(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
モータと、遊技球が通過可能な通路部を有する通路手段と、前記モータの駆動に応じて、前記通路手段を、前記通路部の両端部が交互に上下動するように前記モータの軸と平行な軸周りで揺動させる駆動機構手段とを備えた可動遊技手段が設けられており、
前記可動遊技手段が、前記通路部上に達した遊技球を、前記通路部の何れか一端側へ振り分ける遊技機であって、
前記駆動機構手段が、前記モータの回転中心から偏心した位置を中心として前記モータの軸と平行な軸周りで回転可能に取り付けられているとともに、当該回転中心から所定の放射方向へ延びて前記モータ側に連係するモータ側連係部と、前記モータ側連係部とは異なる放射方向へ延びて前記通路手段側に連係する通路側連係部とを有するリンク手段を備えており、
前記リンク手段が所定方向へ半回転すると、前記通路手段が、前記通路部が水平となる第1水平姿勢から前記通路部の一端が下がった第1傾斜姿勢を経て、再び前記通路部が水平となる第2水平姿勢となり、前記リンク手段が前記所定方向へ更に半回転すると、前記第2水平姿勢から前記通路部の他端が下がった第2傾斜姿勢を経て、前記第1水平姿勢へ復帰する一方、
前記通路手段が前記第1水平姿勢にある状態から前記リンク手段が反所定方向へ半回転すると、前記通路手段が、前記第1水平姿勢から前記第2傾斜姿勢を経て前記第2水平姿勢となり、前記リンク手段が前記反所定方向へ更に半回転すると、前記第2水平姿勢から前記第1傾斜姿勢を経て前記第1水平姿勢へ復帰するようになっており、
前記リンク手段を前記所定方向へ回転させる場合と、当該回転と同じ速さで前記反所定方向へ回転させる場合とで、前記通路手段が水平姿勢から前記第1傾斜姿勢へと姿勢を変更する際の速さ、及び水平姿勢から前記第2傾斜姿勢へと姿勢を変更する際の速さが異なることを特徴とする遊技機。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態となるパチンコ機について、図面にもとづき詳細に説明する。
【0010】
(パチンコ機の全体的な説明)
図1は、パチンコ機1を前面側から示した説明図である。
図2は、遊技盤2を前面側から示した説明図である。
図3は、パチンコ機1を後面側から示した説明図である。
パチンコ機1は、遊技盤2の前面に形成された遊技領域16内へ遊技球を打ち込み、遊技領域16内を流下させて遊技するものであって、遊技盤2は、支持体として機能する機枠3の前面上部に、金属製のフレーム部材であるミドル枠5を介して設置されている。また、遊技盤2の前方には、ガラス板を支持してなる前扉4が、左端縁を軸として片開き可能に機枠3に蝶着されており、該前扉4によって閉塞される遊技盤2の前方空間が遊技領域16とされている。
【0011】
当該遊技領域16は、遊技盤2の前面に円弧状に配設された外レール23及び内レール24等によって囲まれており、遊技領域16に左部における両レール23、24間が遊技球を遊技領域16内へ打ち込むための発射通路13とされている。また、遊技領域16の中央稍上寄りとなる位置には、「0」〜「9」の数字からなる装飾図柄やキャラクター等を表示するための演出用表示部6、演出用表示部6の下辺に沿って左右方向に延設されており、その上面を遊技球が左右に転動可能なステージ81、及び遊技領域16内を流下する遊技球をステージ81上へ導くためのワープ通路82等を有する表示部材80が設置されている。さらに、表示部材80の下方で遊技領域16の中央部から下部にかけて、遊技球が進入可能な進入口31、進入口31から分岐しつつ下方へ延びる遊技球流路32、シーソー役物30を始めとした種々の電動役物、遊技球が入賞可能な始動入賞口19、及び遊技球を遊技領域16外へ排出するためのアウト口46、46(
図4に示す)等を備えたセンター部材26が設置されている。
【0012】
また、表示部材80及びセンター部材26の左方には、遊技球が流下可能で、遊技球が入賞可能な入賞部材84、84が設置された左打ち用スペースSLが形成されており、この左打ち用スペースSLを流下させることで、ワープ通路82への進入(すなわち、ステージ81上への誘導)や進入口31への進入(すなわち、センター部材26への進入)を効率良く狙えるようになっている。一方、表示部材80及びセンター部材26の右方にも遊技球が流下可能な右打ち用スペースSRが形成されている。この右打ち用スペースSRには、遊技球が通過可能なゲート部材20、一対の可動片を有するチューリップ式電動役物17、所謂大当たり状態において交互に開閉する2つの可動入賞装置18A、18Bが設置されている。そして、遊技球を左打ち用スペースSLではなく右打ち用スペースSRを流下させることで、ゲート部材20を通過させたり、開動作しているチューリップ式電動役物17へ入賞させたり、開成している可動入賞装置18A、18Bへ入賞させたりすることができるようになっている。なお、左打ち用スペースSLや右打ち用スペースSRには、多数の遊技釘が植設されている。また、遊技領域16外となる遊技盤2の右下部には、第1特別図柄及び第2特別図柄を夫々別個に表示可能とした特別図柄表示部83が設けられている。さらに、遊技領域16の最下端には、当該位置まで到達した遊技球を遊技領域16外へ排出するための排出口47が設けられている。
【0013】
また、機枠3の前面側であって上記遊技盤2の下方には、発射装置10へ供給する遊技球を貯留するための供給皿7、及び供給皿7から溢れた遊技球を貯留するための貯留皿8が取り付けられており、供給皿7は前扉4の開放に伴い、貯留皿8はミドル枠5の開放に伴い夫々機枠3に対して片開き可能となっている。さらに、貯留皿8の右側には、発射装置10を作動させ、遊技球の遊技領域16への打ち込み強度を調整するためのハンドル9が回動操作可能に設置されている。加えて、供給皿7の前方には、遊技者が任意に押し込み操作可能な遊技ボタン25が設けられている。
さらに、前扉4の上部には、効果音や各種メッセージ等を報音する夫々一対のスピーカ14、14が設けられている。加えて、前扉4の左右両側部には、パチンコ機1の遊技状態等に応じて点灯・点滅する複数のLEDを内蔵したランプ部材15、15・・が設けられている。
【0014】
一方、機枠3の後面側には、供給皿7へ貸球や賞品球として払い出される遊技球を貯留するための貯留タンク11、当該貯留タンク11と連結された払出装置12、払出装置12における払い出し動作を制御する払出制御装置28、及び各制御基板や装置・部材に電源電圧を供給するための電源装置29等が設置されている。また、21は、合成樹脂製のカバー状に形成されたセンターカバーであって、当該センターカバー21の内部には、遊技に係る主たる制御(たとえば、所謂大当たり抽選等)を実行するためのメイン制御装置61(
