(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
サーボモータでラムが駆動されるサーボプレスについて、使用者の目的を達成するよう前記サーボモータを制御するための最終目的プログラムを作成するサーボプレスプログラム作成システムであって、
必須パラメータが入力される入力部と、
前記必須パラメータ以外のパラメータを算出する推奨パラメータ算出部と、
プログラムの作成機能を有するプログラム編集部と、
前記サーボプレスを駆動制御し、かつ前記サーボプレスを駆動したときの前記ラムの位置及び前記ラムが受ける荷重に関する特性であるワーク特性を取得するプログラム実行部と、
前記サーボプレスの動作性能に関する特性であるツール特性が保存されるツール特性保存部と、
前記ワーク特性を探査するためのワーク特性探査プログラムのテンプレート及び前記最終目的プログラムのテンプレートが保存されるテンプレートプログラム保存部とを備え、
前記必須パラメータは、目標値と制限値の2個であり、
前記目標値及び前記制限値は、前記ラムの位置又は前記ラムが受ける荷重に関する値であり、
前記ワーク特性探査プログラムのテンプレート及び前記最終目的プログラムのテンプレートは、前記目標値の種類毎に複数用意しており、
入力された前記目標値の種類に対応する前記ワーク特性探査プログラムのテンプレート及び前記最終目的プログラムのテンプレートが選択され、
前記推奨パラメータ算出部は、前記ツール特性に基づいて、前記選択された前記ワーク特性探査プログラムのテンプレート及び前記選択された前記最終目的プログラムのテンプレートに用いる推奨パラメータを算出し、
前記プログラム実行部は、前記選択された前記ワーク特性探査プログラムのテンプレートに、前記ツール特性及び前記必須パラメータ及び前記推奨パラメータを反映させた前記ワーク特性探査プログラムを実行して前記ワーク特性を取得し、
前記プログラム編集部は、前記必須パラメータ、前記推奨パラメータ及び前記取得したワーク特性を前記選択された前記最終目的プログラムのテンプレートに反映させて、前記最終目的プログラムを作成することを特徴とするサーボプレスプログラム作成システム。
前記目標値が前記ラムの位置に関する値のときは、前記制限値は前記ラムが受ける荷重に関する値であり、前記目標値が前記ラムが受ける荷重に関する値のときは、前記制限値は前記ラムの位置に関する値である請求項1に記載のサーボプレスプログラム作成システム。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、サーボプレスプログラム作成システムに関するものであり、サーボプレスプログラムとは、サーボプレス10(
図1参照)による圧入等の作業時にサーボプレス10を駆動制御させるためのプログラムである。本発明に係るサーボプレスプログラム作成システムは、ワークに目標荷重を加えたり、ワークに目標位置まで部品を圧入する等の使用者の目的に応じて、サーボプレス10の駆動制御プログラムを作成するものであるので、以下、本発明に係るサーボプレスプログラム作成システムで最終的に作成されるプログラムのことを最終目的プログラムという。
【0018】
詳細は以下に説明するが、最終目的プログラムは、ワーク特性探査プログラムの実行を経て作成される。ワーク特性探査プログラム及び最終目的プログラムのいずれについても、実行させるには各種パラメータの設定が必要である。本実施形態では、プログラムの動作を決定するための設定値のことをパラメータという。
【0019】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るサーボプレスプログラム作成システム1の全体構成図を示している。サーボプレスプログラム作成システム1は、支持体20に取り付けられたサーボプレス10に加え、モータ駆動部50、サーボプレスコントローラ40及び操作端末60を備えているが、少なくとも最終目的プログラムの作成機能を有するサーボプレスコントローラ40及び操作端末60に相当する構成を備えたものであればよい。
【0020】
サーボプレス10は、支持体20の支持台21に固定されている。支持体20は、下側の基台22と上側の支持台21との間に支柱23を介在させた構造体である。サーボプレス10は、シリンダケース5の内部にラム2及びボールねじ3が内蔵されている。ボールねじ3の回転により、ナット4がボールねじ3の軸方向にスライドし、これと一体にラム2がガイド(図示せず)に沿ってスライドする(矢印a及びb)。ボールねじ3は、サーボモータ6の回転がタイミングベルト7を介して減速機8に伝達されることにより回転駆動される。
