【文献】
バラ花びらポリフェノールの機能と生理活性、New Food Industry、2007年、Vol.49 No.10、pp.1−9
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
本発明で用いる抽出素材は、バラ科バラ属のダマスクバラ(Rosa damascena)であって、ダマスクバラであれば、どのような品種(交配種、亜種も含む)であってよい。
【0014】
本発明に用いる素材は、ダマスクバラの全草、葉、花部、茎、種子、実、根等、いずれを用いても良いが、全草、或いは花部の使用が好ましい。
【0015】
抽出物の調製は、まず、ダマスクバラ(例えば、全草、花部等)を、必要ならば予め水洗して異物を除いた後、そのまま又は乾燥した上、必要に応じて細切又は粉砕し、抽出溶媒と接触させて抽出を行う。抽出は、浸漬法等の常法に従って抽出溶媒と接触させることで行うことが可能であるが、浸漬法以外にも超臨界抽出法を用いることも可能である。
【0016】
抽出溶媒としては、水;メタノール、エタノール、プロパノールなどの低級アルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチルなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;エチルエーテル、イソプロピルエーテルなどのエーテル類;n−ヘキサン、トルエン、クロロホルムなどの炭化水素系溶媒などが挙げられ、それらは単独で又は二種以上混合して用いられる。
【0017】
それら抽出溶媒のうちでも、得られる抽出物の抗酸化作用、抗炎症作用、表皮細胞のエネルギー代謝促進作用、マトリックスメタロプロテアーゼの活性抑制作用、及び美白作用、さらには、皮膚刺激性の観点から、又化粧料への幅広い適用が可能であるという点からも、本発明においては、水、低級アルコール類又は多価アルコール類などの親水性溶媒が好適である。この親水性溶媒を用いる場合の好ましい例としては、例えば、水、低級アルコール類(特にエタノール)、又は多価アルコール(特に、1,3−ブチレングリコール)の単独使用、或いは、水と低級アルコール類(特にエタノール)との混合溶媒、又は水と多価アルコール類(特に1,3−ブチレングリコール,グリセリン)との混合溶媒の使用等が挙げられるが、なかでも水単独、又は水と1,3−ブチレングリコールの混合溶媒が特に好ましい。
【0018】
混合溶媒を用いる場合の混合比は、例えば水と1,3−ブチレングリコールとの混合溶媒であれば、容量比(以下同じ)で1:10〜20:1、水とエタノールとの混合溶媒であれば、1:10〜25:1、水とグリセリンとの混合溶媒であれば1:10〜20:1の範囲とすることが好ましい。
【0019】
また、ダマスクバラの乾燥部位(例えば、全草又は花部)と抽出溶媒との重量比は好ましくは1:1〜1:50の範囲であり、より好ましくは、1:5〜1:35の範囲である。
【0020】
抽出物の調製に際して、そのpHに特に限定はないが、一般には3〜9の範囲とすることが好ましい。かかる意味で、必要であれば、前記抽出溶媒に、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ性調整剤、又はクエン酸、塩酸、リン酸、硫酸などの酸性調整剤を配合し、所望のpHとなるように調整してもよい。
【0021】
抽出温度、抽出時間等の抽出条件は、用いる溶媒の種類やpHによっても異なるが、例えば、水もしくは1,3−ブチレングリコール、又は水と1,3−ブチレングリコールとの混液を溶媒とする場合であれば、抽出温度は好ましくは0℃〜80℃の範囲であり、より好ましく0℃〜20℃の範囲であり、又抽出時間は好ましくは1〜168時間(1時間〜1週間)であり、より好ましくは1〜120時間(1時間〜5日間)の範囲である。
【0022】
なお、本発明の抽出処理に先立って、又は抽出処理と並行して、必要に応じてダマスクバラに加水分解処理を施してもよい。これによって、ダマスクバラの抽出物の保存安定性等を改善して、化粧料配合剤としての抽出物をより有効に利用できる可能性がある。
【0023】
抽出物に酵素加水分解処理を施す場合、酵素としては、アクチナーゼ、パパイン、ペプシンなどの蛋白分解酵素、グルコアミラーゼ、α−アミラーゼ、β−アミラーゼなどの澱粉分解酵素、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼなどの繊維素分解酵素、及びリパーゼなどの脂肪分解酵素のいずれかの酵素群から選ばれた1種又は2種以上を用いてもよいが、それらの酵素群からそれぞれ選ばれた1種又は2種以上の酵素を組み合わせて用いることがより好ましい。
【0024】
酵素の添加量は、例えば、ダマスクバラの全草、又は花部であれば、その固形分に対して、合計で0.01〜10重量%の範囲とすることが好ましく、より好ましくは0.1〜2.0重量%の範囲である。
【0025】
上述のように調製した抽出物は、一般にはpHを3〜8に調製した上で、これをそのままの状態で化粧料配合剤として使用しても良く、又減圧濃縮等により所望の濃度として使用しても良い。また、抽出物はスプレードライ法等の常法により乾燥物としても良い。
【0026】
また、上述のように調製した抽出物は、保存安定性等を高めるために、一定時間冷蔵保存した上で、上清を化粧料配合剤として使用しても良い。
【0027】
以上のようにして得られる本発明の抽出物には、様々な有効成分が含まれており、例えば、液体クロマトグラフィー(株式会社日立ハイテクノロジーズ社製;LaChrom ELITE)の測定により、有機酸として、没食子酸、クロロゲン酸、カフェ酸が含まれていることを確認した。
