(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6754132
(24)【登録日】2020年8月25日
(45)【発行日】2020年9月9日
(54)【発明の名称】粉体混合機
(51)【国際特許分類】
B30B 11/00 20060101AFI20200831BHJP
B30B 11/08 20060101ALI20200831BHJP
B01F 13/10 20060101ALI20200831BHJP
B01F 3/18 20060101ALI20200831BHJP
B01J 2/22 20060101ALI20200831BHJP
B01F 7/08 20060101ALI20200831BHJP
B01F 7/18 20060101ALI20200831BHJP
【FI】
B30B11/00 F
B30B11/08 A
B01F13/10
B01F3/18
B01J2/22
B01F7/08 A
B01F7/18 B
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-183412(P2016-183412)
(22)【出願日】2016年9月20日
(65)【公開番号】特開2018-47481(P2018-47481A)
(43)【公開日】2018年3月29日
【審査請求日】2019年8月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000141543
【氏名又は名称】株式会社菊水製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(74)【代理人】
【識別番号】100148910
【弁理士】
【氏名又は名称】宮澤 岳志
(72)【発明者】
【氏名】島田 理史
(72)【発明者】
【氏名】伏見 伸介
【審査官】
藤田 和英
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−062593(JP,A)
【文献】
特表平04−503714(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/074507(WO,A1)
【文献】
特開2010−022929(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0173439(US,A1)
【文献】
特開2009−137123(JP,A)
【文献】
米国特許第4117547(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 11/00
B30B 11/08
B01F 3/18
B01F 7/08
B01F 7/18
B01F 13/10
B01J 2/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯留している粉体を吐出する複数のフィーダと、前記複数のフィーダの各々から吐出される粉体を混合した上で吐出する混合装置とを具備し、
前記混合装置が、
鉛直方向に対して交差する方向に伸長しており前記複数のフィーダから吐出される混合するべき粉体が投入される受入口が設けられた筒状のケースと、
前記ケース内に配置され混合するべき粉体と接触しながら回転するとともに当該粉体を鉛直方向に対して交差する方向に沿って移送する攪拌部材と、
前記ケースにおける前記攪拌部材の終端部の近傍に所在し、混合した粉体を用いた後処理を実施する機器における当該粉体を供給するための供給口に着脱可能に接続される、混合した粉体を吐出する吐出口と
を備えており、
前記複数のフィーダ及び前記混合装置が同一の支持体に支持されており、その支持体の底部にキャスタが装着されて移動が可能であり、前記ケースの側端部及び前記吐出口が後処理を実施する機器内に挿入されるがそれ以外の要素は当該機器外にあり続ける粉体混合機。
【請求項2】
後処理を実施する機器が、混合した粉体を臼孔に充填しこれを杵により圧縮して成形品を成形する粉体圧縮成形機であり、
前記吐出口は、前記粉体圧縮成形機において前記臼孔に粉体を充填する充填装置の供給口に着脱可能に接続される請求項1記載の粉体混合機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の粉体を混合した上で供給するための粉体混合機に関する。
