(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記弾性部材のばね力は、前記モータのベアリングホルダーと前記シャフトとの間の接着強度よりも小さく、かつ、前記シャフト支持部材と前記シャフトとが接着されていない状態において、前記シャフト支持部材が前記弾性部材を押したときに、前記モータを移動させることができる程度のばね力である、請求項1から4のいずれかに記載のロータリトランス付きモータ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたロータリトランス付きモータを、特許文献2に記載の軸受カラ43を介して2つの支柱部で支持する場合を想定する。このような構成を採用した場合、特許文献2に記載の軸受カラ43にて、特許出願1に記載のロータリトランス付きモータのベアリング3Aが嵌合されてなるベアリングホルダー12を押圧、またはベアリング3Bが嵌合されてなるベアリングホルダー14を押圧することで、ロータリトランス付きモータの位置をずらして調整することとなる。調整位置が決定した後、接着剤で軸受カラ43とシャフトS1とを固定することになる。
【0006】
しかしながら、上述のように、軸受カラ43にてベアリングホルダー12を押圧、またはベアリングホルダー14を押圧してロータリトランス付きモータの位置を調整する際、過大な押圧力が掛った場合、ベアリングホルダー12とシャフトS1との間、又はベアリングホルダー14とシャフトS1との間の接着力が低下、あるいは塗布した接着剤が剥離する虞がある。
【0007】
また、ベアリングホルダー12とシャフトS1との間、又はベアリングホルダー14とシャフトS1との間の接着力が低下、あるいは塗布した接着剤が剥離した場合、ロータリトランス間のギャップ(1次側と2次側(静止体と回転体)の間隔)が狭まり、状況によってはロータリトランスの静止体と回転体が接触して破損する虞がある。
【0008】
この発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、破損が生じにくいロータリトランス付きモータ、およびロータリトランス付きモータの製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、この発明のある局面に従うと、ロータリトランス付きモータは、ロータ、ステータ、およびロータリトランスを備えたモータと、支柱部
を含むベースハウジングと、前記支柱部に取り付けられ、前記モータのシャフトを支持するシャフト支持部材と、前記シャフト支持部材と前記モータとの間に設けられる弾性部材
であって、前記シャフト支持部材および前記モータにばね力を及ぼす弾性部材とを備える。
【0010】
好ましくは、前記弾性部材はコイルばねである。
【0011】
好ましくは、前記シャフト支持部材と前記支柱部とは螺合されている。
【0012】
好ましくは前記ロータは、マグネットを有し、前記ステータはコイルを有し、前記シャフト支持部材と前記シャフトとは接着されている。
【0013】
好ましくは、前記弾性部材のばね力は、前記モータのベアリングホルダーと前記シャフトとの間の接着強度よりも小さく、かつ、前記シャフト支持部材と前記シャフトとが接着されていない状態において、前記シャフト支持部材が前記弾性部材を押したときに、前記モータを移動させることができる程度のばね力である。
【0014】
この発明の他の局面に従うと、ロータ、ステータ、およびロータリトランスを備えたモータを支柱部に固定する、ロータリトランス付きモータの製造方法は、前記支柱部に取り付けられ、前記モータのシャフトを支持するシャフト支持部材を介して、前記モータのシャフトと前記支柱部とを係合させ、前記シャフト支持部材と前記モータとの間に、弾性部材を配置するステップと、前記シャフト支持部材が前記弾性部材を押すことで、前記モータを移動させるステップとを備える。
【0015】
好ましくは前記シャフト支持部材は、前記支柱部に嵌合し、前記シャフト支持部材と前記シャフトとはすきま嵌めとされ、ロータリトランス付きモータの製造方法は、前記モータを移動させるステップによって、前記モータが軸方向に位置調整された後、前記シャフト支持部材と前記シャフトとを接着するステップをさらに備える。
【0016】
この発明のさらに他の局面に従うと、ロータリトランス付きモータは、シャフトと、前記シャフトに取り付けられたベアリングホルダーと、前記ベアリングホルダーに取り付けられたロータリトランスと
