(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1電力変換部と前記複数の出力端子との間に設けられ、前記第1電力変換部と前記複数の出力端子に第2ケーブルを介して接続される第2電力変換部であって、前記第1電力変換部により出力される直流電力の電圧を変換して前記複数の出力端子のそれぞれに定電圧の直流電力を出力する第2電力変換部を更に備える、
請求項4に記載の直流給電システム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態における直流給電システムについて図面を参照して説明する。
【0011】
<第1の実施形態>
[全体構成]
図1は、第1の実施形態における直流給電システムを模式的に示す図である。図示のように、直流給電システムは、例えば、車両Mに搭載された電源装置10(「外部装置」の一例)に接続される。車両Mは、ガソリンエンジンなどの内燃機関を動力源としたエンジン車両であってもよいし、ハイブリッド自動車であってもよいし、電気自動車であってもよいし、燃料電池車であってもよい。
【0012】
電源装置10は、主電源と、主電源から電力供給を受ける補助電源とを含む。車両Mに搭載された構成としては、主電源は、エンジンおよびオルタネータ、車両の運動エネルギーを用いて発電するモータ、AC‐DCコンバータ、DC‐DCコンバータ、ハイブリッド用二次電池、電気自動車の走行用二次電池のいずれか又は組み合わせであり、補助電源は、車載負荷(後述するように、いわゆる補機であり、エンジンを搭載する車両であればエンジンのスタータモータを含んでよい)を駆動するための二次電池である。詳しくは、後述する。
【0013】
直流給電システムは、例えば、第1の筐体100Aに収容された電源側電力変換装置100と、第2の筐体200Aに収容された負荷側電力変換装置200とを備える。負荷側電力変換装置200には、負荷Lが接続される。電源装置10と電源側電力変換装置100は、入力ケーブルCAaを介して互いに接続される。また、電源側電力変換装置100と負荷側電力変換装置200は、中間ケーブルCAbを介して互いに接続される。入力ケーブルCAaおよび中間ケーブルCAbは、電源側電力変換装置100や負荷側電力変換装置200に対して着脱可能なものであってもよいし、固定的に接続されたものであってもよい。入力ケーブルCAaは、「第1ケーブル」の一例であり、中間ケーブルCAbは、「第2ケーブル」の一例である。
【0014】
例えば、電源側電力変換装置100は、車両Mの近傍に載置されて使用され、負荷側電力変換装置200は、負荷Lの近傍に載置されて使用される。
図1では便宜上、電源側電力変換装置100が車両Mの外部に載置されているように示しているが、電源側電力変換装置100は、車両Mの車室内に置かれて使用されてもよい。この場合、入力ケーブルCAaの一方の端部は、ボンネットが完全に閉まっておらずロックされていない、いわゆる半開き状態のボンネットの隙間からエンジンルーム内部に挿入されて、電源装置10と接続される。入力ケーブルCAaの他方の端部は、車両Mの窓から車室内に導入され、車室内に置かれた電源側電力変換装置100と接続される。また、中間ケーブルCAbも同様に、車両Mの窓から車室外に導出され、負荷側電力変換装置200と接続される。電源側電力変換装置100および負荷側電力変換装置200は、中間ケーブルCAbを介して接続されるため、例えば、互いに十数[m]〜数百[m]離れた状態で使用することができる。
【0015】
電源側電力変換装置100は、電源装置10から入力ケーブルCAaを介して供給される直流電力を昇圧して、負荷側電力変換装置200に出力する。また、電源側電力変換装置100は、第1の筐体100Aに設けられたスイッチSWのオン・オフに応じて、作動状態または停止状態のいずれかの状態となる。スイッチSWは、例えば、利用者によってオンまたはオフに操作される。
【0016】
負荷側電力変換装置200は、電源側電力変換装置100により出力される電力を降圧して、負荷Lに供給する。
【0017】
負荷Lは、照明機器、ラジオ、家電機器、スマートフォンや携帯電話などの任意の電子機器または電動機器であり、直流電力によって動作する。
【0018】
[電源装置]
