(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6754129
(24)【登録日】2020年8月25日
(45)【発行日】2020年9月9日
(54)【発明の名称】パージ機構、パージ機構付きガス栓、及び、パージ口アダプター
(51)【国際特許分類】
F16K 15/18 20060101AFI20200831BHJP
F16K 5/00 20060101ALI20200831BHJP
F16K 27/06 20060101ALI20200831BHJP
F16L 55/07 20060101ALI20200831BHJP
F16L 29/02 20060101ALI20200831BHJP
【FI】
F16K15/18 D
F16K5/00 A
F16K27/06 Z
F16L55/07 D
F16L29/02
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-153625(P2016-153625)
(22)【出願日】2016年8月4日
(65)【公開番号】特開2018-21615(P2018-21615A)
(43)【公開日】2018年2月8日
【審査請求日】2019年7月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000106298
【氏名又は名称】株式会社サンコー
(74)【代理人】
【識別番号】100100413
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 温
(74)【代理人】
【識別番号】100123696
【弁理士】
【氏名又は名称】稲田 弘明
(72)【発明者】
【氏名】山下 敏史
【審査官】
橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭54−134315(JP,U)
【文献】
実開昭64−011479(JP,U)
【文献】
実開平05−087373(JP,U)
【文献】
特開平11−230379(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 5/00− 5/22
15/00−15/20
27/00−27/12
F16L29/00−35/00
51/00−55/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス配管部材(2)に取り付けられるパージ機構(10)であって、
内部に弁座(11w)を有する中空の口本体(11)と、
該口本体(11)に着脱可能に取り付けられた、該口本体(11)の口(11y)を塞ぐ蓋体(19)と、
前記口本体(11)内に配置された弁体(15)と、
前記口本体(11)内に配置された、前記弁体(15)を前記弁座(11w)に向けて付勢するコイルスプリング(13)と、を具備し、
前記弁体(15)のシール部(17・15m)を含む部分が、前記コイルスプリング(13)の中空部(13b)に収容されていることを特徴とするパージ機構(10)。
【請求項2】
前記弁体(15)が有底筒状であって、前記ガス配管部材(2)の中心部寄り(奥)の弁体底(15m)、及び、前記中心部の反対側(手前)の外面に形成されたバネ掛け片(15j)を有し、
前記弁体(15)の有底筒の内部に前記シール部(17・15m)が設けられており、
前記口本体(11)の前記弁座(11w)が、有底筒状の前記弁体(15)内に嵌入して当接し、前記口本体(11)内が外気とシールされて、前記弁体(15)、前記弁座(11w)、及び、前記コイルスプリング(13)からなるパージ弁が閉となることを特徴とする請求項1記載のパージ機構(10)。
【請求項3】
ガス配管部材(2)に取り付けられるパージ機構(10)であって、
内部に弁座(11w)を有する中空の口本体(11)と、
該口本体(11)に着脱可能に取り付けられた、該口本体(11)の口(11y)を塞ぐ蓋体(19)と、
前記口本体(11)内に配置された弁体(15)と、
前記口本体(11)内に配置された、前記弁体(15)を前記弁座(11w)に向けて付勢するコイルスプリング(13)と、を具備するパージ機構(10)であって、
前記弁体(15)が、前記コイルスプリング(13)の中空部(13b)に収容されており、
前記弁体(15)が有底筒状であって、前記ガス配管部材(2)の中心部寄り(奥)の弁体底(15m)、及び、前記中心部の反対側(手前)の外面に形成されたバネ掛け片(15j)を有し、
