(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、消臭剤を好ましくない箇所に噴霧することがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1観点の薬剤吹付装置は、認識部と、吹付部と、調整部とを備える。認識部は、対象物を認識するものである。吹付部は、所定の位置に向けて薬剤を吹き付けるものである。制御部は、認識部により認識された対象物に応じて、吹付部を制御するものである。このような構成により、対象物の種類や形態等に応じて、所定の位置に薬剤を適切に吹き付けることができる。
【0005】
第2観点の薬剤吹付装置は、第1観点の薬剤吹付装置であって、入力部をさらに備えるものである。入力部は、薬剤を特定可能な情報の入力を受け付ける入力部をさらに備える。また、制御部が、薬剤を特定可能な情報により、吹付部を制御して、薬剤を吹き付ける位置及び/又は時間を調整する。
【0006】
第3観点の薬剤吹付装置は、第1観点又は第2観点の薬剤吹付装置であって、入力部をさらに備えるものである。入力部は、薬剤を吹き付ける位置及び/又は時間を含む薬剤情報の入力を受け付ける。また、制御部が、薬剤情報により、吹付部を制御する。このような構成により、利用者の意向に沿って、薬剤を吹き付ける位置及び時間を調整できる。
【0007】
第4観点の薬剤吹付装置は、第1観点から第3観点の薬剤吹付装置であって、出力部をさらに備えるものである。出力部は、薬剤の種類、薬剤を吹き付ける位置、及び、薬剤を吹き付ける時間のうちの少なくとも一つを出力する。このような構成により、吹き付ける薬剤に関する情報をユーザに認識させることができる。
【0008】
第5観点の薬剤吹付装置は、第1観点から第4観点の薬剤吹付装置であって、複数の種類の薬剤を格納するものである。このような構成により、所定の位置に応じて異なる薬剤を吹き付けることができる。
【0009】
第6観点の薬剤吹付装置は、第5観点の薬剤吹付装置であって、制御部が、認識部により認識された対象物に応じて、吹き付ける薬剤の種類を決定する。このような構成により、所定の位置に目的に応じた薬剤を吹き付けることができる。
【0010】
第7観点の薬剤吹付装置は、第1観点から第6観点のいずれかの薬剤吹付装置であって、吹付部が、複数のノズル及び/又はルーバーを介して薬剤を吹き付ける。このような構成により、薬剤を吹き付ける位置を調整できる。
【0011】
第8観点の薬剤吹付装置は、第1観点から第7観点のいずれかの薬剤吹付装置であって、薬剤を格納する薬剤カートリッジを収容する収容部をさらに備える。このような構成により、多種の薬剤が交換可能な薬剤吹付装置を提供できる。
【0012】
第9観点の薬剤吹付装置は、第8観点の薬剤吹付装置であって、収容部に薬剤カートリッジが収容されたときに、薬剤情報を読み取る読取部をさらに備える。ここで、薬剤カートリッジは、薬剤を吹き付ける位置を示す位置及び/又は時間を含む薬剤情報を記憶するものである。このような構成により、薬剤カートリッジから薬剤を吹き付けるための薬剤情報を取得できる。
【0013】
第10観点の薬剤吹付装置は、第1観点から第9観点のいずれかの薬剤吹付装置であって、認識部が、対象物の動く向きを検出する。また、制御部が、対象物の動く向きに応じて、吹付部を制御する。このような構成により、対象物の移動する向きに合わせて薬剤を吹き付ける位置を調整できる。
【0014】
第11観点の薬剤吹付装置は、第10観点の薬剤吹付装置であって、制御部が、対象物の動く向きに応じて、薬剤の種類を決定する。このような構成により、対象物の移動する向きに合わせて、所定位置に目的に応じた薬剤を吹き付けることができる。
【0015】
第12観点の薬剤吹付装置は、第1観点から第11観点の薬剤吹付装置であって、記憶部をさらに備える。記憶部は、ユーザ情報及び/又はスケジュール情報を記憶する。また、制御部が、ユーザ情報及び/又はスケジュール情報に基づいて、吹付部を制御する。このような構成により、ユーザ情報及び/又はスケジュール情報に合わせて、所定位置に薬剤を吹き付けることができる。
