(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1放射素子と、第2放射素子と、前記第1放射素子及び給電回路の一方に接続される第1コイルと、前記第2放射素子に接続され、前記第1コイルに対して電磁界結合する第2コイルと、を有し、
前記第1放射素子と前記第2放射素子とは電界結合し、
前記第1コイル及び前記第2コイルによりアンテナ結合素子が構成され、前記アンテナ結合素子と前記第2放射素子とにより付与される共振周波数において、前記第1コイルと前記第2コイルとの電磁界結合により前記第2放射素子に流れる電流と、前記電界結合により前記第2放射素子に流れる電流との位相差の絶対値が90度以下である、
アンテナ装置。
前記アンテナ結合素子を含む前記第2放射素子の基本波の共振周波数である第2共振周波数は前記第1放射素子の基本波の共振周波数である第1共振周波数より高い、請求項1に記載のアンテナ装置。
前記第1コイル及び前記第2コイルは、前記第1コイルから前記第1放射素子へ電流が流れるときに前記第1コイルに生じる磁界の方向と、前記第2コイルから前記第2放射素子へ電流が流れるときに前記第2コイルに生じる磁界の方向とを互いに逆の関係とした、
請求項1から3のいずれかに記載のアンテナ装置。
前記第1コイル及び前記第2コイルは、前記第1コイルから前記第1放射素子へ電流が流れるときに前記第1コイルに生じる磁界の方向と、前記第2コイルから前記第2放射素子へ電流が流れるときに前記第2コイルに生じる磁界の方向とを同方向の関係とした、
請求項1から3のいずれかに記載のアンテナ装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は本発明の一実施形態であるアンテナ装置及び通信端末装置に用いられるアンテナ結合素子20の斜視図と、アンテナ結合素子20の一部の分解斜視図である。本実施形態のアンテナ結合素子20は、通信端末装置内の回路基板に実装される直方体状のチップ部品である。
図1においては、アンテナ結合素子20の外形とその内部の構造とを分離して図示している。アンテナ結合素子20の外面には、第1放射素子接続端子T1、給電回路接続端子T2、グランド接続端子T3、及び第2放射素子接続端子T4が形成されている。また、アンテナ結合素子20は第1面MS1と当該第1面MS1とは反対側の面である第2面MS2とを備える。本実施形態では、第1面MS1又は第2面MS2が実装面である。
【0015】
アンテナ結合素子20の内部には、導体パターンL1a,L1b,L2a,L2bが形成されている。導体パターンL1aと導体パターンL1bとは層間接続導体V1を介して接続されている。導体パターンL2aと導体パターンL2bとは層間接続導体V2を介して接続されている。この
図1においては、各導体パターンが形成された絶縁基材S11,S12,S21,S22を積層方向に分離して表している。
【0016】
アンテナ結合素子20を樹脂多層基板で構成する場合、上記絶縁基材は例えば液晶ポリマー(LCP)シートであり、導体パターンL1a,L1b,L2a,L2bは例えば銅箔をパターンニングしたものである。また、アンテナ結合素子20をセラミック多層基板で構成する場合、上記絶縁基材は例えば低温同時焼成セラミックス(LTCC[Low Temperature Co-fired Ceramics])であり、導体パターンL1a,L1b,L2a,L2bは例えば銅ペーストを印刷形成したものである。
【0017】
このように、基材層が非磁性体であることにより(磁性体フェライトではないので)、0.6GHz〜2.7GHzの高周波数帯でも所定インダクタンス、所定結合係数のトランスとして用いることができる。
【0018】
なお、導体パターンL1a,L1b,L2a,L2bを積層体の中間層に集中させているので、このアンテナ結合素子20を回路基板に実装した状態で、回路基板に存在するグランド導体と第1コイルL1及び第2コイルL2との間隔が確保される。また、アンテナ結合素子20の上部に何らかの金属部材が近接しても、この金属部材と第1コイルL1及び第2コイルL2との間隔が確保される。そのため、後に示す第1コイルL1及び第2コイルL2の磁界が外部からの影響を受けにくく、安定した特性が得られる。
【0019】
図2は、アンテナ装置101と、それを備える通信端末装置111の主要な構成を示す平面図である。この通信端末装置111は、第1放射素子11、第2放射素子12、回路基板40、放射素子を形成するための樹脂部及び筐体50を備える。
【0020】
回路基板40には給電回路30が構成されている。また、この回路基板40にアンテナ結合素子20及びインダクタL11が実装されている。
