特許第6753537号(P6753537)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6753537-定着装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6753537
(24)【登録日】2020年8月24日
(45)【発行日】2020年9月9日
(54)【発明の名称】定着装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20200831BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20200831BHJP
【FI】
   G03G15/20 555
   G03G21/16 152
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-545028(P2019-545028)
(86)(22)【出願日】2018年9月20日
(86)【国際出願番号】JP2018034797
(87)【国際公開番号】WO2019065446
(87)【国際公開日】20190404
【審査請求日】2019年9月2日
(31)【優先権主張番号】特願2017-191044(P2017-191044)
(32)【優先日】2017年9月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114971
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修
(72)【発明者】
【氏名】速水 仁
【審査官】 山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−039362(JP,A)
【文献】 特開2011−081090(JP,A)
【文献】 特開2002−072760(JP,A)
【文献】 特開2006−139146(JP,A)
【文献】 特開2004−219468(JP,A)
【文献】 特開2011−123140(JP,A)
【文献】 特開2011−118295(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0141150(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
G03G 21/16
G03G 15/00
G03G 21/00
H05B 1/00−3/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒーター部と、
特定位置の温度を検出するセンサーと第1コネクターとを含むセンサーユニットと、
特定位置の温度に応じて回路遮断をするサーモカットと第2コネクターとを含む保護ユニットと、
画像形成装置本体に電気的に接続される外部接続コネクターと、
前記第1コネクターと前記外部接続コネクターとを互いに電気的に接続する第1中間コネクター部と、
前記第2コネクターと前記外部接続コネクターとを互いに電気的に接続する第2中間コネクター部と、
前記第1中間コネクター部と前記第2中間コネクター部とを互いに電気的に接続する中間配線とを備え、
前記第1コネクターは、折り返し配線を備え、
前記第1中間コネクター部は、前記折り返し配線の一端を前記外部接続コネクターに電気的に接続し、
前記第2中間コネクター部は、前記サーモカットの一端を前記外部接続コネクターに電気的に接続し、
前記中間配線は、前記折り返し配線の他端と前記サーモカットの他端とを互いに電気的に接続すること、
を特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記第1中間コネクター部は、前記外部接続コネクターに電気的に接続された第3コネクターと、前記第3コネクターと前記第1コネクターとを中継する第1中継コネクターとを備え、
前記第2中間コネクター部は、前記外部接続コネクターに電気的に接続された第4コネクターと、前記第4コネクターと前記第2コネクターとを中継する第1中継コネクターとを備えること、
を特徴とする請求項1記載の定着装置。
【請求項3】
前記外部接続コネクターは、ドロアーコネクターであることを特徴とする請求項1記載の定着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の複合機などの画像形成装置は、定着装置を備える。定着装置は、トナー像を転写された印刷用紙を加熱および加圧してトナー像を印刷用紙に定着させる。
【0003】
ある画像形成装置では、定着装置が、発熱体と、発熱体の温度を検出するサーミスターと、温度の異常上昇から装置を保護するためのサーモスイッチとを備えており、1つのコネクターで本体側の制御基板に電気的に接続されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−219468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の定着装置では、1つのコネクターにサーミスターとサーモスイッチの両方が接続されており1つのユニットとなっている。
【0006】
他方、サーミスターを含むセンサーユニットとサーモスイッチを含む保護ユニットとして別々に独立して製造することも可能ではあるが、その場合、センサーユニットと保護ユニットにそれぞれコネクター(合計で2つのコネクター)が設けられる。
【0007】
