(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
加工用のレーザ光を出射する第1光源と、前記加工用のレーザ光とは波長の異なる焦点確認用のレーザ光を出射する第2光源と、前記第1光源又は前記第2光源から出射されるレーザ光をそれぞれ同軸で対象物に向けて集光させる焦点レンズと、前記焦点レンズを透過したレーザ光を対象物側に反射するミラー機構と、前記焦点レンズをレーザ光の光軸方向に移動させるレンズ駆動機構と、を備え、前記第1光源又は前記第2光源から出射されるレーザ光を、前記焦点レンズ及び前記ミラー機構を介して対象物に照射するレーザ加工装置であって、
加工用のレーザ光が対象物上で合焦する前記焦点レンズの光軸方向の位置と、加工用のレーザ光が対象物上で合焦するように前記焦点レンズで集光させたときの光軸方向における加工用の焦点位置とを対応付ける加工用相関データを管理する加工用相関データ管理部と、
加工用のレーザ光が対象物上で合焦する前記焦点レンズの光軸方向の位置と、焦点確認用のレーザ光が対象物上で合焦するように前記焦点レンズで集光させたときの光軸方向における焦点確認用の焦点位置とを対応付ける焦点確認用相関データを管理又は作成する焦点確認用相関データ管理部と、
第1モードでは、前記加工用相関データにおいて、目標とする加工用の前記焦点位置に対応する前記焦点レンズの光軸方向の位置に基づいて前記焦点レンズを光軸方向に移動させ、第2モードでは、前記焦点確認用相関データにおいて、目標とする焦点確認用の前記焦点位置に対応する前記焦点レンズの光軸方向の位置に基づいて前記焦点レンズを光軸方向に移動させるレンズ駆動機構制御部と、
を備えるレーザ加工装置。
加工用のレーザ光を出射する第1光源と、前記加工用のレーザ光とは波長の異なる焦点確認用のレーザ光を出射する第2光源と、前記第1光源又は前記第2光源から出射されるレーザ光をそれぞれ同軸で対象物に向けて集光させる焦点レンズと、前記焦点レンズを透過したレーザ光を対象物側に反射するミラー機構と、前記焦点レンズをレーザ光の光軸方向に移動させるレンズ駆動機構と、を備え、前記第1光源又は前記第2光源から出射されるレーザ光を、前記焦点レンズ及び前記ミラー機構を介して対象物に照射するレーザ加工装置であって、
加工用のレーザ光が対象物上で合焦する前記焦点レンズの光軸方向の位置と、加工用のレーザ光が対象物上で合焦するように前記焦点レンズで集光させたときの光軸方向における加工用の焦点位置とを対応付ける加工用相関データを管理する加工用相関データ管理部と、
前記加工用相関データにおける加工用の前記焦点位置と予め設定される補正係数とに基づいて、焦点確認用のレーザ光が対象物上で合焦するように前記焦点レンズで集光させたときの光軸方向における焦点確認用の焦点位置を算出して、前記焦点レンズの光軸方向の位置と焦点確認用の前記焦点位置とを対応付ける焦点確認用相関データを作成する焦点確認用相関データ管理部と、
第1モードでは、前記加工用相関データにおいて、目標とする加工用の前記焦点位置に対応する前記焦点レンズの光軸方向の位置に基づいて前記焦点レンズを光軸方向に移動させ、第2モードでは、前記焦点確認用相関データ管理部で作成される前記焦点確認用相関データにおいて、目標とする焦点確認用の前記焦点位置に対応する前記焦点レンズの光軸方向の位置に基づいて前記焦点レンズを光軸方向に移動させるレンズ駆動機構制御部と、
を備えるレーザ加工装置。
加工用のレーザ光を出射する第1光源と、前記加工用のレーザ光とは波長の異なる焦点確認用のレーザ光を出射する第2光源と、前記第1光源又は前記第2光源から出射されるレーザ光をそれぞれ同軸で対象物に向けて集光させる焦点レンズと、前記焦点レンズを透過したレーザ光を対象物側に反射するミラー機構と、前記焦点レンズをレーザ光の光軸方向に移動させるレンズ駆動機構と、を備え、前記第1光源又は前記第2光源から出射されるレーザ光を前記焦点レンズ及び前記ミラー機構を介して対象物に照射するレーザ加工装置であって、
第1モードでは、加工用のレーザ光が対象物上で合焦するように前記焦点レンズで集光させたときの光軸方向における焦点位置の目標値と、加工用のレーザ光に設定される第1の係数とをパラメータとする第1の変換式により、加工用のレーザ光が対象物上で合焦する前記焦点レンズの光軸方向の位置を算出し、第2モードでは、加工用のレーザ光が対象物上で合焦するように前記焦点レンズで集光させたときの光軸方向における前記焦点位置の目標値と、焦点確認用のレーザ光に設定される第2の係数とをパラメータとする第2の変換式により前記焦点レンズの光軸方向の位置を算出する位置データ算出部と、
