【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る杭の施工管理システムは、
機器を使用した杭の施工に関する施工管理データを計測可能な計測装置と、
前記杭の施工現場に配置され、前記計測装置によって計測された前記施工管理データを受け取り可能であり、且つ、前記施工管理データに基づいて報告書用データを出力可能な施工管理装置と、
前記杭の施工現場に配置され、前記計測装置によって計測された施工管理データを、施工現場名及び施工日時とともに少なくとも1組のデータとして記録可能であり、且つ、記録した前記少なくとも1組のデータを前記杭の施工現場の外へ送信可能な記録装置と、
前記杭の施工現場の外に配置され、前記記録装置から送信された前記少なくとも1組のデータを保存可能なファイル管理装置と、
を備え、
前記計測装置は、前記機器の電源投入に対応して前記施工管理データの計測を自動的に開始するように構成され、
前記記録装置は、前記少なくとも1組のデータを前記ファイル管理装置に向けて定時に自動的に送信するように構成されている。
【0008】
上記構成(1)によれば、計測装置が、機器の電源投入に対応して施工管理データの計測を自動的に開始するように構成されているので、施工管理データを漏れなく確実に取得可能である。一方、施工管理データが、記録装置に記録されるとともに、施工現場の外に配置されたファイル管理装置にも保存される。これら記録装置やファイル管理装置に保存された施工管理データは、報告書用データのバックアップデータとして使用可能である。このため上記構成(1)によれば、報告書用データのバックアップデータも保存可能である。
【0009】
(2)幾つかの実施形態では、上記構成(1)において、
前記施工管理装置が出力した前記報告書用データと、当該報告書用データが出力される以前に前記ファイル管理装置に保存された前記少なくとも1組のデータに含まれる前記施工管理データとが相互に一致するか否か判定可能な情報処理装置を更に備える。
【0010】
報告書の作成者は、多数の施工管理データのチャートをコピーし、コピーしたチャートを杭毎に整理して報告書に貼り付けなければならない。この作業は煩雑であるため、当該作業の際、本来一の杭のチャートのコピーが貼り付けられるべき位置に、他の杭のチャートのコピーが誤って貼り付けられてしまうことがある。この結果として、同じチャートのコピーが、別個のものとして、報告書に重複して貼り付けられてしまうことがある。
この点、上記構成(2)によれば、情報処理装置によって、施工管理装置が出力した報告書用データと、報告書用データが出力される以前にファイル管理装置に保存された施工管理データとが相互に一致するか否か判定される。判定結果が一致すれば、報告書用データに重複があることに気付くことができる。このため、上記構成(2)によれば、過去に計測された施工管理データが、報告書に誤って添付されることを防止可能であり、或いは、既に報告書に添付された重複する施工管理データを発見することができる。
【0011】
(3)幾つかの実施形態では、上記構成(2)において、
前記情報処理装置は、前記施工管理装置が出力した前記報告書用データ及び当該報告書用データが出力される以前に前記ファイル管理装置に保存された前記少なくとも1組のデータに含まれる前記施工管理データのグラフを重ね合わせて表示可能である。
上記構成(3)によれば、グラフを重ね合わせて表示することで、施工管理装置が出力した報告書用データと、報告書用データが出力される以前にファイル管理装置に保存された施工管理データとが相互に一致するか否かを目視によってより一層的確に判定することができる。
【0012】
(4)幾つかの実施形態では、上記構成(2)又は(3)において、
前記情報処理装置は、前記施工管理装置が出力した前記報告書用データと前記記録装置に記録された前記施工管理データとが相互に一致するか否か判定可能である。
上記構成(4)では、情報処理装置が、施工管理装置が出力した報告書用データと記録装置に記録された施工管理データとが相互に一致するか否か判定する。判定の結果、施工管理装置が出力した報告書用データと記録装置に記録された施工管理データとが相互に一致すれば、報告書用データが適正なものであることがわかる。このため上記構成(4)によれば、適正な報告書用データと、当該報告書用データが出力される以前にファイル管理装置に保存された施工管理データとが相互に一致するか否かを判定することができる。
