特許第6754145号(P6754145)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6754145
(24)【登録日】2020年8月25日
(45)【発行日】2020年9月9日
(54)【発明の名称】導電性生地
(51)【国際特許分類】
   D06M 23/16 20060101AFI20200831BHJP
   D06M 15/59 20060101ALI20200831BHJP
   D06M 15/263 20060101ALI20200831BHJP
   B32B 5/26 20060101ALI20200831BHJP
   A41D 31/00 20190101ALN20200831BHJP
【FI】
   D06M23/16
   D06M15/59
   D06M15/263
   B32B5/26
   !A41D31/00 503P
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-119601(P2019-119601)
(22)【出願日】2019年6月27日
【審査請求日】2019年7月5日
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】300046658
【氏名又は名称】株式会社ミツヤ
(74)【代理人】
【識別番号】110003203
【氏名又は名称】特許業務法人大手門国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前川 士
【審査官】 橋本 有佳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−076273(JP,A)
【文献】 特開2008−300708(JP,A)
【文献】 特表2005−539150(JP,A)
【文献】 特開2014−210285(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06M10/00−23/18
B32B 1/00−43/00
A41D13/00−13/12
20/00
27/00−27/28
31/00−31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着樹脂部を付与した導電性生地であって、導電性生地に用いる導電性繊維の繊維径が30デニール以下、導電性生地の目付が40g/m2以上80g/m2以下、接着樹脂部が導電性生地の少なくとも一方の面に離散的に分散して設けられている導電性生地に、さらに導電性生地を1層以上3層以下積層接着させた、引張り強さが200N以上、表面抵抗が1.5Ω以下である積層導電性生地
【請求項2】
前記導電性繊維は、合成繊維にメッキコーティングした導電性繊維、または、合成繊維に導電性ポリマーをコーティングした導電性繊維の少なくともいずれか1つを含む請求項1に記載の積層導電性生地。
【請求項3】
前記接着樹脂部は、ドット状に設けられている請求項1又は2に記載の積層導電性生地。
【請求項4】
導電性生地の幅が縦横ともに70cm以上である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の積層導電性生地。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極細導電性繊維からなる接着樹脂部が付与された導電性生地に関する。
【背景技術】
【0002】
導電性繊維からなる生地は、特に、銀メッキ繊維を用いた編物や織物が、電磁波シールド用途や抗菌用途、遮熱用途等に用いられてきた。ところで近年導電性繊維は、IoT技術の進歩に応じて、特にウエアラブルデバイス用の素材として注目を集めている。
【0003】
例えば、特許文献1には赤外線反射特性を有する織物の開示があるが、ウエアラブルデバイス用途への適用については言及がない。また、特許文献2には、導電性織物を複数積層した導電性繊維材料が高シールド性を発揮することについて開示があるが、こちらもウエアラブルデバイス用途については開示がない。
【0004】
導電性繊維をウエアラブルデバイス用途とする場合に要求される機能として、着心地やバイタルデータ測定のための密着性、そしてデータ取得のための安定的な導電性が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−92842号公報
【特許文献2】特開2004−276443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