【0021】
ラム2を下降させることにより(矢印a)、ラム2で対象物を押圧することができる。このことにより、サーボプレス10を用いれば、圧入、成形、カシメ、検査、溶接・接合、組付け、切断等の作業を行うことができる。
図1では、ラム2の先端にプラグ12が取り付をけられており、ラム2を下降させることにより、プラグ12をワーク13である成型品の凹部に圧入することができる。
【0022】
本実施形態において、単に位置、速度というときは、ラム2の位置、ラム2の速度のことである。ラム2の位置とは直線的に往復移動するラム2の位置のことであり、例えばラム2の下降の開始位置(原点位置)からの変位量であり、本実施形態ではこの定義を用いる。ラム2の速度は、ラム2がワークに向けて下降するときの速度、又はラム2が開始位置に向けて上昇するときの速度である。下降するときの速度には、ラム2のワーク13への接触後の速度も含んでいる。
【0023】
接触位置とは、ラム2又はラム2に取り付けた部品、治具等がワーク13に接触する位置のことである。本実施形態において、ラム2がワーク13に接触するというときは、ラム2に取り付けた部品、治具等のワーク13への接触も含んでいる。また、本実施形態において荷重とは、ラム2に外部から加わる荷重のことである。
【0024】
図1において、操作端末60はサーボプレスコントローラ40に種々の命令を指令する。サーボプレスコントローラ40は、操作端末60からの指令、ロードセル9による検出荷重情報及びエンコーダ11からのエンコーダパルスに基づいて、モータ駆動部50に指令する。このことにより、モータ電流が制御されてサーボプレス10が駆動制御される。エンコーダパルスはモータ駆動部50にも入力され、フィードバック制御によりモータ電流は適宜補正される。
【0025】
以下、
図2を参照しながらサーボプレスコントローラ40について、具体的に説明する。
図2はサーボプレスコントローラ40の構成を示すブロック図である。通信コマンド解釈部41において、操作端末60(
図1参照)との間で交わされる通信コマンドを解釈し、サーボプレスコントローラ40の各部に対して指令及びデータの入出力を行う。
【0026】
位置・速度変換部42は、エンコーダ11(
図1参照)からのエンコーダパルスをラム2の位置・速度に変換する部分である。ラム2の位置は、エンコーダパルスの累積により算出する。ラム2の速度は、エンコーダパルスの一定周期の計数によりを算出するが、エンコーダパルス間の周期を他の一定クロックにより計数することにより算出してもよい。前者は高速動作中、後者は低速動作中に適している。
【0027】
プログラム実行部43は、通信コマンド解釈部41から発せられるプログラム実行指令によりプログラムを実行する。プログラムは、モータ駆動指令、分岐命令及び保存命令を含む複数のステップで構成されている。分岐命令は、位置・速度変換部42からの位置・速度情報及びロードセル9からの荷重情報を条件に応じて他のステップに分岐させる命令である。保存命令は、位置・速度及び荷重情報を実行結果として保存する命令である。
【0028】
プログラムの実行に際し、ツール特性保存部47に保存されているツール特性を参照する。ツール特性とは、サーボプレス10の動作性能に関する特性であり、本実施形態では、サーボプレス10のツールとしての限界値である最大推力、最大ストローク及び最高速度のことである。サーボプレス10を保護するため、プログラムは、これらの限界値を超えないように実行される。
【0029】
ツール特性保存部47には、通信コマンド解釈部41より発せられるツール特性保存指令によりツール特性が保存される。また、通信コマンド解釈部41より発せられるツール特性取得指令により保存しているツール特性を通信コマンド解釈部41へ出力する。
【0030】
プログラム実行結果保存部44には、プログラム実行部43より出力されるプログラム実行結果が保存される。このプログラム実行結果は、通信コマンド解釈部41から発せられるプログラム実行結果取得指令により、通信コマンド解釈部41に出力される。
【0031】
プログラム保存部45には、通信コマンド解釈部41から発せられるプログラム保存指令により、
図1の操作端末60から出力されるプログラムが保存され、複数のプログラムが均等な領域にプログラム番号を付与されて保存される(
図5参照)。プログラム選択部46は、通信コマンド解釈部41より発せられたプログラム選択指令により、指定されたプログラムをプログラム保存部45からプログラム実行部43へコピーする。
【0032】
