(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記殺菌工程は、前記予約モードの開始時に、前記加熱制御部が前記容器の温度を略100℃になるまで上昇させ続けるように前記加熱部を制御することを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、
図1〜7に基づき詳細に説明する。
【0011】
(加熱調理器の概要)
図1は、本実施形態に係る加熱調理器101の内部の概略構成を示している。
図2は、加熱調理器101の外観を示している。
【0012】
加熱調理器101は、
図1に示すように、加熱調理器本体(本体部)1と、この加熱調理器本体1に開閉可能に取り付けられた蓋体2と、を備えている。
【0013】
(加熱調理器本体1)
加熱調理器本体1は、
図1に示すように、調理対象となる被加熱物(野菜、肉、魚、調味料等の食材)を収容する内鍋(容器)3を収納する内鍋収納部11と、内鍋収納部11に内鍋3を収納したときに、上記内鍋3に設けられた把手部31を収納する把手収納部12とを含んでいる。
【0014】
さらに、加熱調理器本体1は、内鍋収納部11の上部外側には、後述の蓋体2の外蓋21に設けられた爪受部23と係合する係合爪13が設けられている。係合爪13が爪受部23と係合することで、蓋体2が加熱調理器本体1に係止される。係合爪13と爪受部23との係合は、
図2に示す、外蓋21の表面に設けられた開放スイッチ24で解除することができる。
【0015】
内鍋収納部11は、内鍋3を収納し、当該内鍋3を加熱する。内鍋収納部11には、内鍋3を加熱する加熱部15が、内鍋収納部11に内鍋3を収納したときに内鍋3に接触する位置に配置されている。加熱部15として、例えば、誘導加熱コイル等が挙げられるがこれに限定さない。ここで、内鍋収納部11に内鍋3を収納したときに内鍋3に接触する位置とは、例えば、内鍋収納部11における、内鍋3の底壁3a(図
4参照)と対向する位置、あるいは、内鍋3の底壁3aおよび周壁3b(図
4参照)と対向する位置を示す。
【0016】
また、内鍋収納部11における、内鍋3を収納したときに内鍋3に接触する位置には、当該内鍋3の温度を検知する温度センサ16、及び内鍋3に格納された食材の重さを計量する重量センサ18が設けられている。なお、温度センサ16の検知信号及び重量センサの検知信号は後述の制御部(加熱制御部)17に送信される。温度センサ16の検知信号及び重量センサ18の検知信号の利用については後述する。
【0017】
また、図示はしないが、加熱調理器本体1には、電源回路やインバータ回路等を含む電源部等が配置されている。
【0018】
(蓋体2)
蓋体2は、外蓋21と内蓋22とを備えている。外蓋21は、ヒンジバネ4を介して加熱調理器本体1に組み付けられている。これにより、蓋体2は、加熱調理器本体1に収納された内鍋3の開口を開閉するように、加熱調理器本体1に回動可能に支持されている。
【0019】
図3は、加熱調理器101の蓋体2を開けた状態の斜視図であり、さらに、外蓋21から内蓋22を外した状態を示している。外蓋21は、
図3に示すように、内蓋22が嵌め込まれる凹みが設けられた底部211と、底部211を覆う上部212とから成る。底部211と上部212との間の空間(外蓋21内部)には、図示しない制御基板が設けられ、この制御基板には、加熱調理器101における各種動作の制御を実行する制御部17が配置されている。
【0020】
制御部17は、図示しない演算部や記憶部、並びに、その他の電子部品等で構成され、記憶部に記憶されたプログラムや入力データ等に基づいて加熱部15等を制御して一連の調理動作を実現する。なお、本実施形態では、制御部17は外蓋21の内部に配置されているが、配置場所は限定されず、例えば、加熱調理器本体1に配置されていてもよい。
【0021】
外蓋21は、
図2に示すように、加熱調理器本体1の把手収納部12までを覆うような形状であって、外蓋21の上部212に、蓋体2を開放するための開放スイッチ24、当該開放スイッチ24の近傍に形成された開口である窓部21a、複数の操作ボタン25aや表示ランプ等の表示部25b等が設けられた操作部25が設けられている。
【0022】
