(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記記録ヘッドは、前記第1の径のインクの液滴と、前記第2の径のインクの液滴と、前記第2の径よりも短い所定の第3の径のインクの液滴とを前記記録媒体に吐出可能であり、
前記第1印刷モードでは、前記記録ヘッドが前記第1の径のインクの液滴と、前記第2の径のインクの液滴と、前記第3の径のインクの液滴とを前記記録媒体に吐出し、
前記第2印刷モードでは、前記記録ヘッドが前記第1の径のインクの液滴を前記記録媒体に吐出し、前記第2の径のインクの液滴および前記第3の径のインクの液滴を前記記録媒体に吐出しない、請求項1に記載された印刷装置。
前記第2印刷モードでは、印刷物を前記記録媒体に印刷する前、または、前記印刷物を前記記録媒体に印刷した後に、前記インク収容体が非純正品である旨の警告メッセージを前記記録媒体に印刷する、請求項1から4までの何れか一つに記載された印刷装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る印刷装置について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0013】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る印刷装置1の斜視図である。
図2は、印刷装置1の内部構成を示す平面図である。以下の説明では、印刷装置1を正面から見たときに、印刷装置1から遠ざかる方を前方、近づく方を後方とする。また、左、右、上、下とは、印刷装置1を正面から見たときの左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を意味するものとする。ただし、上記方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、印刷装置1の設置態様を何ら限定するものではなく、本発明を何ら限定するものでもない。また、図面中の符号Yは主走査方向を示している。主走査方向Yは、左右方向である。符号Xは、主走査方向Yと平面視において直交する副走査方向を示している。副走査方向Xは、前後方向である。ただし、主走査方向Yおよび副走査方向Xは特に限定されず、印刷装置1の形態に応じて適宜に設定可能である。なお、本実施形態では、主走査方向Yは本発明の「第1の方向」に対応し、副走査方向Xは本発明の「第2の方向」に対応している。
【0014】
図1に示すように、印刷装置1は、インクジェット式のプリンタである。印刷装置1は、記録紙5に印刷を行うものである。記録紙5はロール状の媒体であり、所謂ロール紙である。ここでは、記録紙5が本発明の「記録媒体」に対応する。しかし、本発明の記録媒体は、記録紙5に限定されない。例えば、記録媒体は、樹脂製のシートであってもよい。また、記録媒体は、可撓性を有するシートに限らず、ガラス基板などの材質が硬い媒体であってもよい。
【0015】
印刷装置1は、本体10と、脚11と、操作パネル12と、カバー15とを備えている。本体10は、主走査方向Yに延びたケーシングを有する。脚11は、本体10を支持するものである。脚11は、本体10の下面に設けられている。操作パネル12は、本体10の右側の前面に設けられている。操作パネル12は、使用者が印刷に関する操作を行うものである。図示は省略するが、操作パネル12には、モノクロ印刷またはカラー印刷、解像度、インクの濃さなどの印刷に関する情報が表示される表示部、および、印刷に関する情報を入力するための入力部などが備えられている。
【0016】
カバー15は、本体10に設けられている。ここでは、カバー15は、本体10の上部に開閉自在に取り付けられている。カバー15の下方であって、本体10の下側には、記録紙5を排出する排出口13が形成されている。排出口13の前方かつ下方の位置には、排出口13から排出される記録紙5を案内するガイド14が設けられている。ガイド14は、排出口13から前方斜め下向きに延びている。
【0017】
次に、印刷装置1の内部構成について説明する。
図2に示すように、印刷装置1は、ガイドレール20と、プラテン25と、搬送機構27と、駆動機構28と、記録ヘッド40と、制御装置60(
図6参照)を備えている。図示は省略するが、ガイドレール20は、カバー15(
図1参照)の下方に配置されている。ガイドレール20は主走査方向Yに延びている。
【0018】
プラテン25は、記録紙5への印刷の際、記録紙5を支持するものである。プラテン25には、記録紙5が載置される。記録紙5への印刷は、プラテン25上において行われる。プラテン25は、主走査方向Yに延びている。プラテン25は、ガイドレール20の中央部分の下方かつ前方に配置されている。プラテン25は、ガイド14(
図1参照)と連なっている。
【0019】
搬送機構27は、プラテン25に載置された記録紙5を副走査方向Xに搬送する機構である。本実施形態では、搬送機構27は、上下一対のローラ26と、モータ26aを備えている。この上下一対のローラ26は、プラテン25の左端部および右端部にそれぞれ配置されている。ただし、上下一対のローラ26の数および設置位置は特に限定されない。なお、
図2では上側のローラ26のみ図示されており、下側のローラ26は省略している。上下一対のローラ26のうち、何れか一方のローラ26は自ら回転する駆動ローラ(グリッドローラともいう。)である。ここでは、駆動ローラ26は、モータ26aに接続されている。モータ26aが駆動することで、駆動ローラ26は回転する。他方のローラ26は、上記駆動ローラ26と共に記録紙5を挟み込むためのピンチローラである。ピンチローラは、上下方向に移動可能に構成されている。