図3は操作端末60の構成を示すブロック図である。操作端末60はコンピュータであり、専用機でもよく、パーソナルコンピュータ等の汎用機であってもよい。操作端末60は、通信制御部61を介して、
図2のサーボプレスコントローラ40との間で種々のコマンドのやり取りを行う。プログラム編集部62には、入力部72を経て操作端末60へ入力された情報や、サーボプレスコントローラ40から受け取った情報が入力され、最終目的プログラムを作成する。
【0033】
操作端末60のテンプレートプログラム保存部70には、ワーク特性探査プログラムのテンプレート及び最終目的プログラムのテンプレートが保存されている(
図5参照)。これらのテンプレートの各種パラメータを設定することにより、最終的なワーク特性探査プログラム及び最終的な最終目的プログラムが完成する。以下、便宜のため、各種パラメータの設定が完了していないテンプレートの状態であっても、ワーク特性探査プログラム、最終目的プログラムという。操作端末60のその他の各部の機能については、最終目的プログラムの作成プロセスとあわせて適宜説明する。
【0034】
図4は、最終目的プログラムの作成過程の概要を示すフローチャートである。
図4はプロセスを適宜省略した概要的なものであり、本図を参照しながら概要を説明し、詳細は後に
図6及び
図7を参照しながら説明する。必須パラメータの入力(ステップ100)は、使用者により入力される。必須パラメータは、目標値と制限値の2個である。これらの値は、ラム2の位置又はラム2が受ける荷重に関する値である。本実施形態では、目標値はラム2が受ける荷重に関する値である目標荷重と、ラム2の位置に関する値である目標位置及び目標圧入長である。目標荷重は、荷重値により圧入作業を管理する場合の荷重の目標値であり、目標位置はサーボプレス10の位置により圧入作業を管理する場合の位置の目標値であり、目標圧入長は、接触位置を起点とした最終圧入位置までの圧入長の目標値である。
【0035】
制限値は、目標荷重に対しては限界位置(ストローク制限)であり、目標値位置及び目標圧入長に対しては限界荷重である。サーボプレスプログラム作成システム1は、ワーク特性探査プログラムの実行を経て最終目的プログラムを作成するものであるが、これらのプログラムを実行させるには、必須パラメータ以外にその他のパラメータも必要になる。その他のパラメータについては、後に説明する通り推奨値や取得したワーク特性を用いる。したがって、ワーク特性探査プログラム及び最終目的プログラムに必要な複数のパラメータのうち、使用者が入力するパラメータは、目標値及び制限値の2個で足りることになる。この点の詳細は後に改めて説明する。
【0036】
図4において、必須パラメータが入力されると、各種ステップを経てワーク特性探査プログラムが作成され、同プログラムが実行される(ステップ101)。
図5にテンプレートプログラム保存部に保存されているテンプレートプログラムの一覧を示している。ワーク特性探査プログラム80として、荷重目標プログラム81、位置目標プログラム82及び圧入目標プログラム83が用意されている。
【0037】
実行するワーク特性探査プログラムの選択は、入力された必須パラメータの目標値の種類に応じて決定される。必須パラメータの種類が目標荷重であれば、パラメータ反映後の荷重目標プログラム81が実行され、必須パラメータの種類が目標位置であればパラメータ反映後の位置目標プログラム82が実行され、必須パラメータの種類が目標圧入長であればパラメータ反映後の圧入目標プログラム83が実行される。
【0038】
ワーク特性探査プログラムの実行により、ワーク特性を取得する(ステップ102)。ワーク特性とはサーボプレス10を駆動したときのラム2の位置及びラム2が受ける荷重に関する特性であり、本実施形態では、ラム2とワーク13との接触位置、目標荷重まで圧入した場合の位置、又は目標位置まで圧入した場合の荷重のことである。取得したワーク特性等に基づいて最終目的プログラムを作成する(ステップ103)。
【0039】
図5において、最終目的プログラム90のテンプレートとして、荷重目標プログラム91、位置目標プログラム92及び圧入目標プログラム93が用意されている。最終目的プログラムの作成対象は、入力された必須パラメータの目標値の種類に応じて実行されるワーク特性探査プログラムに対応している。パラメータ反映後の荷重目標プログラム81が実行された場合は、最終目的プログラムの作成対象は荷重目標プログラム91となり、同様にパラメータ反映後の位置目標プログラム82が実行された場合は、最終目的プログラムの作成対象は位置目標プログラム92となり、パラメータ反映後の圧入目標プログラム83が実行された場合は、最終目的プログラムの作成対象は圧入目標プログラム93となる。