図12に示す)、演出用表示部6における表示動作等を制御する表示制御装置63、ランプ部材15の点灯/点滅動作等を制御する発光制御装置64、スピーカ14からの報音動作を制御する音制御装置65、及び表示制御装置63や音制御装置65等の動作を統合的に制御するサブ制御装置62等が設置されている。尚、22は、パチンコ機1をトランスに接続するためのプラグであり、27は、アースである。
【0015】
次に、パチンコ機1の制御機構について、
図12をもとに説明する。
図12は、パチンコ機1の制御機構を示したブロック図である。
メイン制御装置61には、大当たり抽選の実行とともに下記部材の動作を制御するメインCPU67、ROMやRAM等といった記憶手段68、タイマ69、及びインターフェイス78等が搭載されたメイン制御基板66が内蔵されている。そして、該メイン制御基板66は、インターフェイス78を介して、始動入賞口19やチューリップ式電動役物17、可動入賞装置18A、18B、ゲート部材20、及び特別図柄表示部83等と接続されている。また、メイン制御基板66は、サブ制御装置62内に内蔵されたサブ統合基板72とも電気的に接続されている。なお、
図12では省略しているが、メイン制御基板66は、払出制御装置28や電源装置29等ともインターフェイス78を介して接続されている。
【0016】
記憶手段68には、チューリップ式電動役物17を開動作させるか否かの開放抽選に使用するaカウンタ、大当たり抽選に使用するcカウンタ(大当たり判定用乱数)、特別図柄表示部83における第1特別図柄や第2特別図柄の確定表示態様を決定するdカウンタ(確定表示態様決定用乱数)、及び主に特別図柄の変動時間となる基本変動パターンを決定するeカウンタ(変動時間情報決定用乱数)等の複数のカウンタが内蔵されている。各カウンタは、電源投入時から所定の規則に従って所定の数値の間をごく短時間(たとえば1割込2.000ms)のうちに1ずつ加算しながらループカウントするループカウンタであって、当該カウンタを用いた数値の取得は、乱数からの数値の取得とみなすことができる。また、aカウンタは0〜9(10通り)の間を、cカウンタは0〜19(20通り)の間を、dカウンタは0〜8(9通り)の間を、eカウンタは0〜40(41通り)の間を夫々ループカウントするようになっている。そして、メインCPU67は、遊技球のゲート部材20における通過検出を契機としてaカウンタから1つの数値を取得するとともに、遊技球の始動入賞口19やチューリップ式電動役物17への入賞検出を契機として、cカウンタ、dカウンタ、及びeカウンタから夫々1つの数値を取得する(大当たり抽選を実行する)。
【0017】
また、記憶手段68には、dカウンタの数値と特別図柄表示部83に確定表示する第1特別図柄や第2特別図柄の確定表示態様とを対応づけた確定表示態様決定テーブル、及び
図13に示す如くeカウンタの数値と基本変動パターンとを対応づけた基本変動パターン決定テーブル等が記憶されている。この基本変動パターンとは、主に特別図柄の変動時間(変動開始から確定表示までの時間)を規定するものである。さらに、記憶手段68には、たとえば特別図柄表示部83において第1特別図柄と第2特別図柄との何れかが変動表示中に始動入賞口19やチューリップ式電動役物17へ遊技球が入賞したような場合に、当該入賞に伴うcカウンタ、dカウンタ、及びeカウンタからの取得数値を保留情報として、始動入賞口19とチューリップ式電動役物17とを区別した状態で夫々最大4つまで(合計8つまで)記憶する保留情報記憶領域70が設けられている。加えて、記憶手段68には、保留情報記憶領域70に記憶されている保留情報を1つずつ移行して記憶可能であり、大当たり抽選の結果が大当たりであるか否か等の大当たり判定を実行するための大当たり判定用記憶領域71が設けられている。尚、保留情報は、特別図柄及び装飾図柄が確定表示される度に所定の順番で順次大当たり判定用記憶領域71へ移行されて消化され(パチンコ機1では、チューリップ式電動役物17への入賞に係る保留情報が、始動入賞口19への入賞に係る保留情報よりも優先して消化される)、該消化に伴って新たな保留情報が記憶可能となる。
【0018】
サブ制御装置62には、サブ統合CPU73、記憶手段74、タイマ75、及びインターフェイス79等が搭載されたサブ統合基板72が内蔵されている。該サブ統合基板72は、インターフェイス79を介してメイン制御基板66と電気的に接続されているとともに、表示制御装置63、発光制御装置64、及び音制御装置65と電気的に接続されている。そして、サブ統合CPU73は、後述するようにメイン制御基板66から大当たり抽選に係る信号(後述するような各種コマンド等)を受信すると、その内容に応じて各制御装置を制御し、スピーカ14やランプ部材15の動作や、演出用表示部6における装飾図柄の表示動作等を制御する。
【0019】
また、記憶手段74には、演出用表示部6に表示する装飾図柄を記憶する図柄記憶領域(図示せず)と、演出用表示部6における装飾図柄の詳細な変動表示態様やキャラクターの動画を用いたキャラクター演出等からなる複数の詳細変動パターンを記憶した変動パターン記憶領域76とが設けられており、種々の詳細変動パターンが
図14に示す如くメイン制御基板66で決定される基本変動パターンと対応づけて記憶されている。さらに、記憶手段74には、メイン制御基板66から送信されてくる後述するような予定情報を記憶するための予定情報記憶領域77が設けられている。
【0020】
以下、上記パチンコ機1における基本的な遊技動作について簡略に説明する。
まずパチンコ機1では、遊技球が始動入賞口19やチューリップ式電動役物17へ入賞すると、当該入賞がメインCPU67により検出される。すると、メインCPU67は、所定個数(たとえば3個)の遊技球を賞球として払い出すとともに、入賞検出のタイミングでcカウンタ、dカウンタ、及びeカウンタから夫々1つの数値を取得し、さらに保留情報記憶領域70に記憶されている保留情報の数が最大値に達しているか否かを確認する。そして、保留情報の数が既に最大値に達していると、cカウンタ、dカウンタ、及びeカウンタからの取得数値を記憶することなく削除する。一方、最大値に達していないと、cカウンタ、dカウンタ、及びeカウンタからの取得数値を保留情報記憶領域70に記憶するとともに、遊技状態毎に設定されている大当たり判定用テーブルを参照して今回cカウンタから取得した数値が所定の「大当たり数値(たとえば通常状態の大当たり判定用テーブルでは“0”の1通りとなっており、高確率状態の大当たり判定用テーブルでは“0”〜“9”の10通りとなっている)」であるか否か(すなわち、大当たり抽選の結果が「大当たり」であるか否か)に加え、当該「大当たり」に係る判定結果を踏まえた上でのdカウンタからの取得数値と、始動入賞口19とチューリップ式電動役物17との何れへの入賞であるかとにもとづく特別図柄の確定表示態様(「大当たり」である場合には「大当たり」の種別)、及び「大当たり」に係る判定結果を踏まえた上でのeカウンタからの取得数値に対応する基本変動パターンがどうなるかを、後述する大当たり判定よりも事前に事前判定として一旦判定する。さらに、メインCPU67は、当該事前判定の結果、始動入賞口19とチューリップ式電動役物17との何れへの入賞に伴う保留情報であるのか、及び何個目の保留情報にもとづくものであるのかを含んだ予定情報を作成し、サブ統合CPU73へ送信する。
