(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記筒体と前記棒状プラグとは、前記棒状プラグを前記筒体の開口部方向に移動させることにより分離可能な連結部を介して連結されていることを特徴とする請求項1に記載の毛細管封止具。
前記連結部は、前記棒状プラグを前記筒体の開口部方向に移動させることにより破断可能な薄肉部として形成されていることを特徴とする請求項2に記載の毛細管封止具。
前記棒状プラグは、前記毛細管の開放端部と前記筒体の開口部を接続させた際に、前記棒状プラグの先端近傍が前記毛細管の開放端部から毛細管内に収容されるように配置されており、
前記棒状プラグの先端近傍の周側面には空気流通溝が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の毛細管封止具。
前記筒体の開口部の内壁には、前記毛細管の開放端部の外壁を支持するリブ片が複数配置され、該リブ片は前記内壁の壁面に対し、一定方向で鋭角に傾斜して配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の毛細管封止具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載された封止装置では、毛細管に血液が吸引採取された後、直ぐに毛細管を封止できるよう封止装置を別途準備しておく必要があり、煩雑で手間がかかっていた。また、特許文献1及び特許文献2の封止装置を用いる場合には、血液の吸引採取を開始した後から封止装置で封止する前までは毛細管の一端は開口されたままであるため、取扱者が毛細管の開口端から血液に接触するおそれがあった。
【0006】
本発明の目的は上述した点に鑑み案出されたもので、毛細管を簡単に封止することができ、血液等の液体試料との接触をできるだけ防ぐことができる毛細管封止具を提供することにある。
【0007】
また、本発明の他の目的は、上述した毛細管封止具を含み、遠心分離処理等にて分離された所望の成分を所定量回収することができる微量試料採取器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る毛細管封止具は、毛細管の開放端部を封止するための毛細管封止具であって、毛細管の開放端部と接続可能な開口部を一端に有し、外気と連通する空気流通孔を有する筒体と、毛細管の管内に挿入可能な先端を有し、筒体の内部に筒体と同軸に配置され、少なくとも後端は筒体の外部に延伸するように配置された棒状プラグと、を備え、毛細管の開放端部と筒体の開口部を接続させた際に、毛細管の開放端部は空気流通孔と連通し、棒状プラグを筒体の開口部方向へ移動させることにより、棒状プラグが毛細管の開放端部を封止するように構成されている。
【0009】
本発明の毛細管封止具は、主に筒体と棒状プラグとから構成されており、筒体は毛細管の開放端部を収容して毛細管と接続する機能を有し、棒状プラグは毛細管の開放端部から管内に挿入されて開放端部を封止する機能を有している。本発明の毛細管封止具は、毛細管と筒体とが接続された状態においては、毛細管の開放端部は筒体に設けられた空気流通孔と連通しているため、毛細管現象を妨げることなく、血液等の液体試料を毛細管内に採取することができる。また、試料採取後には、毛細管封止具の棒状プラグを筒体の開口部方向へ移動させることにより、筒体と接続されている毛細管の開放端部から毛細管内に棒状プラグが挿入され、毛細管の開放端部を封止する。これにより、試料採取前に本発明に係る毛細管封止具を毛細管と接続するだけで取り付けすることができ、試料採取後には、毛細管とすでに接続されている毛細管封止具の棒状プラグを移動させるだけで毛細管を封止することができる。このように、試料採取後に慌てて毛細管を封止するための装置やパテで処理する必要がなく、すでに取り付けされている毛細管封止具の一部を動かすだけで毛細管を封止することができる。また、試料採取前に毛細管の開放端部が本発明に係る毛細管封止具と接続されているため、血液等の液体試料との接触を防ぐことができる。
【0010】