【0040】
図6を参照しながら、ワーク特性探査プログラムの実行によるワーク特性の取得について説明する。
図6はワーク特性探査プログラムによる実行過程を示すフローチャートである。
図5に示したように、3種類のワーク特性探査プログラムのテンプレート(符号81〜83)が用意されており、ワーク特性探査プログラムを実行する際には、未設定のパラメータが設定された完成状態になっている。
【0041】
3種類のワーク特性探査プログラムのテンプレートのうち、
図4のステップ100において入力された必須パラメータの目標値の種類に対応する一つのワーク特性探査プログラムのテンプレートについて、パラメータを設定した完成状態にし、完成したワーク特性探査プログラムを実行する。
図6のフローチャートは、3種類のワーク特性探査プログラムに共通したフローチャートである。
【0042】
開始時はラム2を低速で下降させる(ステップ200)。荷重が接触検知荷重を超えているか否かを判断し(ステップ201)、荷重が接触検知荷重を超えていなければ下降を続行し、接触検知荷重を超えると、その時点の接触位置を保存する(ステップ202)。接触検知荷重とはラム2とワーク13との接触を認知する荷重値であり、前記の通り、接触位置とはラム2がワーク13に接触する位置のことである。
【0043】
以後、制限値を超えたか否かを判断しながら(ステップ203)、かつ目標値に到達したか否かを判断しながら(ステップ204)、ラム2の下降を続行させる。目標値に到達したときには(ステップ204)、その時点の位置と荷重を保存する(ステップ205)。目標値は、
図4のステップ100で入力した目標値であり、目標荷重、目標位置又は目標圧入長であり、制限値は同ステップで入力した制限値であり、前記の通り、目標荷重に対しては限界位置であり、目標値位置及び目標圧入長に対しては限界荷重である。
【0044】
目標値に到達した後は、ラム2の下降を停止させて、ラム2を下降開始位置まで上昇させる(ステップ206)。ラム2の下降中において、目標値に到達する前に、制限値を超えたと判断した場合は(ステップ203)、制限超過のメッセージを表示させるとともに(ステップ207)、直ちにラム2の下降を停止させて、ラムを下降開始位置まで上昇させる(ステップ206)。
【0045】
以上のようにワーク特性探査プログラムの実行により、接触位置、目標荷重まで圧入した場合の位置(ピークストローク)及び目標位置まで圧入した場合の荷重(ピーク荷重)という3つのワーク特性を取得することができる(ステップ202、205)。ワーク特性の取得後は、最終目的プログラムの作成に移行する。
【0046】
以下、主に
図7〜
図13を参照しながら、サーボプレスプログラム作成システム1による最終目的プログラムの作成について工程全体を説明する。
図7は、サーボプレスプログラム作成システム1による最終目的プログラムの作成手順のフローチャートを示している。
図8〜13は、操作端末の表示画面を示している。
【0047】
図7において、開始後はツール特性を取得し(ステップ300)、取得したツール特性に基づいて、推奨パラメータを算出する(ステップ301)。
図8はツール選択画面を示しており、選択したツールタイプ(型名)と、ツール特性(最大荷重、最大ストローク、最大速度)の数値が表示されている。ツール特性は、
図2に示したサーボプレスコントローラ40のツール特性保存部47から、
図3に示した操作端末60のツール特性受信部63が受信する。推奨パラメータの算出は、操作端末60の推奨パラメータ算出部65が行う。
【0048】
推奨パラメータは、ワーク特性探査プログラム及び最終目的プログラムに反映される。このことにより、これらのプログラムは、サーボプレス10がツール特性(最大荷重、最大ストローク、最大速度)を超えないように実行される。ツール特性は、サーボプレス10の各ツールタイプに固有の特性であり、使用者が測定等により割り出す数値ではなく、ツール特性は予めツール特性保存部47に保存しておくことができる。前記のとおり、推奨パラメータ算出部65がツール特性を参照して推奨パラメータを算出するので、推奨パラメータの算出に際し、使用者による数値入力は不要となる。
【0049】
推奨パラメータを算出すると、
図3の操作端末60のパラメータ入力範囲算出部64は、パラメータ入力範囲を算出する(ステップ302)。これは、推奨パラメータは使用者が変更可能であるため、変更範囲をツール特性から導かれる適切な範囲に限定するためである。