【0016】
第13観点の薬剤吹付装置は、第12観点の薬剤吹付装置であって、通信部をさらに備える。ここで、第12観点の薬剤吹付装置は、ユーザ情報及び/又はスケジュール情報を記憶する記憶装置とネットワークを介して接続しており、通信部が、ユーザ情報及び/又はスケジュール情報を記憶装置から取得する。このような構成により、ネットワーク上の記憶装置に記憶されたユーザ情報及び/又はスケジュール情報を用いて、所定位置に薬剤を吹き付けることができる。
【0017】
第14観点の薬剤吹付装置は、第13観点の薬剤吹付装置であって、制御部が、ユーザ情報及び/又はスケジュール情報に基づいて、薬剤の種類を決定する。このような構成により、各ユーザのユーザ情報及び/又はスケジュール情報に合わせて、所定位置に目的に応じた薬剤を吹き付けることができる。
【0018】
第15観点に薬剤吹付装置は、第1観点から第14観点の薬剤吹付装置であって、空気清浄部をさらに備える。空気清浄部は、吹付部が薬剤を吹き付けた後、周辺空気を吸入し、吸入した周辺空気を清浄化する。このような構成により、吹き付けた薬剤を回収することができる。
【0019】
第16観点に薬剤吹付装置は、第1観点から第15観点の薬剤吹付装置であって、確認要求部と、回答受付部とをさらに備える。確認要求部は、吹付部が薬剤を吹き付ける際、薬剤の吹き付けを実行するか否かの確認要求を行なう。回答受付部は、確認要求に対する回答を受け付ける。このような構成により、利用者の意思に基づいて、薬剤を吹き付けることができる。
【0020】
第17観点の薬剤吹付装置は、第16観点の薬剤吹付装置であって、回答受付部が、回答を音声により受け付ける。このような構成により、利用者の利便性を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第1実施形態>
(1)薬剤吹付装置の構成
図1は第1実施形態に係る薬剤吹付装置10の概念を説明するための模式図である。
【0023】
薬剤吹付装置10は、薬剤を格納しており、その薬剤を対象物5(
図1では人)に向けて吹き付けるものである。
【0024】
ここでいう「薬剤」とは、対象物に付着し、付着した部分の周囲に特定の効果を生じさせる任意の物質を意味する。例えば、薬剤として、香料、消臭剤、消毒液などが挙げられる。
【0025】
また「対象物」とは、物体全体の意味で定義してもよいし、物体の一部の意味で定義してもよいものである。例えば、対象物が人である場合、人の体全体を対象物と定義してもよいし、人の頭、顔、首、胴、背中、手、足などの各部分を対象物と定義してもよい。また、対象物は、人だけでなく、人が着ている衣服、人が持っている鞄などの物品で定義してもよいものである。
【0026】
例えば、薬剤吹付装置10は、円筒形状の部分を有する2m程度の長さの筐体10cに、後述する複数のノズル15aが取り付けられたものである。そして、このノズル15aから薬剤が噴出し、対象物5に薬剤が吹き付けられる。このような薬剤吹付装置10を建物の出入口に取り付けることで、出入口を通過する人(対象物)に向けて薬剤を吹き付けることができる。なお、薬剤吹付装置10の筐体の少なくとも一部を円筒形状にすることで、手すりとして利用することができる(後述する
図3参照)。
【0027】
図2の機能ブロック図に示すように、この薬剤吹付装置10は、記憶部11と、認識部12と、入力部13と、出力部14と、吹付部15と、処理部(制御部)16とを備える。なお、以下の説明では、対象物5が「人」であることを前提として説明するが、対象物は必ずしも人である必要はない。
【0028】
記憶部11は、各種情報を記憶するものであり、ROM,RAMなどの任意の記憶装置により構成される。ここでは、記憶部11は、対象物5に関する対象物情報と、薬剤に関する薬剤情報とを関連付けて記憶する。
【0029】