【背景技術】
【0002】
回転盤のテーブルに粉体が充填される臼孔を穿設し、各臼孔の上下に上杵及び下杵をそれぞれ摺動可能に保持させ、臼孔及び杵をともに水平回転させることにより、上杵及び下杵の対が上ロール及び下ロールの間を通過する際に臼孔内の粉体を圧縮成形する、回転式の粉体圧縮成形機(下記特許文献を参照)が公知である。
【0003】
成形品を構成する材料は、二種類以上の粉体の混合物であることがある。一般に、この種の粉体圧縮成形機では、その頂上部に粉体を投入するための投入口が設けられる。他方、臼孔に粉体を充填する充填装置であるフィードシューは、回転するテーブルの直上に所在している。従って、投入口に投入された粉体は、フィードシューの高さ位置まで、ある程度以上の距離を落下することになる。二種類以上の粉体の混合物を圧縮して成形品を製造する場合には、予め最適な均一状態となるように混合したはずの粉体が、投入口からフィードシューに向けて落下する過程で、偏析したり分級したりする懸念があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−221458号公報
【特許文献2】特許第5642290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、複数の粉体を混合したものを、その偏析や分級を抑制しながら、当該粉体を用いた後処理を実施する機器に適切に供給することを所期の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、貯留している粉体を吐出する複数のフィーダと、前記複数のフィーダの各々から吐出される粉体を混合した上で吐出する混合装置とを具備し、前記混合装置が、
鉛直方向に対して交差する方向に伸長しており前記複数のフィーダから吐出される混合するべき粉体が投入される受入口が設けられた筒状のケースと、前記ケース内に配置され混合するべき粉体と接触しながら回転するとともに当該粉体を鉛直方向に対して交差する方向に沿って移送する攪拌部材と、
前記ケースにおける前記攪拌部材の終端部の近傍に所在し、混合した粉体を用いた後処理を実施する機器における当該粉体を供給するための供給口に
着脱可能に接続される、混合した粉体を吐出する吐出口とを備えて
おり、前記複数のフィーダ及び前記混合装置が同一の支持体に支持されており、その支持体の底部にキャスタが装着されて移動が可能であり、前記ケースの側端部及び前記吐出口が後処理を実施する機器内に挿入されるがそれ以外の要素は当該機器外にあり続ける粉体混合機を構成した。ここで、粉体とは、微小個体の集合体をいい、いわゆる顆粒などの粒体の集合体と、粒体より小なる形状の粉末の集合体とを包括した概念である。
【0007】
このようなものであれば、混合された粉体が、後処理を実施する機器における供給口まで、鉛直方向に対し交差する方向に沿って攪拌されながら移送されることとなり、その混合粉体の偏析や分級を効果的に抑制できる。また、後処理を実施する機器の供給口に直結する混合装置が、鉛直方向と交差する側方に伸びるため、粉体混合機を機器の外方に持ち出すことができる。これにより、粉体のフィーダへの補給や混合装置のメンテナンスが容易となる。
【0008】
後処理を実施する機器が、混合した粉体を臼孔に充填しこれを杵により圧縮して成形品を成形する粉体圧縮成形機である場合、前記混合装置の吐出口は、前記粉体圧縮成形機において前記臼孔に粉体を充填する充填装置の供給口に着脱可能に接続される。
【0009】
本発明に係る粉体混合機には、これの移動を可能にするキャスタを装着しておくことが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の粉体を混合したものを、その偏析や分級を抑制しながら、当該粉体を用いた後処理を実施する機器に適切に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態における粉体圧縮成形機の側断面図。
【
図4】同実施形態の粉体混合機及び粉体圧縮成形機の構成を模式的に示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。はじめに、本実施形態の粉体混合機Bが供給する粉体を用いた後処理を実施する機器の一例である、回転式粉体圧縮成形機(以下「成形機」という)Aの概要を述べる。