【0021】
また、メインCPU67は、特別図柄表示部83において特別図柄を変動表示しているか、それとも確定表示しているかを常に確認しており、第1特別図柄と第2特別図柄とのどちらの特別図柄についても確定表示していると保留情報の有無を確認する。そして、保留情報が存在すると、消化する優先度が最も高い保留情報(本実施形態では、チューリップ式電動役物17への入賞に係る保留情報が存在すると、その保留情報のうち最も以前に記憶した保留情報となり、チューリップ式電動役物17への入賞に係る保留情報が存在しないと、始動入賞口19への入賞に係る保留情報のうち最も以前に記憶した保留情報となる)を大当たり判定用記憶領域71へ移行するとともに、当該保留情報について以下の大当たり判定を実行する。すなわち、保留情報を大当たり判定用記憶領域71へ移行した時点での遊技状態に対応した大当たり判定用テーブルを参照して、当該保留情報に係るcカウンタからの取得数値が上記所定の「大当たり数値」であるか否か、つまり大当たり抽選の結果が「大当たり」であるか、それとも「はずれ」であるかを判定する。また、大当たり抽選の結果が「大当たり」である(cカウンタからの取得数値が「大当たり数値」である)と、dカウンタからの取得数値及び始動入賞口19とチューリップ式電動役物17との何れへの入賞であるかにもとづき特別図柄の確定表示態様を決定するとともに、
図13(b)に示す基本変動パターン決定テーブルを用い、eカウンタからの取得数値に対応する基本変動パターンを読み出す(すなわち、大当たりの種別、及び図柄の変動時間を含む基本変動パターンを決定する)。一方、大当たり抽選の結果が「はずれ」である(cカウンタからの取得数値が「大当たり数値」以外の数値である)と、dカウンタからの取得数値及び始動入賞口19とチューリップ式電動役物17との何れへの入賞であるかにもとづき特別図柄の確定表示態様を決定するとともに、
図13(a)に示す基本変動パターン決定テーブルを用い、eカウンタからの取得数値に対応する基本変動パターンを読み出す(すなわち、図柄の変動時間を含む基本変動パターンを決定する)。
【0022】
その後、メインCPU67は、始動入賞口19とチューリップ式電動役物17との何れへの入賞に伴うものであるか、大当たり抽選の結果(「大当たり」であるか「はずれ」であるか)、特別図柄の確定表示態様、及び読み出した基本変動パターンの種類を示す情報を含んだ開始コマンドを作成するとともに、当該開始コマンドをサブ統合CPU73へ送信する。また、特別図柄表示部83において、始動入賞口19への入賞に係る保留情報の消化であると第1特別図柄を、チューリップ式電動役物17への入賞に係る保留情報の消化であると第2特別図柄を所定の態様で夫々変動させるとともに、タイマ69による計時を開始する。そして、読み出した基本変動パターンに応じた図柄の変動時間が経過すると、大当たり抽選の結果を踏まえた上でのdカウンタからの取得数値及び始動入賞口19とチューリップ式電動役物17との何れへの入賞であるかにもとづく確定表示態様で対応する特別図柄を確定表示させるとともに、停止信号を含んだ停止コマンドをサブ統合CPU73へと送信する。なお、大当たり判定用記憶領域71へ移行した保留情報に関しては、当該保留情報に係る特別図柄の確定表示をもって消去する。
【0023】
さらに、メインCPU67は、始動入賞口19への入賞にもとづく大当たり抽選の結果が「大当たり」であると、上記第1特別図柄を所定の第1の特別な確定表示態様(たとえば「5」)で確定表示させた後、大当たり状態の開始を報知する開始デモ、可動入賞装置18A、18Bの所定回数にわたる断続的な開成(可動入賞装置18Aと可動入賞装置18Bとが交互に開成する態様となる)、及び大当たり状態の終了を報知する終了デモからなる大当たり状態を生起させる。一方、メインCPU67は、チューリップ式電動役物17への入賞にもとづく大当たり抽選の結果が「大当たり」であると、上記第2特別図柄の第2の特別な確定表示態様(たとえば「7」)での確定表示後、上記始動入賞口19への入賞時同様、大当たり状態の開始を報知する開始デモ、可動入賞装置18A、18Bの所定回数にわたる断続的な開成、及び大当たり状態の終了を報知する終了デモからなる大当たり状態を生起させる。そして、大当たり状態の生起に伴い開成した可動入賞装置18A、18Bに遊技球が入賞すると、始動入賞口19やチューリップ式電動役物17へ入賞した場合と比較して多くの遊技球(たとえば10個)を賞球として払い出す。なお、始動入賞口19への入賞にもとづく大当たり抽選の結果が「はずれ」であると第1特別図柄を所定の第1のはずれ確定表示態様(たとえば「−」)で、チューリップ式電動役物17への入賞にもとづく大当たり抽選の結果が「はずれ」であると第2特別図柄を所定の第2のはずれ確定表示態様(たとえば「2」)で夫々確定表示させた後、次に消化する保留情報を大当たり判定用記憶領域71へ移行し、当該保留情報に係る大当たり判定を実行する。
【0024】
また、メインCPU67は、大当たり状態の生起回数をカウントしており、生起回数が所定の制限回数(たとえば10回)に達するまでは、大当たり状態が終了してから次回大当たり判定において大当たり抽選の結果が「大当たり」となるまで、大当たり抽選の結果が「大当たり」となる確率が上述の如く向上した高確率状態を生起させるとともに、チューリップ式電動役物17が開状態となりやすい、若しくは、長時間にわたって開状態となるとの少なくとも何れか一方としたことで、チューリップ式電動役物17へ遊技球が入賞しやすくなるサポート状態を生起させる。そして、大当たり状態の生起回数が制限回数に達すると、当該大当たり状態の終了に伴い、高確率状態及びサポート状態を生起させることなく、大当たり抽選の結果が「大当たり」となりにくく、且つ、チューリップ式電動役物17が開状態となりにくい遊技開始当初の通常状態へ復帰させる。したがって、大当たり状態が所定の制限回数にわたって断続的に生起する遊技状態が、遊技者にとって有利な特別遊技状態であると言える。なお、「大当たり状態が終了してから次回大当たり判定において大当たり抽選の結果が「大当たり」となるまで」という事項は、たとえば図柄の変動回数を10000回と設定することにより実現してもよい。
【0025】
