(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポンプ収容室、吸入通路、吐出通路、前記吸入通路と前記吐出通路を接続する第1通路、前記吸入通路と前記吐出通路を接続する第2通路、前記第1通路と前記ポンプ収容室の第1ポートを連通させる第1連通路、前記第2通路と前記ポンプ収容室の第2ポートを連通させる第2連通路、適用対象物に接合される接合面を含むボディと、
前記ポンプ収容室に収容されて所定の軸線回りに回転する容積型のポンプユニットと、
前記第1通路に配置された第1吸入逆止弁及び第1吐出逆止弁と、
前記第2通路に配置された第2吸入逆止弁及び第2吐出逆止弁と、を備え、
前記第1通路及び第2通路は、前記ポンプ収容室を挟んだ両側において、それぞれ直線状に形成され、
前記ポンプ収容室は、前記軸線の方向において前記接合面にて開口し、
前記吸入通路、前記吐出通路、前記第1連通路、及び前記第2連通路は、前記接合面にて開口する溝通路として形成され、
前記第1通路及び第2通路は、前記接合面に平行で前記ボディの同一側面にて開口する直線状の穴通路として形成されている、
ことを特徴とするポンプ装置。
前記第1吸入逆止弁は、前記第1大径通路に嵌合される第1吸入シート部材、前記第1吸入シート部材に着座し得る第1吸入弁体、前記第1吸入弁体を前記第1吸入シート部材に向けて付勢する第1吸入付勢バネを含み、
前記第1吐出逆止弁は、前記第1小径通路に嵌合される第1吐出シート部材、前記第1吐出シート部材に着座し得る第1吐出弁体、前記第1吐出弁体を前記第1吐出シート部材に向けて付勢する第1吐出付勢バネを含み、
前記第2吸入逆止弁は、前記第2大径通路に嵌合される第2吸入シート部材、前記第2吸入シート部材に着座し得る第2吸入弁体、前記第2吸入弁体を前記第2吸入シート部材に向けて付勢する第2吸入付勢バネを含み、
前記第2吐出逆止弁は、前記第2小径通路に嵌合される第2吐出シート部材、前記第2吐出シート部材に着座し得る第2吐出弁体、前記第2吐出弁体を前記第2吐出シート部材に向けて付勢する第2吐出付勢バネを含む、
ことを特徴とする請求項7に記載のポンプ装置。
前記逃し弁は、前記第3通路に嵌合される逃しシート部材、前記逃しシート部材に着座し得る逃し弁体、前記逃し弁体を前記逃しシート部材に向けて付勢する逃し付勢バネを含み、
前記逃し付勢バネは、前記第3通路を塞ぐプラグに当接している、
ことを特徴とする請求項2に記載のポンプ装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面の
図1ないし
図11を参照しつつ説明する。尚、
図1において、軸線Sは、接合面10aに垂直な直線であり、軸線X1,X2,X3は、互いに平行でかつ接合面10aに平行な直線であり、各溝通路の中心線Yi,Yo,Ycは、互いに平行で、接合面10aに平行で、かつ、軸線X1,X2,X3に垂直な直線である。ここで、中心線Ycは、中心線Yiと中心線Yoの間を略二等分する中間に位置する。
【0022】
この実施形態に係るポンプ装置は、電気自動車用のEVモータ、ハイブリッド電気自動車用のHEVモータ等の適用対象物の潤滑及び冷却系において、流体としてのオイルを加圧して供給しつつ循環させるものとして適用される。
【0023】
ポンプ装置は、ボディ10、ポンプユニット20、第1吸入逆止弁30、第1吐出逆止弁40、第2吸入逆止弁50、第2吐出逆止弁60、逃し弁70、3つのプラグ80を備えている。
ポンプユニット20は、内接ギヤポンプであり、インナーロータ21、アウターロータ22、回転軸23を備えている。
【0024】
ボディ10は、アルミニウム合金等の材料を用いて、金型鋳造により、外輪郭が略矩形をなす所定厚さの平板状に形成される。
ボディ10は、接合面10a、側面10b、締結ボルト(不図示)を通す4つの円孔10c、ポンプ収容室11、吸入通路12、吐出通路13、第1通路14、第2通路15、第1連通路16、第2連通路17、第3通路18、軸受穴19を備えている。
【0025】