【0028】
本発明のダマスクバラの抽出物を含む化粧料(医薬部外品も含む)としては、例えば乳液、クリーム、ローション、エッセンス、パックなどの基礎化粧料、口紅、ファンデーション、リクイドファンデーション、メイクアッププレスパウダー、ほほ紅、白粉などのメイクアップ化粧料、洗顔料、ボディシャンプー、毛髪用シャンプー、石けんなどの清浄用化粧料、育毛剤、さらには浴剤等が挙げられるが、勿論これらに限定されるものではない。
【0029】
本発明の化粧料におけるダマスクバラの抽出物の配合量は、抽出物の固形分として、基礎化粧料の場合は、一般に0.002〜1.0重量%、好ましくは0.02〜0.2重量%の範囲、メイクアップ化粧料の場合は、一般に0.002〜1.0重量%、好ましくは0.02〜0.2重量%の範囲、又清浄用化粧料の場合は、一般に0.002〜10.0重量%、好ましくは0.02〜7.0重量%の範囲である。
【0030】
本発明の化粧料には、必須成分のダマスクバラの抽出物のほかに、通常化粧料に用いられる成分、例えば油性成分、界面活性剤(合成系、天然物系)、保湿剤、増粘剤、乳化剤又は乳化助剤、防腐・殺菌剤、粉体成分、紫外線吸収剤、抗酸化剤、色素、香料、その他の生理活性成分等を必要に応じて適宜配合することができる。また、本発明のダマスクバラの抽出物の有効性、特長を損なわない限り、他の生理活性成分と組み合わせて化粧料に配合することも何ら差し支えない。
【0031】
ここで、油性成分としては、例えばオリーブ油、ホホバ油、ヒマシ油、大豆油、米油、米胚芽油、ヤシ油、パーム油、カカオ油、メドウフォーム油、シアーバター、ティーツリー油、アボガド油、マカデミアナッツ油、植物由来スクワランなどの植物由来の油脂類;ミンク油、タートル油などの動物由来の油脂類;ミツロウ、カルナウバロウ、ライスワックス、ラノリンなどのロウ類;流動パラフィン、ワセリン、パラフィンワックス、スクワランなどの炭化水素類;ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、cis−11−エイコセン酸などの脂肪酸類;ラウリルアルコール、セタノール、ステアリルアルコールなどの高級アルコール類;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、2−エチルヘキシルグリセライド、高級脂肪酸オクチルドデシル(ステアリン酸オクチルドデシル等)などの合成エステル類及び合成トリグリセライド類等が挙げられる。
【0032】
界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルなどの非イオン界面活性剤;脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン脂肪アミン硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、α−スルホン化脂肪酸アルキルエステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩などのアニオン界面活性剤;第四級アンモニウム塩、第一級〜第三級脂肪アミン塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、2−アルキル−1−アルキル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩、N,N−ジアルキルモルフォルニウム塩、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミド塩などのカチオン界面活性剤;N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシメチルアンモニオベタイン、N,N,N−トリアルキル−N−アルキレンアンモニオカルボキシベタイン、N−アシルアミドプロピル−N′,N′−ジメチル−N′−β−ヒドロキシプロピルアンモニオスルホベタインなどの両性界面活性剤等を使用することができる。
【0033】
乳化剤乃至乳化助剤としては、酵素処理ステビアなどのステビア誘導体、レシチン及びその誘導体(水素添加レシチン等)、乳酸菌醗酵米、乳酸菌醗酵発芽米、乳酸菌醗酵穀類(麦類、豆類、雑穀など)等を配合することもできる。
【0034】
保湿剤としては、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、キシリトール、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等があり、さらにトレハロース等の糖類、ムコ多糖類(例えば、ヒアルロン酸及びその誘導体、コンドロイチン及びその誘導体、ヘパリン及びその誘導体など)、エラスチン及びその誘導体、コラーゲン及びその誘導体、NMF関連物質、乳酸、尿素、高級脂肪酸オクチルドデシル、海藻抽出物、シラン根(白及)抽出物、各種アミノ酸及びそれらの誘導体が挙げられる。
【0035】
増粘剤としては、例えばアルギン酸、寒天、カラギーナン、フコイダン等の褐藻、緑藻又は紅藻由来成分;シラン根(白及)抽出物;ペクチン、ローカストビーンガム、アロエ多糖体等の多糖類;キサンタンガム、トラガントガム、グアーガム等のガム類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸共重合体等の合成高分子類;ヒアルロン酸及びその誘導体;ポリグルタミン酸及びその誘導体等が挙げられる。