一方、メインCPU67は、チューリップ式電動役物17の開閉動作についても制御しており、遊技球がゲート部材20を通過すると、当該通過がメインCPU67により検出される。すると、メインCPU67は、通過検出のタイミングでaカウンタから1つの数値を取得する(開放抽選を行う)とともに、aカウンタからの取得数値が所定の「開放数値(たとえばサポート状態が生起していると“0”〜“8”の9通り、サポート状態が生起していないと“0”の1通りのみとなっている)」であるか否かを判定する。そして、aカウンタからの取得数値が「開放数値」である、すなわち開放抽選の結果が「当選」であると、閉状態にあるチューリップ式電動役物17を開動作させて開状態とする。このとき、サポート状態が生起していると、たとえばサポート状態が生起していない場合と比べて長い時間(2秒間)に亘り開状態とすることを断続的に3回繰り返す態様等の特別開放動作態様で作動させる。したがって、チューリップ式電動役物17へ遊技球が入賞しやすくなる。また、サポート状態が生起していないと、たとえばサポート状態が生起している場合と比べて短い時間(0.2秒)に亘り、しかも1回しか開状態としない等の通常開放動作態様でチューリップ式電動役物17を作動させる。したがって、たとえ開放抽選に当選してチューリップ式電動役物17が開動作したとしても、遊技球はチューリップ式電動役物17へ極めて入賞しにくくなっている。
【0026】
さらに、aカウンタからの取得数値が「開放数値」でない、すなわち開放抽選の結果が「はずれ」であると、チューリップ式電動役物17を閉状態のまま作動させない。したがって、遊技球がチューリップ式電動役物17に入賞することはない。加えて、たとえば特別開放動作態様でチューリップ式電動役物17を作動させている間等に、遊技球のゲート部材20の通過を検出した場合には、上記保留情報と同様、当該通過のタイミングで取得したaカウンタの数値を所定個数まで記憶手段68に記憶するとともに、チューリップ式電動役物17の特別開放動作態様による作動が終了する度に、記憶した順で開放抽選の結果の確認等を実行するようになっている。
【0027】
一方、サブ統合CPU73は、予定情報を受信すると予定情報記憶領域77へ記憶する。また、開始コマンドを受信する(変動条件の充足)と、該開始コマンドに対応する予定情報を予定情報記憶領域77から読み出す。さらに、その開始コマンドに含まれている大当たり抽選の結果に係る情報及び特別図柄の確定表示態様等に応じて最終的に確定表示する装飾図柄の表示態様を決定する。そして、基本変動パターンに係る情報に対応する詳細変動パターンを変動パターン記憶領域76から読み出し、タイマ75により計時しながら、読み出した詳細変動パターンにしたがって演出用表示部6における装飾図柄を変動表示させるとともに、所定の順(ここでは左側の図柄表示部(第1図柄表示部)、右側の図柄表示部(第2図柄表示部)の順)で装飾図柄を停止表示とした後、停止コマンドの受信に伴い、上記決定した表示態様で装飾図柄を確定表示させる。つまり、大当たり抽選の結果が「大当たり」であると、同一の特別な装飾図柄を2つ並べる大当たり装飾図柄確定表示態様(たとえば“7・7”や“3・3”であって、特別確定表示態様)で確定表示させる。また、大当たり抽選の結果が「はずれ」であると、何れか一方の装飾図柄が他方の装飾図柄とは異なるはずれ装飾図柄確定表示態様(たとえば“7・8”であって、非特別確定表示態様)で確定表示させる。なお、読み出した予定情報については、予定情報記憶領域77から消去する。
【0028】
また、サブ統合CPU73は、大当たり状態を生起させるにあたり、たとえば開始デモ中には、演出用表示部6を利用して大当たり状態の開始を報知し、可動入賞装置18A、18Bの開成が開始されると、「大当たり」の種別等に対応した演出用表示部6での表示演出を記憶手段74から読み出し、演出用表示部6での表示動作を制御する。また、終了デモになると、演出用表示部6を利用して大当たり状態が終了する旨等を遊技者に報知する。
【0029】
以上のようなパチンコ機1では、遊技者は通常状態から遊技を開始することになり、ハンドル9を回動操作して発射装置10を作動させ、発射通路13を介して遊技球を遊技領域16内へ打ち込み、まずは左打ち用スペースSLを流下させ(所謂左打ちを行い)、センター部材26への遊技球の進入、ひいては始動入賞口19への遊技球の入賞を狙う。そして、始動入賞口19への遊技球の入賞検知に起因して実行される所謂大当たり抽選の結果が「大当たり」になると、特別図柄表示部83及び演出用表示部6に夫々所定の「大当たり図柄」が確定表示される(たとえば、演出用表示部6に「7、7」と確定表示される)。また、「大当たり図柄」が確定表示されると、可動入賞装置18A、18Bを夫々1回ずつ開成させるといった所謂大当たり状態が生起する。そこで、遊技者は、遊技球を右打ち用スペースSRへ打ち込んで流下させる所謂右打ちを行い、開成する可動入賞装置18A、18Bへの遊技球の入賞を狙う。なお、始動入賞口19へ遊技球が入賞した場合、特別図柄表示部83では第1特別図柄を変動/確定表示される。また、始動入賞口19に入賞しなかった遊技球はアウト口46、46を介して排出されたり、アウト口46、46の左右両側からセンター部材26外へ移動して排出口47から排出されたりする。
【0030】
また、大当たり状態が終了すると、ゲート部材20への遊技球の通過検知に起因して実行される所謂当たり抽選の結果が「当たり」となりやすく、チューリップ式電動役物17が頻繁に開状態となって遊技球の入賞が可能となるとともに、チューリップ式電動役物17への入賞検知に起因して実行される大当たり抽選の結果が「大当たり」となりやすい所謂確変状態が生起する。そこで、遊技者は右打ちを継続し、ゲート部材20への遊技球の通過、及び頻繁に開状態となるチューリップ式電動役物17への遊技球の入賞を狙う。また、チューリップ式電動役物17への遊技球の入賞に応じて実行された大当たり抽選の結果が「大当たり」になると、特別図柄表示部83及び演出用表示部6に「大当たり図柄」が確定表示され、可動入賞装置18A、18Bを夫々1回ずつ開成させる「大当たり状態」が再び生起する。なお、チューリップ式電動役物17へ遊技球が入賞した場合、特別図柄表示部83では第2特別図柄を変動/確定表示させる。
【0031】
そして、上記大当たり状態の生起回数が制限回数に達すると、当該大当たり状態の終了後に確変状態は生起せず、ゲート部材20への遊技球の通過検知に起因して実行される当たり抽選の結果が「当たり」となりにくく(或いは「当たり」とならず)、チューリップ式電動役物17がほぼ開状態とならない(或いは開状態になることがない)上、大当たり抽選の結果が「大当たり」となりにくい遊技開始当初の通常状態へ復帰する。そのため、遊技者は、右打ちを止めて左打ちを行う上記遊技へと戻る。
【0032】
さらに、センター部材26のシーソー役物30は、センター部材26へ遊技球が進入した/しないや、遊技状態が通常状態/確変状態の何れであるか等に拘わらず、メイン制御装置61による制御のもと、電源投入時から一定の動作パターンにしたがって常に動作している。そして、センター部材26へ進入した遊技球がシーソー役物30へ到達すると、到達時のシーソー役物30におけるシーソー体33の姿勢等によって、遊技球を第1通路41へ流下させたり、第2通路42へ流下させたりと遊技球を振り分ける。