接合面10aは、EVモータ、HEVモータ等の適用対象物のハウジングに接合されるものであり、金型成形後の機械加工により軸線Sに垂直で平滑な平面に形成されている。
側面10bは、第1通路14、第2通路15、第3通路18が開口する同一側面として、接合面10aに対して略垂直な平坦面に形成されている。
【0026】
ポンプ収容室11は、ボディ10の略中央領域において、接合面10aにて開口する略円筒状の凹部として鋳抜かれた後に、機械加工により所定半径をなす内周面11a及びスラスト面11bを画定するように形成されている。
また、ポンプ室11には、スラスト面11bにて開口する第1ポート11c及び第2ポート11dが、軸線S方向の奥側に隣接して形成されている。
【0027】
ポンプ収容室11は、接合面10aと面一になるようにポンプユニット20を収容する。そして、スラスト面11bが、インナーロータ21及びアウターロータ22の一側面を軸線S方向において回動自在に支持し、内周面11aが、アウターロータ22の外周面を軸線S回りに回動自在に支持する。
尚、ポンプ収容室11は、回転軸23が通る領域を除いて、適用対象物の接合面により閉塞され、インナーロータ21及びアウターロータ22の他側面は、軸線S方向において適用対象物の接合面により回動自在に支持されるようになっている。
【0028】
第1ポート11cは、軸線S方向から視て三ケ月状の輪郭をなし、第1連通路16と接続されると共にスラスト面11bから軸線S方向の奥側に肉抜きされて形成されている。
第2ポート11dは、軸線S方向から視て三ケ月状の輪郭をなし、第2連通路17と接続されると共にスラスト面11bから軸線S方向の奥側に肉抜きされて形成されている。
第1ポート11cと第2ポート11dは、中心線Yc方向において、軸受穴19を挟んで略180度離れて対称的に配置されている。
【0029】
そして、ポンプユニット20が一方向に回転(正回転)するとき、第1ポート11cはオイルを吸入する吸入ポートとして機能し、第2ポート11dはオイルを吐出する吐出ポートとして機能する。一方、ポンプユニット20が他方向に回転(逆回転)するとき、第1ポート11cはオイルを吐出する吐出ポートとして機能し、第2ポート11dはオイルを吸入する吸入ポートとして機能する。
【0030】
ここでは、第1ポート11c及び第2ポート11dが、ポンプ収容室11のスラスト面11bにて開口するように形成されている。したがって、第1ポート11c及び第2ポート11dを軸線Sの方向において第1連通路16及び第2連通路17と重なる領域に配置することができ、軸線S方向におけるボディ10の薄型化を達成することができる。
【0031】
吸入通路12は、中心線Yi方向に伸長するように金型成形時に鋳抜かれて、第1通路14、第2通路15、第3通路18に接続され、接合面10aにて開口する細長い溝通路として形成されている。
また、吸入通路12は、中心線Yi方向における第1通路14と第2通路15の間の領域において、円筒凹部12aを備えている。
円筒凹部12aは、適用対象物のオイル出口に対応するものである。
そして、吸入通路12は、円筒凹部12aを除いて、その開口部分が適用対象物の接合面により閉塞されるようになっている。
【0032】
吐出通路13は、中心線Yo方向に伸長するように金型成形時に鋳抜かれて第1通路14及び第2通路15に接続され、かつ、中心線Yoに対して所定角度で屈曲して伸長するように鋳抜かれて第3通路18に接続され、接合面10aにて開口する細長い溝通路として形成されている。
また、吐出通路13は、中心線Yo方向における第1通路14と第2通路15の間の領域において半円筒凹部13a、X1及びX2軸線上において円筒凹部をなす壁面13bを備えている。
半円筒凹部13aは、適用対象物のオイル入口に対応するものである。
壁面13bは、第1通路14の第1小径通路14b及び第2通路15の第2小径通路15bを機械加工する際に同時に形成される。
そして、吐出通路13は、半円筒凹部13aを除いて、その開口部分が適用対象物の接合面により閉塞されるようになっている。