【0036】
防腐・殺菌剤としては、例えば尿素;パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチルなどのパラオキシ安息香酸エステル類;フェノキシエタノール、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、塩酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、サリチル酸、エタノール、ウンデシレン酸、フェノール類、ジャマール(イミダゾデイニールウレア)、1,2−ペンタンジオール、各種精油類、樹皮乾留物等がある。
【0037】
粉体成分としては、例えばセリサイト、酸化チタン、タルク、カオリン、ベントナイト、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、無水ケイ酸、雲母、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、シルクパウダー、セルロース系パウダー、穀類(米、麦、トウモロコシ、キビなど)のパウダー、豆類(大豆、小豆など)のパウダー等がある。
【0038】
紫外線吸収剤としては、例えばパラアミノ安息香酸エチル、パラジメチルアミノ安息香酸エチルヘキシル、サリチル酸アミル及びその誘導体、パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、桂皮酸オクチル、オキシベンゾン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸塩、4−ターシャリーブチル−4−メトキシベンゾイルメタン、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、アロエ抽出物等がある。
【0039】
抗酸化剤としては、例えばブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、ビタミンE及びその誘導体(例えば、ビタミンEニコチネート、ビタミンEリノレート等)、ムラサキシキブ抽出物、シャクヤク抽出物、シラン根(白及)抽出物等がある。
【0040】
美白剤としては、t−シクロアミノ酸誘導体、コウジ酸及びその誘導体、アスコルビン酸及びその誘導体、ハイドロキノン又はその誘導体、エラグ酸及びその誘導体、ニコチン酸及びその誘導体、レゾルシノール誘導体、トラネキサム酸及びその誘導体、4−メトキシサリチル酸カリウム塩、マグノリグナン(5,5'−ジプロピル−ビフェニル−2,2’−ジオール)、4−HPB(ロドデノール、4−(4−ヒドロキシフェニル)−4−ブタノール))、ヒドロキシ安息香酸及びその誘導体、ビタミンE及びその誘導体、α−ヒドロキシ酸、AMP(アデノシンモノホスフェイト、アデノシン1リン酸)が挙げられ、これらを単独で配合しても、複数を組み合わせて配合しても良い。
【0041】
上記のコウジ酸誘導体としては、例えばコウジ酸モノブチレート、コウジ酸モノカプレート、コウジ酸モノパルミテート、コウジ酸ジブチレートなどのコウジ酸エステル類、コウジ酸エーテル類、コウジ酸グルコシドなどのコウジ酸糖誘導体等が、アスコルビン酸誘導体としては、例えばL−アスコルビン酸−2−リン酸エステルナトリウム、L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルマグネシウム、L−アスコルビン酸−2−硫酸エステルナトリウム、L−アスコルビン酸−2−硫酸エステルマグネシウムなどのアスコルビン酸エステル塩類、L−アスコルビン酸−2−グルコシド、L−アスコルビン酸−5−グルコシドなどのアスコルビン酸糖誘導体、それらアスコルビン酸糖誘導体の6位アシル化物(アシル基は、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基など)、L−アスコルビン酸テトライソパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸テトララウリン酸エステルなどのL−アスコルビン酸テトラ脂肪酸エステル類、3−O−エチルアスコルビン酸、L−アスコルビン酸−2−リン酸−6−O−パルミテートナトリウム、グリセリルアスコルビン酸又はそのアシル化誘導体、ビスグリセリルアスコルビン酸等のアスコルビン酸グルセリン誘導体が、ハイドロキノン誘導体としては、アルブチン(ハイドロキノン−β−D−グルコピラノシド)、α−アルブチン(ハイドロキノン−α−D−グルコピラノシド)等が、トラネキサム酸誘導体としては、トラネキサム酸エステル(例えば、トラネキサム酸ラウリルエステル、トラネキサム酸ヘキサデシルエステル、トラネキサム酸セチルエステル又はその塩)、トラネキサム酸のアミド体(例えば、トラネキサム酸メチルアミド)などが挙げられ、レゾルシノール誘導体としては、例えば、4−n−ブチルレゾルシノール、4−イソアミルレゾルシノール等が、2,5−ジヒドロキシ安息香酸誘導体としては、例えば2,5−ジアセトキシ安息香酸、2−アセトキシ−5−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−5−プロピオニルオキシ安息香酸等が、ニコチン酸誘導体としては、例えばニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等が、α−ヒドロキシ酸としては、例えば乳酸、リンゴ酸、コハク酸、クエン酸、α−ヒドロキシオクタン酸等がある。
【0042】