「対象物情報」は、対象物の種類、対象物の部位、対象物の状態などを含む情報である。対象物の種類は、例えば対象物が、人、衣服、靴、鞄などであることを示す情報である。対象物の部位は、例えば対象物の種類が人である場合、頭、顔、首、胴、背中、手、足などの部位を示す情報である。対象物の状態は、例えば対象物の種類が人である場合、その人が立っている状態、かがんでいる状態、動いている状態、止まっている状態などであることを示す情報である。対象物の部位及び状態は、対象物の種類に応じて定義される。
【0030】
「薬剤情報」は、薬剤の種類、薬剤を吹き付ける位置、薬剤を吹き付ける時間など含む情報である。この薬剤情報は、対象物情報に関連付けて記憶部11に記憶される。例えば、薬剤情報は、薬剤の種類が「香料(アロマ)」である場合、薬剤を吹き付ける位置が「人の胴部」であり、薬剤を吹き吹き付ける時間は「10秒」である、といった内容を示す情報である。また、他の例として、薬剤情報は、薬剤の種類が「消臭剤」である場合、薬剤を吹き付ける位置が「人の足部」であり、薬剤を吹き付ける時間は「30秒」である、といった内容を示す情報である。
【0031】
認識部12は、対象物5を認識するものである。具体的には、認識部12は、カメラ、赤外線センサ、その他の光学センサなどの任意の撮像装置12aと、CPU,GPUなどのプロセッサ及びメモリから構成される演算装置とを用いて構成される。また、認識部12は演算の際に記憶部11に記憶された情報を適時抽出する。補足すると、撮像装置12aにより撮像された情報は、対象物のシルエットの情報を少なくとも含んでいる。そして、認識部12は、撮像装置12aにより撮像された情報と、記憶部11に記憶された対象物情報とを照合することで対象物5を特定する。なお、認識部12は、利用目的に応じて、対象物5の特徴を細かく解析するように構築できる。例えば、認識部12は、「対象物5は、鞄を持って立っており、薬剤により変色する服を着ている人である」といったことを認識することもできる。
【0032】
入力部13は、各種情報を入力可能なものであり、タッチパネルなどの任意の入力装置により構成される。また、入力部13は、任意の通信インタフェースを介して、ユーザの有する端末装置に接続し、その端末装置から各種情報の入力を受け付けるものでもよい。また、入力部13は任意のマイクを介して音声入力により情報を受け付けるものでもよい。
【0033】
ここでは、入力部13は、任意のタイミングで、薬剤の種類、薬剤を吹き付ける位置、又は、薬剤を吹き付ける時間等の入力を受け付ける。入力部13がこれらのいずれかの情報の入力を受け付けると、記憶部11が記憶する薬剤情報が更新される。また、入力部13は、任意のタイミングで薬剤を吹き付ける吹付命令の入力を受け付ける。
【0034】
出力部14は、各種情報を出力可能なものであり、タッチパネルなどの任意の出力装置により構成される。ここでは、出力部14は、上述した薬剤情報を出力する。なお、出力部14は、任意の通信インタフェースを介して、ユーザの有する端末装置に接続し、その端末装置の画面上に各種情報を出力するものでもよい。また、出力部14は任意のプロジェクタにより実現することもでき、床、壁、ユーザの体などに各種情報を表示するものでもよい。また、出力部14は、任意のスピーカを介して各種情報を音声出力するものでもよい。
【0035】
吹付部15は、気流を生成し、この気流を用いて所定の位置に向けて薬剤を吹き付けるものである。吹付部15の気流の量及び方向は処理部16により制御される。具体的には、吹付部15は、上下方向に10個ほど配置されたノズル15aにより構成されており、人の顔、首、肩、胴、背中、手元、足元などに向けてノズルの吹き出し方向を変更できるように構成されている。なお、吹付部15はノズル15aにより気流の方向を変更するものに限られず、ルーバで気流の方向を変更するものでもよい。また、吹付部15のノズル15aとして、
図3に示すように、上から下に向けて気流を吹き出すものも利用可能である。なお、
図3(b)は
図3(a)の部分拡大図である。
【0036】