被覆体への密着性と安定的な導電性、適度な伸縮性に優れる導電性生地を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、繊維径が30デニール以下の極細導電性繊維を用いた生地とすることで、接着樹脂部を生地の少なくとも一方の面にドット状に設けても目付を80g/m2以下とせしめ、被覆体への密着性(接着性)と安定的な導電性を発揮し、かつ、適度な伸縮性に優れる導電性生地を得る。
【0008】
すなわち、本発明によれば以下の導電性生地と導電性生地を含む積層導電性生地を提供する。
(1)接着樹脂部を付与した導電性生地であって、導電性生地に用いる導電性繊維の繊維径が30デニール以下、導電性生地の目付が80g/m2以下、接着樹脂部が導電性生地の少なくとも一方の面に離散的に分散して設けられている導電性生地。
(2)前記導電性繊維は、合成繊維にメッキコーティングした導電性繊維、または、合成繊維に導電性ポリマーをコーティングした導電性繊維の少なくともいずれか1つを含む上記(1)に記載の導電性生地。
)前記接着樹脂部は、ドット状に設けられている上記(1)又は(2)に記載の導電性生地。
(4)前記接着樹脂部のドット数が、5個/2.54cm以上50個/2.54cm以下であり、前記接着樹脂部の見掛け質量は、1g/m2以上15g/m2以下である上記(3)に記載の導電性生地。
(5)導電性生地の幅が縦横共に、70cm以上である上記(1)から上記(4)のいずれかに記載の導電性生地。
(6)上記(1)から上記(5)のいずれかに記載の導電性生地に、さらに導電性生地を1層以上3層以下積層接着させた積層導電性生地。
(7)引張り強さが200N以上、表面抵抗が1.5Ω以下である上記(6)に記載の積層導電性生地。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、被覆体への密着性(接着性)と安定的な導電性、適度な伸縮性に優れる導電性生地を得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】表面抵抗の測定方法に関する説明図である。
図2】裁断した導電性生地に関する説明図である。
図3】実施例3において測定した表面抵抗の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、接着樹脂部を付与した導電性生地であって、導電性生地に用いる導電性繊維の繊維径が30デニール以下、導電性生地の目付(以下、見掛け質量、とも言う)が80g/m2以下、接着樹脂部が導電性生地の少なくとも一方の面に離散的に分散して設けられている導電性生地である。
【0012】
(導電性繊維)
導電性生地に用いられる導電性繊維の素材に特に制限は無く、合成繊維にメッキコーティングした導電性繊維や、合成繊維に導電性ポリマーをコーティングした導電性繊維のほか、合成繊維の中に導電性の良い金属やカーボンブラックを配合した導電性繊維や、金属を繊維化した金属繊維を用いることができる。合成繊維としては特に制限は無く、ポリイミド、6ナイロン、66ナイロンなどを用いることができる。
【0013】
中でも、導電性、折り曲げ耐性、軽量性、経済性の観点から、合成繊維にメッキコーティングした導電性繊維が好ましく用いられる。メッキの金属種としては、導電性の観点から、銀、銅が好ましく、更なる導電性、人体に対する安全性、及び抗菌性の観点から、銀がより好ましい。
【0014】
導電性繊維の繊維径は、導電性生地とした際の被覆体への密着性(接着性)及び安定的な導電性、並びに伸縮性を兼ね備える観点から30デニール以下であれば問題なく使用できるが、25デニール以下がより好ましく、20デニール以下が更に好ましい。
【0015】
(導電性生地)
導電性生地は、導電性繊維を用いて編上げや織上げ、または抄紙等によって製造した生地に接着樹脂部を付与したものであり、樹脂接着部が導電性生地の少なくとも一方の面に離散的に分散して設けられている。
【0016】
導電性生地は導電特性を維持しつつ、接着樹脂部を導電性生地の少なくとも一方の面に離散的に分散して設けることで、被覆体の伸縮性を損なうことなく、被覆体へ密着(接着)させることができる。
【0017】
導電性生地は、当該生地に、必要に応じてプレス加工、熱プレス加工、精練加工、熱セット加工などで構造を固定化、形状を記憶させても良い。当該生地を加工する際に、生地の面積を拡大させても良いし、拡大させなくても良い。また、当該加工において、必要に応じて、固定用の樹脂や接着剤を用いることができる。
【0018】
なお、ここでは、固定化、形状記憶の工程を仕上げ工程と言い、仕上げ工程を経た、例えば縦横の寸法を仕上げ幅といい、仕上げ工程前の寸法を編上げ幅などという。