生理活性成分としては、美白成分として、例えば、胎盤抽出液、ソウハクヒ抽出物、ユキノシタ抽出物、シソ抽出物、米糠抽出物又はその加水分解物、白芥子抽出物又はその加水分解物、白芥子の発酵物、シャクヤク抽出物又はその加水分解物、乳酸菌醗酵米、ムラサキシキブ抽出物、ハス種子抽出物又はその加水分解物、ハス種子発酵物、党参抽出物、ハトムギ加水分解物、ハトムギ種子発酵物、ローヤルゼリー発酵物、酒粕発酵物、パンダヌス・アマリリフォリウス(Pandanus amaryllifolius Roxb.)抽出物、アルカンジェリシア・フラバ(Arcangelicia flava Merrilli)抽出物、カミツレ抽出物等が上げられ、抗老化成分として、サンゴ草抽出物、イネの葉の抽出物又はその加水分解物、ナス(水ナス、長ナス、賀茂ナス、米ナス等)抽出物又はその加水分解物、アンズ果実の抽出物、カタメンキリンサイ等の海藻の抽出物、アマモ等の海産顕花植物の抽出物、豆乳発酵物、クラゲ水、米抽出物又はその加水分解物、米醗酵エキス、発芽米抽出物又はその加水分解物、発芽米発酵物、黒豆抽出物又はその加水分解物、リノール酸及びその誘導体もしくは加工物(例えばリポソーム化リノール酸など)、動物又は魚由来のコラーゲン及びその誘導体、エラスチン及びその誘導体、グリチルリチン酸及びその誘導体(ジカリウム塩等)、t−シクロアミノ酸誘導体、ビタミンA及びその誘導体、アラントイン、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、γ−アミノ−β−ヒドロキシ酪酸、ゲンチアナ抽出物、甘草抽出物、ニンジン抽出物、アロエ抽出物、ミツイシコンブ抽出物、ヘチマ抽出物、アナアオサ抽出物、ジュアゼイロ(Zizyphus joazeiro)抽出物等がある。
【0043】
次に、製造例、処方例及び試験例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。なお、以下において、部はすべて重量部を、また%はすべて重量%を意味する。
【0044】
製造例1.ダマスクバラの花の抽出物溶液の調製
バラ科バラ属のダマスクローズの花弁を乾燥し、乾燥物15gに精製水を225g添加し4℃で浸漬した後、1,3−ブチレングリコールを225g添加した。これを4℃で抽出を行った後ろ過し、褐色透明のダマスクローズ花抽出物溶液382gを得た(固形分濃度0.94%)。
【0045】
製造例2.ダマスクバラの全草の抽出物溶液の調製
バラ科バラ属のダマスクローズの全草を乾燥し、乾燥物15gに精製水を225g添加し4℃で浸漬した後、1,3−ブチレングリコールを225g添加した。これを4℃で抽出を行った後ろ過し、褐色透明のダマスクローズ全草抽出物溶液346gを得た(固形分濃度0.69%)。
【0046】
処方例1.化粧水
[A成分] 部
オリーブ油 1.0
ポリオキシエチレン(5.5)セチルアルコール 5.0
ブチルパラベン 0.1
[B成分] 部
製造例1の抽出物溶液 5.0
エタノール 5.0
グリセリン 5.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
水酸化カリウム 適量
精製水 全量が100部となる量
[C成分]
香料 適量
A成分及びB成分をそれぞれ80℃以上に加温後、A成分にB成分を加えて攪拌し、さらにヒスコトロン(5000rpm)で2分間ホモジナイズを行った。これを50℃まで冷却した後、C成分を加えて攪拌混合し、さらに30℃以下まで冷却して化粧水を得た。
【0047】
処方例2.化粧水
処方例1のB成分に含まれる製造例1の抽出物溶液に代えて、製造例2の抽出物溶液5.0部を用いるほかは、処方例1と同様にして化粧水を得た。
【0048】
処方例3.乳液
[A成分] 部
流動パラフィン 6.0
ヘキサラン 4.0
ホホバ油 1.0
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート 2.0
大豆レシチン 1.5
[B成分] 部
製造例1の抽出物溶液 3.0
L−アスコルビン酸−2−グルコシド 2.0
水酸化カリウム 0.5
グリセリン 3.0
1,3−ブチレングリコール 2.0
カルボキシメチルセルロース 0.3
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
精製水 全量が100部となる量
[C成分]
香料
適量
上記のA成分とB成分をそれぞれ80℃以上に加熱した後、攪拌混合した。これを50℃まで冷却した後、C成分を加えてさらに攪拌混合して乳液を得た。
【0049】
処方例4.乳液
処方例3のB成分中、L−アスコルビン酸−2−グルコシド2.0部及び水酸化カリウム0.5部に代えてトラネキサム酸2.0部を用いるほかは処方例3と同様にして乳液を得た。
【0050】
処方例5.乳液
[A成分] 部
流動パラフィン 6.0
ヘキサラン 4.0
ホホバ油 1.0
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート 2.0
大豆レシチン 1.5
[B成分] 部
製造例1の抽出物溶液 5.0
L−アスコルビン酸−2−グルコシド 2.0
水酸化カリウム 0.5
アルブチン 3.0
グリセリン 3.0
1,3−ブチレングリコール 2.0
カルボキシメチルセルロース 0.3
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
精製水 全量が100部となる量
【0051】
処方例6.ローション
[成分] 部
製造例2の抽出物溶液 10.0
エタノール 10.0
グリセリン 3.0