例えば、センサーユニットの動作確認のため、電源オン時に所定時間(例えば40秒)、発熱体(ヒーター)へ電力を供給し、サーミスターによって温度上昇を確認する場合、保護ユニットが接続された状態でセンサーユニットのコネクターが接続不良になると、継続的に発熱体(ヒーター)の温度が上昇し続け、保護ユニットによって発熱体(ヒーター)への電力供給が遮断される。
【0008】
しかしながら、短時間で電源のオン/オフが繰り返されると、電源オンのたびに発熱体(ヒーター)へ電力が供給されるため、継続的に高温状態となってしまうとともに、保護ユニットが繰り返し動作してしまい、定着装置が故障する可能性がある。
【0009】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、センサーユニットと保護ユニットとを独立させつつ、センサーユニットの接続不良時に故障しにくい定着装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る定着装置は、ヒーター部と、特定位置の温度を検出するセンサーと第1コネクターとを含むセンサーユニットと、特定位置の温度に応じて回路遮断をするサーモカットと第2コネクターとを含む保護ユニットと、画像形成装置本体に電気的に接続される外部接続コネクターと、前記第1コネクターと前記外部接続コネクターとを互いに電気的に接続する第1中間コネクター部と、前記第2コネクターと前記外部接続コネクターとを互いに電気的に接続する第2中間コネクター部と、前記第1中間コネクター部と前記第2中間コネクター部とを互いに電気的に接続する中間配線とを備える。そして、前記第1コネクターは、折り返し配線を備え、前記第1中間コネクター部は、前記折り返し配線の一端を前記外部接続コネクターに電気的に接続し、前記第2中間コネクター部は、前記サーモカットの一端を前記外部接続コネクターに電気的に接続し、前記中間配線は、前記折り返し配線の他端と前記サーモカットの他端とを互いに電気的に接続する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、センサーユニットと保護ユニットとを独立させつつ、センサーユニットの接続不良時に故障しにくい定着装置が得られる。
【0012】
本発明の上記又は他の目的、特徴および優位性は、添付の図面とともに以下の詳細な説明から更に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る定着装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態に係る定着装置の構成を示すブロック図である。
【0016】
図1に示す定着装置は、電子写真方式の画像形成装置(プリンター、複合機など)に装着され、トナー像を転写された印刷用紙を加熱および加圧してトナー像を印刷用紙に定着させる。
【0017】
図1に示す定着装置は、ヒーター部1と、ドロアーコネクター11と、センサーユニット12と、保護ユニット13と、第1中間コネクター部14−1と、第2中間コネクター部14−2と、配線51,52,54と、中間配線53とを備える。
【0018】
ヒーター部1は、ドロアーコネクター11を介して供給される電力で発熱し、定着ローラーを加熱する。なお、ヒーター部1への電力供給は、画像形成装置本体のコントローラーによってオン/オフ制御される。この実施の形態では、ヒーター部1は、IH(Induction Heating)ヒーターである。
【0019】
ドロアーコネクター11は、当該定着装置の筐体に固定され、画像形成装置本体に着脱可能なコネクターである。また、ドロアーコネクター11は、画像形成装置本体のコントローラーに電気的に接続される外部接続コネクターである。
【0020】
センサーユニット12は、1または複数のサーミスター21とコネクター22とを備える1つのユニットである。サーミスター21は、特定位置(ヒーター部1、定着ローラーなど)の温度を検出するセンサーである。コネクター22は、第1中間コネクター部14−1に着脱可能なコネクターである。サーミスター21は、コネクター22に電気的に接続されている。さらに、コネクター22は、折り返し配線23を備える。折り返し配線23は、コネクター22の2つの端子を短絡する配線である。
【0021】
保護ユニット13は、サーモカット31とコネクター32とを備える、センサーユニット12とは別の1つのユニットである。サーモカット31は、特定位置(ヒーター部1、定着ローラーなど)の温度に応じて回路遮断をするサーモスタットなどといったスイッチ素子である。コネクター32は、第2中間コネクター部14−2に着脱可能なコネクターである。サーモカット31は、コネクター32に電気的に接続されている。
【0022】
第1中間コネクター部14−1は、センサーユニット12のコネクター22とドロアーコネクター11とを互いに電気的に接続する。さらに、第1中間コネクター部14−1は、センサーユニット12の折り返し配線23の一端をドロアーコネクター11に電気的に接続する。
【0023】
この実施の形態では、第1中間コネクター部14−1は、コネクター41と中継コネクター42とを備える。コネクター41は、配線51,52でドロアーコネクター11に電気的に接続されている。中継コネクター42は、第1中間コネクター部14−1のコネクター41とセンサーユニット12のコネクター22とを中継する。配線51は、サーミスター21に電気的に接続される配線であり、配線52は、センサーユニット12の折り返し配線23の一端に電気的に接続される配線である。
【0024】
第2中間コネクター部14−2は、保護ユニット13のコネクター32とドロアーコネクター11とを互いに電気的に接続する。さらに、第2中間コネクター部14−2は、保護ユニット13のサーモカット31の一端をドロアーコネクター11に電気的に接続する。