【0033】
第1通路14は、接合面10aに平行で軸線X1方向に伸長するように金型成形時に鋳抜かれて側面10bにて開口し、かつ、金型成形後に機械加工されて、吸入通路12と吐出通路13を接続する、断面が円形をなす直線状の穴通路として形成されている。
【0034】
また、第1通路14は、側面
10bから第1連通路16との交差位置までの領域において所定内径φD1をなす第1大径通路14aとして形成され、第1連通路16との交差位置から吐出通路13との交差位置までの領域において所定内径φd1をなす第1小径通路14bとして形成されている。ここで、φD1>φd1である。
【0035】
第1大径通路14aには、第1吸入逆止弁30(第1吸入シート部材31、第1吸入弁32、第1吸入付勢バネ33)が配置されると共に、プラグ80が嵌め込まれる。
第1小径通路14bには、第1吐出逆止弁40(第1吐出シート部材41、第1吐出弁42、第1吐出付勢バネ43)が配置される。
これによれば、第1吐出逆止弁40を挿入する際に、第1大径通路14aの領域でのかじり等を防止して、所望の位置に確実に嵌め込むことができる。
また、第1吸入逆止弁30を第2吐出逆止弁40よりも大きく設定できるため、キャビテーション等の発生を防止して、所望のポンプ性能を確保することができる。
【0036】
第2通路15は、接合面10aに平行で軸線X2方向に伸長するように金型成形時に鋳抜かれて側面10bにて開口し、かつ、金型成形後に機械加工されて、吸入通路12と吐出通路13を接続する、断面が円形をなす直線状の穴通路として形成されている。
【0037】
また、第2通路15は、側面
10bから第2連通路17との交差位置までの領域において所定内径φD2をなす第2大径通路15aとして形成され、第2連通路17との交差位置から吐出通路13との交差位置までの領域において所定内径φd2をなす第2小径通路15bとして形成されている。ここで、φD2>φd2である。尚、ここでは、φD1=φD2、φd1=φd2として形成されている。
【0038】
第2大径通路15aには、第2吸入逆止弁50(第2吸入シート部材51、第2吸入弁52、第2吸入付勢バネ53)が配置されると共に、プラグ80が嵌め込まれる。
第2小径通路15bには、第2吐出逆止弁60(第2吐出シート部材61、第2吐出弁62、第2吐出付勢バネ63)が配置される。
これによれば、第2吐出逆止弁60を挿入する際に、第2大径通路15aの領域でのかじり等を防止して、所望の位置に確実に嵌め込むことができる。
また、第2吸入逆止弁50を第2吐出逆止弁60よりも大きく設定できるため、キャビテーション等の発生を防止して、所望のポンプ性能を確保することができる。
【0039】
第1連通路16は、中心線Yc方向に伸長するように金型成形時に鋳抜かれて、第1通路14とポンプ収容室11の第1ポート11cを連通させるように、接合面10aにて開口する細長い溝通路として形成されている。
そして、第1連通路16は、その開口部分が適用対象物の接合面により閉塞されるようになっている。
【0040】
第2連通路17は、中心線Yc方向に伸長するように金型成形時に鋳抜かれて、第2通路15とポンプ収容室11の第2ポート11dを連通させるように、接合面10aにて開口する細長い溝通路として形成されている。
そして、第2連通路17は、その開口部分が適用対象物の接合面により閉塞されるようになっている。
【0041】
第3通路18は、接合面10aに平行で軸線X3方向に伸長するように金型成形時に鋳抜かれて側面10bにて開口し、かつ、金型成形後に機械加工されて、吸入通路12と吐出通路13を接続する、断面が所定内径φD3の円形をなす直線状の穴通路として形成されている。
また、第3通路18は、吐出通路13と連通する位置において、段差面18a及び小径の通路18bを備えている。通路18bは鋳抜きにより形成されている。
ここでは、φD3=φD1=φD2として形成されている。
そして、第3通路18には、逃し弁70(逃しシート部材71、逃し弁72、逃し付勢バネ73)が配置されると共に、プラグ80が嵌め込まれる。