【0021】
筐体50は導電性を有し、平面視で第1放射素子11、第2放射素子12、回路基板40を取り囲む。第1放射素子11は、筐体50の一部で構成されており、この筐体の一部は他の筐体50の部分とは電気的に独立して構成されている。第2放射素子12は筐体50内の樹脂部に、LDS(Laser-Direct-Structuring)工法で形成された導体パターンで構成されている。また、これに限らず、例えばFPC(Flexible Printed Circuit)にフォトレジスト工法で形成された導体パターンで構成されていてもよい。
【0022】
アンテナ結合素子20の第1放射素子接続端子T1は第1放射素子11に接続され、第2放射素子接続端子T4は第2放射素子12に接続される。給電回路接続端子T2は給電回路30に接続され、グランド接続端子T3はグランド導体パターンに接続される。これによって、
図1に示したアンテナ結合素子20における第1コイル及び第2コイルは、第1コイルから第1放射素子へ電流が流れるときに第1コイルに生じる磁界の方向と、第2コイルから第2放射素子へ電流が流れるときに第2コイルに生じる磁界の方向とを同方向の関係となるように構成されている。
【0023】
インダクタL11は第1放射素子11の一方の端部とグランドとの間に接続されている。
【0024】
第1放射素子11は、インダクタL11及び回路基板に形成されたグランド導体パターンによってループアンテナとして作用する。第2放射素子12はモノポールアンテナとして作用する。
【0025】
第1放射素子11の一部と第2放射素子12の一部との近接部PPには、放射素子間の寄生容量C12が生じる。
図2に示した例では、近接部PPにおいて、第1放射素子11の一部と、第2放射素子12の先端部を含む第2放射素子12の一部と、が互いに並走しており、その部分において、特に寄生容量C12が生じている。つまり、第1放射素子11と第2放射素子12とは、この寄生容量C12を介して電界結合する。これによって、第1放射素子11の一部と第2放射素子12の先端部が特に強く電界結合する。なお、副次的には、第1放射素子11と第2放射素子12との磁界結合もあってもよい。
【0026】
図2に示したように、第1放射素子11を含んでループアンテナを構成すれば、この第1放射素子11のスペースを削減できる。また、ループアンテナ構造であれば、人体の近接による第1放射素子11のアンテナ特性の変動を抑制できる。さらに、このループアンテナの構造上の内側にモノポール構造の第2放射素子12を配置することで、人体の近接による第2放射素子12のアンテナ特性の変動も抑制できる。
【0027】
図3は上記アンテナ結合素子20を含むアンテナ装置101の回路図である。アンテナ結合素子20は、互いに電磁界結合する第1コイルL1及び第2コイルL2を含む。
【0028】
第1放射素子11はローバンド(例えば0.60GHz〜0.96GHz)の帯域内で共振する。つまり、第1コイルL1が接続された第1放射素子11は少なくともローバンドを受け持つ。このようなローバンド内に位置する共振周波数は、本発明に係る「第1共振周波数」である。また、第1放射素子は上記ローバンドよりも高い周波数帯であるハイバンド(例えば1.71GHz〜2.69GHz)の帯域内でも共振する。例えば、第1コイルL1が接続された第1放射素子11による基本波の共振周波数がローバンド内にあり、その3倍波の共振周波数がハイバンドにある場合、第1放射素子11はローバンドでもハイバンドでも共振すると言える。
【0029】
第2放射素子12は、アンテナ結合素子20と共に、ハイバンド(例えば1.71GHz〜2.69GHz)の帯域内で共振する。この共振周波数は本発明に係る「第2共振周波数」であり、例えば2.3GHzである。つまり、第2放射素子12はハイバンドを受け持ち、ハイバンドを広帯域化する。よって、少なくとも第1コイルL1が接続された第1放射素子による基本波の共振周波数は、第2放射素子12とアンテナ結合素子とによる基本波の共振周波数よりも低い。
【0030】
第1放射素子11は、給電回路30から第1コイルL1を介して給電される。第2放射素子12は第2コイルL2から給電(第2コイルL2に生じる誘導起電力で給電)される。例えば、第1コイルL1に電流i1が流れるとき、第2コイルL2に電流i2が誘導されて、この電流i2によって第2放射素子12が給電(駆動)される。さらに、第2放射素子12は、寄生容量C12を介して第1放射素子11と電界結合するので、この電界結合により第2放射素子12側に流れ込む電流i12がある。
