(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6754241
(24)【登録日】2020年8月25日
(45)【発行日】2020年9月9日
(54)【発明の名称】LED光射出装置
(51)【国際特許分類】
H05B 45/345 20200101AFI20200831BHJP
H05B 45/34 20200101ALI20200831BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20200831BHJP
【FI】
H05B45/345
H05B45/34
H01L33/00 J
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-146291(P2016-146291)
(22)【出願日】2016年7月26日
(65)【公開番号】特開2018-18624(P2018-18624A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2019年7月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】596099446
【氏名又は名称】シーシーエス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕一郎
【審査官】
田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−229210(JP,A)
【文献】
特開2005−093196(JP,A)
【文献】
韓国登録特許第10−1222169(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/00
H01L 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数のLEDと、
該LEDのアノード及びカソードにそれぞれ接続されるプラス端子及びマイナス端子と、
前記プラス端子及びマイナス端子間の端子間電圧を示す端子間電圧指標値を検出する電圧検出回路と、
基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、
前記端子間電圧指標値と基準電圧とを比較する比較回路と、
前記LEDと直列に配置され、前記比較回路によって端子間電圧指標値が基準電圧を下回ったと検知された場合には、電圧を発生して前記端子間電圧指標値を前記基準電圧以上に引き上げる電圧発生回路とを具備することを特徴とするLED光射出装置。
【請求項2】
制御ICをさらに具備し、
前記電圧発生回路によって引き上げられた端子間電圧が、該制御ICの最低動作電源電圧以上に設定されていることを特徴とする請求項1記載のLED光射出装置。
【請求項3】
LEDに流れる電流をバイパスするバイパス回路をさらに具備し、前記制御ICが、前記バイパス回路に設けられて、該バイパス回路を流れる電流を制御するデジタルポテンショであることを特徴とする請求項2記載のLED光射出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面検査等に用いられるLED光射出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のLED光射出装置として、省配線化のために、電源装置に対してLED駆動用の2線(プラス線とマイナス線)のみで接続された2線接続式のものが開発されている。
このような2線接続式の場合、
図1に示すように、LED光射出装置1’の内部には、LED11’が収容されており、プラス線31’はLED11’のアノード側に、マイナス線32’はLED11’のカソード側それぞれに接続されている(実際には、非常に小さな値の保護抵抗がLED11’に直列に入っていることもある)。
【0003】
その一方で、前記プラス線31’は、電源装置2’の定電圧源21’に、マイナス端子32’は電源装置2’の定電流回路22’にそれぞれ接続されている。そして、この定電流回路22’によってLED11’を流れる電流が制御され、その明るさ調整、すなわち調光ができるように構成してある。
【0004】
したがって、LED光射出装置1’の入力端子間電圧、すなわち、プラス線31’とマイナス線32’との間に発生する電圧は、LED11’のVfに依存して、これと実質的に等しくなる。
ところが、同図に示すように、このLED光射出装置1’内に、例えば、器差を吸収するためのバイパス電流回路といった周辺回路12’を設けたときに、この周辺回路12’が動作しない場合が生じる。
【0005】
それは、調光によってLED11’に小さな電流しか流さないようにした場合である。
すなわち、該周辺回路12’を構成する制御IC(例えば