1、3−ブチレングリコール 2.0
メチルパラベン 0.2
クエン酸 0.1
クエン酸ナトリウム 0.3
カルボキシビニルポリマー 0.1
香料 適量
水酸化カリウム 適量
精製水 全量が100部となる量
上記の成分を混合してローションを得た。
【0052】
処方例7.エッセンス
[成分] 部
エタノール 2.0
グリセリン 5.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
メチルパラベン 0.1
ヒアルロン酸 0.1
製造例1の抽出物溶液 5.0
クエン酸 0.3
クエン酸ナトリウム 0.6
精製水 全量が100部となる量
精製水にヒアルロン酸を溶解させた後、残りの原料を順次加えて攪拌溶解させ、透明のエッセンスを得た。
【0053】
処方例8.エッセンス
処方例7の成分中製造例1の抽出物溶液に代えて製造例2の抽出物溶液5.0部を用いるほかは処方例7と同様にしてエッセンスを得た。
【0054】
実施例9.リキッドファンデーション
[A成分] 部
ステアリン酸 2.4
モノステアリン酸プロピレングリコール 2.0
セトステアリルアルコール 0.2
液状ラノリン 2.0
流動パラフィン 3.0
ミリスチン酸イソプロピル 8.5
プロピルパラベン 0.05
[B成分] 部
製造例1の抽出物溶液 5.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.2
ベントナイト 0.5
プロピレングリコール 4.0
トリエタノールアミン 1.1
メチルパラベン 0.1
精製水 全量が100部となる量
[C成分] 部
酸化チタン 8.0
タルク 4.0
着色顔料 適量
上記のA成分とB成分をそれぞれ加温した後混合攪拌した。これを再加温し、上記のC成分を添加して型に流し込み、室温になるまで攪拌してリキッドファンデーションを得た。
【0055】
処方例10.ボディシャンプー
[A成分] 部
N−ラウロイルメチルアラニンナトリウム 25.0
ヤシ油脂肪酸カリウム液(40%) 26.0
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 3.0
メチルパラベン 0.1
[B成分] 部
製造例2の抽出物溶液 5.0
1,3−ブチレングリコール 2.0
精製水 全量が100部となる量
A成分及びB成分をそれぞれ80℃に加温して均一に溶解した後、A成分にB成分を加え、攪拌を続けて室温まで冷却してボディシャンプーを得た。
【0056】
試験例1.表皮細胞内カタラーゼ活性亢進効果試験
本発明に係る製造例1の抽出物の表皮細胞内カタラーゼ活性亢進効果をカタラーゼの基質である過酸化水素の消去能により評価した。
<実験方法>
(イ)培養細胞からのカタラーゼ活性測定用試験液(粗酵素液)の調整
正常ヒト表皮角化細胞を増殖添加剤含有HuMedia-KG2(登録商標)(クラボウ社製)にて1.2×10
5個/mLに調製し、6穴マイクロプレートに1mLを播種して、5%炭酸ガス、飽和水蒸気下、37℃で培養した。24時間培養後、さらに、製造例1の抽出物溶液を含む培養液(試料溶液)を添加して48時間培養した。ここで、試料溶液としては、その全量に対する製造例1の抽出物溶液の終濃度(溶液としての濃度)がそれぞれ0.5%,1.0%となるように調製した2種の濃度のものを使用した。また、製造例1の抽出物溶液に代えて50%1,3−ブチレングリコールを含んだ培養液を追添加した試験区をcontrol区として設定した。ここで、コントロール(control)区の1,3−ブチレングリコールの濃度は、追添加する培養液の全量に対して溶液として終濃度が1%となるように調製した。48時間後、それぞれの試験区の細胞培養上清を除去し0.1%トリトン(Triton)X−100を含むトリス-塩酸緩衝液(pH7.8)を用いて細胞を破砕した。それぞれの細胞破砕液の蛋白質量を測定し、すべての細胞破砕液の蛋白質含量が一定になるように希釈調整したものを試料の粗酵素液とした。
(ロ)カタラーゼ活性の測定
基質として20mM過酸化水素を含むトリス−塩酸緩衝液(pH7.8)3mLに対し、各粗酵素液100μLを添加し、直ちに240nmにおける吸光度(V
0)を測定した。室温で20分静置後、同様に240nmにおける吸光度(V
1)を測定し、20分間の240nmにおける吸光度の変化量から算出した値(V
0−V
1)をカタラーゼによる過酸化水素消去量とした。また、カタラーゼ活性の測定が正常に機能しているかを確認するために、粗酵素液の代わりに陽性対照としてカタラーゼ(終濃度50u/mL)を添加した場合についても、同様の試験を行った。
【0057】
試験例1の表皮細胞内カタラーゼ活性亢進効果の結果を
図1に示す。
図1に示す通り、コントロールでは全く過酸化水素の消去が認められなかったのに対して、本発明に係る製造例1のダマスクバラの抽出物は濃度依存的に格段にすぐれた過酸化水素消去能を示した。このように、本発明に係る製造例1のダマスクバラの抽出物は、表皮細胞内のカタラーゼ活性を亢進する効果を奏することが確認された。また、陽性対照であるカタラーゼも過酸化水素の消去を示したことから、カタラーゼ活性の測定が正常に行われたことも確認された。
【0058】
試験例2.過酸化脂質生成抑制効果試験
<実験方法>