図2は、電源装置10を搭載する車両Mの構成の一例を示す図である。図示の例では、車両Mは、専ら内燃機関を動力源としたエンジン車両であるものとしている。車両Mは、例えば、電源装置10と、車載負荷20とを備える。電源装置10は、例えば、エンジン11と、オルタネータ12と、二次電池14と、車載DC‐DCコンバータ16とを備える。
【0019】
例えば、オルタネータ12は、シャフトSFおよび図示しないベルトによってエンジン11と連結されており、エンジン11の回転力を利用して交流電力を発電し、整流器によって直流電力に変換する。
【0020】
車載DC‐DCコンバータ16は、オルタネータ12により出力された直流電力(DC)を降圧して、二次電池14や車載負荷20に出力する。車載DC‐DCコンバータ16により変換された直流電力は、例えば、13.5〜14.0[V]程度の電圧を有しており、オルタネータ12の種類や使用環境に応じて数[V]程度変動する場合があり、11[V]程度となる場合がある。
【0021】
二次電池14は、例えば、鉛蓄電池である。二次電池14の基準電力の電圧(基準電圧)は、車載規格に適合したものであり、例えば、12[V]や24[V]程度である。二次電池14の基準電圧は、例えば、定格電圧、公称電圧などと称される電圧である。二次電池14は、車載DC‐DCコンバータ16により出力された直流電力を蓄電(充電)したり、蓄電した電力を放電したりする。
【0022】
車載負荷20は、例えば、エアコン、照明灯、車両室内の各種表示装置、オーディオなどである。車載負荷20は、エンジン11を始動させるスタータモータを含んでもよい。車載負荷20は、車載DC‐DCコンバータ16により出力された直流電力や、二次電池14により放電された直流電力を利用して動作する。
【0023】
図示のように、入力ケーブルCAaは、車載DC‐DCコンバータ16と二次電池14との双方に接続された箇所(例えば、二次電池14の端子)に、クリップ(不図示)等を介して接続される。従って、電源側電力変換装置100には、二次電池14により放電された直流電力や、車載DC‐DCコンバータ16により出力された直流電力が、入力ケーブルCAaを介して供給され得る。
【0024】
図3は、電源装置10を搭載する車両Mの構成の他の例を示す図である。図示の例では、車両Mは、ハイブリッド自動車であるものとしている。ハイブリッド自動車である車両Mに搭載される電源装置10は、例えば、エンジン11と、車載AD‐DCコンバータ13と、二次電池14と、駆動モータ15と、車載DC‐DCコンバータ16と、ハイブリッド用二次電池17とを備える。
【0025】
駆動モータ15は、シャフトSFによってエンジン11と連結されており、車両Mが減速する際に減少する運動エネルギーを用いて発電し、発電した交流電力を車載AD‐DCコンバータ13に出力する。また、駆動モータ15は、車載AD‐DCコンバータ13により出力された電力を利用して回転することで、エンジン11をアシストする。なお、このような仕組みに変えて、発電用モータと駆動用(或いは回生用)モータとを別々に備える仕組みであってもよい。
【0026】
車載AD‐DCコンバータ13は、駆動モータ15により発電された交流電力(AC)を直流電力(DC)に変換すると共に降圧して、車載DC‐DCコンバータ16やハイブリッド用二次電池17に出力する。また、車載AD‐DCコンバータ13は、ハイブリッド用二次電池17により放電された直流電力を交流電力に変換すると共に昇圧して、図示しないインバータなどを介して駆動モータ15に出力する。
【0027】
車載DC‐DCコンバータ16は、車載AD‐DCコンバータ13またはハイブリッド用二次電池17により出力された直流電力を降圧して、二次電池14や車載負荷20に出力する。
【0028】
ハイブリッド用二次電池17は、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、レドックス・フロー電池などであり、二次電池14の出力電圧に比して高い出力電圧を有すると共に、二次電池14の容量に比して数倍から数十倍程度大きい容量を有する。
【0029】
[電源側電力変換装置]
図4は、第1の筐体100Aに収容された電源側電力変換装置100の構成の一例を示す図である。図示のように、第1の筐体100Aには、電源側入力端子ILaと、電源側出力端子OLaと、スイッチSWとが設けられており、第1の筐体100Aの外部から、電源側入力端子ILaに入力ケーブルCAaが接続されると共に、電源側出力端子OLaに中間ケーブルCAbが接続される。電源側入力端子ILaは、「第1入力端子」の一例である。