、支柱部を含むベースハウジングと、前記支柱部に取り付けられ、前記シャフトを支持するシャフト支持部材と、前記シャフト支持部材と前記ベアリングホルダーとの間に設けられる弾性部材であって、前記シャフト支持部材および前記ベアリングホルダーにばね力を及ぼす弾性部材とを備え、前記ベアリングホルダーに、外部から
前記弾性部材を挿入することができる溝が形成されている。
【0017】
この発明によると、破損が生じにくいロータリトランス付きモータ、およびロータリトランス付きモータの製造方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるロータリトランス付きモータの断面図である。
図2は、
図1に示すシャフトS1の右端部付近の部分拡大図である。また
図3は、
図1に示すベースハウジングBの斜視図である。
【0020】
本実施の形態におけるロータリトランス付きモータを用いた装置は、ベースハウジングBの支柱部51a,51bに嵌合させたシャフト支持部材91,93を移動させてモータMTの位置調整を行うものである。以下、装置の各部について説明する。
【0021】
図1および2に示されるように、ロータリトランス付きモータMTは、アウタロータ型のモータである。
【0022】
モータMTは、シャフトS1に固定される鉄心に巻き線が巻回されたステータMsと、ステータMsの外方に配置され内周側に円環状のマグネットmが装着された略円筒形状のロータケースをもつロータMrとを備えている。換言すれば、モータMTは、鉄心と巻き線とを有するステータMsを中央部に有し、ステータMsの外周方向にマグネットmとロータケースとで構成されるロータMrを有している。
【0023】
モータMTは、シャフトS1がベースハウジングBの支柱部51a,51bに固定され、シャフトS1に固定されるステータMsの周りを、ロータMrが回転する。
【0024】
モータMTの一方端側(
図1の左側)には、ベアリングと一体になったロータリトランス30a(4a,5a)が装着されており、モータMTの他方端側(
図1の右側)には、ベアリングと一体になったロータリトランス30b(4b,5b)が装着されている。
【0025】
ロータリトランス付きモータMTでは、シャフトS1がベースハウジングBに固定されており、シャフトS1の周りをロータMrが回転する。そのため、ロータMrのロータケースに嵌合され連結される第1のロータリトランス4aおよび第3のロータリトランス4bが回転側のロータリトランスとなり、シャフトS1に連結され固定される第2のロータリトランス5aおよび第4のロータリトランス5bが、固定側のロータリトランスとなる。
【0026】
ベアリング一体型ロータリトランス30aは、ベアリングの外輪に第1のベアリングホルダー11が組み付けられるとともに、ベアリングの内輪に第2のベアリングホルダー12が組み付けられている。
【0027】
そして、第1のベアリングホルダー11に、第1のロータリトランス4aが装着されるとともに、第2のベアリングホルダー12に第2のロータリトランス5aが装着される。
【0028】
同様にベアリング一体型ロータリトランス30bは、ベアリングの外輪に第3のベアリングホルダー13が組み付けられるとともに、ベアリングの内輪に第4のベアリングホルダー14が組み付けられている。
【0029】
そして、第3のベアリングホルダー13に、第3のロータリトランス4bが装着されるとともに、第4のベアリングホルダー14に第4のロータリトランス5bが装着される。
【0030】
上記構成により、共通部品の高精度のベアリングを介して、第1のロータリトランス4aおよび第2のロータリトランス5a、ならびに第3のロータリトランス4bおよび第4のロータリトランス5bが組み付けられるので、第1・第2のロータリトランス4a、5a、および第3・第4のロータリトランス4b、5bの組み立ての寸法精度を高めることができるという特徴がある。
【0031】
図1〜3に示すように、ベースハウジングBは、2つの支柱部51a,51bと、2つの支柱部51a,51bを連結する連結部53とからなっている。
【0032】
ベースハウジングBは、金属粉末としてステンレス鋼(SUS316L)とバインダーとなる熱可塑性樹脂を混練し、金属粉末射出成形法(MIM:Metal Injection Molding)によって形成されている。2つの支柱部51a,51bの根元側には傾斜部59a,59bが形成され、支柱部51a,51bの先端側の厚さに比べて根元側の厚さが厚くなるように形成されている。このように根元側の厚さを厚くすることによって、支柱部51a,51bの強度向上を図っている。