前記口本体(11)の前記弁座(11w)が、有底筒状の前記弁体(15)内に嵌入して当接し、前記口本体(11)内が外気とシールされて、前記弁体(15)、前記弁座(11w)、及び、前記コイルスプリング(13)からなるパージ弁が閉となり、
前記蓋体(19)と前記口本体(11)との連結部(19t・11t)も、パージ弁閉時に、有底筒状の前記弁体(15)内に嵌入することを特徴とするパージ機構(10)。
【請求項4】
前記口本体(11)が、
前記ガス配管部材(2)との連結部(11d)が形成された外円筒部(11k)、及び、
前記弁座(11w)が奥側に形成された内円筒部(11r)、を有し、
前記パージ弁閉時において、前記コイルスプリング(13)、及び、前記弁体(15)の手前側部分が、前記外円筒部(11k)と前記内円筒部(11r)との間に収容されることを特徴とする請求項2又は3記載のパージ機構(10)。
【請求項5】
内部にガス通路(2b・2d)を有するガス栓本体(2)と、前記ガス通路(2b・2d)を開閉する栓体(3)と、を備えるガス栓(1)であって、
前記ガス栓本体に、請求項1〜4いずれか1項記載のパージ機構(10)が付設されていることを特徴とするパージ機構付きガス栓(1)。
【請求項6】
前記栓体(3)にガス通孔(3b)が形成されており、
前記ガス栓本体(2)に、前記パージ機構(10)の前記口本体(11)の中空部(11f)につながるパージ口行き通路(2g)が形成されており、
前記栓体(3)が、前記ガス通路(2b・2d)を閉じる閉位置、前記ガス通路(2b・2d)を開く開位置、及び、前記ガス通路(2b・2d)と前記パージ口行き通路(2g)とを連通させるパージ位置、を取りうることを特徴とする請求項5記載のパージ機構付きガス栓(1)。
【請求項7】
前記栓体(203)を回動させるハンドル(209)と同じ方向に突出するように、前記パージ機構(210)が設けられていることを特徴とする請求項5又は6記載のパージ機構付きガス栓(201)。
【請求項8】
前記ガス栓本体(2)にフレキ管継手部(5)が接続されており、
前記コイルスプリング(13)の奥端部が当接する前記ガス栓本体(2)の奥面(2k)が、前記フレキ管継手部(5)の外表面より奥に引っ込んでいることを特徴とする請求項5、6又は7記載のパージ機構付きガス栓(1)。
【請求項9】
前記ガス栓本体(202)にフレキ管継手部(205)が接続されており、
前記パージ機構(210)が、前記フレキ管継手部(205)の外周部にオーバーラップするように設けられていることを特徴とする請求項5、6又は7記載のパージ機構付きガス栓(201)。
【請求項10】
請求項1〜4いずれか1項記載のパージ機構(10)の弁体(15)を奥に押すとともに、パージガスの通過する内孔(53g)を有する中空押棒(53)と、
該中空押棒(53)の前記内孔(53g)と連通する内孔(55d)を有する接続管(55)と、
前記中空押棒(53)と前記接続管(55)とを回動自在に連結する自在継手(51)と、
を備えることを特徴とするパージ口アダプター(50)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、都市ガスなどのガス管路からガスを抜くパージ機構や、それを有するガス栓等に関する。特には、パージ機構部分の寸法を極力小さくして、ガス栓本体等のガス配管部材を、現状よりそれほど大きくせずに、ガスパージ機能を付加できるパージ機構等に関する。
【背景技術】
【0002】
建物等に設置されるガス配管には、配管施行・修理完了後に、配管内に残っている空気(空気混入ガス)を排出するためのガスパージ口が設けられている。このようなパージ口は、検圧等の各種作業の際に、配管内のガスを取り出すためにも用いられる。パージ口(兼検査口)は、例えば、ガス需要家毎に設置されるガスメータを吊るユニットに設けられている。
【0003】
この種のパージ口は、一般に、ガス流路内に連通する開口にネジ固定された口本体、及び、該口本体内に設けられた逆止弁状のパージ弁を備えている。パージ時あるいは試験時には、この口本体に、パージ作業用のガス栓や検査機器に繋がるホースアダプター等を接続する。前記の「プラグ内の逆止弁状の弁」は、アダプターをパージ口に繋ぐと自動的に開き、アダプターをパージ口から外すと自動的に閉じるようになっている(