【0030】
電源側電力変換装置100は、例えば、入力側電圧検出部101と、入力側電流検出部102と、出力側電流検出部103と、出力側電圧検出部104と、ダイオード105と、電源側DC‐DCコンバータ110と、コントローラ用(以下、CTL用)DC‐DCコンバータ120と、電源側コントローラ130とを備える。入力側電圧検出部101は、「第1入力電圧検出部」の一例であり、出力側電圧検出部104は、「第1出力電圧検出部」の一例である。また、電源側DC‐DCコンバータ110は、「第1電力変換部」の一例であり、電源側コントローラ130は、「第1コントローラ」の一例である。
【0031】
電源側DC‐DCコンバータ110は、電源側入力端子ILaを介して供給された直流電力を昇圧して、電源側出力端子OLaの側に出力する。例えば、電源側DC‐DCコンバータ110は、電源側入力端子ILaと接続される入力端子を介して供給される直流電力に対して、所望のデューティ比でスイッチング素子をスイッチングすることによって、昇圧を行う。例えば、電源側DC‐DCコンバータ110は、直流電力を60[V]程度に昇圧する。
【0032】
入力側電圧検出部101および入力側電流検出部102は、電源側DC‐DCコンバータ110の入力側に設けられる。入力側電圧検出部101は、電源側DC‐DCコンバータ110の入力端子の正極と負極の間の電圧(入力電圧Vin)を検出する。入力側電流検出部102は、電源側DC‐DCコンバータ110の入力端子の正極に流れる電流(入力電流Iin)を検出する。
【0033】
出力側電流検出部103、出力側電圧検出部104およびダイオード105は、電源側DC‐DCコンバータ110の出力側に設けられる。出力側電流検出部103は、電源側DC‐DCコンバータ110の出力端子の正極に流れる電流(出力電流Iout)を検出する。出力側電圧検出部104は、電源側DC‐DCコンバータ110の出力端子の正極と負極の間の電圧(出力電圧Vout)を検出する。入力側および出力側のこれらの検出部は、検出値を示す検出信号を電源側コントローラ130に出力する。ダイオード105は、電源側出力端子OLaから電源側DC‐DCコンバータ110の出力端子に電流が流れるのを阻止する。
【0034】
CTL用DC‐DCコンバータ120は、電源側入力端子ILaを介して出力される直流電力を、電源側コントローラ130が利用可能な電力に変換して電源側コントローラ130に出力する。
【0035】
電源側コントローラ130は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサがプログラムメモリ(不図示)に格納されたプログラムを実行することにより実現される。また、電源側コントローラ130の機能の一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアにより実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働により実現されてもよい。電源側コントローラ130は、CTL用DC‐DCコンバータ120によって変換された電力が供給されることで動作する。
【0036】
電源側コントローラ130は、各種検出部により出力された検出信号に基づいて、電源側DC‐DCコンバータ110を制御する。以下、電源側コントローラ130による処理の流れについてフローチャートを用いて説明する。
【0037】
図5は、第1の実施形態における電源側コントローラ130による処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、本フローチャートの処理中にスイッチSWがオフに操作された場合、電源側コントローラ130は、割込み処理として、電源側DC‐DCコンバータ110を停止させてよい。
【0038】
まず、電源側コントローラ130は、CTL用DC‐DCコンバータ120から電力が供給されると、プログラムメモリからプログラムを読み出して処理を開始する(ステップS100)。
【0039】
