(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6754102
(24)【登録日】2020年8月25日
(45)【発行日】2020年9月9日
(54)【発明の名称】マイクロフォンのバイアス電圧を調整する電気回路
(51)【国際特許分類】
H04R 3/00 20060101AFI20200831BHJP
【FI】
H04R3/00 320
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-223563(P2018-223563)
(22)【出願日】2018年11月29日
(65)【公開番号】特開2019-126024(P2019-126024A)
(43)【公開日】2019年7月25日
【審査請求日】2019年3月11日
(31)【優先権主張番号】10 2017 128 259.9
(32)【優先日】2017年11月29日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】特許業務法人ナガトアンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】トマス ハンツリク
(72)【発明者】
【氏名】ジノ ロッカ
(72)【発明者】
【氏名】マルコ デ ブラシ
(72)【発明者】
【氏名】ヘニング ペーターセン
【審査官】
冨澤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】
特表2017−520976(JP,A)
【文献】
特表2015−515199(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0142261(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/00
H04R 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロフォンのトランスデューサのバイアス電圧を調整する電気回路であって、
前記マイクロフォン(1)の前記トランスデューサ(20)の前記バイアス電圧(Vbias)を発生するバイアス電圧発生器(10)と、
前記マイクロフォン(1)の前記トランスデューサ(20)に衝突する音圧を検出する音圧検出器(40)と、を備え、
前記バイアス電圧発生器(10)は、前記音圧検出器(40)によって検出される音圧が、音圧の少なくとも1つの閾値(Vth1, …, Vth10)を超えるか、またはそれを下回る場合、線形増加勾配または線形減少勾配を有する前記バイアス電圧(Vbias)を発生するように構成され、
検出された前記音圧を監視し、前記音圧に応じて前記バイアス電圧発生器(10)を制御する制御回路(50)を備え、
前記制御回路(50)は、前記バイアス電圧発生器(10)が第1の時間(tn-1)と第2の時間(tn)との間の第1のタイムスパンを決定するとき前記バイアス電圧発生器(10)が第1の微分係数を有する、前記バイアス電圧(Vbias)の前記増加勾配または前記減少勾配を生成するように前記バイアス電圧発生器(10)を制御するように構成され、
前記制御回路(50)は、前記バイアス電圧発生器(10)が前記第1の時間(tn-1)と前記第2の時間(tn)との間の第2のタイムスパンを決定するとき前記バイアス電圧発生器(10)が前記第1の微分係数より小さな第2の微分係数を有する、前記バイアス電圧(Vbias)の前記増加勾配または前記減少勾配を生成するように前記バイアス電圧発生器(10)を制御するように構成され、前記第2のタイムスパンは前記第1のタイムスパンより大きい、
電気回路。
【請求項2】
前記バイアス電圧発生器(10)は、前記音圧検出器(40)によって検出される音圧が前記第1の時間(tn-1)と前記第2の時間(tn)との間で増加する場合に、前記線形減少勾配を有するバイアス電圧(Vbias)を発生するように構成され、
前記バイアス電圧発生器(10)は、前記音圧検出器(40)によって検出される音圧が前記第1の時間(tn-1)と前記第2の時間(tn)との間で減少する場合に、前記線形増加勾配を有するように構成されている、請求項1に記載の電気回路。
【請求項3】
前記バイアス電圧発生器(10)は、前記第1の時間(tn-1)と前記第2の時間(tn)との間のタイムスパン(Δtn)に依存する微分係数を有する、前記バイアス電圧(Vbias)の前記線形増加勾配または前記線形減少勾配を生成するように構成されている、請求項2に記載の電気回路。
【請求項4】
前記バイアス電圧発生器(10)は第1のバイアス電圧部分(Vbias1)を生成する第1の発生器ユニット(100)と、第2のバイアス電圧部分(Vbias2)を生成する第2の発生器ユニット(200)とを備え、前記バイアス電圧(Vbias)の値は前記第1および第2のバイアス電圧部分(Vbias1、Vbias2)に依存する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電気回路。
【請求項5】
前記第1の発生器ユニット(100)は、