図2を参照しつつ後述する)。特許文献1には、パージ口内部の不用意な露出を防止できるなどの利点を有するガスパージ口(検圧口)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4856871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ガスを使用する家庭や店舗等では、ガス配管内のエアパージを行える部位が、配管端末部などに複数存在することが好ましい。その場合、工事やガス機器の増設・交換を行った後に、空気が入った可能性のある配管の部分を、局所的に、エアパージや漏れ検査を行うことができる。
【0006】
特に、ガス機器の手前の機器ガス栓に、パージ機構を付けることが望まれている。しかしながら、パージ機構付与のために機器ガス栓のサイズが大きくなるようでは、ガス配管周りのスペースが狭くなっている昨今の住宅やビル等において、支障が生じる。
【0007】
本発明は、パージ機構部分の寸法を極力小さくして、ガス栓等のガス配管部材を現状よりそれほど大きくせずに、ガスパージ機能を付加できるガスパージ機構等を提供することを目的とする。これにより、省スペースでありながら、ガス機器交換・増設などの際の施工作業を多いに省力化できるガス栓等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この「課題を解決するための手段」の項、及び、「特許請求の範囲」においては、添付図各部の参照符号を括弧書きして示すが、これは単に参考のためであって、権利範囲を添付図のものに限定するものではない。
【0009】
本発明のパージ機構(10)は、 ガス配管部材(2)に取り付けられるパージ機構(10)であって、 内部に弁座(11w)を有する中空の口本体(11)と、 該口本体(11)に着脱可能に取り付けられた、該口本体(11)の口(11y)を塞ぐ蓋体(19)と、 前記口本体(11)内に配置された弁体(15)と、 前記口本体(11)内に配置された、前記弁体(15)を前記弁座(11w)に向けて付勢するコイルスプリング(13)と、を具備し、 前記弁体(15)が、前記コイルスプリング(13)の中空部(13b)に収容されていることを特徴とする。
【0010】
ガス配管部材(2)の例としては、発明の実施形態で後述するガス栓の他に、ガスメータユニットや、ネジガス栓などを挙げることができる。
【0011】
本発明のガス栓は、内部にガス通路(2b・2d)を有するガス栓本体(2)と、前記ガス通路(2b・2d)を開閉する栓体(3)と、を備えるガス栓(1)であって、 前記ガス栓本体(2)に、上記パージ機構(10)が付設されていることを特徴とする。
【0012】
本発明のパージ口アダプター(50)は、 パージ弁の弁体(15)を奥に押すとともに、パージガスの通過する内孔(53g)を有する中空押棒(53)と、 該中空押棒(53)の前記内孔(53g)と連通する内孔(55d)を有する接続管(55)と、 前記中空押棒(53)と前記接続管(55)とを回動自在に連結する自在継手(51)と、 を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、パージ機構部分の寸法を極力小さくして、ガス栓等のガス配管部材を現状よりそれほど大きくせずに、ガスパージ機能を付加できるガスパージ機構を提供できる。これにより、省スペースでありながら、ガス機器交換・増設などの際の施工作業を多いに省力化できるガス栓等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るパージ機構付きガス栓の、閉状態の断面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るパージ機構付きガス栓の、パージ状態の断面図である。
【
図3】本発明の第2実施形態に係るパージ機構付きガス栓の、パージ状態の断面図である。
【
図4】本発明の第3実施形態に係るパージ機構付きガス栓の、閉状態の断面図である。
【
図5】本発明の第4実施形態に係るパージ機構付きガス栓の、閉状態の断面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るパージ機構付きガス栓の外形図である。(A)は、パージ機構10と、ガス栓ハンドル9とが、90度違う方向に突出する形態である。(B)は、パージ機構210と、ガス栓ハンドル209が、同じ方向に突出する形態である。
【符号の説明】
【0015】
1;パージ機構付きガス栓