0.5Mリノール酸エタノール1.0mL、0.2Mリン酸緩衝液(pH7.0)10mLおよびエタノール9.0mLを混合し、充分撹拌した。この混合液に製造例1の抽出物溶液5.0mLを加えて充分撹拌し、試料溶液を調製した。ここで、試料溶液としては、その全量に対する製造例1の抽出物溶液の終濃度(溶液としての濃度)がそれぞれ0.5%,1.0%となるように調製した2種の濃度のものを使用した。この試料溶液の調製直後のものと40℃の恒温槽中て4日間放置したものに対して、それぞれ0.1mL、75%エタノール4.7mL、30%チオシアン酸アンモニウム溶液0.1mL、及び0.02M塩化第一鉄の3.5%塩酸溶液0.1mLを加えて充分に混合撹拌したのち、3分後の波長500nmにおける吸光度を測定した。また。コントロールとして1,3−ブチレングリコールの1%水溶液についても同様の試験を行い、本試験系での過酸化脂質生成量を、コントロールを100とした場合の相対値で表した。
【0059】
試験例2の結果を
図2に示す。
図2に示す通り、本発明の製造例1のダマスクバラの抽出物は、濃度依存的に格段にすぐれた過酸化脂質生成抑制効果を奏することが明らかとなった。
【0060】
試験例3.DPPHラジカル捕捉試験
<実験方法>
DPPH2.4部をエタノール20部に溶解し、これに精製水20部を加えてDPPH溶液を調製した。このDPPH溶液24部に対して、18v/v%エタノール溶液を19.2部、2M酢酸-酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)を4.8部加えて、DPPH添加溶液として調製した。また、抽出液そのものの色調が試験に及ぼす影響を差し引くため、DPPH溶液の代わりに50v/v%エタノール溶液を用いて、18v/v%エタノール溶液と2M酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液を混合した液を対照液とした。次に、製造例1の抽出物溶液を精製水で希釈して試料溶液を調製した。ここで、試料溶液としては、その全量に対する製造例1の抽出物溶液の終濃度(溶液としての濃度)がそれぞれ0.5%,1.0%となるように調製した2種の濃度のものを使用した。この試料溶液とDPPH添加溶液又は対照液とを1:3の割合で混合し、室温で10分静置後、各試験溶液をDPPH添加溶液と混合した場合の550nmにおける吸光度と、同じく各試験溶液を対照液と混合した場合の550nmにおける吸光度との差を測定し、DPPHラジカルの残存量を確認した。また、同時にコントロールとして製造例1の抽出物溶液の代わりに、50%1,3-ブチレングリコール水溶液を用いて上記と同様の操作を行い、ここに得られる DPPHラジカル残存率に対する各試料添加時のDPPHラジカル残存率の相対値を求めた。また、試験系が正常に機能しているかを確認するために、試料溶液の代わりに陽性対照として水溶性ビタミンE(終濃度25μM)を添加した場合についても、同様の試験を行った。
【0061】
試験例3の結果を
図3に示す。
図3に示す通り、本発明の製造例1のダマスクバラの抽出物は、濃度依存的に格段にすぐれたDPPHラジカル消去効果を奏することが明らかとなった。また、陽性対照である水溶性ビタミンEもDPPHラジカル消去効果を示したことから、本試験系が正常に行われたことも確認された。
【0062】
試験例4.脱顆粒抑制効果試験
本発明に係るダマスクバラの抽出物の抗炎症効果を細胞の脱顆粒抑制試験により評価した。ここで、皮膚細胞は、外的要因(紫外線や化学物質)の影響を受けると抗原が発生し、この抗原が抗塩基球やマスト細胞の脱顆粒(ヒスタミン、セロトニン及び好酸球遊走因子等の放出)に関与していることが知られている。この脱顆粒は皮膚の炎症やアレルギーの発症に関与することも知られていることから、本発明においては抗炎症効果を抗塩基球の脱顆粒抑制試験により評価した。
【0063】
<実験方法>
ラット好塩基球白血病細胞(RBL-2H3)を、10%NCS含有イーグル最少必須培地に懸濁して96穴プレートに1×10
5個ずつ播種し、37℃で24時間培養した。コンフルエントになった細胞をリリーシング緩衝液(releasing buffer) [117mM NaCl,5.4mM KCl,2.0mM CaCl,0.8mM MgSO,5.6mM
D-グルコース,25mM HEPES(2-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル]エタンスルフォン酸),1mg/mL
BSA/pH7.7]の200μL/ウェル(well)を用いて洗浄した後、リリーシング緩衝液に製造例1の抽出物溶液を添加した試料溶液を調製した。この試料溶液をそれぞれウェルに添加し、さらに脱顆粒を誘導するため、200μg/mLの化合物48/80(compound48/80)/リリーシング緩衝液の100μLをさらに添加して、37℃で1時間インキュベートした。ここで、試料溶液としては、その全量に対する製造例1の抽出物溶液の終濃度(溶液としての濃度)が1.0%となるように調製した濃度のものを使用した。また、比較のため、製造例1の抽出物溶液の代わりに50%1,3−ブチレングリコール水溶液を含むリリーシング緩衝液を添加した試験区を二つ設け、一方の試験区(ブランク)にはリリーシング緩衝液のみを、他方の試験区(コントロール)には上記と同様の脱顆粒用の化合物48/80/リリーシング緩衝液溶液をそれぞれ100μL添加して、37℃で1時間インキュベートした。さらに、脱顆粒抑制効果を有することが公知の甜茶エキス(溶液として終濃度が5%に調製されたエキス)を陽性対照とした。脱顆粒誘導後、細胞外に遊離したβ−ヘキソサミニダーゼの酵素活性を測定するために細胞上清50μLを別の96穴マイクロプレートに分取した。β−ヘキソサミニダーゼ活性の測定は次のように行った。すなわち、別プレートに取った各細胞上清50μLに基質として5mM p−ニトロフェニル−2−アセタミド-2-デオキシ-β-グルコピラノシド(p-Nitrophenyl-2-acetamide-2-deoxy-β-D-glucopyranoside)を50μL加え、37℃のCO