【0050】
使用者は、
図8においてツールタイプを選択した後は、動作目標を選択する(ステップ303)。
図9は動作目標の選択画面を示している。動作目標は荷重目標、位置目標、圧入長目標の3パターンである。
図9では荷重目標を選択している。入力された動作目標に応じて、実行対象のワーク特性探査プログラム及び作成対象の最終目的プログラムが異なるので、
図3において、動作目標選択部71は、テンプレートプログラム保存部70に保存されているワーク特性探査プログラム(
図5の符号81〜83参照)及び最終目的プログラム(
図5の符号91〜93参照)からそれぞれ1つを選択し、プログラム編集部62へ送る。
【0051】
動作目標の選択後は、使用者は必須パラメータを入力する(ステップ304)。
図10は必須パラメータの入力画面を示しており、目標荷重とストローク制限の数値が入力済である。入力された必須パラメータは、
図3の入力部72を経てプログラム編集部62に送られる。
【0052】
必須パラメータの入力後、使用者はワーク特性探査プロブラムのその他のパラメータの確認、修正を行う(ステップ305)。
図11はワーク特性探査プロブラムのその他のパラメータの表示画面を示している。これらのパラメータの値は、ステップ301の推奨パラメータの算出ステップで
図3の推奨パラメータ算出部65が算出したものである。
【0053】
使用者は表示されたパラメータを確認し、表示値と異なる希望値へ修正することも可能である。修正後のパラメータは、パラメータ手動編集部66を経てプログラム編集部62に送られ、修正後のパラメータが入力範囲内であれば、プログラム編集部62は、ワーク特性探査プロブラムのパラメータを修正後のパラメータに変更する。
【0054】
図11では下降速度、接触検知荷重及び上昇速度が設定されている。下降速度は、
図6のステップ200におけるラム2の下降速度であり、ワーク特性探査プロブラム実行時はラム2を下降させながら接触位置を探るため、下降速度は低速に設定される。接触検知荷重は、
図6のステップ201における接触検知荷重であり、前記の通りラム2とワーク13との接触を認知する荷重値である。接触検知荷重は、小さ過ぎると誤検出の恐れがあり、大き過ぎると接触位置を正確に取得できないため、これらを考慮した値が設定される。上昇速度は、
図6のステップ206におけるラム2が下降開始位置に戻るときの上昇速度である。
【0055】
ステップ305の完了時点で、ワーク特性探査プロブラムのパラメータが全て定まっているので、
図3において操作端末60のプログラム送信部68は、ワーク特性探査プロブラムを
図1のサーボプレスコントローラ40へ送信する(ステップ306)。ワーク特性探査プロブラムは、
図2において、サーボプレスコントローラ40のプログラム保存部45に保存される。
【0056】
続いて、
図3の操作端末60のプログラム実行指令部67は、
図2のサーボプレスコントローラ40へワーク特性探査プロブラムの実行を指令し、サーボプレスコントローラ40のプログラム実行部43は、ワーク特性探査プロブラムを実行する(ステップ307)。
【0057】
ワーク特性探査プロブラムの実行後は、ワーク特性の取得に成功したか否かを判断する(ステップ308)。ワーク特性の取得に成功していると、取得したワーク特性を最終目的プログラムのパラメータに反映する(ステップ309)。このことにより、最終目的プログラムの作成が一旦完了する。ワーク特性は、
図2のサーボプレスコントローラ40から、
図3の操作端末30に送られて、操作端末30において最終目的プログラムが作成される。
【0058】
より具体的には、サーボプレス10で検出したワーク特性は、
図2において、プロブラム実行部43に入力され、プログラム実行結果保存部44に保存される。ここに保存されたワーク特性は、
図3におけるプログラム実行指令部67からのプログラム実行結果取得指令に基づいて、操作端末60のプログラム実行結果受信部69が受信し、プログラム編集部62に送られる。プログラム編集部62において、最終目的プログラムのその他ラパラメータが決定され、最終目的プログラムが作成される。
【0059】
図12は探査結果の表示画面であり、取得したワーク特性である接触荷重、ピーク荷重及びピークストロークの値が表示されている。