2;ガス栓本体、2b・2d;ガス通路、2c;円錐内周面、2cx;交差部分、
2g;パージ口行き通路、2h;側壁、2i;パージ機構取り付け穴、2k;奥面、2j;奥の面、2m;パージ機構保持部、2r;メネジ
3;栓体、3b;ガス通孔、3f;外周面(円錐面)、
5;フレキ管継手部、10;パージ機構
11;パージ口本体、11b;フランジ部、11d;オネジ、11f;内孔、11k;外円筒部、
11m;先部、11p;内円板部、11r;内円筒部、11s;Oリング当接部、11t;メネジ、
11v;手前側の面、11w;弁座、11y;口
13;コイルスプリング、13b;中空部
15;弁体、15b;弁体底板、15d;盛り上がり部、15g;筒状部、15j;バネ掛け片、
15k;弁体手前側端面、15m;弁体底、
17;パッキン
19;蓋体、19b;円板部、19d;カニ目状の穴、19h;丸軸部、19k;溝、19t;オネジ
23;ノンアスベストパッキン
50;ホースエンド(パージ口)アダプター、
51;自在スリーブ、51b;スリーブ部、51c;外面、51g;環状内溝、51j;平滑内周面
51s;環状外溝、51t;ネジ込み部、51w;オネジ
53;中空押棒、53b;フランジ部、53d;パイプ部、53k;貫通孔、53p;先端面
55;ホース接続管(自在内筒)、55b;ベンド部、55f;自在内筒部、
55g;ストップリング溝、55j;Oリング溝、55m;端面、55v;内孔、55x;ホース接続部
57;ストップリング
101;パージ機構付きガス栓、102;ガス栓本体、102b;上流側ガス通路、
102g;パージ口行き通路、103;栓体103
201;パージ機構付きガス栓、202;ガス栓本体、205;ガス栓上流側継手、
209;ハンドル、210;パージ機構、211;口本体、211r;内円筒部、211z;鍔部、
215;弁体、215v;凹部、215w;パッキン当たり部、217;パッキン(弁座)、219;蓋体
301;パージ機構付きガス栓、311;口本体、311r;内円筒部、311w;段部、
311y;Oリング溝、311z;鍔部、
313;コイルスプリング、315;弁体、315w;凹部内周面、317;Oリング
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のパージ機構付きガス栓等の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1・2において矢印で示す方向は、上流はガス供給元側であり、下流はガス消費機器側である。左右は、図を見る者から見た左右方向である。右方向を「反ガス栓中心方向」あるいは「手前」、左方向を「ガス栓中心方向」あるいは「奥」と呼ぶこともある。なお、「奥」は、パージ機構10の口本体内孔11fの奥方向という意味であり、その反対側が「手前」である。
【0017】
図1や
図2には、ガス栓本体2と、その右側のパージ機構10が示されている。ガス栓本体2は、内部にガス通路2b・2dと、該ガス通路2b・2dを開閉する栓体3と、を備える。栓体3の上流側のガス通路2bは、フレキ管継手部5を介して、屋内のガス配管(図示されず、フレキ管など)につながっている。栓体3の下流側のガス通路2dは、ガス消費機器側につながっている。
【0018】
ガス栓の栓体3の外形は、一般的には円錐台形であり、
図1・
図2の紙面垂直方向に点対称軸である回動軸を有する。栓体3は、その軸に垂直に切った断面として示されている。栓体3の外周面(円錐面)3fは、本体の円錐内周面2c(上記ガス栓本体2のガス通路2b・2dの間に形成されている)にぴったりと嵌って摺動し、ガスシール摺動面を形成している。
【0019】
栓体3には、ガス通路開時に、ガス通路2b・2dを繋ぐ貫通孔であるガス通孔3bが形成されている。
図1の状態では、ガス通孔3bは、ガス通路2b・2dと90度交差した位置にあり、ガス通路2b・2dは閉ざされている。この状態から、栓体3を180度回動させると、ガス通路2b・2dがフルオープンとなる。なお、栓体3のガス通孔3bの径は、ガス通路2b・2dの径にほぼ等しい。
【0020】
図1・
図2では図示が省略されているが、ガス栓は、栓体3を回動させるハンドル(
図6参照)や、栓体外周面3fを、本体2の円錐内周面2cに密着する方向に付勢する栓体押さえバネ(図示されず)などを含む。
【0021】
図1のガス栓本体2においては、その円錐内周面2cの図の右側に、パージ口行き通路2gが形成されている。パージ口行き通路2gは、ガス栓本体2の右側の側壁2hを貫通しており、後述するパージ口本体11の内孔11fにつながっている。ただし、