前記制御回路(50)が前記音圧検出器(40)によって検出された前記音圧が前記少なくとも1つの閾値(Vth1,…,Vth10)の複数個うちの1つを超えると決定する場合には前記第1のバイアス電圧部分(Vbias1)の現在値が第1の電圧ジャンプ(ΔVbias1)だけ減少するように、そして、
前記制御回路(50)が前記音圧検出器(40)によって検出された前記音圧が前記少なくとも1つの閾値(Vth1、Vth10)の複数個うちの1つを下回ると決定する場合には前記第1のバイアス電圧部分(Vbias1)の前記現在値が前記第1の電圧ジャンプ(ΔVbias1)だけ増加するようにして
前記第1のバイアス電圧部分(Vbias1)の階段状の時間変化を生成するよう構成されている、請求項4に記載の電気回路。
【請求項6】
前記第1の発生器ユニット(100)は、制御回路(50)が音圧検出器によって検出された音圧が複数の閾値(Vth1,…)のうちの第1の閾値(Vth1)を下回ると決定したときは、第1の値(V1)を有する、前記第1のバイアス電圧部分(Vbias1)を生成するように構成されている、請求項4または5に記載の電気回路。
【請求項7】
前記第1の発生器ユニット(100)は、前記制御回路(50)が、前記音圧検出器によって検出された音圧レベルが前の時間間隔中に前記第1の閾値(Vth1)と前記複数の閾値のうち前記第1の閾値(Vth1)より大きい第2の閾値(Vth2)との間にあると決定したとき、当該時間隔中に第2の値(V2)で前記第1のバイアス電圧部分(Vbias1)を生成するように構成される、請求項6に記載の電気回路。
【請求項8】
前記第1の発生器ユニット(100)は、前記制御回路(50)が、前記音圧検出器によって検出された音圧が前記第1の閾値(Vth1)を超えると決定した場合に、前記第1の値(V1)より前記電圧ジャンプ(ΔVbias1)だけ小さい第2の値(V2)を有する前記第1のバイアス電圧部分(Vbias1)を生成するように構成され、
前記第1の発生器ユニット(100)は、前記制御回路(50)が、前記音圧検出器によって検出された音圧が前記第1の閾値(Vth1)と前記第2の閾値(Vth2)との間にあると決定したタイムスパンにわたって、前記第2の値(V2)を有する前記第1のバイアス電圧部分(Vbias1)を生成するように構成される、請求項7に記載の電気回路。
【請求項9】
前記第1の発生器ユニット(100)は、前記制御回路(50)が、前記音圧検出器によって検出された音圧が前記第2の閾値(Vth2)を下回ると決定した場合、前記第2の値(V2)より前記第1の電圧ジャンプ(ΔVbias1)だけ大きい前記第1の値(V1)を有する前記第1のバイアス電圧部分(Vbias1)を生成するように構成され、
前記第1の発生器ユニット(100)は、前記制御回路(50)が、前記音圧検出器によって検出された音圧が前記第1の閾値(Vth1)と前記第2の閾値(Vth2)との間にあると決定したタイムスパンにわたって、前記第1の値(V1)を有する前記第1のバイアス電圧部分(Vbias1)を生成するように構成される、請求項7又は8に記載の電気回路。
【請求項10】
前記第2の発生器ユニット(200)は、制御回路(50)が、音圧検出器によって検出された音圧が前記第1の閾値(Vth1)を下回ると決定した場合に、第2のバイアス電圧部分(Vbias2)の第1の値(Vrefset1)を発生するように構成され、
第2の発生器ユニット(200)は、制御回路(50)が、音圧検出器によって検出された音圧が前記第1の閾値(Vth1)を超えると決定した場合に、第2のバイアス電圧部分(Vbias2)の第1の値(Vrefset1)を第2の電圧ジャンプ(ΔVbias2)だけ増加させて第2のバイアス電圧の第2の値(Vrefset2)にするように構成され、
前記第2の発生器ユニット(200)は、制御回路(50)が、音圧検出器によって検出された音圧が前記第1の閾値(Vth2)を下回ると決定した場合に、第2のバイアス電圧部分(Vbias2)の第1の値(Vrefset1)を第2の電圧ジャンプ(ΔVbias2)だけ減少させて第2のバイアス電圧部分の第3の値(Vrefset3)にするように構成されている請求項7乃至9のいずれか1項に記載の電気回路。
【請求項11】
前記第2の発生器ユニット(200)は、前記第2のバイアス電圧部分の前記第1の値(Vrefset1)に達するまで、前記第2のバイアス電圧部分(Vbias2)の前記第2の値(Vrefset2)を減少させるように構成され、
前記第2の発生器ユニット(200)は前記第2のバイアス電圧部分の前記第1の値(Vrefset1)に達するまで、前記第2のバイアス電圧部分(Vbias2)の前記第3の値(Vrefset3)を増加させるように構成される、請求項10に記載の電気回路。
【請求項12】
前記第2の電圧ジャンプの量(ΔVbias2)は前記第1の電圧ジャンプの量(ΔVbias1)に等しい、請求項10又は11に記載の電気回路。
【請求項13】