【0031】
図3に示すように、第1放射素子11と第2放射素子12との間の寄生容量C12、第1コイルL1及び第2コイルL2によって共振回路RCが構成される。つまり、電界結合する第1放射素子11と第2放射素子12にアンテナ結合素子20を接続することによって、共振回路RCが寄生的に構成される。この共振回路RCの共振周波数が上記第2共振周波数の近傍であると、次に述べるように、第2共振周波数の帯域(ハイバンド)で、第2コイルL2に流れる電流と、第2放射素子12に流れる電流との方向が重要となる。
【0032】
第1コイルL1と第2コイルL2との結合の極性は、上記第2共振周波数において、上記電流i2と電流i12とが互いに弱め合わない関係となるように定められている。つまり、第1コイルL1及び第2コイルL2により構成されるアンテナ結合素子20と第2放射素子12とにより付与される第2共振周波数において、第1コイルL1と第2コイルL2との電磁界結合により第2放射素子12に流れる電流i12と、電界結合により第2放射素子12に流れる電流i2との位相差の絶対値が90度以下となるように、第1コイルL1と第2コイルL2とは結合する。
【0033】
つまり、第1コイルL1から第1放射素子11に電流が流れる時の第1コイルL1に生じる磁界の方向と、第2コイルL2から第2放射素子12へ電流が流れる時の第2コイルL2に生じる磁界の方向との関係はアンテナの電界結合箇所によって、同方向にも逆方向にもなるが、上記結合関係は変わらない。例えば、アンテナ結合素子20は、アンテナの電界結合の箇所によっては、端子T3を第2放射素子接続端子とし、端子T4をグランド接続端子としてもよい。このような場合、第1コイルL1及び第2コイルL2は、第1コイルL1から第1放射素子11へ電流が流れるときに第1コイルL1に生じる磁界の方向と、第2コイルL2から第2放射素子12へ電流が流れるときに第2コイルL2に生じる磁界の方向とを互いに逆の関係となるように構成される。
【0034】
上述の関係であることにより、上記電流i12と電流i2とが互いに弱めあわないので、ハイバンドの放射効率が向上する。また、電流i12と電流i2との位相差の絶対値が90度より小さい場合には、両者が互いに強めあっていると言え、それによってハイバンドの放射効率がさらに向上する。
【0035】
図4はアンテナ装置101の放射効率の周波数特性を示す図である。
図4において、RE1は、比較例のアンテナ装置の放射効率、RE2は本実施形態のアンテナ装置101の放射効率である。
【0036】
比較例のアンテナ装置は、アンテナ結合素子20の第1コイルL1と第2コイルL2の結合の極性が、本実施形態に係るアンテナ装置101が備えるアンテナ結合素子20の、第1コイルL1と第2コイルL2との結合の極性とは逆の関係にある。つまり、比較例のアンテナ装置では、
図3に示した、第1コイルL1と第2コイルL2との電磁界結合により第2放射素子12に流れる電流i12と、電界結合により第2放射素子12に流れる電流i2との位相差の絶対値が90度より大きくなって、電流i12と電流i2とは互いに弱めあう。
【0037】
本実施形態では、
図4に表れているように、0.6GHz〜2.0GHzではアンテナ装置の放射効率は同等であるが、2.0GHz以上では本実施形態のアンテナ装置101の方が、放射効率が高い。この周波数帯域において、比較例のアンテナ装置では、上記電流i12と電流i2とは互いに弱めあうのに対し、本実施形態のアンテナ装置では、電流i12と電流i2とは互いに弱めあわず、むしろ加算されるからである。
【0038】
上述した電磁界結合により、第2放射素子12に流れる電流i12の位相は、例えば、
図2に示したようなアンテナ装置101の配置において、第1放射素子11と第2放射素子12を十分物理的に離間するように配置変更し、第2共振周波数で第2放射素子と第2コイルL2との間に流れる電流の位相をネットワークアナライザなどで測定することで得られる。しかしながら、電流プローブ間を近接しないように直接測定することは実際には難しい。そこで、例えば、まず第1放射素子11の入力端(第1放射素子11の電源側の端)と第2放射素子12の入力端(第2放射素子12のグランド側の端)との2つを入力端とする、2×2のSパラメータと、端子T1〜T4の4つの端子を有する結合素子20だけの4×4のSパラメータとを測定し、その後、配置変更後のアンテナ装置101の回路構成と、上記Sパラメータとを用いて、回路シミュレータ上で第2放射素子12と第2コイルL2との間に流れる電流を計算することで得る。また、電界結合により第2放射素子12に流れる電流i2の位相は、例えば、
