特許第6754143号(P6754143)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6754143
(24)【登録日】2020年8月25日
(45)【発行日】2020年9月9日
(54)【発明の名称】塗膜転写具
(51)【国際特許分類】
   B43L 19/00 20060101AFI20200831BHJP
   B43M 11/06 20060101ALI20200831BHJP
【FI】
   B43L19/00 H
   B43M11/06
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-244699(P2018-244699)
(22)【出願日】2018年12月27日
(65)【公開番号】特開2020-104377(P2020-104377A)
(43)【公開日】2020年7月9日
【審査請求日】2020年5月1日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000134589
【氏名又は名称】株式会社トンボ鉛筆
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100087893
【弁理士】
【氏名又は名称】中馬 典嗣
(72)【発明者】
【氏名】田村 悠
【審査官】 藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−1095(JP,A)
【文献】 特開2017−136715(JP,A)
【文献】 特開2011−121203(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43L 19/00
B43M 11/06
B65H 37/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、前記ケースに対して着脱可能なカートリッジとを備える塗膜転写具であって、
前記カートリッジは、
塗膜が塗布された転写テープを供給する供給リールと、塗膜転写後の転写テープを巻き取る巻取リールとを有し、
前記ケースは、
前記カートリッジが着脱可能なケース部と、
前記供給リールと係合して前記供給リールとともに回転する供給リール側回転部と、
前記巻取リールと係合して前記巻取リールとともに回転し、前記供給リール側回転部から回転力が伝達される巻取リール側回転部と、
不使用時に、前記供給リール側回転部と係合して前記供給リール側回転部の回転を防止する供給リール回転防止部を有する、
塗膜転写具。
【請求項2】
不使用時に、前記巻取リール側回転部と係合して前記巻取リール側回転部の逆回転を防止する巻取リール逆回転防止部を有する、
請求項1に記載の塗膜転写具。
【請求項3】
前記転写テープを被転写面に押し付けて前記被転写面に沿って移動することにより、前記転写テープを前記供給リールから繰り出す転写ヘッドを備え、
前記不使用時が、被転写面への前記転写ヘッドの押圧解除時で、
使用時が、被転写面への前記転写ヘッドの押圧時である、
請求項1または2に記載の塗膜転写具。
【請求項4】
前記ケースは、
前記ケース部の内面に供給リール用支軸及び巻取リール用支軸が立設され、
前記供給リール用支軸の外側、及び/又は前記巻取リール用支軸の外側を延びる回転制御用板部材を備え、
前記供給リール回転防止部及び/又は巻取リール逆回転防止部は、前記回転制御用板部材に設けられている、
請求項1から3に記載の塗膜転写具。
【請求項5】
前記供給リール回転防止部は前記回転制御用板部材に設けられた供給リール用係止爪で、前記巻取リール逆回転防止部は前記回転制御用板部材に設けられた巻取リール用係止爪である、
請求項4に記載の塗膜転写具。
【請求項6】
前記回転制御用板部材は、前記ケースに設けられた回転軸を中心として回動可能に取り付けられ、
前記回転制御用板部材は前記ケースに対して、前記回転軸を中心とした一方の回転方向に、付勢部材により付勢されている、
請求項4または5に記載の塗膜転写具。
【請求項7】
前記カートリッジは、
前記転写テープを被転写面に押し付けて前記被転写面に沿って移動することにより、前記転写テープを前記供給リールから繰り出す転写ヘッドと、
前記供給リール及び前記巻取リールを保持し、ベース部と、前記ベース部から前記転写ヘッド側に延び、先端に前記転写ヘッドを保持する可撓性延在部と、を備えるカートリッジ筐体と、を備え、
前記可撓性延在部は、前記回転軸が挿通される軸穴を有し、
使用時において、前記転写ヘッドを前記被転写面に押し付けることにより前記可撓性延在部の先端が一方に移動すると、前記回転制御用板部材が前記軸穴を中心として他方に移動し、
前記供給リール側回転部と前記供給リール回転防止部との係合、及び/又は、
前記巻取リール逆回転防止部と前記巻取リール逆回転防止部との係合が解除される、
請求項6に記載の塗膜転写具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗膜転写具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、塗膜が塗布された転写テープを供給する供給リールと、塗膜転写後の転写テープを巻き取る巻取リールと、不使用時において供給リールの回転を防止する回転防止機構と、を有する塗膜転写具が存在する(特許文献1参照)。