【0020】
駆動機構28は、プラテン25に載置された記録紙5に対して記録ヘッド40を主走査方向Yに相対的に移動させる機構である。ここでは、駆動機構28は、記録ヘッド40を主走査方向Yに移動させることで、プラテン25に載置された記録紙5に対して記録ヘッド25を相対的に移動させる。ただし、駆動機構28は、記録紙5が載置されたプラテン25を主走査方向Yに移動させることで、プラテン25に載置された記録紙5に対して記録ヘッド25を相対的に移動させる機構であってもよい。ここでは、駆動機構28は、プーリ21と、プーリ22と、無端状のベルト23と、サーボモータ24と、キャリッジ30とを有している。プーリ21は、ガイドレール20の右端部分に設けられている。プーリ22は、ガイドレール20の左端部分に設けられている。ベルト23は、プーリ21とプーリ22とに巻き掛けられている。ここでは、サーボモータ24は、プーリ21に接続されているが、プーリ22に接続されていてもよい。サーボモータ24がプーリ21を駆動すると、プーリ21とプーリ22との間においてベルト23が走行する。
【0021】
キャリッジ30は、ベルト23に取り付けられている。図示は省略するが、キャリッジ30は、ガイドレール20に係合している。キャリッジ30は、ベルト23の走行に従って、ガイドレール20に沿って主走査方向Yに移動する。
【0022】
記録ヘッド40は、記録紙5にインクの液滴を吐出するものである。以下、インクの液滴のことを単に「インク」ともいう。記録ヘッド40は、プラテン25よりも上方に配置されている。記録ヘッド40は、プラテン25に向かって下方にインクの液滴を吐出する。
図2に示すように、記録ヘッド40は、ガイドレール20にスライド自在に係合している。本実施形態では、記録ヘッド40は、キャリッジ30に取り付けられており、キャリッジ30を介してガイドレール20にスライド自在に係合している。記録ヘッド40は、駆動機構28によってガイドレール20に沿って主走査方向Yに移動する。
【0023】
図3は、記録ヘッド40の1つのノズル55近傍における部分断面図である。
図3に示すように、記録ヘッド40は、ケース本体51と、振動板52とを備えている。ケース本体51は、開口51aを有する空中構造のケースである。振動板52は、開口51aを覆うようにケース本体51に取り付けられている。ここでは、ケース本体51と振動板52によって囲まれた領域が圧力室53である。振動板52は、圧力室53の一部を仕切っている。振動板52は、圧力室53の内側および外側に弾性変形可能なものである。なお、ここで圧力室53の内側、外側とは、それぞれ
図3の上側、下側のことである。
【0024】
図2に示すように、記録ヘッド40には、インクカートリッジ45が接続されている。ここでは、チューブ46を介して記録ヘッド40とインクカートリッジ45とは互いに接続している。インクカートリッジ45には、記録ヘッド40に供給するインク、すなわち、印刷の際に使用されるインクが収容されている。なお、インクカートリッジ45の設置位置は特に限定されない。例えば、図示は省略するが、インクカートリッジ45は、本体10の上面に取り外し可能に設けられている。なお、本実施形態では、インクカートリッジ45は、本発明の「インク収容体」に対応する。
【0025】
本実施形態では、
図3に示すように、ケース本体51の一面(
図3の左側の面)には、インクが流入するインク流入口54が形成されている。このインク流入口54には、チューブ46を介してインクカートリッジ45(
図2参照)が接続されている。なお、インク流入口54は圧力室53と繋がっていればよく、インク流入口54の位置は特に限定されない。ここでは、圧力室53には、インク流入口54を通じて、インクカートリッジ45のインクが供給され、一時的に所定量のインクが貯留される。ここでは、ケース本体51の下面51bには、インクを吐出するノズル55が形成される。インクの液滴は、ノズル55を通じて記録紙5に向かって吐出される。
【0026】
本実施形態では、振動板52における圧力室53と反対側の面には、圧電素子56が当接されている。圧電素子56の一端は、ケース本体51の内部に固定された固定部材59に固定されている。圧電素子56は、アクチュエータの一種である。圧電素子56は、フレキシブルケーブル57を介して制御装置60に接続されている。圧電素子56には、フレキシブルケーブル57を介して駆動信号などが供給される。本実施形態では、圧電素子56は、圧電材料と導電層を交互に積層した積層体である。圧電素子56は、供給された駆動信号に基づいて膨張および収縮し、振動板52を圧力室53の外側および内側に弾性変形させるように機能する。ここでは、圧電素子56として、縦振動モードのピエゾ素子(PZT)を採用している。縦振動モードのピエゾ素子は、上記積層方向に伸縮自在である。例えば、縦振動モードのピエゾ素子は、放電すると収縮し、充電すると伸長する。なお、圧電素子56の形式は特に限定されない。
【0027】
このような記録ヘッド40では、例えば、圧電素子56の電位の中間電位から降下させることによって、圧電素子56が収縮する。このとき、圧電素子56が収縮することに追従して、振動板52が初期位置から圧力室53の外側に弾性変形し、圧力室53が膨張する。ここで、圧力室53が膨張するとは、振動板52の変形によって圧力室53の容積が大きくなることをいう。一方、圧電素子56の電位を上昇させることによって、圧電素子56が積層方向に伸長する。このことによって、振動板52が圧力室53の内部に弾性変形し、圧力室53が収縮する。ここで、圧力室53が収縮するとは、振動板52の変形によって圧力室53の容積が小さくなることをいう。このような圧力室53の膨張および収縮によって、圧力室53内の圧力が変動する。圧力室53内の変動によって、圧力室53内のインクが加圧され、インクが液滴となってノズル55から吐出される。その後、圧電素子56の電位を中間電位に戻すことによって、振動板52が初期位置に復帰し、圧力室53が膨張する。このとき、インク流入口54から圧力室53内にインクが流入する。