【0013】
(5)幾つかの実施形態では、上記構成(2)乃至(4)の何れか1つにおいて、
前記情報処理装置は、前記施工管理装置が出力した前記報告書用データと、当該報告書用データが出力される以前に前記ファイル管理装置に保存された前記少なくとも1組のデータに含まれる前記施工管理データとが相互に一致しないと判定された場合に、当該判定結果を証明する証明書を発行するように構成されている。
上記構成(5)によれば、証明書を発行することで、証明書に基づいて、施工管理装置が出力した報告書用データとファイル管理装置に保存された施工管理データとの間で重複がないことを、杭の施工管理者等、杭の施工に責任を有する者が容易に知ることができる。
【0014】
(6)幾つかの実施形態では、上記構成(2)乃至(5)の何れか1つにおいて、
前記情報処理装置は、前記施工管理装置が出力した前記報告書用データと、当該報告書用データが出力される以前に前記ファイル管理装置に保存された前記少なくとも1組のデータに含まれる前記施工管理データとが相互に一致するか否か、前記報告書用データ及び前記施工管理データの2つのグラフを複数のピクセルに分割し、前記複数のピクセル同士を比較することによって判定可能である。
上記構成(6)によれば、グラフを複数のピクセルに分割し、複数のピクセル同士を比較することで、施工管理装置が出力した報告書用データと、報告書用データが出力される以前にファイル管理装置に保存された施工管理データとが相互に一致するか否かを的確に判定することができる。
【0015】
(7)幾つかの実施形態では、上記構成(2)乃至(5)の何れか1つにおいて、
前記情報処理装置は、前記施工管理装置が出力した前記報告書用データと、当該報告書用データが出力される以前に前記ファイル管理装置に保存された前記少なくとも1組のデータに含まれる前記施工管理データとが相互に一致するか否か、前記報告書用データ及び前記施工管理データの近似式に基づいて判定可能である。
上記構成(7)によれば、近似式同士を比較することによって、施工管理装置が出力した報告書用データと、報告書用データが出力される以前にファイル管理装置に保存された施工管理データとが相互に一致するか否かを的確に判定することができる。
【0016】
(8)幾つかの実施形態では、上記構成(2)乃至(5)の何れか1つにおいて、
前記情報処理装置は、前記施工管理装置が出力した前記報告書用データと、当該報告書用データが出力される以前に前記ファイル管理装置に保存された前記少なくとも1組のデータに含まれる前記施工管理データとが相互に一致するか否か、前記報告書用データと前記施工管理データの相関係数に基づいて判定可能である。
上記構成(8)によれば、相関係数に基づいて、施工管理装置が出力した報告書用データと、報告書用データが出力される以前にファイル管理装置に保存された施工管理データとが相互に一致するか否かを的確に判定することができる。
【0017】
(9)幾つかの実施形態では、上記構成(2)乃至(5)の何れか1つにおいて、
前記情報処理装置は、前記施工管理装置が出力した前記報告書用データと、当該報告書用データが出力される以前に前記ファイル管理装置に保存された前記少なくとも1組のデータに含まれる前記施工管理データとが相互に一致するか否か、前記報告書用データ及び前記施工管理データのフーリエ変換スペクトルに基づいて判定可能である。
上記構成(9)によれば、フーリエ変換スペクトル同士を比較することによって、施工管理装置が出力した報告書用データと、報告書用データが出力される以前にファイル管理装置に保存された施工管理データとが相互に一致するか否かを的確に判定することができる。
【0018】
(10)幾つかの実施形態では、上記構成(1)乃至(9)の何れか1つにおいて、
前記施工管理データは、前記杭のための杭孔を掘削する際の地盤の抵抗値の深さ方向プロファイル、又は、前記杭孔に注入されたセメント量に関するデータである。
上記構成(10)によれば、地盤の抵抗値の深さ方向プロファイル、又は、杭孔に注入されたセメント量に関するデータを、漏れなく確実に取得可能であるとともに、これらデータのバックアップデータも保存可能である。