【0019】
生地の面積を拡大させる場合は、拡大前の生地の特性を損なわない範囲で拡大することが可能であるが、通常は生地に対して、1軸方向に、1.1倍から1.7倍、好ましくは1.1倍から1.5倍、より好ましくは1.1倍から1.3倍の範囲である。
【0020】
接着樹脂部は、導電性生地用の生地、すなわち、導電性生地の両面に離散的に分散して設けることで導電性生地を積層し易くなる。導電性生地の透気度は300cm3/(cm2・s)以上であれば、伸縮性と被覆体への密着性(接着性)を発揮できる。
【0021】
接着樹脂部に用いる樹脂は、一般の接着芯地で用いられるものであれば良く、例えば、熱可塑性樹脂や熱硬化樹脂を用いることができる。中でも、熱可塑性樹脂が好ましく、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ酸化ビニール系(PVC)ポリエチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン酢ビ共重合体系(EVA)樹脂がより好ましく用いられる。中でも、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂が好ましく用いられるが、アクリル樹脂を離散的に分散して付与した後にポリアミド樹脂粉を被覆した樹脂が、接着性の観点から、さらに好ましく用いられる。
【0022】
導電性生地用の生地の製法に特に制限はなく、導電性繊維の織りや編み、または抄紙によって作成された編物、織物、不織布を用いることができる。中でも、導電性、引張強さ、伸び率、引裂強さの観点から編物または織物が好ましい。編物の中でも経編と緯編があるが、経編で編んだ編物が導電性の観点からより好ましい。緯編で編んだ編物としては、例えば、平編、ゴム編、両面編パール編、タック編、浮き編、片畔編、レース編、添え毛編がある。経編で編んだ編物としては、例えば、シングルデンビー編、シングルアトラス編、ダブルコード編、ハーフ編、ハーフベース編、サテン編、ハーフトリコット編、裏毛編、ジャガード編がある。織物としては、平織、綾織、朱子織等の三原組織、変化組織、たて二十織、よこ二十織等の片二重組織、たてビロードなどが例示される。
【0023】
また、導電性生地用の生地には、通常のカレンダー加工、エンボス加工等を適宜施すことができる。
【0024】
接着樹脂部の付与法に制限はないが、接着樹脂部を導電性生地用の生地の少なくとも一方の面に離散的に分散して設けることで、柔軟性及び伸縮性を確保することができる。さらに、傾向として目付が小さい場合には、接着樹脂部の付与密度を大きくして強度を高め、一方で、傾向として目付が大きい場合には、接着樹脂部の付与密度を小さくして透気度を上げることが好ましい。さらに、生産性の観点から、接着樹脂部のホットメルト法でドット状に設けることが好ましい。
【0025】
特にロールトゥロール法にて連続的に接着樹脂部を付与する場合は、装置で連続的に搬送させる必要から、導電性繊維の幅方向(TD方向)が70cm以上であることが好ましい。
【0026】
ロールトゥロール法にて連続的に接着樹脂部を付与した導電性生地は、反物等の長尺生地として得る場合、継ぎ目無く70cm以上の採寸が可能となるため、導電性に優れるだけでなく、使い勝手にも優れる。例えば、大型のサーバーの電磁波シールド用途に好適に用いることができる。
【0027】
接着樹脂部をドット状に設ける場合のドット数は、導電性生地の導電特性を維持しつつ、伸縮性と被覆体への密着性を発揮する観点から5個/2.54cm以上50個/2.54cm以下が好ましく、20個/2.54cm以上40個/2.54cm以下がさらに好ましい。特にドット部がマイクロドットである場合の接着樹脂部のドット数は、50個/2.54cm以上500個/2.54cm以下が好ましく、200個/2.54cm以上400個/2.54cm以下がさらに好ましい。
【0028】
また、離散的に分散して設けられた接着樹脂部の重量は、導電性生地の導電特性を維持しつつ、伸縮性と被覆体への密着性を発揮する観点から1g/m2以上15g/m2以下であることが好ましく、5g/m2以上10g/m2以下であることがより好ましく、5g/m2以上8g/m2以下であることが最も好ましい。導電性生地は、さらに導電性生地用の生地を1層積層接着させた積層導電性生地としてもよい。これにより、被覆体への密着性と適度な伸縮性を維持しつつ、更に導電性を向上できる。
【0029】
また、導電性生地は、さらに導電性生地を1層以上3層以下積層接着させた積層導電性生地としてもよい。これにより、導電性が導電性生地用の生地と同等に優れたまま、引っ張り強さを導電性生地用の生地より向上することができる。
