(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6754187
(24)【登録日】2020年8月25日
(45)【発行日】2020年9月9日
(54)【発明の名称】進入防止部材及び視線誘導柱
(51)【国際特許分類】
E01F 9/608 20160101AFI20200831BHJP
E01F 13/00 20060101ALI20200831BHJP
【FI】
E01F9/608
E01F13/00 301
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-244012(P2015-244012)
(22)【出願日】2015年12月15日
(65)【公開番号】特開2016-113891(P2016-113891A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2018年10月5日
(31)【優先権主張番号】特願2014-254194(P2014-254194)
(32)【優先日】2014年12月16日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(72)【発明者】
【氏名】石田 秀樹
【審査官】
荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−094321(JP,A)
【文献】
特開平11−061756(JP,A)
【文献】
特開2011−236602(JP,A)
【文献】
特開2001−182021(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0204308(US,A1)
【文献】
韓国登録特許第10−0723027(KR,B1)
【文献】
特開平10−018248(JP,A)
【文献】
特開2004−263446(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/00−11/00
E01F 1/00
E01F 13/00−15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
視線誘導柱に取り付けられる進入防止部材であって、
視線誘導柱の上部外周面に取り付けられる筒状部と、
前記筒状部から水平方向に延びる長尺状部と、を備え、
樹脂で形成されている前記長尺状部の長手方向の中央部が、樹脂で形成されている前記筒状部の上端に接着や溶着により固定されて、前記長尺状部は前記筒状部から水平方向両側それぞれに延びており、
前記筒状部の上部開口を閉塞する蓋部を有する前記筒状部は、視線誘導柱の上端に被せて取り付けられるように、視線誘導柱の外径に一致又は少し小さい内径を有している進入防止部材。
【請求項2】
前記長尺状部の断面は三角形状であり、前記三角形の底辺が前記筒状部の上端に固定されている請求項1に記載の進入防止部材。
【請求項3】
前記長尺状部は、長手方向に延びる中空部を有する請求項1又は2に記載の進入防止部材。
【請求項4】
前記筒状部及び前記長尺状部は、エラストマー系樹脂で形成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の進入防止部材。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の進入防止部材を取り付けた視線誘導柱であって、
前記長尺状部の先端に内挿又は外挿され、隣り合う進入防止部材の長尺状部同士を連結する連結部材を備える視線誘導柱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視線誘導柱に取り付けられる進入防止部材、及びこれを取り付けた視線誘導柱に関する。
【背景技術】
【0002】
視線誘導柱(以下、道路標識柱、誘導柱又は標識柱と称することもある)は、上下車道の中央分離線や、車道と自転車道及び歩行者専用道路との境界線標示用、公園や街路等の車止め仕切り等の標示用、駐車場の標示用として使用される。
【0003】
また、車両や人の進入を的確に防止したい場所においては、下記特許文献1のように、視線誘導柱の本体の片側もしくは両側から外側方にビームを張り出させた視線誘導柱が用いられる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−182021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の構造では、ビームを視線誘導柱の本体に固定するために、本体に差し込み孔が形成されていなければならず、既設の視線誘導柱にそのまま適用することができない。