前記第1モードでは、前記位置データ算出部において前記第1の変換式により算出される前記焦点レンズの光軸方向の位置に基づいて前記焦点レンズを光軸方向に移動させ、前記第2モードでは、前記位置データ算出部において前記第2の変換式により算出される前記焦点レンズの光軸方向の位置に基づいて前記焦点レンズを光軸方向に移動させるレンズ駆動機構制御部と、
を備えるレーザ加工装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係るレーザ加工装置の実施形態について説明する。なお、本明細書に添付した図面は、いずれも模式図であり、理解しやすさ等を考慮して、各部の形状、縮尺、縦横の寸法比等を、実物から変更又は誇張している。
【0011】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係るレーザ加工装置1の外観図である。
図2は、第1実施形態に係るレーザ加工装置1の光学系を説明する図である。
第1実施形態に係るレーザ加工装置1は、
図1及び
図2に示すように、多軸ロボット2と、レーザ光源3と、多軸ロボット2のアーム21の先端に設けられたレーザヘッド4と、を備える。
【0012】
レーザ加工装置1は、多軸ロボット2の動作により、アーム21の先端のレーザヘッド4を搬送し、加工の対象物となるワークW(例えば、自動車ボディ等)の突合せ加工点に向けて、レーザヘッド4からレーザ光Lを照射することにより、ウィービング溶接等の各種の溶接を実行する。
【0013】
多軸ロボット2は、
図1に示すように、基部20と、アーム21と、複数の軸22a〜22eと、各軸を駆動するサーボモータからなるロボットモータ(不図示)と、を備える。多軸ロボット2の動作は、後述するロボット制御部59(
図3参照)により制御される。
【0014】
図2において、レーザ光源3は、レーザ媒質、光共振器、励起源等(いずれも不図示)を備えるレーザ発振器から構成される。レーザ光源3は、レーザ光Lを生成し、生成したレーザ光Lを後述のガルバノスキャナ40に向けて出射する。本実施形態のレーザ光源3は、後述するように、加工用のレーザ光(加工光)を出射する第1光源としてのレーザ発振器と、焦点確認用のレーザ光(ガイド光)を出射する第2光源としてのレーザ発振器とを備える。レーザ光源3は、レーザ発振器を切り替えることにより、レーザ光Lとして、上述した加工光とガイド光のそれぞれを同軸で出射できる(なお、両光は、同時には出射されない)。レーザ光源3は、レーザ光Lの照射モードとして、後述する第1モードが設定された場合には加工光を出射し、第2モードが設定された場合にはガイド光を出射する。
【0015】
レーザヘッド4は、ワークWの突合せ加工点(突合せ溶接点)に対してレーザ光Lを走査するためのガルバノスキャナ40を有する。ガルバノスキャナ40は、
図2に示すように、レーザ光源3から出射されるレーザ光Lを順次反射させるミラー機構としての第1ミラー41及び第2ミラー42と、第1ミラー41及び第2ミラー42のそれぞれを各回転軸X1、X2のまわりに回転駆動する2つの回転モータ43、44と、を備える。
【0016】
また、ガルバノスキャナ40は、
図2に示すように、レンズ45(焦点レンズ)と、レンズ駆動機構46と、を備える。レンズ45は、レーザ光源3から出射されるレーザ光Lを集光させる光学部材である。レンズ駆動機構46は、レンズ45を光軸方向に移動可能な装置である。レンズ駆動機構46の動作は、後述するレンズ駆動機構制御部602により制御される。レンズ45を光軸方向に移動させることにより、レンズ45で集光されるレーザ光Lの焦点位置を調整できる。
【0017】
次に、レーザ加工装置1の制御系について説明する。
図3は、第1実施形態における制御ユニット50の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、レーザ加工装置1の制御ユニット50は、表示装置51、表示制御部52、データ取得部53、操作入力部54、入力制御部55、記憶部56、データベース装置57、データ制御部58、ロボット制御部59及びガルバノスキャナ制御部60を備える。
【0018】
表示装置51は、各種のデータ、メッセージ、図形等を表示可能なディスプレイ装置である。表示装置51には、例えば、後述する加工
用相関データ(