また、本発明の毛細管封止具の筒体と棒状プラグとは、棒状プラグを筒体の開口部方向に移動させることにより分離可能な連結部を介して連結されていることも好ましい。試料採取後には、毛細管封止具の棒状プラグを筒体の開口部方向へ移動させることにより、毛細管の開放端部を封止するところ、このとき、筒体と棒状プラグとが分離される。それゆえ、筒体を取り外して棒状プラグで封止された毛細管のみを回収できるため、既存の遠心分離処理装置に棒状プラグで封止された毛細管を適用することができる。
【0011】
また、本発明の毛細管封止具の連結部は、棒状プラグを筒体の開口部方向に移動させることにより破断可能な薄肉部として形成されていることも好ましい。これにより、毛細管封止具を構成する筒体と棒状プラグを一体として成形することができると共に、簡易な構成で毛細管封止具を形成することができる。
【0012】
また、本発明の毛細管封止具の棒状プラグは、その先端に向かって外径が連続的に又は非連続的に縮径していることも好ましい。これにより、毛細管の開放端部を封止する外径部分まで棒状プラグが毛細管内に挿入されることにより、毛細管の内径のバラツキに対応することができ、毛細管の開放端部を確実に封止することができる。
【0013】
また、本発明の毛細管封止具の棒状プラグは、毛細管の開放端部と筒体の開口部を接続させた際に、棒状プラグの先端近傍が毛細管の開放端部から毛細管内に収容されるように配置されており、棒状プラグの先端近傍の周側面には空気流通溝が形成されていることも好ましい。毛細管の開放端部と筒体の開口部を接続させた際に、棒状プラグの先端近傍が毛細管内に既に収容されているため、試料採取後の棒状プラグの移動を容易に行うことができる。また、試料採取時から封止前における液体試料の漏れを可能な範囲で防ぐことができる。さらに、棒状プラグの先端近傍に空気流通溝が設けられているため、毛細管内部に棒状プラグの先端近傍を収容しても、毛細管現象を妨げることなく、血液等の液体試料を毛細管内に採取することができる。
【0014】
さらに、本発明の毛細管封止具の筒体の開口部の内壁には、毛細管の開放端部の外壁を支持するリブ片が複数配置され、このリブ片は内壁の壁面に対し、一定方向で鋭角に傾斜して配置されていることも好ましい。これにより、毛細管の外径にバラツキがあった場合においても、毛細管を筒体の開口部に挿入する際に、リブ片が筒体の内壁側に倒れこみすることで外径が大きな毛細管も受容することができる。また、毛細管を筒体の開口部に挿入する際に、筒体の開口部と同軸に挿入されるようリブ片が毛細管の挿入位置を案内するため、棒状プラグの先端が毛細管の管内にスムーズに収容される。さらに、リブ片は筒体の開口部に挿入された毛細管の外壁を外側から押圧支持して毛細管の脱落を防ぐ。
【0015】
また、本発明の微量試料採取器具は、上述した毛細管封止具と、毛細管とを含み、この毛細管には、毛細管をその軸方向に対して分割可能とするためのノッチが設けてある。これにより、毛細管を折り曲げて切断し、切断部分を回収することにより、遠心分離処理等にて分離された所望の成分や、採取した試料のうちの所定量を簡単に得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、以下のような優れた効果を有する毛細管封止具及び微量試料採取器具を提供することができる。
(1)試料採取前に、毛細管と接続するだけで取り付けすることができ、試料採取後には、毛細管とすでに接続されている毛細管封止具の棒状プラグを移動させるだけで毛細管を封止することができる。
(2)試料採取前に毛細管の開放端部が毛細管封止具でカバーされた状態となっているため、血液等の液体試料との接触を防ぐことができる。
(3)毛細管封止具の棒状プラグを筒体の開口部方向へ移動させることにより、毛細管の開放端部が封止されると共に筒体と棒状プラグとが分離されるため、筒体を取り外して棒状プラグで封止された毛細管のみを回収でき、既存の遠心分離処理装置での毛細管の遠心分離処理を行うことができる。
(4)棒状プラグの外径が、その先端に向かって連続的に又は非連続的に縮径しているため、毛細管の開放端部を封止する外径部分まで棒状プラグが毛細管内に挿入されることにより、毛細管の内径のバラツキに対応して毛細管の開放端部を確実に封止することができる。
(5)筒体の開口部の内壁の壁面に対し、一定方向で鋭角に傾斜して配置されたリブ片が複数配置されているため、毛細管の外径にバラツキがあった場合においても、毛細管を筒体の開口部に挿入する際に、リブ片が筒体の内壁側に倒れこみして外径が大きな毛細管も受容することができる。