【0042】
軸受穴19は、回転軸23を回動自在に支持するべく、軸線S方向においてスラスト面11bにて開口すると共にボディ10を貫通しないように、軸線Sを中心とする円筒穴として形成さている。
そして、軸受穴19は、ポンプユニット20のインナーロータ21及びアウターロータ22がポンプ収容室11に配置され、回転軸23がインナーロータ21に連結された状態で、回転軸23を軸線S回りに回動自在にラジアル方向及びスラスト方向において支持するようになっている。
【0043】
このように、ポンプ収容室11に臨む領域において、インナーロータ21を回転する回転軸23を支持する軸受穴19を含むため、軸受穴19で回転軸23を支持することにより、ポンプ装置に予め回転軸23が組み込まれる場合あるいは適用対象物の回転軸が連結される場合のいずれにおいても、回転軸を振れないように支持することができる。
【0044】
上記構成のボディ10によれば、第1通路14及び第2通路15が、ポンプ収容室11を挟んだ両側において直線状に形成されている。そして、直線状をなす第1通路14に第1吸入逆止弁30と第1吐出逆止弁40が配置され、又、直線状をなす第2通路15に第2吸入逆止弁50と第2吐出逆止弁60が配置されている。
したがって、通路構造が簡素化され、製造が容易になり、小型化、低コスト化等を達成できる。
【0045】
また、ポンプ収容室11、吸入通路12、吐出通路13、第1連通路16、及び第2連通路17は、接合面10aにて開口するように形成されている。
したがって、ボディ10を金型等で成形する際に、ポンプ収容室11、吸入通路12、吐出通路13、第1連通路16、及び第2連通路17を鋳抜いて円筒凹部及び溝通路として形成し、その後、必要に応じてポンプ収容室11等に対して機械加工を施すことにより、所望の寸法をなす形状を得ることができる。
それ故に、機械加工の工数を減らして、製造コスト、製造工数等を削減することができる。
【0046】
また、第1通路14、第2通路15、第3通路18が、全て平行でボディ10の同一の側面10bにおいて開口するように形成されている。
したがって、ボディ10を金型等で成形する際に、第1通路14、第2通路15、及び第3通路18を予め同一方向から鋳抜いて穴通路として形成することができ、又、その後必要に応じて機械加工を施すことにより、所望の内径をなす通路を得ることができる。
それ故に、機械加工の工数を減らして、製造コスト、製造工数等を削減することができる。
【0047】
また、ボディ10に対して、同一方向から、第1通路14に対して第1吸入逆止弁30及び第1吐出逆止弁40を嵌め込み、第2通路15に対して
第2吸入逆止弁50及び
第2吐出逆止弁60を嵌め込み、第3通路18に対して逃し弁70を嵌め込むことができるため、段取りを少なくして組付け作業を容易に行うことができる。
【0048】
さらに、吸入通路12及び吐出通路13は、第1通路14及び第2通路15と直交するようにポンプ収容室11を挟んだ両側に配置されているため、ポンプ収容室11の周りにおいて、吸入通路12、吐出通路13、第1通路14、第2通路15を、集約して配置することができる。それ故に、ボディ10の小型化に寄与する。
【0049】
ポンプユニット20は、軸線S回りに回転する容積型の内接ギヤポンプであり、インナーロータ21、アウターロータ22、回転軸23を備えている。
【0050】
インナーロータ21は、鋼又は焼結鋼等の材料を用いて、トロコイド曲線による歯形をもつ外歯車として形成されている。
そして、インナーロータ21は、適用対象物の接合面を摺動する側面21a、スラスト面11bを摺動する側面21b、軸線Sを中心とする連結孔21c、6つの凸部(山)及び6つの凹部(谷)を備えている。
【0051】
アウターロータ22は、鋼又は焼結鋼等の材料を用いて、インナーロータ21に噛合し得る歯形をもつ内歯車として形成されている。
