【実施例】
【0039】
[実施例1]
以下の材料を用いて、導電性生地を作成した。
【0040】
<使用材料>
(銀メッキ糸)大阪電気工業製0dex(ナイロン6.6繊維に銀メッキをコーティングした糸。繊度30デニールの10フィラメント)
【0041】
<作成方法>
1.導電性生地用の生地の作成
銀メッキ糸を用いて、ハーフトリコットで編上げ幅70cmの導電性生地用の生地を作成した。次いで、精練加工と熱セット加工することで、製品仕上げ幅90cmの生地を作成した。なお、以後の説明では、生地のたて方向とは編物組織におけるウェール方向を意味し、生地のよこ方向とは編物組織におけるコース方向を意味する。
【0042】
<導電性生地用の生地の評価>
(1)引張強さ(N) たて:243.7 よこ:157.7
JIS L 1096A法(カットスリップ法)に準拠し、試験機に低速伸長形、試験片幅を50mm、つかみ間隔を200mmとし、引張速度200mm/minで測定した。
(2)伸び率(%) たて:69.1 よこ:75.5
JIS L 1096A法(カットスリップ法)に準拠し、試験機に低速伸長形、試験片幅を50mm、つかみ間隔を200mmとし、引張速度200mm/minで測定した。
(3)引裂き強さ(N) たて方向:11.5 よこ方向:11.9
(よこ方向は引裂き方向に対して斜めに切断した)
JIS L 1096A−1法(シングルタング法)に準拠し、試験機に低速伸長形、試験片幅を50mm、つかみ間隔を100mmとし、引張速度100mm/minで測定した。
(4)見掛け質量(目付)(g/m
2) 50.8
JIS L 1096A法に準拠し測定した。
(5)厚さ(mm) 0.31
JIS L 1096A法(JIS法)に準拠し、一定圧力0.7kPaにて測定した。
(6)透気度(cm
3/(cm
2・s)) 684.5
JIS L 1096A法(フラジール形法)にて測定した。
(7) 表面抵抗(Ω)
表面抵抗の測定法について、
図1を用いながら説明する。よこ方向(90cm)の端から端までの間隔において、たて方向がそれぞれA.0cm、B.25cm、C.50cm、D.75cm、E.100cmの位置にて、デジタルマルチテスターを用いて抵抗値を測定した。デジタルマルチテスターとしては、カイセ株式会社製KU−1188を用い、測定条件は、測定レンジ200Ω、2端子法で測定した。その結果、たて方向の小さい距離から順に、4.4Ω、2.8Ω、2.5Ω、3.0Ω、4.8Ωとなった。
同様に、たて方向(100cm)の端から端までの間隔において、よこ方向がそれぞれA.0cm、B.25cm、C.50cm、D.75cm、E.90cmの位置にて測定した。その結果、よこ方向の小さい距離から順に、5.2Ω、3.9Ω、3.4Ω、3.6Ω、5.4Ωとなった。
また、たて方向とよこ方向にほぼ対角線方向(斜め方向)に100cmの間隔で測定すると、2.8Ωとなった。
【0043】
2.導電性生地用の生地に接着樹脂部を付与した導電性生地の作成
得られた導電性生地用の生地にホットメルトとして、アクリル樹脂の上からポリアミド樹脂粉を被覆した接着樹脂部を1つのドットとして、ドット数26個/2.54cmで付与し、導電性生地を得た。
【0044】
<導電性生地の評価>
(1)引張強さ(N) たて:166.1 よこ:135.2
JIS L 1096A法(カットスリップ法)に準拠し、試験機に低速伸長形、試験片幅を50mm、つかみ間隔を200mmとし、引張速度200mm/minで測定した。
(2)伸び率(%) たて:28.2 よこ:39.9
JIS L 1096A法(カットスリップ法)に準拠し、試験機に低速伸長形、試験片幅を50mm、つかみ間隔を200mmとし、引張速度200mm/minで測定した。
(3)引裂き強さ(N) たて方向:10.1 よこ方向:10.6
(よこ方向は引裂き方向に対して斜めに切断)
JIS L 1096A−1法(シングルタング法)に準拠し、試験機に低速伸長形、試験片幅を50mm、つかみ間隔を100mmとし、引張速度100mm/minで測定した。
(4)見掛け質量(目付)(g/m
2) 57.4
JIS L 1096A法に準拠し測定した。
(5) 厚さ(mm) 0.41
JIS L 1096A法(JIS法)に準拠し、一定圧力0.7kPaにて測定した。
(6) 透気度(cm
3/(cm
2・s)) 693.4
JIS L 1096A法(フラジール形法)にて測定した。
(7) 表面抵抗(Ω)
よこ方向(90cm)の端から端までの間隔において、たて方向がそれぞれA.0cm、B.25cm、C.50cm、D.75cm、E.100cmの位置にて、デジタルマルチテスターを用いて抵抗値を測定した。その結果、たて方向の小さい距離から順に、5.5Ω、4.0Ω、3.0Ω、4.0Ω、4.4Ωとなった。
同様に、たて方向(100cm)の端から端までの間隔において、よこ方向がそれぞれA.0cm、B.25cm、C.50cm、D.75cm、E.90cmの位置にて測定した。その結果、よこ方向の小さい距離から順に、4.9Ω、4.5Ω、4.0Ω、4.5Ω、5.6Ωとなった。
また、たて方向とよこ方向にほぼ対角線方向(斜め方向)に100cmの間隔で測定すると、3.9Ωとなった。