【0028】
本実施形態では、圧電素子56に供給される駆動信号は、駆動パルスである。駆動パルスは、記録ヘッド40のノズル55から所定の大きさのインクの液滴を吐出させるためのパルス波形である。記録ヘッド40は、駆動パルスに基づいてインクを吐出する。
図4(a)は、第1駆動パルスP1を示す図であり、
図4(b)は、第2駆動パルスP2を示す図であり、
図4(c)は、第3駆動パルスP3を示す図である。
図4(b)の第2駆動パルスP2は、最大電位が電位V2となるように、
図4(a)の第1駆動パルスP1を平行移動させたパルスである。
図4(c)の第3駆動パルスP3は、最大電位が電位V3となるように、
図4(a)の第1駆動パルスP1を平行移動させたパルスである。ここでは、
図4(a)〜
図4(c)に示すように、駆動パルスには、第1駆動パルスP1と、第2駆動パルスP2と、第3駆動パルスP3とが含まれている。本実施形態では、第2駆動パルスP2の最大電位V2は、第1駆動パルスP1の最大電位V1よりも低い。第3駆動パルスP3の最大電位V3は、第1駆動パルスP1の最大電位V1および第2駆動パルスP2の最大電位V2よりも低い。すなわち、上記3つの駆動パルスP1〜P3のうち、第1駆動パルスP1の最大電位V1が最も高く、次いで、第2駆動パルスP2の最大電位V2が高く、第3駆動パルスP3の最大電位V3が最も低い。なお、本実施形態では、最大電位V1が本発明の「第1の最大電位」の一例であり、最大電位V2が本発明の「第2の最大電位」の一例である。
【0029】
本実施形態では、記録ヘッド40は、圧電素子56に印加される電圧によって、径が異なるインクの液滴を吐出することが可能である。ここでは、3つの駆動パルスP1〜P3によって、記録ヘッド40は、径が異なる3種類のインクの液滴を吐出することが可能である。ただし、記録ヘッド40が吐出可能な径が異なるインクの液滴の数は、2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。
図5は、インクの液滴A1〜A3を示す図である。ここでは、
図5に示すように、記録ヘッド40が吐出可能なインクの液滴A1〜A3の径は、それぞれ所定の第1の径L1と、第2の径L2と、第3の径L3である。詳しくは、第1駆動パルスP1に基づいて電圧が圧電素子56に印加されることによって、記録ヘッド40は、所定の第1の径L1の大きさのインクの液滴A1を吐出する。第2駆動パルスP2に基づいて電圧が圧電素子56に印加されることによって、記録ヘッド40は、所定の第2の径L2の大きさのインクの液滴A2を吐出する。また、圧電素子56に第3駆動パルスP3に基づいて電圧が圧電素子56に印加されることによって、記録ヘッド40は、所定の第3の径L3の大きさのインクの液滴A3を吐出する。ここでは、第2の径L2は、第1の径L1よりも短い。第3の径L3は、第1の径L1および第2の径L2よりも短い。すなわち、第1の径L1のインクの液滴A1が最も大きい液滴であり、次いで、第2の径L2のインクの液滴A2である。そして、第3の径L3のインクの液滴A3が最も小さい液滴である。
【0030】
このように、径が異なるインクを使用して印刷することによって、例えば、記録紙5に印刷する印刷物において、同じ色で印刷する面積が大きい場合、径が最も大きい第1の径L1のインクの液滴A1を記録紙5に吐出することができる。一方、記録紙5に印刷する印刷物において、同じ色で印刷する面積が小さい場合、径が小さい第3の径L3のインクの液滴A3を記録紙5に吐出するとよい。
【0031】
本実施形態では、記録ヘッド40の雰囲気温度によって、圧電素子56に供給する駆動パルスを変更している。記録ヘッド40の雰囲気温度が低い(例えば、所定の第1の温度よりも低い)場合、記録ヘッド40内のインクの粘度が高くなる。一方、記録ヘッド40の雰囲気温度が高い(例えば、所定の第2の温度よりも高い)場合、記録ヘッド40内のインクの粘度が低くなる。そこで、インクの粘度が高いことに起因して、インクがノズル55(
図3参照)に詰まって記録ヘッド40の吐出不良が発生することを抑制するために、記録ヘッド40の雰囲気温度が低い場合、最大電位V1が最も高い第1駆動パルスP1(
図4(a)参照)に基づいて、記録ヘッド40によるインクの液滴A1の吐出を行う。一方、記録ヘッド40の雰囲気温度が低い場合には、最大電位V3が最も低い第3駆動パルスP3(
図4(c)参照)に基づいて、記録ヘッド40によるインクの液滴A3の吐出を行う。なお、図示は省略するが、記録ヘッド40の雰囲気温度は、例えば、記録ヘッド40の近傍に配置されたセンサによって測定することができる。
【0032】
ところで、
図2に示すインクカートリッジ45は、消耗部品である。インクカートリッジ45に収容されたインクがなくなると、新しいインクカートリッジ45に交換される。インクカートリッジ45には、純正インクが収容された純正インクカートリッジと、非純正インクが収容された非純正インクカートリッジとが存在する。
【0033】