前記第2の発生器ユニット(200)は、制御回路(50)が、音圧検出器によって検出された音圧が第1の時間(tn-1)において第1の閾値(Vth1)を超え、かつ第2の時間(tn)において第2の閾値(Vth2)を超えると決定した場合には、前記第2のバイアス電圧部分の前記第2の値(Vrefset2)と前記第1の値(Vrefset1)との間の線形減少勾配を有する前記バイアス電圧部分(Vbias2)を生成するように構成されており、当該線形減少勾配の微分係数は、前記第1の時間(tn-1)と前記第2の時間(tn)との間のタイムスパン(Δtn)によって決定され、
前記第2の発生器ユニット(200)は、制御回路(50)が、音圧検出器によって検出された音圧が第1の時間(tn-1)において第2の閾値(Vth2)を下回り、かつ第2の時間(tn)において第1の閾値(Vth1)を下回ると決定した場合には、前記第2のバイアス電圧部分の前記第3の値(Vrefset3)と前記第1の値(Vrefset1)との間の線形増加勾配を有する前記バイアス電圧部分(Vbias2)を生成するように構成されており、当該線形増加勾配の微分係数は、前記第1の時間(tn-1)と前記第2の時間(tn)との間のタイムスパン(Δtn)によって決定される、
請求項10乃至12のいずれか1項に記載の電気回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マイクロフォン、特にMEMSマイクロフォンのバイアス電圧を調整する電気回路に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロフォン、例えばMEMSマイクロフォンは、可変キャパシタの膜に衝突する音圧に依存する可変キャパシタンスを有する可変キャパシタとしてモデル化することができる容量性トランスデューサを含む。トランスデューサは、ダイアフラムおよびバックプレートを備えることができる。音響入力、特に圧力波によって、ダイアフラムはダイアフラムと背面板との間の距離が変化し、トランスデューサのキャパシタンスが変化するように変形され得る。トランスデューサが非常に高い音圧レベル(SPL:sound pressure level)にさらされると、ダイアフラムがバックプレートに接触し、その結果、ダイアフラムの音響崩壊(acoustical collapse)が生じ得る。
【0003】
マイクロフォンを動作させるために、バイアス電圧は通常、トランスデューサに、特にトランスデューサのダイアフラムと背面板との間に印加される。バイアス電圧の値を調整することによって、トランスデューサの感度を調整することができる。MEMSマイクロフォンのダイナミックレンジを増加させるために、音圧レベルが高くなって音響崩壊が起こる前に、そのバイアス電圧を減少させることができる。
【0004】
トランスデューサは、通常、トランスデューサの膜に衝突する音圧に依存して増幅された出力信号を生成する前置増幅器に結合される。しかしながら、音響崩壊を防ぐためのバイアス電圧の減少は、前置増幅器DC入力電圧をそのバイアス動作点から離れるように移動させ、潜在的にそれを飽和させ、感度の欠如および/または歪みとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
マイクロフォンのトランスデューサのバイアス電圧を調整してマイクロフォンのグリッチを最小限に抑える電気回路を提供することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
マイクロフォンのトランスデューサのバイアス電圧を調整するための電気回路の実施形態は、請求項1に記載されている。
【0007】
電気回路は、マイクロフォンのトランスデューサのバイアス電圧を生成するためのバイアス電圧発生器と、マイクロフォンのトランスデューサに衝突する音圧を検出するための音圧検出器とを含む。バイアス電圧発生器は、音圧検出器によって検出された音圧が音圧の少なくとも1つの閾値を超えるかまたは下回る場合、線形の増加または減少勾配でバイアス電圧を生成するように構成される。
【0008】
特に、バイアス電圧発生器は、音圧検出器によって検出された音圧が少なくとも1つの閾値を超える場合、線形増加勾配を有するバイアス電圧を生成するように構成される。さらに、バイアス電圧発生器は音圧検出器によって検出された音圧が少なくとも1つの閾値を下回る場合に、線形減少勾配を有するバイアス電圧を生成するように構成される。
【0009】
バイアス電圧の線形増加または線形減少勾配を生成するために、バイアス電圧発生器は、第1のバイアス電圧部分を生成する第1の発生器ユニットと、第2のバイアス電圧部分を生成する第2の発生器ユニットとを備える。バイアス電圧の値は、第1および第2のバイアス電圧部分に依存して生成される。電気回路の可能な実施形態によれば、バイアス電圧は、第1のバイアス電圧部分と第2のバイアス電圧部分との加算によって生成することができる。
【0010】
第1の発生器ユニットは、活性化/可能化またはたは非活性化/不能化され得る複数のチャージポンプ段を備え得る。第1の発生器ユニットは、音圧が閾値のうちの1つを超える場合、第1のバイアス電圧部分が所定のレベル/電圧ジャンプだけ低減されるべく、チャージポンプ段のうちの1つが非活性化/不能化されるように構成される。その結果、第1のバイアス電圧部分は段階的に低減される。同時に、チャージポンプ段の1つが非活性化/不能化されるときはいつでも、第2の発生器ユニットによって生成される第2のバイアス電圧部分は、1つのチャージポンプ段分の電圧だけ増加され、次いで、その元の値にまで減少される。第2のバイアス電圧部分の線形減少の勾配は、電圧ジャンプと、音圧が後続の閾値間で上昇する時間とに依存する。
