(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記X線照射部は、X線管を支持する支柱が前記X線検出器の移動に合わせて移動することにより、前記X線の照射領域を移動させる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の医用画像診断装置。
前記超音波プローブによって受信された反射波に基づいて生成された超音波画像に基づいて、前記X線照射部によるX線の照射条件を変更する制御部をさらに備える、請求項7に記載の医用画像診断装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
以下、添付図面を参照して、本願に係る医用画像診断装置について説明する。以下では、本願に係る医用画像診断装置としてのマンモグラフィ装置について説明する。
図1は、第1の実施形態に係るマンモグラフィ装置1の構成の一例を示す図である。
【0010】
図1に示すように、第1の実施形態に係るマンモグラフィ装置1は、撮影装置100と、高電圧発生装置160と、コンソール200とを有する。撮影装置100は、
図1に示すように、基台部110と、アーム部120と、ツーブス130と、ブッキー装置140と、超音波プローブ150とを有する。また、撮影装置100は、X線管101と、X線検出器102と、圧迫板103と、支持部104と、上下レール105と、左右レール106と、動作制御回路111と、送受信回路112とを有する。
【0011】
基台部110は、アーム部120を鉛直方向に上下動可能に支持する。また、基台部110は、水平方向を軸として回動可能にアーム部120を支持する。アーム部120は、X線管101とX線検出器102とをそれぞれ対向するように保持する。また、アーム部120は、X線管101から照射されるX線の照射範囲を調整するためのツーブス(照射筒)130を保持する。また、アーム部120は、X線検出器102を格納するためのブッキー装置140を保持する。また、アーム部120は、上下レール105を介して圧迫板103を保持することで、圧迫板103をX線検出器102に対して進退動可能に保持する。また、アーム部120は、左右レール106を介して超音波プローブ150を保持することで、超音波プローブ150を圧迫板103の奥行き方向(図における左右方向)に直交する方向に移動可能に保持する。
【0012】
ツーブス130は、X線管101とX線検出器102とを結ぶ方向に伸縮可能に形成され、対向するX線管101とX線検出器102との間のX線管101側に保持される。ツーブス130は、X線管101から照射されたX線の広がりを抑止し、ファン状のX線束を形成する。また、ツーブス130は、図示しないコリメータを有し、X線管101から照射されたX線の照射範囲を調整する。また、ツーブス130は、X線管101の回転に伴って圧迫板103の奥行き方向に直交する方向で先端の向きを変化させる。なお、向きの変化については後に詳述する。ブッキー装置140は、X線検出器102を格納するとともに、被写体(乳房)が載置される。また、ブッキー装置140は、散乱線を除去して画像コントラストを改善するX線グリッドを保持し、X線グリッドを箔の方向と直交する方向に搖動させる。
【0013】
X線管101は、高電圧発生装置160から印加される電圧に基づいてX線を発生させる。また、X線管101は、水平方向を軸として回動することでX線の照射方向を変化させる。なお、X線の照射方向の変化については、後に詳述する。X線検出器102は、X線管101によって照射され、被写体を透過したX線を検出する。ここで、X線検出器102は、X線管101の回転移動に伴って圧迫板103の奥行き方向に直交する方向で位置を変化させる。なお、位置の変化については後に詳述する。
【0014】
例えば、X線検出器102は、光子計数検出器(フォトンカウンティング検出器)であり、1画素に入射したX線の光子を1つずつ検出し、その数を計数して出力する。すなわち、X線検出器102は、X線光子が入射するごとに、当該X線光子のエネルギー値を計測可能な信号を出力する。ここで、X線光子は、例えば、X線管101から照射され被写体を透過したX線光子である。
【0015】
X線検出器102は、X線光子が入射するごとに、1パルスの電気信号(アナログ信号)を出力する複数の検出素子を有する。マンモグラフィ装置1は、電気信号(パルス)の数を計数することで、各検出素子に入射したX線光子の数を計数することが可能である。また、マンモグラフィ装置1は、この信号に対して、演算処理を行なうことで、当該信号の出力を引き起こしたX線光子のエネルギー値を計測することができる。