図1ではデジタルポテンシヨメーター)の動作電源端子Vcc、GNDには、前記プラス線31’とマイナス線32’とをそれぞれ接続せざるをえず、その電位差が印加される。
しかしながら、調光によりLED11’に小電流しか流れないと、そのVf、すなわち、前記プラス線31’とマイナス線32’との電位差が小さくなり、前記制御ICの動作保証電圧を満たすことができなくなって、該制御ICが動作しなくなる。
これを解決するには、LED駆動用の2線31’、32’に加えて、電源装置の電源ラインとグランドラインとをLED光射出装置に接続し、これによって前記周辺回路に電力を供給すればよいが、そうすると省配線化を図れないという不具合が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-191861
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はかかる不具合に鑑みてなされたものであって、2線接続による省配線を担保しつつ、内部に種々の周辺回路を設けたとしても、これらが確実に動作するLED光射出装置を提供すべく図ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明に係るLED光照射装置は、1又は複数のLEDと、該LEDのアノード及びカソードにそれぞれ接続されるプラス端子及びマイナス端子と、前記プラス端子及びマイナス端子間の端子間電圧を示す端子間電圧指標値を検出する電圧検出回路と、基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、前記端子間電圧指標値と基準電圧とを比較する比較回路と、前記LEDと直列に配置された電圧発生回路とを具備し、前記比較回路によって端子間電圧指標値が基準電圧を下回ったと検知された場合には、前記電圧発生回路に電圧が発生し、前記端子間電圧指標値を前記基準電圧以上に引き上げることを特徴とするものである。
【0009】
好ましい実施態様としては、制御ICをさらに具備し、前記基準電圧によって維持される端子間電圧の最小値が、該制御ICの最低動作電源電圧以上に設定されているものを挙げることができる。なお、最低動作電源電圧とは、制御ICの電源端子に印加される電圧であって、例えば、仕様として動作が保証されている最低電圧のことである。その他、仕様上の最低電圧のみならず、実験等によって動作することが判明している最低電圧でも構わない。
【0010】
具体例としては、LEDに流れる電流をバイパスするバイパス回路をさらに具備し、前記制御ICが、前記バイパス回路に設けられて、該バイパス回路を流れる電流を制御するデジタルポテンショを挙げることができる。
【発明の効果】
【0011】
このようなものであれば、LED光射出装置と電源装置とを2線のみで接続し、省配線を実現しながらも、LED光射出装置に印加される電圧が、確実に基準電圧以上になるので、LED光射出装置に、LED以外の種々の制御IC等を搭載しても、これらを確実に動作させることができるようになり、LED光射出装置の高性能化を促進することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】従来におけるLED光照明システムを示す模式的回路図。
【
図2】本発明の一実施形態におけるLED光照明システムの回路図。
【
図3】同実施形態における端子間電圧を示す電圧変化図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0014】
この実施形態におけるLED光照明システム100は、
図2に示すように、例えば、種々のワークの表面検査に用いられるLED光射出装置1と、該LED光射出装置1にプラス線31及びマイナス線32の2線電気ケーブル3のみによって接続されて、これに電流を供給する電源装置2とを具備したものである。
【0015】
前記LED光射出装置1は、前記プラス線31及びマイナス線32がそれぞれコネクタ接続されるプラス端子13a及びマイナス端子13bと、直列に配設された複数のLED11と、LED11に流れる電流を一部バイパスするバイパス回路12とを具備したものである。
【0016】
前記プラス端子13aには、直列したLED11のうちの一端のLED11のアノードが直接又は間接的に接続されており、前記マイナス端子13bには、直列したLED11のうちの他端のLED11のカソードが直接又は間接的に接続されている。なお、ここでは、前記LED11と直列に、非常に小さな抵抗値(例えば0.1Ω)の保護用の抵抗素子R4が設けられているが、この抵抗素子R4は省略しても構わない。
【0017】
そして、電気ケーブル3を介してこれらLED11に電力が供給されることにより、LED11が点灯し、その光がワークに向かって射出されるように構成してある。
【0018】
