(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年のエレクトロニクスの発展に伴い、メモリや集積回路といった半導体の需要が急激に増大している。
これらの半導体は、きわめて純度の高い半導体基板に不純物をドープして電気的性質を与えたり、エッチングにより半導体基板上に微細な回路を形成したりなどして製造される。
【0003】
そして、これらの作業は空気中の塵等による影響を避けるため高真空状態のチャンバ内で行われる必要がある。このチャンバの排気には、一般に真空ポンプが用いられているが、特に残留ガスが少なく、保守が容易等の点から真空ポンプの中の一つであるターボ分子ポンプが多用されている。
【0004】
また、半導体の製造工程では、さまざまなプロセスガスを半導体の基板に作用させる工程が数多くあり、ターボ分子ポンプはチャンバ内を真空にするのみならず、これらのプロセスガスをチャンバ内から排気するのにも使用される。
【0005】
このターボ分子ポンプは、ポンプ本体とそのポンプ本体を制御する制御装置とからなる。
ポンプ本体と制御装置との間は、通常、ケーブルとコネクタプラグ機構とで接続される。このポンプ本体と制御装置間のケーブルの接続ミスやケーブルの長さ調整の煩雑さを回避するため、従来特許文献1のようにポンプ本体と制御装置をポンプの軸方向に着脱自在にできる構造が知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、一般的にはこのように一体化されたポンプ本体と制御装置周りの空きスペースは狭い。特に軸方向にはスペース的な余裕の無いことが多い。このため、保守の際には一体化されたポンプ本体と制御装置を一旦チャンバから外し、作業スペースの十分に取れる場所までポンプ本体と制御装置を一体化させたまま移動してから保守を行う必要があった。
【0008】
また、このようにポンプ本体底部で軸方向に端子の配設されている場合、ポンプ本体側の端子と制御装置側の端子の位置を合わせるのにはポンプ本体と制御装置間のわずかの隙間から作業員が端子の箇所を覗きつつ端子の着脱を確認する必要があり、位置合わせするのが難しく保守作業が簡単ではなかった。
【0009】
更に、ポンプ本体には後述する水冷管が配設されている。この水冷管によるポンプ本体の冷却により、ポンプ本体の周囲に結露等の水滴が生じることがある。そして、ポンプ本体と制御装置の分離の際には、この水滴がポンプ本体の周囲よりコネクタ接続部へ侵入する恐れがあった。
【0010】
本発明はこのような従来の課題に鑑みてなされたもので、現場での保守作業の効率を上げ、かつ、回路分離時等でカバーを外した際に、コネクタ接続部への水の侵入を防止する真空ポンプ及び該真空ポンプに適用される防水構造、制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このため本発明(請求項1)は、ポンプ本体のベース部に対し制御装置が着脱自在に配設され、防水構造を備えた真空ポンプであって、前記防水構造は、前記ベース部の側部に配設され、該ベース部と前記制御装置間を電気的ケーブルを介して結ぶコネクタ部と、該コネクタ部の周囲に前記ベース部と前記制御装置をまたがり突設された壁部と、該壁部を覆う壁部カバーとを備え
、前記壁部カバーが前記ベース部と前記制御装置のそれぞれの外形に合うように形成されたことを特徴とする。
【0012】
コネクタがベース部の側部に配設されているので、ポンプの軸方向には十分な空きスペースが無くても容易にポンプ本体と制御装置の着脱が行える。ベース部及び制御装置の側部には壁部がベース部及び制御装置にまたがり周状に突設されている。このため、保守作業の際にカバーを取り外した場合であってもこの壁部により水滴の侵入を防ぐことができる。これにより、保守作業時における回路の安全が図れる。
ポンプ周りに邪魔な出っ張りは無くなり保守作業がし易く、美観にも優れる。
【0013】
また、本発明(請求項2)は真空ポンプの発明であって、前記ベース部と前記制御装置の間に形成された隙間を備え、該隙間の外周を覆う隙間カバー部が前記壁部カバーの内側に配設されたことを特徴とする。
【0014】
このことにより、隙間を伝って流れる水滴の侵入をより一層厳格に防ぐことができる。これにより、保守作業時における回路の安全がより確実に図れる。隙間カバー部はカバーに対して一体として構成されてもよいし、別体で構成されることも可能である。
【0015】
更に、本発明(請求項3)は真空ポンプの発明であって、前記ベース部と前記制御装置の間に形成された隙間を備え、前記制御装置の外周面を前記ポンプ本体の前記ベース部側に突設させることで前記隙間の外周を覆うことを特徴とする。
