面図、図8図7のVIII視図である。

【0028】
図8に示すように、案内シャフト40は、左方斜め上方から右方斜め下方へ延びるように配置されている(図7参照)。詳しくは、第2曲管部32には、予め一対の取り付け孔42が形成されている。各取り付け孔42は、案内シャフト40の軸線40Lと同一軸線上に配置されている。案内シャフト40は、一対の取り付け孔42に跨るように挿通された状態で、第2曲管部32にろう付け等の固定手段によって固定されている。案内シャフト40は、軸線L2,L3(図5参照)よりも曲がり方向内側に少しずれて配置されている。
【0029】
案内シャフト40において、第2曲がり通路部32aに露出する部分により曲げ案内部41が形成されている。曲げ案内部41は、第2曲がり通路部32aの湾曲前通路の軸線方向に対して湾曲後通路の曲がり方向に傾斜して配置されている。曲げ案内部41には、ゲージガイド通路24に対するゲージ本体16の挿入時に、第2曲がり通路部32aを通るゲージ本体16が摺動接触する。曲げ案内部41は、ゲージ本体16の曲がり方向内側面16a(図8参照)に対して幅方向に斜めに摺動接触するとともに、ゲージ本体16を第2曲がり通路部32aの曲がり方向へ案内する。なお、「幅方向に斜め」とは、ゲージ本体16の軸線に対する平行及び直交を除いた傾斜を意味する。
【0030】
詳しくは、曲げ案内部41は、第2直状通路部30aを通過したゲージ本体16の部分(第2曲がり通路部32aを通過する部分)を、その板厚方向が軸線L2,L3(図5参照)を含む平面に交差する方向、すなわち、幅方向へ捻りながら第2曲がり通路部32aの曲がり方向へ案内する。第2曲がり通路部32aを通過したゲージ本体16は、第2曲管部32以降の通路部34a,36a,38aに沿って挿入されていくにともない、第3曲がり通路部36aにおいて板厚方向に曲げられる。第3曲がり通路部36aでは、ゲージ本体16の曲がり方向が、その板厚方向であるため、支障なく曲げられる。なお、案内シャフト40は本明細書でいう「軸状部材」に相当する。
【0031】
前記したオイルレベルゲージガイド14によると、オイルレベルゲージガイド14のゲージガイド通路24にオイルレベルゲージ12の細長い板状のゲージ本体16を挿入する際に、ゲージガイド通路24の第2曲がり通路部32aにおいて曲げ案内部41にゲージ本体16の曲がり方向内側面16aが斜めに摺動接触する。すると、ゲージ本体16が幅方向へ捻られながら第2曲がり通路部32aの曲がり方向へ案内されることとなり、ゲージ本体16のゲージガイド通路24への挿入が円滑に行われる。したがって、第2曲がり通路部32aを含むゲージガイド通路24に対するオイルレベルゲージ12の細長い板状のゲージ本体16の挿入作業性を向上することができる。また、オイルレベルゲージ12の細長い板状のゲージ本体16の引き抜き作業性を向上することができる。
【0032】
また、ブレードタイプのオイルレベルゲージ12に対応することのできるオイルレベルゲージガイド14であるため、比較的高価なワイヤータイプのオイルレベルゲージ12を用いなくて済む。また、特許文献1と異なり、オイルレベルゲージ12に特殊な設計変更を要しないため、オイルレベルゲージ12のコストアップを回避することができる。
【0033】
また、ゲージガイド通路24を2次元曲げ湾曲部と3次元曲げ湾曲部とを含む3次元曲げ形状に形成したとしても、ブレードタイプのオイルレベルゲージ12を用いることができるため、オイルレベルゲージガイド14の設計の自由度を向上することができる。このため、例えば、車両の他車種でのベースエンジンがあり、変更の規模は最小限で、搭載を設計していく業務(車種展開業務)において、例えば、オイルレベルゲージ12等の他部品の変更を回避しつつ、多車種に展開することができる。
【0034】
また、管状のゲージガイド本体22にゲージガイド通路24の第2曲がり通路部32aを横切るように取り付けられた案内シャフト40によって、曲げ案内部41を形成することができる。また、ゲージガイド本体22に案内シャフト40を取り付けるだけでよいので、構造の複雑化を抑制することができる。
【0035】
[実施形態2]本実施形態は、実施形態1(図5及び図6参照)のオイルレベルゲージガイド14に変更を加えたものであるから、その変更部分について説明し、重複する説明は省略する。図9はシリンダブロックを示す概略図、図10はゲージガイド通路の3次元曲げ湾曲部を示す概略図である。図9に示すように、本実施形態では、シリンダブロック44にオイルレベルゲージガイド46が一体形成されている。シリンダブロック44は、鋳造部品であり、本明細書でいう「鋳造シリンダブロック」に相当する。シリンダブロック44には、鋳抜きによりゲージガイド通路48及び曲げ案内部50が形成されている(図10参照)。
【0036】