次に、電源側コントローラ130は、入力側電圧検出部101により出力された検出信号を参照して、入力電圧Vinが第1範囲内であるか否かを判定する(ステップS102)。第1範囲とは、二次電池14の基準電圧の一つである12[V]を基準とした電圧範囲である。例えば、第1範囲は、12[V]を基準とした下限値9[V]から上限値14[V]程度の電圧範囲である。
【0040】
電源側コントローラ130は、入力電圧Vinが第1範囲内である場合、電源側DC‐DCコンバータ110を制御する際の制御パラメータを、第1パラメータにセットする(ステップS104)。制御パラメータは、例えば、入力電圧Vinに対する下限電圧VinLおよび上限電圧VinH、入力電流Iinに対する上限電流IinH、昇圧比α、出力電圧Voutに対する下限電圧VoutLおよび上限電圧VoutH、出力電流Ioutに対する上限電流IoutHなどを含む。
【0041】
下限電圧VinLは、例えば、オルタネータ12などの「主電源」が供給する電圧の最小値付近の値であり、且つ、「補助電源」である二次電池14の基準電圧よりも若干低い値に設定される。「主電源」が供給する電圧の最小値とは、例えばオルタネータ12の発電電圧の最小値(例えば11.0[V])である。また、この値は、二次電池14の基準電圧未満の値でもある。下限電圧VinLは、例えば、「主電源」が供給する電圧の最小値を基準に、プラス側とマイナス側に5%程度の変動幅の範囲内で設定される。例えば、「主電源」が供給する電圧の最小値が11[V]である場合、下限電圧VinLは、10.45〜11.55[V]の範囲内で設定される。なお、当該変動幅は、「主電源」が供給する電圧の最小値のマイナス側のみ、またはプラス側のみであってもよい。
【0042】
上限電圧VinHは、例えば、第1範囲の上限電圧よりも若干低い値である。若干低い値とは、例えば、比較対象の値に比して1割程度低い値のことである。例えば、第1範囲の上限電圧を14[V]とした場合、上限電圧VinHは、1割程度低い12[V]、13[V]などに設定される。上限電流IinHは、例えば、二次電池14が放電可能な最大電流の半分程度の電流値に設定される。
【0043】
下限電圧VoutL、上限電圧VoutHおよび上限電流IoutHは、電源側DC‐DCコンバータ110から出力されることが想定される直流電力に基づいて設定される。具体的には、下限電圧VoutL、上限電圧VoutHおよび上限電流IoutHは、電源側DC‐DCコンバータ110における昇圧比αに基づいて設定される。
【0044】
例えば、電源側コントローラ130は、第1パラメータとして、入力電圧Vinに対する下限電圧VinL値を11[V]程度、上限電圧VinH値を13[V]程度、入力電流Iinに対する上限電流IinH値を28[A]程度、昇圧比αを5倍程度に設定する。また、電源側コントローラ130は、昇圧比αを5倍程度に設定したことから、第1パラメータとして、更に、出力電圧Voutに対する上限電圧VoutHを、想定される入力電圧Vinの5倍を超える値(例えば昇圧後の出力電圧Voutの1割増し程度の値)に設定し、出力電圧Voutに対する下限電圧VoutLを、上限電圧VoutHの数[V]程度小さい値に設定し、出力電流Ioutに対する上限電流IoutHを、想定される入力電流Iinの1/5倍未満の値に設定する。
【0045】
一方、電源側コントローラ130は、入力電圧Vinが第1範囲内でない場合、更に入力電圧Vinが第2範囲内であるか否かを判定する(ステップS106)。第2範囲とは、二次電池14の基準電圧の一つである24[V]を基準とした電圧範囲である。例えば、第2範囲は、24[V]を基準とした下限値18[V]から上限値30[V]程度の電圧範囲である。
【0046】
電源側コントローラ130は、入力電圧Vinが第2範囲内である場合、電源側DC‐DCコンバータ110を制御する際の制御パラメータを、第2パラメータにセットする(ステップS108)。例えば、電源側コントローラ130は、第2パラメータとして、入力電圧Vinに対する下限電圧VinL値を22[V]程度、上限電圧VinH値を26[V]程度、入力電流Iinに対する上限電流IinH値を14[A]程度、昇圧比αを2.5倍程度に設定する。また、電源側コントローラ130は、昇圧比αを2.5倍程度に設定したことから、第2パラメータとして、更に、出力電圧Voutに対する上限電圧VoutHを、想定される入力電圧Vinの2.5倍を超える値に設定し、出力電圧Voutに対する下限電圧VoutLを、上限電圧VoutHの数[V]程度小さい値に設定し、出力電流Ioutに対する上限電流IoutHを、想定される入力電流Iinの1/2.5倍未満の値に設定する。