【0006】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、その目的は、既設の視線誘導柱にも容易に適用可能な進入防止部材、及びこれを取り付けた視線誘導柱を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、下記の如き本発明により達成できる。
即ち、本発明の進入防止部材は、視線誘導柱に取り付けられる進入防止部材であって、
視線誘導柱の上部外周面に取り付けられる筒状部と、前記筒状部から水平方向に延びる長尺状部と、を備え、
樹脂で形成されている前記長尺状部
の長手方向の中央部が、
樹脂で形成されている前記筒状部の上端に接着や溶着により固定され
て、前記長尺状部は前記筒状部から水平方向両側それぞれに延びており、
前記筒状部の上部開口を閉塞する蓋部を有する前記筒状部は、視線誘導柱の上端に被せて取り付けられるように、視線誘導柱の外径に一致又は少し小さい内径を有しているものである。
【0008】
この構成によれば、筒状部を視線誘導柱の上部外周面に取り付けるだけで、進入防止部材の視線誘導柱への取付が可能となるため、既設の視線誘導柱にも容易に適用できる。
この構成によれば、長尺状部が筒状部から水平方向両側に向かって延びるため、視認性が良好となり、適切に注意喚起を促すことができる。
【0009】
本発明の進入防止部材において、前記長尺状部の断面は三角形状であり、前記三角形の底辺が前記筒状部の上端に固定されていることが好ましい。
【0010】
長尺状部を長くすると自重で撓みやすくなるが、長尺状部の断面を三角形状とすることで撓みにくくなる。
【0011】
本発明の進入防止部材において、前記長尺状部は、長手方向に延びる中空部を有することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、長尺状部が軽くなるため自重で撓みにくくなる。
【0013】
本発明の進入防止部材において、前記筒状部及び前記長尺状部は、エラストマー系樹脂で形成されていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、車両や人が接触した場合にも安全であり、また変形した際の復元性も良好となる。
【0015】
また、本発明の視線誘導柱は、上記いずれかに記載の進入防止部材を取り付けた視線誘導柱であって、前記長尺状部の先端に内挿又は外挿され、隣り合う進入防止部材の長尺状部同士を連結する連結部材を備えるものである。
【0016】
この構成によれば、進入防止部材を既設の視線誘導柱にも容易に適用でき、また、複数の進入防止部材を連続して配置可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る進入防止部材が取り付けられた視線誘導柱を示す平面図及び正面図
【
図2】
図1に示す進入防止部材及び視線誘導柱のA−A断面図
【
図3】本発明の一実施形態に係る視線誘導柱を示す正面図
【
図5】別実施形態に係る進入防止部材が取り付けられた視線誘導柱を示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の進入防止部材及び視線誘導柱の好適な実施形態を、図面を用いて説明する。
図1は、進入防止部材が取り付けられた視線誘導柱の平面図及び正面図である。
図2は、
図1に示す進入防止部材及び視線誘導柱のA−A断面図である。
【0019】
進入防止部材1は、視線誘導柱2の上部に取り付けられるものである。進入防止部材1は、視線誘導柱2の上部外周面2aに取り付けられる筒状部10と、筒状部10から水平方向に延びる長尺状部11と、を備える。
【0020】
筒状部10は、円柱状の視線誘導柱2に対応するように、円筒状に形成されている。勿論、視線誘導柱2が角柱や楕円柱である場合には、その形状に応じて筒状部10は角筒状又は楕円筒状に形成される。筒状部10の内径は、視線誘導柱2の外径に一致又は少し小さく形成されている。
【0021】
本実施形態の筒状部10は、筒状部10の上部開口を閉塞する蓋部12を有している。ただし、この蓋部12は、必ずしも設ける必要はなく、また、筒状部10の上部開口を部分的に閉塞する形状でもよい。
【0022】
長尺状部11は、筒状部10から水平方向に延びている。本実施形態の長尺状部11は、筒状部10の上部から水平方向両側にそれぞれ延びている。長尺状部11は、その長手方向中央部が筒状部10の上端に固定されている。
【0023】