そして、アウターロータ22は、適用対象物の接合面を摺動する側面22a、スラスト面11bを摺動する側面22b、軸線Sから所定量だけ偏倚した軸線を中心とする円形の外周面22c、7つの凸部及び7つの凹部を備えている。
外周面22cは、ポンプ収容室11の内周面11aに接触して回動自在に支持されるように形成されている。
7つの凸部及び7つの凹部は、インナーロータ21の6つの凸部及び6つの凹部と部分的に噛み合うように形成されている。
【0052】
そして、アウターロータ22は、軸線S回りに回転するインナーロータ21の回転に連動しつつ、インナーロータ21よりも遅い速度で、所定の軸線回りに回転する。また、インナーロータ21とアウターロータ22とが部分的に噛合うことにより、両者の間において連続的に変化してポンプ作用を及ぼすポンプ室が画定されるようになっている。
【0053】
回転軸23は、適用対象物からの駆動力が伝達される連結部23a、インナーロータ21の連結孔21cに嵌合される嵌合部23b、軸受穴19に嵌合される軸部23cを備えている。
そして、回転軸23が一方向及び他方向に回転することにより、インナーロータ21及びアウターロータ22が連動して回転し、オイルをポンプ室内に吸入して加圧しつつ吐出するポンプユニットとしてのトロコイドポンプが構成されている。
【0054】
ここでは、ポンプユニット20が、インナーロータ21及びアウターロータ22を含む内接ギヤポンプを採用することにより、ポンプ収容室11を簡素化でき、部品点数を抑制でき、オイルを高圧力にて吐出することができる。
また、回転軸23は、ポンプ収容室11に臨む領域に形成された軸受穴19に回動自在に嵌め込まれる。したがって、回転軸23を、回転振れを生じないように高精度に支持することができる。
【0055】
第1吸入逆止弁30は、第1吸入シート部材31、第1吸入弁体32、第1吸入付勢バネ33により構成されている。
第1吸入シート部材31は、円筒状に形成され、第1大径通路14aに嵌合固定される外周面31a、貫通孔31b、円錐面状のシート面31c、環状の端面31dを備えている。
第1吸入弁体32は、シート面31cに対して密接するように球状に形成されている。
第1吸入付勢バネ33は、圧縮型のコイルスプイングであり、第1吸入弁体32と第1吐出シート部材41の間に配置されて、第1吸入弁体32を閉弁方向に付勢するものである。
【0056】
第1吐出逆止弁40は、第1吐出シート部材41、第1吐出弁体42、第1吐出付勢バネ43により構成されている。
第1吐出シート部材41は、円筒状に形成され、第1小径通路14bに嵌合固定される外周面41a、貫通孔41b、円錐面状のシート面41c、環状の端面41dを備えている。
第1吐出弁体42は、シート面41cに対して密接するように球状に形成されている。
第1吐出付勢バネ43は、圧縮型のコイルスプイングであり、第1吐出弁体42とボディ10の一部としての吐出通路13の壁面13bの間に配置されて、第1吐出弁体42を閉弁方向に付勢するものである。
【0057】
第2吸入逆止弁50は、第2吸入シート部材51、第2吸入弁体52、第2吸入付勢バネ53により構成されている。
第2吸入シート部材51は、円筒状に形成され、第2大径通路15aに嵌合固定される外周面51a、貫通孔51b、円錐面状のシート面51c、環状の端面51dを備えている。
第2吸入弁体52は、シート面51cに対して密接するように球状に形成されている。
第2吸入付勢バネ53は、圧縮型のコイルスプイングであり、第2吸入弁体52と第2吐出シート部材61との間に配置されて、第2吸入弁体52を閉弁方向に付勢するものである。
【0058】
第2吐出逆止弁60は、第2吐出シート部材61、第2吐出弁体62、第2吐出付勢バネ63により構成されている。
第2吐出シート部材61は、円筒状に形成され、第2小径通路15bに嵌合固定される外周面61a、貫通孔61b、円錐面状のシート面61c、環状の端面61dを備えている。
第2吐出弁体62は、シート面61cに対して密接するように球状に形成されている。