【0016】
制御装置を形成する外周面をポンプの軸方向に突設させる。この突設部分により隙間の外周を覆うことで、隙間にはより一層水滴が侵入し難くなる。これにより、保守作業時における回路の安全がより一層確実に図れる。
【0017】
更に、本発明(請求項4)は真空ポンプの発明であって、前記ベース部と前記制御装置の間に形成された隙間を備え、前記制御装置の上面の一端を前記ポンプ本体の前記ベース部側に折り曲げた折曲片を備え、該折曲片により前記隙間の外周を覆うことを特徴とする。
【0018】
制御装置の上面の一端を折り曲げて折曲片を形成する。この折曲片により隙間の外周を覆うことで、隙間にはより一層水滴が侵入し難くなる。これにより、保守作業時における回路の安全がより一層確実に図れる。
【0019】
更に、本発明(請求項5)は真空ポンプの発明であって、前記隙間に対し水の浸入を防ぐためのシール部材が配設されたことを特徴とする。
【0020】
隙間に対しシール部材が挿入されたことで、この隙間には水滴が侵入し難い。
【0021】
更に、本発明(請求項6)は真空ポンプの発明であって、前記壁部又は前記制御装置の前記上面に排水のための溝若しくは穴が形成されたことを特徴とする。
【0022】
壁部に水滴の通る溝若しくは穴を形成したことで、カバーを外したときでも水滴はこの溝若しくは穴に沿って流れるため内側に侵入することはない。これにより、保守作業時における回路の安全が図れる。
【0025】
更に、本発明(請求項
7)は防水構造の発明であって、請求項1〜
6のいずれか1項に記載の真空ポンプに配置されたことを特徴とする。
【0026】
真空ポンプはケーブルの本数が多く嵩張り易いが、上記防水構造を搭載することでポンプの側部から容易に保守作業が行える。
【0027】
更に、本発明(請求項
8)は制御装置の発明であって、請求項1〜
6のいずれか1項に記載の真空ポンプに適用され、前記ポンプ本体に対して径方向に移動することで着脱自在であることを特徴とする。
【0028】
制御装置を径方向に移動自在としたことでポンプの軸方向に作業スペースが十分に取れない所でも容易に保守作業が行える。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように本発明(請求項1)によれば、ベース部の側部にコネクタを配設し、このコネクタの周囲にベース部と制御装置とをまたがり壁部を形成したので、ポンプの軸方向には十分な空きスペースが無くても容易にポンプ本体と制御装置の着脱が行える。また、保守作業の際にカバーを取り外した場合であっても壁部により水滴の侵入を防ぐことができる。これにより、保守作業時における回路の安全が図れる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の第1実施形態について説明する。本発明の第1実施形態の構成図を
図1に示す。
図1において、ターボ分子ポンプ10は、ポンプ本体100と制御装置200とが一体化されている。
【0032】
ポンプ本体100の円筒状の外筒127の上端には吸気口101が形成されている。外筒127の内方には、ガスを吸引排気するためのタービンブレードによる複数の回転翼102a、102b、102c・・・を周部に放射状かつ多段に形成した回転体103を備える。
【0033】
この回転体103の中心にはロータ軸113が取り付けられており、このロータ軸113は、例えば、いわゆる5軸制御の磁気軸受により空中に浮上支持かつ位置制御されている。
【0034】
上側径方向電磁石104は、4個の電磁石が、ロータ軸113の径方向の座標軸であって互いに直交するX軸とY軸とに対をなして配置されている。この上側径方向電磁石104に近接かつ対応されて4個の電磁石からなる上側径方向センサ107が備えられている。この上側径方向センサ107は回転体103の径方向変位を検出し、制御装置200に送るように構成されている。
【0035】
制御装置200においては、上側径方向センサ107が検出した変位信号に基づき、PID調節機能を有する補償回路を介して上側径方向電磁石104の励磁を制御し、ロータ軸113の上側の径方向位置を調整する。
【0036】
ロータ軸113は、高透磁率材(鉄など)などにより形成され、上側径方向電磁石104の磁力により吸引されるようになっている。かかる調整は、X軸方向とY軸方向とにそれぞれ独立して行われる。
【0037】
また、下側径方向電磁石105及び下側径方向センサ108が、上側径方向電磁石104及び上側径方向センサ107と同様に配置され、ロータ軸113の下側の径方向位置を上側の径方向位置と同様に調整している。
【0038】
