【実施例】
【0039】
次に、本発明を詳細に説明するため、具体的な実施例を挙げて説明する。これらの実施例は効果を具体的に説明するもので、発明の範囲を限定するものではない。実施例中の含有量は重量%である。
【0040】
[実施例1]
(製造例1)ジオウの熱水抽出物
アカヤジオウの根茎の乾燥物100gに精製水2Lを加え、95〜100℃で2時間抽出した後、濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥してジオウの熱水抽出物を9.2g得た。
【0041】
(製造例2)ジオウの50%エタノール抽出物
アカヤジオウの根茎の乾燥物100gに精製水500mL及びエタノール500mLを加え、常温で7日間抽出した後、濾過し、その濾液を濃縮乾固して、ジオウの50%エタノール抽出物を16.8g得た。
【0042】
(製造例3)ジオウの50%1,3−ブチレングリコール水溶液抽出物
アカヤジオウの根茎の乾燥物20gに精製水200mL及び1,3−ブチレングリコール200mLを加え、常温で7日間抽出した後、濾過し、ジオウの50%1,3−ブチレングリコール水溶液抽出物を360g得た。
【0043】
(製造例4)オウバクの熱水抽出物
キハダの樹皮の乾燥物100gに精製水2Lを加え、95〜100℃で2時間抽出した後、濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥してオウバクの熱水抽出物を5.0g得た。
【0044】
(製造例5)オウバクの50%エタノール抽出物
キハダの樹皮の乾燥物100gに精製水500mL及びエタノール500mLを加え、常温で7日間抽出した後、濾過し、その濾液を濃縮乾固して、オウバクの50%エタノール抽出物を7.0g得た。
【0045】
(製造例6)オウバクの50%1,3−ブチレングリコール水溶液抽出物
キハダの樹皮の乾燥物20gに精製水200mL及び1,3−ブチレングリコール200mLを加え、常温で7日間抽出した後、濾過し、オウバクの50%1,3−ブチレングリコール水溶液抽出物を340g得た。
【0046】
(製造例7)マジョラムの熱水抽出物
マジョラムの葉の乾燥物100gに精製水2Lを加え、95〜100℃で2時間抽出した後、濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥してマジョラムの熱水抽出物を8.7g得た。
【0047】
(製造例8)マジョラムの50%エタノール抽出物
マジョラムの葉の乾燥物100gに精製水500mL及びエタノール500mLを加え、常温で7日間抽出した後、濾過し、その濾液を濃縮乾固して、マジョラムの50%エタノール抽出物を1.1g得た。
【0048】
(製造例9)マジョラムの50%1,3−ブチレングリコール水溶液抽出物
マジョラムの葉の乾燥物20gに精製水200mL及び1,3−ブチレングリコール200mLを加え、常温で7日間抽出した後、濾過し、マジョラムの50%1,3−ブチレングリコール水溶液抽出物を310g得た。
【0049】
[実施例2]
ジオウ、オウバク及びマジョラムの抽出物の効果の評価実験を次のとおり行った。
(試験例1)ケラチノサイトにおけるプロトンポンプ機能促進効果の評価
ジオウ、オウバク及びマジョラムの抽出物のプロトンポンプ機能に及ぼす影響を、NHE1のmRNA発現量を指標に評価した。具体的方法について以下に記載する。
【0050】
ケラチノサイト由来HaCaT細胞を60mmディッシュに1×10
5個播種し、10%FBSを含むDMEM培養液にて、37℃、5%CO
2条件下で4日間培養した。次に、各抽出物を最終濃度が10μg/mLになるよう添加したDMEM培養液又は、各抽出物の最終濃度が3.3μg/mLになるよう三種類全ての抽出物を添加したDMEM培養液で24時間培養した後、総RNAの抽出を行った。細胞からの総RNAの抽出はRNAiso Plus(TaKaRa)を用いて行い、総RNA量は分光光度計(NanoDrop)を用いて260nmにおける吸光度により求めた。mRNA発現量の測定は、細胞から抽出した総RNAを基にしてリアルタイムRT−PCR法により行った。リアルタイムRT−PCR法には、SYBR Select Master Mix(Life Technologies)を用いた。すなわち、500ngの総RNAを逆転写反応後、PCR反応(95℃:15秒間、60℃:30秒間、40cycles)を行った。その他の操作は定められた方法に従い、NHE1 mRNAの発現量を、内部標準であるβ−アクチン mRNAの発現量に対する割合として求めた。NHE1発現量は、コントロールのNHE1 mRNAの発現量に対する試料添加群のNHE1 mRNAの発現量の比率として算出した。尚、NHE1及びβ−アクチン用のプライマーは、以下に示したものを使用した。
【0051】
NHE1用のプライマーセット
GCCCTGTTAATCATTCCGTC(配列番号1)
CACATGGAAACCTATCTTCATGAG(配列番号2)
β−アクチン用のプライマーセット
CACTCTTCCAGCCTTCCTTCC(配列番号3)
GTGTTGGCGTACAGGTCTTTG(配列番号4)
【0052】
これらの試験結果を表1に示した。その結果、ジオウ、オウバク及びマジョラムの抽出物全てに、顕著なプロトンポンプ機能促進効果が認められた。さらに三種類全てを合わせることによって、単独での効果を著しく上回る顕著なプロトンポンプ機能促進効果が認められた。又、異なる製造方法による抽出物にも同様の効果が認められた。
【0053】
【表1】
【0054】
[実施例3]製品の処方例
ジオウ、オウバク及びマジョラムの抽出物を含有した製品の処方例を以下に示す。
【0055】
(処方例1)ローション
処方 含有量(重量%)
1.ジオウの抽出物(製造例2 0.1
2.オウバクの抽出物(製造例5) 0.1