(6)毛細管封止具と、毛細管の軸方向に対して分割可能とするためのノッチを設けた毛細管とを備えているため、遠心分離処理等にて分離された所望の成分や、採取した試料のうちの所定量を簡単に得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、
図1〜
図8を参照し、本発明の第一の実施形態について説明する。
【0019】
図1には、本発明の第一の実施形態に係る毛細管封止具1と、毛細管6及び採血針Nとから構成された微量試料採取器具100を示している。
図1に示す微量試料採取器具100は、採血針Nを含めた構成としているが、毛細管封止具1と毛細管6からのみ構成されたものも本発明の微量試料採取器具100に含まれる。また、
図1では採血針Nとして翼付採血針を示しているが、採血針Nはこれに限定されず、あらゆる態様の採血針が含まれる。
【0020】
図1〜
図4に基づき、第一の実施形態に係る毛細管封止具1について説明する。
図2〜
図4に示すように、本発明の毛細管封止具1は、筒体2と、筒体2の内部に同軸に配置された棒状プラグ3とから概略構成されている。
【0021】
まず、筒体2について詳細に説明する。
図2及び
図3に示すように、筒体2は、正面視側(
図3(a)及び(b)における左側)端部に開口部21を有し、背面視側(
図3(a)及び(b)における右側)端部に背面部28とスリット27と空気流通孔25とを有している。この開口部21側を前側(手前側)、背面部28側を後側(奥側)として以下説明する。本実施形態における筒体2は、後側から前側に向かってやや拡径した円筒状に形成されており、それゆえ、筒体2は開口部21側に向かってやや径大となる円筒状に形成されている。これにより、毛細管封止具1の使用の際に、毛細管6の開放端部61が筒体2の開口部21に挿入しやすく、毛細管6の開放端部61が筒体2の係合部22に確実に係合可能となると共に、毛細管6を封止した棒状プラグ3と筒体2とを分離容易とすることができる。また、筒体2は、その内部に空気を流通させるための流路を有しており、後述する棒状プラグ3はこの流路内に配置されている。
【0022】
筒体2の開口部21は、毛細管6の開放端部61を開口部21内に収容できるように形成されており、毛細管6の外壁61bを受け入れ可能な大きさに形成されている。それゆえ、筒体2の開口部21の内径は毛細管6の外径よりも径大に形成されているが、具体的には、毛細管6をスムーズに挿入できると共に、毛細管6の接続後の脱落を防ぐ観点から、開口部21の内径は毛細管6の外径よりも0.2mm〜0.5mmほど径大であることが好ましい。
【0023】
図2〜
図4に示すように、筒体2の内壁21aには、毛細管6の開放端部61と係合して、筒体2の内部で開口部21から挿入された毛細管6の開放端部61を支持固定するための係合部22が設けられている。本実施形態において、係合部22は、筒体2内部の流路が途中で縮径されることにより流路内に環状に形成された面であり、係合部22は、筒体2の全長に対し、開口部21から約1/3〜1/2程度の位置に形成されている。これにより、開口部21から挿入された毛細管6の開放端部61は係合部22に突き当たって係止される。なお、係合部22は、毛細管6の開放端部61と係合可能な構造であればどのような構造としてもよく、例えば、内壁21aの周方向に沿って軸方向に略垂直な面として突出する凸部として形成することも可能である。
【0024】
そして、
図2(a)及び
図3に示すように、本実施形態に係る筒体2の係合部22には、空気を流通させるための段部22aが備えられている。具体的には、係合部22の開口部21側の面上に、周方向に4つの段部22aが等間隔で配置されている。段部22aは略矩形状に形成され、その表面は平坦であり、毛細管6の開放端部61を安定して当接支持するように構成されている。これにより、毛細管6の開放端部61を係合部22に突き当らせて係止させた際に、毛細管6の開放端部61と段部22aとが当接していない部分には、係合部22の面との間に隙間が形成されるため、空気を流通させることができる。ここで、段部22aの段高さは、液体試料の液滴を筒体2の内部に入り込ませず、実質的に空気のみを流通させることができるよう、段高さが設計されている。具体的には、この段部22aの段高さは、0.05mm〜0.2mmが好ましく、0.07mm〜0.15mmであることがより好ましい。段部22aと係合部22との間の隙間は、後述する空気流通孔25と連通しており、それゆえ、毛細管6と毛細管封止具1とが接続した後であっても、毛細管6の内部の空気は筒体2の空気流通孔25と連通する。なお、段部22aは、空気を流通するための隙間を生じさせることができる構造であればどのような構造としてもよく、配置位置や数も本実施形態のものに限定されない。