インクジェット式のプリンタでは、使用されるインク、記録媒体(記録紙5)、および、印刷装置1の有機的な繋がりがあり、適切なインク、および、記録媒体が使用されることで、印刷の品質が確保されている。上記純正インクカートリッジは、印刷装置1と製造会社が同じ会社、または、印刷装置1の製造会社が承認した会社によって製造されたものである。そのため、純正インクカートリッジ内の純正インクは、印刷装置1の性質などに適したインクであるため、純正インクを使用することで印刷の品質および信頼性が確保される。一方、非純正インクカートリッジは、上記会社以外の他社によって製造されている。そのため、非純正インクは、印刷装置1に適したインクではないことがあり得る。その結果、非純正インクに起因して、印刷の品質が低下することがあり得る。以上のように、印刷の品質が低下することを抑制するために、記録ヘッド40に接続されたインクカートリッジ45が純正品であるか非純正品であるかを判定する必要がある。
【0034】
そこで、本実施形態では、インクカートリッジ45が純正品であるか非純正品であるかを判別するために、インクカートリッジ45には、ICタグ47が設けられている。ICタグ47には、インクカートリッジ45が純正品か否かを判定するための情報である認証情報が記憶されている。なお、ICタグ47には、上記認証情報以外の情報が記憶されていてもよい。例えば、ICタグ47には、インクカートリッジ45の製造年月日、および、シリアルIDなどが記憶されていてもよい。
【0035】
本実施形態では、印刷装置1は、読み取りセンサ48を備えている。読み取りセンサ48は、インクカートリッジ45に設けられたICタグ47に記憶された情報を読み取るセンサである。ここでは、読み取りセンサ48は非接触式のセンサである。しかし、読み取りセンサ48は、接触式のセンサであってもよい。読み取りセンサ48は、ICタグ47の情報が読み取ることが可能な位置に配置されている。読み取りセンサ48は、インクカートリッジ45が配置された位置の近傍に配置されている。
【0036】
ところで、
図4(a)〜
図4(c)に示すように、駆動信号である駆動パルスP1〜P3は、純正インクに含まれる成分に基づいて生成されたパルス波形である。駆動パルスP1〜P3に基づいてインクの液滴の径が決定されるため、純正インクに含まれる成分と、記録紙5に吐出されるインクの液滴の径とは、密接な関係がある。特に、径が短く、小さいインクの液滴A3(
図5参照)を記録紙5に吐出する程、上記関係がより密接になる。純正インクと非純正インクでは、含まれる成分が異なることがあり得る。そのため、非純正インクの液滴を記録紙5に吐出する場合において、小さいインクの液滴を記録紙5に吐出して印刷物を印刷する程、含まれる上記成分が異なることに起因して、ユーザが所望する印刷結果が得られず、印刷の品質が低下することがあった。
【0037】
また、非純正インクカートリッジに収容された非純正インクは、インクが乾燥するまでの乾燥時間が、純正インクカートリッジに収容された純正インクよりも長いことがあり得る。十分に乾燥時間が確保されていない状態で印刷をし続けると、インクの滲みなどが発生するおそれがある。また、純正インクと、非純正インクとでは、含まれる成分が異なることがあり得るため、純正インクと、非純正インクとでは、表面張力が異なる場合があり得る。印刷装置1は、純正インクの表面張力を考慮して設計された装置であるため、純正インクと表面張力が異なる非純正インクを印刷装置1で使用すると、印刷の品質が低下するおそれがある。
【0038】
そこで、非純正インクが使用された場合であっても印刷の品質が低下することを抑制するため、本実施形態では、記録ヘッド40に接続されたインクカートリッジ45が純正品のときと、非純正品のときとで、異なる印刷モードに設定することとする。ここで、「印刷モード」とは、印刷する際の記録ヘッド40などの印刷に関する動作の制御手順を示したモードのことをいう。ここでは、インクカートリッジ45が純正品の場合の印刷モードを「標準モード」という。「標準モード」とは、通常の印刷の際に行われる印刷モードのことである。また、ここでは、インクカートリッジ45が非純正品の場合の印刷モードを「セーフティモード」という。「セーフティモード」とは、非純正インクが使用された場合であっても、印刷の品質の低下を抑制するための印刷制御を行う印刷モードのことである。なお、本実施形態では、標準モードは、本発明の「第1印刷モード」に対応し、セーフティモードは、本発明の「第2印刷モード」に対応する。
【0039】
本実施形態では、標準モードとセーフティモードとは、以下のことが異なる。まず、標準モードでは、記録ヘッド40の圧電素子56に供給される駆動信号は、
図4(a)〜
図4(c)に示すように、第1駆動パルスP1、第2駆動パルスP2、および、第3駆動パルスP3の3つである。標準モードでは、
図5に示すように、第1の径L1のインクの液滴A1と、第2の径L2のインクの液滴A2と、第3の径L3のインクの液滴A3とを吐出する。標準モードでは、大きさが異なるインクの液滴を複数吐出することで印刷を行う。一方、セーフティモードでは、非純正インクの成分が純正インクの成分と異なることがあり得るため、径が異なる複数のインクの液滴を吐出することで印刷を行うと、印刷の品質が低下することがあり得る。そこで、セーフティモードでは、記録ヘッド40の圧電素子56に供給される駆動信号は、
図4(a)に示すように、最大電位V1が最も高い第1駆動パルスP1の1つである。セーフティモードでは、記録ヘッド40は、
図5に示すように、第1の径L1のインクの液滴A1を吐出し、第2の径L2および第3の径L3のインクの液滴A2およびA3は吐出しない。すなわち、セーフティモードでは、記録ヘッド40は、最も大きいインクの液滴A1のみを吐出することで印刷を行う。
