特許第6754159号(P6754159)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6754159
(24)【登録日】2020年8月25日
(45)【発行日】2020年9月9日
(54)【発明の名称】汚泥処理方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/00 20060101AFI20200831BHJP
   B60P 1/04 20060101ALI20200831BHJP
   B60P 3/00 20060101ALI20200831BHJP
【FI】
   C02F11/00 AZAB
   C02F11/00 C
   B60P1/04 Z
   B60P3/00 Q
【請求項の数】2
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2017-6758(P2017-6758)
(22)【出願日】2017年1月18日
(65)【公開番号】特開2018-114455(P2018-114455A)
(43)【公開日】2018年7月26日
【審査請求日】2018年2月22日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517019740
【氏名又は名称】延岡市
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】宮園 浩
【審査官】 高橋 成典
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−510635(JP,A)
【文献】 特開2015−025054(JP,A)
【文献】 特開2005−249262(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第104609687(CN,A)
【文献】 特開2004−107136(JP,A)
【文献】 特開2012−055808(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 11/00 − 11/20
B60P 1/00 − 1/64
3/00 − 9/00
C10L 5/00 − 7/04
9/00 − 11/08
B09B 1/00 − 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水処理場で脱水された粘土状の脱水汚泥と、剪定枝を主材料とした木質バイオマスとを混合し、ごみ焼却による発電施設である掃工場で燃料として使用する汚泥処理方法であって、混合装置を有する特殊車両を用い、前記脱水汚泥と前記木質バイオマスとを容量比率が1.0程度の割合で前記混合装置によって混合しながら前記清掃工場へ運搬し、加熱処理を経ることなく前記下水処理場と清掃工場とを往復するだけで、混合後は、完全に小粒状態となり、極めて取り扱いやすく、ごみピットへ排出する際に飛散することもない状態の混合汚泥を得、その混合汚泥を前記清掃工場の発電施設で一般ごみと一緒に燃料として使用ることを特徴とする汚泥処理方法。
【請求項2】
請求項1記載の汚泥処理方法において、前記特殊車両がダンプトラックであることを特徴とする汚泥処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、下水処理場からの脱水汚泥と、木質バイオマスとを混合し、ごみ焼却による発電施設である清掃工場で燃料として使用する汚泥処理システム、及びその方法に係る発明である。
【背景技術】
【0002】
通常、住民生活で発生する汚水は、行政が下水処理場で処理している。下水処理場では、図1に示す様に、汚水を浄化した処理水を河川等に放流している。また、この処理に伴って、下水汚泥が発生する。発生した下水汚泥は、脱水処理した後に堆肥等に利用されているのが、一般的な方法である。
また、汚泥を堆肥以外に利用する方法として、汚泥にオゾン処理等の工程を用いて、積極的に熱エネルギーに再利用する技術も知られている(特許文献1)。
また、低質ごみと草木バイオマスとを混合させて焼却する技術も知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2015−166784号公報
【0004】
【特許文献2】特開2005−249262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1は、オゾン処理の為、オゾンガス発生器等の特別の設備が必要となり、それを処理する場所等も必要となる。
また、特許文献2は、草木バイオマスを炭化した炭化物が発生する。これらの炭化物を処理する設備、貯留、供給等を確保することが必要となる。
【0006】