【0025】
また、
図3に示すように、本実施形態における筒体2はその外壁21bに外方に壁厚を大きくした鍔部24を備えている。この鍔部24は、開口部21と係合部22との間に設けられており、毛細管6が挿入され、毛細管6と毛細管封止具1とが接続する係合部22近傍における、筒体2の強度を高める作用を有している。
【0026】
次に、
図2(a)、
図3及び
図4に示すように、本実施形態の筒体2の内壁21aには、毛細管6の開放端部61の外壁61bを支持するリブ片23が周方向に沿って等間隔で4つ配置されている。これにより、毛細管6を筒体2の開口部21に挿入する際に、筒体2の開口部21と同軸に挿入されるようリブ片23が毛細管6の挿入方向を案内するため、棒状プラグ3の先端31が毛細管6の管内にスムーズに収容される。また、このリブ片23は筒体2の開口部21に挿入された毛細管6の外壁61bを外側から押圧支持して毛細管6の脱落を防ぐ。さらに、本実施形態では、このリブ片23は筒体2の内壁21aの壁面に対し、一定方向で鋭角に傾斜して配置されている。これにより、用いる毛細管6の外径にバラツキがあった場合においても、リブ片23が筒体21の内壁21a側に倒れこみすることで外径が大きな毛細管6に対応することができる。リブ片23の配置角度は、内壁21aの壁面に対し、10〜60度が好ましく、20〜45度がより好ましい。リブ片23の内周は、毛細管6の外周と略同じかやや小さくなるように形成され、本実施形態においては、リブ片23の内周の径は、毛細管6の外径よりもわずかに小さく(毛細管6の外径よりも0.05mm程度小さく)形成されている。なお、リブ片23は、上述した作用効果を実現できる構造であればどのような構造としてもよく、配置位置や数も本実施形態のものに限定されない。
【0027】
図2(b)、図(c)及び
図4(d)に示すように、筒体2の後端側には筒体2の外壁21bを厚み方向に貫通する所定の幅を有するスリット27が周方向に沿って等間隔で4つ設けられている。これにより、筒体2の後端に空気流通孔25が各々形成されている。毛細管6と毛細管封止具1とが接続した後であっても、毛細管6の内部の空気は、係合部22において段部22aにより形成された隙間を通り、筒体2の内部流路と棒状プラグ3との間に形成された環状の隙間5を通り、空気流通孔25と連通している。なお、空気流通孔25は、上述した作用効果を実現できる構造であればどのような構造としてもよい。
【0028】
そして、
図2(b)及び
図4(d)に示すように、筒体2の後端には、上述したスリット27が設けられた結果、筒体2の周側面から連続して後端を覆うように形成された扇形の背面部28が周方向に沿って等間隔で4つ設けられている。この扇形の背面部28は、筒体2の軸中心近傍で棒状プラグ3とそれぞれ連結している。本実施形態において、この背面部28と棒状プラグ3との連結部4は、
図3に示すように、破断可能な薄肉部26として形成されている。これにより、棒状プラグ3を筒体2の開口部21方向に移動させた際に、薄肉部26を破断して棒状プラグ3と筒体2とを分離させることができる。本実施形態においては、一例として、薄肉部26は、厚さ0.1〜0.2mm、連結長さ0.1〜0.3mm程度に形成されている。本実施形態では、分離可能な連結部4を薄肉部26として形成しているが、上述した作用効果を実現できる構造であればどのような構造としてもよい。
【0029】
次に、棒状プラグ3について詳細に説明する。
図2及び
図3に示すように、棒状プラグ3は、正面視側(
図3(a)及び(b)における左側)端部に先端31を有し、背面視側(
図3(a)及び(b)における右側)端部に後端34を有している。本実施形態における棒状プラグ3は略円柱状に形成されており、全体として、後端34から先端31に向かって外径が縮径するように形成されている。そして、先端31近傍には、毛細管6と毛細管封止具1が接続された際に収容される部分である接続時収容部32を有しており、この接続時収容部32の後には毛細管6の内径と同程度の外径を有する封止部33を有している。