【0033】
(シーソー役物の説明)
ここで、本発明の要部となるシーソー役物30について、
図4〜
図12にもとづき詳細に説明する。
図4は、センター部材26を前面側から示した説明図である。
図5は、シーソー役物30において、シーソー体33が後方へ向かって下降傾斜する後傾姿勢にある状態を示した説明図である。
図6は、シーソー体33が前方へ向かって下降傾斜する前傾姿勢にある状態を示した説明図である。
図7及び
図8は、シーソー体33が後傾姿勢をとった場合における駆動機構部を示した説明図である。
図9及び
図10は、シーソー体33が前傾姿勢をとった場合における駆動機構部を示した説明図である。
図11は、モータ35が1回転する際のシーソー体33の動作を示した説明図である。
【0034】
シーソー役物30は、センター部材26の内部に設置されており、進入口31を介してセンター部材26内に進入し、遊技球流路32を流下してきた遊技球を、第1通路41と、該第1通路41よりも遊技者にとって有利な第2通路42との何れか一方へ振り分けて流下させるためのものであって、左右方向を軸として前後で揺動するシーソー体33と、シーソー体33の動作に連動する装飾可動体34と、シーソー体33及び装飾可動体34を作動させる駆動機構部とを備えている。
【0035】
駆動機構部は、メイン制御装置61により駆動制御されるモータ35と、モータ35の回転を伝達する第1アーム36と、第1アーム36の回転をシーソー体33へ伝達する第2アーム37とを備えてなる。第1アーム36は、帯状の短アーム部36aと、その一端の表面に設けられ、モータ35の軸に装着可能な装着部36bと、短アーム部36aの他端における表面で、装着部36bとは反対側の表面に設けられた突起状の連係軸部36cとを有する。第2アーム37は、第1アーム36よりも長い帯状の長アーム部37aを有している。また、該長アーム部37aの中央部には、長アーム部37aの長手方向へ沿って延びる長孔状の連係孔37bが穿設されている。さらに、長アーム部37aの一端には、第2アーム37の回転中心となる回転軸部37cが設けられている。加えて、回転軸部37cには、長アーム部37aとは相反する方向へ突出する突出片が設けられており、該突出片の表面には、突起状の作動軸部37dが設けられている。なお、回転軸部37cから見ると、連係孔37bを有する長アーム部37aが所定の放射方向へ延びており、作動軸部37dが、長アーム部37aとは異なる(ここでは相反する)放射方向へ延びて設けられている。
【0036】
シーソー体33は、前後方向に延びる板状の底部と、底部の長手方向(前後方向)両側縁に沿って立設される壁部33b、33bとに囲まれた通路状に形成され、遊技球が底部上を長手方向に沿って移動可能とした通路部33aを有している。また、通路部33aの下面における前後方向での中央部には、シーソー体33の揺動中心となる揺動軸部33cが、通路部33aを短手方向(左右方向)へ横切るように設けられている。さらに、通路部33aから下方へむかって作動壁33dが延設されており、当該作動壁33dにおける揺動軸部33cよりも後側には、揺動軸部33cを中心とした放射方向であり、後側へむかうにつれて下方に傾斜する方向へ延びる長孔状の作動孔33eが穿設されている。加えて、作動壁33dにおける揺動軸部33cよりも前側には、装飾可動体34が連結される連結部33fが設けられている。
【0037】
装飾可動体34は、前後方向が厚み方向となる帯状で、上下方向へ延びる可動アーム34aと、お玉杓子を逆さに持った腕に似せて成形された装飾部34bとを有している。そして、可動アーム34aの下端部には、シーソー体33の連結部33fに連結される被連結部(図示せず)が設けられている一方、可動アーム34aの上端部の表面には、装飾部34bが組み付けられる取付部34cが設けられている。また、装飾部34bには、左右方向に延びる腕の基端部(お玉杓子を持つ側が先端部)から後方(腕に直交する方向)へ突出しており、前後方向を軸とした装飾部34bの回動中心となる回動軸部34dが設けられている。さらに、回動軸部34dの先端(後端)には、回動軸部34dの回動中心から偏心した位置から後側へ突出する突起を備えた被取付部34eが設けられている。
【0038】
そして、上記駆動機構部、シーソー体33、及び装飾可動体34を備えたシーソー役物30は、次のようにして組み立てられる。
まず、センター部材26のカバー40に固定される固定体(図示せず)にモータ35を略左右方向を軸として回転するような姿勢で取り付けるとともに、その軸に第1アーム36の装着部36bを装着し、モータ35を回転させた際、第1アーム36がモータ35の回転面と平行な面内で回転するようにする。一方、上記固定体におけるモータ35の取付位置とは別の箇所で、モータ35の回転中心から偏心した位置に、第2アーム37の回転軸部37cを、モータ35の回転面と平行な面内で回転するように軸着する。そして、第1アーム36の連係軸部36cを、第2アーム37の連係孔37bに挿通させ、第1アーム36と第2アーム37とを連係させる。すると、モータ35の回転に伴い第1アーム36が回転した際、連係軸部36cが連係孔37b内をスライドしつつ第2アーム37に回転力を伝えることになり、第2アーム37も回転軸部37cを中心として回転する。なお、第2アーム37の回転に際し、作動軸部37dは、モータ35の回転中心よりも常に第2アーム37の回転軸部37c側にある。すなわち、回転軸部37cと作動軸部37dとの間を、モータ35の回転中心が通過することはない。
【0039】
また、上記固定体におけるモータ35の取付位置及び第2アーム37の軸着位置とは更に別の偏心箇所に、シーソー体33の揺動軸部33cを、第1アーム36や第2アーム37と同じく、モータ35の回転面と平行な面内で揺動可能に軸着する。そして、第2アーム37の作動軸部37dを、シーソー体33の作動孔33eに挿通させ、第2アーム37とシーソー体33とを連係させる。したがって、モータ35の回転に伴い第1アーム36を介して第2アーム37が回転した際、作動軸部37dが作動孔33e内をスライドしつつシーソー体33に回転力を伝えることになり、シーソー体33が揺動軸部33cを中心として両端部を交互に上下動させるような態様で揺動する。このとき、連係軸部36c、回転軸部37c、作動軸部37d、及び揺動軸部33cが同一直線上に位置すると、シーソー体33の通路部33aが水平となる。そして、シーソー体33は、当該水平姿勢を基準として、モータ35の回転中心、連係軸部36c、回転軸部37c、及び作動軸部37dが同一直線上にあって、且つ、作動軸部37dがモータ35の回転中心に最も近づき(すなわち、モータ35の回転中心と回転軸部37cとの間に作動軸部37dが位置し)、通路部33aが前下がりとなる前傾姿勢(