【0011】
一方、音圧が閾値の1つを下回ったことが検出された場合、第1のバイアス電圧部分が1つのチャージポンプ段によって生成される所定の電圧レベル/電圧ジャンプだけ増加するように、第1の発生器ユニットのチャージポンプ段の1つが活性化/可能化される。同時に、第1のバイアス電圧部分が所定の電圧レベルだけ増加すると、第2のバイアス電圧部分は、第2の発生器ユニットによって、1つのチャージポンプ段の所定の電圧レベル/電圧ジャンプだけ減少する。次いで、第2のバイアス電圧部分は、その元の値にまで再び増加される。第2のバイアス電圧部分の勾配の微分係数は、電圧ジャンプと、音圧レベルが前後する閾値間で減少する時間とに依存する。
【0012】
上述したように、制御された方法でマイクロフォンの容量性トランスデューサのバイアス電圧の線形増加または減少勾配を適用することは、マイクロフォンの前置増幅器のバイアス動作点に対する影響は無視できることを示している。特に、バイアス電圧の線形変化は、マイクロフォンのバイアス電圧が音圧変化に伴って電圧が時間とともに変化する状況下で、マイクロフォンのトランスデューサの増幅器の応答を改善することを可能にする。マイクロフォンのトランスデューサのバイアス電圧を調整するための電気回路はマイクロフォンに崩壊事象が起こらないように、また、前置増幅器を飽和効果から保護することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、バイアス電圧発生器と、トランスデューサと、前置増幅器とを備えるマイクロフォンの実施形態を示す。
【
図2】
図2は、マイクロフォンのトランスデューサのバイアス電圧を調整するための電気回路の実施形態を示す。
【
図3A】
図3Aは、後続の閾値間の音圧レベルの上昇中に第2のバイアス電圧部分を生成するためのバイアス電圧発生器の発生器ユニットの実施形態を示す。
【
図3B】
図3Bは、連続する閾値間の音圧レベルの減少中に第2のバイアス電圧部分を生成するためのバイアス電圧発生器の発生器ユニットの実施形態を示す;
【
図4】
図4は音圧レベルの変化中の第1および第2のバイアス電圧部分の時間変化を示す。
【
図5】
図5は、複数の閾値間の音圧と、それらに関連する、第1および第2のバイアス電圧部分との変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、マイクロフォンのトランスデューサ20を動作させるために提供されるバイアス電圧Vbiasを生成するバイアス電圧発生器10を備えるマイクロフォン1、例えばMEMSマイクロフォンの実施形態を示す。トランスデューサ20は、可変キャパシタのメンブレンに衝突する音圧に応じてそのキャパシタンスを変化させる可変キャパシタを有する。トランスデューサ20は、増幅器/前置増幅器30のための入力信号Vinを生成して、増幅された出力信号OUTを生成する。入力信号Vinのレベルは、トランスデューサ20に加えられる音圧に依存して変化する。トランスデューサ20の可変コンデンサは、ダイアフラム21と背面板22とを備える。
【0015】
音響入力、特に圧力波によって、ダイアフラム21はダイアフラム21とバックプレート22との間の距離が変化し、トランスデューサのキャパシタンスが変化するように変形され得る。しかしながら、トランスデューサが非常に高い音圧レベルにさらされると、ダイアフラムの崩壊が起こり得る。このつぶれは、ダイアフラム21と背面板22との間の接触をもたらす。
【0016】
マイクロフォンの音響崩壊の発生を遅らせ、マイクロフォンのダイナミックレンジを増加させるために、音圧レベルが高くなりすぎる前にバイアス電圧Vbiasを減少させることができる。しかし、バイアス電圧Vbiasの減少は、前置増幅器のDC入力電圧をそのバイアス動作点から離れるように移動させ、潜在的にそれを飽和させ、感度の欠如および/または歪みとなる。
【0017】
図2はマイクロフォンのトランスデューサ20のバイアス電圧Vbiasを調整して、音響崩壊が防止されるか、または少なくとも遅延されるようにする、マイクロフォン1の電気回路2の実施形態を示す。バイアス電圧Vbiasは、制御された方法で、前置増幅器30のバイアス動作点に対する影響が無視できる範囲内で変化させられる、すなわち、減少および増加させられる。
【0018】
電気回路2は、マイクロフォンのトランスデューサ20のためのバイアス電圧Vbiasを生成するバイアス電圧発生器10を備える。バイアス電圧発生器10は、マイクロフォンのトランスデューサ20に結合される。トランスデューサ20によって生成され、増幅器30によって受信された入力信号Vinは、増幅器30によって増幅される。増幅器30は、トランスデューサ20の入力信号Vinに応じて、増幅された出力信号OUTを生成する。電気回路は、マイクロフォンのトランスデューサ20に衝突する音圧を検出する音圧検出器40をさらに含む。バイアス電圧発生器10は、音圧検出器40によって検出される音圧が音圧の少なくとも1つの所定の閾値を超えるか、またはそれを下回る場合、線形増加または線形減少する勾配/傾斜を有するバイアス電圧Vbiasを生成するように構成される。