【0030】
また、導電性生地用の生地から導電性生地を作成するときは、汎用性を上げる観点及び想定される使用用途に求められる抵抗値の観点から、測定位置に関わらず導電性の上げ幅が1.5Ω以下であることが好ましく、1.0Ω以下であることがより好ましい。特に、導電性生地を後述の実施例1と実施例2で調整した場合に、当該関係性は明確になる。
【0031】
積層導電性生地は、引張り強さが200N以上、表面抵抗が1.5Ω以下であることで、ウエアラブルセンサーなどのウエアラブル用途に好適に用いられるが、さらに、見掛け質量160g/m2以下、引張り強さが200N以上、伸び率40%以上、表面抵抗が1.5Ω以下であることで、ウエアラブルセンサーなどのウエアラブル用途により好適に用いられる。これまでの素材では、本素材と同等の見掛け重量を維持しつつ、引張り強さが200N以上、伸び率40%以上、表面抵抗が1.5Ω以下の条件を満たす素材は存在しなかったが、今回、これらの物性を達成することで、柔軟性、軽量性の要求度の高い衣料資材における副資材の基準を満たすことができ、ウエアラブル用途での実用に耐えうる積層導電性生地とすることを可能とした。
【0032】
さらに、透気度が300cm3/(cm2・s)以上であると、伸縮性と被覆体への密着性(接着性)、及び通気性の面からも好ましい。
【0033】
導電性生地の見掛け質量(目付)は、単層である場合には被覆体への密着性(接着性)と伸縮性の観点から40g/m2以上80g/m2以下が好ましい。さらに導電性生地を1層積層接着させた2層積層導電性生地の見掛け質量は80g/m2以上160g/m2以下が好ましく、同様にもう1層積層接着させた2層積層導電性生地の見掛け質量は120g/m2以上240g/m2以下が好ましく、3層積層導電性生地の見掛け質量は160g/m2以上320g/m2以下が好ましい。
【0034】
導電性生地及び積層導電性生地の厚さは、0.2mm以上2.0mm以下であることが好ましい。0.2mm以上であれば十分な引張強さ及び引裂き強さを発揮し、2.0mm以下であれば十分な密着性(接着性)を発揮する。より好ましくは0.2mm以上1.2mm以下であり、さらに好ましくは0.2mm以上、0.8mm以下である。
【0035】
導電性生地及び積層導電性生地の引張強さは、引張の方向に依らず、強度の面から100N以上であることが好ましく、200N以上であることが、より好ましい。
【0036】
導電性生地及び積層導電性生地の伸び率は、伸びの方向に依らず、伸縮性と被覆体への密着性(接着性)の観点から20%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましい。
【0037】
導電性生地及び積層導電性生地の引裂き強さは、強度の面から8N以上であることが好ましい。
【0038】
導電性生地及び積層導電性生地の用途としては、まったく制限されるものではないが、ウエアラブル用途、電磁波シールド用途において好適に用いられる。
【実施例】
【0039】
[実施例1]
以下の材料を用いて、導電性生地を作成した。
【0040】
<使用材料>
(銀メッキ糸)大阪電気工業製0dex(ナイロン6.6繊維に銀メッキをコーティングした糸。繊度30デニールの10フィラメント)
【0041】
<作成方法>
1.導電性生地用の生地の作成
銀メッキ糸を用いて、ハーフトリコットで編上げ幅70cmの導電性生地用の生地を作成した。次いで、精練加工と熱セット加工することで、製品仕上げ幅90cmの生地を作成した。なお、以後の説明では、生地のたて方向とは編物組織におけるウェール方向を意味し、生地のよこ方向とは編物組織におけるコース方向を意味する。
【0042】
<導電性生地用の生地の評価>
(1)引張強さ(N) たて:243.7 よこ:157.7
JIS L 1096A法(カットスリップ法)に準拠し、試験機に低速伸長形、試験片幅を50mm、つかみ間隔を200mmとし、引張速度200mm/minで測定した。
(2)伸び率(%) たて:69.1 よこ:75.5
JIS L 1096A法(カットスリップ法)に準拠し、試験機に低速伸長形、試験片幅を50mm、つかみ間隔を200mmとし、引張速度200mm/minで測定した。
(3)引裂き強さ(N) たて方向:11.5 よこ方向:11.9
(よこ方向は引裂き方向に対して斜めに切断した)
JIS L 1096A−1法(シングルタング法)に準拠し、試験機に低速伸長形、試験片幅を50mm、つかみ間隔を100mmとし、引張速度100mm/minで測定した。
(4)見掛け質量(目付)(g/m2) 50.8
JIS L 1096A法に準拠し測定した。