図9及び
図10に示す姿勢であって、第1傾斜姿勢)と、モータ35の回転中心、連係軸部36c、回転軸部37c、及び作動軸部37dが同一直線上にあって、且つ、作動軸部37dがモータ35の回転中心から最も離れ(すなわち、モータ35の回転中心と作動軸部37dとの間に回転軸部37cが位置し)、通路部33aが後下がりとなる後傾姿勢(
図7及び
図8に示す姿勢であって、第2傾斜姿勢)との間で揺動することになる。なお、シーソー体33が水平姿勢にある際、第2アーム37の連係孔37bとシーソー体33の作動孔33eとは平行となる。
【0040】
ここで、モータ35を正回転(ここでは
図11中における右回りを正回転とする)させる際のシーソー体33の揺動を時系列に述べる。
まず、シーソー体33は、作動軸部37dが揺動軸部33cから最も離れており、回転軸部37cと揺動軸部33cとの間に位置しない(すなわち、揺動軸部33cと作動軸部37dとの間に回転軸部37cが位置した)第1水平姿勢にあるものとする(
図11(A))。ここからモータ35が正回転すると、作動軸部37dが回転軸部37cと揺動軸部33cとを結ぶ直線Lよりも上側へ移動するため、シーソー体33は徐々に前下がりとなり、作動軸部37dがモータ35の回転中心と回転軸部37cとの間に達したことをもって前傾姿勢をとる(
図11(B))。その後、再び作動軸部37dが回転軸部37cと揺動軸部33cとを結ぶ直線Lへ近づくように下方へ移動するため、シーソー体33は徐々に水平へ復帰し、作動軸部37dが揺動軸部33cに最も近づいており、回転軸部37cと揺動軸部33cとの間に位置したことをもって第2水平姿勢をとる(
図11(C))。それから、今度は作動軸部37dが回転軸部37cと揺動軸部33cとを結ぶ直線Lよりも下側へ移動するため、シーソー体33は徐々に後下がりとなり、作動軸部37dがモータ35の回転中心から最も離れた(すなわち、モータ35の回転中心と作動軸部37dとの間に回転軸部37cが位置した)ことをもって後傾姿勢をとる(
図11(D))。その後、再び作動軸部37dが回転軸部37cと揺動軸部33cとを結ぶ直線Lへ近づくように上方へ移動するため、シーソー体33は徐々に水平へ復帰し、作動軸部37dが揺動軸部33cから最も離れたことをもって第1水平姿勢に復帰する(
図11(A))。
【0041】
一方、モータ35を逆回転させる際のシーソー体33の揺動を、正回転時の説明にあわせて水平姿勢、前傾姿勢、水平姿勢、後傾姿勢、水平姿勢の順で時系列に述べると、まず、シーソー体33は第2水平姿勢にある(
図11(C))。ここからモータ35の駆動に伴い、作動軸部37dが回転軸部37cと揺動軸部33cとを結ぶ直線よりも上側へ移動するため、シーソー体33は徐々に前下がりして前傾姿勢をとる(
図11(B))。その後、再び作動軸部37dが回転軸部37cと揺動軸部33cとを結ぶ直線へ近づくように下方へ移動するため、シーソー体33は徐々に水平へ復帰して第1水平姿勢をとる(
図11(A))。それから、今度は作動軸部37dが回転軸部37cと揺動軸部33cとを結ぶ直線よりも下側へ移動するため、シーソー体33は徐々に後下がりとなって後傾姿勢をとる(
図11(D))。その後、再び作動軸部37dが回転軸部37cと揺動軸部33cとを結ぶ直線へ近づくように上方へ移動するため、シーソー体33は徐々に水平へ復帰して第2水平姿勢に復帰する(
図11(C))。
【0042】
このようなシーソー体33の揺動に係り、第2アーム37の回転中心がモータ35の回転中心から偏心しているため、前傾姿勢を経由して第1水平姿勢と第2水平姿勢との間で姿勢を変更する場合と、後傾姿勢を経由して第1水平姿勢と第2水平姿勢との間で姿勢を変更する場合とでモータ35の回転角度が異なる。すなわち、本実施形態では、
図11からも明らかなように、前傾姿勢を経由する場合の方が、後傾姿勢を経由する場合よりもモータ35の回転角度が小さくて済む。したがって、モータ35を等速度で回転させると、シーソー体33が前下がりしている時間が、後下がりしている時間よりも短くなる。このことは、モータ35を正回転させても逆回転させても同じである。
【0043】
また、シーソー体33が水平姿勢から前傾姿勢(後傾姿勢も同様)へと姿勢を変更するに際し、第1水平姿勢から姿勢を変更する場合と第2水平姿勢から姿勢を変更する場合とで、作動軸部37dと揺動軸部33cとの距離が異なる。すなわち、第1水平姿勢から前傾姿勢へと姿勢を変更する場合よりも、第2水平姿勢から前傾姿勢へと姿勢を変更する場合の方が作動軸部37dと揺動軸部33cとの距離が近い。そのため、モータ35を等速度で回転させると、第1水平姿勢から姿勢を変更する場合の方が、第2水平姿勢から姿勢を変更する場合よりも時間がかかる、言い換えるならシーソー体33の姿勢変更に係る速度が遅いことになる。これは、前傾姿勢(後傾姿勢も同じ)から水平姿勢へと姿勢を変更する場合も同じである。つまり、前傾姿勢から第1水平姿勢へと姿勢を変更する場合の方が、前傾姿勢から第2水平姿勢へと姿勢を変更する場合の方が時間がかかる。
【0044】
このことから、シーソー体33は、モータ35を正回転させたとしても逆回転させたとしても前傾姿勢と後傾姿勢との間で揺動を繰り返すものの、正回転の場合と逆回転の場合とで揺動に係る挙動が異なる。たとえば、モータ35を正回転させた場合、第1水平姿勢から前傾姿勢を経由して第2水平姿勢へと姿勢を変更する一方、モータ35を逆回転させた場合、第2水平姿勢から前傾姿勢を経由して第1水平姿勢へと姿勢を変更することになる。そのため、シーソー体33が水平姿勢から前傾姿勢へと姿勢を変更する際のスピードは、モータ35を逆回転させた場合の方が正回転させた場合よりも速く、前傾姿勢から水平姿勢へと姿勢を変更する際のスピードは、モータ35を正回転させた場合の方が逆回転させた場合よりも速い。つまり、モータ35を正回転させた場合、逆回転させた場合と比べると、シーソー体33は比較的遅いスピードで水平姿勢から前傾姿勢となり、比較的速いスピードで前傾姿勢から水平姿勢へと復帰することになる。また、後傾姿勢へと姿勢を変更する際についても同様であり、モータ35を正回転させた場合、逆回転させた場合と比べると、シーソー体33は比較的速いスピードで水平姿勢から後傾姿勢となり、比較的遅いスピードで後傾姿勢から水平姿勢へと復帰することになる。したがって、モータ35を正回転させた場合のシーソー体33の挙動は、水平姿勢からゆっくり前下がりして前傾姿勢をとった後、速く水平姿勢へと復帰するとともに、水平姿勢から速く後下がりして後傾姿勢をとった後、ゆっくり水平姿勢へと復帰すると言える。一方、モータ35を逆回転させた場合のシーソー体33の挙動は、水平姿勢から速く前下がりして前傾姿勢をとった後、ゆっくり水平姿勢へと復帰するとともに、水平姿勢からゆっくり後下がりして後傾姿勢をとった後、速く水平姿勢へと復帰すると言える。