第2吐出付勢バネ63は、圧縮型のコイルスプイングであり、第2吐出弁体62とボディ10の一部としての吐出通路13の壁面13bの間に配置されて、第2吐出弁体62を閉弁方向に付勢するものである。
【0059】
逃し弁70は、逃しシート部材71、逃し弁体72、逃し付勢バネ73により構成されている。
逃しシート部材71は、円筒状に形成され、第3通路18に嵌合固定される外周面71a、貫通孔71b、円錐面状のシート面71c、環状の端面71dを備えている。
逃し弁体72は、シート面71cに対して密接するように球状に形成されている。
逃し付勢バネ73は、圧縮型のコイルスプイングであり、逃し弁体72と第3通路18に嵌合固定されたプラグ80の間に配置されて、逃し弁体72を閉弁方向に付勢する。
そして、逃し弁70は、吐出通路13において所定以上の圧力になったオイルを、第3通路18を介して吸入通路12に戻す役割をなす。これにより、過圧オイルの吐出が防止されて、所望の吐出圧にてオイルを吐出することができる。
【0060】
プラグ80は、アルミニウム合金等を用いて、円柱状に形成されている。
プラグ80は、それぞれの通路(第1通路14、第2通路15、第3通路18)の側面10bにおける開口部を閉塞するべく、ボディ10の側面10bと面一に嵌合固定されるものである。
【0061】
上記構成をなすポンプ装置の組付け作業について説明する。
予め、機械加工されたボディ10、ポンプユニット20、第1吸入逆止弁30、第1吐出逆止弁40、第2吸入逆止弁50、第2吐出逆止弁60、逃し弁70、3つのプラグ80が準備される。
【0062】
先ず、ボディ10の第1通路14に対して、側面10bの側から、第1吐出逆止弁40と第1吸入逆止弁30が嵌め込まれ、その後、プラグ80が嵌め込まれる。
【0063】
すなわち、第1小径通路14bに対して、第1吐出付勢バネ43が挿入され、続いて第1吐出弁体42が挿入される。続いて、第1吐出シート部材41が、第1連通路16と吐出通路13の間の領域において第1小径通路14bに嵌合固定される。
ここで、第1吐出付勢バネ43は、一端部が吐出通路13の壁面13bに当接し、他端部が第1吐出弁体42に当接して配置され、第1吐出弁体42をシート面41cに密着させるべく閉弁方向に付勢するように圧縮された状態となる。
また、第1吐出シート部材41の端面41dは、第1連通路16内に突出しないように、第1連通路16の壁面に対して面一又は所定量だけ奥側に配置されている。
【0064】
続いて、第1大径通路14aに対して、第1吸入付勢バネ33が挿入され、続いて第1吸入弁体32が挿入される。続いて、第1吸入シート部材31が、吸入通路12と第1連通路16の間の領域において第1大径通路14aに嵌合固定される。
ここで、第1吸入付勢バネ33は、一端部が第1吐出シート部材41の端面41dに当接し、他端部が第1吸入弁体32に当接して配置され、第1吸入弁体32をシート面31cに密着させるべく閉弁方向に付勢するように圧縮された状態となる。
また、第1吸入シート部材31の端面31dは、吸入通路12内に突出しないように、吸入通路12の壁面に対して面一又は所定量だけ奥側に配置されている。
続いて、プラグ80が、第1通路14(第1大径通路14a)の開口部を閉塞するべく、ボディ10の側面10bと面一にかつ吸入通路12内に突出しないように、第1大径通路14aに嵌合固定される。
【0065】
次に、ボディ10の第2通路15に対して、側面10bの側から、第2吐出逆止弁60と第2吸入逆止弁50が嵌め込まれ、その後、プラグ80が嵌め込まれる。
【0066】
すなわち、第2小径通路15bに対して、第2吐出付勢バネ63が挿入され、続いて第2吐出弁体62が挿入される。続いて、第2吐出シート部材61が、第2連通路17と吐出通路13の間の領域において第2小径通路15bに嵌合固定される。
ここで、第2吐出付勢バネ63は、一端部が吐出通路13の壁面13bに当接し、他端部が第2吐出弁体62に当接して配置され、第2吐出弁体62をシート面61cに密着させるべく閉弁方向に付勢するように圧縮された状態となる。