【0033】
ベースハウジングBの連結部53には、
図3に示されるように、ベースハウジングBの取付け部56aが形成され、取付け部56aには、ねじ止めのための貫通孔57bが設けられている。
【0034】
ロータリトランス付きモータの製造工程において、ベースハウジングBへのモータMTの取り付けは、以下のように行われる。
【0035】
先ず、両方の支柱部51a,51bの開口部81a,81bからロータリトランス付きモータMTのシャフトS1を挿入し、その後、シャフト支持部材91,93の内径円筒部をシャフト1に係合挿入させ、シャフト支持部材91,93の中央円筒部の外周部を支柱部51a,51bの開口部81a,81bに嵌合させる。これによって、シャフトS1はシャフト支持部材91,93を介して支持される。
【0036】
シャフト支持部材(例えばカラー)91,93としては、例えば黄銅をニッケルメッキした部品を使用することができるが、構造上は特に素材の制約はない。
【0037】
シャフトS1は、シャフト支持部材91,93の内径円筒部に対して、すきま嵌めとなっている。すなわちシャフトS1は、シャフト支持部材91,93に対して自由に移動することができる。これは、弾性部材(例えばコイルばね)95を有効に働かせるためである。
【0038】
シャフト支持部材91,93の中央円筒部の外周部は、支柱部51a,51bの開口部81a,81bに圧入される。すなわち、シャフト支持部材91,93の中央円筒部の外周部と、支柱部51a,51bの開口部81a,81bとの間の摩擦力は大きい。これにより、ある程度の力をかけないと、シャフト支持部材91,93は支柱部51a,51bに対して移動することができない。所定以上の外力を加えることで、シャフト支持部材91,93と支柱部51a,51bとの相対的な位置を変えることができる。外力が加わっていない状態では、シャフト支持部材91,93と支柱部51a,51bとは摩擦力により固定される。
【0039】
ベースハウジングBの連結部53のモータMTと対向する面には、中継アンプ基板73が設置され、その上にMR(磁気抵抗効果)素子(Z相)71が設けられている。モータMTのロータMrには、Z相ピンPが設けられている。Z相ピンPは、ロータMrの基準位置を検出するための磁性材で作られたピンである。MR(磁気抵抗効果)素子(Z相)71は、Z相ピンPの位置を検出する。また、ロータMrには、エンコーダマグネット90が設けられている。
【0040】
Z相ピンPなどモータMTの構成部品とベースハウジングBとの位置関係を調整するため、装置組み立て時に、ロータリトランス付きモータMTの位置調整が行われる。
【0041】
シャフト支持部材91,93に外力を加えることで、それを軸(シャフトS1)の伸びる方向に移動させることができる。これにより、モータMTの位置をずらすことができる。具体的には、
図1の右のシャフト支持部材93を軸(シャフトS1)左方向に移動させ、シャフトS1の外周側であって、ベアリングホルダー14内に収納された弾性部材95を押圧する。弾性部材95を介して、ロータリトランス付きモータMTの位置は、軸方向左に移動する。
【0042】
このようにしてモータMTを移動させてその位置を調整する際、過大な押圧力が掛った場合であっても、弾性部材95によってその過大な押圧力を吸収することができる。この結果、ベアリングホルダー12,14とシャフトS1との間の接着力の低下や、塗布した接着剤が剥離する不具合を防止することができる。また、ロータリトランス4a,5a間のギャップ、およびロータリトランス4b,5b間のギャップが狭くなり、それらが接触することを防止できる。
【0043】
図1の右側のシャフト支持部材93によって弾性部材95を押したときに、モータMT(シャフトS1)が移動するかどうかは、左側のシャフト支持部材91と左側のベアリングホルダー12との状態による。
【0044】
右側のシャフト支持部材93が弾性部材95に接触した状態において、さらにシャフト支持部材93をベースハウジングBに対して左に移動させたとき、左側のシャフト支持部材91とベアリングホルダー12の端面との間にすきまがあれば、モータMTとシャフト支持部材93は(弾性部材95とともに)一緒に左に移動するため、モータMTと一体のシャフトS1も一緒に左に移動する。
【0045】