一方、供給リールと巻取リールとを、ケースに対して着脱可能なカートリッジ式とした塗膜転写具が存在する(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−124131号公報
【特許文献2】特開2009−29051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の回転防止機構は、供給リールや巻取リールの回転を防止するものである。このため、カートリッジ式の塗膜転写具の場合、供給リールや巻取リールを備えるカートリッジ側に回転防止機構が設けられることとなる。しかし、回転防止機構をカートリッジ側に設けると、使い切りであるカートリッジの構成が複雑になり、コストがかさむ。
【0005】
本発明は、カートリッジのコスト削減が可能な塗膜転写具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下のものを提供する。
ケースと、前記ケースに対して着脱可能なカートリッジとを備える塗膜転写具であって、前記カートリッジは、塗膜が塗布された転写テープを供給する供給リールと、塗膜転写後の転写テープを巻き取る巻取リールとを有し、前記ケースは、前記カートリッジが着脱可能なケース部と、前記供給リールと係合して前記供給リールとともに回転する供給リール側回転部と、前記巻取リールと係合して前記巻取リールとともに回転し、前記供給リール側回転部から回転力が伝達される巻取リール側回転部と、不使用時に、前記供給リール側回転部と係合して前記供給リール側回転部の回転を防止する供給リール回転防止部を有する、塗膜転写具。
【0007】
不使用時に、前記巻取リール側回転部と係合して前記巻取リール側回転部の逆回転を防止する巻取リール逆回転防止部を有してもよい。
【0008】
前記ケースまたは前記カートリッジのいずれか一方に、前記転写テープを被転写面に押し付けて前記被転写面に沿って移動することにより、前記転写テープを前記供給リールから繰り出す転写ヘッドを備え、前記不使用時が、被転写面への前記転写ヘッドの押圧解除時で、使用時が、被転写面への前記転写ヘッドの押圧時であってもよい。
【0009】
前記ケースは、前記ケース部の内面に供給リール用支軸及び巻取リール用支軸が立設され、前記供給リール用支軸の外側、及び/又は前記巻取リール用支軸の外側を延びる回転制御用板部材を備え、前記供給リール回転防止部及び/又は巻取リール逆回転防止部は、前記回転制御用板部材に設けられていることが好ましい。
【0010】
前記供給リール回転防止部は前記回転制御用板部材に設けられた供給リール用係止爪で、前記巻取リール逆回転防止部は前記回転制御用板部材に設けられた巻取リール用係止爪であることが好ましい。
【0011】
前記回転制御用板部材は、前記ケースに設けられた回転軸を中心として回動可能に取り付けられ、前記回転制御用板部材は前記ケースに対して、前記回転軸を中心とした一方の回転方向に、付勢部材により付勢されていることが好ましい。
【0012】
前記カートリッジは、前記転写テープを被転写面に押し付けて前記被転写面に沿って移動することにより、前記転写テープを前記供給リールから繰り出す転写ヘッドと、前記供給リール及び前記巻取リールを保持し、ベース部と、前記ベース部から前記転写ヘッド側に延び、先端に前記転写ヘッドを保持する可撓性延在部と、を備えるカートリッジ筐体と、を備え、前記可撓性延在部は、前記回転軸が挿通される軸穴を有し、使用時において、前記転写ヘッドを前記被転写面に押し付けることにより前記可撓性延在部の先端が一方に移動すると、前記回転制御用板部材が前記軸穴を中心として他方に移動し、前記供給リール側回転部と前記供給リール回転防止部との係合、及び/又は、前記巻取リール逆回転防止部と前記巻取リール逆回転防止部との係合が解除されることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、カートリッジのコスト削減が可能な塗膜転写具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】塗膜転写具1の斜視図である。
図2】カートリッジ200の斜視図である。
図3】塗膜転写具1の分解斜視図である。
図4】塗膜転写具1を図3と逆方向から見た分解斜視図である。
図5】第1ケース部2Rを左側から見た図である。
図6】第1ケース部2Rを上側から見た図である。
図7】第2ケース部2Lを右側から見た図である。
図8】第2ケース部2Lを下側から見た図である。
図9】回転制御板40を右側から見た図であり、回転力伝達機構50も示す。
図10】塗膜転写具1の使用時の状態を説明する図である。
図11】第1ケース部2Rの上面を開く動作を説明する図である。
図12】第1ケース部2Rの上面を開いて第2ケース部2Lを回転したときの塗膜転写具1を斜め後方から見た図である。
図13図12の状態よりもさらに第2ケース部2Lと第1ケース部2Rとを相対回転させた状態を、図11と同様の角度から見た図である。
図14図12の状態よりもさらに第2ケース部2Lと第1ケース部2Rとを相対回転させた状態を、図12と同様の角度から見た図である。
図15】使用者が、カートリッジ200を交換する状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態の塗膜転写具1を図面に基づいて説明する。以下、使用時に使用者が塗膜転写具1を手に持った時の左右、前後、上下を明細書中においても左右、前後、上下として説明する。