また、第2吐出シート部材61の端面61dは、第2連通路17内に突出しないように、第2連通路17の壁面に対して面一又は所定量だけ奥側に配置されている。
【0067】
続いて、第2大径通路15aに対して、第2吸入付勢バネ53が挿入され、続いて第2吸入弁体52が挿入される。続いて、第2吸入シート部材51が、吸入通路12と第2連通路17の間の領域において第2大径通路15aに嵌合固定される。
ここで、第2吸入付勢バネ53は、一端部が第2吐出シート部材61の端面61dに当接し、他端部が第2吸入弁体52に当接して配置され、第2吸入弁体52をシート面51cに密着させるべく閉弁方向に付勢するように圧縮された状態となる。
また、第2吸入シート部材51の端面51dは、吸入通路12内に突出しないように、吸入通路12の壁面に対して面一又は所定量だけ奥側に配置されている。
続いて、プラグ80が、第2通路15(第2大径通路15a)の開口部を閉塞するべく、ボディ10の側面10bと面一にかつ吸入通路12内に突出しないように、第2大径通路15aに嵌合固定される。
【0068】
次に、ボディ10の第3通路18に対して、側面10bの側から、逃し弁70が嵌め込まれ、その後、プラグ80が嵌め込まれる。
【0069】
すなわち、逃しシート部材71が、吸入通路12と吐出通路13の間の領域において第3通路18に嵌合固定される。ここで、逃しシート部材71は、端面71dが段差面18aに当接する位置まで挿入される。
続いて、第3通路18に対して、逃し弁体72が挿入され、続いて逃し付勢バネ73が挿入される。
続いて、プラグ80が、第3通路18の開口部を閉塞するべく、ボディ10の側面10bと面一にかつ吸入通路12内に突出しないように、第3通路18に嵌合固定される。
ここで、逃し付勢バネ73は、一端部がプラグ80に当接し、他端部が逃し弁体72に当接して配置され、逃し弁体72をシート面71cに密着させるべく閉弁方向に付勢するように圧縮された状態となる。
【0070】
次に、ボディ10のポンプ収容室11に対して、ポンプユニット20が組み込まれる。
先ず、回転軸23が、軸受穴19に回動自在に嵌め込まれる。
続いて、インナーロータ21が、回転軸23に連結される。この連結においては、嵌合部23bのピンが連結孔21cの溝に嵌め込まれる。これにより、回転軸23とインナーロータ21とは、一体的に回転するように連結される。
続いて、アウターロータ22が、インナーロータ21と噛合うようにして内周面11cの内側に嵌め込まれる。
以上により、ポンプ装置の組付けが完了する。
尚、各部品の組付けは、上記の手順に限るものではなく、適宜その他の手順を適用してもよい。
【0071】
上記のように構成部品をボディ10に順次に組み付けることで、第1吸入逆止弁30及び第1吐出逆止弁40を第1通路14に対して、第2吸入逆止弁50及び第2吐出逆止弁60を第2通路15に対して、逃し弁70を第3通路18に対して、それぞれ同一方向から容易に組み付けることができる。
また、第1吸入付勢バネ33は第1吐出シート部材41に当接し、第1吐出付勢バネ43はボディ10の一部に当接し、第2吸入付勢バネ53は第2吐出シート部材61に当接し、第2吐出付勢バネ63はボディ10の一部に当接し、逃し付勢バネ73は第3通路18を塞ぐプラグ80に当接しているため、部品を集約して配置でき、部品点数を削減することができる。
【0072】
次に、ポンプ装置の動作について、
図9ないし
図11を参照しつつ説明する。
図9に示すように、ポンプユニット20が一方向に回転すると、適用対象物内のオイルが、適用対象物のオイル出口から円筒凹部12aを経て、吸入通路12に吸入される。
そして、吸入されたオイルは、第1通路14内の第1吸入逆止弁30を通過し、第1連通路16を経て第1ポート11cからポンプ室に吸入される。
【0073】
続いて、ポンプ室に吸入されたオイルは、ポンプユニット20におけるポンプ室の連続的な変化により加圧され、第2ポート11dから第2連通路17を経て、第2通路15内の第2吐出逆止弁60を通過する。
そして、加圧されたオイルは、吐出通路13から半円筒凹部13aを経て吐出され、適用対象物のオイル入口に導かれる。