図13は、最終目的プログラムのパラメータ確認用画面である。使用者は表示画面で、最終目的プログラムのその他ラパラメータの確認、修正を行う(ステップ310)。ワーク特性探査プロブラムの場合と同様に、使用者は表示されたパラメータを確認し、表示値と異なる希望値へ修正することも可能である。修正後のパラメータは、パラメータ手動編集部66を経てプログラム編集部62に送られ、修正後のパラメータが入力範囲内であれば、プログラム編集部62は、最終目的プログラムのパラメータを修正後のパラメータに変更する。
【0060】
図13において、目標荷重及びストローク制限は、
図10の必須パラメータの入力画面で使用者が入力した値である。
図13の接触位置の値は、
図12の探査結果における接触位置の値である。
図13の接触検知荷重の値は、
図11のワーク特性探査プロブラムのその他のパラメータの表示画面における接触検知荷重の値であり、前記の通り、ステップ301の推奨パラメータの算出ステップで推奨パラメータ算出部65が算出したものである。
図13において、アプローチ速度、異物検知荷重、接触速度、圧入速度、戻り速度、戻り位置及び保持時間についても、ステップ301の推奨パラメータの算出ステップで推奨パラメータ算出部65が算出したものである。以下、アプローチ速度等の定義について説明する。
【0061】
アプローチ速度のアプローチは、ラム2が下降開始置からワーク13に接触する手前までの無負荷高速運転のことであり、アプローチ速度とは、アプローチで使用する速度のことである。アプローチ速度は、作業時間を短くするためになるべく高速に設定する。異物検知荷重とは、アプローチ中に誤って障害物に接触した場合は直ちに停止する必要があるために設定する値であり、障害物に接触したと判断する荷重値のことである。
【0062】
接触速度は、ラム2とワーク13が接触するときの速度のことである。ラム2が高速でワーク13に接触すると衝撃荷重が発生し、衝撃荷重によるワーク13、治具等の変形は避けるべきである。また、衝撃荷重はサーボプレス10の機械部品の短寿命化も招く。このため、衝撃荷重はなるべく小さく抑えるべきである。これらを考慮して、接触速度は通常小さい値に設定される。
【0063】
圧入速度とは、ラム2のワーク13への接触後から目標荷重又は目標位置までの動作速度のことである。保持時間とは、目標値に到達後からのその位置に静止するまでの時間のことである。戻り位置とは、圧入動作終了後に戻る待機位置のことであり、下降開始位置と同じ意味である。戻り速度とは、圧入後に戻り位置に戻る速度のことであり、無負荷のためアプローチ速度と同様に高速に設定される。
【0064】
図13には各種パラメータが設定されているが、使用者が入力したパラメータは目標荷重及びストローク制限の2個である。その他のパラメータは、
図2に示したサーボプレスコントローラ40のツール特性保存部47に予め入力されているツール特性から算出した値、又はワーク特性探査プロブラムの実行により取得したワーク特性(接触位置)の値である。したがって、最終目的プログラムを作成するための使用者の入力は最低限の2個の必須パラメータで足り、同プログラム作成には特別な熟練は必要ではなく、作成のための労力も軽減されることになる。
【0065】
最終目的プログラムが作成されると、最終目的プログラムを実行し(ステップ311)、サーボプレス10による作業が行われる。実行結果を判定し(ステップ312)、実行結果が良好でなければ目標値を見直す(ステップ313)。目標値が不適切であればステップ304に戻り、必須パラメータの値を適宜修正し、ステップ304以降を繰り返す。目標値が適切であればステップ310に戻り、最終目的プログラムのその他のパラメータを適宜修正し、ステップ310以降を繰り返す。
【0066】
以上、本発明の実施形態について説明したが、前記実施形態は一例であり、適宜変更したものでもよい。例えば、前記実施形態では、
図2のサーボプレスコントローラ40と
図3の操作端末60は、それぞれ独立した構成としているが、操作端末60にサーボプレスコントローラ40の構成の全部又は一部を含ませてもよい。
【解決手段】サーボプレスを駆動させてワーク特性を取得するプログラム実行部と、サーボプレスのツール特性が保存されるツール特性保存部と、ワーク特性探査プログラム及び最終目的プログラムのテンプレートが保存されるテンプレートプログラム保存部70とを備え、必須パラメータは、目標値と制限値の2個であり、ツール特性に基づいて、ワーク特性探査プログラム及び最終目的プログラムのテンプレートに用いる推奨パラメータを算出し、プログラム実行部はワーク特性探査プログラムを実行してワーク特性を取得し、プログラム編集部62は必須パラメータ、推奨パラメータ及びワーク特性を最終目的プログラムのテンプレートに反映させて、最終目的プログラムを作成する。