図1は実施形態の塗膜転写具1の斜視図である。塗膜転写具1は、ケース部2の前側に設けられた開口部2aから突出した転写ヘッド5を下方の被転写面(図示せず)に押し付けて、後方に移動させることにより、塗膜を被転写面に転写するものである。
【0016】
塗膜転写具1は、ケース100と、ケース100の内部に配置され、ケース100に対して着脱可能なカートリッジ200とを備える。図2はカートリッジ200の斜視図である。塗膜転写具1は、使用済のカートリッジ200を、新たなカートリッジ200に交換して使用することが可能である。
図3は、塗膜転写具1の分解斜視図である。図4は、塗膜転写具1を図3と逆方向から見た分解斜視図である。
【0017】
(ケース100)
ケース100は、それぞれが略楕円形の左右一対の第1ケース部2Rと第2ケース部2Lとを有するケース部2と、回転力伝達機構50と、回転制御板40とを備える。
【0018】
(第1ケース部2R)
図5及び図6は第1ケース部2Rを示す図で、図5は第1ケース部2Rを図6に矢印で示す左側から見た図、図6は第1ケース部2Rを図5に矢印で示す上側から見た図である。
第1ケース部2Rの左面には、前側から順に、開閉蓋取付部20、回転軸21、バネかけ部22、先端部に外径側に突出した係止部23aが設けられた巻取リール用支軸23、先端部に外径側に突出した係止部24aが設けられた供給リール用支軸24、揺動範囲制限軸25が設けられている。
【0019】
第1ケース部2Rの外周の開口部2a以外の部分は、位置によって高さの異なる壁部が設けられている。壁部は、下壁部29b、後壁部29a及び上壁部29cを備える。下壁部29bは、直線部29baと、開閉爪29bbとを備える。
【0020】
後壁部29aと上壁部29cとの間の角部(第1ケース部2Rの壁部のうちの後上側部分)には、窪み26と、後壁部29aと直線部29baとの間に窪み27が設けられている。
2つの窪み26、27は、それぞれ互いに直交する2つの平面によって形成されている。窪み26の平面26aと窪み27の平面27aとは互いに平行である。窪み26の平面26bと、窪み27の平面27bとは互いに同一平面上にある。互いに平行な平面26aと平面27aとには、係合突起26c、27cが設けられている。
【0021】
図5に示すように上下前後方向の平面において、窪み26の係合突起26cと窪み27の係合突起27cとを結ぶ直線L1と、塗膜転写具1の長手方向に延びる巻取リール用支軸23と供給リール用支軸24とを結ぶ直線L2との間の角度θは、20度から50度であり、実施形態では22.5度である。
なお、本明細書において長手方向とは、ケースの前後方向と上下方向のうち長い方であり、実施形態においては、図示するように巻取リール用支軸23と供給リール用支軸24とを結ぶ直線の方向である。ただし、これに限らず、例えば、下壁部29bの直線部29ba(塗膜転写具1の使用時において下側となる側面)の延びる方向を長手方向としてもよい。
【0022】
また、図6に示すように前後左右方向の平面において、窪み26の係合突起26cは、第1ケース部2Rの外面(右面)から左方向の距離をx、第1ケース部2Rと第2ケース部2Lとを組み合わせてケース部2としたときの第1ケース部2Rと第2ケース部2Lとの外面上での境界線L3からの右方向の距離をy、としたときに、y>xである。なお、図6には図示しないが、窪み27の係合突起27cも同様である。
【0023】
開閉蓋取付部20は、左右に延びる円柱状で、この開閉蓋取付部20には、塗膜転写具1の転写ヘッド5の下面側を覆う開閉蓋8が取り付けられる。
【0024】
(第2ケース部2L)
図7及び図8は第2ケース部2Lを示す図で、図7は第2ケース部2Lを図8に矢印で示す右側から見た図である。図8は第2ケース部2Lを図7に矢印で示す下側から見た図である。
第2ケース部2Lの右面には、前側から、回転軸受け部31、巻取リール用保持部33と、供給リール用保持部34とが、それぞれ第1ケース部2Rの回転軸21と、巻取リール用支軸23と、供給リール用支軸24とに対応する位置に設けられている。
【0025】
第2ケース部2Lの内面における、第1ケース部2Rに設けられた2つの窪み26、27に対応する位置には、右方向に延びるアーム部36、37が設けられている。アーム部36、37には、それぞれ長さ方向と直交する方向に貫通し、係合突起26c、27cが挿入される被係合穴36c、37cが設けられている。
【0026】
図7に示すように上下前後方向の平面において、アーム部36とアーム部37を結ぶ直線M1と、第2ケース部2Lの巻取リール用保持部33と供給リール用保持部34とを結ぶ直線M2との間の角度は、上述した、窪み26の係合突起26cと窪み27の係合突起27cとを結ぶ直線L1と、下壁部29bの直線部29baが沿う直線L2との間の角度θと等しく、20度から50度であり、実施形態では22.5度である。
【0027】
図8に示すように前後左右方向の平面において、アーム部36に設けられた被係合穴36cとアーム部37に設けられた被係合穴37cとは、第1ケース部2Rと第2ケース部2Lとを組み合わせてケース部2としたときの第1ケース部2Rと第2ケース部2Lとの境界線L3からの右方向の距離yに設けられている。