図1のガス通路2b・2dの閉状態、及び、そこから栓体3が180度回動した全開状態では、栓体3の側壁3dによって、パージ口行き通路2gとガス通路2b・2dとは遮断される。つまり、パージ口行き通路2gは、ガス栓本体2の円錐内周面2cにおける、ガス通路2b・2dとの交差部分2cxよりも十分に離れた位置に開けられている。
【0022】
ガス栓本体2のパージ口行き通路2gの反ガス栓中心方向(図の右、手前)には、パージ機構取り付け穴2iが形成されている。同穴2iは、ガス栓本体2の側壁2hから外側に盛り上がったパージ機構保持部2mの中に形成されている。同穴2iの内面にはメネジ2rが切られており、同メネジ2rには、後述するパージ口本体11外面のオネジ11dが螺合している。
【0023】
パージ機構取り付け穴2iの奥の面2kには、後述するコイルスプリング13のガス栓中心側(奥側)の端面が当たる。なお、パージ機構取り付け穴2iの奥は、コイルスプリング13の径よりやや大きい径の穴2i´となっており、コイルスプリング13の位置決めを行っている。スプリングの当たる奥面2kは、管継手部5の外面より相当奥に引っ込んでいる。このような構成によっても、パージ機構10のガス栓本体2からの突出寸法を低く抑えている。
【0024】
次に、
図1のパージ機構付きガス栓1のパージ機構10について説明する。
このパージ機構10は、ガス栓本体2の接続口(メネジ2r)に接続されるものであって、以下の主要部を備える。
口本体11;ガス栓本体2の接続口(メネジ2r)に接続されるオネジ11dや、内部に弁座11wを有する中空体である。
蓋体19;上記口本体11に着脱可能に取り付けられ、該口本体11の口11yを塞ぐものである。
【0025】
弁体15;口本体11内に配置されており、上記弁座11wと係合する位置(
図1)及び離隔する位置(
図2)をとる。
コイルスプリング13;上記口本体11内に配置されており、上記弁体15を上記弁座11wに向けて付勢するものである。
なお、これらのうち、口本体11の弁座11wと、弁体15、及び、コイルスプリング13は、パージ口を閉じる逆止弁であるパージ弁を構成する。
図1は、「パージ弁閉」の状態(通常ほとんどこの状態)であり、
図2は「パージ弁開」(工事後などのエアパージ時など極めて稀な状況)である。
以下、各部について説明する。
【0026】
口本体11は、全体として中空の円筒形のものであり、外円筒部11kや、その右側(手前)につながる先部11m、その内側の内円板部11p、その内径部から奥方向に延びる内円筒部11r、その先端(奥端)の弁座11wなどを有する。弁体15及びコイルスプリング13は、口本体11内に収容されている。
【0027】
外円筒部11kの奥側の約半分は、ガス栓本体2の側壁2hから手前に円筒壁状に突き出すパージ機構保持部2mの内側に、埋まっている。口本体外円筒部11kのガス栓中心方向端部の外面にはオネジ11dが切られている。同オネジ11dは、上記ガス栓本体2のパージ機構保持部2mの内面に切られたメネジ2rに螺合し、パージ口本体11を、ガス栓本体2に固定している。なお、外円筒部11kの奥端面と、パージ機構保持部2mの奥の面2jとの間には、隙間が空いている。
【0028】
口本体11の外円筒部11kの外面の左右方向中央部には、フランジ部11bが形成されている。フランジ部11bは、ガス栓本体2のパージ機構保持部2mの端面に当接している。このフランジ部11bは、口本体11の奥方向ねじ込み限を定める。なお、パージ機構保持部2mと口本体11との間は、メネジ2rとオネジ11dとの間に接着剤を塗って締め込むことによってシールされている。
【0029】
口本体11の内円筒部11rの先端(奥端)は、角のややとがった弁座11wとなっている。この弁座11wは、後述する弁体15のパッキン17に当たって、内部のガスをシールする。口本体11の内円筒部11rの外周面と、外円筒部11kの内周面との間には、
図1の非パージ状態(パージ弁の閉状態)では、弁体15の筒状部15gの手前側(反ガス栓中心側)の略半分が収容されている。また、コイルスプリング13の手前側(反ガス栓中心側)の略三分の一も収容されている。これによっても、パージ機構10のガス栓本体2からの突出寸法を低く抑制している。
【0030】
口本体11の内円筒部11rの内面には、奥側のメネジ11tや、その手前側のOリングの当接部11sが設けられている。内円筒部11rの手前側の面11vには、ノンアスベストパッキン23が当接する。