【0016】
上記の検出素子は、例えば、シンチレータと光電子増倍管等の光センサとにより構成される。この場合、X線検出器102は、入射したX線光子をシンチレータによりシンチレータ光に変換し、シンチレータ光を光電子増倍管等の光センサにより電気信号に変換する間接変換型の検出器となる。また、上記の検出素子は、例えば、テルル化カドミウム(CdTe)や、テルル化カドミウム亜鉛(CdZnTe)などの半導体素子の場合であってもよい。この場合、X線検出器102は、入射したX線光子を、直接、電気信号に変換する直接変換型の検出器となる。
【0017】
例えば、X線検出器102は、検出素子が、圧迫板103の奥行き方向(図における左右方向)にN列配置された1ラインの検出器である。或いは、X線検出器102は、検出素子が、圧迫板103の奥行き方向にN列、奥行方向に直交する方向にM列配置された複数ラインの検出器である。圧迫板103は、撮影時に患者の乳房を圧迫するための圧迫器具であり、上下レール105と接続されX線検出器102に対して進退動する。支持部104は、両端部でX線管101とX線検出器102とをそれぞれ支持する。そして、支持部104は、図示しないモータの駆動力により、回転運動を行う。なお、この回転運動については、後に詳述する。
【0018】
超音波プローブ150は、圧迫板103の内側に配置され、左右レール106に接続されて圧迫板103の奥行方向に直交する方向に移動する。超音波プローブ150は、例えば、複数の圧電振動子を有し、これら複数の圧電振動子は、後述する送受信回路112から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。また、超音波プローブ150は、被写体からの反射波を受信して電気信号に変換する。また、超音波プローブ150は、圧電振動子に設けられる整合層と、圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。なお、超音波プローブ150は、左右レール106と着脱自在に接続される。すなわち、超音波プローブ150は、使用状況に応じて着脱され、種々の種類の超音波プローブを適用することができる。なお、超音波プローブ150は、複数の圧電振動子が一列に配置された1Dアレイプローブであってもよく、複数の圧電振動子がマトリックス状に配置された2Dアレイプローブであってもよい。
【0019】
動作制御回路111は、コンソール200から伝達される指示に基づいて、アーム部120の上下動及び回動、圧迫板103の進退動を制御する。また、動作制御回路111は、コンソール200から伝達される指示に基づいて、X線管101、X線検出器102、ツーブス130及び超音波プローブ150の動作を制御する。また、動作制御回路111は、コンソール200から伝達される指示に基づいて、ツーブス130の伸縮及びコリメータが有する絞り羽根の動作を制御する。
【0020】
送受信回路112は、パルス発生器、送信遅延部、パルサ等を有し、超音波プローブ150に駆動信号を供給する。パルス発生器は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。また、送信遅延部は、超音波プローブ150から発生される超音波をビーム状に集束し、かつ送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの遅延時間を、パルス発生器が発生する各レートパルスに対し与える。また、パルサは、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ150に駆動信号(駆動パルス)を印加する。すなわち、送信遅延部は、各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面から送信される超音波の送信方向を任意に調整する。
【0021】
また、送受信回路112は、プリアンプ、A/D(Analog/Digital)変換器、受信遅延部、加算器等を有し、超音波プローブ150が受信した反射波信号に対して各種処理を行って反射波データを生成する。プリアンプは、反射波信号をチャネルごとに増幅する。A/D変換器は、増幅された反射波信号をA/D変換する。受信遅延部は、受信指向性を決定するために必要な遅延時間を与える。加算器は、受信遅延部によって処理された反射波信号の加算処理を行なって反射波データを生成する。加算器の加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調され、受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的なビームが形成される。