【0045】
一方、シーソー体33の連結部33fに可動アーム34aの下端部を連結するとともに、可動アーム34aの取付部34cに装飾部34bの被取付部34eを取り付けることにより、可動アーム34aと装飾部34bとを一体化して装飾可動体34を組み立てつつ、該装飾可動体34をシーソー体33に連結する。このとき、装飾部34bの回動軸部34dは、キャラクターの胴体に似せて成形され、上記固定体にネジ止めされた支持体38に、略前後方向(シーソー体33の揺動軸に直交する方向)を軸として回動可能に軸支させる。したがって、モータ35の回転に伴いシーソー体33が揺動した際、可動アーム34aが引っ張られて主に上下動し、該可動アーム34aの上下動に応じて装飾部34bが回動軸部34dを回転中心として上下に回動する。つまり、装飾可動体34は、シーソー体33と直交する軸周りで作動する。
【0046】
上述したようなシーソー役物30は、センター部材26の内部で、進入口31から延びる遊技球流路32の下流側に設置される。この設置状態において、遊技球流路32の下流端は、シーソー体33の通路部33aの長手方向での中央部の真上に開口している。また、シーソー役物30の下流側には、第1通路41と第2通路42とが設けられており、第1通路41の上流端はシーソー体33の後側に、第2通路42の上流端はシーソー体33の前側に夫々位置している。したがって、遊技球流路32へ流下し、通路部33a上へ落下した遊技球が後側へ移動すると第1通路41へ流入し、前側へ移動すると第2通路42へ流入することになる。
【0047】
なお、第1通路41及び第2通路42の下流側には、前下がりの傾斜面とされた振分ステージ43が設けられている。すなわち、両通路41、42は、振分ステージ43で合流しており、振分ステージ43へ到達した遊技球は更に下流側へ流下することになる。そして、振分ステージ43の前縁で、振分ステージ43の左右方向での中央部分に隣接した位置には始動入賞口19が設けられている一方、始動入賞口19の左右両側には、アウト口や遊技球をセンター部材21から排出するための排出口へつづく排出路が開口している。また、振分ステージ43の上面における左部と右部とには、表面に複数の障害突起を備えた障害板45が夫々設けられており、各障害板45は、上下方向を軸として回転している。さらに、振分ステージ43の上方には、遊技球を振分ステージ43上へ落下させるためのクルーン孔44aを備えたテーブル44が設けられており、該テーブル44は左右へ往復動作している。
【0048】
そして、このテーブル44が第1通路41の下流端に位置しており、第1通路41へ流入した遊技球は、テーブル44上へ到達した後、左右に往復しているテーブル44からクルーン孔44aを介して振分ステージ43上へ落下する。その後、場合によっては回転する障害板45に弾かれる等しつつ、振分ステージ43上を前側へ転動し、最終的に始動入賞口19や排出路へ至る。一方、第2通路42の下流端は、振分ステージ43の後縁で、始動入賞口19の真後ろとなる位置(すなわち、左右の障害板45、45の間となる位置)に開口しており、第2通路42へ流入した遊技球は、開口42aから振分ステージ43上へ移動する。その後、ほぼ直線的に振分ステージ43上を前側へ転動し、最終的に始動入賞口19や排出路へ至る。したがって、第2通路42から振分ステージ43上へ移動した遊技球の方が、第1通路41から振分ステージ43上へ移動した遊技球よりも障害板45、45に衝突しづらく、且つ、振分ステージ43上へ移動する際に左右方向へのぶれも少ないため、高い確率で始動入賞口19へすることになる。すなわち、遊技者にしてみると、第1通路41よりも第2通路42の方が有利であると言える。
【0049】
ただ、シーソー役物30では、上述したようにシーソー体33は、前下がりの状態にある時間よりも後下がりの状態にある時間の方が長いため、遊技球流路32の下流端が通路部33aの中央部の真上に開口しているにも拘わらず、通路部33a上を後側へ移動しやすい。これは、モータ35が正回転していようが逆回転していようが同じである。しかしながら、上述したようにモータ35を正回転させた場合と逆回転させた場合とでシーソー体33の挙動が異なるため、モータ35の回転方向に応じて第2通路42へ遊技球が流入する確率は異なっている。たとえば、本実施形態におけるシーソー役物30では、4ms毎に1stepずつモータ35を作動させるとした場合、モータ35を正回転させると第2通路42への流入率は1/6.8であるところ、逆回転させると第2通路42への流入率は1/5.8となった。
【0050】
(本実施形態のパチンコ機による効果)
以上のような構成を有するパチンコ機1によれば、シーソー体33を揺動させるための駆動機構部として、モータ35の回転中心から偏心した位置を中心としてモータ35の軸と平行な軸周りで回転可能に取り付けられているとともに、当該回転中心から所定の放射方向へ延びてモータ35側の第1アーム36に連係する連係孔37bを備えた長アーム部37aと、長アーム部37aとは相反する放射方向へ延びてシーソー体33に連係する作動軸部37dとを有する第2アーム37を備えた。そして、モータ35の正回転に応じて第2アーム37が回転すると、シーソー体33が、第1水平姿勢から前傾姿勢を経て第2水平姿勢となった後、第2水平姿勢から後傾姿勢を経て第1水平姿勢へ復帰する一方、モータ35の逆回転に応じて第2アーム37が回転すると、シーソー体33が、第1水平姿勢から後傾姿勢を経て第2水平姿勢となった後、第2水平姿勢から前傾姿勢を経て第1水平姿勢へ復帰するようにした。すなわち、たとえばシーソー体33が水平姿勢から前傾姿勢へと姿勢を変更する際、モータ35を正回転させると第1水平姿勢から前傾姿勢へと姿勢を変更する一方、モータ35を逆回転させると第2水平姿勢から前傾姿勢へと姿勢を変更することになる。そして、シーソー体33が第1水平姿勢にある場合と第2水平姿勢にある場合とでは、作動軸部37dと揺動軸部33cとの距離が異なる。そのため、モータ35を正回転させる場合と逆回転させる場合とで、シーソー体33が水平姿勢から前傾姿勢へと姿勢を変更する際の速さが異なる。したがって、モータ35の回転方向を変更することでシーソー体33の揺動に係る挙動、ひいては遊技球を通路部33aの前側(後側)への振り分け確率を変更することができ、パチンコ機1の大当たり確率等といった所謂スペックの違いに応じて使い分けたり、パチンコ機1に新たな遊技性をもたせたりすることができる。
【0051】
また、シーソー体33の通路部33aの一端側から下方へ延びる第1通路41と、他端側から下方へ延びる第2通路42とを設けるとともに、第1通路41と第2通路42との下流側に、両通路41、42が合流した後、更に遊技球を流下させる振分ステージ43を設け、さらに振分ステージ43において、第1通路41よりも第2通路42を流下してきた遊技球の方が入賞確率が高い位置に、遊技球が入賞可能な始動入賞口19を設けた。すなわち、遊技者にしてみると、シーソー役物30において遊技球が第2通路42へ振り分けられる方が望ましいことになる。そして、この第2通路42へ振り分けられる確率を、モータ35の回転方向を変更するだけで容易に変更することができる。