【0040】
上述のように、非純正インクカートリッジに収容された非純正インクは、インクが乾燥するまでの乾燥時間が、純正インクカートリッジに収容された純正インクよりも長いことがあり得る。そこで、セーフティモードでは、記録紙5に吐出されたインクの乾燥時間を確保するために、標準モードと比較して、印刷時間を長くする。本実施形態では、セーフティモードでは、搬送機構27(
図2参照)による記録紙5の副走査方向Xへ搬送する速度を、標準モードと比較して遅くする。具体的には、標準モードでは、搬送機構27は、プラテン25に載置された記録紙5を所定の第1の速度で搬送する。セーフティモードでは、搬送機構27は、プラテン25に載置された記録紙5を、第1の速度よりも遅い所定の第2の速度で搬送する。
【0041】
以上のように、インクカートリッジ45が純正品か否かによって印刷モードを異ならせることで、インクカートリッジ45が非純正品の場合であっても、印刷の品質が低下することを抑制することができる。
【0042】
本実施形態では、上述したインクカートリッジ45が純正品か否かの判定、および、印刷モードの設定などは、制御装置60によって行われる。
【0043】
次に、本実施形態に係る制御装置60について説明する。制御装置60は、マイクロコンピュータからなっており、本体10の内部に設けられている。制御装置60は、CPUと、CPUが実行するプログラムなどを格納したROMと、RAMなどを備えている。ここでは、マイクロコンピュータ内に保存されたプログラムを使用して、印刷に関する制御を行う。
【0044】
図6は、印刷装置1のブロック図である。
図6に示すように、制御装置60は、上下一対のローラ26のうち一方のローラ26(駆動ローラ)に接続されたモータ26aと、プーリ21に接続されたサーボモータ24と、記録ヘッド40と、読み取りセンサ48と接続している。制御装置60は、モータ26aと、サーボモータ24、記録ヘッド40、および読み取りセンサ48を制御する。制御装置60は、モータ26aを制御することで、駆動ローラ26の回転を制御する。制御装置60は、サーボモータ24を制御することで、プーリ21の回転、および、ベルト23(
図2参照)の走行を制御する。制御装置60は、記録ヘッド40がインクを吐出するタイミングなどを制御する。また、制御装置60は、読み取りセンサ48によって、インクカートリッジ45(
図2参照)に設けられたICタグ47に記録された情報を取得する。
【0045】
制御装置60は、記憶部61と、インクカートリッジ判定部62と、標準モード設定部64と、セーフティモード設定部66と、印刷部68と、受信部69を備えている。本実施形態では、インクカートリッジ判定部62は、本発明の「インク収容体判定部」に対応する。そして、標準モード設定部64は、本発明の「第1印刷モード設定部」に対応し、セーフティモード設定部66は、本発明の「第2印刷モード設定部」に対応する。なお、上述した各部は、ソフトウェアによって構成されていてもよいし、ハードウェアによって構成されていてもよい。
【0046】
図7は、印刷処理に関する手順を示したフローチャートである。次に、印刷装置1が記録紙5に対して印刷を行う際の印刷処理に関する手順について、
図7のフローチャートを用いて説明する。なお、
図7のフローチャートに記載された各処理は、例えば、印刷装置1の電源が入れられた際に行われるものである。ただし、
図7の各処理は、インクカートリッジ45が記録ヘッド40に接続された際、インクカートリッジ45が本体10に取り付けられた際、インクカートリッジ45が本体10に取り付けられた後から印刷が開始される直前までの間、または、印刷が開始される直前に行われるものであってもよい。
【0047】
まず、ステップS101では、インクカートリッジ判定部62は、記録ヘッド40に接続されたインクカートリッジ45に関する情報である認証情報を取得する。具体的には、インクカートリッジ判定部62は、インクカートリッジ45に設けられたICタグ47に記憶された認証情報を、読み取りセンサ48によって読み取ることによって、認証情報を取得する。なお、読み取りセンサ48によって取得したインクカートリッジ45の認証情報は、記憶部61に記憶される。
【0048】
次に、ステップS102では、インクカートリッジ判定部62は、インクカートリッジ45が純正品であるか否かを判定する。なお、インクカートリッジ45が純正品であるか否かを判定する手順は特に限定されない。例えば、以下のようにしてインクカートリッジ45が純正品か否かを判定することができる。まず、インクカートリッジ判定部62は、ステップS101において取得した認証情報であって、インクカートリッジ45の認証情報を解析する。この解析方法は、特に限定されず、例えば、記憶部61に予め記憶されたハッシュ関数を用いてもよい。この場合、インクカートリッジ判定部62は、ハッシュ関数を使用して、取得した認証情報のハッシュ値を算出する。そして、インクカートリッジ判定部62は、算出したハッシュ値に基づいて、インクカートリッジ45が純正品か否かを判定する。例えば、上記ハッシュ値が、純正インクカートリッジと判定する所定の値と一致した場合、インクカートリッジ判定部62は、記録ヘッド40に接続されたインクカートリッジ45が純正品であると判定する。一方、上記ハッシュ値が、上記所定の値と一致しなかった場合、インクカートリッジ判定部62は、インクカートリッジ45が非純正品であると判定する。なお、上記所定の値は、記憶部61に予め記憶された値である。
【0049】