【0022】
高電圧発生装置160は、後述するコンソール200による制御の下、高電圧を発生し、発生した高電圧をX線管101に供給する。
【0023】
コンソール200は、
図1に示すように、入力回路210と、ディスプレイ220と、記憶回路230と、処理回路240とを有する。
【0024】
入力回路210は、種々の設定などを行うためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード等によって実現される。入力回路210は、処理回路240に接続されており、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換し処理回路240へと出力する。ディスプレイ220は、操作者の指示を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)や、処理回路240によって生成された種々の画像を表示する。
【0025】
記憶回路230は、処理回路240によって生成された画像データを受け付けて記憶する。また、記憶回路230は、X線の照射条件を記憶する。なお、照射条件については、後に詳述する。また、記憶回路230は、
図1に示す各回路によって読み出されて実行される各種機能に対応するプログラムを記憶する。一例を挙げると、記憶回路230は、処理回路240によって読み出されて実行される制御機能241に対応するプログラム、超音波画像生成機能242に対応するプログラム、X線画像生成機能243に対応するプログラム及び表示制御機能244に対応するプログラムを記憶する。また、記憶回路230は、動作制御回路111によって読み出されて実行される動作制御機能に対応するプログラム、送受信回路112によって読み出されて実行される送受信機能に対応するプログラムを記憶する。
【0026】
処理回路240は、マンモグラフィ装置1全体の動作を制御する。具体的には、処理回路240は、装置全体を制御するための制御機能241に対応するプログラムを記憶回路230から読み出して実行することにより、種々の処理を実行する。例えば、処理回路240は、入力回路210から転送された操作者の指示に従って高電圧発生装置160を制御し、X線管101に供給する電圧を調整することで、被写体に対して照射されるX線量やON/OFFを制御する。また、例えば、処理回路240は、操作者の指示に従って動作制御回路111を制御し、アーム部120の上下動や回動、圧迫板103の進退動を調整する。また、処理回路240は、操作者の指示に従って動作制御回路111を制御し、X線管101、X線検出器102、ツーブス130、超音波プローブ150の動作を調整する。また、例えば、処理回路240は、操作者の指示に従って動作制御回路111を制御し、ツーブス130の伸縮及びコリメータが有する絞り羽根の開度を調整することで、被写体に対して照射されるX線の照射範囲を制御する。
【0027】
また、処理回路240は、操作者の指示に従って、送受信回路112を制御する。また、処理回路240は、X線画像及び超音波画像の生成処理や、生成した画像に対する画像処理、あるいは解析処理などを制御する。また、処理回路240は、操作者の指示を受け付けるためのGUIや記憶回路230が記憶する画像などを、ディスプレイ220に表示するように制御する。
【0028】
例えば、処理回路240は、超音波画像生成機能242に対応するプログラムを記憶回路230から読み出して実行することにより、各種超音波画像を生成する。一例を挙げると、処理回路240は、送受信回路112によって生成された反射波データから超音波画像を生成する。また、処理回路240は、X線画像生成機能243に対応するプログラムを記憶回路230から読み出して実行することにより、各種X線画像を生成する。一例を挙げると、処理回路240は、X線検出器102によってX線から変換された電気信号を用いてX線画像データを生成する。また、処理回路240は、表示制御機能244に対応するプログラムを記憶回路230から読み出して実行することにより、超音波画像やX線画像をディスプレイ220に表示させる。
【0029】
以上、第1の実施形態に係るマンモグラフィ装置1の構成について説明した。上述した構成のもと、本実施形態に係るマンモグラフィ装置1は、読影の効率を向上させることを可能にする。具体的には、マンモグラフィ装置1は、X線画像を撮影中の被検体から超音波画像を並行して収集することで、画像間における被検体の体勢の違い(撮影時の被検体の状態の違い)を無くし、画像間での比較を容易にするとともに、検査に係る時間を短縮することで読影の効率を向上させる。