【0013】
図1に示すように、成形機Aのフレーム1内には、回転軸となる立シャフト2を設立し、その立シャフト2の上部に接続部21を介して回転盤3を取り付けている。
【0014】
回転盤3は、立シャフト2の軸回りに水平回転、即ち自転する。回転盤3は、テーブル(臼ディスク)31と、上杵保持部32と、下杵保持部33とからなる。
図2に示すように、テーブル31は略円板状をなしており、その外周部に回転方向に沿って所定間隔で複数の臼孔4を設けてある。臼孔4は、テーブル31を上下方向に貫通している。テーブル31は、複数のプレートに分割するものでもよい。また、テーブル31自体に直接臼孔4を穿ち形成するのではなく、テーブル31とは別体をなしテーブル31に対して着脱可能な複数個の臼部材をテーブル31に装着し、それら臼部材の各々に上下方向に貫通した臼孔を穿っている構成としてもよい。
【0015】
各臼孔4の上下には、上杵5及び下杵6を配置する。上杵5及び下杵6は、上杵保持部32及び下杵保持部33により、それぞれが個別に臼孔4に対して上下方向に摺動可能であるように保持させる。上杵5の杵先53は、臼孔4に対して出入りする。下杵6の杵先63は、常時臼孔4に挿入してある。上杵5及び下杵6は、回転盤3及び臼孔4と共に立シャフト2の軸回りに水平回転、即ち公転する。
【0016】
立シャフト2の下端側には、ウォームホイール7を取り付けている。ウォームホイール7には、ウォームギア10が噛合する。ウォームギア10は、モータ8により駆動されるギア軸9に固定している。モータ8が出力する駆動力は、ベルト11によってギア軸9に伝わり、ウォームギア10、ウォームホイール7を介して立シャフト2ひいては回転盤3及び杵5、6を回転駆動する。
【0017】
圧縮成形品、例えば医薬品の錠剤等の原材料となる粉体は、充填装置たるフィードシューA1から臼孔4に充填する。フィードシューA1の種類には、攪拌フィードシューとオープンフィードシューがあり、そのうちの何れを採用しても構わない。フィードシューA1への粉体の供給には、後述する粉体混合機Bを用いる。粉体混合機Bは、成形機Aに対して着脱可能である。
【0018】
図2及び
図3に示しているように、杵5、6の立シャフト2の軸回りの公転軌道上には、杵5、6を挟むようにして上下に対をなす予圧上ロール12及び予圧下ロール13、本圧上ロール14及び本圧下ロール15がある。予圧上ロール12及び予圧下ロール13、並びに本圧上ロール14及び本圧下ロール15は、臼孔4内に充填された粉体を杵先53、63の先端面を以て上下から圧縮するべく、上下両杵5、6を互いに接近させる方向に付勢する。
【0019】
上杵5、下杵6はそれぞれ、ロール12、13、14、15によって押圧される頭部51、61と、この頭部51、61よりも細径な胴部52、62とを有する。回転盤3の上杵保持部32は、上杵5の胴部52を上下に摺動可能に保持し、下杵保持部33は、下杵6の胴部62を上下に摺動可能に保持する。胴部52、62の先端部位53、63は、臼孔4内に挿入可能であるように、それ以外の部位と比べて一層細く、臼孔4の内径に略等しい直径である。杵5、6の公転により、ロール12、13、14、15は杵5、6の頭部51、61に接近し、頭部51、61に乗り上げるようにして接触する。さらに、ロール12、13、14、15は上杵5を下方に押し下げ、下杵6を上方に押し上げる。ロール12、13、14、15が杵5、6上の平坦面に接している期間は、杵5、6が臼孔4内の粉体に対して一定の圧力を加え続ける。
【0020】
そして、本圧上ロール14及び本圧下ロール15による加圧位置から、回転盤3及び杵5、6の回転方向に沿って先に進んだ位置が、製品排出部となる。ここでは、下杵6の杵先63の上端面が臼孔4の上端即ちテーブル31の上面と略同じ高さとなるまで下杵6が上昇し、臼孔4内にある成形品を臼孔4から押し出す。製品排出部には、臼孔4から押し出された成形品を案内するダンパ17を設置している。臼孔4から押し出された成形品は、回転盤3の回転によりダンパ17に接触し、ダンパ17に沿って成形品回収位置18に向けて移動する。
【0021】