インクカートリッジ判定部62によって、記録ヘッド40に接続されたインクカートリッジ45が純正品であると判定された場合、次に、ステップS103に進む。一方、インクカートリッジ判定部62によって、インクカートリッジ45が純正品ではない、すなわち、インクカートリッジ45が非純正品であると判定された場合、次に、ステップS104に進む。
【0050】
ステップS102において、インクカートリッジ45が純正品であると判定された後、ステップS103では、標準モード設定部64は、印刷モードを標準モードに設定する。ここでは、標準モードとは、上述したように、通常の印刷の際に行われる印刷モードのことである。標準モードでは、記録紙5に印刷する場合、
図4(a)〜
図4(c)に示すように、第1駆動パルスP1、第2駆動パルスP2、および、第3駆動パルスP3に基づいて、記録ヘッド40の圧電素子56に電圧を印加する。すなわち、標準モードでは、記録紙5に印刷する際、記録ヘッド40は、径が異なる複数(ここでは、3種類)のインクの液滴A1〜A3を吐出する。ここでは、標準モードでは、記録ヘッド40は、
図5に示すように、第1の径L1のインクの液滴A1、第2の径L2のインクの液滴A2、および、第3の径L3のインクの液滴A3を吐出する。また、標準モードでは、搬送機構27は、プラテン25に載置された記録紙5を所定の第1の速度で副走査方向Xへ搬送する。ここで、第1駆動パルスP1、第2駆動パルスP2、第3駆動パルスP3、および、第1の速度は、記憶部61に予め記憶されている。以上のように、標準モード設定部64によって、印刷モードを標準モードに設定した後、次に、ステップS105に進む。
【0051】
一方、ステップS102において、インクカートリッジ45が非純正品であると判定された後、ステップS104では、セーフティモード設定部66は、印刷モードをセーフティモードに設定する。ここでは、セーフティモードとは、上述したように、非純正インクが使用された場合であっても、印刷の品質の低下を抑制するための印刷制御を行う印刷モードのことである。セーフティモードでは、記録ヘッド40は、最も径が大きいインクの液滴を記録紙5に吐出する。具体的には、セーフティモードでは、
図4(a)に示すように、最大電位V1が最も高い第1駆動パルスP1に基づいて、圧電素子56に電圧を印加する。セーフティモードでは、
図4(b)および
図4(c)に示すように、第2駆動パルスP2および第3駆動パルスP3は使用しない。言い換えると、セーフティモードでは、記録ヘッド40は、
図5に示すように、第2の径L2および第3の径L3よりも長い第1の径L1のインクの液滴A1のみを記録紙5に吐出する。セーフティモードでは、第2の径L2および第3の径L3のインクの液滴A2およびA3を記録紙5に吐出しない。また、セーフティモードでは、搬送機構27は、上記第1の速度よりも遅い所定の第2の速度で、プラテン25に載置された記録紙5を副走査方向Xに搬送する。すなわち、セーフティモードでは、記録紙5を副走査方向Xに搬送する速度が標準モードよりも遅いため、印刷時間が標準モードよりも遅い。ここでは、所定の第2の速度は、記憶部61に予め記憶されている。以上のように、セーフティモード設定部66によって印刷モードをセーフティモードに設定した後、次に、ステップS105に進む。
【0052】
ステップS103またはステップS104において印刷モードを設定した後、ステップS105では、印刷部68は、印刷を開始する。ここでは、例えば、制御装置60は、信号を受信する受信部69によって、印刷開始ジョブ信号を受信する。そして、印刷開始ジョブ信号を受信した後、印刷部68は、印刷を開始する。このとき、記録ヘッド40に接続されたインクカートリッジ45が純正品の場合、印刷部68は、標準モードで印刷を行う。具体的には、印刷部68は、サーボモータ24の駆動を制御して、プーリ21の回転を制御することで、ベルト23の走行を制御する。そして、ベルト23の走行に伴って、記録ヘッド40が主走査方向Yに移動する。印刷部68は、主走査方向Yに移動中であって、プラテン25に載置された記録紙5の上方を通過する際、記録ヘッド40のノズル55からインクを記録紙5に向かって吐出させる。具体的には、印刷部68は、
図4(a)〜
図4(c)に示すように、駆動信号である第1駆動パルスP1、第2駆動パルスP2、および、第3駆動パルスP3の何れかを記録ヘッド40の圧電素子56に適宜供給する。そして、供給された駆動パルスP1〜P3に応じて、記録ヘッド40は、
図5に示すように、第1の径L1、第2の径L2、および、第3の径L3のうち何れかの径のインクの液滴A1〜A3を記録紙5に吐出する。
【0053】
そして、1スキャン分の印刷が終了した後、
図2に示すように、搬送機構27は、記録紙5を副走査方向X(ここでは、後から前に向かう方向)に搬送する。具体的には、制御装置60がモータ26aを駆動させ、一対のローラ26のうちの駆動ローラを回転させる。このとき、記録紙5は、上記駆動ローラと、一対のローラ26のうちの従動ローラとの間に挟まりながら、副走査方向Xへ搬送される。なお、ここでは、搬送機構27が記録紙5を搬送する速度は、第1の速度である。そして、記録紙5の搬送が終了した後、次のスキャンにおける印刷を行う。
【0054】
記録ヘッド40に接続されたインクカートリッジ45が非純正品の場合、ステップS105において、印刷部68は、セーフティモードで印刷を行う。セーフティモードでは、基本的な動作、すなわち、記録ヘッド40を主走査方向Yに移動させる動作、および、記録ヘッド40のノズル55からインクを吐出する動作は、標準モードのときと同様の動作である。ここでは、印刷部68は、