なお、第1ケース部2Rと第2ケース部2Lとの境界線L3とは、本明細書において、第1ケース部2Rと第2ケース部2Lとを組み合わせたときの、外側から見たときの境界線L3をいう。
【0028】
また、第1ケース部2Rの下壁部29bの開閉爪29bbに対応する位置に、開閉爪29bbと係合する開閉爪係合部39bbが設けられている。
【0029】
第1ケース部2Rと第2ケース部2Lとを組み立ててケース部2としたときに、窪み26の係合突起26cに、アーム部36に設けられた被係合穴36cが嵌り、窪み27の係合突起27cに、アーム部37に設けられた被係合穴37cが嵌った状態で、開閉爪29bbと開閉爪係合部39bbが嵌り、第1ケース部2Rと第2ケース部2Lとが組み合わされる。
【0030】
(回転制御板40)
図9は回転制御板40を右側から見た図であり、回転力伝達機構50も示す。回転制御板40は、図3、4に示すように第1ケース部2Rの左側に配置され、回転力伝達機構50に対する回転力の伝達を制御する板部材である。回転制御板40には、前側から、軸穴41、バネかけ部46、巻取リール用開口部42、供給リール用開口部43、回転範囲制限穴44が設けられている。
【0031】
図4に示すように、軸穴41が設けられている部分の左面には、左側に延びる筒部45が延びている。筒部45の外周には、筒部45の長さ方向の全体にわたって径方向外側且つ後方に延びる突部45aが設けられている。
【0032】
バネかけ部46には、つる巻バネ7の一端が取り付けられている。つる巻バネ7の他端は、第1ケース部2Rのバネかけ部22に取り付けられている。つる巻きバネ7は、回転制御板40を軸穴41を中心として上側に回転する方向に付勢している。
【0033】
巻取リール用開口部42の内周における、後下側の縁部から前側に弾性変形可能なアーム42aが延びている。アーム42aの先端には、上側にわずかに突出するとともに、先端が尖った巻取リール逆回転防止爪42bが設けられている。巻取リール逆回転防止爪42bは、塗膜転写具1の不使用時には、つる巻バネ7が回転制御板40を上側に付勢することによって、後述の巻取リール側回転部57のラチェット状の歯が設けられた第1ギア57aに係合している。
【0034】
供給リール用開口部43の内周における、下側の縁部には、内側に突出する供給リール回転防止爪43aが、内方に向って設けられている。供給リール回転防止爪43aは、供給リール4の回転を制止するための回転制止部であり、塗膜転写具1の不使用時には、つる巻きバネ7が回転制御板40を上側に付勢することによって、後述の回転制御ギア51のギア歯に係合している。
【0035】
回転範囲制限穴44は、軸穴41を中心とした周方向に延びる長穴で、この回転範囲制限穴44には、第1ケース部2Rに設けられた揺動範囲制限軸25が挿通されている。塗膜転写具1の不使用時には、つる巻きバネ7が回転制御板40を上側に付勢することによって、揺動範囲制限軸25は回転範囲制限穴44の内周の下側と当接している。
【0036】
(回転力伝達機構50)
回転力伝達機構50は、供給リール係合ギア55、圧縮スプリング54、環状のスペーサ53、供給リール用ギア52、及び回転制御ギア51を有する供給リール側回転部50Aと、回転力伝達ギア56と、巻取リール側回転部57とを備える。
【0037】
供給リール係合ギア55は、一端(右側)に、外径側に突出した係止部55a、他端(左側)にギア部55cが設けられた筒状の回転軸55bを備える環状部材で、供給リール用支軸24に外嵌され、供給リール用支軸24の係止部24aによって抜け止めされている。
回転軸55bには、右側から回転制御ギア51、供給リール用ギア52、環状のスペーサ53、圧縮スプリング54が順次外嵌され、右端である回転制御ギア51が係止部55aにより抜け止めされている。
【0038】
ギア部55cには、供給リール4(後述のリブ状係止部4a)が係合され、これにより、供給リール4と供給リール係合ギア55cとは一体的に回転する。
スペーサ53及び回転制御ギア51の内周には、平面が設けられており、供給リール係合ギア55の回転軸55bの外周に設けられた平面と係合することで、供給リール係合ギア55とスペーサ53と回転制御ギア51とは相対回転せず、一体となって回転する。
【0039】
さらに、供給リール係合ギア55のギア部55cとスペーサ53cとの間に挟まれた圧縮スプリング54も一体となって回転する。供給リール係合ギア55は、供給リール用支軸24に対して回転可能に保持されている。一方、スペーサ53と回転制御ギア51との間に配置された供給リール用ギア52は、圧縮スプリング54の押圧力によって、スペーサ53と回転制御ギア51とに対して摩擦力で挟持されている。
【0040】
これにより、塗膜の転写作業により、後述する供給リール4に巻かれた転写テープ4Tが繰出されると、供給リール4の回転力は、供給リール係合ギア55を通じてスペーサ53及び回転制御ギア51に伝達され、スペーサ53の側面と供給リール用ギア52の側面との間、回転制御ギア51の側面と供給リール用ギア52の側面との間に生ずる摩擦力によって、供給リール用ギア52に伝達される。
【0041】
巻取リール側回転部57は、第1ケース部2Rに立設された巻取リール用支軸23に外嵌され、巻取リール用支軸23の係止部23aによって抜け止めされている。
巻取リール側回転部57は、右側の端部から、第1ギア57a、第1ギアより大径の第2ギア57b及び第2ギア57bから左側に延びる円筒部57cを備える。