右側のシャフト支持部材93が弾性部材95に接触した状態において、さらにシャフト支持部材93をベースハウジングBに対して左に移動させたとき、左側のシャフト支持部材91とベアリングホルダー12の端面とが接触していれば、シャフト支持部材93のみが移動し、モータMT(シャフトS1)は移動しない。このとき、右側のシャフト支持部材93とモータMTのベアリングホルダー14との相対的な距離は縮まり、弾性部材95は縮むことになる。
【0046】
シャフト支持部材93を軸方向に移動させ、ロータリトランス付きモータMTの位置が決定すれば、速やかに接着剤で支柱部51a,51bとシャフト支持部材91,93とシャフトS1とを固定する。
【0047】
ロータリトランス付きモータMTの位置調整について、さらに詳しく説明する。
【0048】
シャフト支持部材91,93の内径と外径との摩擦について、外径は圧入されるため、外径と支柱部51a,51b(すなわち、外径と開口部81a,81b)の間の摩擦は大きくなる。一方、シャフト支持部材91,93の内径側はすきま嵌めによってシャフトS1と係合するため、内径とシャフトS1との摩擦は小さくなっている。
【0049】
よって、外径と支柱部51a,51b(すなわち、外径と開口部81a,81b)の間の摩擦に逆らってシャフト支持部材91,93を軸方向に動かすと(支柱部51a,51bの開口部81a,81bとの圧入位置を変化させると)、シャフト支持部材91,93と支柱部51a,51bの開口部81a,81bとの位置関係は変わる。また、このときモータMTが移動できない位置にあれば、シャフト支持部材91,93と軸(シャフト)S1との位置関係も変わる。シャフト支持部材91,93と軸(シャフト)S1とはすきま嵌めなので、両者は相対的に移動可能だからである。
【0050】
ロータリトランス付きモータMTを含む装置の組立は、以下の手順で行われる。
【0051】
(工程1)ベースハウジングBの支柱部51a,51bの開口部81a,81bに、モータMTのシャフトS1を開口部81a,81b側から挿入する。この時点では、シャフトS1と開口部81a,81bとはシャフト支持部材91,93が無いためガタのある状態となっている。
【0052】
(工程2)
図1の左側のシャフト支持部材91をベースハウジングBの支柱部51aの開口部81aに圧入する。圧入位置としては、シャフト支持部材91の左端面とベースハウジングBの左端を面合わせする位置までとする。この時点では、右側のシャフト支持部材93が無いため、モータMTは軸方向にガタがある状態であり、モータMTに軸方向の圧力はかからない。
【0053】
(工程3)
図1の右側のベアリングホルダー14の外部(外側)に設けられた円(筒)形状の溝部に、弾性部材95を挿入する。
【0054】
(工程4)
図1の右側のシャフト支持部材93をベースハウジングBの支柱部51bの開口部81bに圧入する。圧入位置としては、シャフト支持部材93の右端面とベースハウジングBの右端を面合わせする位置までとする。この位置の時、弾性部材95は潰れない部品寸法設定となっている(ばね力が効いている状態になっている)。
【0055】
(工程5)モータMTのベースハウジングBに対する位置決めを行う。最初はシャフト支持部材91,93の外径とベースハウジングBとの間は圧入の状態となっている。一方、シャフト支持部材91,93の内径とシャフトS1との間は、すきま嵌めで挿入されている。
【0056】
図1の右のシャフト支持部材93が弾性部材95に当たっている場合、シャフト支持部材93をさらに圧入(移動)すると、シャフト支持部材93は弾性部材95を介して、モータMTを左へ押す。左側のシャフト支持部材91の右側端面と左側のロータリ
トランス30aのベアリングホルダー12の左側端面が当たる状態になったところで、モータMTの位置決めがなされ、かつ、モータMTには、弾性部材95のばね力のみが掛かっている状態になる。
【0057】
このように、シャフト支持部材93が弾性部材95を押すことでモータMTが移動する。弾性部材95はクッションの役割を果たす。例えばモータMTの
図1の左端部がシャフト支持部材91に当接した状態で、モータMTがさらに左方向に押されたとしても、その力は弾性部材95によって吸収される。これにより、モータMTに無理な力がかからずモータMTの破損などが防止される。
【0058】