【0030】
上述したように、乳がん検診においてはマンモグラフィ装置と超音波診断装置の両方の装置で検査を行うことで乳がんの検出率を挙げることができる。しかしながら、検査時の被検体の体勢の違い(マンモグラフィ装置では乳房を圧迫して撮影するのに対して、超音波診断装置では仰向けになってスキャンするため、それぞれでの乳房の形状が異なる)により、それぞれの画像での病変の位置を照らし合わせる際に精度が落ちる。そこで、本実施形態に係るマンモグラフィ装置1では、X線画像を撮影中の被検体から超音波画像を並行して収集することで、両方の画像を収集する際の乳房の形状を同一にして読影の効率を向上させる。また、本実施形態に係るマンモグラフィ装置1では、X線画像と超音波画像を同時に収集することができるため、乳がん検診を受診した受診者の苦痛(二度の乳房の露出)を低減するとともに、検査時間を短縮することを可能にする。
【0031】
なお、
図1に示す圧迫板103は、特許請求の範囲に記載した圧迫板の一例である。また、
図1に示すX線管101及びツーブス130は、特許請求の範囲に記載したX線照射部の一例である。また、
図1に示すX線検出器102は、特許請求の範囲に記載したX線検出器の一例である。また、
図1に示す超音波プローブ150は、特許請求の範囲に記載した超音波プローブの一例である。また、
図1に示す制御機能241は、特許請求の範囲に記載した制御部の一例である。
【0032】
本実施形態に係るマンモグラフィ装置1においては、X線照射部がX線の照射領域を前記圧迫板の奥行き方向に直交する方向に移動させながらX線を照射し、X線検出器がX線照射部によるX線の照射領域の移動に連動して、圧迫板の奥行き方向に直交する方向に移動し、超音波プローブが圧迫板の奥行き方向に直交する方向に移動させられながら超音波を送受信する。
【0033】
図2は、第1の実施形態に係るマンモグラフィ装置1における各部の動作について説明するための図である。
図2に示すように、マンモグラフィ装置1においては、超音波プローブ150が、アーム部120に配設された左右レール106に接続され、左右レール106に沿ってマンモグラフィ装置1の左右方向にスライド移動する。ここで、超音波プローブ150は、
図2に示すように、圧迫板103の奥行き方向が長手方向となるように形成される。すなわち、超音波プローブ150は、圧電振動子が圧迫板103の奥行き方向に複数配置され、短手方向(圧電振動子が1次元で配列されている場合には、圧電振動子の配列方向に直交する方向)にスライド移動する。
【0034】
また、超音波プローブ150及び圧迫板103は、アーム部120に配設された上下レール105に接続され、上下レール105に沿ってマンモグラフィ装置1の上下方向にスライド移動する。例えば、超音波プローブ150は、
図2に示すように、上下レール105に接続された左右レール106に接続されることにより、マンモグラフィ装置1の上下方向及び左右方向にスライド移動する。
【0035】
また、マンモグラフィ装置1は、
図2に示すように、アーム部120のX線管101側にツーブス130を有する。ツーブス130は、
図2の矢印11に示す方向で伸縮自在に形成される。ここで、ツーブス130は、超音波プローブ150と同様に、圧迫板103の奥行き方向が、直交する方向と比較して長くなるように形成される。さらに、ツーブス130は、アーム部120との接続部分を支点として、マンモグラフィ装置1の左右方向に先端を搖動される(回転される)ように形成される。
【0036】
また、マンモグラフィ装置1においては、X線検出器102が、超音波プローブ150と同様に、圧迫板103の奥行き方向が、直交する方向と比較して長くなるように形成され、奥行方向に直交する方向(マンモグラフィ装置1における左右方向)に移動される。すなわち、X線検出器102は、検出素子が圧迫板103の奥行き方向に複数配置され、短手方向(検出素子が1次元で配列されている場合には、検出素子の配列方向に直交する方向)に移動する。ここで、X線検出器102は、X線管101によるX線の照射方向の変化に連動して左右方向に移動する。
【0037】
図3は、第1の実施形態に係るX線管101及びX線検出器102の動作を説明するための図である。
図3は、
図2の矢印12の方向からマンモグラフィ装置1を見た場合のX線管101及びX線検出器102の動作を示す。第1の実施形態に係るX線管101及びX線検出器102は、マンモグラフィ装置1における所定の部位に対して動かされるように設けられる。例えば、X線管101は、