一般的に汚泥処理する行政において、過剰な設備投資や、土地、場所の確保、工程の管理の為の人員の用意は、予算上好ましくない。
この様に汚泥を燃料として再利用する方法として、特別な場所や設備を要せず、また環境問題を発生させない解決手段が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
出願人は、上述の課題を解決するために脱水汚泥と木質バイオマスとを混合する混合装置を有する特殊車両を用いることを見出し、本発明に至った。
つまり、請求項1に係る汚泥処理方法は、水処理場で脱水された粘土状の脱水汚泥と、剪定枝を主材料とした木質バイオマスとを混合し、ごみ焼却による発電施設である掃工場で燃料として使用する汚泥処理方法であって、混合装置を有する特殊車両を用い、前記脱水汚泥と前記木質バイオマスとを容量比率が1.0程度の割合で前記混合装置によって混合しながら前記清掃工場へ運搬し、加熱処理を経ることなく前記下水処理場と清掃工場とを往復するだけで、混合後は、完全に小粒状態となり、極めて取り扱いやすく、ごみピットへ排出する際に飛散することもない状態の混合汚泥を得、その混合汚泥を前記清掃工場の発電施設で一般ごみと一緒に燃料として使用ることを特徴とする汚泥処理方法である。
【0008】
また、請求項2に係る汚泥処理方法は、請求項記載の汚泥処理方法において、前記特殊車両がダンプトラックであることを特徴とする汚泥処理方法である。
【発明の効果】
【0009】
本願発明によれば、下水処理場と清掃工場との間を、汚泥と木質バイオマスとが混合された状態で所定の特殊車両が往復することにより、汚泥処理が可能となり、清掃工場では下水汚泥を通常ごみと同じく発電施設で燃料として取り扱うことになる。
一部の行政においては、下水処理場と清掃工場とをパイプラインやベルトコンベヤ等で接続させて処理するために隣接して設置されている処がみられる。
【0010】
しかし、本願発明では、下水処理場と清掃工場と間を所定の特殊車両で運搬する為に、距離が遠くても全く問題がない。下水処理場と清掃工場とが隣接する必要がないことは、行政にとって、設計の自由度が大きくなり、費用面において極めて大きなメリットとなる。
更に、中間処理工程が不要な為、中間処理の為の貯留場所を要しない。一般に汚泥処理の中間処理物は、臭気が強く環境問題となりやすい。この点も行政にとって、大きなメリットとなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】従来の汚水処理のフロー図である。
図2】本願発明に使用する特殊車両の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本願発明の具体的な実施内容を詳しく述べる。
1)特殊車両
本願発明で用いる特殊車両は、汚泥と木質バイマスとを混合する混合装置を有した車両で、具体的には運搬車の荷台の中に混合装置を搭載して改造された車両である。また、通常のトラックと同様に脱水汚泥と木質バイオマスを上から積み込むことに加えて、ダンプ機能を有して混合物を容易に排出することも出来る。例として特殊車両の概要を図2に示すが、限定はされない。
【0013】
2)下水処理場
下水処理場において、脱水汚泥を所定量特殊車両に積み込む。所定量は、車両の容量によるが、例えば10t車両であれば、5〜6立法メートル程度の量が可能である。同様に木質バイオマスも積み込む。木質バイオマスとは、例えば、剪定枝等を主材料とした住民家庭から発生する焼却ごみである。
【0014】
汚泥と木質バイオマスとの混合物を清掃工場で燃料として使用するためには、清掃工場で受け入れ可能となる小粒状になっていることが必要で、汚泥に対して木質バイオマスの容量比率が大き過ぎないことが重要で、例えば約1.0程度の比率が好ましい。しかし、汚泥の脱水状態等によって、その都度調整することもできる。
上記の混合比率によって、特殊車両に投入されて後、荷台の中の混合装置で攪拌すると短時間で均等に両者が混じり合い、粘土状であった脱水汚泥が小粒状の混合汚泥となる。尚、この混合は、車両が搬送しながらでも可能である。
【0015】
3)清掃工場
混合汚泥を内蔵している特殊車両は、清掃工場において、一般清掃車がごみを排出するのと同様に、混合汚泥を清掃工場のごみピットへ排出できる。
上記の下水処理場において、所定の内容で汚泥と木質バイオマスを特殊車両において、攪拌したことによって、混合汚泥は、完全に小粒状態となり、極めて取り扱いやすく、ごみピットへ排出する際に飛散することもない。一般ごみとの攪拌混合性も高く、全く問題なく燃料として使用できる。
【0016】
因みに、下水処理に伴って発生した年間5300tの脱水汚泥の全てを、図1の方法で堆肥化処理している人口約13万人の都市において、そのうちの2200tを本願発明の汚泥処理方法で清掃工場で焼却すると、堆肥化処理委託する場合と比較して約1300万円の節約となることが期待できる。
図1
図2