(工程6)ロータリトランス付きモータMTの位置が決定すれば、速やかに接着剤で支柱部51a,51bとシャフト支持部材91,93とシャフトS1とを固定する。このとき、ベアリングホルダー12,14も接着剤で一緒に固定されてもよい。なお、シャフト支持部材91,93とベースハウジングBとの圧入力が強い場合には、少なくとも接着剤でシャフト支持部材91,93とシャフトS1とを接着すればよい。
【0059】
なお、位置決めにおいて、
図1の左側のシャフト支持部材91でモータMTを押す場合、モータMTにかかる圧力は、弾性部材95で吸収される。これにより、モータMTに無理な力がかからず、モータMTの破損などが防止される。すなわち、モータMTに掛かる力は、モータMTを右から押しても、左から押しても同じである。
【0060】
図1において、左側のベアリングホルダー12にも、右側のベアリングホルダー14と同じ溝を形成し、左側のベアリングホルダー12と左側のシャフト支持部材91との間にも弾性部材を配置してもよい。特に、右の弾性部材95の収納スペースの関係で、片側だけでは適当なばね力を設定できない場合、両側(2個のばね)を使用することも考えられる。
【0061】
また、この実施の形態では、ベアリングホルダー14に溝を形成し、その中に弾性部材95を設置している(モータMTに弾性部材95を収納している)が、溝を形成せずに、弾性部材(コイルばね)95の中にシャフトS1を通すことで、モータMTのベアリングホルダー14とシャフト支持部材93との間に弾性部材95を配置してもよい。
【0062】
弾性部材95としては、コイルばねの他、板ばね、ゴムなどの弾性体を用いることができる。
【0063】
弾性部材95のばね力は、モータMTのベアリングホルダー12,14とシャフトS1との間の接着強度よりも小さく、かつ、シャフト支持部材93とシャフトS1とが接着されていない状態において、シャフト支持部材93が弾性部材95を押したときに、モータMTを移動させることができる程度のばね力とされる。あまりにばね力が強すぎると(弾性部材95の弾性係数、あるいはばね定数が大きいと)、弾性部材95を入れる意味が無くなり、組み立て時にモータMTが破損しやすくなる(ロータリトランス付きのベアリングホルダー12,14とシャフトS1との接着が破壊されやすくなる)ためである。反対に、あまりにばね力が弱いと(弾性係数、あるいはばね定数が小さいと)、シャフト支持部材93とシャフトS1とが接着されていない状態において、シャフト支持部材93が弾性部材95を押したときに、すぐに弾性部材95が変形してしまい、押圧力が弾性部材95で吸収され、モータMTを動かすことができないからである。
【0064】
よって、ばね力は、ロータリトランス付きのベアリングホルダー12,14と、シャフトS1との接着強度より十分小さい必要があり、かつ、モータMTの自重やシャフトS1とシャフト支持部材93の摩擦力の影響を受けずにモータMTの位置決めが十分できる程度の大きさが必要となる。
【0065】
この実施の形態では、10gf程度のばね力が掛かるように設定される。ばね定数は、0.095N/mm、自然長は1.5mm、取付け長さは0.3mmである。
【0066】
なお、モータMTの完成体において、ベアリングホルダー、シャフト支持部材、シャフトは接着により固定されるので、モータMTの運転時にはモータMTがベースハウジングBに対して移動することはない。
【0067】
[変形例]
図4は、
図1に示すシャフトS1の右端部付近の変形例を示す部分拡大図である。
【0068】
上述の実施の形態(
図1および2)では、シャフト支持部材91,93の中央円筒部の外周部を支柱部51a,51bの開口部81a,81bに嵌着(嵌合、圧入)させた構成を採用していた。
【0069】
本発明はこれに限定されず、
図4のように、シャフト支持部材93aの中央円筒部の外周部にねじ(雄ねじ)を形成し、支柱部51cの開口部81a,81bの内周にねじ(雌ねじ)を形成し、雄ねじを雌ねじに螺合させ、雄ねじを形成したシャフト支持部材93aを廻し込むことでカラーを移動させる構成であってもよい。
【0070】
すなわちこの変形例では、シャフト支持部材93aは、ねじ機構98により開口部81a,81bに嵌合する。なお、雄ねじを形成したねじ部材の中央に形成した貫通孔にシャフト支持部材93を嵌着させた構成であってもよい。
【0071】
ねじ部を形成するのは、左右のシャフト支持部材のいずれか一方(およびそれに対応する支柱部の開口部のいずれか一方)のみであってもよいし、両方に形成してもよい。
【0072】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。