また、外蓋21には、操作部25を挟んで窓部21aと反対側に、蒸気口26bが形成された蒸気ダクトユニット26が取り外し可能に設置されている。蒸気ダクトユニット26は、内部にて内鍋3で生じた蒸気を結露させて内鍋3に戻すことで蒸気を循環させるとともに、蒸気の排出量をコントロールする。これにより、加熱調理器101は、食材から出る水分だけで調理を行うことができ、食材の栄養素や風味を活かした調理が可能となっている。蒸気ダクトユニット26は、後述する内蓋22の蒸気案内用開口(通気孔)40dに接続しており、内鍋3で生じた蒸気を取り込む。
【0023】
蒸気ダクトユニット26は、外蓋21から取り外し可能に設けられている。詳細は実施形態2で説明するが、さらに、蒸気ダクトユニット26は覆部と水溜部との上下2つに分解することができる。よって、蒸気ダクトユニット26内部の清掃が行い易すく、清潔に保つことができる。
【0024】
また、外蓋21には、
図3に示すように、内鍋3内に発生する蒸気を検知する水蒸気センサ27が備えられている。この水蒸気センサ27の検知信号も、加熱調理器101の制御部17に送られる。水蒸気センサ27の検知信号の利用については後述する。
【0025】
なお、
図2では、外蓋21の上部212において、操作部25を挟んで窓部21aと反対側に蒸気ダクトユニット26が設けられている場合を例に挙げて示しているが、これら操作部25、窓部21a、蒸気ダクトユニット26の配置は、一例であって、特に限定されるものではない。
【0026】
一方、内蓋22は、外蓋21の底部211における内鍋3との対向面側に、底部211に対して着脱可能に取り付けられた内蓋本体40を有している。内蓋本体40の外周縁部には、当該内蓋本体40の外周縁部を取り囲むように、外周縁部全周に亘って大径パッキン41が設けられている。大径パッキン41は、蓋体2を閉めたときに、内鍋3の開口上縁に設けられたフランジ部3cの上面に密着する。これにより、大径パッキン41は、内蓋22と内鍋3との隙間を塞ぎ、内鍋3からの食材の流出を防止するとともに、食材から出た水分を効率良く蒸気に変換して循環させる。
【0027】
内蓋本体40の一部には、開口40aが形成されており、耐熱性のガラスあるいは透明樹脂等の耐熱性の透明材料40eが嵌め込まれている。この開口40aは、内蓋22を外蓋21に取り付けたときに、上述した外蓋21の窓部21aと重畳する位置に形成されている。これにより、外蓋21の窓部21a及び透明材料40eを介して内鍋3の内部を確認することができるようになっている。開口40aに嵌め込まれた透明材料40eは、外蓋21の窓部21aが開口していることにより外部に露出しているため、外気に晒される。よって、透明材料40eの内鍋3との対向面に付着した蒸気は、透明材料40eの反対面(露出面)が外気により冷却されることで、水滴として内鍋3に戻される。よって、内蓋本体40と内鍋3とによって形成される空間内で蒸気を効率良く循環させることができる。なお、透明材料40eは、樹脂よりもガラスで形成さている方がより効果的に冷却を行える。
【0028】
内蓋本体40は、開口40aの他に、内蓋本体40における内鍋3との対向面の一部には、複数の小さな凸部40bが設けられている。凸部40bは、内蓋本体40に付着した蒸気を水滴として内鍋3に戻す。内蓋本体40に凸部40bが設けられていることで、当該内蓋本体40と内鍋3とによって形成される空間内で蒸気を効率良く循環させることができる。
【0029】
内蓋本体40における凸部40bの形成部分の材質は特に限定されるものではないが、内蓋本体40に付着した蒸気を水滴として内鍋3に戻すために、例えば金属等、結露し易い材質であることが望ましい。
【0030】
さらに、内蓋本体40には、外蓋21に形成された水蒸気センサ27を貫通させるためのセンサ用開口40cと、内鍋3で生じた蒸気を外蓋21の蒸気ダクトユニット26に案内するための蒸気案内用開口40dとが形成されている。
【0031】
蓋体2は、加熱調理器本体1を閉塞状態にしたときに、加熱調理器本体1の内鍋収納部11に収納された内鍋3を内蓋22により密閉し、把手収納部12を外蓋21にて覆うようになっている。つまり、蓋体2は、加熱調理器本体1を閉塞状態にしたときに、加熱調理器本体1の内鍋収納部11及び把手収納部12を覆うようになっている。
【0032】
(内鍋3)
図4は、内鍋3の上部からの斜視図であり、加熱調理器本体1から取り出した状態を示す。内鍋3は、
図3に示すように、底壁3a及び底壁3aから上方に立設された周壁3bを有し、上方が開口した凹形状の加熱容器である。内鍋3における、底壁3aおよび周壁3bで囲まれた内部空間は、調理空間であり、加熱部15により加熱されることで、加熱室として機能する。