【0047】
一方、電源側コントローラ130は、入力電圧Vinが第2範囲内でない場合、電源側DC‐DCコンバータ110を停止させる(ステップS110)。これによって、本フローチャートの処理が終了する。
【0048】
次に、電源側コントローラ130は、制御パラメータを参照して、入力電圧Vinが下限電圧VinLを超え、且つ上限電圧VinH未満であるか否かを判定する(ステップS112)。
【0049】
電源側コントローラ130は、入力電圧Vinが、下限電圧VinL以下である場合、または上限電圧VinH以上である場合、S110の処理に移り、電源側DC‐DCコンバータ110を停止させる。このように、電源側コントローラ130は、入力電圧Vinが、少なくとも下限電圧VinL以下である場合、電源側DC‐DCコンバータ110を停止させる。
【0050】
ここで、基準電圧は、二次電池14の満充電のときの電圧に近い値であるため、少し放電することで、放電電力の電圧が下限電圧VinLを下回ることになる。従って、直流給電システムが電源装置10から電力供給を受け続けても、二次電池14は、ある程度の充電率を保った状態で維持される。この結果、二次電池14が過放電の状態(いわゆるバッテリ上がりの状態)となるのを防止することができ、適切な範囲で電源装置10から電力の供給を受けることができる。
【0051】
また、電源装置10から直流電力が電源側入力端子ILaに出力されている際に、「主電源」の発電電圧にばらつきが生じる場合がある。この場合、下限電圧VinLを、電圧のばらつきを考慮せずに「主電源」の発電電圧の最小値よりも有意に高い電圧(例えば11.5[V]程度)に設定した場合、入力電圧Vinが下限電圧VinL以下となって、電源側DC‐DCコンバータ110が停止することになり、負荷Lへの電力供給が頻繁に停止してしまう場合がある。
【0052】
これに対して、下限電圧VinLを「主電源」の発電電圧の最小値に設定することで、電圧のばらつきを許容して「主電源」から電力供給を受けるため、電源側DC‐DCコンバータ110が頻繁に停止されるのを抑制し、負荷Lに安定して電力を供給しやすくなる。
【0053】
一方、電源側コントローラ130は、入力電圧Vinが、下限電圧VinLを超え、且つ上限電圧VinH未満である場合、入力側電流検出部102により出力された検出信号と、制御パラメータを参照して、入力電流Iinが上限電流IinHを超えるか否かを判定する(ステップS114)。
【0054】
電源側コントローラ130は、入力電流Iinが上限電流IinHを超える場合、S110の処理に移り、電源側DC‐DCコンバータ110を停止させる。これによって、二次電池14により瞬間的に大きな電力が放電されるのを抑制することができる。
【0055】
一方、電源側コントローラ130は、入力電流Iinが上限電流IinHを超えない場合、電源側DC‐DCコンバータ110を制御して、制御パラメータが示す昇圧比αで直流電力を昇圧させる(ステップS116)。
【0056】
次に、電源側コントローラ130は、出力側電圧検出部104により出力された検出信号と、制御パラメータとを参照して、出力電圧Voutが下限電圧VoutLを超え、且つ上限電圧VoutH未満であるか否かを判定する(ステップS118)。電源側コントローラ130は、出力電圧Voutが下限電圧VoutL以下である場合、または上限電圧VoutH以上である場合、S110の処理に移り、電源側DC‐DCコンバータ110を停止させる。
【0057】
一方、電源側コントローラ130は、出力電圧Voutが下限電圧VoutLを超え、且つ上限電圧VoutH未満である場合、出力側電流検出部103により出力された検出信号と、制御パラメータとを参照して、出力電流Ioutが上限電流IoutHを超えるか否かを判定する(ステップS120)。電源側コントローラ130は、出力電流Ioutが上限電流IoutHを超えない場合、S112の処理に移行する。
【0058】