円筒部57cの外周には、長さ方向に延びる複数の係合突部57dが周方向に均等な間隔で設けられている。
【0042】
第2ギア57bと供給リール用ギア52との間には回転力伝達ギア56が配置され、供給リール用ギア52の回転が、回転力伝達ギア56を介して第2ギア57bが設けられた巻取リール側回転部57に伝達される。
【0043】
(カートリッジ200)
カートリッジ200は、図3及び図4に示すように、左右一対の第1カートリッジ筐体3Rと第2カートリッジ筐体3Lとからなるカートリッジ筐体3と、第1カートリッジ筐体3Rと第2カートリッジ筐体3Lとの間に配置された、供給リール4と、転写ヘッド5と、巻取リール6とを備える。
【0044】
(供給リール4)
供給リール4は、外周に転写テープ4Tが巻かれているリールで、供給リール用支軸24に供給リール係合ギア55を介して枢支されている。
供給リール4の内周面には、内周方向に突出したリブ状係止部4aが等間隔で複数設けられている。リブ状係止部4aは、上述の供給リール係合ギア55のギア部55cと係合している。
【0045】
(巻取リール6)
巻取リール6は、転写済みの転写テープ4Tを巻き取るリールで、第1ケース部2Rに立設された巻取リール用支軸23に巻取リール側回転部57を介して枢支されている。
巻取リール6の内周面には、内周方向に突出したリブ状係止部6aが互いに等間隔で複数設けられている。リブ状係止部6aは、上述の巻取リール側回転部57の係合突部57dと係合し、巻取リール6は巻取リール側回転部57とともに回転する。
【0046】
(転写ヘッド5)
転写ヘッド5は、供給リール4から引出される転写テープ4Tを被転写面に転写する部分で、後部に、後述する第2カートリッジ筐体3Lに設けられた転写ヘッド保持軸61が挿入される穴部5aが設けられている。穴部5aに転写ヘッド保持軸61を挿入することで、転写ヘッド5は転写ヘッド保持軸61を中心として揺動可能に保持される。
【0047】
(第2カートリッジ筐体3L)
第2カートリッジ筐体3Lは、ベース部60Bと、ベース部60Bよりも前側に延びる可撓性延在部60Aとを備える。可撓性延在部60Aは、転写ヘッド保持軸61及び軸穴62を備える。
軸穴62には回転制御板40の筒部45が挿入される。筒部45には上述のように外周に突部45aが設けられているため、軸穴62の断面にも、円形穴の一部が径方向外側に広がった突部係合穴62aが設けられている。
この突部係合穴62aに突部45aがはめ込まれることにより回転制御板40と可撓性延在部60Aが設けられた第2カートリッジ筐体3Lとの相対回転が防止される。
【0048】
転写ヘッド保持軸61は、上述のように転写ヘッド5の穴部5aに挿し込まれることにより、転写ヘッド5が転写ヘッド保持軸61を中心として揺動可能に保持される。
第2カートリッジ筐体3Lの可撓性延在部60Aより後ろ側の右面には円筒部63a、63b、63c、63d、63eが右側に向って立設されている。
また、第2カートリッジ筐体3Lの可撓性延在部60Aより後ろ側には、第2巻取側開口64、第2供給側開口65が設けられている。巻取リール6は、第2巻取側開口64と同軸に保持され、供給リール4は第2供給側開口65と同軸に保持される。
【0049】
(第1カートリッジ筐体3R)
第1カートリッジ筐体3Rには、円筒部63a、63b、63c、63d、63eがそれぞれ係合する支柱71a、71b、71c、71d、71eが立設されている。
第1カートリッジ筐体3Rと、第2カートリッジ筐体3Lとを対向させて、互いに近接する方向に押圧すると、円筒部63a、63b、63cがそれぞれ支柱71a、71b、71c、71d、71eと係合して、第1カートリッジ筐体3R、第2カートリッジ筐体3Lが連結されてカートリッジ筐体3が形成される。
第1カートリッジ筐体3Rには、第1巻取側開口74、第1供給側開口75が設けられている。第1カートリッジ筐体3R、第2カートリッジ筐体3Lが連結されると、第1巻取側開口74は、第2巻取側開口64と同位置に設けられ、第1供給側開口75は、第2供給側開口65と同位置となる。
【0050】
塗膜転写具1は、ケース100にカートリッジ200が挿入された状態で、回転力伝達機構50の圧縮スプリング54、スペーサ53が外装された、供給リール係合ギア55が、第1供給側開口75より供給リール4内に挿入される。そうすると、供給リール4のリブ状係止部4aと供給リール係合ギア55のギア部55cとが係合し、一体的に回転可能となる。
また、巻取リール側回転部57が第1巻取側開口74より巻取リール6内に挿入される。そうすると、巻取リール6のリブ状係止部6aと巻取リール側回転部57の係合突部57dとが係合し、一体的に回転可能となる。
【0051】
(不使用時)
塗膜転写具1の不使用時においては、図9に示すように、つる巻バネ7が回転制御板40を上側に付勢している。したがって、巻取リール逆回転防止爪42bは巻取リール側回転部57の第1ギア57aと噛み合っている。このため、巻取リール側回転部57は逆回転できず、巻取リール6は逆回転することができない。なお、正回転は可能であるが多少の抵抗がある。
また、供給リール回転防止爪43aが回転制御ギア51と係合している。したがって、スペーサ53、圧縮スプリング54、供給リール係合ギア55及び供給リール4は回転することができない。巻取りリール6の逆回転および供給リール4の回転を防止していることで、輸送時等に転写テープ4Tがたるむことを防止できる。