処理部(制御部)16は、各種情報を演算可能なものであり、CPU,GPUなどのプロセッサ及びメモリにより構成される。処理部16は記憶部11に記憶されたプログラムが実行されることにより各種機能を発揮する。なお、処理部16の機能は、プログラムの更新により随時追加及び削除することができる。
【0037】
また、処理部16は、認識部12により認識された対象物5に応じて、吹付部15を制御する。詳しくは、処理部16は、認識部12により認識された対象物5に応じて、対象物5に吹き付ける薬剤の種類及び量を決定する機能を有する。また、処理部16は、吹付部15が対象物5に向けて薬剤を吹き付ける位置及び時間を調整する機能を有する。
【0038】
例えば、処理部16は、認識部12により認識された対象物5の種類が人であるか物(衣類、靴、鞄など)であるかにより、異なる種類の薬剤を決定する。また、例えば、処理部16は、対象物5が薬剤により変色する衣服であることを認識部12が認識した場合、薬剤の吹き付けを実行しないように吹付部15を制御する。また、例えば、処理部16は、認識部12により認識された対象物5が立っている状態の人の胴部である場合、その胴部のみに薬剤(アロマ)を吹きつけ、その他の部位には薬剤を吹き付けないように吹付部15を制御する。
【0039】
なお、入力部13を介して他の薬剤を吹き付ける吹付命令が入力された場合、処理部16が決定した薬剤ではなく、入力部13を介して入力された他の薬剤が優先して選択される。
【0040】
(2)薬剤吹付装置の動作
図4は薬剤吹付装置10の動作を説明するためのフローチャートである。
【0041】
まず、薬剤吹付装置10の設置場所から所定範囲内に対象物5が入ってくると、その対象物5が認識部12により認識される(S1)。例えば、認識部12により、「服を着ている人」が対象物5であると認識される。より詳しくは、認識部12により、対象物5は、「肌の部分」と「服の部分」とを有する人と認識される。
【0042】
次に、認識部12により認識された対象物5に応じた薬剤が処理部16により決定される(S2)。ここでは、処理部16により、薬剤が「消臭剤」に決定されるものとする。
【0043】
続いて、処理部16から、薬剤を吹き付ける位置を制御するための制御情報が吹付部15に送出される(S3)。例えば、服の部分の位置には所定の消臭剤を吹き付けるようにしつつ、肌の部分の位置にはその消臭剤を吹き付けないように制御するための制御情報が吹付部15に送出される。
【0044】
そして、吹付部15が、処理部16から送出された制御情報に基づいて、薬剤を所定の位置に向けて吹き付ける(S4)。これにより、例えば、服の部分の位置には消臭剤が吹き付けられ、肌の部分の位置にはその消臭剤が吹き付けられないようにすることができる。
【0045】
(3)特徴
上述したように、薬剤吹付装置10は、認識部12と、吹付部15と、処理部(制御部)16とを備える。ここでは、認識部12が対象物5を認識する。また、吹付部15が所定の位置に向けて薬剤を吹き付ける。そして、処理部16が、認識部により認識された対象物5に応じて吹付部15を制御する。このような構成により、対象物5の種類や形態等に応じて、所定の位置に薬剤を適切に吹き付けることができる。換言すると、対象物5に対して、効果を発揮する場所に薬剤を適切に吹き分けることができる。
【0046】
例えば、対象物5が人である場合、外観に合わせて、頭、顔、首、胴、背中、手、足などの狙った位置に、香料の薬剤を吹き分けることができる。また、例えば、外出する人に向けて、香料の薬剤を吹き付けたり、帰宅してきた人に消臭剤の薬剤を吹き付けたりすることができる。また、例えば、人の足元向けて、消毒液の薬剤を吹き付けることができる。なお、香料などの薬剤は、首、胸などに吹き付ける。また、香料の物質に対してアレルギー反応が生じる人には肌ではなく服に吹き付ける。また、消臭剤などの薬剤は服に吹き付ける。また消臭剤は顔にかからないようにする。このように、薬剤吹付装置10は、目的に応じて薬剤を吹き分けることができる。
【0047】