【0033】
また、内鍋3の周壁3bの上端部には、内鍋3の外方側に向かって水平方向に延設されたフランジ部3cが、周壁3bの全周に亘って形成されている。このように内鍋3の周壁3bの上端部にフランジ部3cが設けられていることで、内鍋3の上面に蓋体2の内蓋22に形成された大径パッキン41を当接する面積が増加し、内蓋22による内鍋3の密閉性を向上させることができる。
【0034】
なお、
図1〜4に示す内鍋3では、内鍋3の内部空間を形成する開口部が、平面視で円形状に形成されている場合を例に挙げて示しているが、内鍋3の開口形状は、これに限定されるものではなく、任意の形状とすることができる。
【0035】
内鍋3は、例えばアルミニウム等の高熱伝導部材で形成されている。なお、内鍋3の外面には、加熱効率を向上させる例えばステンレス等の磁性体が貼り付けられていてもよく、内鍋3の内面には、食材の付着を防ぐためのフッ素樹脂等がコーティングされていてもよい。
【0036】
また、内鍋3には、上部の外周縁部の一部に、2つの把手部31が互いに対向して設けられている。把手部31は、例えばプラスチック等、耐熱性および電気絶縁性を有する材料で形成される。
【0037】
(加熱調理)
加熱調理器101は、メニュー毎の加熱による調理を実行する調理モード(例えば、カレーモード、肉じゃがモード、ケーキモード等)を有している。それぞれの調理モードには、調理モードの開始と同時に調理が開始される通常モードと、予約調理を行う予約モードが付随している。予約調理とは、予約時刻または予約時間後に内鍋3に収容された食材の調理が完了する調理を指す。各モードは、操作部25からユーザにより選択されるように構成されている。
【0038】
制御部17は、選択された調理モードに応じて、加熱部15の加熱を制御する。また、制御部17は、温度センサ16、重量センサ18、及び水蒸気センサ27による検知結果(検知値)を基に加熱部15の加熱を制御することで、自動で加熱制御を行う。このように加熱を制御することで、加熱調理器101は、選択された調理モードに応じた調理を実行する。
【0039】
具体的には、制御部17は、加熱部15への通電のONとOFFとを切り換える制御により、加熱の制御を行う。制御部17は、温度センサ16、重量センサ18、及び水蒸気センサ27による検知結果を基に加熱部15の加熱を制御しているので、より正確な制御をすることができる。このように加熱を制御することで、加熱調理器101は、選択された調理モードに応じた調理を実行する。さらに、制御部17は、調理完了後、食材が腐敗し易い温度帯よりも高い温度で保温を行うよう加熱部15の加熱を制御する。
【0040】
さらに、制御部17は、図示しないタイマ部を備え、調理時間の管理を行うとともに、予約調理が可能となっている。
【0041】
このように、加熱調理器101は、温度管理がし易い調理器であるので、肉じゃがやカレー等の煮込み料理はもちろんのこと、温度管理が難しい発酵食品(ヨーグルト等)を作ったり、麺類を茹でたりでき、上述のように、内鍋3内の食材から出た水分を効率良く蒸気に変換して循環させることができることから、水分を加えない調理あるいは少量の水分での調理も可能である。
【0042】
以下に、加熱調理器101の実行する予約モード(第1の予約モード)について説明する。
【0043】
図5は、第1の予約モードにおける経過時間と温度センサが16検知した温度との関係を示すグラフである。加熱調理器101において、第1の予約モードが選択されると、
図5に示すように、制御部17は、予約モードの開始時に、内鍋3に収容された食材内部の温度が70℃以上になる期間が1分以上維持されるように、加熱部15による加熱を制御する第1制御を行う。ここで、予約モードの開始時とは、本実施形態では、予約直後、すわなち、予約モードを開始させるための操作部25の予約ボタンが押された直後を指す。なお、
図5では、例示として100℃となる期間が1分以上維持されるように制御している。
【0044】
加熱調理器101は、第1制御を行うことで、予約モードの開始時に、内鍋3内の食材の内部温度が70℃以上になる期間が1分以上維持されるので、食材に付着した又は食材付近のほとんどの雑菌を殺菌することができる。よって、食材の腐敗を防ぐことができる。予約モード開始してから調理が始まるまでに長時間あったとしても、予約開始時に第1制御を行っているため、雑菌は繁殖せず、食材の腐敗を予防できる。