2インキュベーター内で30分間反応させた。その後100μLの0.2Mグリシン緩衝液 (glycinebuffer)(pH10.7)を加えて反応を停止し、吸光プレートリーダー(BIO RAD社製:Model 680)で415nmの吸光度を測定し、β−ヘキソサミニダーゼ活性の指標とした。
【0064】
試験例4の結果を
図4に示す。
図4に示す通り、本発明の製造例1に係るダマスクバラの抽出物は、抗塩基球の脱顆粒を顕著に抑制することが明らかとなった。また、陽性対照である甜茶エキスも同様の効果を示したことから、本試験系が正常に行われたことも確認された。
【0065】
試験例5.プロスタグランジンE2(以下「PGE2」と称する)生成抑制効果試験
本発明に係るダマスクバラの抽出物の抗炎症効果をPEG2の生成抑制試験により評価した。ここで、PGE2は、皮膚の炎症を惹起する炎症性のケミカルメディエーターであって、紫外線や化学物質等の外的要因によりダメージを受けた皮膚細胞内で分泌される物質である。よって、本発明においては、このPGE2の生成抑制効果試験により、抗炎症効果を評価した。
【0066】
<実験方法>
ウサキ角膜由来細胞(SIRC)を、10%FBS含有イーグル最少必須培地に懸濁して96穴プレートに5.0×10
3個ずつ播種し、37℃で3日間培養した後、その培養液に製造例1の抽出物溶液(試料溶液)を添加して、さらに24時間培養した。ここで、製造例1の抽出物溶液は、上記培養液全量に対する溶液としての終濃度が0.2%又は0.5%の濃度となるように添加した。また、試料溶液の代わりに50%1,3-ブチレングリコール水溶液を添加し24時間培養したものコントロールとした。次に培養器の底面から100mJ/cm
2の紫外線B波を照射し、さらに2日間培養後、培養上清に分泌されたPGE2の量を、PGE2測定キット(カイマンケイミカル社製)を用いて測定した。また、試料溶液の代わりに陽性対照としてインドメタシン10μMを用いた場合のPGE2の量も同様に測定した。また、試料溶液の代わりに50%1,3-ブチレングリコール水溶液を添加し24時間培養後、紫外線を照射しない対照区についてもPGE2の量を測定した。
【0067】
試験例5の結果を
図5に示す。
図5に示す通り、本発明の製造例1に係るダマスクバラの抽出物は、紫外線(UV)照射により促進されるPGE2の生成を顕著に抑制し、当該抑制効果は濃度依存的であることが明らかとなった。また、陽性対照であるインドメタシンも同様の効果を示したことから、本試験系が正常に行われたことも確認された。
【0068】
試験例6.チロシナーゼ活性抑制試験
<実験方法>
マックイルベイン緩衝液(pH6.8)を用いて125U/mLのチロシナーゼ酵素液を調製した。次に、製造例1の抽出物溶液を精製水により調製した試料溶液を96ウェルマイクロプレートに100μL/ウェルずつ添加した。ここで、試料溶液としては、その全量に対する製造例1の抽出物溶液の終濃度(溶液としての濃度)がそれぞれ0.5%,1.0%となるように調製した2種の濃度のものを使用した。次に、0.03%L−チロシン溶液を同じく100μL/ウェルずつ添加し、十分に混合した。これに上記チロシナーゼ酵素液を100μL/ウェルずつ添加して十分に混合し、室温で10分間静置した。そして、波長490nmにおける反応溶液の吸光値を測定した。また、製造例1の抽出物溶液の代わりに50%1,3−ブチレングリコール水溶液を用いて同様に操作したものをコントロールとし、チロシナーゼ活性率を、コントロールの吸光値を100としたときの相対値により求めた。
【0069】
試験例6の結果を
図6に示す。
図6に示すように、本発明1に係る製造例1のダマスクバラの抽出物は、濃度依存的に格段にすぐれたチロシナーゼ活性抑制効果を示した。
【0070】
試験例7.B16メラノーマ細胞を用いたチロシナーゼ活性抑制効果試験
本発明に係る製造例1のダマスクバラの抽出物のチロシナーゼ活性抑制効果をさらに細胞を用いて評価した。
【0071】
<実験方法>
B16マウスメラノーマ細胞を、96穴マイクロプレートに4×10
3個/穴播種し、10%FBS含有RPMI中、37℃、5%CO
2の条件下に1日間プレ培養した後、製造例1の抽出物溶液を10%FBS含有イーグルMEMにより希釈した試料溶液を追添加し、同条件で2日間培養した。ここで、試料溶液としては、その全量に対する製造例1の抽出物溶液の終濃度(溶液としての濃度)がそれぞれ0.5%,1.0%となるように調製した2種の濃度のものを使用した。培養終了後、培養液を除去し、0.3mg/mLのMTT溶液を添加するか、又は、界面活性剤 (Triton X-100)と5mMのLドーパ溶液を添加して37℃で反応を行った後、マイクロプレートリーダー(Model 680、バイオラッド社製)を用い、波長570−630nmで MTT値を、波長490nmでドーパ値をそれぞれ測定した。なお、比較のため、製造例1の抽出物溶液に代えて、50%1,3−ブチレングリコール水溶液1%添加の場合(対照)及びコウジ酸の添加の場合(陽性対照) についても同様の試験を行った。本発明においてはチロシナーゼ活性率及びMTT活性率を、それぞれコントロールの値を100としたときの相対値で求めた。
【0072】
試験例7の結果を表1に示す。
[表1]