更に、軸方向電磁石106A、106Bが、ロータ軸113の下部に備えた円板状の金属ディスク111を上下に挟んで配置されている。金属ディスク111は、鉄などの高透磁率材で構成されている。ロータ軸113の軸方向変位を検出するために軸方向センサ109が備えられ、その軸方向変位信号が制御装置200に送られるように構成されている。
【0039】
そして、軸方向電磁石106A、106Bは、この軸方向変位信号に基づき制御装置200のPID調節機能を有する補償回路を介して励磁制御されるようになっている。軸方向電磁石106Aと軸方向電磁石106Bは、磁力により金属ディスク111をそれぞれ上方と下方とに吸引する。
【0040】
このように、制御装置200は、この軸方向電磁石106A、106Bが金属ディスク111に及ぼす磁力を適当に調節し、ロータ軸113を軸方向に磁気浮上させ、空間に非接触で保持するようになっている。
【0041】
モータ121は、ロータ軸113を取り囲むように周状に配置された複数の磁極を備えている。各磁極は、ロータ軸113との間に作用する電磁力を介してロータ軸113を回転駆動するように、制御装置200によって制御されている。
【0042】
回転翼102a、102b、102c・・・とわずかの空隙を隔てて複数枚の固定翼123a、123b、123c・・・が配設されている。回転翼102a、102b、102c・・・は、それぞれ排気ガスの分子を衝突により下方向に移送するため、ロータ軸113の軸線に垂直な平面から所定の角度だけ傾斜して形成されている。
【0043】
また、固定翼123も、同様にロータ軸113の軸線に垂直な平面から所定の角度だけ傾斜して形成され、かつ外筒127の内方に向けて回転翼102の段と互い違いに配設されている。
そして、固定翼123の一端は、複数の段積みされた固定翼スペーサ125a、125b、125c・・・の間に嵌挿された状態で支持されている。
【0044】
固定翼スペーサ125はリング状の部材であり、例えばアルミニウム、鉄、ステンレス、銅などの金属、又はこれらの金属を成分として含む合金などの金属によって構成されている。
【0045】
固定翼スペーサ125の外周には、わずかの空隙を隔てて外筒127が固定されている。外筒127の底部にはベース部129が配設され、固定翼スペーサ125の下部とベース部129の間にはネジ付きスペーサ131が配設されている。そして、ベース部129中のネジ付きスペーサ131の下部には排気口133が形成され、外部に連通されている。
【0046】
ネジ付きスペーサ131は、アルミニウム、銅、ステンレス、鉄、又はこれらの金属を成分とする合金などの金属によって構成された円筒状の部材であり、その内周面に螺旋状のネジ溝131aが複数条刻設されている。
ネジ溝131aの螺旋の方向は、回転体103の回転方向に排気ガスの分子が移動したときに、この分子が排気口133の方へ移送される方向である。
【0047】
回転体103の回転翼102a、102b、102c・・・に続く最下部には回転翼102dが垂下されている。この回転翼102dの外周面は、円筒状で、かつネジ付きスペーサ131の内周面に向かって張り出されており、このネジ付きスペーサ131の内周面と所定の隙間を隔てて近接されている。
【0048】
ベース部129は、ターボ分子ポンプ10の基底部を構成する円盤状の部材であり、一般には鉄、アルミニウム、ステンレスなどの金属によって構成されている。
【0049】
ベース部129はターボ分子ポンプ10を物理的に保持すると共に、熱の伝導路の機能も兼ね備えているので、鉄、アルミニウムや銅などの剛性があり、熱伝導率も高い金属が使用されるのが望ましい。
【0050】
かかる構成において、回転翼102がモータ121により駆動されてロータ軸113と共に回転すると、回転翼102と固定翼123の作用により、吸気口101を通じてチャンバからの排気ガスが吸気される。
【0051】
吸気口101から吸気された排気ガスは、回転翼102と固定翼123の間を通り、ベース部129へ移送される。このとき、排気ガスが回転翼102に接触又は衝突する際に生ずる摩擦熱や、モータ121で発生した熱の伝導や輻射などにより、回転翼102の温度は上昇するが、この熱は、輻射又は排気ガスの気体分子等による伝導により固定翼123側に伝達される。
【0052】
固定翼スペーサ125は、外周部で互いに接合しており、固定翼123が回転翼102から受け取った熱や排気ガスが固定翼123に接触又は衝突する際に生ずる摩擦熱などを外筒127やネジ付きスペーサ131へと伝達する。
ネジ付きスペーサ131に移送されてきた排気ガスは、ネジ溝131aに案内されつつ排気口133へと送られる。
【0053】