さらに、薬剤吹付装置10は、入力部13を備える。ここでは、入力部13が前記薬剤の種類、前記薬剤を吹き付ける位置、及び、前記薬剤を吹き付ける時間の少なくとも一つの入力を受け付ける。このような構成により、利用者の意向に沿って、薬剤を吹き付ける位置及び/又は時間を調整できる。なお、薬剤の種類等の薬剤を特定可能な情報の入力から薬剤情報を参照することで、薬剤を吹き付ける位置及び/又は時間の情報を入力しなくても、薬剤を吹き付ける位置及び/又は時間を調整できる。ただし、入力部13は必ずしも必要な構成ではなく、適宜省略可能である。
【0048】
さらに、薬剤吹付装置10は、前記薬剤の種類、前記薬剤を吹き付ける位置、及び、前記薬剤を吹き付ける時間のうちの少なくとも一つを出力する出力部14を備えるので、ユーザに薬剤に関する情報を認識させることができる。ただし、出力部14は必ずしも必要な構成ではなく、適宜省略可能である。
【0049】
さらに、薬剤吹付装置10は、対象物情報及び薬剤情報を記憶する記憶部11を備えるので、撮像された情報と対象物情報とを照合して対象物5を特定し、当該対象物5に関連付けられた薬物情報に基づいて対象物5に薬剤を吹き付けることができる。
【0050】
また、薬剤吹付装置10は、複数の種類の薬剤を格納するので、対象物5に向けて異なる薬剤を吹き付けることができる。
【0051】
また、薬剤吹付装置10では、処理部16が、認識部12により認識された対象物5に応じて、吹き付ける薬剤の種類を決定する。したがって、所定の位置に目的に応じた薬剤を吹き付けることができる。
【0052】
また、薬剤吹付装置10は、吹付部15が、複数のノズル及び/又はルーバーを介して薬剤を吹き付けるので、薬剤を吹き付ける位置を調整できる。
【0053】
(4)変形例
(4−1)変形例A
上述した薬剤吹付装置10は、複数の種類の薬剤を吹き付けることが可能なものであったが、薬剤の種類は一つであってもよい。これにより、薬剤の種類を決定する処理が不要となる。また、これに伴い、薬剤の種類に応じた制御が不要となる。このような構成により、簡易な構成の薬剤吹付装置を提供することができる。
【0054】
(4−2)変形例B
上述した薬剤吹付装置10は、
図5に概念を示すように、空気清浄部17をさらに備えていてもよい。空気清浄部17は、周辺空気を吸入し、吸入した周辺空気を清浄化するものである。例えば、空気清浄部17は、吹付部15が薬剤を吹き付けた後、周辺環境の脱臭を行なう。これにより、香りが生じる薬剤を噴出しても、その環境に香りを残さないようにすることができる。なお、
図5に示す例では、空気清浄部17は薬剤吹付装置10の下部に設けられているが、空気清浄部17の位置はこれに限定されるものではない。
【0055】
(4−3)変形例C
上述した薬剤吹付装置10の処理部(確認要求部)16は、吹付部15が薬剤を吹き付ける際、薬剤の吹き付けを実行するか否かの確認要求を出力部14に出力するものでもよい。また、このような構成の場合、処理部(回答受付部)16は、入力部13を介して、薬剤の吹き付けを実行するか否かの入力を受け付ける。
【0056】
このような構成により、薬剤の吹き付けを自動的に開始するのではなく、利用者の意向を反映した上で薬剤を吹き付けることができる。例えば、薬剤吹付装置10が玄関などに設置された場合に、訪問者に対して薬剤を吹き付けるのを回避できる。
【0057】
なお、出力部14は音声出力により情報を出力するものでもよい。また、入力部13は音声入力により情報を受け付けるものでもよい。このような構成により、ユーザの利便性を高めることができる。例えば、薬剤の吹き付けを自動的に開始する前に、出力部14を介して「今から10秒間、香料を噴出します」等の音声が確認要求として出力される。ここで、利用者が「はい」等の肯定的な意味合いの返事をすると、入力部13を介して確認要求に対する許可が入力される。そして、この許可に応じて、香料(薬剤)の噴出が開始される。
【0058】
(4−4)変形例D
上述した薬剤吹付装置10において、処理部16は、ユーザ情報に基づいて、吹付部15を制御するものでもよい。
【0059】