一方、電源側コントローラ130は、出力電流Ioutが上限電流IoutHを超えた場合、S110の処理に移り、電源側DC‐DCコンバータ110を停止させる。これによって、例えば、電源側DC‐DCコンバータ110の故障などによって異常な直流電力が出力される場合に、電源側DC‐DCコンバータ110を停止させることができる。また、電力線が短絡などして、電源側DC‐DCコンバータ110の出力側に、電源側DC‐DCコンバータ110の出力電圧Voutよりも高電圧な電力が漏洩した場合、あるいは他の電源が接続された場合に出力電圧Voutが、下限電圧VoutL以下または上限電圧VoutH以上となるため、電源側DC‐DCコンバータ110を停止させることができる。この結果、直流給電システムの安全性を高めることができる。
【0059】
[負荷側電力変換装置]
図6は、第2の筐体200Aに収容された負荷側電力変換装置200の構成の一例を示す図である。図示のように、第2の筐体200Aには、負荷側入力端子ILbと、複数の負荷側出力端子OLbとが設けられている。また、負荷側入力端子ILbには、第2の筐体200Aの外部から、不図示の中間ケーブルCAbが接続されると共に、負荷側出力端子OLbに不図示の負荷Lと接続するためのケーブルが接続される。複数の負荷側出力端子OLbは、例えば、USB(Universal Serial Bus)規格のケーブルが接続可能なUSB端子であり、出力電圧5[V]、出力電流1[A]程度に維持される。例えば、負荷側出力端子OLbは、40個程度設けられてよい。
【0060】
負荷側電力変換装置200は、例えば、負荷側DC‐DCコンバータ210−1、210−2を備える。図示の例では、負荷側DC‐DCコンバータは、2つずつ備えられているが、第2の筐体200Aに設ける負荷側出力端子OLbの数に応じて、1つまたは3つ以上に変更されてもよい。以下、これらの負荷側DC‐DCコンバータを区別せずに、単に負荷側DC‐DCコンバータ210として説明する。負荷側DC‐DCコンバータ210は、「第2電力変換部」の一例である。
【0061】
負荷側DC‐DCコンバータ210は、負荷側入力端子ILbを介して供給された直流電力を降圧して、負荷側出力端子OLbの側に出力する。例えば、電源側DC‐DCコンバータ110は、負荷側入力端子ILbと接続される入力端子を介して供給される直流電力に対して、所望のデューティ比でスイッチング素子をスイッチングすることによって、降圧を行う。例えば、負荷側DC‐DCコンバータ210は、電源側DC‐DCコンバータ110により昇圧された直流電力の電圧に対応するために、およそ36[V]から72[V]程度の電圧範囲(以下、第3範囲と称する)内の直流電力を降圧してUSB規格の5[V]に変換する。負荷側DC‐DCコンバータ210は、降圧した直流電力を、各負荷側出力端子OLbに出力する。
【0062】
以上説明した第1の実施形態における直流給電システムによれば、オルタネータ12などの主電源と、主電源から電力供給を受ける補助電源としての二次電池14と、を含む電源装置10に入力ケーブルCAaを介して接続される電源側入力端子ILaと、電源側入力端子ILaを介して電源装置10から供給される直流電力の電圧を変換して出力する電源側DC-DCコンバータ110と、電源側DC-DCコンバータ110の入力電圧Vinを検出する入力側電圧検出部101と、入力電圧Vinが下限電圧VinL以下である場合、電源側DC-DCコンバータ110を停止させる電源側コントローラ130を備えるため、適切な範囲で電源装置10から電力の供給を受けることができる。この結果、電源装置10がエンジン車両に搭載された場合、電源側DC‐DCコンバータ110に対して出力される電力を監視することによって、二次電池14が過放電の状態となるのを防止することができる。また、電源装置10がハイブリッド自動車に搭載された場合も同様に、二次電池14およびハイブリッド用二次電池17が過放電の状態となるのを防止することができる。
【0063】
また、上述した第1の実施形態によれば、例えば、災害時に、発電所からの系統電力の供給が停止した場合、直流給電システムを利用することで、車両Mに搭載された「主電源」または「補助電源」の電力を一時的に利用して、被災者の身の回りの電子機器などを作動させることができる。
【0064】
また、上述した第1の実施形態によれば、中間ケーブルCAbによって電源側電力変換装置100と負荷側電力変換装置200とを接続するため、車両Mから離れた避難所などで電力を使用することができる。