【0045】
ここで、
図5において、70℃を保つ保温期間の後の温度上昇する期間が調理期間である。このように調理前に70℃に保温するのは、例えば、加熱調理器101にロック機構が設けられていない場合、予約モード中に蓋体2を開けてしまい雑菌が繁殖するのを防ぐためである。なお、
図5のように、例えば100℃となる期間が1分以上維持された後、蓋を開けてしまうといったような雑菌が繁殖する状況になければ、このような制御を行わなくても構わない。
図5では、例示として70℃で保温しているが、これ以上の温度にて保温してもよい。なお、調理前に70℃に保温する制御は、以下で
図6または
図7を用いて説明する制御においても同様である。
【0046】
さらに、第1の予約モードにおいて、制御部17は、予約モードの終了時点で内鍋3に収容された食材の温度が70℃以上になるように、加熱部15による加熱を制御する第2制御を行う。
【0047】
第2制御を行うことで、出来立て(熱々)であることを演出し、ユーザが美味しいと感じる状態で調理済の食材を提供することが可能となる。
【0048】
ここで、加熱調理器101では、温度センサ16の検知する内鍋3の温度、重量センサ18の検知する食材の重量と、さらに加熱時間によって、間接的に、内鍋3内の食材内部の温度及び内鍋3内の食材の温度を検知する。つまり、加熱調理器101は、温度、重量、及び加熱時間と、食材内部の温度とを対応付けたデータを格納しており、このデータを参照して、計測した温度、重量、及び加熱時間から、内鍋3内の食材内部の温度及び内鍋3内の食材の温度を検知するもちろん、これ以外の方法で、内鍋3内の食材の内部の温度を検知してもよい。食材の温度とは、食材表面の温度であっても、食材内部の温度であってもよい。
【0049】
第1制御と第2制御との間に食材の調理が行われるが、第1制御の期間又は第2制御の期間の一部または全部が、食材の調理の期間と重複しても構わない。
【0050】
なお、制御部17は、予約モードの終了時に食材の温度が70℃以上になっている場合には、第2制御にて加熱を実行しない、つまり、不要な加熱を実行しない。この様な制御により、省エネを図ることができる。
【0051】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について
図6に基づいて説明すれば、以下の通りである。本実施形態の加熱調理器は、実施形態1の加熱調理器101と同様の構成であるため、同じ符号を付し、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、その説明を省略する。
【0052】
本実施形態の加熱調理器101は、以下で説明する第2の予約モードを有する。
【0053】
本実施形態の加熱調理器101の実行する第2の予約モードについて例を用いて説明する。
図6は、第2の予約モードにおける経過時間と温度との関係を示すグラフである。
【0054】
第2の予約モードでは、
図6に示すように、制御部17は、第1の予約モードでの加熱の制御に加え、第1制御と第2制御との間に所定時間加熱を行わない非加熱制御を行う。このように非加熱制御を行い、加熱を行わないことで、煮崩れを防ぎつつ、加熱を行わない所定時間に食材に味をしみ込ませることを促進することができる。
【0055】
ここで、加熱を行わない所定時間は、調理モードに応じて設定されている。つまり、夫々のメニューに応じた適切な味のしみ込ませ時間が設定されている。また、所定時間は、予約時間が長いほど長くなる。
【0056】
〔実施形態3〕
本発明のさらに別の実施形態について
図7に基づいて説明すれば、以下の通りである。本実施形態の加熱調理器は、実施形態1の加熱調理器101と同様の構成であるため、同じ符号を付し、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、その説明を省略する。
【0057】
本実施形態の加熱調理器101は、以下で説明する第3の予約モードを有する。
【0058】
本実施形態の加熱調理器101の実行する第3の予約モードについて例を用いて説明する。
図7は、第3の予約モードにおける経過時間と温度との関係を示すグラフである。
【0059】
第3の予約モードでは、
図7に示すように、制御部17は、第1の予約モードでの加熱の制御に加え、第1制御の前に食材の表面温度が50〜60℃になる期間が所定時間維持されるように加熱部15による加熱を制御する前段制御を行う。