なお、前記バイパス回路12は、ここでは、プラス端子13a及びマイナス端子13b間において、LED11と並列に配設された制御ICたるデジタルポテンショ121を具備したものである。そして、このデジタルポテンショ121の抵抗値を調整することにより、バイパス回路12を流れる電流を制御し、LEDのばらつきに起因する各LED光射出装置での光量のばらつき(器差)を吸収できるように構成してある。
【0019】
また、このデジタルポテンショ121の動作電源端子Vcc、GNDには、プラス端子13aとマイナス端子13bとがそれぞれ接続されている。
【0020】
前記電源装置2は、前記電気ケーブル3を介して、前記LED光射出装置1のプラス端子13a及びマイナス端子13bにそれぞれ接続される第1端子23a及び第2端子23bと、前記第1端子23aに接続された定電圧源21と、前記第2端子23bに接続された定電流回路22とを具備したものである。そして、このものは、従来例でも説明したが、該定電流回路22を流れる電流を制御することによって、LED11に流れる電流を制御し、その明るさ調整、すなわち調光ができるように構成してある。
【0021】
前記定電圧源21は、例えばDC−DCコンバータやAC−DCコンバータなどに代表される直流電圧源であり、ここでは、外部から入力された電圧指令信号の値に応じてその出力電圧を変えることができるように構成されている。
【0022】
前記定電流回路22は、バイポーラトランジスタやMOSFETなどを利用して一定の電流を流せるようにしたものであり、例えば、ゲートやベース電圧をコントロールすることによって、流れる電流をコントロールできるようにしたものである。
【0023】
なお、この電源装置2には、前記定電圧源21の発生する電圧や、前記定電流回路22を流れる電流を可変に制御するための図示しない制御回路が設けられている。この制御回路は、例えば、CPU、メモリ、ADコンバータ、DAコンバータ、増幅器などを具備したアナログ、デジタル混在回路であり、メモリに記憶させた所定のプログラムにしたがってCPU及びその周辺機器が協働することにより、電圧指令信号を出力して前記定電圧源21の出力電圧を制御する電圧制御部や、電流指令信号を出力して前記定電流回路22が流す電流を制御する電流制御部等としての機能を発揮する。
【0024】
そして、かかる構成の電源装置2を、前記電気ケーブル3によってLED光射出装置1に接続することにより、LED光射出装置1を所望の明るさで点灯できるように構成されている。
【0025】
しかして、この実施形態のLED光射出装置1には、同図に示すように、電圧検出回路4、基準電圧生成回路5、比較回路6、電圧発生回路7等がさらに設けてある。
以下に各回路4〜7の構成を詳述する。
【0026】
前記電圧検出回路4は、プラス端子13aとマイナス端子13bとの間の端子間電圧を示す端子間電圧指標値を検出するものである。この実施形態での電圧検出回路4は、端子間電圧指標値として、端子間電圧V
0そのものを検出するように構成してあり、
図2に示すように、プラス端子13aに一端が接続された抵抗素子R1がその機能を担う。
なお、以下で説明する電圧は、全てマイナス端子13bからみたときの電圧とするので、前記端子間電圧V
0は、プラス端子13aの電圧として取り扱う。
【0027】
前記基準電圧生成回路5は、基準電圧V
rを発生するものである。ここでは、プラス端子13aとマイナス端子13bとの間に直列に配設された抵抗素子R2とツェナーダイオードZDとがその機能を担い、該ツェナーダイオードZDのカソード端子の電圧が前記基準電圧V
rとなる。
【0028】
前記比較回路6は、前記前記基準電圧生成回路5が発生した基準電圧V
rと、前記電圧検出回路4が検出した電圧指標値V
0とを比較し、その結果に応じて後述する電圧発生回路7を駆動するものであり、ここでは、トランジスタQ1、トランジスタQ2及び抵抗素子R3がその機能を担う。
【0029】
各素子を詳述すれば、前記トランジスタQ1はn型のものであり、そのコレクタがプラス端子13aに、そのエミッタが前記抵抗素子R3の一端に、そのベースが前記ツェナーダイオードZDのカソード端子にそれぞれ接続されている。前記トランジスタQ2はp型のものであり、そのエミッタが前記抵抗素子R1の他端に、そのコレクタが前記マイナス端子13bに、そのベースが前記トランジスタQ1のエミッタにそれぞれ接続されている。前記抵抗素子R3は、前述したように、その一端が前記トランジスタQ1のエミッタに、その他端がマイナス端子13bにそれぞれ接続されている。
【0030】
前記電圧発生回路7は、LED11と直列に配置されて、プラス端子13aとマイナス端子13bとの間に、LED11によるVfに加えて付加電圧を発生するものであり、この実施形態では、MOSFET(M1)がその役割を担う。このMOSFET(M1)はp型のものであり、そのソースが抵抗素子R4を介してプラス端子13aに、そのドレインがLED11のアノードに、そのゲートが比較回路6の出力端、すなわちトランジスタQ2のエミッタにそれぞれ接続されている。