「ユーザ情報」は、薬剤吹付装置10の記憶部11に記憶されており、各ユーザの顔写真、性別、体質(薬剤に対するアレルギーの有無等)、身体的特徴(体形、身長、体重等)、声紋、生理情報、嗜好(優先的に使用する薬剤の情報等)などの任意のユーザに関する情報をユーザの識別情報に関連付けたものである。また、ユーザ情報に応じて薬剤情報は適宜カスタマイズされる。
【0060】
ここでは、認識部12を構成する撮像装置12aにより撮像された画像情報が登録画像と照合されて、ユーザが特定される。そして、処理部16が、特定されたユーザのユーザ情報に基づいて、吹き付ける薬剤の種類及び量を決定し、その薬剤を吹き付ける位置及び時間を調整する。なお、ユーザ情報が登録されていないユーザが認識された場合に、薬剤の吹き付けを実行しないようにすることもできる。
【0061】
このような構成により、例えば、処理部16により特定されたユーザのユーザ情報に、所定の薬剤に対してアレルギー反応を示すことが記憶部11に記憶されている場合、当該ユーザに対してその薬剤を吹き付けることを回避できる。
【0062】
また、例えば、処理部16が、ユーザに紐付けられた端末装置が所定距離内に入ると、そのユーザのユーザ情報に基づいて、吹き付ける薬剤の種類及び量を決定し、その薬剤を吹き付ける位置及び時間を調整するものでもよい。さらに、端末装置にヘルスケアアプリケーションなどがインストールされており、端末装置がユーザの生理情報を逐次管理している場合には、薬剤吹付装置10が端末装置から、これらの生理情報を受け付けるものでもよい。このような端末装置としては、ユーザが装着するフィットネストラッカーや各種スマートデバイスが挙げられる。
【0063】
なお、ユーザ情報は、ネットワークを介して薬剤吹付装置10に接続する任意の記憶装置30A(ユーザ情報記憶部)に記憶されるものでもよい。この場合、その記憶装置30Aからユーザ情報が適時抽出される。例えば、
図6に示すように、ユーザが有する端末装置20Aを介して、ユーザ情報が薬剤吹付装置10に送信されて、記憶部11に書き込まれる。なお、薬剤吹付装置10はネットワークに接続するための通信部18をさらに備える。
【0064】
(4−5)変形例E
さらに、上述した薬剤吹付装置10において、処理部16は、スケジュール情報に基づいて、吹付部15を制御するものでもよい。
【0065】
「スケジュール情報」は、薬剤吹付装置10の記憶部11に記憶されており、時間帯毎に設定された任意の予定を示す情報である。ここでは、処理部16が、特定されたユーザのスケジュール情報に基づいて、吹き付ける薬剤の種類及び量を決定し、その薬剤を吹き付ける位置及び/又は時間を調整する。例えば、スケジュール情報として、次の予定に「仕事」が設定されている場合、処理部16が、仕事に対する意欲を高めるために、気分を高揚させる香りを発生する香料を薬剤として選択し、これを対象物5に吹き付ける等の処理を実行する。
【0066】
さらに、スケジュール情報はユーザ情報に組み合わされたものであってもよい。これにより、処理部16がスケジュール情報及びユーザ情報に基づいて吹付部15を制御する。詳しくは、認識部12を構成する撮像装置12aにより撮像された画像情報が登録画像と照合されて、ユーザが特定される。そして、処理部16が、特定されたユーザのスケジュール情報に基づいて、吹き付ける薬剤の種類及び量を決定し、その薬剤を吹き付ける位置及び時間を調整する。このような構成により、同じ内容のスケジュール情報であってもユーザ毎に異なる制御を実行できる。例えば、スケジュール情報として、次の予定に「仕事」が設定されている場合、あるユーザAに対しては気分を高揚させる香りを発生する香料を吹きつけるが、他のユーザBに対しては気分を落ち着かせる香りを発生する香料を吹き付けるなどの制御をすることができる。また、ユーザ情報が登録されてないユーザが認識された場合に、薬剤の吹き付けを実行しないようにすることもできる。
【0067】
なお、スケジュール情報は、ネットワークを介して薬剤吹付装置10に接続する任意の記憶装置30B(スケジュール情報記憶部)に記憶されるものでもよい。この場合、その記憶装置30Bからスケジュール情報が適時抽出される。例えば、