本実施形態の長尺状部11は、断面が三角形状となっており、この三角形の底辺が筒状部10の上端に固定されている。また、長尺状部11は、長手方向に延びる中空部110を有しており、全体として断面三角形状の中空パイプとなっている。
【0024】
本発明の進入防止部材1によれば、筒状部10を視線誘導柱2の上部外周面2aに取り付けるだけで、進入防止部材1の視線誘導柱2への取付が可能となるため、既設の視線誘導柱にも容易に適用できる。また、長尺状部11が筒状部10から水平方向に延びているため、視認性が良く、適切に注意喚起を促すことができる。長尺状部11の側面には、さらなる注意喚起を促すための反射シート(図示せず)が貼付されてもよい。
【0025】
筒状部10、長尺状部11、及び蓋部12を含む進入防止部材1を構成する全ての部材は非金属材料で形成されている。具体的には、エラストマー系樹脂で形成されているが、その他の樹脂も利用可能である。
【0026】
筒状部10と長尺状部11は、一体化されている。長尺状部11は、筒状部10の上端に対して、接着剤による接着や、超音波溶着又は熱溶着で固定される。
【0027】
長尺状部11の長さは、2000mm以下が好ましく、1000mm以下が特に好ましい。長尺状部11の長さを長くし過ぎると、自重により撓みやすくなる。また、本実施形態の長尺状部11の断面は、正三角形の一辺、もしくは二等辺三角形の底辺が30〜80mmの三角形としている。また、中空パイプ状の長尺状部11の肉厚は、2〜4mmとしている。
【0028】
図3に示すように、進入防止部材1が取り付けられた視線誘導柱2は、長尺状部11の先端11aに内挿又は外挿され、隣り合う進入防止部材1の長尺状部11同士を連結する連結部材3をさらに備えてもよい。この実施形態の連結部材3は、両端が断面三角形状の中空パイプとなっており、その両端にそれぞれ長尺状部11の先端11aを挿入することができる。
連結部材3の長さは、隣り合う視線誘導柱2に取り付けられた進入防止部材1の長尺状部11同士の間隔よりも長くなっている。これにより、隣り合う進入防止部材1の長尺状部11同士を連結することができ、注意喚起をより一層促すことができる。なお、本実施形態の視線誘導柱2には反射テープ21を巻き付けて注意喚起をより一層促しているが、反射テープ21の有無、位置、貼付範囲などは適宜変更可能である。
【0029】
本実施形態の連結部材3は、長尺状部11の先端11aを挿入する長さを変更可能なため、隣り合う長尺状部11を必ずしも所定の間隔で精度良く配置する必要はなく、進入防止部材1が取り付けられた視線誘導柱2を容易に連続して配置することができる。
【0030】
<別実施形態>
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。
【0031】
(1)前述の実施形態において、長尺状部11の断面は三角形状となっているが、これに限定されない。例えば、
図4(a)に示すようなI字状、
図4(b)に示すようなT字状、
図4(c)に示すようなL字状等でもよい。また、
図4(d)に示すような四角形状、
図4(e)に示すような円形状でもよい。
【0032】
(2)前述の実施形態では、長尺状部11が筒状部10の上端に固定されているが、長尺状部11は筒状部10の側面に固定されてもよく、長尺状部11が、
図5に示すように筒状部10の側面から水平方向に延びる形態でもよい。
【0033】
(3)連結部材3は、中空部110を有する長尺状部11の中に挿入されるようにしてもよい。
【0034】
(4)隣り合う2つの視線誘導柱2に取り付けられた進入防止部材1の長尺状部11同士を連結する例を示したが、3つ以上の長尺状部11同士を連結するようにしてもよい。
【0035】
(5)前述の実施形態では、筒状部10は、視線誘導柱2の上部外周面2aの全周を覆う環状であるが、一部が繋がっていない円弧状でもよい。
【0036】
(6)
図3に示す実施形態では、進入防止部材1の長尺状部11が連結部材3よりも長くなっているが、
図6に示すように長尺状部11を連結部材3よりも短くしてもよい。この例では、長尺状部11は、筒状部10の上端に固定され、筒状部10から水平方向に僅かに突出している。突出長さPは、10〜100mm程度である。このように、本発明における長尺状部11とは、単に筒状部10から水平方向に延びる部分のことを指し、その長さについては何ら限定されない。また、
図6の例では、連結部材3の両端は、中空の長尺状部11の先端に内挿されている。
【符号の説明】
【0037】
1 進入防止部材
2 視線誘導柱
2a 上部外周面
3 連結部材
10 筒状部
11 長尺状部
12 蓋部
110 中空部