図3に示すように、マンモグラフィ装置1の奥行き方向(圧迫板103の奥行き方向)を軸として回転するように設けられる。すなわち、X線管101は、X線の照射方向をマンモグラフィ装置1の左右方向に変化させるように回転する。
【0038】
また、例えば、X線検出器102は、
図3に示すように、支持部104に支持された状態でマンモグラフィ装置1の左右方向に移動する。例えば、支持部104がX線管101の接続部分を支点として回転することにより、X線検出器102が左右方向に移動する。ここで、X線管101とX線検出器102とは連動するように制御される。すなわち、X線管101から照射されるX線が、常にX線検出器102によって検出されるように(例えば、X線の照射軸が前記X線検出器102の中心を通過するように)、X線管101の回転とX線検出器102の移動とが制御される。また、ツーブス130も、X線管101及びX線検出器102と連動する。すなわち、ツーブス130は、X線管101からのX線の照射方向に合わせて、アーム部120との接続部分を支点として、マンモグラフィ装置1の左右方向に先端が回転される。それにより、ツーブス130が有するコリメータ131が、
図3に示すように、X線管101及びX線検出器102と連動した動きをとることとなる。
【0039】
なお、
図3に示す動作は、あくまでも一例であり、X線がX線検出器102に対して照射されるものであれば、どのような動作制御が行われる場合であってもよい。例えば、X線管101を支持する支持部104が、X線検出器102の移動に合わせて移動することにより、X線の照射領域を移動させる場合であってもよい。
図3を用いて一例を挙げると、例えば、X線検出器102の移動に合わせて、X線管101の位置が変化するように制御することにより、X線の照射領域を移動させてもよい。また、X線管101の回転方向、X線検出器102、ツーブス130及び超音波プローブ150の移動方向は、任意に決定される。例えば、X線の照射領域及び超音波プローブ150を、被検体の体の中心軸から体の外側に向かって移動するように制御してもよい。一例を挙げると、まず、X線の照射領域及び超音波プローブ150が胸部の中心軸付近に配置され、配置された位置から左右の腕のいずれかの方向に向かって移動するように制御されてもよい。
【0040】
以上、各部の動作について説明した。なお、上述した各部の動作は、動作制御回路111によって制御される。次に、X線画像及び超音波画像を収集する場合の制御について説明する。
図4は、第1の実施形態に係る超音波画像及びX線画像の収集に関する制御を説明するための図である。なお、
図4においては、マンモグラフィ装置1を
図2の矢印12の方向から見た場合を示す。ここで、第1の実施形態に係るマンモグラフィ装置1においては、超音波画像がX線画像に先行して収集される。具体的には、超音波プローブ150は、X線照射部による被検体の乳房に対するX線の照射に先行して被検体の乳房に対して超音波を送受信する。
【0041】
例えば、動作制御回路111は、
図4の一段目の図に示すように、ツーブス130を圧迫板103の一方の端部(例えば、左端)に移動させるとともに収縮させることで、ツーブス130と圧迫板103との間にスペースをあける。そして、動作制御回路111は、あけたスペースに超音波プローブ150を配置する。次に、送受信回路112が超音波の送受信を開始するとともに、動作制御回路111が超音波プローブ150を他方の端部(例えば、右端)に向けてスライド移動させる。
【0042】
超音波プローブ150が移動することにより、ツーブス130と圧迫板103との間にスペースが生じると、
図4の二段目の図に示すように、動作制御回路111がツーブス130を伸長させて、X線管101がX線の照射を開始する。そして、動作制御回路111は、
図4の三段目の図に示すように、超音波プローブ150及びツーブス130を矢印13の方向に移動させる。この時、制御機能241は、高電圧発生装置160及び送受信回路112をそれぞれ制御して、X線画像及び超音波画像を連続的に収集する。例えば、制御機能241は、動作制御回路111によって超音波プローブ150及びX線検出器102が所定の距離移動するごとに、X線画像及び超音波画像を収集するように制御する。
【0043】
そして、超音波プローブ150が他方の端部に到達すると、動作制御回路111は、
図4の四段目の図に示すように、ツーブス130を一旦収縮させて、ツーブス130と圧迫板103との間にスペースをあけ、これまで移動してきた方向とは逆方向(