【0065】
また、上述した第1の実施形態によれば、2段階で電圧変換を行うため、中間ケーブルCAbによる電圧降下の影響を抑制することができる。
【0066】
また、上述した第1の実施形態によれば、「主電源」または「補助電源」により供給される電力を比較的低電圧なUSB規格の電圧に変換するため、ラジオや携帯電話などの消費電力量の少ない機器を長期間使用することができる。この結果、災害情報などを取得しやすくなり、特に被災者にとっての利便性を向上させることができる。
【0067】
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、第1の筐体100Aに、第3入力端子ILa#が設けられている点で第1の実施形態と異なる。第3入力端子ILa#には、例えば、電源装置10に含まれる「補助電源」の基準電圧に比して大きい基準電圧を有する他電源がケーブルなどを介して接続される。他電源は、例えば、フォークリフトなどの特殊な車両に搭載された二次電池であり、48[V]程度の直流電力を出力する。以下では、係る相違点を中心に説明し、共通する部分についての説明は省略する。
【0068】
図7は、第1の筐体100Aに収容された電源側電力変換装置100の構成の他の例を示す図である。図示のように、第1の筐体100Aには、電源側入力端子ILaと、電源側出力端子OLaと、スイッチSWと、第3入力端子ILa#とが設けられており、第1の筐体100Aの外部から、電源側入力端子ILaに入力ケーブルCAaが接続されると共に、電源側出力端子OLaに中間ケーブルCAbが接続される。また、第3入力端子ILa#は、他電源の二次電池の出力端子と接続されたケーブルと接続される。他電源の二次電池により出力された直流電力は、第3入力端子ILa#を介して、電源側DC‐DCコンバータ110の出力側に出力される。
【0069】
以下、第2の実施形態における電源側コントローラ130による処理についてフローチャートを用いて説明する。
【0070】
図8は、第2の実施形態における電源側コントローラ130による処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、本フローチャートの処理中にスイッチSWがオフに操作された場合、電源側コントローラ130は、割込み処理として、電源側DC‐DCコンバータ110を停止させてよい。
【0071】
まず、電源側コントローラ130は、CTL用DC‐DCコンバータ120から電力が供給されると、プログラムメモリからプログラムを読み出して処理を開始する(ステップS300)。
【0072】
次に、電源側コントローラ130は、入力側電圧検出部101により出力された検出信号を参照して、入力電圧Vinが第1範囲内であるか否かを判定する(ステップS302)。
【0073】
電源側コントローラ130は、入力電圧Vinが第1範囲内である場合、電源側DC‐DCコンバータ110を制御する際の制御パラメータを、第1パラメータにセットする(ステップS304)。
【0074】
一方、電源側コントローラ130は、入力電圧Vinが第1範囲内でない場合、更に入力電圧Vinが第2範囲内であるか否かを判定する(ステップS306)。
【0075】
電源側コントローラ130は、入力電圧Vinが第2範囲内である場合、電源側DC‐DCコンバータ110を制御する際の制御パラメータを、第2パラメータにセットする(ステップS308)。
【0076】
一方、電源側コントローラ130は、入力電圧Vinが第2範囲内でない場合、電源側DC‐DCコンバータ110を停止させる(ステップS310)。これによって、本フローチャートの処理が終了する。
【0077】
次に、電源側コントローラ130は、出力側電流検出部103により出力された検出信号を参照して、第3入力端子ILa#に他電源が接続されたか否かを判定する(ステップS312)。例えば、電源側コントローラ130は、出力電流Ioutが所定値よりも大きくなった場合、第3入力端子ILa#に他電源が接続されたと判定する。所定値は、例えば、所定期間にわたって出力側電流検出部103により検出された出力電圧の平均値などである。また、第3入力端子ILa#に、ケーブルの嵌め込みを検知するスイッチが設けられている場合、電源側コントローラ130は、当該スイッチの状態に基づいて、第3入力端子ILa#に他電源が接続されたか否かを判定してもよい。