ゲージガイド通路48は、シリンダブロック44に貫通孔状に形成された鋳抜き通路である。ゲージガイド通路48の断面は、略四角形状に形成されている。ゲージガイド通路48は、上部直状通路部52と、その上部直状通路部52の下側に曲がり通路部54を介して連通する下部直状通路部56と、を有している。上部直状通路部52及び下部直状通路部56は、それぞれ直線状に形成されている。上部直状通路部52は、上下方向に延びている。下部直状通路部56は、曲がり通路部54から下方斜め前方へ延びている。
【0037】
曲がり通路部54は、上部直状通路部52と下部直状通路部56との間すなわち接続部分に形成されている。曲げ案内部50は、曲がり通路部54における湾曲後通路の入口と湾曲前通路の出口とを偏在させることで形成した突起部である。曲げ案内部50は、曲がり通路部54の曲がり方向内側面に左方斜め上方から右方斜め下方へ延びる直線状に形成されている。曲げ案内部50は、断面山形状に形成されている。なお、曲がり通路部54は本明細書でいう「3次元曲げ湾曲部」に相当する。なお、ゲージガイド通路48は不図示の「2次元曲げ湾曲部」を備えている。
【0038】
次に、曲げ案内部50を含むゲージガイド通路48を形成するための中子を説明する。図11は中子を示す正面図、図12は同じく側面図、図13は同じく平面図である。図11図13に示すように、中子57は、鋳砂により角棒状に形成された上部中子58と下部中子60とを備えている。
【0039】
図11に示すように、上部中子58の下端部には、略斜切り四角錐状の上側接続端部59が斜切り面59aを下方斜め左方に向けた状態で形成されている。下部中子60の上端部には、略斜切り四角錐状の下側接続端部61が斜切り面61aを上方斜め右方に向けた状態で形成されている。上部中子58の上側接続端部59の斜切り面59aと下部中子60の下側接続端部61の斜切り面61aとを面接触状に突き合わせることにより、一連の中子57が構成される(図12及び図13参照)。両接続端部59,61の突き合わせによって、両接続端部59,61の曲がり方向内側に谷折り状の凹条部62が形成される。
【0040】
したがって、シリンダブロック44を成形する鋳造型に中子57をセットして鋳造を行うことにより、ゲージガイド通路48及び曲げ案内部50を有するオイルレベルゲージガイド46を備えるシリンダブロック44を鋳造することができる(図9及び図10参照)。上部中子58により上部直状通路部52及び曲がり通路部54の上半部が形成される。下部中子60により下部直状通路部56及び曲がり通路部54の下半部が形成される。凹条部62により曲げ案内部50が形成される。
【0041】
本実施形態によると、シリンダブロック44の鋳造と同時に、ゲージガイド通路48及び曲げ案内部50を含むオイルレベルゲージガイド46を同時に形成することができる。なお、本実施形態は、シリンダヘッドに適用してもよい。
【0042】
また、ガイドパイプ(ゲージガイド本体)が不要なガイドパイプレスのオイルレベルゲージガイドの場合、エンジン本体の主要部品であるシリンダブロック、シリンダヘッド等にゲージガイド通路(孔)が形成されることが多い。このため、エンジン本体の重要な機能形状が成立した後に、残りのスペースにゲージガイド通路の設計を強いられる可能性が高い。しかし、本実施形態によると、ゲージガイド通路の設計の自由度が向上されることにより、エンジン本体の重要な機能形状を成立させつつゲージガイド通路を容易に設計することができる。
【0043】
[他の実施形態]本発明は実施形態に限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本発明のオイルレベルゲージガイドは、トランスミッションオイル、ATフルード、ディファレンシャルギヤオイル等の油量等の確認を行うオイルレベルゲージに適用してもよい。また、本発明は、複数の3次元曲げ湾曲部を有するオイルレベルゲージガイドに適用してもよい。また、オイルレベルゲージガイド46の第2曲管部32の曲がり方向内側部を、外側から内方へ押し潰すようにして折り目状に変形させることにより、曲げ案内部を形成してもよい。
【符号の説明】
【0044】
10 オイルレベル装置
12 オイルレベルゲージ
14 オイルレベルゲージガイド
16 ゲージ本体
22 ゲージガイド本体
24 ゲージガイド通路
28 第1曲管部
28a 第1曲がり通路部(2次元曲げ湾曲部)
32 第2曲管部
32a 第2曲がり通路部(3次元曲げ湾曲部)
36 第3曲管部
36a 第3曲がり通路部(2次元曲げ湾曲部)
40 案内シャフト(軸状部材)
41 曲げ案内部
44 シリンダブロック(鋳造シリンダブロック)
46 オイルレベルゲージガイド
48 ゲージガイド通路
54 曲がり通路部(3次元曲げ湾曲部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13