次に、本実施形態の粉体混合機Bの構成を説明する。本粉体混合機Bは、後処理を実施する機器、ここでは成形機Aに対して混合した粉体を供給する役割を担うものであり、
図4に示すように、粉体を貯留しかつその貯留している粉体を吐出する複数のフィーダB1、B2、B3と、それら複数のフィーダB1、B2、B3の各々から吐出される粉体を混合した上で吐出する混合装置B4、B5とを具備する。
【0022】
本粉体混合機Bは、三基のフィーダB1、B2、B3を備えている。尤も、フィーダB1、B2、B3の数は、混合する粉体の種類数によって変化し、二基、または四基以上であってもよい。各フィーダB1、B2、B3はそれぞれ、例えばロスインウェイト方式(減量積算値方式)の既知の計量フィーダであり、当該フィーダB1、B2、B3から吐出された粉体の重量が重量センサを介して常時計測され、その重量の推移が設定された目標吐出流量と合致しているかどうかが比較され、両者の偏差が縮小する方向にフィーダB1、B2、B3の吐出速度が増減されるという、フィードバック制御が行われるものである。
【0023】
各フィーダB1、B2、B3には、別種の粉体を貯留してもよく、同種の粉体を貯留してもよい。フィーダB1、B2、B3に貯留する粉体が、予め複数の粉体を混合したものであることもあり得る。粉体の種類としては、例えば主薬を含む粉体、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、保存剤等を挙げることができる。本実施形態では、第一フィーダB1が主薬を、第二フィーダB2が乳糖等の賦形剤またはその他の粉体を、第三フィーダB3がステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤を、それぞれ貯留している。
【0024】
混合装置B4、B5は、垂直混合装置B4の下流に水平混合装置B5を接続してなるものである。垂直混合装置B4は、第一フィーダB1が吐出する粉体即ち主薬と、第二フィーダB2が吐出する粉体即ち賦形剤またはその他の粉体とを混合しつつ、水平混合装置B5に向けて落下させる。この垂直混合装置B4は、漏斗状をなすケースB41と、ケース内の中央部に配置されて自転する垂直または略垂直な攪拌軸B42と、攪拌軸に一体的に取り付けられた攪拌羽根B43と、攪拌軸B42及び攪拌羽根B43を回転駆動するモータB44とを有する。
【0025】
第一フィーダB1及び第二フィーダB2が吐出する各粉体は、垂直混合装置B4のケース内に上方から投下される。それら粉体は、回転する攪拌羽根B43に接触し、攪拌羽根B43により攪拌されながらケースB41内を下方に移動する。ケースB41の下部には、ケースB41を貫通する多数の孔(図示せず)が予め穿たれており、ケースB41内で攪拌された混合粉体はその孔を通じてケースB41内からケースB41外へと流出する。その後、混合粉体は、接続口B45を介して水平混合装置B5へと流入する。
【0026】
水平混合装置B5は、垂直混合装置B4において混合された粉体即ち主薬及び賦形剤またはその他の粉体と、第三フィーダB3が吐出する粉体即ち滑沢剤とを混合しつつ、成形機AのフィードシューA1に向けて移送する。水平混合装置B5は、水平方向または略水平方向に伸長した筒状のケースB51と、ケースB51内の中央部に配置されて自転する水平または略水平な攪拌軸B52と、攪拌軸B52に取り付けられた攪拌羽根B53と、攪拌軸B52及び攪拌羽根B53を回転駆動するモータB54とを有する。
【0027】
ケースB51の外側方の端部には、垂直混合装置B4の接続口と接続する受入口B511を設けている。並びに、ケースB51の内側方の端部には、フィードシューA1の内外を連通し当該フィードシューA1に粉体を供給するための供給口A11に接続される吐出口B512を設けている。さらに、ケースB51の中間部位に、第三フィーダB3と接続する受入口B513を設けている。攪拌軸B52及び攪拌羽根B53は、混合するべき粉体と接触しながら回転して粉体を混合しつつ、当該粉体を鉛直方向に対して交差する方向に沿って移送する攪拌部材となる。この攪拌部材B52、B53は、混合装置B4、B5の終端となる吐出口B512の直前まで伸びている。
【0028】