【0052】
さらに、モータ35の回転に伴いシーソー体33が揺動した際、モータ35の軸周りとは異なる軸周り(ここでは直交する軸周り)で回動する装飾部34bを備えた装飾可動体34を設けるとともに、モータ35の駆動をメイン制御装置61で制御するように構成した。すなわち、一般的にはサブ制御装置62により制御されることが多い装飾可動体34が、メイン制御装置61による制御のもとで駆動するモータ35で作動する。したがって、構成の合理化を図ることができる上、サブ制御装置62に係る負荷を低減することもできる。また、シーソー体33が揺動する軸と装飾部34bが回動する軸とが平行でないため、シーソー役物30全体で見ると動きが複雑であり、遊技性の向上をも図ることができる。
【0053】
(本発明の変更例について)
なお、本発明の遊技機に係る構成は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、遊技機全体の構成は勿論、シーソー役物の構造等に係る構成についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で必要に応じて適宜変更可能である。
【0054】
たとえば、上記実施形態では、駆動機構部として第1アームと第2アームとの2つのアームを設けているが3つ以上のアームを設けたり、ギアを介在させたりする等してもよく、駆動機構部を具体的にどのように構成するかについては適宜設計変更可能である。尚、第1アームや第2アームの形状についても上記実施形態の形状に何ら限定されることはない。
また、上記実施形態では、シーソー体を左右方向を軸として揺動させるように構成しているが、前後方向を軸として揺動させるようにしても何ら問題はない。加えて、可動遊技手段であるシーソー役物を複数個設けてもよいことは当然可能である。
【0055】
さらに、第1通路や第2通路を設けることなく、たとえば通路部の一端側にアウト口を他端側に入賞口(始動入賞口でなくともよい)を設ける等してもよい。
さらにまた、第1通路や第2通路を設けるにあたってもどのような通路とするかは適宜変更可能であるし、テーブルの有無や振分ステージの形状、入賞口の数や位置等についても上記実施形態のものに何ら限定されない。
【0056】
また、上記実施形態では、メイン制御装置からサブ制御装置へ開始コマンドと停止コマンドとを送信するようにしているが、サブ制御装置のタイマを用いる等することで、停止コマンドについては送信しない構成としても何ら問題はない。
【0057】
さらに、上記実施形態では、メイン制御装置とサブ制御装置との2つの制御装置に分けて制御するように構成しているが、メイン制御装置1つで制御するように構成してもよく、メイン制御装置によって演出用表示部における図柄の変動/停止表示を制御することに構成してもよいし、メイン制御装置1つで制御する際には、開始コマンドや予定情報等を作成する必要はない。また、上記実施形態では、特別図柄と装飾図柄との2種類の図柄を用いる遊技機としているが、特別図柄のみを用いた遊技機であってもよいし、特別図柄表示部を演出用表示部内や遊技領域内、センター部材等の他の位置に設けてもよい。
【0058】
さらにまた、上記実施形態では、大当たり抽選としてcカウンタ、dカウンタ、及びeカウンタの3つのカウンタから数値を取得するとしているが、1つのカウンタのみで対応することも可能であるし、2つのカウンタ若しくは4つ以上のカウンタから数値を取得するように構成することも当然可能である。なお、抽選手段としての乱数は、ソフト乱数、ハード乱数のどちらでも採用可能である。
【0059】
また、上記実施形態では、保留情報を消化するにあたり、チューリップ式電動役物への入賞に係る保留情報が存在すると、その保留情報のうち最も以前に記憶した保留情報を、チューリップ式電動役物への入賞に係る保留情報が存在しないと、始動入賞口への入賞に係る保留情報のうち最も以前に記憶した保留情報を優先して消化するとしているが、他の順序(たとえば、単純に保留情報を記憶した順等)で保留情報を消化するように構成することも勿論可能である。
【0060】
さらに、上記実施形態では、事前判定として大当たり抽選の結果に加え、基本変動パターンの種類までもを判定するとしているが、保留情報の数等により基本変動パターンは変化することもある。したがって、事前判定では、基本変動パターンの種類を一義的に判定するのではなく、たとえば図柄の変動が何秒以上となるかといった判定をしてもよい。さらには、事前判定では、少なくとも大当たり抽選の結果を判定していればよいと言える。
【0061】
さらにまた、上記実施形態では、遊技球が進入可能な進入口と、進入口を介して進入した遊技球が入賞可能であり、遊技球の入賞にもとづいて変動条件が充足される始動入賞口とを備えたセンター部材内に可動遊技手段を設けているが、センター部材外に可動遊技手段を設けることも当然可能である。
【0062】
加えて、上記実施形態では、遊技機の一例であるパチンコ機について説明しているが、本発明は、たとえば封入式パチンコ機等といった他の遊技機に対しても当然適用可能である。
なお、特許請求の範囲、明細書および図面に記載される全ての要素(例えば、通路手段、駆動機構手段、可動遊技手段、モータ側連係部、通路側連係部、リンク手段、第1通路、第2通路、合流流下領域、入賞口等)は、個数を意識的に限定する明確な記載がない限り、物理的に単一であっても複数であっても構わないし、適宜配置の変更が行われても構わない。また、特許請求の範囲や明細書等で使用している要素名(要素につけた名称)は、単に本件の記載のために便宜上付与したにすぎないものであり、それによって特別な意味が生じることを特に意識したものではない。すなわち、要素名のみによって要素が何であるかが限定解釈されるものではない。例えば、「制御手段」は、ハード単体でも、ソフトを含んだものであっても構わない。さらには、前記全ての要素のうちの複数の要素を適宜一体的に構成するか、もしくはひとつの要素を複数の要素に分けて構成するかは、敢えて特許請求の範囲等において特定していない限り、何れも当業者であれば極めて容易に考えられる事項であるため、あえて明細書等において全パターンを記載しなくても何れのパターンも想定範囲内であることは明らかであることから、本発明に係る権利範囲に含まれることは勿論である。したがって、その程度の範囲内での構成上の差異を有する遊技機を、本実施例に記載がなされていないことを理由に採用することのみでは、本発明に係る権利を回避したことにはならない。その他、各要素の構成や形状等における、本実施例から当業者であれば容易に考えられる自明な範囲の差異についても同様である。