ところで、プロセスガスは、反応性を高めるため高温の状態でチャンバに導入される場合がある。そして、これらのプロセスガスは、排気される際に冷却されてある温度になると固体となり排気系に生成物を析出する場合がある。
そして、この種のプロセスガスがターボ分子ポンプ10内で低温となって固体状となり、ターボ分子ポンプ10内部に付着して堆積する場合がある。
【0054】
ターボ分子ポンプ10内部にプロセスガスの析出物が堆積すると、この堆積物がポンプ流路を狭め、ターボ分子ポンプ10の性能を低下させる原因となる。
【0055】
ここに、前述した生成物は排気口付近の温度が低い部分、特に回転翼102d及びネジ付きスペーサ131付近で凝固、付着し易い状況にあった。この問題を解決するために、従来はベース部129等の外周に図示しないヒータや環状の水冷管を巻着させ、かつ例えばベース部129に図示しない温度センサ(例えばサーミスタ)を埋め込み、この温度センサの信号に基づきベース部129の温度を一定の高い温度(設定温度)に保つようにヒータの加熱や水冷管による冷却の制御が行われている。
【0056】
次に、ポンプ本体100と制御装置200間で制御ケーブル、電源ケーブルを接続する端子周りの構造について説明する。
図2において、ベース部129及び制御装置200の側部には壁部202が周状に突設されている。そして、この壁部202を覆い嵌合するように壁部カバー201が着脱自在になっている。この壁部カバー201を含むベース部129と制御装置200の正面図を
図3に、
図3中の矢視線A−Aによる水平断面図を
図4に示す。また、
図2は、
図4中の矢視線B−Bによるベース部129及び制御装置200周りの縦断面図を示している。
【0057】
ベース部129内にはポンプ本体100内の磁気軸受やモータ等の配線用に空間203が形成されている。この空間203内は真空雰囲気であり、一方、制御装置200や制御装置200との接続部は大気雰囲気である。
そして、この空間203の右端周りの壁部にはハーメチックコネクタ205が取り付けられている。このハーメチックコネクタ205とベース部129の間には図示しないOリングがOリング用の溝207に配設されている。ハーメチックコネクタ205には多数のピン209が貫通されている。ピン209の右端は露出され、中継基板211の図示しない小穴を貫通している。制御装置200との接続のための中継基板211に対してピン209は中継基板211の小穴部分でハンダ付けされている。
【0058】
中継基板211の下端には端子213が配設され、ハーネス215の一端が着脱自在なようになっている。ハーネス215の他端は制御装置200内部に延びている。一方、ピン209の左端には図示しない制御ケーブルや電源ケーブルが接続され、空間203の内部に通されている。
【0059】
制御装置200を形成する筐体の上部には蓋217が配設されている。ベース部129と制御装置200の間には断熱のため1mm程度の隙間210が形成されている。この隙間210には水滴が内部に侵入しないように外周側に環状若しくは帯状のシール部材219が間装されている。そして、このシール部材219と蓋217の右端を覆うように隙間カバー部201aがベース部129と制御装置200に対して当接されている。この隙間カバー部201aは隙間210に沿ってカバーの内側において突設されたものである。隙間カバー部201aは、蓋217や制御装置200の筐体部と別体として構成されても良いし、後述するように蓋217や制御装置200の筐体部と一体として構成されても良い。
【0060】
図4に示す通り、壁部カバー201はベース部129及び制御装置200の外形に合わせて曲面状に形成されている。但し、ポンプが角形の場合には平面状に形成される等ポンプの形状に合わせるのが望ましい。また、この壁部カバー201は
図3に示す通り、配線の引き回しの関係でベース部129側の周長が短く、制御装置200側の周長が長く形成されている。
【0061】
次に、本発明の第1実施形態の作用を説明する。
まず、保守作業を行う際の手順について
図5に基づき説明する。
図5(a)に示すように、保守作業を行う際にはベース部129及び制御装置200の側部より壁部カバー201を外す。
図5(b)ではハーネス215を端子213から外す。次に、
図5(c)では図示しないベース部129及び制御装置200間を締結していたボルトを取り外し、制御装置200の筐体を数十ミリ程度下げる。次に
図5(d)に示すように、制御装置200の筐体をポンプの径方向に引き出す。
【0062】