【0031】
次に、このように構成したLED光射出装置1の動作を説明する。
マイナス端子13bからみたときのツェナーダイオードZDのカソード端子の電圧、つまり基準電圧V
rは一定であり、該カソード端子に接続されているトランジスタQ1のベース電圧も前記基準電圧V
rとなる。
【0032】
したがって、トランジスタQ1のエミッタ電圧及びこれに接続されているトランジスタQ2のベース電圧V
1は、基準電圧V
rからトランジスタQ1のV
BEを引いた値となり、これも一定となる。
【0033】
一方、トランジスタQ2のエミッタ電圧、すなわち比較回路6の出力電圧V
2は、前記電圧V
1にトランジスタQ2のV
BEを足した値に保たれようとする。なお、この出力電圧V
2は、トランジスタQ1とトランジスタQ2とのV
BEの違いがわずかにあるにせよ、前記基準電圧V
rとほぼ同じである。
【0034】
この状況下、例えば、電源装置2の定電流回路22によって、大きな電流がLED11に流れているときには、LED11のVfによって、前記基準電圧V
rよりも十分に大きな電圧V
0がマイナス端子13bとプラス端子13aとの間に発生する。
【0035】
ここで、MOSFET(M1)のソース電圧は、プラス端子13aの電圧に実質的に等しい一方、MOSFET(M1)のゲート電圧は、前記比較回路6の出力電圧V
2に等しく、さらにこの出力電圧V
2は、前記基準電圧Vrにほぼ等しい。
【0036】
したがって、この状況下では、プラス端子13aの電圧V
0が基準電圧V
rよりも十分に大きく、言い換えれば、MOSFET(M1)のソース−ゲート間電圧が十分大きいので、MOSFET(M1)は完全にオンとなる。
【0037】
その結果、このMOSFET(M1)のドレイン―ソース間は、実質的に導通状態となり、LED11のVf特性通り、LED11を流れる電流が大きくなるにつれ、プラス端子13aとマイナス端子13bとの間の電圧は大きくなっていく。
【0038】
一方、LED11に流す電流が小さくなって、そのVfも小さくなり、プラス端子電圧V
0が基準電圧V
rに接近してくると、MOSFET(M1)のソース−ゲート間電圧が小さくなる。その結果、MOSFET(M1)の完全なオン状態は保たれなくなって、そのドレイン−ソース間に電圧が発生し、プラス端子13aとマイナス端子13bとの間の電圧V
0を基準電圧V
rよりも大きくして、比較回路6の出力電圧V
2をそのまま一定に保とうとする負帰還作用が働く。
【0039】
その結果、この実施形態ではLED11に流す電流が小さくなっても、プラス端子13aとマイナス端子13bとの間の電圧V
0は、
図3の点線で示すように、所定電圧、つまり前記基準電圧V
r以上に必ず保たれる。なお、同図の実線は、LED11のVf特性を示している。
【0040】
そして、前記所定電圧は、デジタルポテンショ121の動作電源電圧以上に設定してあるので、LED11に流す電流が小さくなっても、該デジタルポテンショ121を確実に動作させることができる。
【0041】
かかる構成のLED光射出装置1を一般化した回路ブロック図は、
図4に示すものとなる。
【0042】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、電圧発生回路はLED11のカソード側に設けてもよく、この場合は、MOSFETとしてn型のものを用いればよい。また電圧発生回路は、MOSFETに限られず、バイポーラトランジスタを利用してもよい。
【0043】
さらに、前記実施形態では、電圧検出回路が端子間電圧そのものを検出していたが、例えば、電圧検出回路として、プラス端子とアノード端子との間に2つの抵抗素子を直列に設け、その間の電圧を検出するようにして、端子間電圧を間接的に示す値を検出するようにしてもよい。
比較回路を、前記実施形態のようにディスクリートで組まなくともよく、例えばオペアンプICを用いてもよい。本発明によれば、このようなオペアンプICの動作電源電圧も確保できるからである。
【0044】
電源装置において、定電流回路がLEDのアノード側に接続されるように構成してもよい。
LED光射出装置のLEDは1つでもよい。
LED光射出装置は、前記実施形態のようなワーク表面検査用のもののみならず、例えば、露光用や分光計用、その他一般照明用のものでも構わない。
その他、本発明は上記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0045】
1・・・LED光射出装置
11・・・LED
13a・・・プラス端子
13b・・・マイナス端子
4・・・電圧検出回路
5・・・基準電圧生成回路
6・・・比較回路
7・・・電圧発生回路
121・・・制御IC
12・・・バイパス回路