【0052】
転写テープ4Tにたるみが生じた場合、筆記具のペン先等の細い棒状なものを使用して、第1ケース部2Rに開けられた円弧状の貫通穴および供給リール用開口部43を通して、供給リール用ギア52に円周状に設けられた複数の円形状の凹みに係合させて第1ケース部2Rに記された矢印の方向に供給リール用ギア52を回転させることにより、回転力伝達ギア56を介して巻取リール側回転部57に回転力が伝わる。巻取リール側回転部57は、ラチェット状の歯とアーム42aとの係合により、アーム42aが弾性変形して回転し、巻取リール側回転部57と係合する巻取りリール6が回転する。一方、回転制御ギア51と供給リール回転防止爪43aが係合した状態であるため供給リール係合ギア55および供給リール4は回転しない。これにより、転写テープ4Tのたるみを取ることが出来る。
【0053】
回転制御ギア51は、外周に歯を設けた形状とすることで、その歯と係合する供給リール回転防止爪43aを回転制御板40の板厚のまま係合可能な構造とすることができるので、左右方向の厚みを抑えることが可能となる。このような構造とすることは、カートリッジ構造に限定されるわけではなく、使い切りタイプの塗膜転写具にも適用できることである。
なお、本実施形態と異なり、内周に歯を設けた回転制御ギアの場合には、回転制御板に突起を設けた係止爪とする必要があるため、左右方向の厚みが出てしまう。
【0054】
(塗膜転写時)
図10は、塗膜転写具1の使用時の状態を説明する図である。使用時においては、転写ヘッド5が被転写面Sに押圧されると、可撓性延在部60Aは、ベース部60Bに対して、図10に示すように上側に弾性的に撓む。そうすると、突部係合穴62aと突部45aとの係合により、可撓性延在部60Aとともに、回転制御板40は筒部45を中心として、筒部45より後部がわずかに下側に回転する。
図10の点線は、回転後の回転制御板40を示す。回転制御板40の回転角度は、揺動範囲制限軸25が挿入された長穴である回転範囲制限穴44の長さによって定まる。
回転制御板40が回転して図10に示す矢印の方向に移動すると、巻取リール逆回転防止爪42bと巻取リール側回転部57の第1ギア57aとの噛合が解除されるとともに、供給リール回転防止爪43aと回転制御ギア51との係合も解除され、供給リール用ギア52、スペーサ53、圧縮スプリング54、供給リール係合ギア55及び供給リール4は回転可能となる。
このとき、巻取リール側回転部57は、巻取リール逆回転防止爪42bと巻取リール側回転部57の第1ギア57aとの噛合が解除されることにより、回転抵抗のない状態で回転可能となるため、軽い力で転写可能になるとともに、ラチェット音も発生しない。
【0055】
転写作業により、転写テープ4Tが繰出されると、供給リール4が回転する。供給リール4が回転すると、供給リール係合ギア55が回転する。供給リール係合ギア55が回転すると、圧縮スプリング54、スペーサ53、供給リール用ギア52が回転する。
供給リール用ギア52が回転すると、その回転力は、回転力伝達ギア56を介して、巻取リール側回転部57へと伝達され、係合突部57dとリブ状係止部6aとの係合により、巻取リール6が回転する。
これによって、供給リール4からの転写テープ4Tの繰り出しと同期して、巻取リール6による使用済みの転写テープ4Tの巻き取りが行われる。
転写ヘッド5を被転写面Sから引き上げると同時に、つる巻バネ7が回転制御板40を上側に付勢することにより、供給リール回転防止爪43aと回転制御ギア51とが係合し、供給リール4の回転が停止される。これにより、転写テープ4Tの切断を良好にし、塗膜の糸引きが防止される。塗膜を切断するために摩擦力を必要としないため摩擦力を低く設定することで、軽い力での転写が可能となる。
【0056】
(交換動作時)
図11は、第1ケース部2Rの上面を開く動作を説明する図である。図11(a)の状態で、第1ケース部2Rの側面に設けられた開閉爪29bbを押圧すると、開閉爪29bbと第2ケース部2Lの開閉爪係合部39bbとの係合が解除される。
この状態で、図11(b)に示すように第2ケース部2Lの前側を持ち上げると、軸線(直線)L1、M1を中心として、第2ケース部2Lが第1ケース部2Rに対して矢印方向に回転する。
【0057】
図12は第1ケース部2Rの上面を開いて、図11(b)の状態からさらに第2ケース部2Lを回転したときの塗膜転写具1を斜め後方から見た図であり、第1ケース部2Rと第2ケース部2Lとの位置関係を示した図である。
図示するように、実施形態において、アーム部37の、閉じた状態での第1ケース部2Rにおける第2ケース部2Lとの境界となる直線L3からの長さyは、窪み27の係合突起27cの、第1ケース部2Rの外面(右面)から左方向の距離xより大きい(アーム部36と窪み26の係合突起26cとの関係も同様)。
すなわち、アーム部37が十分長いので、第2ケース部2Lを回転したときに、第2ケース部2Lの側面が第1ケース部2Rの側面とぶつからず、図12に示すように、第2ケース部2Lは、第1ケース部2Rの底面(外面、右面)よりもさらに右側(図12において下側)まで回転可能である。
ケース開閉において、第1ケース部2Rは、第2ケース部2Lのアーム部36、37に対応する窪み26、27を設けるだけで良く、ケースを大きく開くことができるとともにケースの外観デザインのよい構造とすることができる。