【0030】
図3に示すように、この棒状プラグ3は、筒体2の内部に筒体2と同軸に配置されており、後端34は筒体2の外部に延伸するように配置されている。このように、棒状プラグ3の前半分は筒体2の内部に配置され、残りの後ろ半分が筒体2の後端から延出することにより、棒状プラグ3を筒体2の開口部21方向へ移動させるにあたり、棒状プラグ3の後端34を押し込み易く設計している。また、
図2〜
図4に示すように、本実施形態では、筒体2と棒状プラグ3とは、筒体2の後端に設けられた4つの連結部4を介して連結されている。それゆえ、筒体2と棒状プラグ3とは、一体的に成形されている。上述したように、この連結部4は、棒状プラグ3の後端34を開口部21方向に押し込んで棒状プラグ3を筒体2の開口部21方向に移動させた際に、棒状プラグ3と筒体2とを分離させることができるように、破断可能な薄肉部26として形成されている。
【0031】
図2(a)、
図3並びに
図4(a)及び(b)に示すように、棒状プラグ3の先端31近傍には、毛細管6と毛細管封止具1が接続された際に収容される部分である接続時収容部32を有している。この接続時収容部32は、毛細管6の内壁61aと当接して毛細管6の挿入方向を案内するガイド部32a、毛細管6の内壁61aとの間に隙間を形成させて空気を流通させる空気流通溝32bを備えている。この接続時収容部32は、毛細管6と毛細管封止具1が接続された際に、少なくとも一部が毛細管6の開放端部61から毛細管内に収容されるよう、筒体2の内部への配置位置が調整されている。本実施形態では、筒体2の係合部22の前後に亘り、接続時収容部32が配置されている。これによって、筒体2の開口部21から毛細管6の開放端部61が挿入された後、毛細管6の内部に棒状プラグ3の接続時収容部32が挿入されて収容されながら、係合部22の段部22aに毛細管6の開放端部61が当接するようになる。
【0032】
図2(a)及び
図4(b)に示すように、本実施形態における棒状プラグ3の接続時収容部32のガイド部32aは、細径の円柱の周方向に沿って等間隔に膨潤する凸部として形成されている。他方、本実施形態における棒状プラグ3の接続時収容部32の空気流通溝32bは、膨潤する凸部からなるガイド部32aと隣接するガイド部32aとの間の空間として形成される。これにより、毛細管6の内部に先端31から接続時収容部32が収容される際に、接続時収容部32のガイド部32aが毛細管6の内壁61aに当接しながら毛細管6の挿入方向を案内するが、ガイド部32aとガイド部32aの間に形成された空気流通溝32bは毛細管6の内壁61aに当接しないため、毛細管6の内壁61aと空気流通溝32bとの間に隙間が形成され、空気を流通させることができる。ここで、空気流通溝32b部分の最小外径は、液体試料の液滴を筒体2の内部に入り込ませず、実質的に空気のみを流通させることができるよう設計されている。具体的には、空気流通溝32bの最小外径は、ガイド部32aの最大外径よりも0.1〜0.3mm小さい直径となるように形成することが好ましい。空気流通溝32bと毛細管6の内壁61aとの間の隙間は、筒体2の係合部22の段部22aを介して形成された隙間を通じて空気流通孔25と連通しており、それゆえ、毛細管6と毛細管封止具1とが接続した後であっても、毛細管6の内部の空気は筒体2の空気流通孔25と連通する。
【0033】
棒状プラグ3の接続時収容部32の後側には所定の軸太さを備えた封止部33を有している。封止部33の外径は毛細管6の内径と同程度に形成されており、そのため、毛細管6の開放端部61は棒状プラグ3により封止される。なお、毛細管6の内径のバラツキに対応できるようにするため、後端34から封止部33方向に向かって外径が徐々に縮径するように構成し、棒状プラグ3の押し込みによって使用する毛細管の内径に合った外径部分で封止されるようにすることが好ましい。
【0034】
また、
図3に示すように、棒状プラグ3の外径は、筒体2の内部に収容されている部分において、筒体2の内部の流路と棒状プラグ3の外周との間に空気が流通する隙間5を設ける必要があるため、筒体2の内部の流路内径よりも小さく形成されている。具体的には、棒状プラグ3の外径は、筒体2の内部の流路内径よりも少なくとも0.25mm以上小さく形成することが好ましく、0.35mm以上小さく形成することが好ましい。