【0019】
電気回路2は音圧検出器40によって検出された音圧を監視し、音圧検出器40によって検出された音圧に応じてバイアス電圧発生器10を制御する制御回路50を含む。
【0020】
バイアス電圧発生器10は、第1のバイアス電圧部分を生成する第1の発生器ユニット100と、第2のバイアス電圧部分を生成する第2の発生器ユニット200とを備える。バイアス電圧Vbiasの値は、第1および第2のバイアス電圧部分に依存する。第1の発生器ユニット100は、複数のチャージポンプ段110a,110b,…,110nを備えるチャージポンプとして構成することができる。
電気回路1の動作は、
図3A、3B、4及び5を参照して以下に説明される。
【0021】
図3Aは、閾値Vth1とVth2との間で増加する音圧レベルSPLの時間変化を示す。音圧レベルは、時刻tn-1から時刻tnまで第1の勾配で増加し、そして時刻tnのあとは別の勾配で増加するが、以下では時刻tnのあとは検討しない。音圧レベルは、時刻tn-1で閾値Vth1を超え、時刻tnで閾値Vth2を超える。
【0022】
制御回路50は、音圧検出器40によって検出される音圧レベルを監視する。特に、制御回路50は音圧レベルSPLが閾値Vth1を超えた時刻tn-1を検出し、音圧レベルSPLが閾値Vth2を超えた時刻tnを検出する。音圧レベルSPLが閾値Vth2未満である限り、発生器ユニット100は、電圧レベルV1でバイアス電圧部分Vbias1を発生する。このとき、音圧レベルSPLが閾値Vth2を超えると、すなわち時刻tnにおいて、発生器ユニット100は電圧ジャンプΔVbias1を発生させ、より低いレベルV2を有するバイアス電圧部Vbias1が生成される。低い方の電圧レベルV2は、電圧レベルV1よ所定の電圧レベルΔVbias1だけ低い。電圧レベルV2は時間間隔Δtnの間、発生し、時間間隔Δtnは、すなわち、時刻tn-1とtnとの間のタイムスパンである。
【0023】
発生器ユニット100は、発生器ユニット100のチャージポンプ段110a,110b, 110nのうちの1つを非活性化/不能化することによって、バイアス電圧部分Vbias1の階段状の時間変化を生成する。制御回路50が、所定の閾値のうちの1つを超えたと決定した場合、チャージポンプ段110a,…,110nのうちの1つが非活性化される。バイアス電圧部分の新しい値は、音圧レベルが1つ閾値を超えた結果として、その閾値とその後続の閾値との間のタイムスパンの間、生成される。
図3Aに関していえば、電圧値V2は、閾値Vth1を超えた結果として生成される。
【0024】
発生器ユニット100が電圧レベルV2を生成するとき同時に、すなわち時刻tnにおいて、発生器ユニット200は、第1の、通常電圧値Vrefset1から第2の、より高い電圧値Vrefset2への電圧ジャンプを生成する。次いで、発生器ユニット200は、第1の、通常電圧値Vrefset1に再び達するまで、バイアス電圧部分Vbias2を電圧値Vrefset2から減少させる。
図3Aに示されるように、電圧部分Vbias2は、タイムスパンΔtnの間、連続的に減少する時間変化を有する。バイアス電圧部Vbias2の減少勾配の微分係数は-ΔVbias2/Δtnによって決定され、ここで、電圧ジャンプΔVbias2は電圧ジャンプΔVbias1に等しく、タイムスパンΔtnは、音圧レベルSPLが閾値Vth1から閾値Vth2まで増加する時刻tn-1とtnとの間のタイムスパンである。
【0025】
発生器ユニット200は値Vrefset2とバイアス電圧部分Vbias2の値Vrefset1との間の線形減少勾配を有するバイアス電圧部分Vbias2を生成するように構成され、線形減少勾配の微分係数は、制御回路50が時刻tn-1において閾値Vth1を超える音圧検出器によって検出される音圧レベルと、時刻tnにおいて閾値Vth2を超える音圧レベルとを決定した場合に、時刻tn-1と時刻tnとの間のタイムスパンΔtnによって決定される。
【0026】
バイアス電圧部分Vbias2の時間変化は、発生器ユニット200のデジタル-アナログ変換器210によって発生され得る。コンバータ/アナログ変換器210は、制御回路50によって生成される制御信号、例えば制御ビットb0,…,b4によって制御される。
図3Aに示されるように、バイアス電圧Vbias2は例えば、制御回路50によって生成される4つ以上の制御ビットを使用して調整され得る固定された直流電圧とすることができる。
【0027】
バイアス電圧発生器10は、バイアス電圧部分Vbias1およびバイアス電圧部分Vbias2に依存してバイアス電圧Vbiasを生成するように構成される。特に、バイアス電圧Vbiasは、バイアス電圧部分Vbias1およびVbias2の重ね合わせによって生成される。例えば、バイアス電圧発生器10はバイアス電圧VbiasがVbias=Vbias1+Vbias2=Vrefset(t)+Nst×Vref