図4の矢印14の方向)に超音波プローブ150を移動させる。その後、動作制御回路111は、
図4の五段目の図に示すようにツーブス130を伸長させ、
図4の六段目の図に示すようにツーブス130を矢印15の方向(他方の端部側)に移動させる。
【0044】
上述したように、第1の実施形態に係るマンモグラフィ装置1においては、X線画像の収集に先立ち、超音波画像を収集する。ここで、各画像の収集は、被写体全体のデータが収集されるように制御される。上述したように、超音波画像及びX線画像は、被写体に対して移動しながら収集される。従って、各画像を収集する際に、超音波プローブ150及びX線検出器102が大きく動いてしまうと、移動前に収集されたデータと移動後に収集されたデータとの間に隙間ができてしまい、被写体において画像が収集されていない領域が生じることとなる。
【0045】
そこで、第1の実施形態に係るマンモグラフィ装置1においては、画像の収集領域に隙間が生じないように制御する。具体的には、動作制御回路111は、X線検出器102及び超音波プローブ150の1回の移動距離を、それぞれ圧迫板103の奥行き方向に直交する方向の長さ以下となるように制御する。
図5は、第1の実施形態に係るX線検出器102及び超音波プローブ150の移動距離の一例を説明するための図である。なお、
図5においては、マンモグラフィ装置1を
図2の矢印12の方向から見た場合を示す。例えば、動作制御回路111は、
図5に示すように、超音波プローブ150の移動距離「d1」が超音波プローブ150の幅(短手方向の長さ)「a」よりも短くなるように、超音波プローブ150を移動させる。また、動作制御回路111は、
図5に示すように、X線検出器102の移動距離「d2」がX線検出器102の幅(短手方向の長さ)「b」よりも短くなるように、X線検出器102を移動させる。このように移動することで、X線画像及び超音波画像それぞれにおいて、隣接するデータ間で重複する領域が含まれることとなり、被写体全体のデータを収集することができる。
【0046】
上述したように、第1の実施形態に係るマンモグラフィ装置1においては、X線画像の収集に先立ち、超音波画像を収集する。従って、マンモグラフィ装置1においては、先に収集された超音波画像の情報に基づいて、X線画像の収集を制御することもできる。例えば、制御機能241は、超音波画像の輝度値から被写体の組成を推定し、推定した組成に応じてX線の照射条件を決定することができる。一般的に、X線画像を収集する際、乳腺と脂肪を比較すると、乳腺の方がX線を減弱させやすい。従って、乳腺の多い領域を撮影する場合、脂肪の領域と比較して線量を多くした方がよい。
【0047】
そこで、制御機能241は、例えば、超音波画像の輝度値に基づいて、領域ごとに乳腺及び脂肪の比率を算出し、算出した比率に基づいて領域ごとの照射条件を決定する。
図6Aは、第1の実施形態に係る超音波画像の一例を示す図である。
図6Aに示すように、超音波画像においては、脂肪の領域が領域R1に示すような濃いグレーで描出され、乳腺の領域が領域R2に示すような薄いグレーで描出される。そこで、制御機能241は、例えば、輝度値の比率に応じて管電流を変調させる。
【0048】
図6Bは、第1の実施形態に係るX線の照射条件の一例を示す図である。ここで、
図6Bにおいては、横軸に画素値の比率(濃いグレー/薄いグレー)を示し、縦軸に管電流値「mAs値」を示した照射条件を示す。例えば、照射条件は、
図6Bに示すように、比率(濃いグレー/薄いグレー)が低いほど管電流値が高くなるように設定され、比率(濃いグレー/薄いグレー)が高くなるほど管電流値が低くなるように設定される。すなわち、乳腺の比率が高くなるほど管電流値を上げ、脂肪の比率が高くなるほど管電流値を下げるような照射条件が設定される。記憶回路230は、
図6Bに示すような照射条件を、乳房厚ごとに記憶しておく。制御機能241が、先に収集された超音波画像に基づいてX線画像を収集する領域ごとの画素値の比率を算出する。そして、制御機能241は、被検体の乳房厚に応じた照射条件を読み出し、算出した比率に基づいて領域ごとの管電流値を決定する。
【0049】
ここで、上述したように、領域ごとにX線の照射条件を変更すると、X線画像における輝度値が領域ごとに異なる照射条件に基づくものとなる。従って、X線画像生成機能243は、X線画像が同一の照射条件で収集されたように見せるために、各領域の輝度値に対して照射条件の比率を乗じる。これにより、適切な被曝線量でX線画像を収集することができる。
【0050】