図4A参照)、焦点確認用相関データ(
図4B参照)等を表示させることができる。
表示制御部52は、表示装置51における各種データの表示を制御する。表示制御部52は、操作入力部54から入力されたオペレータの操作指示に従って、例えば、後述する加工用相関データ(
図4A参照)、焦点確認用相関データ(
図4B参照)等をデータテーブル形式で表示装置51に表示させる。
【0019】
データ取得部53は、後述するロボット制御部59、ガルバノスキャナ制御部60において実行される各種のプログラム、データ等を取得可能な装置である。データ取得部53は、例えば、PC(パーソナルコンピュータ)、ネットワーク通信端末装置、記録媒体(例えばCD−ROM)の読取装置等のいずれか1つ又は複数により構成される。
【0020】
操作入力部54は、オペレータが各種の文字情報、数値データ、操作指示、動作指示等を入力可能な装置である。操作入力部54は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等(不図示)により構成される。
入力制御部55は、データ取得部53で取得された各種のデータ、操作入力部54から入力されたデータ、指示等を取得して、記憶部56に記憶させたり、データ制御部58を介してデータベース装置57に記憶させたりする。
【0021】
記憶部56は、ロボット制御部59、ガルバノスキャナ制御部60で実行される各種のプログラム、データ等が一時的に記憶される内部記憶装置である。記憶部56は、例えば、半導体メモリ、ハードディスク装置等により構成される。
【0022】
データベース装置57は、後述する加工用相関データ、焦点確認用相関データ等が記憶される外部記憶装置である。データベース装置57は、加工用相関データ管理部571及び焦点確認用相関データ管理部572を備える。
【0023】
本実施形態の加工用相関データ管理部571は、データベース装置57において、加工用相関データの記憶領域として構成される。加工用相関データは、レンズ45の光軸方向の位置と加工光をレンズ45で集光させたときの加工用の焦点位置(以下、「加工光の焦点位置」ともいう)とを対応付けたデータである。加工用相関データ管理部571で管理される加工用相関データは、オペレータの操作により書き替えることができる。
【0024】
また、本実施形態の焦点確認用相関データ管理部572は、データベース装置57において、焦点確認用相関データの記憶領域として構成される。焦点確認用相関データは、レンズ45の光軸方向の位置とガイド光をレンズ45で集光させたときの焦点確認用の焦点位置(以下、「ガイド光の焦点位置」ともいう)とを対応付けたデータである。焦点確認用相関データ管理部572で管理される焦点確認用相関データは、オペレータの操作により書き替えることができる。加工用相関データ及び焦点確認用相関データの具体例については、後述する。
【0025】
データ制御部58は、データベース装置57にデータを記憶させたり、データベース装置57から読み出したデータを記憶部56に一時的に記憶させたり、表示制御部52へ送出したりする。
【0026】
ロボット制御部59は、多軸ロボット2(
図1参照)のコントローラであり、CPU(中央処理装置)、メモリ等を含むマイクロプロセッサにより構成される。ロボット制御部59は、記憶部56からオペレーティングシステム、アプリケーションプログラム等を読み出して実行する。ロボット制御部59は、ロボットモータ(不図示)を制御することにより、多軸ロボット2のアーム21(
図1参照)の先端に設けられたレーザヘッド4を所望の位置に搬送することができる。
【0027】
ガルバノスキャナ制御部60は、CPU、メモリ等を含むマイクロプロセッサにより構成されるコントローラである。ガルバノスキャナ制御部60は、記憶部56からガルバノスキャナ40(回転モータ43、44、レンズ駆動機構46等)を制御するためのアプリケーションプログラム(例えば、後述するレンズ位置
駆動プログラム)を読み出して実行することにより、各ハードウェアと協働して、後述する各種の機能を実現する。
ガルバノスキャナ制御部60は、ミラー駆動機構制御部601、レンズ駆動機構制御部602及びレーザ光制御部603を備える。
【0028】
ミラー駆動機構制御部601は、回転モータ43、44(
図2参照)を制御することにより、第1ミラー41及び第2ミラー42に入射するレーザ光Lの入射角を調整する。これにより、ガルバノスキャナ40において、レーザ光Lの照射位置が調整される。