として計算され得るように構成され得る。ここで、Nstは活性化されたチャージポンプステージの数であり、Vrefはチャージポンプステージ110a,110b,…,110nの各々によって生成される電圧値である。
【0028】
バイアス電圧発生器10は、制御回路50が時刻tn-1と時刻tnとの間で音圧が減少したことを検出した場合に、線形減少勾配のバイアス電圧Vbiasを発生するように構成されている。バイアス電圧発生器10は、時刻tn-1と時刻tnとの間のタイムスパンΔtnに依存する微分係数を用いてバイアス電圧Vbiasの線形減少勾配を発生するように構成されている。特に、制御回路50は、制御回路50が時刻tn-1と時刻tnとの間の第1のタイムスパンを決定したとき、第1の微分係数を有する、バイアス電圧Vbias減少勾配を生成し、かつ、制御回路50が時刻tn-1と時刻tnとの間の第2のタイムスパンであって第1のタイムスパンよりも大きい第2のタイムスパンを決定したとき、第1の微分係数より小さい第2の微分係数を有する、バイアス電圧Vbiasの減少勾配を生成するべく、バイアス電圧発生器10を制御するように構成されている。
【0029】
図3Bは、音圧レベルSPLが、時刻tn-1において閾値Vth2から時刻tnにおいて閾値Vth1まで低下するときの、バイアス電圧Vbiasを調整するための電気回路1の動作を示す。制御回路50は、音圧検出器40によって検出された音圧レベルSPLの時間変化を監視する。特に、制御回路50は、音圧レベルSPLが閾値Vth2を下回るときの時刻tn-1を決定し、音圧レベルSPLが閾値Vth1を下回るときの時刻tnを決定する。
【0030】
時刻tn-1から時刻tnまでの音圧レベルの立下り期間において、発生器ユニット100は、電圧値V2を有するバイアス電圧部Vbias1を生成するとする。制御回路50は、時刻tnにおいて音圧レベルSPLが閾値Vth1を下回ったことを検出すると、バイアス電圧部Vbias1を電圧レベルΔVbias1だけ電圧値V1まで上昇させる。
図3Bは、バイアス電圧部分Vbias1の階段形状の時間変化を示す。
【0031】
発生器ユニット100は、発生器ユニット100のチャージポンプ段110a,110b,…,110nのうちの1つを活性化/可能化することによって、バイアス電圧部分Vbias1の上昇階段状の時間変化を生成する。制御回路50が、音圧レベルSPLが所定の閾値の1つを下回ったと決定した場合、チャージポンプ段110a,110b, 110nのうちの1つが、既に活性化されたチャージポンプ段に加えて活性化される。バイアス電圧部分Vbias1の新しい値は、閾値のうちの1つ閾値を下回った音圧レベルの低下の結果として、その閾値とその後続の閾値との間のタイムスパンの間、生成される。
【0032】
図3Bに関して、電圧値V1は、音圧レベルSPLが閾値Vth2を下回った結果として生成される。電圧ジャンプΔVbias1は、音圧レベルが閾値Vth1を下回った瞬間に発生する。新しい電圧レベルV1は、少なくとも時刻tn-1とtnとの間の時間持続時間Δtnの時間分だけ生成される。
【0033】
制御回路50が音圧SPLが閾値Vth1未満に低下したことを検出したと同時に、すなわち、バイアス電圧部分Vbias1が電圧レベルV2から電圧値V1にジャンプしたとき、発生器ユニット200は、第1の通常値Vrefset1からより低い電圧値Vrefset3へのバイアス電圧部分Vbias2の負のジャンプ-ΔVbias2を発生する。次いで、発生器ユニット200は、持続時間Δtnの間、バイアス電圧部分Vbias2を電圧値Vrefset3から電圧値Vrefset1まで連続的に増加させる。持続時間Δtnは、音圧レベルSPLが閾値Vth2を下回る時刻tn-1と、音圧レベルSPLが閾値Vth1を下回る時刻tnとの間の時間に相当する。
【0034】
ジェネレータユニット200は第2のバイアス電圧部分Vbias2の、値Vrefset3と値Vrefset1との間の線形増加勾配を有するバイアス電圧部分Vbias2を生成するように構成され、線形増加勾配の微分係数は、制御回路50が時刻tn-1において第2の閾値Vth2を下回る音圧検出器によって検出される音圧と、時刻tnにおいて閾値Vth1を下回る音圧レベルとを決定した場合に、時刻tn-1と時刻tnとの間のタイムスパンΔtnによって決定される。
【0035】
図3Bに示されるように、発生器ユニット200は、時刻tnにおいて負の電圧ジャンプ-ΔVbias2を生成する。好ましい実施形態によれば、電圧レベルΔVbias2は、電圧レベルΔVbias1に等しい。発生器ユニット200は、-ΔVbias2/Δtnに等しい微分係数を有するバイアス電圧部分Vbias2の増加時間変化を発生する。バイアス電圧部分Vbias2の負の電圧ジャンプ-ΔVbias2は、発生器ユニット200のデジタル-アナログ変換器210によって生成することができる。電圧ジャンプ-ΔVbias2は、発生器ユニット200に印加される制御信号を発生する制御回路50によって制御される。制御信号は、制御ビットb0,…,b4を含むことができる。
【0036】
バイアス電圧発生器10は、バイアス電圧部Vbias1とバイアス電圧部Vbias2との重ね合わせによりバイアス電圧Vbiasを生成する。特に、バイアス電圧発生器10は