【0031】
弁体15は、全体として有底筒状であって、ガス栓中心部(奥)寄りの弁体底板15b、及び、弁体底板15bの外周から手前側に手前側に延びる筒状部15gを有する。筒状部15gの手前側(配管中心部の反対側)の外面には、バネ掛け片15jが、外側に突出するように形成されている。弁体底板15bは円盤状の部分であり、その手前側の面(弁体底15m)の中央部に盛り上がり部15dが形成されている。弁体底15mは、リング状の面となっており、パッキン17が配置されている。
【0032】
コイルスプリング13は、弁体15のバネ掛け片15jを手前側に押して、弁体15を手前側(反ガス栓中心方向)に付勢している。弁体筒状部15gの外面には、コイルスプリング13の手前側部分の略三分の一が外嵌されている。別言すれば、弁体15の大部分が、コイルスプリング13の中空部13bに収容されており、これによって、パージ機構10の高さを低くして、ガス栓本体2からの突出寸法を低くしている。
【0033】
弁体15の底15mには、パッキン(封止部材)17が配置されている。このパッキン17には、口本体11の弁座11wが当たって、口本体11内が外気に対してシールされる(
図1のパージ弁閉時)。なお、
図1のパージ弁閉時において、口本体11の弁座11wは、有底筒状の弁体15内に入り込んでいる。
【0034】
コイルスプリング13は、ガス栓本体2のパージ機構取り付け穴2iの奥の面2kと、上記弁体15のバネ掛け片15jとの間に挟まれて、押し勝手で配置されている。コイルスプリング13の手前側の部分は、弁体15の筒状部15gの外周面に外嵌している。すなわち、弁体15の筒状部15gのほとんどの部分は、コイルスプリング13の内側部分(中空部13b)に収容されている。
【0035】
蓋体19は、手前側の円板部19bと、その奥側の丸軸部19hからなる。円板部19bは、丸軸部19hよりも径大であるが奥行きは小さい、円形ディスク状の部分である。円板部19bの手前側の面には、カニ目状の穴19dが二箇所掘り込まれている。このカニ目状の穴19dにカニ目工具を差し込んで回すと、蓋体19を取り外すことができる。円板部19bの奥側の面には、パッキン23が当たる。
【0036】
丸軸部19hは、円板部19bの中央部の奥側面から奥側に延びている。丸軸部19hの手前側外周面には、Oリング21の内径部が嵌る溝19kが形成されている。このOリング21とパッキン23で、蓋体19と口本体11との間がシールされる。丸軸部19hの奥側の外周面にはオネジ19tが切られている。このオネジ19tは、口本体内円筒部11rのメネジ11tと螺合して、蓋体19が口本体11に取り付けられる。この蓋体19と口本体11とのネジ連結部19t・11tも、パージ弁閉時(
図1)に、有底筒状の弁体15内に嵌入する。
【0037】
次に、
図2を参照しつつ、パージ機構付きガス栓1の半開状態、並びに、パージ機構10のパージ弁を開く操作を説明する。
図2のガス栓本体2においては、栓体3が、
図1の状態から45度反時計方向に回動している。そして、栓体ガス通孔3bは、三分の一程度が、ガス通路2b・2dに開口している。そのため、上流側(供給側)のガス通路2bと、下流側(ガス消費機器側)のガス通路2dとは連通しており、ガスが流動可能である。
【0038】
また、栓体ガス通孔3bは、パージ口行き通路2gにもかかっており、同通路2gにもガスが流れ込む状態である。パージ口行き通路2gの先には、前述したパージ機構10が存在しており、その弁体15は、
図1の通常の状態では、コイルスプリング13に付勢されて、弁体内パッキン17が弁座11wに当たって、パージ弁が閉となっているので、パージ口からガスが流出することはない(ガス通路2b・2dのガス圧も弁体15を閉じる方向に働く)。
【0039】
しかし、
図2の状態では、弁体15は、次述するホースエンドアダプター50の押棒53に押されて、奥側(ガス栓中心方向)に動いて、弁座11wから離れている。すなわち、パージ弁は開状態であり、内部のガスをパージ(排出)可能な状態となっている。
【0040】
ホースエンドアダプター50は、自在スリーブ51、中空押棒53、及び、ホース接続管(自在内筒)55の三つの主要部材を備える。自在スリーブ51は、口本体11のメネジ11tに接続されるオネジ51wを有する中空体である。中空押棒53は、自在スリーブ51に回動自在に内蔵され、その先端面53pでパージ機構10の弁体15を開(奥)方向に押すものである。ホース接続管(自在内筒)55は、自在スリーブ51の内側に嵌合する自在内筒部55fと、それにつながるホース接続部55xを有するものである。以下、各部を具体的に説明する。