【0025】
この実施の形態では、第2中間コネクター部14−2は、コネクター43と中継コネクター44とを備える。コネクター43は、配線54でドロアーコネクター11に電気的に接続されている。中継コネクター44は、第2中間コネクター部14−2のコネクター43と保護ユニット13のコネクター32とを中継する。配線54は、保護ユニット13のサーモカット31の一端に電気的に接続される配線である。
【0026】
中間配線53は、第1中間コネクター部14−1と第2中間コネクター部14−2とを互いに電気的に接続する。この実施の形態では、中間配線53は、第1中間コネクター部14−1のコネクター41と第2中間コネクター部14−2のコネクター43とを互いに電気的に接続する。さらに、中間配線53は、センサーユニット12の折り返し配線23の他端と保護ユニット13のサーモカット31の他端とを互いに電気的に接続する。
【0027】
これにより、第1中間コネクター部14−1、中間配線53、および第2中間コネクター部14−2を介して、センサーユニット12のコネクター22(折り返し配線23)が保護ユニット13(サーモカット31)に直列に接続される。
【0028】
次に、上記定着装置の動作について説明する。
【0029】
(a)センサーユニット12および保護ユニット13の接続が良好である状態
【0030】
当該定着装置が画像形成装置本体に装着されている状態では、ドロアーコネクター11が画像形成装置本体のコントローラーに電気的に接続されている。
【0031】
この状態では、サーミスター21の出力信号が、第1中間コネクター部14−1およびドロアーコネクター11を介して、画像形成装置本体のコントローラーへ供給される。これにより、サーミスター21の出力信号に基づいて、画像形成装置本体のコントローラーによってヒーター部1が正しく温度制御される。
【0032】
また、サーモカット31が作動していない場合、サーモカット31の一端と他端とが導通状態となっており、画像形成装置本体のコントローラーによってヒーター部1が温度制御されるが、サーモカット31が作動した場合、サーモカット31の一端と他端とが遮断状態(絶縁状態)となっており、画像形成装置本体のコントローラーによってヒーター部1への電力供給が停止される。
【0033】
(b)センサーユニット12および保護ユニット13の両方が接続不良である状態
【0034】
この状態では、配線52と配線54が絶縁状態となるため、サーモカット31が作動した場合と同様の状態となり、画像形成装置本体のコントローラーによってヒーター部1への電力供給が停止される。
【0035】
(c)保護ユニット13の接続が良好でありセンサーユニット12が接続不良である状態
【0036】
この状態では、保護ユニット13が第2中間コネクター部14−2に正しく接続されていても、センサーユニット12の折り返し配線23が配線52および中間配線53に電気的に接続されていない。したがって、この状態でも、配線52と配線54が絶縁状態となるため、サーモカット31が作動した場合と同様の状態となり、画像形成装置本体のコントローラーによってヒーター部1への電力供給が停止される。
【0037】
以上のように、上記実施の形態に係る定着装置は、ヒーター部1と、特定位置の温度を検出するサーミスター21とコネクター22とを含むセンサーユニット12と、特定位置の温度に応じて回路遮断をするサーモカット31とコネクター32とを含む保護ユニット13と、画像形成装置本体に電気的に接続されるドロアーコネクター11と、コネクター22とドロアーコネクター11とを互いに電気的に接続する第1中間コネクター部14−1と、コネクター32とドロアーコネクター11とを互いに電気的に接続する第2中間コネクター部14−2と、第1中間コネクター部14−1と第2中間コネクター部14−2とを互いに電気的に接続する中間配線53とを備える。そして、コネクター22は、折り返し配線23を備え、第1中間コネクター部14−1は、折り返し配線23の一端をドロアーコネクター11に電気的に接続し、第2中間コネクター部14−2は、サーモカット31の一端をドロアーコネクター11に電気的に接続し、中間配線53は、折り返し配線23の他端とサーモカット31の他端とを互いに電気的に接続する。
【0038】
これにより、センサーユニット12の接続不良の際に、保護ユニット13の接続状態に拘わらずヒーター部1への電力供給が継続的に停止されるため、センサーユニット12と保護ユニット13とを独立させつつ、定着装置が故障しにくくなる。
【0039】
なお、上述の実施の形態に対する様々な変更および修正については、当業者には明らかである。そのような変更および修正は、その主題の趣旨および範囲から離れることなく、かつ、意図された利点を弱めることなく行われてもよい。つまり、そのような変更および修正が請求の範囲に含まれることを意図している。
【0040】
例えば、上記実施の形態において、ヒーター部1をハロゲン発熱体としてもよく、その場合、サーモカット31に対して電気的に直列にヒーター部1を接続するようにしてもよい。
【0041】
また、上記実施の形態では、第1中間コネクター部14−1は、コネクター41と中継コネクター42とを備えるが、それらの代わりに、1つのコネクターを備えるようにしてもよい。同様に、第2中間コネクター部14−2は、コネクター43と中継コネクター44とを備えるが、それらの代わりに、1つのコネクターを備えるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、例えば、画像形成装置に内蔵される定着装置に適用可能である。
図1