【0074】
また、
図10に示すように、ポンプユニット20が他方向に回転すると、適用対象物内のオイルが、適用対象物のオイル出口から円筒凹部12aを経て、吸入通路12に吸入される。
そして、吸入されたオイルは、第2通路15内の第2吸入逆止弁50を通過し、第2連通路17を経て第2ポート11dからポンプ室に吸入される。
【0075】
続いて、ポンプ室に吸入されたオイルは、ポンプユニット20におけるポンプ室の連続的な変化により加圧され、第1ポート11cから第1連通路16を経て、第1通路14内の第1吐出逆止弁40を通過する。
そして、加圧されたオイルは、吐出通路13から半円筒凹部13aを経て吐出され、適用対象物のオイル入口に導かれる。
【0076】
一方、
図11に示すように、ポンプユニット
20が一方向に回転する状態で、吐出されるオイルの圧力が所定レベルを超えて過圧状態になると、過圧オイルの一部は、吐出通路13から第3通路18内の逃し弁70を通過し、吸入通路12に戻される。
【0077】
そして、戻されたオイルは、吸入されたオイルと一緒に、再び第1通路14内の第1吸入逆止弁30を通過し、第1連通路16を経て第1ポート11cからポンプ室に吸入され、上述同様の経路をたどる。
尚、ポンプユニット
20が他方向に回転する状態で、吐出されるオイルの圧力が所定レベルを超えて過圧状態になった場合でも、同様である。
【0078】
このように、上記ポンプ装置によれば、ポンプユニット20が一方向(正回転)及び他方向(逆回転)に回転する場合において、オイルが、吸入及び吐出されて適用対象物に供給されると共に循環される。
また、所定レベルを超えて過圧されたオイルは、第3通路18内の逃し弁70を通過して吸入通路12に戻されるため、過圧オイルの吐出が防止されて、所望の吐出圧にてオイルを供給することができる。
【0079】
以上述べたように、上記実施形態に係るポンプ装置によれば、第1通路14及び第2通路15が、ポンプ収容室11を挟んだ両側において直線状に形成され、直線状をなす第1通路14に第1吸入逆止弁30と第1吐出逆止弁40が配置され、又、直線状をなす第2通路15に第2吸入逆止弁50と第2吐出逆止弁60が配置されているため、通路構造が簡素化され、製造が容易になり、小型化、低コスト化等を達成できる。
【0080】
上記実施形態においては、ポンプユニットとしてトロコイド歯形をなすトロコイドポンプを採用した構成において、本発明を適用した場合を示した。しかしながら、これに限定されるものではなく、インンボリュート歯形のインナーロータ及びアウターロータ、あるいはその他の歯形をなすインナーロータ及びアウターロータ等を備えた構成において、本発明を適用してもよい。
また、ポンプユニットとしてのインナーロータ21及びアウターロータ22がトロコイド式の6葉7節からなる構成を示したが、これに限定されるものではなく、その他の個数からなる構成を採用してもよい。
【0081】
上記実施形態においては、逃し弁70を採用した場合を示したが、これに限定されるものではなく、逃し弁70を廃止した構成を採用してもよい。
上記実施形態においては、第1通路14、第2通路15、第3通路18として、穴通路を示したが、これに限定されるものではなく、接合面10aにて開口する溝通路して形成し、それぞれの逆止弁を開口部分から嵌め込み、組付け後に適用対象物の接合面でその開口部分が閉塞される構成を採用してもよい。
【0082】
上記実施形態においては、ポンプ装置として、ポンプユニット20が回転軸23を含む構成を示したが、これに限定されるものではない。例えば、適用対象物の回転軸が連結される構成とすれば、回転軸を除いた状態でポンプ装置を構成してもよい。
【0083】
上記実施形態においては、本発明に係るポンプ装置が、電気自動車用のEVモータ、ハイブリッド電気自動車用のHEVモータ等に適用される場合を示したが、これに限定されるものではなく、その他の冷却系や潤滑系に適用されてもよく、又、オイル以外の流体を用いる装置に適用されてもよい。