図7に示すように、ユーザが有する端末装置20Bを介して、スケジュール情報が薬剤吹付装置10に送信されて、記憶部11に書き込まれる。なお、薬剤吹付装置10はネットワークに接続するための通信部18をさらに備える。
【0068】
(4−6)変形例F
上述した薬剤吹付装置10において、処理部16が、対象物5の動く向きに応じて、薬剤の種類を変更するものでもよい。また、処理部(制御部)16は、対象物5の動く向きに応じて、薬剤を吹き付ける位置及び時間を調整する。
【0069】
図8は本変形例の薬剤吹付装置10の動作を説明するためのフローチャートである。
【0070】
まず、
図9に示すように、薬剤吹付装置の設置場所から所定範囲L内に対象物5が入ってくると、その対象物5が認識部12により認識される(T1)。ここでは、認識部12により、対象物5の種類として人が認識されたものとする。
【0071】
続いて、認識部12により、対象物5の動く向きが判定される(T2)。具体的には、認識部12により、対象物5である人が第1向きD1に動いているか否かが判定される。認識部12により、対象物5である人が第1向きD1に動いていると判定された場合、この判定結果に基づいて第1薬剤Y1が処理部16により選択される(ST−Yes,T3)。ここでは、第1薬剤Y1は「香料」であるとする。続いて、処理部16により、第1薬剤Y1である香料を吹き付ける位置及び/又は時間を制御するための制御情報が生成されて、吹付部15に送出される(T4)。そして、吹付部15により、処理部16から送出された制御情報に基づいて、第1薬剤Y1である香料が、対象物5である人の胴部に吹き付けられる(T5)。
【0072】
一方、ステップT2において、認識部12により、対象物5である人が第1向きD1に動いていないと判定された場合、対象物5である人が第2向きD2に動いているか否かが判定される(T2−No,T6)。ここで、第2向きD2は第1向きD1とは同一方向で逆向きである。認識部12により、
図10に示すように、対象物5である人が第2向きD2に動いていると判定された場合、この判定情報に基づいて、処理部16により第2薬剤Y2が選択される(T6−Yes,T7)。ここでは、第2薬剤Y2は「消臭剤」であるとする。続いて、処理部16により、消臭剤を吹き付ける位置及び/又は時間を制御するための制御情報が生成されて、吹付部15に送出される(T8)。そして、吹付部15により、処理部16から送出された制御情報に基づいて、第2薬剤Y2である消臭剤が、対象物5である人の足部に吹き付けられる(T5)。
【0073】
なお、ステップT6において、認識部12により、対象物5である人が第2向きD2に動いていないと判定された場合、薬剤吹付装置10は薬剤の吹き付けをせずに処理を終了する。
【0074】
上述した薬剤吹付装置10では、認識部12が対象物5の動く向きを検知する。そして、処理部(調整部)16が、対象物5の動く向きに応じて、異なる薬剤を吹き付ける制御を実行する。したがって、対象物5の動く向きに合わせて、所定位置に目的に応じた薬剤を吹き付けることができる。例えば、薬剤吹付装置10を玄関に設置した場合、外出時と帰宅時とで異なる薬剤を吹き付けることができる。上述の例では、外出時には香料が吹き付けられ、帰宅時には消臭剤が吹き付けられるものとなっている。
【0075】
(4−7)変形例G
上述した薬剤吹付装置10は、薬剤を吹き付けるものであったが、薬剤を用いず、気流のみを吹きつける機能を有していてもよい。これにより、例えば、人または服に付着した花粉や埃を除去することなどができる。また、例えば、一部のノズルから所定の向きに薬剤を吹き出し、他のノズルから他の向きに気流だけを吹き出すことで、薬剤を拡散させることもできる。
【0076】
(4−8)変形例H