【0041】
自在スリーブ51は、大きく分けて、手前側のスリーブ部51bと、奥側のネジ込み部51tとからなる。スリーブ部51bは、比較的大径で、その外面51cは円筒面(ローレット加工付き)であり、指でつまんで回す部分である。スリーブ部51bの内面には、ストップリング57(回動可能係止手段)の入る環状内溝51gや、Oリング58の当たる平滑内周面51jが形成されている。このスリーブ部51bの内側には、ホース接続管55の自在内筒部55fが、相対回動可能・軸方向移動不能に連結されている。
【0042】
ネジ込み部51tは、比較的小径で、その外周面には、Oリング59の収まる、環状外溝51sと、先端部のオネジ51wが形成されている。ネジ込み部51tの内面には、中空押棒53のパイプ部53dが、回動自在に収容されている。
【0043】
中空押棒53は、大きく分けて、手前側のフランジ部53bと、その奥側に接続されたパイプ部53dとからなる。フランジ部53bは、パイプ部53dの手前側端に、大きく外側に広がるように設けられている。このフランジ部53bは、ホース接続管55の自在内筒部55fの端面55mに当接して、押棒53が奥側に押される
【0044】
中空押棒53のパイプ部53dは、長く奥側に延びており、その手前側三分の二程度は、前述の自在スリーブ51のネジ込み部51t内に収まっている。パイプ部53dの奥側の三分の一程度は、前記ネジ込み部51tから奥側に突き出している。その突き出している部分には、パイプ側壁に貫通孔53kが開けられている。この貫通孔53kには、パージされるガスなどが通過可能である。パイプ部53dの奥側の先端面53pは、前述のように、弁体15を奥側に押す面である。
【0045】
ホース接続管55は、この例では、直角にベンドする形態であり、自在スリーブ51の内側に嵌合する自在内筒部55fと、それにつながるベンド部55bからなる。ベンド部55bの先端側(図の下側)は、複数の段状外周面を有するホース接続部55xとなっている。自在内筒部55fの外周面には、ストップリング溝55g及びOリング溝55jが形成されている。ホース接続管55は、自在スリーブ51に対して回動自在であるので、任意の方向に首を振ることができる。
【0046】
ガスパージ時には、ガスは、上流側ガス通路2bから、ガス通孔3b→パージ口行き通路2g→パージ口本体11の内孔2i→パージ口本体11内孔11fと弁体筒状部15g外周面との間→弁座11wと弁体手前側端面15kとの間→中空押棒53の貫通孔53k→押棒内孔53c→ホース接続管自在内筒部55fの内孔55d→ホース接続管ベンド部55b・ホース接続部55xの内孔55v、と流れる。ホースエンドアダプター50のホース接続部55xの先には、一般的には、ゴムホースをつないで、問題のない場所までガスを導いてパージを行う。あるいは、圧力計を接続してガス圧の検査を行う。
【0047】
図3は、本発明の第2実施形態に係るパージ機構付きガス栓101の、パージ状態の断面図である。この第2実施形態のガス栓101においては、ガス栓本体102の側壁102hに開いているパージ口行き通路102gの位置が、
図1・
図2の第1実施形態のものと異なっている。すなわち、パージ口行き通路102gは、上流側ガス通路102bの、栓体103とは干渉しない位置に、形成されている。そのため、第1実施形態と比較して、パージ口行き通路が栓体摺動面と交差せず、加工しやすい。ただし、ガス栓101の長さ(図の上下方向寸法)は、少し大きくなる。
【0048】
図4は、本発明の第3実施形態に係るパージ機構付きガス栓201の、閉状態の断面図である。以下、この第3実施形態のガス栓201の特異点を述べる。なお、
図4において、
図1・
図2の符号数字に200を加えた符号で示す部位は、特別に説明するものを除いて、同様な構造あるいは役割の部位である。
【0049】
第3実施形態のガス栓201は、パージ機構210(口本体211等)が、ガス栓本体202の開閉切替ハンドル209の存在する方向と同じ方向に、突き出るように設けられている。すなわち、ガス栓栓体の回動軸と平行な軸線上で、パージ機構210の弁体215が動くような形態である(
図1〜3の実施形態ではパージ機構10の弁体15は、栓体3の回動軸と直角の軸上で動作する)。