垂直混合装置B4において混合された粉体は、接続口B45から受入口B511を経て水平混合装置B5のケースB51内に投入される。その粉体は、回転する攪拌羽根B53に接触し、攪拌羽根B53により攪拌されながらケースB51内を外側方から内側方に向かって移動する。その過程で、第三フィーダB3が吐出する粉体が受入口B513を介してケースB51内に投入され、攪拌羽根B53によりさらに攪拌される。結果、第一フィーダB1の供給する主薬、第二フィーダB2の供給する賦形剤またはその他の粉体、及び第三フィーダB3の供給する滑沢剤が、ケースB51内で混合されながらケースB51に沿って移送されることとなる。最終的に、この混合粉体は吐出口B512から吐出され、成形機AのフィードシューA1の供給口A11に供給される。フィードシューA1は、その供給口A11に供給された混合粉体を、テーブル31に穿たれている臼孔4に充填する。
【0029】
なお、フィードシューA1には予め、粉体混合機Bから供給される混合粉体の混合度を測定するためのセンサ(図示せず)を設置している。粉体の混合度を測定する手法としては、ラマン分光分析、赤外分光、X線回折、X線透過測定、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等、様々なものが挙げられるが、混合度をリアルタイムで測定できるものであればどのような態様であってもかまわない。一例として、近赤外分光分析(NIR、又は近赤外吸収スペクトル法)によると、混合粉体における主薬の占める量又は割合(比率)、換言すれば混合粉体の均一性(偏析が生じていないかどうか)を評価するべく、移動する混合粉体に対して近赤外分光を照射し、光の吸収及び散乱を計測し、スペクトルを用いて主薬の濃度その他の定性・定量分析を行うことを、所定周期で繰り返す。測定波長としては、賦形剤や滑沢剤のピークがなく主薬の特異的な吸収ピークである波長帯を利用する。また、近赤外分光分析によれば、混合粉体の粒径を測定することもできる。近赤外分光分析を採用する場合、粉体の混合度等を測定するPAT(Process Analytical Technology)センサとして、近赤外線センサをフィードシューA1に設置することとなる。
【0030】
加えて、成形機Aの製品排出部には、特定の成形品、例えば不良品やサンプリング品を、成形品回収位置18に回収する成形品群から選り分けるための成形品排除機構Wを設けている。具体的には、ダンパ17の内部に、加圧空気を流通させる空気通路16を形成し、その空気通路16の先端を回転盤3の径方向に沿って外側方に向けて開口させた空気噴射ノズル16aとしている。加圧空気を供給するポンプ等の空気供給源(図示せず)と空気通路16とを接続する流路20上には、当該流路20を開閉する制御バルブ22を設置してある。制御バルブ22は、例えば、制御装置から与えられる制御信号により開弁する電磁ソレノイドである。
【0031】
臼孔4から押し出された特定の成形品がダンパ17に接触する前、空気噴射ノズル16aの近傍を通過するときに、制御バルブ22を開弁すると、空気供給源から供給される加圧空気が、流路20及びダンパ17内の空気通路16を経由して空気噴射ノズル16aから噴出する。この噴出した空気は、特定の成形品をテーブル31の外側方に吹き飛ばす。吹き飛ばされた当該成形品は、ダンパ17に沿った先にある成形品回収位置18に到着することはない。このように、本成形機Aにあっては、空気供給源から供給される空気の流通路16、20、噴射ノズル16a及び制御バルブ22が、成形品排除機構Wを構成する。
【0032】
フィードシューA1に設けた近赤外線センサ等を介して測定される混合粉体の混合度等が所要の範囲内にないとき、その混合粉体を一旦フィードシューA1から成形機Aのテーブル31の臼孔4に充填し、これを上杵5及び下杵6により圧縮成形して成形品の形にする。その上で、当該成形品を、成形品回収位置18に到達する前に、成形品排除機構Wにより排除する。即ち、成形機Aにおいて、不良の混合粉体が充填され成形品が打錠された臼孔4が空気噴射ノズル16aの近傍を通過するときに制御バルブ22を開弁し、空気噴射ノズル16aから空気を噴射して当該成形品をテーブル31外に吹き飛ばす。併せて、警告音の鳴動、装置の停止等を行うこともある。
【0033】