【0060】
ここで、食材にペクチンが含まれている場合に、50〜60℃になる期間が所定時間維持されることで、酵素の働きでペクチンの分解を防ぎ、食材の表面を固めることができる。よって、第1制御の前に前段制御を行うことで、ペクチンが含まれて食材の表面を固めることができる。そのため、第3の予約モードを用いて、例えば、肉じゃがを調理する際には、前段制御にてじゃがいもの表面を固めることで、その後の調理における煮崩れを防ぐことができる。
【0061】
ここで、50〜60℃になる期間が維持される所定時間は、調理モードに応じて異なるように設定されている。つまり、夫々のメニューに用いる食材に応じた適切な表面を固めるための時間が設定されている。
【0062】
なお、第1制御では70℃以上になってしまうので、その後に50〜60℃になる期間を所定時間維持しても、食材の表面を固めることはできない。
【0063】
(付記事項)
上記実施形態1〜3には記載していないが、水蒸気センサ27による検知結果に基づいた加熱の制御を行ってもよい。この制御により、焦げ付きや加熱し過ぎ等を防ぐことができる。加熱の制御において、温度センサ16の検知結果、重量センサ18の検知結果、及び水蒸気センサ27の検知結果は、いずれをどのように組み合わせて用いてもよい。
【0064】
以上のように、加熱調理器101は、制御部17により加熱調理器本体1に収納された内鍋3を加熱制御して、当該内鍋3に収容された食材を適切に加熱して調理する。
【0065】
また、実施形態1〜3の加熱調理器101において、以下の変形例の構成となっていてもよい。
【0066】
(変形例1)
蒸気案内用開口40dはその大きさが変更可能に設けられていてもよい。この場合、蒸気案内用開口40dの大きさを変更する手段として、例えば、シャッター等が設けられていてもよい。
【0067】
蒸気案内用開口40dの大きさが変更可能であると、調理に適した大きさにすることができる。例えば、水分を減らす(飛ばす)調理を行う場合には、通気孔の大きさ大きくなるように、逆に水分を留めた調理を行う場合には、通気孔の大きさが小さくなるように変更するとよい。
【0068】
蒸気案内用開口40dの大きさの変更を、自動で行う構成であっても手動で行う構成であってもよい。例えば、加熱調理器101がメニュー毎の調理モードが選択可能に設けられている場合、調理モードを選択すると、自動で通気孔の径の大きさが変更されるように構成されていてもよい。あるいは、手動の場合には、調理モードを選択すると、その調理モードに応じた通気孔の大きさになっていない場合には、調理が開始されず(スタートを受け付けない)、調理モードに応じた通気孔の大きさに変更した後に、調理が開始される構成であってもよい。
【0069】
(変形例2)
加熱調理器101に、調理中に内鍋3内を撹拌するための撹拌装置を設けてもよい。このように、撹拌装置を設けることで、内鍋3を密閉した状態で食材を撹拌できるため、内鍋3の温度を下げずに調理が可能となり、その結果、効率良く調理ができるという効果を奏する。
【0070】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能であり、実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、実施形態に開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【0071】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る加熱調理器(101)は、食材を収容する容器(内鍋3)と、当該容器を加熱する加熱部(15)と、当該加熱部による加熱を制御する加熱制御部(制御部17)と、を備え、予約調理が可能な予約モードを有する加熱調理器であって、前記加熱制御部は、前記予約モードの開始時に、前記容器に収容された食材内部の温度が70℃以上になる期間が1分以上維持されるように、前記加熱を制御する第1制御を行うことを特徴とする加熱調理器。
【0072】
上記構成によると、第1制御を行うことで、予約モードの開始時に、容器内の食材の内部温度が70℃以上になる期間が1分以上維持されるので、食材に付着した又は食材付近のほとんどの雑菌を殺菌することができる。よって、食材の腐敗を防ぐことができる。予約モード開始してから調理が始まるまでに長時間あったとしても、予約開始時に第1制御を行っているため、雑菌は繁殖せず、食材の腐敗を予防できる。