【0058】
図12の状態で、第2ケース部2Lの上面を平坦面上に配置すると、第1ケース部2Rの上辺側の、係合突起27c(及び係合突起26c)の部分が、アーム部37(アーム部36)によって保持されるので、第1ケース部2Rの上辺側の浮き上がり、第1ケース部2Rの上辺側の前端部が平坦面に接した、一部浮き上がり状態となる。
図13は、この一部浮き上がり状態を図11と同様の角度から見た図である。図14は、一部浮き上がり状態を、図12と同様の角度から見た図である。
【0059】
換言すると、本実施形態は、ケース100と、ケース100に対して着脱可能なカートリッジ200とを備える塗膜転写具1であって、カートリッジ200は、塗膜が塗布された転写テープ4Tを供給する供給リール4、及び、塗膜を転写後の転写テープ4Tを巻き取る巻取リール6を有し、ケース100は、一面が開口した有底箱型の第1ケース部2R、及び、第1ケース部2Rの一面を覆う閉状態から、塗膜転写具1の軸線L1、M1を中心として回転することにより、第1ケース部2Rの一面を開放する開状態となることが可能な第2ケース部2Lとを有し、第2ケース部2Lの少なくとも一部は、開状態において、第1ケース部2Rの底面に対して、一面と逆側の低い位置に配置可能である。
したがって開状態で塗膜転写具1を平坦面に配置すると、第2ケース部2Lは、平坦面上に平坦面と平行に配置され、第1ケース部2Rは、係合部26c、27cが設けられている部分が、平坦面から浮いて平坦面に対して傾いた一部浮き上がり状態となる。
【0060】
この一部浮き上がり状態においてカートリッジ200が内部に保持された第1ケース部2Rは、平坦面に対して斜めになる。すなわち、開閉爪29bbが設けられた側に使用者が存在するのが一般的であるので、第1ケース部2Rは、使用者側を向くように傾く。
ゆえに、図15に示すように、使用者は、カートリッジ200を交換する際に、カートリッジ200を取り出しやすくなる。
【0061】
また、使用者は、カートリッジ200を交換する際に、まず、塗膜転写具1を、図11(a)に示すように、右面を下にして机上に置く。
そして、使用者の手前側となる塗膜転写具1の下面の前側に設けられた開閉爪29bbを押圧して、第2ケース部2Lの前側を持って第1ケース部2Rに対して開こうとする。
【0062】
ここで、比較例として、第2ケース部2Lが塗膜転写具1の後辺に沿って設けられた軸、すなわち、塗膜転写具の長手方向に対する角度θが略90度である軸を中心として回転して開く場合、第2ケース部2Lの前端を持ち上げ、前端を後側に向けて開けるのが正しい開け方である。しかし、第2ケース部2Lの前端を持ち上げ、手前側の側辺を奥側に開くと考える使用者もいる。
また、別の比較例として、第2ケース部2Lが塗膜転写具1の側辺に沿って設けられた軸、すなわち、塗膜転写具の長手方向に対する角度θが略0度である軸を中心として回転して開く場合、第2ケース部2Lの前端を持ち上げ、手前側の側辺を奥側に開けるのが正しい開け方である。しかし、第2ケース部2Lの前端を持ち上げ、前端を後側に向けて開くと考える使用者もいる。
このような場合、いずれも第2ケース部2Lが思う方向に開かないので、塗膜転写具1を開く動作に手間取り、操作性が悪いと感じる。
【0063】
しかし、実施形態の塗膜転写具1は、第2ケース部2Lを、第1ケース部2Rの後上部の角部における長手方向に対して斜めに設けられた軸線L1、M1を中心として回転させる。
【0064】
すなわち、第2ケース部2Lの前端を持ち上げ、塗膜転写具1の後辺に沿った軸を中心として前端を後側に向けて開こうとした場合であっても、第2ケース部2Lの前端を持ち上げ、塗膜転写具1の側辺に沿って設けられた軸を中心として、手前側の側辺を奥側に開こうとした場合であっても、第2ケース部2Lを開くことができる。したがって、塗膜転写具1を開く動作に手間取ることがなく、操作性が向上する。
【0065】
また、本実施形態の塗膜転写具1は、ケース100に収納されたカートリッジ200を交換可能である。
そして、カートリッジ200は、塗膜が塗布された転写テープ4Tを供給する供給リール4と、塗膜転写後の転写テープ4Tを巻き取る巻取リール6と、を備える。
ケース100は、カートリッジ200が着脱可能なケース部2と、供給リール4と係合して供給リール4とともに回転する供給リール側回転部50Aと、巻取リール6と係合して巻取リール6とともに回転する巻取リール側回転部57と、供給リール側回転部50Aと巻取リール側回転部57との間に設けられた回転力伝達ギア(回転力伝達部)56と、不使用時に、供給リール側回転部50Aと係合して供給リール側回転部50Aの回転を防止する供給リール回転防止爪(供給リール回転防止部)43aと、巻取リール側回転部57と係合しての巻取リール側回転部57の逆回転を防止する巻取リール逆回転防止爪(巻取リール逆回転防止部)42bと、を備える。
【0066】
すなわち、供給リール4や巻取リール6の回転防止機構がケース100側に設けられている。したがって、カートリッジ200にこれらの回転防止機構を設ける必要がないので、カートリッジ200の構成部材が少ない。したがって、使い切り部分であるカートリッジ200を安価に製造可能である。また、カートリッジ200のサイズを小さくすることができる。
【0067】