3.マジョラムの抽出物(製造例9) 0.1
4.1,3−ブチレングリコール 8.0
5.グリセリン 2.0
6.キサンタンガム 0.02
7.クエン酸 0.01
8.クエン酸ナトリウム 0.1
9.エタノール 5.0
10.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
11.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.) 0.1
12.香料 0.1
13.精製水 残量
[製造方法]成分1〜8及び13と、成分9〜12をそれぞれ均一に溶解した後、両者を混合し濾過しローションを調製する。
【0056】
(処方例2) クリーム
処方 含有量(重量%)
1.ジオウの抽出物(製造例1) 0.1
2.オウバクの抽出物(製造例4) 0.1
3.マジョラムの抽出物(製造例7) 0.1
4.スクワラン 5.5
5.オリーブ油 3.0
6.ステアリン酸 2.0
7.ミツロウ 2.0
8.ミリスチン酸オクチルドデシル 3.5
9.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 3.0
10.ベヘニルアルコール 1.5
11.モノステアリン酸グリセリン 2.5
12.香料 0.1
13.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
14.パラオキシ安息香酸エチル 0.05
15.1,3−ブチレングリコール 8.5
16.精製水 残量
[製造方法]成分4〜11を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1〜3及び13〜16を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。次いで、油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分12を加え、さらに30℃まで冷却して製品とする。
【0057】
(処方例3)乳液
処方 含有量(重量%)
1.ジオウの抽出物(製造例3) 0.1
2.オウバクの抽出物(製造例6) 0.1
3.マジョラムの抽出物(製造例8) 0.1
4.スクワラン 5.0
5.オリーブ油 5.0
6.ホホバ油 5.0
7.セタノール 1.5
8.モノステアリン酸グリセリン 2.0
9.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 3.0
10.ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(20E.O.) 2.0
11.香料 0.1
12.プロピレングリコール 1.0
13.グリセリン 2.0
14.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
15.精製水 残量
[製造方法]成分4〜10を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1〜3及び12〜15を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分11を加え、さらに30℃まで冷却して製品とする。
【0058】
(処方例4)ゲル剤
処方 含有量(重量%)
1.ジオウの抽出物(製造例1) 0.1
2.エタノール 5.0
3.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
4.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.О.) 0.1
5.香料 適量
6.1,3−ブチレングリコール 5.0
7.グリセリン 5.0
8.キサンタンガム 0.1
9.カルボキシビニルポリマー 0.2
10.水酸化カリウム 0.2
11.精製水 残量
[製造方法]成分2〜5と、成分1及び6〜11をそれぞれ均一に溶解し、両者を混合して製品とする。
【0059】
(処方例5)軟膏
処方 含有量(重量%)
1.ジオウの抽出物(製造例2) 2.0
2.ポリオキシエチレンセチルエーテル(30E.O.) 2.0
3.モノステアリン酸グリセリン 10.0
4.流動パラフィン 5.0
5.セタノール 6.0
6.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
7.プロピレングリコール 10.0
8.精製水 残量
[製造方法]成分2〜5を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1及び6〜8を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化し、かき混ぜながら30℃まで冷却して製品とする。
【0060】
(処方例6)パック
処方 含有量(重量%)
1.ジオウの抽出物(製造例3) 0.1
2.ポリビニルアルコール 12.0
3.エタノール 5.0
4.1,3−ブチレングリコール 8.0
5.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
6.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(20E.O.) 0.5
7.クエン酸 0.1
8.クエン酸ナトリウム 0.3
9.香料 適量
10.精製水 残量
[製造方法]成分1〜10を均一に溶解し製品とする。
【0061】
(処方例7)ファンデーション
処方 含有量(重量%)
1.ジオウの抽出物(製造例2) 1.0
2.ステアリン酸 2.4
3.ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(20E.O.) 1.0