【0035】
本実施形態に係る毛細管封止具1を構成する材料としては、特に限定されないが、ポリエチレン(低密度・高密度含む)、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアミド又はポリカーボネート等の熱可塑性樹脂が好適に用いられる。このような熱可塑性樹脂を用いることにより、毛細管封止具1を射出成型等により製造して得ることができる。また、毛細管6の内部を視認しやすくするため、透明性の高い樹脂で成形することが好ましい。
【0036】
次に、
図1及び
図8に基づき、毛細管6について説明する。毛細管6は毛細管現象を生じさせて血液等の液体試料を管内部に採取できる細管であり、内径が1mm程度、外径が1.8mm程度のものが好適に用いられる。毛細管6は、合成樹脂材料によるもの又はガラス材料のもの、いずれも用いることができる。また、毛細管6の内壁61aにはヘパリン又はEDTA等の血液抗凝固剤を塗布し、血液の凝結を防ぐための処理を施しておくことも可能である。
【0037】
本実施形態に係る毛細管6には、毛細管6の軸方向に対して分割可能とするためのノッチ62が設けられている。このノッチは、毛細管6の外壁61bに形成された切り欠きであり、全周方向に連続的に又は不連続に形成することも、周側面の一部に形成することも可能である。本実施形態においては、
図8に示すように、血液を採取した毛細管6に遠心分離処理を施した結果、血清成分又は血漿成分が分離される位置にノッチ62が形成されている。なお、ノッチ62の位置は所望の成分や所望の量に合わせて位置決めすることができ、ノッチ62の数も複数備えることができる。
【0038】
次に、
図5〜
図8に基づいて、本実施形態に係る毛細管封止具1及び微量試料採取器具100の使用方法について説明する。また、
図6及び
図7の各図で示される毛細管封止具1は、説明のために組み合わせ断面図として示しており、一点鎖線の上半分は
図2(a)のA−A線断面(
図3(a)に対応している)、一点鎖線の下半分は
図2(a)のB−B線断面(
図3(b)に対応している)を示している。なお、
図6及び
図7では、毛細管6は一部のみを示し、採血針Nは省略されている。
【0039】
図5に示すように、本実施形態に係る微量試料採取器具100を構成する毛細管封止具1及び毛細管6の使用手順は、毛細管6と毛細管封止具1を接続する工程S1、毛細管6により採血を行う工程S2、毛細管封止具1の棒状プラグ3を押し込みする工程S3、筒体2を取り外しする工程S4、棒状プラグ3で封止された毛細管6を遠心分離処理する工程S5、毛細管6をノッチ62部分で切断する工程S6、及び血清成分を得る工程S7とから一例として構成される。なお、既存の遠心分離装置には、毛細管封止具1の筒体2と棒状プラグ3とを分離させなくとも、毛細管6に毛細管封止具1全体を取り付けたまま遠心分離できるものもあるため、このような遠心分離装置を用いる場合には、筒体2を取り外しする工程S4は省略される。
【0040】
まず、
図6(a)に示すように、毛細管6と毛細管封止具1を準備する。毛細管6のもう一方の開放端部(図示せず)には、採血針N(図示せず)が取り付けられている。なお、採血針Nの取り付けは、毛細管6と毛細管封止具1の接続後に行うことも可能である。
【0041】
次に、
図6(b)に示すように、あらかじめ、毛細管6の開放端部61を毛細管封止具1の筒体2の開口部21に挿入して両者を接続する。このとき、筒体2の開口部21と同軸に毛細管6が挿入されるよう、筒体2の内壁21aに形成されているリブ片23が毛細管6の挿入方向を案内するため、棒状プラグ3の先端31及び接続時収容部32が毛細管6の管内にスムーズに収容される。また、棒状プラグ3においても、接続時収容部32に設けられたガイド部32aが毛細管6の内壁61aに当接しながら毛細管6の挿入方向を案内するため、毛細管6の管内に棒状プラグ3の接続時収容部32がスムーズに収容される。また、筒体2に設けられたリブ片23は毛細管6の外壁61bを外側から押圧支持して毛細管6の脱落を防いでいる。
【0042】
次に、
