【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に基づく空気入りタイヤは、2つの環状のビード部分と、カーカスと、ベルト補強層と、を有する。カーカスは、両方のビード部分の間を両方のサイドウォール部分とトレッド部分とを通って延びる。カーカスは、トレッドから下方にビードコアの軸方向内側に延びる少なくとも2つの軸方向内側プライを含み、少なくとも2つの軸方向内側プライは、ビードコアの周りを巻かれてそれぞれの折り返し部を形成し、各折り返し部は、ビードコアの軸方向外側に位置する。カーカスは、さらに、トレッドから下方にビードコアに向けて延びてビードコアの軸方向外側に位置する第1の軸方向外側プライを有し、第1の軸方向外側プライは、軸方向内側プライの補強材よりも高い強度を有する補強材で形成されている。
【0005】
[定義]
「100パーセントモジュラス」は、100%の伸びを生成する(例えば、元の長さの2倍に引き延ばす)ために必要な、メガパスカル(MPa)で表わされた力を意味する。
【0006】
「300パーセントモジュラス」または「M300モジュラス」は、300%の伸びを生成する(例えば、元の長さの4倍に引き延ばす)ために必要な、メガパスカル(MPa)で表わされた力を意味する。
【0007】
「エイペックス(頂部)」は、ビードコアの半径方向上方であって、プライと折り返されたプライとの間または折り返されたプライの軸方向外側に位置しているエラストマー製のフィラーを意味する。
【0008】
「環状」は、リング(環)のように形成されていることを意味する。
【0009】
「軸方向の」及び「軸方向に」は、ここでは、タイヤの回転軸に平行な線または方向を示すために用いられている。
【0010】
「ビード」は、プライコードによって覆われた環状の引張部材であって、フリッパー、チッパー、エイペックス、トウガード及びチェーファーのような他の補強部材を用いてあるいは用いずに設計リムに適合するように形成された環状の引張部材を有するタイヤの部分を意味する。
【0011】
「ベルト構造」は、トレッドの下に位置し、ビードに固定されていない、織られたまたは不織の互いに平行なコードを有する少なくとも2つの環状層またはプライであって、タイヤの赤道面に対して傾いたコードを有するものを意味する。ベルト構造は、比較的低角度で傾斜し、制限層として機能する、互いに平行なコードからなるプライを含んでいてもよい。
【0012】
「カーカス」は、プライの上のベルト構造、トレッド、アンダートレッド及びサイドウォールゴムを除くが、ビードを含むタイヤ構造を意味する。
【0013】
「ケーシング(外皮)」は、トレッド及びアンダートレッドを除いた、カーカス、ベルト構造、ビード、サイドウォール及びタイヤの他の全ての構成部品、すなわちタイヤ全体を意味する。
【0014】
「チェーファー」は、ビードの外側の配置され、ビード構造をリムから保護し、屈曲をリム上で半径方向に分散させ、リムに対してタイヤをより気密に密着させる細長いストリップ材を示す。
【0015】
「チッパー」は、ビード領域内に位置した織物またはスチールのコードからなる細い帯を指し、その機能は、ビード領域を補強してサイドウォールの半径方向最内側部分を安定化することである。
【0016】
「周方向の」は、赤道面(EP)に平行で軸方向に垂直な、環状タイヤの表面の周囲に沿って延びる線または方向を意味する。また断面で見たときに、その半径がトレッドの軸方向の曲率を規定する、互いに隣接した数組の円曲線の方向を指すこともある。
【0017】
「コード」は、タイヤの補強構造を構成する補強ストランドの1つを意味する。
【0018】
「コード角度」は、赤道面に対してコードによって形成される、タイヤの平面図における左右の鋭角を意味する。「コード角度」は、硬化しているが膨張していないタイヤで測定される。
【0019】
「クラウン」は、タイヤトレッドの幅限界内にあるタイヤの部分を意味する。
【0020】
「デニール」は、9000メートル当たりのグラムで表した重量(線密度を表す単位)を意味する。デシテックス(Dtex)は、10000メートル当たりのグラムで表した重量を意味する。