4.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 2.0
5.セタノール 1.0
6.液状ラノリン 2.0
7.流動パラフィン 3.0
8.ミリスチン酸イソプロピル 6.5
9.パラオキシ安息香酸ブチル 0.1
10.カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.1
11.ベントナイト 0.5
12.プロピレングリコール 4.0
13.トリエタノールアミン 1.1
14.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
15.二酸化チタン 8.0
16.タルク 4.0
17.ベンガラ 1.0
18.黄酸化鉄 2.0
19.香料 適量
20.精製水 残量
[製造方法]成分2〜9を加熱溶解し、80℃に保ち油相とする。成分20に成分10をよく膨潤させ、続いて、成分1及び11〜14を加えて均一に混合する。これに粉砕機で粉砕混合した成分15〜18を加え、水相とする。水相を80℃に昇温し、油相に水相を徐々に加え乳化する。その後、撹拌しながら冷却し、45℃で成分19を加え、30℃まで冷却して製品とする。
【0062】
(処方例8)固形石鹸
処方 含有量(重量%)
1.オウバクの抽出物(製造例4) 0.1
2.石鹸素地(*) 80.0
3.グリセリン 10.0
4.ソルビトール 1.0
5.エデト酸 0.1
6.酸化チタン 0.1
7.香料 適量
8.精製水 残量
(*)ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムを含む高級脂肪酸ナトリウム混合物
[製造方法]全成分を混合して、ミキサー及びローラーで混練し、プロッダーで圧縮することによって棒状の成型物に型打ちし、次いで、成型物を冷却し、乾燥することによって、製品を得る。
【0063】
(処方例9)ボディ用洗浄料
処方 含有量(重量%)
1.オウバクの抽出物(製造例5) 0.2
2.ステアリン酸 10.0
3.パルミチン酸 8.0
4.ミリスチン酸 12.0
5.ラウリン酸 4.0
6.オレイルアルコール 1.5
7.精製ラノリン 1.0
8.ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 1.0
9.グリセリン 10.0
10.水酸化カリウム 6.0
11.香料 適量
12.防腐剤 適量
13.金属イオン封鎖剤 適量
14.精製水 残量
[製造方法]成分2〜5を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分14の適量に成分10を溶解し、油相に添加しケン化を行う。続いて、成分6〜9をケン化物に添加し、室温でさらに成分1、11〜13及び残りの成分14を添加する。
【0064】
(処方例10)ヘアローション
処方 含有量(重量%)
1.オウバクの抽出物(製造例6) 0.2
2.ステアリン酸 5.0
3.セチルアルコール 5.0
4.流動パラフィン 2.0
5.グリセリンモノステアレート 1.3
6.ソルビタンモノオレエート 1.5
7.ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(10E.O.) 0.8
8.グリセリン 6.0
9.防腐剤 適量
10.精製水 残量
[製造方法]成分2〜7を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1及び8〜10を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化し、かき混ぜながら冷却して製品とする。
【0065】
(処方例11)ヘアトニック
処方 含有量(重量%)
1.マジョラムの抽出物(製造例7) 2.0
2.95%エタノール 60.0
3.グリセリン 2.0
4.精製水 残量
[製造方法]成分1を2に溶解し、成分3及び4を加え、十分撹拌混合し、製品とする。
【0066】
(処方例12)シャンプー
処方 含有量(重量%)
1.マジョラムの抽出物(製造例8) 0.1
2.アルキル硫酸トリエタノールアミン 18.0
3.ラウリン酸ジエタノールアミド 3.0
4.メチルセルロース 0.5
5.香料 適量
6.精製水 残量
[製造方法]成分6に成分4を均一に溶解した後、成分1及び2を加え、70〜75℃で加熱溶解した後、成分3を加え、冷却途中に成分5を加え30℃まで冷却し製品とする。
【0067】
(処方例13)浴用剤
処方 含有量(重量%)
1.マジョラムの抽出物(製造例9) 5.0
2.炭酸水素ナトリウム 50.0
3.黄色202号 適量
4.香料 適量
5.無水硫酸ナトリウム 残量
[製造方法]成分1〜5を均一に混合し製品とする。
【0068】
(処方例14)錠剤
処方 含有量(重量%)
1.マジョラムの抽出物(製造例9) 1.0
2.乾燥コーンスターチ 25.0
3.カルボキシメチルセルロースカルシウム 24.0
4.微結晶セルロース 40.0
5.ポリビニルピロリドン 7.0
6.タルク 3.0
[製造方法]成分1〜5を混合し、次いで10%の水を結合剤として加えて、押出し造粒後乾燥する。成形した顆粒に成分6を加えて混合し打錠する。1錠0.52gとする。
【0069】
(処方例15)飲料
処方 含有量(重量%)
1.ジオウの抽出物(製造例2) 0.1
2.オウバクの抽出物(製造例5) 0.1
3.マジョラムの抽出物(製造例9) 0.1
4.ステビア 0.05
5.リンゴ酸 5.0
6.アスコルビン酸ナトリウム 1.0
7.香料 0.1
8.精製水 残量
[製造方法]成分1〜7を成分8の一部の精製水に撹拌溶解する。次いで、成分8の残りの精製水を加えて混合し、90℃に加熱して50mLのガラス瓶に充填する。