図3Bに示されるように、音圧が時刻tn-1と時刻tnとの間で減少するとき、線形増加勾配を有するバイアス電圧Vbiasを生成するように構成される。バイアス電圧発生器10は、時刻tn-1と時刻tnとの間のタイムスパンΔtnに依存する微分係数を用いて、バイアス電圧Vbiasの線形増加勾配を発生するように構成される。制御回路50は、制御回路50が時刻tn-1と時刻tnとの間の第1のタイムスパンを決定するとき、バイアス電圧発生器が第1の微分係数を有するでバイアス電圧Vbiasの増加勾配を発生し、制御回路50が時刻tn-1と時刻tnとの間の第2のタイムスパンであって第1のタイムスパンより大きい第2のタイムスパンを決定するとき、バイアス電圧発生器10が、第1の微分係数より小さい第2の微分係数を有するバイアス電圧Vbiasの増加勾配を発生すべく、バイアス電圧発生器10を制御するように構成される。
【0037】
図4は、音圧レベルSPLの立上がりおよび立下がり部分と、発生器ユニット100によって生成される関連するバイアス電圧部分Vbias1と、発生器ユニット200によって生成されるバイアス電圧部分Vbias2とを示す。
【0038】
発生器ユニット100は、制御回路50が、音圧検出器40によって検出された音圧が複数の閾値Vth1、Vth2、およびVth3のうちの1つを超えたと決定した場合に、バイアス電圧部分の現在値が電圧レベル/ジャンプΔVbias1だけ減少するよう、バイアス電圧部分Vbias1の階段状の時間変化を生成するように構成される。発生器ユニット100はさらに、音圧検出器40によって検出された音圧が閾値Vth1、Vth2、およびVth3のうちの1つを下回ったと制御回路50が決定した場合に、バイアス電圧部分Vbias1の現在値が電圧レベル/ジャンプΔVbias1だけ増加するよう、バイアス電圧部分Vbias1の階段状の時間変化を生成するように構成される。
【0039】
図4に示すように、発生器ユニット100は、制御回路50が音圧検出器40によって検出された音圧レベルSPLが閾値Vth1未満であると決定した場合に、値V1を有するバイアス電圧部分Vbias1を生成するように構成される。発生器ユニット100は制御回路50が音圧検出器40によって検出された音圧レベルSPLがある時間間隔の前の時間間隔中に閾値Vth1と閾値Vth1より大きい閾値Vth2との間にあると決定した場合、その時間隔中は値V2を有するバイアス電圧部分Vbias1を生成するようにさらに構成される。
【0040】
発生器ユニット100は、制御回路50が音圧検出器によって検出された音圧が閾値Vth1を超えると決定した場合に、電圧値V1より電圧レベル/電圧ジャンプΔVbias1だけ低い電圧値V2を有するバイアス電圧部分Vbias1を生成するように構成される。発生器ユニット100はさらに、制御回路50が、音圧検出器によって検出された音圧レベルが閾値Vth1と閾値Vth2との間にあると決定した期間の間、電圧値V2を有するバイアス電圧部分Vbias1を生成するように構成される。
【0041】
特に、音圧レベルSPLが閾値Vth1を超えたことが制御回路50により決定された場合、電圧値V1から電圧値V2への電圧ジャンプが発生する。しかしながら、電圧値V1から電圧値V2への負の電圧ジャンプ-ΔVbias1は遅延して生成される。即ち、時刻tn-3ではなく、音圧レベルが閾値Vth2を超える時刻tn-2で生成される。次に、電圧レベルV2は、時間持続時間Δtn-2、すなわち時刻tn-3と時刻tn-2との間のタイムスパンに対して生成される。
【0042】
図4に示すように、発生器ユニット100は、音圧レベルが閾値Vth1と閾値Vth2の間で増加すると、値V1を有するバイアス電圧部Vbias1を発生する。電圧値V1を生成するために、全てのチャージポンプ段110a,110b,…,110nが活性化される。時刻tn-2において、音圧レベルが閾値Vth2を超えると、発生器ユニット100のチャージポンプ段110a,110b,…,110nのうちの1つが非活性化され、その結果、バイアス電圧部分Vbias1は、負の電圧ジャンプ-ΔVbias1を示す。
【0043】
時刻tn-2の後、持続時間Δtn-2の終わりに、発生器ユニット100は、値V2から値V3へのバイアス電圧部分Vbias1の負の電圧ジャンプ-ΔVbias1を再び発生する。制御回路50は、時刻tn-2に音圧レベルSPLが閾値Vth2を超えたことを検出したので、電圧値V3への電圧ジャンプが発生する。電圧値V3は、時刻tn-2と時刻tn-1との間のタイムスパンに対応する持続時間Δtn-1だけ、一定に保たれる。
【0044】
時刻tn-1後の期間Δtn-1の終わりに、制御回路50は音圧レベルSPLが時刻tn-1で閾値Vth3を下回ったことを検出したので、発生器ユニット100は値V3から値V2へのバイアス電圧部分Vbias1の正の電圧ジャンプΔVbias1を発生する。ここで、電圧値V2は、時刻tnから、時刻tn-1と時刻tnとの間のタイムスパンに対応する持続時間Δtnだけ、一定に保たれる。
【0045】