このことにより、真空ポンプの軸方向には十分な空きスペースが無くても容易にポンプ本体100と制御装置200の着脱が行える。この場合には、ポンプ本体100を図示しないチャンバに取り付けた状態であっても制御装置200の保守作業が容易に行える。真空ポンプの側部に端子が配置されているので壁部カバー201を外すことで見易く、ハーネス215の端子213への着脱も容易である。
【0063】
次に、保守作業を行う際に、水滴等がコネクタ接続部へ侵入するのを防止する機能について説明する。
水冷管による冷却により、ベース部129の周囲には結露を生じている場合がある。また、保守の際には水冷管から水滴が漏れる恐れもある。これに対し、
図2に示すように、ベース部129及び制御装置200の側部には壁部202がベース部129及び制御装置200にまたがり周状に突設されている。このため、保守作業の際に壁部カバー201を取り外した場合であってもこの壁部202により水滴の侵入を防ぐことができる。更に、隙間210にはシール部材219と蓋217が挿入されている。このため、この隙間210には水滴が侵入し難い。
【0064】
また、シール部材219と蓋217の右端を覆うように隙間カバー部201aがベース部129と制御装置200に対して当接されている。このため、隙間210を伝って流れる水滴の侵入をより一層厳格に防ぐことができる。これにより、保守作業時における回路の安全が確実に図れる。
なお、このようにシール部材219を配設した場合には、壁部202はベース部129側と制御装置200側とに分離されてもよい。また、壁部202の一部にはケーブルを外部に出すための切欠きが形成されてもよい。この場合、ベース部129側の壁部は庇と両側に壁を突設したコの字状の壁とするのが望ましい。制御装置200側の壁部はシール部材219の設けられている箇所に一部切欠きを設けることができる。
【0065】
図2の隙間カバー部201aに代えて
図6に示すように構成されてもよい。即ち、制御装置200を形成する筐体の中継基板211に対峙する側の側面は、蓋217及びシール部材219の厚みを覆う範囲まで突設部200aを軸方向上部に向けて突設させる。このことにより、
図2と同様に隙間210には水滴が侵入し難くなる。これにより、保守作業時における回路の安全が図れる。
【0066】
また、
図2の隙間カバー部201aに代えて
図7に示すように構成されてもよい。即ち、蓋217の右端はシール部材219の厚みを覆う範囲までL字状に折曲げられ折曲片217aが形成されている。このことによっても同様に隙間210には水滴が侵入し難くなる。これにより、保守作業時における回路の安全が図れる。
【0067】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
本発明の第2実施形態は、壁部に対し溝及び穴を形成することにより水滴を誘導し制御装置200より排水する構造である。
図8(a)はベース部のカバーを取ったときの平面図、
図8(b)はベース部の側面図を示す。
図8において、図示しないハーメチックコネクタ205周りには壁部222が突設されている。そして、この壁部222を覆い嵌合するように図示しない壁部カバー201が着脱自在になっている。壁部222の外周には溝223が形成されており、水滴225がこの溝223に沿って流れるようになっている。
【0068】
かかる構成において、壁部カバー201を外したときでも水滴225はこの溝223に沿って流れるため内側に侵入することはない。これにより、保守作業時における回路の安全が図れる。なお、壁部222の形状は水滴225が溝223に沿って流れる構造であれば、三角形以外にも四角形や丸形等であってもよい。
【0069】
また、第2実施形態の別形態を
図9に示す。
図9(a)はベース部のカバーを取ったときの平面図、
図9(b)はベース部の側面図を示す。
図9において、図示しないハーメチックコネクタ205周りには壁部232が突設されている。そして、この壁部232を覆い嵌合するように図示しない壁部カバー201が着脱自在になっている。壁部232の上面には溝235が形成されており、水滴225がこの溝235に沿って流れるようになっている。溝235は穴237と連結しており、この穴237は通孔239の入り口になっている。溝235を通った水滴225は通孔239を通り落下する。
【0070】
かかる構成において、壁部カバー201を外したときでも水滴225は溝235、穴237及び通孔239を流れるため内側に侵入することはない。これにより、保守作業時における回路の安全が図れる。
【0071】
なお、本発明の実施形態及び各変形例は、必要に応じて組み合わせる構成にしてもよい。また、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変をなすことができ、そして、本発明が当該改変されたものにも及ぶことは当然である。