(5)厚さ(mm) 0.31
JIS L 1096A法(JIS法)に準拠し、一定圧力0.7kPaにて測定した。
(6)透気度(cm3/(cm2・s)) 684.5
JIS L 1096A法(フラジール形法)にて測定した。
(7) 表面抵抗(Ω)
表面抵抗の測定法について、図1を用いながら説明する。よこ方向(90cm)の端から端までの間隔において、たて方向がそれぞれA.0cm、B.25cm、C.50cm、D.75cm、E.100cmの位置にて、デジタルマルチテスターを用いて抵抗値を測定した。デジタルマルチテスターとしては、カイセ株式会社製KU−1188を用い、測定条件は、測定レンジ200Ω、2端子法で測定した。その結果、たて方向の小さい距離から順に、4.4Ω、2.8Ω、2.5Ω、3.0Ω、4.8Ωとなった。
同様に、たて方向(100cm)の端から端までの間隔において、よこ方向がそれぞれA.0cm、B.25cm、C.50cm、D.75cm、E.90cmの位置にて測定した。その結果、よこ方向の小さい距離から順に、5.2Ω、3.9Ω、3.4Ω、3.6Ω、5.4Ωとなった。
また、たて方向とよこ方向にほぼ対角線方向(斜め方向)に100cmの間隔で測定すると、2.8Ωとなった。
【0043】
2.導電性生地用の生地に接着樹脂部を付与した導電性生地の作成
得られた導電性生地用の生地にホットメルトとして、アクリル樹脂の上からポリアミド樹脂粉を被覆した接着樹脂部を1つのドットとして、ドット数26個/2.54cmで付与し、導電性生地を得た。
【0044】
<導電性生地の評価>
(1)引張強さ(N) たて:166.1 よこ:135.2
JIS L 1096A法(カットスリップ法)に準拠し、試験機に低速伸長形、試験片幅を50mm、つかみ間隔を200mmとし、引張速度200mm/minで測定した。
(2)伸び率(%) たて:28.2 よこ:39.9
JIS L 1096A法(カットスリップ法)に準拠し、試験機に低速伸長形、試験片幅を50mm、つかみ間隔を200mmとし、引張速度200mm/minで測定した。
(3)引裂き強さ(N) たて方向:10.1 よこ方向:10.6
(よこ方向は引裂き方向に対して斜めに切断)
JIS L 1096A−1法(シングルタング法)に準拠し、試験機に低速伸長形、試験片幅を50mm、つかみ間隔を100mmとし、引張速度100mm/minで測定した。
(4)見掛け質量(目付)(g/m2) 57.4
JIS L 1096A法に準拠し測定した。
(5) 厚さ(mm) 0.41
JIS L 1096A法(JIS法)に準拠し、一定圧力0.7kPaにて測定した。
(6) 透気度(cm3/(cm2・s)) 693.4
JIS L 1096A法(フラジール形法)にて測定した。
(7) 表面抵抗(Ω)
よこ方向(90cm)の端から端までの間隔において、たて方向がそれぞれA.0cm、B.25cm、C.50cm、D.75cm、E.100cmの位置にて、デジタルマルチテスターを用いて抵抗値を測定した。その結果、たて方向の小さい距離から順に、5.5Ω、4.0Ω、3.0Ω、4.0Ω、4.4Ωとなった。
同様に、たて方向(100cm)の端から端までの間隔において、よこ方向がそれぞれA.0cm、B.25cm、C.50cm、D.75cm、E.90cmの位置にて測定した。その結果、よこ方向の小さい距離から順に、4.9Ω、4.5Ω、4.0Ω、4.5Ω、5.6Ωとなった。
また、たて方向とよこ方向にほぼ対角線方向(斜め方向)に100cmの間隔で測定すると、3.9Ωとなった。
この結果から、導電性生地の中央部がより表面抵抗が低く、また、対角線方向がより表面抵抗が低くなることが解った。
【0045】
[実施例2]
3.積層導電性生地の作成
<作成方法>
導電性生地の大きさを、たて方向200cm、よこ方向90cmとした以外は実施例1と同じ方法で導電性生地を得た。次いで、たて方向100cmの位置で接着樹脂部が内側になるように二つ折りにし、その上からアイロンにて150℃で5秒間押し当てることで、たて方向100cm、よこ方向90の実質的に2枚を積層接着させた導電性生地を得た。
【0046】
以下の結果から、積層接着体にすることで表面抵抗値が明らかに低くなる事が解った。<積層導電性生地の評価>
(1)引張強さ(N) たて:410.2 よこ:273.6
JIS L 1096A法(カットスリップ法)に準拠し、試験機に低速伸長形、試験片幅を50mm、つかみ間隔を200mmとし、引張速度200mm/minで測定した。
(2)伸び率(%) たて:48.8 よこ:57.0
JIS L 1096A法(カットスリップ法)に準拠し、試験機に低速伸長形、試験片幅を50mm、つかみ間隔を200mmとし、引張速度200mm/minで測定した。