なお、上述した例では、領域ごとに照射条件を変更する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、照射条件の変更は任意に行うことができる。例えば、超音波画像の輝度値の比率の連続的な変化に基づいて、管電流値を連続的に変更させる場合であってもよい。
【0051】
上述したように、第1の実施形態に係るマンモグラフィ装置1は、先行して収集する超音波画像に基づいて、X線の照射条件を変更することができる。さらに、マンモグラフィ装置1は、先行して収集する超音波画像に基づいて、X線の照射及び停止を制御することもできる。具体的には、制御機能241は、超音波画像に基づいて被検体の乳房の位置を判定し、判定した位置に基づいてX線の照射及び停止を制御する。
【0052】
図7は、第1の実施形態に係るX線の照射制御の一例を示す図である。ここで、
図7においては、
図2の矢印12の方向からマンモグラフィ装置1を見た場合の図を示す。例えば、制御機能241は、
図7の上段の図に示すように、超音波画像の収集が開始された後、収集された超音波画像に乳房が描出される位置に到達するまで、X線管101からX線を照射させずに、X線検出器102及びツーブス130を移動させる。そして、制御機能241は、超音波画像に乳房が描出された位置にX線の照射領域が到達すると、
図7の中段の図に示すように、X線管101からX線を照射させる。そして、超音波画像に乳房が描出されなくなる位置に到達すると、制御機能241は、
図7の下段の図に示すように、X線管101からのX線の照射を停止させる。
【0053】
上述したように、第1の実施形態に係るマンモグラフィ装置1は、X線画像の収集に先立って超音波画像を収集する。これにより、マンモグラフィ装置1は、同一の形状の乳房を対象として両方の画像を収集することができ、読影の効率を向上させることができる。さらに、マンモグラフィ装置1は、超音波画像とX線画像を同時に収集することができ、乳がん検診を受診した受診者の苦痛(二度の乳房の露出)を低減するとともに、検査時間を短縮することを可能にする。
【0054】
ここで、マンモグラフィ装置1は、超音波画像及びX線画像を収集すると、収集した両方の画像をディスプレイ220に表示させる。例えば、表示制御機能244は、収集された超音波画像及びX線画像をディスプレイ220に並列表示させる。また、マンモグラフィ装置1は、超音波画像とX線画像を同一の座標系で収集していることから、両方の画像の位置合わせを容易に行うことができる。そこで、例えば、表示制御機能244は、収集された超音波画像及びX線画像をディスプレイ220に重畳表示させる。この場合、表示制御機能244は、例えば、X線画像をグレースケールで表示させ、超音波画像をカラースケールで表示させる。
【0055】
次に、第1の実施形態に係るマンモグラフィ装置1による処理の手順について説明する。
図8は、第1の実施形態に係るマンモグラフィ装置1による処理の手順を示すフローチャートである。ここで、
図8におけるステップS104〜S109は、例えば、処理回路240が制御機能241に対応するプログラムを記憶回路230から呼び出して実行することにより実現される。また、ステップS110は、例えば、処理回路240が表示制御機能244に対応するプログラムを記憶回路230から呼び出して実行することにより実現される。
【0056】
ステップS101では、動作制御回路111が、ツーブス130を上方に退避させ、超音波プローブ150を端部に配置する。ステップS102では、送受信回路112が、超音波プローブ150によるスキャンを開始する。ステップS103では、動作制御回路111が、ツーブス130を下方に伸長させ、X線の照射領域を移動させる。ステップS104では、処理回路240が、超音波画像において乳房が検出されたか否かを判定する。
【0057】
ここで、超音波画像において乳房が検出された場合(ステップS104肯定)、ステップS105に進み、処理回路240が、超音波画像の情報(例えば、輝度値の比率)に基づいて、照射条件を決定する。なお、処理回路240は、超音波画像において乳房が検出されるまで判定を継続する(ステップS104否定)。そして、ステップS106において、処理回路240が、決定した照射条件でX線を照射するように制御する。
【0058】
ステップS107では、処理回路240が、超音波画像の情報(例えば、輝度値の比率)が変化したか否かを判定する。例えば、処理回路240は、X線を照射する領域ごとの超音波画像における輝度値の比率が、直前の領域における輝度値の比率から変化したか否かを判定する。ここで、超音波画像の情報が変化した場合(ステップS107肯定)、処理回路240は、ステップS105に戻って照射条件を決定する。