レンズ駆動機構制御部602は、レンズ駆動機構46を制御することにより、レンズ45を光軸方向の所望の位置に移動させる。これにより、ガルバノスキャナ40において、レーザ光Lの焦点位置が調整される。
【0029】
本実施形態のレンズ駆動機構制御部602は、後述する第1モードが設定された場合、目標とする加工光の焦点位置に対応するレンズ45の光軸方向の位置(加工用相関データ管理部571で管理される加工用相関データに記録されている)を特定して、レンズ駆動機構46を制御することにより、レンズ45を光軸方向に移動させる。また、レンズ駆動機構制御部602は、後述する第2モードが設定された場合、目標とするガイド光の焦点位置に対応するレンズ45の光軸方向の位置(焦点確認用相関データ管理部572で管理される焦点確認用相関データに記録されている)を特定して、レンズ駆動機構46を制御することにより、レンズ45を光軸方向に移動させる。
【0030】
レーザ光制御部603は、レーザ光源3(
図2参照)のレーザ発振器を切り替えることにより、レーザ光Lとして、焦点確認用のレーザ光(ガイド光)又は加工用のレーザ光(加工光)を出射する。レーザ発振器の切り替えは、レーザ光Lの照射モードと連動する。本実施形態のレーザ加工装置1において、レーザ光の照射モードは、第1モード又は第2モードのいずれかに設定される。レーザ光の照射モードとして第1モードが設定されると、レーザ光源3において、加工光を出射するレーザ発振器に切り替えられる。また、レーザ光の照射モードとして第2モードが設定されると、レーザ光源3において、ガイド光を出射するレーザ発振器に切り替えられる。
【0031】
第1モードは、対象物となるワークWを溶接するための加工光を照射するモードである。加工光は、オペレータが目視できない波長域のレーザ光である。第2モードは、ワークWの加工面において、レーザ光Lの焦点位置を確認するための焦点確認用のガイド光を照射するモードである。ガイド光は、オペレータが目視できる可視光域のレーザ光である。
【0032】
次に、データベース装置57の加工用相関データ管理部571で管理される加工用相関データ及び焦点確認用相関データ管理部572で管理される焦点確認用相関データについて説明する。
図4Aは、加工用相関データの一例を示すデータテーブルである。
図4Bは、焦点確認用相関データの一例を示すデータテーブルである。
【0033】
図4Aにおいて、「レンズ位置」は、レンズ45の光軸方向の位置を示している。また、「加工光の焦点位置」は、上述した各レンズ位置において、加工光をレンズ45(
図2参照)で集光させたときの焦点位置を示している。本実施形態では、加工光の焦点位置がワークWの加工面であるとき、すなわち加工光がワークWの加工面で合焦しているときのレンズ位置を「0mm」としている。また、レンズ位置が0mmの場合において、加工光の焦点位置を「0mm」と表している。すなわち、加工光がワークWの加工面で合焦しているときに、レンズ45の中心からワークWの加工面までの間を焦点距離(例えば、500mm)で表す代わりに、基準位置となる0mmで表している。
【0034】
図4Aにおいて、レンズ位置が−1mmの場合、加工光の焦点位置は、「−25mm」となる。これは、レンズ45を基準位置(0mm)から光軸方向に−1mm移動させると、加工光の焦点位置がワークWの加工面よりも手前側の−25mmの位置に移動することを示している。なお、−(マイナス)のレンズ位置は、レンズ45が光軸方向において、基準位置よりもワークWから離れる方向に移動していること示している。
【0035】
同様に、レンズ位置が+1mmの場合、加工光の焦点位置は、「+25mm」となる。これは、レンズ45を基準位置から光軸方向に+1mm移動させると、加工光の焦点位置がワークWの加工面よりも奥側の+25mmの位置に移動することを示している。
図4B、
図7についても同じである。なお、+(プラス)のレンズ位置は、レンズ45が光軸方向において、基準位置よりもワークWに近づく方向に移動していること示している。
【0036】
一方、
図4Bに示すように、ガイド光をワークWに照射した場合、同じレンズ位置であっても、焦点位置は、加工光の場合とは異なる。例えば、レンズ位置が0mmの場合、ガイド光の焦点位置は、+25mmとなる。このような焦点位置のずれは、加工光とガイド光のそれぞれの波長の違いにより色収差が異なるために生じる。
【0037】
なお、
図4Aに示す加工用相関データ及び