【0078】
電源側コントローラ130は、第3入力端子ILa#に他電源が接続された場合、セットした制御パラメータのうち、昇圧比α、下限電圧VoutL、上限電圧VoutHおよび上限電流IoutHを変更する(ステップS314)。例えば、電源側コントローラ130は、出力側電圧検出部104により出力された検出信号を参照して、他電源である二次電池から出力された直流電力の電圧がいくつであるのかを特定し、特定した電圧に基づいて昇圧比αを変更する。具体的には、電源側コントローラ130は、昇圧される出力電圧Voutが他電源である二次電池の出力電圧48[V]よりも小さくなるように、第1パラメータでは3.5倍程度に、第2パラメータでは1.8倍程度に昇圧比αを変更する。また、電源側コントローラ130は、昇圧比αの変更に伴って、下限電圧VoutL、上限電圧VoutHおよび上限電流IoutHも変更する。これによって、第3入力端子ILa#に接続された他電源から、電源側電力変換装置100に対して電流が流入するのを抑制することができる。
【0079】
次に、電源側コントローラ130は、制御パラメータを参照して、入力電圧Vinが下限電圧VinLを超え、且つ上限電圧VinH未満であるか否かを判定する(ステップS316)。電源側コントローラ130は、入力電圧Vinが、下限電圧VinL以下である場合、または上限電圧VinH以上である場合、S310の処理に移り、電源側DC‐DCコンバータ110を停止させる。
【0080】
一方、電源側コントローラ130は、入力電圧Vinが、下限電圧VinLを超え、且つ上限電圧VinH未満である場合、入力側電流検出部102により出力された検出信号と、制御パラメータを参照して、入力電流Iinが上限電流IinHを超えるか否かを判定する(ステップS318)。
【0081】
電源側コントローラ130は、入力電流Iinが上限電流IinHを超える場合、S310の処理に移り、電源側DC‐DCコンバータ110を停止させる。
【0082】
一方、電源側コントローラ130は、入力電流Iinが上限電流IinHを超えない場合、電源側DC‐DCコンバータ110を制御して、制御パラメータが示す昇圧比αで直流電力を昇圧させる(ステップS320)。
【0083】
次に、電源側コントローラ130は、出力側電圧検出部104により出力された検出信号と、制御パラメータとを参照して、出力電圧Voutが下限電圧VoutLを超え、且つ上限電圧VoutH未満であるか否かを判定する(ステップS322)。電源側コントローラ130は、出力電圧Voutが下限電圧VoutL以下である場合、または上限電圧VoutH以上である場合、S310の処理に移り、電源側DC‐DCコンバータ110を停止させる。
【0084】
一方、電源側コントローラ130は、出力電圧Voutが下限電圧VoutLを超え、且つ上限電圧VoutH未満である場合、出力側電流検出部103により出力された検出信号と、制御パラメータとを参照して、出力電流Ioutが上限電流IoutHを超えるか否かを判定する(ステップS324)。電源側コントローラ130は、出力電流Ioutが上限電流IoutHを超えない場合、S312の処理に移行する。
【0085】
一方、電源側コントローラ130は、出力電流Ioutが上限電流IoutHを超えた場合、S310の処理に移り、電源側DC‐DCコンバータ110を停止させる。これによって、本フローチャートの処理が終了する。
【0086】
以上説明した第2の実施形態における直流給電システムによれば、上述した第1の実施形態と同様に、適切な範囲で電源装置10から電力の供給を受けることができる。
【0087】
また、上述した第2の実施形態における直流給電システムによれば、更に第3入力端子ILa#を備えるため、出力電圧が12[V]、24[V]、48[V]といった多様な種類の電力供給源に対応することができ、より長時間にわたって電力を負荷Lに供給することができる。この結果、利用者にとっての利便性を更に向上させることができる。
【0088】
以下、他の実施形態(変形例)について説明する。上述した実施形態では、直流給電システムは、車両Mに搭載された電源装置10から電力供給を受けるものとして説明したがこれに限られず、例えば、家屋に設置された燃料電池から電力供給を受けてもよい。