(3)見掛け質量(目付)(g/m2) 122.4
JIS L 1096A法に準拠し測定した。
(4)厚さ(mm) 0.60
JIS L 1096A法(JIS法)に準拠し、一定圧力0.7kPaにて測定した。
(5)透気度(cm3/(cm2・s)) 373.8
JIS L 1096A法(フラジール形法)にて測定した。
(6) 表面抵抗(Ω)
よこ方向(90cm)の端から端までの間隔において、たて方向がそれぞれA.0cm、B.25cm、C.50cm、D.75cm、E.100cmの位置にて、デジタルマルチテスターを用いて抵抗値を測定した。その結果、たて方向の小さい距離から順に、2.0Ω、1.5Ω、1.3Ω、1.5Ω、1.7Ωとなった。
同様に、たて方向(100cm)の端から端までの間隔において、よこ方向がそれぞれA.0cm、B.25cm、C.50cm、D.75cm、E.90cmの位置にて測定した。その結果、よこ方向の小さい距離から順に、2.3Ω、1.7Ω、1.6Ω、1.7Ω、2.0Ωとなった。
また、たて方向とよこ方向にほぼ対角線方向(斜め方向)に100cmの間隔で測定すると、1.4Ωとなった。
【0047】
この結果は、単層の導電性生地に比べ、2層を積層接着させた積層導電性生地の導電性が優れているばかりでなく、接着樹脂を用いていない単層の導電性生地用の生地の導電性とほぼ同程度の導電性を示している。
【0048】
このことより、接着樹脂部を設けても、導電性生地を積層接着させることで、驚くべきことに、接着樹脂部による導電性低減の悪影響が消失し、単層の導電性生地用の生地と同等の導電性を示すばかりでなく、単層の導電性生地用の生地に比べ、透気度及び伸び率は維持したまま、引っ張り強さが向上したことが解った。
【0049】
以上の表面抵抗の結果を表1に示す。表1に示す測定結果から以下の定量的な関係が見出せる。
(実施例1に関する表面抵抗)−(導電性生地用の生地の表面抵抗)<1.5Ω
(導電性生地用の生地の表面抵抗)−(実施例2に関する表面抵抗)>1.0Ω
【表1】
【0050】
[実施例3−1]〜[実施例3−5]
実施例1と同じ方法で作成した導電性生地を3cm×20cmに裁断し、図2に示す導電性生地を得た。
【0051】
得られた導電性生地と、得られた導電性生地を2枚重ねて実施例2と同じ方法で積層接着させた積層導電性生地と、3枚重ねて実施例2と同じ方法で積層接着させた積層導電性生地と、2枚重ねて積層させた導電性生地(接着無し)と、3枚重ねて積層させた導電性生地(接着無し)を得た。
【0052】
それぞれのたて方向1.5mmの位置からよこ方向の0cmを起点とし、1cm、3cm、5cm、20cmの位置にて、デジタルマルチテスターを用いて抵抗値を測定した。 その結果、導電性生地(実施例3−1)では、よこ方向の0cmの起点から順に、0.6Ω、0.8Ω、1.0Ω、1.5Ω、2.5Ω、2枚重ねて積層接着させた積層導電性生地(実施例3−2)では、0.6Ω、0.8Ω、1.0Ω、2.5Ω、3枚重ねて積層接着させた積層導電性生地(実施例3−3)では、0.4Ω、0.6Ω、0.7Ω、1.0Ω、1.6Ω、2枚重ねて積層させた導電性生地(接着無し)(実施例3−4)では、0.6Ω、1.0Ω、1.3Ω、2.0Ω、4.0Ω、3枚重ねて積層させた導電性生地(接着無し)(実施例3−5)では、0.5Ω、0.7Ω、0.9Ω、1.3Ω、2.2Ωとなった。
【0053】
この結果を表2及び図3に示す。
【表2】
【0054】
この結果から、実施例3−4及び実施例3−5のように、積層することで抵抗値が低くなることは、他の導電素材においても想定することが可能だが、織物、編物のような導電体の接触点が流動的に変化する可能性が高い部材において、その通気性や柔軟性を維持しつつ、通電性を維持安定させるには、実施例3−2で示すように、ドット状に接着樹脂部を設けた導電性生地を積層接着させた方が好ましいことが解った。さらに、実施例3−3で示すように、さらに複数枚積層接着させることで、より効果的に抵抗値を下げ、導電性を向上させることができることが解った。
【要約】
【課題】本発明は、被覆体への密着性と安定的な導電性、適度な伸縮性に優れる導電性生地を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明では、繊維径が30デニール以下の極細導電性繊維を用いた生地とすることで、接着樹脂部を生地の少なくとも一方の面にドット状に設けて目付を80g/m2以下とせしめ、被覆体への密着性と安定的な導電性を発揮し、かつ、適度な伸縮性に優れる導電性生地を得る。
【選択図】なし
図1
図2
図3