図2に示したようなアンテナ装置101の配置において、アンテナ結合素子20を取り除くように配置変更し、第2共振周波数で第2放射素子12とグランドとの間に流れる電流の位相をネットワークアナライザなどで測定することで得られる。この場合にも、例えば、第1放射素子11の入力端と第2放射素子12の入力端との2つを入力とする、2×2のSパラメータを測定し、その後、結合素子20を取り除く配置変更後のアンテナ装置101の回路構成と、前記2×2のSパラメータとを用いて、回路シミュレータ上で第2放射素子12とグランドとの間に流れる電流を計算することで得てもよい。
【0039】
図2、
図3に示した給電回路30は、第1放射素子11の共振周波数を含むローバンドの通信信号と、アンテナ結合素子20と第2放射素子12とによる共振周波数を含むハイバンドの通信信号と、を入出力する。これにより、広帯域の通信信号を扱う通信端末装置が得られる。
【0040】
次に、アンテナ結合素子20の第1コイルL1と第2コイルL2の結合の極性がいずれの場合でも、第2共振周波数において、第1コイルL1と第2コイルL2との電磁界結合により第2放射素子12に流れる電流i12と、電界結合により第2放射素子12に流れる電流i2とが互いに弱めあわない例を示す。
【0041】
図5(A)、
図5(B)は、いずれも本発明の一実施形態のアンテナ装置の構成を示す図である。
図5(A)、
図5(B)に示す、いずれのアンテナ装置も、第1放射素子11と第2放射素子12とアンテナ結合素子20とを備える。第1放射素子11及び第2放射素子12はいずれもモノポール型の放射素子である。
【0042】
図5(A)、
図5(B)に示すアンテナ装置において、第1放射素子11に対する給電点は同じであるが、第2放射素子12の近接位置が異なる。つまり、
図5(A)と
図5(B)とでは、第1放射素子11に分布する電位の極性が異なる位置で、第2放射素子12が第1放射素子11と電界結合している。
【0043】
そのため、第2共振周波数において、第1コイルL1と第2コイルL2との電磁界結合により第2放射素子12に流れる電流i12と、電界結合により第2放射素子12に流れる電流i2とが互いに相殺されない条件のもとで、
図5(A)に示したアンテナ結合素子20と
図5(B)に示したアンテナ結合素子20とでは、第1コイルL1と第2コイルL2の結合の極性は逆である。
【0044】
第1コイルL1と第2コイルL2との結合の極性が異なる2種のアンテナ結合素子20を予め用意しておき、そのアンテナ結合素子20の適用先の条件に応じて、所定の結合極性のアンテナ結合素子20を用いればよい。また、
図1に示した例では、アンテナ結合素子20を、その上面又は下面のどちらを実装面とするかによって、上記結合の極性を選択することもできる。
【0045】
次に、これまでに示したアンテナ装置とは各部の構成が異なるアンテナ装置について幾つかの例を示す。
【0046】
図6は、アンテナ装置102と、それを備える通信端末装置112の主要な構成を示す平面図である。この通信端末装置112は、第1放射素子11、第2放射素子12、第3放射素子13、回路基板40及び筐体50を備える。
【0047】
回路基板40には給電回路30が構成されている。また、この回路基板40にアンテナ結合素子20及びインダクタL11が実装されている。
【0048】
第1放射素子11、第2放射素子12及び第3放射素子13は、筐体50内の樹脂部に、LDS(Laser-Direct-Structuring)工法などで形成された導体パターンで構成されている。また、これに限らず回路基板40上に形成されたものでもよいし、FPC(Flexible Printed Circuit)にフォトリソグラフィ工法などで形成された導体パターンで構成されていてもよい。このようにして、全ての放射素子が筐体内に形成される場合には、筐体50は導電性を有していないガラスや樹脂などの絶縁性部材で構成されてもよい。
【0049】
アンテナ結合素子20の第1放射素子接続端子T1は第1放射素子11に接続され、第2放射素子接続端子T4は第2放射素子12に接続される。給電回路接続端子T2は給電回路30に接続され、グランド接続端子T3はグランド導体パターンに接続される。
【0050】
インダクタL11は第1放射素子11の一方の端部とグランドとの間に接続されている。
【0051】
第1放射素子11は、インダクタL11及び回路基板に形成されたグランド導体パターンによってループアンテナとして作用する。第2放射素子12はモノポールアンテナとして作用する。第3放射素子13は例えばGPS用アンテナであり、給電回路30とは別の給電回路に接続される。