表1に示すように、本発明1に係る製造例1のダマスクバラの抽出物は、細胞に対する刺激性を有することなく、かつ、濃度依存的に格段にすぐれた細胞内チロシナーゼ活性抑制効果を示すことが明らかとなった。また、陽性対照であるコウジ酸も同様の効果を示したことから、本試験系が正常に行われたことも確認された。
【0073】
試験例8.正常ヒト表皮細胞の遺伝子発現評価試験
本試験においては、本発明に係るダマスクバラ抽出物による、正常ヒト表皮細胞の遺伝子発現に与える影響について評価するため、以下の通り試験を行った。
[試験方法]
正常ヒト表皮細胞を増殖添加剤含有HuMediaKG2[クラボウ社製]にて6×10
5個/mLに調製し、φ6cmシャーレに1mLを播種して、5%CO
2、飽和水蒸気下、37℃で培養した。24時間培養後、さらに、製造例1のダマスクバラ抽出物を含んだ培養液(培養液全量に対して溶液として終濃度が1.0%となるように当該抽出物を添加したもの)を添加して培養した。また、比較対照として、製造例1のダマスクバラ抽出物に代えて、50%1,3−ブチレングリコール溶液のみを含んだ培養液(培養液全量に対する50%1,3−ブチレングリコールの終濃度を1.0%に調整したもの)を添加した試験区(コントロール区)を設定した。24時間培養後、それぞれの試験区の細胞をTrizol試薬(Invitrogen社製)1mLで回収した。回収した細胞に対してクロロホルム(和光純薬工業社製)200μL添加して撹拌混合し遠心分離機(TOMY社製/MX-160)で15,000rpm、4℃の条件下で15分間遠心分離した後、水層のみを400μL分取した。回収した水層にイソプロパノール(和光純薬工業社製)500μLを添加して撹拌混合し、15,000rpm、4℃の条件下で15分間遠心分離してtotalRNAの沈殿物を得た。totalRNAに75%エタノールを1mL添加して撹拌して洗浄し、15,000rpm、4℃条件下で15分間遠心分離して沈殿を回収した。回収したtotal RNAを所定のキット(PrimeScript RT reagent Kit
with gDNA Eraser (Perfect Real Time)(タカラバイオ社製))を用いて逆転写反応し、cDNAを合成した。合成したcDNAをサンプルとして、Thermal Cycler Dice(登録商標)Real Time System
Single(タカラバイオ社製)、及びSYBR(登録商標)Premix Ex TaqTM II(Perfect
Real Time)[タカラバイオ社製]を用いて、各種遺伝子の発現と、内部標準物質G3PDH遺伝子の発現の検出を行った。ここで、G3PDH(glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase)は、ハウスキーピング遺伝子(多くの組織や細胞中に共通して一定量発現する遺伝子であって、常に発現され,細胞の維持,増殖に不可欠な遺伝子である)の一つであり、発現量が常に一定とされていることから、PCRの実験では内部標準として用いられるものである。試験結果は、G3PDH遺伝子の発現量を一定とした場合の、それぞれの試験区での各遺伝子の発現量を比較した。本試験系においては、コントロール区のそれぞれの遺伝子の発現量を100としたときの他の試験区でのその遺伝子の発現量の相対値を求めた。試験例8の結果を、
図7〜
図11に示す。
【0074】
図7に示すように、本発明に係る製造例1のダマスクバラ抽出物は、生体細胞内において過酸化水素を消去する酵素(ペルオキシレドキシン)の発現を顕著に亢進することが明らかとなった。これにより、本発明に係る製造例1のダマスクバラ抽出物は、表皮細胞の酸化ダメージを抑制することができる。
【0075】
図8に示すように、本発明に係る製造例1のダマスクバラ抽出物は、セリンペプチダーゼインヒビターの発現を顕著に亢進することが明らかとなった。ここで、セリンペプチダーゼは、表皮細胞の細胞膜に存在するPAR−2という蛋白質を部分分解して活性化することでメラノサイトからのメラニン顆粒の受け渡しを促進することが知られている。従って、本発明に係る製造例1のダマスクバラ抽出物は、セリンペプチダーゼの働きを阻害するセリンペプチダーゼインヒビターの発現を亢進することで、細胞間でのメラニン顆粒の受け渡しを抑制し、これにより、皮膚の色素沈着を抑制することができる。
【0076】
図9に示すように、本発明に係る製造例1のダマスクバラ抽出物は、アシルCoAオキシダーゼの発現を顕著に亢進することが明らかとなった。ここで、アシルCoAオキシダーゼは、ペルオキシソームにおけるβ酸化による脂質代謝に重要な酵素であり、脂質からのエネルギー代謝に重要な役割を担っていることが知られている。従って、本発明に係る製造例1のダマスクバラ抽出物は、アシルCoAオキシダーゼの発現を顕著に亢進することから、表皮細胞のエネルギー代謝を亢進し、皮膚の老化を抑制することができる。
【0077】
図10に示すように、本発明に係る製造例1のダマスクバラ抽出物は、炎症性サイトカインの一つであるインターロイキン1β(IL−1β)の発現を顕著に抑制することが明らかとなった。さらに、
図11に示すように、インターロイキン1βや酸化ストレスなどの刺激により活性化され、細胞外マトリックスであるプロテオグリカンやフィブロネクチンを分解する酵素(マトリックスメタロプロテイナーゼ、別名:ストロメライシン)の発現も顕著に抑制することが明らかとなった。従って、本発明に係る製造例1のダマスクバラ抽出物は、肌の炎症ダメージの予防及び改善、並びにそれらのダメージから細胞マトリックスを保護し、肌のハリの低下やシワの発生を抑えることができる。