粉体混合機Bを成形機Aに接続する際には、その水平混合装置B5のケースB51の内側端部及び吐出口B512を成形機Aのフレーム1内に挿入する。一方で、粉体混合機Bのそれ以外の要素、即ち水平混合装置B5のケースB51の内側端部以外の部分、垂直混合装置B4及びフィーダB1、B2、B3は、成形機Aのフレーム1外にあり続ける。フィーダB1、B2、B3、垂直混合装置B4及び水平混合装置B5を支持する粉体混合機Bの支持体(フレームまたは筐体)B6の底部には、当該粉体混合機Bを簡便に移動可能とするためのキャスタB7を取り付けている。
【0034】
本実施形態では、貯留している粉体を吐出する複数のフィーダB1、B2、B3と、前記複数のフィーダB1、B2、B3の各々から吐出される粉体を混合した上で吐出する混合装置B5とを具備し、前記混合装置B5が、混合するべき粉体と接触しながら回転するとともに当該粉体を鉛直方向に対して交差する方向に沿って移送する攪拌部材B53と、前記攪拌部材B53の終端部の近傍に所在し、混合した粉体を用いた後処理を実施する機器Aにおける当該粉体を供給するための供給口A11に接続される、混合した粉体を吐出する吐出口B512とを備えている粉体混合機Bを構成した。
【0035】
本実施形態によれば、混合された粉体が、後処理を実施する機器Aにおける供給口A11まで、鉛直方向に対して交差する水平方向または略水平方向に沿って攪拌されながら移送されることとなるため、その混合粉体の偏析や分級を効果的に抑制できる。また、後処理を実施する機器Aの供給口A11に直結する混合装置B5(のケースB51)が、鉛直方向と交差する側方に伸びているため、粉体混合機Bを機器Aの外方に持ち出すことができる。これにより、粉体のフィーダB1、B2、B3への補給や混合装置B4、B5のメンテナンスが容易となる。
【0036】
混合装置B5の吐出口B512は、粉体圧縮成形機Aにおいて臼孔4に粉体を充填する充填装置たるフィードシューA1の供給口A11に接続される。これにより、最良の状態に混合した粉体を直接フィードシューA1に供給することができ、成形品の材料となる混合粉体の偏析や分級を抑制して所望の品質の成形品を製造することが可能となる。
【0037】
混合装置B5の吐出口は、後処理を実施する機器Aの供給口A11に対して着脱可能である。また、本粉体混合機Bの構成要素B1、B2、B3、B4、B5は、同一の支持体B6に支持され、後処理を実施する機器Aから独立した一個のユニットとなっている。加えて、このユニットは、キャスタB7により移動可能となっている。従って、本粉体混合機Bは、任意の機器Aに対して容易に接続することができる。
【0038】
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。例えば、上記実施形態では、後処理を実施する機器Aの供給口A11に直結する混合装置B5のケースB51が水平方向または略水平方向に延伸し、攪拌部材(の攪拌軸B52及び攪拌羽根B53)もまた同方向に沿って伸長しており、当該混合装置B4、B5内で混合粉体が水平方向または略水平方向に沿って移送されるようになっていた。これに対し、機器Aの供給口A11に直結する混合装置のケース及び攪拌部材が水平方向からある程度傾斜しており、当該混合装置内で混合粉体が供給口A11に向けて同傾斜方向に沿って移送されるようにしても、本発明の作用効果を奏し得る。
【0039】
粉体混合機Bの適用対象は、回転式粉体圧縮成形機Aには限定されない。回転式以外の形態、例えば竪型式の粉体圧縮成形機に混合粉体を供給する目的で、粉体混合機Bを使用することもできる。さらには、粉体圧縮成形機以外の機器、例えば粉体を材料として所望の大きさの粒を製造する造粒機に混合粉体を供給する目的で、粉体混合機Bを使用しても構わない。何れの場合においても、粉体混合機Bの混合装置B5の吐出口B512を、対象の機器の供給口に接続することとなる。
【0040】
また、本発明に係る粉体混合機が、後処理を実施する特定の機器と一体化されていることを妨げない。
【0041】
その他、各部の具体的構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変形が可能である。
【符号の説明】
【0042】
A…混合した粉体を用いた後処理を実施する機器(粉体圧縮成形機)
A1…充填装置(フィードシュー)
A11…供給口
B…粉体混合機
B1、B2、B3…フィーダ
B5…混合装置(水平混合装置)
B512…吐出口
B52、B53…攪拌部材(攪拌軸、攪拌羽根)
B7…キャスタ