【0019】
(11)本発明の少なくとも一実施形態に係る杭の施工管理方法は、
機器を使用した杭の施工に関する施工管理データを、計測装置を使用して計測する計測工程と、
前記杭の施工現場に配置された施工管理装置によって、前記計測装置によって計測された前記施工管理データを受け取る施工管理データ受け取り工程と、
前記施工管理装置によって、前記施工管理データに基づいて報告書用データを出力する報告書用データ出力工程と、
前記杭の施工現場に配置された記録装置によって、前記計測装置によって計測された施工管理データを、施工現場名及び施工日時とともに少なくとも1組のデータとして記録し、且つ、記録した前記少なくとも1組のデータを前記杭の施工現場の外へ送信する記録送信工程と、
前記杭の施工現場の外に配置されたファイル管理装置によって、前記記録装置から送信された前記少なくとも1組のデータを保存する保存工程と、
を備え、
前記計測工程において、前記計測装置は、前記機器の電源投入に対応して前記施工管理データの計測を自動的に開始し、
前記記録送信工程において、前記記録装置は、前記少なくとも1組のデータを前記ファイル管理装置に向かって定時に自動的に送信する。
【0020】
上記構成(11)によれば、計測工程において、計測装置が、機器の電源投入に対応して施工管理データの計測を自動的に開始するので、施工管理データを漏れなく確実に取得可能である。一方、施工管理データが、記録装置に記録されるとともに、施工現場の外に配置されたファイル管理装置にも保存される。これら記録装置やファイル管理装置に保存された施工管理データは、報告書用データのバックアップデータとして使用可能である。このため上記構成(11)によれば、報告書用データのバックアップデータも保存可能である。
【0021】
(12)幾つかの実施形態では、上記構成(11)において、
前記施工管理装置が出力した前記報告書用データと、当該報告書用データが出力される以前に前記ファイル管理装置に保存された前記少なくとも1組のデータに含まれる前記施工管理データとが相互に一致するか否か判定する判定工程を更に備える。
【0022】
報告書の作成者は、多数の施工管理データのチャートをコピーし、コピーしたチャートを杭毎に整理して報告書に貼り付けなければならない。この作業は煩雑であるため、当該作業の際、本来一の杭のチャートのコピーが貼り付けられるべき位置に、他の杭のチャートのコピーが誤って貼り付けられてしまうことがある。この結果として、同じチャートのコピーが、別個のものとして、報告書に重複して貼り付けられてしまうことがある。
この点、上記構成(12)によれば、判定工程において、施工管理装置が出力した報告書用データと、報告書用データが出力される以前にファイル管理装置に保存された施工管理データとが相互に一致するか否か判定される。判定結果が一致すれば、報告書用データに重複があることに気付くことができる。このため、上記構成(12)によれば、過去に計測された施工管理データが、報告書に誤って添付されることを防止可能であり、或いは、既に報告書に添付された重複する施工管理データを発見することができる。
【0023】
(13)幾つかの実施形態では、上記構成(12)において、
前記判定工程において、前記施工管理装置が出力した前記報告書用データ及び当該報告書用データが出力される以前に前記ファイル管理装置に保存された前記少なくとも1組のデータに含まれる前記施工管理データのグラフを重ね合わせて表示する。
上記構成(13)によれば、グラフを重ね合わせて表示することで、施工管理装置が出力した報告書用データと、報告書用データが出力される以前にファイル管理装置に保存された施工管理データとが相互に一致するか否かを目視によってより一層的確に判定することができる。
【0024】
(14)幾つかの実施形態では、上記構成(12)又は(13)において、
前記施工管理装置が出力した前記報告書用データと前記記録装置に記録された前記施工管理データとが相互に一致するか否か判定する予備判定工程を更に備える。