図4Bに示す焦点確認用相関データの数値は、いずれも一例を示したものであり、これに限定されるものではない(後述する
図7も同様)。また、加工用相関データにおいては、レンズ位置と加工光の焦点位置を4段階に区分した例を示しているが、これに限らず、3段階以下に区分してもよいし、5段階以上に区分してもよい。また、各段の間の数値、例えば、レンズ位置0mmと+1mmとの中間値は、線形補間等の手法を用いることにより算出できる(焦点確認用相関データについての同様)。
【0038】
次に、第1実施形態のレーザ加工装置1(制御ユニット50)で実行されるレンズ位置駆動プログラムの処理内容を、
図5に示すフローチャートに基づいて説明する。
図5は、第1実施形態のレーザ加工装置1で実行されるレンズ位置駆動プログラムの処理手順を示すフローチャートである。
【0039】
図5に示すステップS101において、レンズ駆動機構制御部602は、オペレータにより設定された照射モードが第1モードか第2モードかを判定する。ステップS101において、レンズ駆動機構制御部602により、設定された照射モードが第1モードであると判定された場合、すなわちオペレータにより加工光の照射が設定された場合、処理はステップS102へ移行する。一方、レンズ駆動機構制御部602により、設定された照射モードが第2モードであると判定された場合、すなわちオペレータによりガイド光の照射が設定された場合、処理はステップS104へ移行する。
【0040】
ステップS102(ステップS101:第1モード)において、レンズ駆動機構制御部602は、加工用相関データ管理部571で管理される加工用相関データを参照して、目標とする加工光の焦点位置に対応するレンズ45の光軸方向の位置を特定する。
ステップS103において、レンズ駆動機構制御部602は、ステップS102で特定した光軸方向の位置にレンズ45を移動させる。レンズ45を移動させた後、本フローチャートの処理は、終了する。
【0041】
また、ステップS104(ステップS101:第2モード)において、レンズ駆動機構制御部602は、焦点確認用相関データ管理部572で管理される焦点確認用相関データを参照して、目標とするガイド光の焦点位置に対応するレンズ45の光軸方向の位置を特定する。続いて、レンズ駆動機構制御部602において、上述したステップS103の処理を実行することにより、本フローチャートの処理は、終了する。
【0042】
上述した第1実施形態のレーザ加工装置1によれば、ワークWの加工面における加工光の焦点位置と、ワークWの加工面におけるガイド光の焦点位置とが一致するように、それぞれの相関データに基づいてレンズ45の光軸方向の位置が制御される。これによれば、焦点確認用のレーザ光であるガイド光の焦点がワークWの加工面でぼやけることがないため、ワークWの加工面において、ガイド光の焦点位置が合っていることを、オペレータが容易に判断できる。
【0043】
[第2実施形態]
次に、本発明に係るレーザ加工装置1の第2実施形態について説明する。
図6は、第2実施形態における制御ユニット50Aの構成を示すブロック図である。
図7は、第2実施形態における焦点確認用相関データの一例を示すデータテーブルである。
【0044】
第2実施形態の制御ユニット50Aは、データベース装置57に加工用相関データ管理部571のみを備える点と、ガルバノスキャナ制御部60に焦点確認用相関データ作成部604を備える点とが第1実施形態と相違する。第2実施形態の制御ユニット50Aにおいて、その他の構成は、第1実施形態の制御ユニット50と同じである。そのため、第2実施形態においては、制御ユニット50Aのみを図示し、レーザ加工装置1の全体の図示を省略する。また、第2実施形態の説明及び図面において、第1実施形態と同等の部材等には、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0045】
第2実施形態において、ガルバノスキャナ制御部60の焦点確認用相関データ作成部604は、加工用相関データ(加工用相関データ管理部571)に記録された加工光の焦点位置と、予め設定された補正係数とに基づいて、ガイド光をレンズ45で集光させたときの焦点位置を算出する。そして、焦点確認用相関データ作成部604は、レンズ45の光軸方向の位置とガイド光の焦点位置とを対応付ける焦点確認用相関データを作成する。なお、補正係数は、予めデータベース装置57に記憶されており、焦点確認用相関データ作成部604が焦点確認用相関データを作成する際に読み出される。また、焦点確認用相関データ作成部604で作成された焦点確認用相関データは、記憶部56に一時的に記憶される。