【0073】
なお、予約調理とは、予約時刻にまたは予約時間後に前記容器に収容された食材の調理が完了する調理を指す。
【0074】
本発明の態様2に係る加熱調理器では、上記態様1において、前記加熱制御部は、前記予約モードの終了時点で前記容器に収容された食材の温度が70℃以上になるように、前記加熱を制御する第2制御を行ってもよい。
【0075】
上記構成によると、第2制御を行うことで、予約モードの終了時点で食材の温度を70℃以上にすることで、出来立て(熱々)であることを演出し、ユーザが美味しいと感じる状態で調理済の食材を提供することが可能となる。
【0076】
本発明の態様3に係る加熱調理器は、上記態様2において、前記加熱制御部は、さらに、前記第1制御と前記第2制御との間に所定時間加熱を行わない非加熱制御を行ってもよい。
【0077】
上記構成によると、第1制御と第2制御との間に所定時間加熱を行わない非加熱制御を行う。よって、加熱を行わないことで、煮崩れを防ぎつつ、加熱を行わない所定期間に食材に味をしみこませることを促進することができる。
【0078】
本発明の態様4に係る加熱調理器は、上記態様2または3において、前記加熱制御部は、前記予約モードの終了時に、前記容器に収容された食材の温度が70℃以上になっている場合には、前記第2制御にて加熱を実行しなくてもよい。
【0079】
上記構成によると、予約モードの終了時に食材の温度が70℃以上になっている場合には、第2制御にて加熱を実行しない、つまり、不要な加熱を実行しないことで、省エネを図ることができる。
【0080】
本発明の態様5に係る加熱調理器は、上記態様1から4のいずれか1つにおいて、前記加熱制御部は、前記第1制御の前に食材の表面温度が50〜60℃になる期間が所定時間維持されるように前記加熱を制御する前段制御を行ってもよい。
【0081】
食材にペクチンが含まれている場合に、50〜60℃になる期間が所定時間維持されることで、酵素の働きでペクチンの分解を防ぎ、食材の表面を固めることができる。よって、上記構成によると、第1制御の前に前段制御を行うことで、ペクチンが含まれて食材の表面を固めることができる。なお、第1制御では70℃以上になってしまうので、その後に50〜60℃になる期間を所定時間維持しても、食材の表面を固めることはできない。
【0082】
上記構成によれば、例えば、予約調理にて肉じゃがを作る際には、前段制御にてじゃがいもの表面を固めることで、その後の調理における煮崩れを防ぐことができる。
【0083】
本発明の態様6に係る加熱調理器は、上記態様1から5のいずれか1つにおいて、前記容器の温度を検知する温度センサと、前記容器に収容された食材の量を検知する重量センサと、を備え、前記加熱制御部は、前記温度センサの検知値と前記重量センサの検知値とに基づき前記加熱を制御してもよい。
【0084】
上記構成によると、温度センサと重量センサとを用いて、温度センサの検知値と重量センサの検知値とに基づき加熱を制御することで、より正確な制御をすることが可能となる。
【0085】
また、本発明の態様7に係る加熱調理器の制御方法は、食材を収容する容器と、当該容器を加熱する加熱部とを備え、予約調理が可能な予約モードを有する加熱調理器の制御方法であって、前記予約モードの開始時に、前記容器に収容された食材の内部温度が70℃以上になる期間が1分以上維持されるように、前記加熱部による加熱を制御する第1加熱ステップを含むことを特徴とする。
【0086】
上記制御方法によると、本発明に係る加熱調理器と同様に、加熱調理器での予約調理における食材の腐敗を防止することができる。
【0087】
本発明の態様8に係る加熱調理器の制御方法は、上記態様7において、さらに、前記予約モードの終了時点で前記容器に収容された食材の温度が70℃以上になるように、前記加熱部による加熱を制御する第2加熱ステップを含んでいてもよい。
【0088】
また、本発明の各態様に係る加熱調理器は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを加熱調理器が備える加熱制御部として動作させることにより加熱調理器をコンピュータにて実現させるプログラム、及びそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も本発明の範疇に入る。