この結果から、導電性生地の中央部がより表面抵抗が低く、また、対角線方向がより表面抵抗が低くなることが解った。
【0045】
[実施例2]
3.積層導電性生地の作成
<作成方法>
導電性生地の大きさを、たて方向200cm、よこ方向90cmとした以外は実施例1と同じ方法で導電性生地を得た。次いで、たて方向100cmの位置で接着樹脂部が内側になるように二つ折りにし、その上からアイロンにて150℃で5秒間押し当てることで、たて方向100cm、よこ方向90の実質的に2枚を積層接着させた導電性生地を得た。
【0046】
以下の結果から、積層接着体にすることで表面抵抗値が明らかに低くなる事が解った。<積層導電性生地の評価>
(1)引張強さ(N) たて:410.2 よこ:273.6
JIS L 1096A法(カットスリップ法)に準拠し、試験機に低速伸長形、試験片幅を50mm、つかみ間隔を200mmとし、引張速度200mm/minで測定した。
(2)伸び率(%) たて:48.8 よこ:57.0
JIS L 1096A法(カットスリップ法)に準拠し、試験機に低速伸長形、試験片幅を50mm、つかみ間隔を200mmとし、引張速度200mm/minで測定した。
(3)見掛け質量(目付)(g/m
2) 122.4
JIS L 1096A法に準拠し測定した。
(4)厚さ(mm) 0.60
JIS L 1096A法(JIS法)に準拠し、一定圧力0.7kPaにて測定した。
(5)透気度(cm
3/(cm
2・s)) 373.8
JIS L 1096A法(フラジール形法)にて測定した。
(6) 表面抵抗(Ω)
よこ方向(90cm)の端から端までの間隔において、たて方向がそれぞれA.0cm、B.25cm、C.50cm、D.75cm、E.100cmの位置にて、デジタルマルチテスターを用いて抵抗値を測定した。その結果、たて方向の小さい距離から順に、2.0Ω、1.5Ω、1.3Ω、1.5Ω、1.7Ωとなった。
同様に、たて方向(100cm)の端から端までの間隔において、よこ方向がそれぞれA.0cm、B.25cm、C.50cm、D.75cm、E.90cmの位置にて測定した。その結果、よこ方向の小さい距離から順に、2.3Ω、1.7Ω、1.6Ω、1.7Ω、2.0Ωとなった。
また、たて方向とよこ方向にほぼ対角線方向(斜め方向)に100cmの間隔で測定すると、1.4Ωとなった。
【0047】
この結果は、単層の導電性生地に比べ、2層を積層接着させた積層導電性生地の導電性が優れているばかりでなく、接着樹脂を用いていない単層の導電性生地用の生地の導電性とほぼ同程度の導電性を示している。
【0048】
このことより、接着樹脂部を設けても、導電性生地を積層接着させることで、驚くべきことに、接着樹脂部による導電性低減の悪影響が消失し、単層の導電性生地用の生地と同等の導電性を示すばかりでなく、単層の導電性生地用の生地に比べ、透気度及び伸び率は維持したまま、引っ張り強さが向上したことが解った。
【0049】
以上の表面抵抗の結果を表1に示す。表1に示す測定結果から以下の定量的な関係が見出せる。
(実施例1に関する表面抵抗)−(導電性生地用の生地の表面抵抗)<1.5Ω
(導電性生地用の生地の表面抵抗)−(実施例2に関する表面抵抗)>1.0Ω
【表1】
【0050】
[実施例3−1]〜[実施例3−5]
実施例1と同じ方法で作成した導電性生地を3cm×20cmに裁断し、
図2に示す導電性生地を得た。
【0051】
得られた導電性生地と、得られた導電性生地を2枚重ねて実施例2と同じ方法で積層接着させた積層導電性生地と、3枚重ねて実施例2と同じ方法で積層接着させた積層導電性生地と、2枚重ねて積層させた導電性生地(接着無し)と、3枚重ねて積層させた導電性生地(接着無し)を得た。
【0052】
それぞれのたて方向1.5mmの位置からよこ方向の0cmを起点とし、1cm、3cm、5cm、20cmの位置にて、デジタルマルチテスターを用いて抵抗値を測定した。 その結果、導電性生地(実施例3−1)では、よこ方向の0cmの起点から順に、0.6Ω、0.8Ω、1.0Ω、1.5Ω、2.5Ω、2枚重ねて積層接着させた積層導電性生地(実施例3−2)では、0.6Ω、0.8Ω、1.0Ω、2.5Ω、3枚重ねて積層接着させた積層導電性生地(実施例3−3)では、0.4Ω、0.6Ω、0.7Ω、1.0Ω、1.6Ω、2枚重ねて積層させた導電性生地(接着無し)(実施例3−4)では、0.6Ω、1.0Ω、1.3Ω、2.0Ω、4.0Ω、3枚重ねて積層させた導電性生地(接着無し)(実施例3−5)では、0.5Ω、0.7Ω、0.9Ω、1.3Ω、2.2Ωとなった。
【0053】
この結果を表2及び
図3に示す。
【表2】
【0054】
この結果から、実施例3−4及び実施例3−5のように、積層することで抵抗値が低くなることは、他の導電素材においても想定することが可能だが、織物、編物のような導電体の接触点が流動的に変化する可能性が高い部材において、その通気性や柔軟性を維持しつつ、通電性を維持安定させるには、実施例3−2で示すように、ドット状に接着樹脂部を設けた導電性生地を積層接着させた方が好ましいことが解った。さらに、実施例3−3で示すように、さらに複数枚積層接着させることで、より効果的に抵抗値を下げ、導電性を向上させることができることが解った。