【0046】
ここで、焦点確認用相関データ作成部604において作成される焦点確認用相関データについて説明する。
図7において、「レンズ位置」、「加工光の焦点位置」は、第1実施形態の加工用相関データ(
図4A参照)と同じである。
「補正係数a」は、加工光の焦点位置をガイド光の焦点位置に換算するための数値を示している。補正係数a(a1〜a4)は、レンズ位置ごとに予め設定されている。なお、本実施形態では、加工光の焦点位置の数値に補正係数aを加算することにより、ガイド光の焦点位置を算出する例について説明するが、補正係数aに応じて、加工光の焦点位置に乗算、除算又は減算することによりガイド光の焦点位置を算出する形態としてもよい。
【0047】
「ガイド光の焦点位置」は、加工光の焦点位置に補正係数aを加算することにより得られた、ガイド光の焦点位置の換算値を示している。
なお、
図7に示すデータテーブルは、焦点確認用相関データ作成部604で作成される焦点確認用相関データの構成を模式的に示したものである。焦点確認用相関データとしては、実質的に「ガイド光の焦点位置」のデータが作成されればよい。その場合、レンズ位置に関するデータを、例えば記憶部56に記憶しておき、算出したガイド光の焦点位置と関連付けられたデータとして参照すればよい。なお、作成した焦点確認用相関データは、第2モードによるレーザ光Lの照射が終了した後に記憶部56から削除してもよいし、新たな焦点確認用相関データが作成されるまでの間、記憶部56に記憶させてもよい。
【0048】
本実施形態のレンズ駆動機構制御部602は、第1モードが設定された場合、加工用相関データ管理部571で管理される加工用相関データ(
図4A参照)において、目標とする加工光の焦点位置に対応するレンズ45の光軸方向の位置を特定して、レンズ45を光軸方向に移動させる。例えば、目標とする加工光の焦点位置が0mmの場合、レンズ位置は、0mmとなる。
【0049】
一方、レンズ駆動機構制御部602は、第2モードが設定された場合、焦点確認用相関データ作成部604で作成された焦点確認用相関データ(
図7参照)において、目標とするガイド光の焦点位置に対応するレンズ45の光軸方向の位置を特定して、レンズ45を光軸方向に移動させる。例えば、目標とするガイド光の焦点位置が0mmの場合、レンズ位置は、−1mmとなる
【0050】
次に、第2実施形態のレーザ加工装置1(制御ユニット50A)で実行されるレンズ位置駆動プログラムの処理内容を、
図8に示すフローチャートに基づいて説明する。
図8は、第2実施形態のレーザ加工装置1で実行されるレンズ位置駆動プログラムの処理手順を示すフローチャートである。
【0051】
図8に示すステップS201において、レンズ駆動機構制御部602は、オペレータにより設定された照射モードが第1モードか第2モードかを判定する。ステップS201において、レンズ駆動機構制御部602により、設定された照射モードが第1モードであると判定された場合、すなわちオペレータにより加工光の照射が設定された場合、処理はステップS202へ移行する。一方、レンズ駆動機構制御部602により、設定された照射モードが第2モードであると判定された場合、すなわちオペレータによりガイド光の照射が設定された場合、処理はステップS204へ移行する。
【0052】
ステップS202(ステップS201:第1モード)において、レンズ駆動機構制御部602は、加工用相関データ管理部571(データベース装置57)で管理される加工用相関データを参照して、目標とする加工光の焦点位置に対応するレンズ45の光軸方向の位置を特定する。
ステップS203において、レンズ駆動機構制御部602は、ステップS202で特定した光軸方向の位置にレンズ45を移動させる。レンズ45を移動させた後、本フローチャートの処理は、終了する。
【0053】
一方、ステップS204(ステップS201:第2モード)において、焦点確認用相関データ作成部604は、加工用相関データに記録された加工光の焦点位置と、予め設定された補正係数aとに基づいて、ガイド光をレンズ45で集光させたときの焦点位置を算出し、焦点確認用相関データ(
図7参照)を作成する。
【0054】
ステップS205において、レンズ駆動機構制御部602は、焦点確認用相関データ作成部604で作成された焦点確認用相関データを参照して、目標とする