【0059】
一方、超音波画像の情報が変化していない場合(ステップS107否定)、処理回路240は、ステップS108に進み、超音波画像において乳房の端部に達したか否かを判定する。ここで、乳房の端部に達した場合(ステップS108肯定)、処理回路240は、ステップS109に進み、X線の照射を停止する。なお、乳房の端部に達していない場合(ステップS108否定)、処理回路240は、ステップS107及びステップS108の判定を継続する。ステップS109においてX線の照射が停止されると、ステップS110に進み、処理回路240は、超音波画像及びX線画像をディスプレイ220に表示させる。
【0060】
上述したように、第1の実施形態によれば、圧迫板103は、被検体の乳房を圧迫する。X線管101及びツーブス130は、X線の照射領域を圧迫板103の奥行き方向に直交する方向に移動させながらX線を照射する。X線検出器102は、X線管101及びツーブス130によるX線の照射領域の移動に連動して、圧迫板103の奥行き方向に直交する方向に移動する。超音波プローブ150は、圧迫板103の奥行き方向に直交する方向に移動させられながら超音波を送受信する。従って、第1の実施形態に係るマンモグラフィ装置1は、同一の形状の乳房を対象として両方の画像を収集することができ、読影の効率を向上させることができる。
【0061】
また、第1の実施形態によれば、X線管101及びツーブス130及びX線検出器102は、X線の照射軸がX線検出器102の中心を通過するように形成される。従って、第1の実施形態に係るマンモグラフィ装置1は、移動しながら正確にX線画像を収集することができる。
【0062】
また、第1の実施形態によれば、X線検出器102及び超音波プローブ150の1回の移動距離は、それぞれ圧迫板103の奥行き方向に直交する方向の長さ以下である。従って、第1の実施形態に係るマンモグラフィ装置1は、被写体全体の画像を収集することができる。
【0063】
また、第1の実施形態によれば、超音波プローブ150は、X線管101及びツーブス130による被検体の乳房に対するX線の照射に先行して被検体の乳房に対して超音波を送受信する。従って、第1の実施形態に係るマンモグラフィ装置1は、先に収集した超音波画像を用いてX線の制御を行うことができる。
【0064】
また、第1の実施形態によれば、制御機能241は、超音波プローブ150によって受信された反射波に基づいて生成された超音波画像に基づいて、X線の照射条件を変更する。従って、第1の実施形態に係るマンモグラフィ装置1は、被写体に適した照射条件でX線画像を収集することができる。
【0065】
また、第1の実施形態によれば、制御機能241は、超音波画像に基づいて被検体の乳房の位置を判定し、判定した位置に基づいてX線の照射及び停止を制御する。従って、第1の実施形態に係るマンモグラフィ装置1は、不要な被曝を低減することができる。
【0066】
(第2の実施形態)
さて、これまで第1の実施形態について説明したが、上述した第1の実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
【0067】
上述した第1の実施形態では、X線画像の収集に先立って超音波画像を収集する場合を例に挙げて説明したが、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、X線画像が先に収集される場合であってもよい。
【0068】
また、第1の実施形態では、超音波画像における輝度値の比率に基づいて管電流値を調整する場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではなく、その他任意の条件を調整する場合であってもよい。例えば、管電圧を調整する場合であってもよい。
【0069】
また、第1の実施形態では、超音波画像における輝度値の比率に基づいて照射条件を変更する場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではなく、超音波画像における任意の情報を用いることができる。例えば、超音波画像の各領域における輝度値の平均値を用いる場合であってもよい。
【0070】
以上述べた少なくともひとつの実施形態の医用画像診断装置によれば、読影の効率を向上させることが可能となる。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。