上述した薬剤吹付装置10は、匂いセンサをさらに備えるものでもよい。また、この場合は、処理部16が匂いセンサによる匂いの検出値に基づいて吹付部15を制御する。例えば、薬剤が香料であるときに、匂いセンサの匂いの検出値が所定の閾値を超えているか否かに基づいて、香料が十分に吹き付けられたか否かを処理部16が判定する。そして、処理部16は、十分でないと判定した場合には、薬剤の量及び時間を増加するように吹付部15を制御する。なお、匂いの閾値は、入力部13を介した操作により随時変更することができる。このような構成により、利用者の嗜好に応じた匂いを適切に吹き付けることができる。
【0077】
<第2実施形態>
図11は第2実施形態に係る薬剤吹付装置10Sの概念を説明するための模式図である。以下、第1実施形態に係る薬剤吹付装置10と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。また、第1実施形態に係る薬剤吹付装置10と異なる構成には、添え字Sを付し区別して説明する。
【0078】
第2実施形態に係る薬剤吹付装置10Sは、薬剤を格納する薬剤カートリッジ50を収容する収容部10dをさらに備える。収容部10dは、1又は複数の薬剤カートリッジ50を収容可能なものである。また、薬剤吹付装置10Sは、読取部19をさらに備える。読取部19は、薬剤吹付装置10Sに薬剤カートリッジ50が収容されると薬剤情報を読み取る。また、読取部19は、読み取った薬剤情報を、薬剤吹付装置10Sの記憶部11に書き込む。
【0079】
薬剤カートリッジ50は、薬剤を格納しており、薬剤吹付装置10Sに収容された場合、その薬剤吹付装置10Sに格納した薬剤を提供するものである。ここでは、薬剤カートリッジ50は、記憶部51を有している。記憶部11には、格納した薬剤に関する薬剤情報が記憶されている。なお、記憶部11はICチップを用いて実現することができる。ただし、これに限定されるものではなく、記憶部11は、情報が伝達できる任意の媒体及び形態であってよい。例えば記憶部11の一形態として、薬剤カートリッジ50の筐体の一部に印字された二次元バーコードなどであってもよい。
【0080】
上述したように、第2実施形態に係る薬剤吹付装置10Sでは、収容部10dに収容される薬剤カートリッジ50を交換することで、多種の薬剤を交換可能に利用することができる。
【0081】
さらに、薬剤吹付装置10Sは、薬剤カートリッジ50の記憶部51に記憶された薬剤情報を読み取る読取部19を備える。したがって、薬剤カートリッジ50を収容したときに、薬剤情報を自動的に読み取って薬剤吹付装置10Sの記憶部11に書き込むことができる。
【0082】
なお、上述した薬剤吹付装置10Sでは、読取部19が薬剤情報を読み取るとしたが、読取部19に代えて、入力部13の操作により薬剤情報を入力するものでもよい。例えば、薬剤カートリッジ50の筐体に薬剤情報が記載されており、その記載された薬剤情報をユーザが入力部13を操作して入力する。この場合、薬剤吹付装置10Sは読取部19を備える必要がないので、簡易な構成とすることができる。
【0083】
その他、第2実施形態に係る薬剤吹付装置10Sは、薬剤カートリッジ50を用いる点以外は第1実施形態に係る薬剤吹付装置10と同様の構成である。したがって、第2実施形態に係る薬剤吹付装置10Sは、第1実施形態に係る薬剤吹付装置10と同様の特徴を有する。また、第1実施形態に係る薬剤吹付装置10の変形例は、本実施形態でもそのまま適用可能である。
【0084】
<他の実施形態>
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【0085】
すなわち、本開示は、上記各実施形態そのままに限定されるものではない。本開示は、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できるものである。また、本開示は、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の開示を形成できるものである。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素は削除してもよいものである。さらに、異なる実施形態に構成要素を適宜組み合わせてもよいものである。