【0052】
その他の構成は、
図2、
図5(A)、
図5(B)等に示したアンテナ装置と同様である。このように、第1放射素子11は導体パターンで構成してもよい。
【0053】
図7は、アンテナ装置103と、それを備える通信端末装置113の主要な構成を示す平面図である。この通信端末装置113は、第1放射素子11、第2放射素子12、回路基板40及び筐体50を備える。
【0054】
第1放射素子11は、筐体の一部で構成されており、筐体のその他の部分とは電気的に独立している。回路基板40は、グランド導体パターン42が形成されているグランド領域GZと、グランド導体パターン42が形成されていない、非グランド領域NGZとを備える。この非グランド領域NGZに第2放射素子12が形成されている。
【0055】
第2放射素子12は、途中に折り返し部12FBを有する線状の導体パターンで構成されている。このように、途中に折り返し部を有する線状の導体パターンで構成されることにより、第2放射素子12は省スペースに設けられる。また、この例では、アンテナ結合素子20から延伸する第1線状導体パターン部12Aと、第1放射素子11から遠ざかる側に折り返された第2線状導体パターン部12Bとを有する。この構造により、第1放射素子11に近接する部分は短く、且つ、延伸方向が互いに逆方向であるので、第1放射素子11との実質的な電界結合は小さい。
【0056】
なお、第2線状導体パターン部12Bは第1線状導体パターン部12Aより線幅が太いので、第2放射素子12を含む共振回路の共振帯域幅を広げることができる。
【0057】
図8はアンテナ装置103の構成を示す図である。このアンテナ装置103は、第1放射素子11、第2放射素子12、アンテナ結合素子20、インダクタL11a,L11b、キャパシタC11a,C11b及びスイッチ4を備える。スイッチ4は、アンテナ装置外部から与えられる制御信号に応じて、インダクタL11a,L11b、キャパシタC11a,C11bのうち一つを選択的に第1放射素子11の先端に接続する。したがって、スイッチ4によりアンテナの実効長が変更可能となる。
【0058】
インダクタL11aとインダクタL11bとではインダクタンスが異なり、キャパシタC11aとキャパシタC11bとではキャパシタンスが異なる。これらリアクタンス素子L11a,L11b,C11a,C11bのうちどの素子を選択するかによって、第1放射素子11の共振周波数が切り替えられる。その他の構成は
図2に示したとおりである。
【0059】
図9はアンテナ装置104の構成を示す図である。このアンテナ装置104は、第1放射素子11、第2放射素子12、及びアンテナ結合素子20を備える。第1放射素子11の給電端にアンテナ結合素子20の第1コイルL1を介して給電回路30が接続されている。そして、第1放射素子11の先端は開放されていて、途中の所定の接地位置PSがグランドに接地されている。この構成により、第1放射素子11は逆Fアンテナとして作用する。また、第1放射素子11が面状に拡がりのある導体であれば、PIFA(planar inverted-F antenna)として作用する。このように、第1放射素子11を逆F型アンテナやPIFAとすることによって、第1放射素子11のインピーダンスを給電回路とのインピーダンスと同程度にでき、インピーダンス整合が容易となる。
【0060】
本発明はこのように第1放射素子11が逆FアンテナやPIFAであるアンテナ装置にも適用できる。
【0061】
図10はアンテナ装置105の構成を示す図である。このアンテナ装置105は、第1放射素子11、第2放射素子12、及びアンテナ結合素子20を備える。第1放射素子11の所定の接地位置PSとグランドとの間のショートピンとして、アンテナ結合素子20の第1コイルL1が接続されている。そして、アンテナ結合素子20の第2コイルL2に第2放射素子12が接続されている。この構成により、第1放射素子11は逆Fアンテナとして作用する。また、第1放射素子11が面状に拡がりのある導体であれば、PIFA(planar inverted-F antenna)として作用する。
【0062】
本発明は、このような構造の逆FアンテナやPIFAであるアンテナ装置にも適用できる。
【0063】
最後に、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではない。当業者にとって変形及び変更が適宜可能である。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲内と均等の範囲内での実施形態からの変更が含まれる。