【0050】
ハンドル209と同じ方向にパージ機構210を設けると、パージ機構210の突出寸法のうちの相当な部分(例えば5〜6割)は、ハンドル209の突出寸法で吸収されるので、パージ機構210追加したことによる純粋なガス栓寸法の増加は、その分だけ減ることになる。また、突出部が一方向のみになるので、スペースを気にしなければならない方向が一つになり、比較的スペース制限のある場所にも、パージ機構210を追加しやすくなる。
【0051】
図4の第3実施形態のパージ機構210は、ガス栓上流側継手205の外周部に相当程度オーバーラップするように設けられている。このようにすることにより、パージ機構付きガス栓201の長さを抑制できる。
【0052】
図4の第3実施形態のガス栓201においては、パージ弁の封止部材であるパッキン217(弁座)が、口本体211の内円筒部211rの奥側端部外周面に配置されている。そして、内円筒部211rの奥側端外周には、パッキン217の外れ止めとなる鍔部211zが形成されている。一方、弁体215の凹部215v内には、上記パッキン217に当たるパッキン当たり部215wが、環状の堤の形態で設けられている。
【0053】
第3実施形態のガス栓201の蓋体219は、特許第4856871号の検圧プラグ(パージ口)における蓋体(同特許の
図2・
図1の符号20参照)と同じものである。この検圧プラグ(パージ口)は、実績のあるものであり、また同蓋体の着脱工具(同特許の
図6・
図3(B)の符号60参照)は、ガス配管業界の関係者に普及しているので、本発明の第3実施形態において、採用している。なお、この形態の検圧プラグ(パージ口)からガスパージあるいは検圧を行う際は、同特許の
図8に示すコンセントアダプター70やソケット101(商品名「カチット」)を、プラグ口(パージ口)に接続し、コンセントアダプター70の押し棒97で、
図4の弁体215を奥側に押して、パージ弁を開にする。
【0054】
図5は、本発明の第4実施形態に係るパージ機構付きガス栓301の、閉状態の断面図である。この
図5において、
図4の符号数字に100を加えた符号で示す部位は、特別に説明するものを除いて、同様な構造あるいは役割の部位である。第3実施形態と第4実施形態との相違点を述べる。
【0055】
図5の第4実施形態のガス栓301においては、パージ弁の封止部材がOリング317となっており、同Oリング317が、口本体311の内円筒部311rの奥側端部外周面のOリング溝311yに配置されている。そして、内円筒部311rの奥側端外周には、Oリング317の外れ止めとなる鍔部311zが形成されている。このOリング317の外面に、弁体315の凹部内周面315wが当接して、ガス圧がシールされる(パージ弁が閉じる)。弁体315は、コイルスプリング313に付勢されて、口本体311の段部311wに当接している。この段部311w及びOリング317が、この実施形態における弁座を構成する。
【0056】
図6は、本発明の実施形態に係るパージ機構付きガス栓の外形図である。(A)は、パージ機構10と、ガス栓ハンドル9とが、90度違う方向に突出する形態(
図1・2・3の実施形態と同じ)である。(B)は、パージ機構210と、ガス栓ハンドル209が、同じ方向に突出する形態(
図4・5の実施形態と同じ)である。
【0057】
各形態のうち、代表的なサイズである20Aのパージ機構付きガス栓における、パージ機構10の寸法の例(設計の一例)を紹介する。パージ機構無の従来ガス栓の場合、ガス栓の中心と最突出部(ガス栓ハンドル除く)の寸法A´(
図6(A))は、20.5mmである。これに対して、
図1の実施例の場合、寸法Aは30.5mmであり、その増加寸法は、わずか10mmに過ぎない。
【0058】
現状普及している蓋体を用いる
図4・5の実施例の場合でも、
図6(B)の寸法Aは、40.6mmであり、その増加寸法は、20mm程度に過ぎない。なお、従来技術(特許第4856871号公報の実施品)の場合は、
図6(B)の寸法Aに相当する寸法は、49.6mmであり、その増加寸法は、29mmにもなる。このように、本願発明は、パージ機構付きガス栓のサイズ抑制に効果がある。
【0059】
本発明においては、例えば、以下のような改変・追加を行うこともできる。
図1・2のものは栓体中心のやや上流側に、パージ機構のセンターがあり、
図3〜5のものは栓体中心から離れた上流側にパージ機構のセンターがあるが、これらを下流側に位置させてもよい。