図6(c)に示すように、毛細管6の開放端部61を、毛細管封止具1の筒体2の係合部22の段部22aに突き当らせて係止させると、毛細管6と毛細管封止具1との接続が完了する。ここで重要であるのは、毛細管6と毛細管封止具1とを接続させた後に、毛細管6が毛細管現象の機能を失わないことである。毛細管現象の機能を失わないために、毛細管6の開放端部61は外気と連通している必要がある。
図6(c)に示すように、本実施形態における毛細管封止具1は、毛細管6内に毛細管封止具1の棒状プラグ3の接続時収容部32が収容された後においても、毛細管6の内壁61aと空気流通溝32bとの間に隙間を形成し、空気を流通させることを可能としている。また、毛細管6の開放端部61と段部22aとが当接していない部分には、係合部22の面との間に隙間が形成されるため、空気を流通させることができる。そして、その空気は筒体2の内部流路と棒状プラグ3との間に形成された環状の隙間5を通り、空気流通孔25と連通している。このように、毛細管6の開放端部61は毛細管封止具1と接続された後であっても外気と連通しているため、毛細管現象を有効に生じさせることができる。
【0043】
次に、
図6(d)に示すように、毛細管封止具1が取り付けられた毛細管6を用いて採血を行う。このとき、毛細管6の開放端部61は毛細管封止具1で覆われているので、採取した血液との不測の接触を可能な範囲で防ぐことができる。
【0044】
引き続き、
図7(a)に示すように、毛細管6による採血が完了後、採血針N(図示せず)を取り外す。なお、このとき、毛細管6内部に採取した血液Bが隙間5等を介して外部に漏れないよう、毛細管6及び毛細管封止具1の向きは、
図7(a)に示す通り、横向きで行うことが好ましい。
【0045】
次に、
図7(b)に示すように、毛細管封止具1の後端34を開口部21側に押し込みする。なお、押し込み操作は指又は治具で後端34を押して行われる。これにより、棒状プラグ3を筒体2の開口部21方向に移動させた際に、両者を連結していた薄肉部26が破断されて棒状プラグ3と筒体2とが分離されると共に、棒状プラグ3が毛細管6の管内に押し込まれ、毛細管3の内径に合った棒状プラグ3の外径部分である封止部33で封止される。このように、あらかじめ取り付けされている毛細管封止具1の棒状プラグ3の後端34を押し込みするだけで毛細管6を封止することができる。
【0046】
そして、
図7(b)の押し込み操作により筒体2が分離されているので、
図7(c)に示すように、毛細管封止具1の筒体2を取り除けば、棒状プラグ3で封止された毛細管6のみが得られる。
【0047】
図7(d)に示すように、棒状プラグ3は毛細管6の外径よりも小さいので、既存の遠心分離装置を用いて、棒状プラグ3で封止された毛細管6ごと遠心分離処理することが可能である。なお、既存の遠心分離装置には、毛細管封止具1の筒体2と棒状プラグ3とを分離させなくとも、毛細管6に毛細管封止具1全体を取り付けたまま遠心分離できる装置がある。このような遠心分離装置を用いる場合には、毛細管封止具1から筒体2を取り除く必要がなく、毛細管封止具1の棒状プラグ3の後端34を押し込みして毛細管6を封止した後、直ぐに遠心分離機にセットして遠心分離処理することができる。
【0048】
遠心分離処理された毛細管6は、
図8に示すように、血清成分Sと血球成分Rとに分離される。
図8に示すように、毛細管6をノッチ62部分で折り曲げることにより、毛細管6が容易に切断分離され、血清成分Sが得られる。
【0049】
次に、
図9を参照し、本発明の第二の実施形態について説明する。本発明の第二の実施形態に係る毛細管封止具10は、第一の実施形態に係る毛細管封止具1とは、筒体20の内壁201aに備えられたリブ片203の構成が異なり、外壁201bには鍔部がなく、棒状プラグ30の接続時収容部302の構成が異なっているほかは、第一の実施形態と同様の構成を備えている。なお、本実施形態において、第一の実施形態と同じ構成については、同じ参照符号を使用して説明する。
【0050】
図9に基づき、毛細管封止具10の筒体20について説明する。
図9に示すように、筒体20は、正面視側端部に開口部201を有し、背面視側端部に背面部208とスリット207と空気流通孔205とを有している。本実施形態における筒体20は、後側から前側に向かってやや拡径した円筒状に形成されており、それゆえ、筒体20は開口部201側に向かってやや径大となる円筒状に形成されている。また、筒体20は、その内部に空気を流通させるための流路を有しており、棒状プラグ30はこの流路内に配置されている。