図4(a)に示すように、最大電位V1が最も高い第1駆動パルスP1に基づいて、圧電素子56に電圧を印加する。セーフティモードでは、記録ヘッド40の雰囲気温度が高く、記録ヘッド40内のインクの粘度が低いときであっても、印刷部68は、最大電位V3が最も低い第3駆動パルスP3(
図4(c)参照)を使用せずに、第1駆動パルスP1に基づいて、圧電素子56に電圧を印加する。セーフティモードでは、第1駆動パルスP1に基づいて、圧力室53が膨張および収縮することで、
図5に示すように、最も径が長い第1の径L1のインクの液滴A1が記録紙5に吐出される。
【0055】
そして、1スキャン分の印刷が終了した後、
図2に示すように、搬送機構27は、記録紙5を副走査方向X(ここでは、後から前に向かう方向)に搬送する。なお、セーフティモードでは、搬送機構27が記録紙5を搬送する速度は、上記第1の速度よりも遅い第2の速度である。そして、記録紙5の搬送が終了した後、次のスキャンにおける印刷を行う。
【0056】
以上のように、本実施形態では、標準モードでは、純正品のインクの成分に基づいて制御することで、所望する異なる径の複数のインクの液滴を吐出することができる。しかしながら、例えば、非純正品のインクカートリッジ45のインクの成分と、純正品のインクの成分と異なることがあり得る。そのため、非純正品のインクカートリッジ45が使用された場合、所望する異なる径の複数のインクの液滴を吐出することができないおそれがあるため、印刷の品質が低下することがあり得る。そこで、本実施形態では、インクカートリッジ45が非純正品の場合、異なる径の複数のインクの液滴を適宜吐出させずに、
図5に示すように、最も大きい径である第1の径L1のインクの液滴A1のみを吐出することで印刷を行う。具体的には、インクカートリッジ45が非純正品の場合、
図4(a)に示すように、最大電位V1が最も高い第1駆動パルスP1に基づいて、記録ヘッド40の圧電素子56に電圧を印加することで、
図5に示すように、最も大きい径である第1の径L1のインクの液滴A1を記録紙5に吐出させて印刷を行っている。よって、非純正品のインクカートリッジ45が使用された場合であっても、印刷の品質が低下することを抑制することができると共に、ロバスト性を確保することができる。
【0057】
本実施形態において、標準モードでは、搬送機構27は、プラテン25に載置された記録紙5を所定の第1の速度で搬送する。一方、セーフティモードでは、搬送機構27は、プラテン25に載置された記録紙5を、上記第1の速度よりも遅い所定の第2の速度で搬送する。このことによって、インクカートリッジ45が非純正品である場合、インクカートリッジ45が純正品である場合に比べて、プラテン25に載置された記録紙5が搬送される速度を遅くしている。よって、インクカートリッジ45が非純正品の場合、記録紙5に吐出されたインクの液滴は、記録紙5が搬送される速度を遅くした分、乾燥が促進される。よって、非純正品のインクカートリッジ45が使用された場合であっても、乾燥時間を確保することができるため、印刷の品質が低下することを抑制することができる。
【0058】
本実施形態では、
図2に示すように、インクカートリッジ45には、インクカートリッジ45に関する認証情報が記憶されたICタグ47が設けられている。インクカートリッジ判定部62は、読み取りセンサ48によって読み取られたICタグ47に記憶された認証情報に基づいて、インクカートリッジ45が純正品であるか否かを判定する。このことによって、簡単な構成で、インクカートリッジ45が純正品であるか否かを判定することを実現することができる。
【0059】
また、本実施形態では、読み取りセンサ48は、非接触式のセンサである。このことによって、読み取りセンサ48は、ICタグ47に接触することなく、ICタグ47に記憶された認証情報を読み取ることができる。例えば、インクカートリッジ45が印刷装置1に対して正しく配置されていない場合であっても、読み取りセンサ48は、ICタグ47に記憶された認証情報を読み取ることが可能である。仮に、読み取りセンサ48が接触式のセンサの場合、ICタグ47における読み取りセンサ48との接触部分が劣化することがあり得る。接触部分が劣化すると、ICタグ47内の各情報を読み取りセンサ48が正確に読み取ることができないことがある。しかし、本実施形態では、読み取りセンサ48は、非接触式のセンサであるため、上述したような接触部分が存在しない。したがって、接触部分の劣化に起因した読み取り失敗が発生することを防ぐことができる。
【0060】
以上、第1実施形態に係る印刷装置1について説明した。本発明に係る印刷装置は、第1実施形態に係る印刷装置1に限定されず、他の種々の形態で実施することができる。次に、他の実施形態について簡単に説明する。なお、以下の説明において、既に説明した構成と同様の構成には同じ符号を使用し、その説明は省略することとする。
【0061】
<第2実施形態>
本発明に係る印刷装置では、標準モードとセーフティモードにおいて、上記第1実施形態で設定した以外の異なる設定がなされていてもよい。次に、第2実施形態に係る印刷装置について説明する。
図8は、第2実施形態において、警告メッセージ70が印刷された記録紙5を示す図である。例えば、ユーザによっては、非純正品のインクカートリッジ45であることを知らずに、純正品のインクカートリッジ45と間違えて非純正品のインクカートリッジ45を使用することがあり得る。そこで、本実施形態では、非純正品のインクカートリッジ45が使用された場合、セーフティモードにおいて、