ガイド光の焦点位置に対応するレンズ45の光軸方向の位置を特定する。続いて、レンズ駆動機構制御部602において、上述したステップS203の処理が実行されることにより、本フローチャートの処理は、終了する。
【0055】
上述した第2実施形態のレーザ加工装置1においても、第1実施形態と同様に、焦点確認用のレーザ光であるガイド光の焦点がワークWの加工面でぼやけることがないため、ワークWの加工面において、ガイド光の焦点位置が合っていることを、オペレータが容易に判断できる。とくに、第2実施形態のレーザ加工装置1においては、加工用相関データに記録された加工光の焦点位置と予め設定された補正係数aとに基づいて焦点確認用相関データを作成するため、データベース装置57に焦点確認用相関データを保存しておく形態に比べて、データベース装置57の記憶容量を削減できる。
【0056】
[第3実施形態]
次に、本発明に係るレーザ加工装置1の第3実施形態について説明する。
図9は、第3実施形態における制御ユニット50Bの構成を示すブロック図である。
第3実施形態の制御ユニット50Bは、データベース装置57に加工用相関データ管理部571等のデータ管理部を備えていない点と、ガルバノスキャナ制御部60に位置データ算出部605を備える点とが第1実施形態と相違する。第3実施形態の制御ユニット50Bにおいて、その他の構成は、第1実施形態の制御ユニット50と同じである。そのため、第3実施形態においては、制御ユニット50Bのみを図示し、レーザ加工装置1の全体の図示を省略する。また、第3実施形態の説明及び図面において、第1実施形態と同等の部材等には、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0057】
第3実施形態において、位置データ算出部605(ガルバノスキャナ制御部60)は、第1モードが設定された場合、下記に示す第1の変換式(1)に基づいて、第1モードにおけるレンズ45の光軸方向のレンズ位置z1を算出する。
z1=f(Z,g1)・・・(1)
ここで、「Z」は、加工光をレンズ45で集光させたときの焦点位置の目標値(以下、「加工光における焦点位置の目標値」ともいう)である。「g1」は、加工光の波長に依存する第1の係数である。
【0058】
また、位置データ算出部605は、第2モードが設定された場合、下記に示す第2の変換式(2)に基づいて、第2モードにおけるレンズ45の光軸方向のレンズ位置z2を算出する。
z2=f(Z,g2)・・・(2)
ここで、「Z」は、加工光における焦点位置の目標値である。「g2」は、ガイド光の波長に依存する第2の係数である。
【0059】
上記第1の変換式(1)、第2の変換式(2)、加工光における焦点位置の目標値Z、第1の係数g1及び第2の係数g2に関するデータは、例えば、データベース装置57に記憶されている。また、位置データ算出部605により算出されたレンズ位置(z1、z2)に関するデータは、例えば、記憶部56に記憶される。
【0060】
第2の変換式(2)に示すように、位置データ算出部605は、第2モードにおけるレンズ45の光軸方向のレンズ位置z2を、加工光における焦点位置の目標値Z及び第2の係数g2をパラメータとする第2の変換式(2)に基づいて算出する。なお、位置データ算出部605においては、上述のように照射モードに応じて変換式を切り替えてもよいし、第1の変換式(1)の第1の係数g1を第2の係数g2に置き換えることによって、第2モードにおけるレンズ45の光軸方向のレンズ位置z2を算出してもよい。
【0061】
次に、第3実施形態のレーザ加工装置1(制御ユニット50B)で実行されるレンズ位置駆動プログラムの処理内容を、
図10に示すフローチャートに基づいて説明する。
図10は、第3実施形態のレーザ加工装置1で実行されるレンズ位置駆動プログラムの処理手順を示すフローチャートである。
【0062】
図10に示すステップS301において、位置データ算出部605は、オペレータにより設定された照射モードが第1モードか第2モードかを判定する。ステップS301において、位置データ算出部605により、設定された照射モードが第1モードであると判定された場合、すなわちオペレータにより加工光の照射が設定された場合、処理はステップS302へ移行する。一方、位置データ算出部605により、設定された照射モードが第2モードであると判定された場合、すなわちオペレータによりガイド光の照射が設定された場合、処理はステップS305へ移行する。
【0063】