ケース部2の内面に供給リール用支軸24、巻取リール用支軸23が立設されている。また、ケース部2の内部に供給リール用支軸24が貫通する供給リール用開口部43と、巻取リール用支軸23が貫通する巻取リール用開口部42とが設けられた回転制御板40が配置されている。
そして、回転制御板40は、供給リール用開口部43の外周から延びる供給リール回転防止爪43aを有し、巻取リール用開口部42の外周から延びる巻取リール逆回転防止爪42bを有する。
このように、供給リール回転防止部としての供給リール回転防止爪43a、及び、巻取リール逆回転防止部としての巻取リール逆回転防止爪42bとを、単一の回転制御板40に設けたので、部品点数を削減することができる。
回転制御板40には、供給リール側回転部50Aと巻取リール側回転部57のうち回転防止させる部品に応じて供給リール回転制御部43aと巻取りリール回転防止部42bのいずれか一方のみが形成されていてもよい。
【0068】
回転制御板40は、ケース100に設けられた回転軸21が挿通される筒部45を有し、回転軸21を中心として回転可能に取り付けられ、回転制御板40はケース100に対して、回転軸21を中心とした一方の回転方向に、つる巻バネ(付勢部材)7により付勢されている。
このように、つる巻バネ(付勢部材)7もケース100側に設けることができるので、カートリッジ200をより安価且つ小型化することができる。
【0069】
第2カートリッジ筐体3Lは、ベース部60Bと、ベース部60Bから転写ヘッド5側に延び、先端に転写ヘッド5を保持する転写ヘッド保持軸(転写ヘッド保持部)61が設けられた可撓性延在部60Aを備える。
そして、可撓性延在部60Aは、回転制御板40の筒部45が挿通される軸穴62を有し、使用時において、転写ヘッド5を被転写面に押し付けることにより可撓性延在部60Aの先端が一方に移動すると、回転制御板40が軸穴62を中心として他方に移動する。
この移動によって供給リール側回転部50Aと供給リール回転防止爪43aとの係合及び、巻取リール逆回転防止爪(巻取リール逆回転防止部)42bと巻取リール側回転部57との係合が解除される。
【0070】
このように、可撓性延在部60Aを設けたことにより、被転写面に押し付ける際の転写ヘッド5の移動を許容しつつ、転写ヘッド5のガタつきも防止することができる。
【0071】
実施形態では供給リール側回転部50Aと巻取リール側回転部57との間の回転力伝達のために回転力伝達ギア56を設けたが、これに限らず、回転力伝達ギア56を設けず、巻取リール側回転部57が供給リール側回転部50Aから直接回転力を伝達される構造であってもよい。
【0072】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、これに限定されず、種々の変更が可能である。例えば、上述した左右は、逆であってもよい。また、逆転防止機構は、巻取リールと同軸に設けてもよい。
実施形態では、転写ヘッドを可撓性延在部と別体としたが、可撓性延在部と転写ヘッドを一体(一部品)にしてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1:塗膜転写具
2:ケース部、2L:第2ケース部、2R:第1ケース部、2a:開口部
3:カートリッジ筐体、3L:第2カートリッジ筐体、3R:第1カートリッジ筐体
4:供給リール、4T:転写テープ、4a:リブ状係止部
5:転写ヘッド、5a:穴部
6:巻取リール、6a:リブ状係止部
7:つる巻バネ(付勢部材)、8:開閉蓋
20:開閉蓋取付部、21:回転軸、22:バネかけ部、23:巻取リール用支軸、23a:係止部、24:供給リール用支軸、24a:係止部、25:揺動範囲制限軸、26:窪み、26a:平面、26b:平面、26c:係合突起(係合部)、27:窪み、27a:平面、27b:平面、27c:係合突起(係合部)、29a:後壁部、29b:下壁部、29ba:直線部、29bb:開閉爪、29c:上壁部
31:回転軸受け部、33:巻取リール用保持部、34:供給リール用保持部、36:アーム部、36c:被係合穴、37:アーム部、37c:被係合穴、39bb:開閉爪係合部
40:回転制御板(回転制御用板部材)、41:軸穴、42:巻取リール用開口部、42a:アーム、42b:巻取リール逆回転防止爪(巻取リール逆回転防止部)、43:供給リール用開口部、43a:供給リール回転防止爪(供給リール回転防止部)、44:回転範囲制限穴、45:筒部、45a:突部、46:バネかけ部
50:回転力伝達機構、50A:供給リール側回転部、51:回転制御ギア、52:供給リール用ギア、53:スペーサ、54:圧縮スプリング、55:供給リール係合ギア、55a:係止部、55b:回転軸、55c:ギア部、56:回転力伝達ギア、57:巻取リール側回転部、57a:第1ギア、57b:第2ギア、57c:円筒部、57d:係合突部
60A:可撓性延在部、60B:ベース部、61:転写ヘッド保持軸(転写ヘッド保持部)、62:軸穴、64:第2巻取側開口、65:第2供給側開口、74:第1巻取側開口、75:第1供給側開口
100:ケース、200:カートリッジ
図1
図2
図3
図4
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図9
図10
図11
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図15