【0051】
図9に示すように、筒体20の開口部201は、毛細管6の開放端部61を開口部201内に収容できるように形成されており、毛細管6の外壁61bを受け入れ可能な大きさに形成されている。本実施形態の筒体20の開口部201の内壁201aには、毛細管6の開放端部61の外壁61bを支持する凸部からなるリブ片203が周方向に沿って等間隔で4つ配置されている。これにより、毛細管6を筒体20の開口部201に挿入する際に、筒体20の開口部201と同軸に挿入されるようリブ片203が毛細管6の挿入方向を案内するため、毛細管6が筒体20の開口部201内にスムーズに収容される。また、このリブ片203は筒体20の開口部201に挿入された毛細管6の外壁61bを外側から押圧支持して毛細管6の脱落を防ぐ。本実施形態において、リブ片203の内周は、毛細管6の外周と略同じに形成されている。なお、リブ片203は、上述した作用効果を実現できる構造であればどのような構造としてもよく、配置位置や数も本実施形態のものに限定されない。
【0052】
また、棒状プラグ30について、
図9に基づき説明する。棒状プラグ30は、正面視側端部に先端301を有し、背面視側端部に後端304を有している。本実施形態における棒状プラグ30は略円柱状に形成されており、全体として、後端304から先端301に向かって外径が縮径するように形成されている。そして、先端301近傍には、毛細管6と毛細管封止具10とが接続された際に収容される部分である接続時収容部302を有しており、この接続時収容部302の後には毛細管6の内径と同程度の外径を有する封止部303を有している。
【0053】
図9に示すように、この棒状プラグ30は、筒体20の内部に筒体20と同軸に配置されており、棒状プラグ30の後端304は筒体20の後端から外部に延伸するように配置されている。また、棒状プラグ30の先端301は、筒体20の開口部201から外部に一部突出するように配置されている。棒状プラグ30の先端301が筒体20の開口部201から突出していることにより、毛細管6を筒体20の開口部201に挿入する際に、棒状プラグ30の先端301が毛細管6の管内部にきちんと収容されるように目視で確認しながら挿入することができる。
【0054】
また、
図9(c)及び(d)に示すように、棒状プラグ30の先端301近傍には、毛細管6と毛細管封止具10とが接続される際に収容される部分である接続時収容部302を有している。この接続時収容部302は、毛細管6の内壁61aよりも小径に形成されており、毛細管6の内壁61aとの間に隙間を形成させて空気を流通させる役割を有している。接続時収容部302の外径は、液体試料の液滴を筒体20の内部に入り込ませず、実質的に空気のみを流通させることができるよう設計されており、具体的には、接続時収容部302の外径は、毛細管6の内径61aよりも0.2〜0.4mm小さい直径となるように形成することが好ましい。接続時収容部302と毛細管6の内壁61aとの間の隙間は、筒体20の係合部202の段部202aを介して形成された隙間を通じて空気流通孔205と連通しており、それゆえ、毛細管6と毛細管封止具10とが接続した後であっても、毛細管6の内部の空気は筒体20の空気流通孔205と連通する。
【0055】
棒状プラグ30の接続時収容部302の後側にはテーパ部に引き続いて所定の軸太さを備えた封止部303を有している。封止部303の外径は毛細管6の内径と同程度に形成されており、そのため、毛細管6の開放端部61は棒状プラグ30により封止される。なお、毛細管6の内径のバラツキに対応できるようにするため、後端304から封止部303方向に向かって外径が徐々に縮径するように構成し、棒状プラグ30の押し込みによって使用する毛細管の内径に合った外径部分で封止されるようにすることが好ましい。また、封止される部分は封止部303に限らず、テーパ部で封止されてもよい。
【0056】
毛細管封止具10を構成する筒体20及び棒状プラグ30、並びに毛細管6についてのその他の説明は、上述した第一の実施形態の場合と同様であり、その機能や作用効果も同様である。
【0057】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱しない範囲内での種々、設計変更した形態も技術的範囲に含むものである。