ステップS302(ステップS301:第1モード)において、位置データ算出部605は、加工光における焦点位置の目標値Z及び第1の係数g1を取得する。
ステップS303において、位置データ算出部605は、第1の変換式によりレンズ45の光軸方向の位置を算出する。
ステップS304において、レンズ駆動機構制御部602は、ステップS303で算出された光軸方向の位置にレンズ45を移動させる。レンズ45を移動させた後、本フローチャートの処理は、終了する。
【0064】
一方、ステップS305(ステップS301:第2モード)において、位置データ算出部605は、加工光における焦点位置の目標値Z及び第2の係数g2を取得する。
ステップS306において、位置データ算出部605は、第2の変換式によりレンズ45の光軸方向の位置を算出する。続いて、レンズ駆動機構制御部602において、上述したステップS304の処理が実行されることにより、本フローチャートの処理は、終了する。
【0065】
上述した第3実施形態のレーザ加工装置1においても、第1実施形態と同様に、焦点確認用のレーザ光であるガイド光の焦点がワークWの加工面でぼやけることがないため、ワークWの加工面において、ガイド光の焦点位置が合っていることを、オペレータが容易に判断できる。とくに、第3実施形態のレーザ加工装置1においては、加工光における焦点位置の目標値と予め設定された係数とをパラメータとする変換式によりレンズ位置を算出するため、データベース装置57に加工用相関データ及び焦点確認用相関データを保存しておく形態に比べて、データベース装置57の記憶容量をより削減できる。
【0066】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、後述する変形形態のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内に含まれる。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、実施形態に記載したものに限定されない。なお、上述の実施形態及び後述する変形形態は、適宜に組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0067】
(変形形態)
第1実施形態では、焦点確認用相関データを焦点確認用相関データ管理部572に記憶しておく例について説明したが、これに限定されない。データベース装置57の機能として、焦点確認用相関データ管理部572において、焦点確認用相関データを作成してもよい。その場合、例えば、第2実施形態のように補正係数を用いて焦点確認用相関データを作成してもよいし、第3実施形態のように変換式を用いて焦点確認用相関データを作成してもよい。
【0068】
第2実施形態では、データベース装置57に加工用相関データを記憶しておき、この加工用相関データと補正係数とに基づいて焦点確認用相関データを作成する例について説明したが、これに限定されない。データベース装置57に焦点確認用相関データを記憶しておき、この焦点確認用相関データと補正係数とに基づいて加工用相関データを作成してもよい。また、データベース装置57に共通の相関データを記憶しておき、この相関データと照射モードごとに設定された補正係数とに基づいて、加工用相関データと焦点確認用相関データをそれぞれ作成してもよい。
【0069】
第3実施形態では、変換式に基づいて、第1モード及び第2モードにおけるレンズ位置をそれぞれ算出する例について説明したが、これに限定されない。例えば、第1モード(又は第2モード)において、変換式を用いることなく、第1実施形態のように加工用相関データ(又は焦点確認用相関データ)に基づいてレンズ位置を特定してもよい。また、第1モード(又は第2モード)において、変換式を用いることなく、第2実施形態のように補正係数を用いて加工用相関データ(又は焦点確認用相関データ)を作成してもよい。
【0070】
実施形態では、レーザ加工装置において、2つのミラーを備えたガルバノスキャナを用いた構成について説明したが、これに限定されない。レーザ加工装置において、1又は3以上のミラーを備えたガルバノスキャナを用いた構成としてもよい。
実施形態では、1つのレーザ光源で2つのレーザ発振器(不図示)を切り替える例について説明したが、これに限定されない。例えば、加工光を出射するレーザ発振器とガイド光を出射するレーザ発振器とを個別に配置しておき、各モードにおいて、それぞれのレーザ発振器から出射されるレーザ光をハーフミラーにより同軸で出射するように構成してもよい。