時刻tnの後の持続時間Δtnの終わりに、音圧レベルが時刻tnで閾値Vth2を下回ったことを制御回路50が検出したので、発生器ユニット100は、電圧値V2から値V1への正の電圧ジャンプ+ΔVbias1を再び発生する。特に、発生器ユニット100は、制御回路50が音圧検出器によって検出された音圧が閾値Vth2を下回っていると決定した場合、第2の値V2より電圧ジャンプΔVbias1だけ大きい値V1を有するバイアス電圧部分Vbias1を生成するように構成される。発生器ユニット100はさらに、少なくとも、制御回路50が音圧検出器によって検出された音圧レベルが閾値Vth2と閾値Vth1との間にあると決定したタイムスパンにわたって、値V1を有するバイアス電圧部分Vbias1を生成するように構成される。
【0046】
図4は、発生器ユニット200から発生されるバイアス電圧部分Vbias2の時間変化をさらに示す。発生器ユニット100が負の電圧ジャンプ-ΔVbias1を生成するときはいつでも、発生器ユニット200は、(通常)値Vrefset1から値Vrefset2への正の電圧ジャンプ+ΔVbias2を発生する。次いで、バイアス電圧部分Vbias2は、バイアス電圧部分Vbias1が値Vrefset2から値Vrefset1まで一定に保たれる時間間隔の間、減少される。一方、バイアス電圧部分Vbias1が正の電圧ジャンプ+ΔVbias1を有するときはいつでも、発生器ユニット200は負の電圧ジャンプ-ΔVbias2を生成する。次いで、バイアス電圧部分Vbias2は、バイアス電圧部分Vbias1が値Vresfset3から値Vrefset1まで一定に保たれる継続期間では、増加される。
【0047】
発生器ユニット200は、制御回路50が音圧検出器40によって検出された音圧レベルが閾値Vth1未満であると決定した場合に、バイアス電圧部分Vbias2の(通常)値Vrefset1を生成するように構成される。発生器ユニット200はさらに、制御回路50が音圧レベルが閾値のうちの1つを超えていると決定した場合、電圧ジャンプ+ΔVbiasによってバイアス電圧部分Vbias2の値Vrefset1をΔVbiasだけ増加され値Vrefset2にするように構成される。発生器ユニット200は、値Vrefset1に達するまで値Vrefset2を減少させるように構成される。
【0048】
さらに、発生器ユニット200は、制御回路50が音圧レベルが閾値の1つを下回っていると決定した場合、電圧ジャンプ-ΔVbias2によってバイアス電圧部分Vbias2の値Vrefset1を電圧ジャンプ-ΔVbias2だけ減少させてバイアス電圧部分Vbias2の値Vrefset3にするように構成される。さらに、発生器ユニット200は、値Vrefset1に達するまで値Vrefset3を増加させるように構成される。好ましい実施形態によれば、電圧ジャンプΔVbias2の量は、電圧ジャンプΔVbias1の量に等しいことに留意されたい。
【0049】
図5は閾値Vth1,…,Vth10の間で増加し、閾値Vth10からし閾値再び減少する音圧の時間変化を示す。
図5はさらに、発生器ユニット100によって生成されるバイアス電圧部分Vbias1の時間変化と、発生器ユニット200によって生成されるバイアス電圧部分Vbias2の時間変化とを示す。
【0050】
図5は、バイアス電圧部分Vbias1のレベルが一定に保たれる時間間隔/持続時間は、閾値Vth1,…,Vth10を超える時または下回るときの連続する時刻間のタイムスパンよって決定されることを示す。さらに、
図5は、バイアス電圧部分Vbias2の増加または減少の時間変化の微分係数が連続する閾値間のタイムスパンにも依存することを示している。
【0051】
なお、
図5は、音圧レベルSPLの時間変化に同期して、バイアス電圧部Vbias1の時間変化とバイアス電圧部Vbias2の時間変化とを示す簡略図である。実際には、バイアス電圧部Vbias1およびバイアス電圧部Vbias2は、時間t1とt2との間の第1の時間隔Δt21だけ遅延される。このことは、バイアス電圧部分Vbias1の時間変化とバイアス電圧部分Vbias2の時間変化とは、時間隔Δt21だけ右側にシフトしなければならないということを意味している。
【0052】
バイアス電圧部Vbias1とVbias2の重畳であるバイアス電圧Vbiasは、直線的な減少または漸増の時間変化を示す。
図2の電気回路2を用いて行われるバイアス電圧Vbiasの減少および増加は、前置増幅器30における全高調波歪みの大幅な減少をもたらす。記載された方法は、バイアス電圧部分Vbias1がある時刻に2つ以上のチャージポンプ段の電圧分が低減され、そして、バイアス電圧部分Vbias2がそれに応じてこれを補償するために使用されるような状況にも拡張され得る。
【符号の説明】
【0053】
1 マイクロフォン
2 電気回路
10 バイアス電圧発生器
20 トランスデューサ
30 増幅器
40 音圧検出器
50 制御回路
100 第1発生器ユニット
110, 110b, ..., 110n チャージポンプ段
200 第2の発生器ユニット
SPL 音圧レベル
Vbias バイアス電圧
Vbias1 第1のバイアス電圧部分
Vbias2 第2のバイアス電圧部分
Vth 閾値