図8に示すように、記録紙5に警告メッセージ70を印刷する。なお、通常モードでは、記録紙5に警告メッセージ70は印刷されない。ここでは、「警告メッセージ」とは、使用しているインクカートリッジ45およびインクが非純正品であることをユーザに注意喚起するためのメッセージである。なお、警告メッセージ70の具体的な内容は特に限定されない。
【0062】
警告メッセージ70を印刷する位置は特に限定されない。本実施形態では、記録紙5に印刷物72を印刷する場合、印刷物72を記録紙5に印刷する前、および、印刷物72を記録紙5に印刷した後における記録紙5の領域に、警告メッセージ70を印刷する。言い換えると、本実施形態では、印刷物72が記録紙5の前から後に向かって印刷される場合、警告メッセージ70は、印刷物72が印刷された記録紙5において、印刷物72よりも前方および後方の領域に印刷される。ただし、印刷物72を記録紙5に印刷する前の領域、および、印刷物72を記録紙5に印刷した後の領域のうち何れか一方のみに警告メッセージ70は印刷されてもよい。警告メッセージ70は、印刷物72が印刷された記録紙5において、印刷物72よりも前方および後方の領域のうち何れかの領域に印刷されてもよい。
【0063】
本実施形態では、非純正品のインクカートリッジ45が使用された場合、記録紙5に印刷された警告メッセージ70をユーザが目視することで、使用しているインクカートリッジ45が非純正品であることを認識することができる。したがって、仮に、ユーザが純正品のインクカートリッジ45と間違えて非純正品のインクカートリッジ45を使用した場合であっても、記録紙5に印刷された警告メッセージ70を目視することで、ユーザに対して注意喚起を施すことができる。
【0064】
<他の実施形態>
上記各実施形態では、セーフティモードにおいて、記録紙5に吐出されたインクの乾燥時間を確保するために、標準モードに比べて、印刷時間を遅くしていた。具体的には、標準モードでは、
図2に示すように、搬送機構27は、プラテン25に載置された記録紙5を所定の第1の速度で搬送していた。一方、セーフティモードでは、搬送機構27は、プラテン25に載置された記録紙5を、上記第1の速度よりも遅い所定の第2の速度で搬送していた。
【0065】
しかしながら、セーフティモードにおいて、記録紙5に吐出されたインクの乾燥時間を確保するために、標準モードに比べて、記録ヘッド40のスキャン速度を遅くしてもよい。ここで、ここで、「スキャン速度」とは、記録ヘッド40が主走査方向Yに移動する際の速度のことである。例えば、印刷モードを標準モードに設定する際、標準モード設定部64は、スキャン速度を所定の第3の速度に設定し、印刷モードをセーフティモードに設定する際、セーフティモード設定部66は、スキャン速度を第3の速度よりも遅い所定の第4の速度に設定してもよい。
【0066】
また、セーフティモードにおいて、記録紙5に吐出されたインクの乾燥時間を確保するために、単方向印刷を行ってもよい。すなわち、セーフティモードでは、記録ヘッド40が主走査方向Yに移動しながら印刷する場合において、例えば、記録ヘッド40は、ガイドレール20の一端(例えば、右端)から他端(例えば、左端)に向かって移動する際に、インクを記録紙5に吐出し、ガイドレール20の他端から一端に向かって移動する際には、インクを記録紙5に吐出しないようにする。なお、この場合、標準モードでは、単方向印刷で印刷を行ってもよいし、双方向印刷で印刷を行ってもよい。標準モードでは、記録ヘッド40は、ガイドレール20の一端から他端に向かって移動する際、および、他端から一端に向かって移動する際に、インクを記録紙5に吐出してもよい。
【0067】
上記各実施形態では、インクカートリッジ判定部62は、記録ヘッド40に接続されたインクカートリッジ45に設けられたICタグ47内の認証情報を取得し、その認証情報を判別することによって、インクカートリッジ45が純正品であるか否かを判定していた。しかしながら、インクカートリッジ判定部62は、他の手法を用いて、記録ヘッド40に接続されたインクカートリッジ45が純正品であるか否かを判定してもよい。例えば、インクカートリッジ判定部62は、純正インクカートリッジの詳細な形状を記憶している。印刷装置1には、インクカートリッジ45の形状を読み取るセンサが配置されている。この形状を読み取るセンサは、制御装置60に接続している。そして、インクカートリッジ判定部62は、上記形状を読み取るセンサによって、記録ヘッド40に接続されたインクカートリッジ45の形状を読み取る。インクカートリッジ判定部62は、予め記憶された純正インクカートリッジの詳細な形状と、読み取った形状とが一致した場合、記録ヘッド40に接続されたインクカートリッジ45は、純正品であると判定してもよい。一方、インクカートリッジ判定部62は、予め記憶された純正インクカートリッジの詳細な形状と、読み取った形状とが一致しない場合、記録ヘッド40に接続されたインクカートリッジ45は、非純正品であると判定してもよい。
【0068】
なお、上記各実施形態は、適宜に組み合わせることが可能である。
【0069】
上述したように、印刷装置1の制御装置60の記憶部61、インクカートリッジ判定部62、標準モード設定部64、セーフティモード設定部66、印刷部68、および受信部69は、ソフトウェアによって構成されていてもよい。すなわち、上記各部は、コンピュータプログラムがコンピュータに読み込まれることにより、当該コンピュータによって実現されるようになっていてもよい。本発明には、コンピュータを上記各部として機能させるための印刷用のコンピュータプログラムが含まれる。また、本発明には、当該コンピュータプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体が含まれる。