上記構成(14)では、予備判定工程において、施工管理装置が出力した報告書用データと記録装置に記録された施工管理データとが相互に一致するか否か判定する。判定の結果、施工管理装置が出力した報告書用データと記録装置に記録された施工管理データとが相互に一致すれば、報告書用データが適正なものであることがわかる。このため上記構成(14)によれば、適正な報告書用データと、当該報告書用データが出力される以前にファイル管理装置に保存された施工管理データとが相互に一致するか否かを判定することができる。
【0025】
(15)幾つかの実施形態では、上記構成(12)乃至(14)の何れか1つにおいて、
前記判定工程において、前記施工管理装置が出力した前記報告書用データと、当該報告書用データが出力される以前に前記ファイル管理装置に保存された前記少なくとも1組のデータに含まれる前記施工管理データとが相互に一致しないと判定された場合に、当該判定結果を証明する証明書を発行する証明書発行工程を更に備える。
上記構成(15)によれば、証明書を発行することで、証明書に基づいて、施工管理装置が出力した報告書用データとファイル管理装置に保存された施工管理データとの間で重複がないことを、杭の施工管理者等、杭の施工に責任を有する者が容易に知ることができる。
【0026】
(16)幾つかの実施形態では、上記構成(12)乃至(15)の何れか1つにおいて、
前記判定工程は、
前記報告書用データ及び前記施工管理データの2つのグラフを複数のピクセルに分割する工程と、
前記複数のピクセル同士を比較する工程と
を含む。
上記構成(16)によれば、グラフを複数のピクセルに分割し、複数のピクセル同士を比較することで、施工管理装置が出力した報告書用データと、報告書用データが出力される以前にファイル管理装置に保存された施工管理データとが相互に一致するか否かを的確に判定することができる。
【0027】
(17)幾つかの実施形態では、上記構成(12)乃至(15)の何れか1つにおいて、
前記判定工程において、前記施工管理装置が出力した前記報告書用データと、当該報告書用データが出力される以前に前記ファイル管理装置に保存された前記少なくとも1組のデータに含まれる前記施工管理データとが相互に一致するか否か、前記報告書用データ及び前記施工管理データの近似式に基づいて判定する。
上記構成(17)によれば、近似式同士を比較することによって、施工管理装置が出力した報告書用データと、報告書用データが出力される以前にファイル管理装置に保存された施工管理データとが相互に一致するか否かを的確に判定することができる。
【0028】
(18)幾つかの実施形態では、上記構成(12)乃至(15)の何れか1つにおいて、
前記判定工程において、前記施工管理装置が出力した前記報告書用データと、当該報告書用データが出力される以前に前記ファイル管理装置に保存された前記少なくとも1組のデータに含まれる前記施工管理データとが相互に一致するか否か、前記報告書用データと前記施工管理データの相関係数に基づいて判定する。
上記構成(18)によれば、相関係数に基づいて、施工管理装置が出力した報告書用データと、報告書用データが出力される以前にファイル管理装置に保存された施工管理データとが相互に一致するか否かを的確に判定することができる。
【0029】
(19)幾つかの実施形態では、上記構成(12)乃至(15)の何れか1つにおいて、
前記判定工程において、前記施工管理装置が出力した前記報告書用データと、当該報告書用データが出力される以前に前記ファイル管理装置に保存された前記少なくとも1組のデータに含まれる前記施工管理データとが相互に一致するか否か、前記報告書用データ及び前記施工管理データのフーリエ変換スペクトルに基づいて判定する。
上記構成(19)によれば、フーリエ変換スペクトル同士を比較することによって、施工管理装置が出力した報告書用データと、報告書用データが出力される以前にファイル管理装置に保存された施工管理データとが相互に一致するか否かを的確に判定することができる。
【0030】
(20)幾つかの実施形態では、上記構成(11)乃至(19)の何れか1つにおいて、
前記施工管理データは、前記杭のための杭孔を掘削する際の地盤の抵抗値の深さ方向プロファイル、又は、前記杭孔に注入されたセメント量に関するデータである。
上記構成(20)によれば、地盤の抵抗値の深さ方向プロファイル、又は、杭孔に注入されたセメント量に関するデータを、漏れなく確実に取得可能であるとともに、これらデータのバックアップデータも保存可能である。