【0021】
「密度」は、単位長さ当たりの重量を意味する。
【0022】
「エラストマー」は、変形後にサイズおよび形状を回復することができる弾性材料を意味する。
【0023】
「赤道面(EP)」は、タイヤの回転軸に垂直であってタイヤのトレッドの中心を通る平面、またはトレッドの周方向の中心線を含む平面を意味する。
【0024】
「織物(fabric)」は、実質的に一定方向に延びるコードのネットワークを意味する。ここでコードは、互いに撚り合わせることができ、高モジュラス(弾性率)材料の(互いに撚り合わせることもできる)複数の多重フィラメントで構成されている。
【0025】
「繊維(fiber)」は、フィラメントの基本要素を形成する、天然または人工の物質の単位である。直径または幅の少なくとも100倍の長さを有することを特徴とする。
【0026】
「フィラメントカウント」は、糸を構成するフィラメントの数を意味する。例:1000デニールのポリエステルは、約190のフィラメントを有している。
【0027】
「フリッパー」は、強度のためにビードワイヤの周りにあって、タイヤ本体内でビードワイヤを結合する補強織物を指す。
【0028】
「ゲージ」は、一般に測定値を指し、特に厚さの測定値を指す。
【0029】
「内側」はタイヤの内側の方向を意味し、「外側」はタイヤの外側の方向を意味する。
【0030】
「内側ライナー」は、チューブレスタイヤの内側表面を構成し、膨張流体をタイヤ内に収容する、エラストマーまたは他の材料の1つまたは複数の層を意味する。
【0031】
「横方向」は、軸方向を意味する。
【0032】
「荷重範囲」は、タイヤ・リム協会(The Tire and Rim Association, Inc.)の表によって規定される特定の種類の用途において使用される所与のタイヤに関する荷重および膨張の限界を意味する。
【0033】
「定格荷重」は、タイヤの使用条件に関し適切な標準化機構によって設定された特定の設計タイヤ空気圧及び荷重を意味する。
【0034】
「プライ」は、半径方向に展開しているかそうでなければ相互に平行な、ゴムで被覆された複数のコードからなるコード補強層を意味する。
【0035】
「半径方向の」及び「半径方向に」は、タイヤの回転軸に対して放射状に向かう方向、または、タイヤの回転軸から放射状に離れる方向を意味するために用いられる。
【0036】
「ラジアルプライ構造」は、少なくとも1つのプライが、タイヤの赤道面に対して65°から90°の間の角度に向けられた補強コードを有する、1つまたは2つ以上のカーカスプライを意味する。
【0037】
「ラジアルプライタイヤ」は、少なくとも1つのプライが、ビードからビードへ延びてタイヤの赤道面に対して65°から90°の間のコード角度に配置されたコードを有する、ベルトで締め付けられているかまたは周方向に制限された空気入りタイヤを意味する。
【0038】
「断面高さ」は、タイヤの赤道面における、公称リム直径からタイヤの外直径までの半径方向の距離を意味する。
【0039】
「断面幅」は、表示付け、装飾あるいは保護帯によるサイドウォールの隆起を除き、タイヤを定格圧力かつ無荷重で24時間にわたって膨張させたときの及びその後の、タイヤの両方のサイドウォール外側の相互間の、タイヤの軸に平行な最大直線距離を意味する。
【0040】
「サイドウォール」は、トレッドとビードとの間のタイヤの部分を意味する。
【0041】
「剛比」は、制御ベルト構造の剛性の値を他のベルト構造の剛性の値で割ったものを意味し、これらの値は、コードの両端が支持され、その固定された両端間の中心に加えられた負荷によって曲げられる固定3点曲げ試験によって求められる。
【0042】
「トレッド」は、タイヤケーシングへの結合時に、タイヤが定格空気圧で膨張し定格荷重を加えられているときにタイヤが道路に接触する部分を含む、成形されたゴム製の構成部品を意味する。
【0043】
「トレッド幅」は、タイヤの回転軸を含む面でのトレッド表面の弧長を意味する。
【0044】
「折り返し端部(turnup end)」は、プライが巻き付けられているビードから上向き(すなわち半径方向外側)に折れ曲がっているカーカスプライの部分を意味する。