(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6754244
(24)【登録日】2020年8月25日
(45)【発行日】2020年9月9日
(54)【発明の名称】表面処理をした樹脂コートガラス瓶、その製造方法、及び表面処理装置
(51)【国際特許分類】
C03C 17/42 20060101AFI20200831BHJP
B05D 7/00 20060101ALI20200831BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20200831BHJP
B65D 23/08 20060101ALI20200831BHJP
B05C 9/14 20060101ALI20200831BHJP
【FI】
C03C17/42
B05D7/00 E
B05D7/24 302B
B65D23/08 Z
B05C9/14
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-158341(P2016-158341)
(22)【出願日】2016年8月12日
(65)【公開番号】特開2018-24559(P2018-24559A)
(43)【公開日】2018年2月15日
【審査請求日】2019年3月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222222
【氏名又は名称】東洋ガラス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149799
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 陽一郎
(72)【発明者】
【氏名】塩澤 和之
【審査官】
永田 史泰
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−326845(JP,A)
【文献】
特開2003−211073(JP,A)
【文献】
特開2005−82161(JP,A)
【文献】
特開2003−238710(JP,A)
【文献】
特開昭55−46308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C17/00−17/44
B65D23/08
B05D1/00−7/26
B05C1/00−3/20
F26B1/00−25/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂コートガラス瓶の繰り返し使用方法であって、
ガラス瓶本体の外表面の少なくとも一部に、厚さが20μm以上100μm以下の樹脂層を形成し、樹脂コートガラス瓶を製造する工程と、
前記樹脂コートガラス瓶の前記樹脂層の表面を、炭化水素と、酸素と、珪素含有化合物とを含む混合ガスを燃焼させた火炎により火炎処理し、前記樹脂層の表面に珪酸塩層を形成し、表面処理した樹脂コートガラス瓶を得る工程であって、前記珪酸塩層を形成することによって、アルカリ洗浄による表面の親水性の低減を抑制する工程と、
使用した後の樹脂コートガラス瓶をアルカリ洗浄する工程と、
瓶表面異物検査機により、洗浄済樹脂コートガラス瓶の表面の異物を検査する工程とを含み、
前記火炎を出すバーナーの火炎射出部と、前記樹脂コートガラス瓶の樹脂層との距離が、20mm以上100mm以下である、繰り返し使用方法。
【請求項2】
前記混合ガスにおける珪素含有化合物の割合が、0.01体積%以上、5体積%以下である、請求項1に記載の繰り返し使用方法。
【請求項3】
前記珪素含有化合物が、有機珪素化合物である、請求項1又は2に記載の繰り返し使用方法。
【請求項4】
前記炭化水素が、メタンを80体積%以上含有する炭化水素ガスである、請求項1乃至3に記載の繰り返し使用方法。
【請求項5】
リターナブル瓶として用いられる樹脂コートガラス瓶の表面異物検査方法であって、
ガラス瓶本体の外表面の少なくとも一部に、厚さが20μm以上100μm以下の樹脂層を形成し、樹脂コートガラス瓶を製造する工程と、
前記樹脂コートガラス瓶の前記樹脂層の表面を、炭化水素と、酸素と、珪素含有化合物とを含む混合ガスを燃焼させた火炎により火炎処理し、前記樹脂層の表面に珪酸塩層を形成し、表面処理した樹脂コートガラス瓶を得る工程であって、前記珪酸塩層を形成することによって、アルカリ洗浄による表面の親水性の低減を抑制する工程と、
使用した後の樹脂コートガラス瓶をアルカリ洗浄する工程と、
瓶表面異物検査機により、洗浄済樹脂コートガラス瓶の表面の異物を検査する工程とを含み、
前記火炎を出すバーナーの火炎射出部と、前記樹脂コートガラス瓶の樹脂層との距離が、20mm以上100mm以下である、表面異物検査方法。
【請求項6】
前記混合ガスにおける珪素含有化合物の割合が、0.01体積%以上、5体積%以下である、請求項5に記載の表面異物検査方法。
【請求項7】
前記珪素含有化合物が、有機珪素化合物である、請求項5又は6に記載の表面異物検査方法。
【請求項8】
前記炭化水素が、メタンを80体積%以上含有する炭化水素ガスである、請求項5乃至7のいずれか一項に記載の表面異物検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面処理をした樹脂コートガラス瓶、その製造方法、及び表面処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス瓶は、外表面にウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、及びポリエチレン系樹脂等の樹脂層を形成する(樹脂でコートする)ことにより、ガラス瓶の表面に傷が入りにくくなるため強度が向上される。しかし、これらの樹脂コートガラス瓶は、内容液を充填する前には洗浄が必要な場合があり、また、牛乳瓶などのリターナブル瓶では洗浄して繰り返し使用するため、樹脂層は、洗浄に適したものである必要がある。
【0003】
樹脂コートガラス瓶の洗浄には洗浄水として水やアルカリ液等を用いるが、ガラス瓶の外表面に形成された樹脂層は疎水性であるため、洗浄水などの残留した水滴が樹脂層表面に形成されてしまう。この水滴は洗浄後の光学式の瓶表面異物検査機では、光線の屈折が生じてしまい、水滴を異物として認定し、これが誤判定となり誤排除の原因となっていた。
【0004】
このような問題を解決する方法として、特許文献1は、樹脂コートされた未使用のガラス瓶の外表面に、1300℃〜2000℃のバーナーフレームを0.1秒〜10秒照射することにより、樹脂表面を親水化処理することを特徴とする樹脂コートガラス瓶の親水処理方法を開示している。特許文献1では、このような親水化を行うことにより、ガラス瓶の表面上の水滴を低減させ、誤判定を防止できることが記載されている。
【0005】
しかし、特許文献1の方法では、ガラス瓶を2〜3回程度洗浄することによって、親水化処理の効果が失われやすく、樹脂層の表面が疎水性に戻ってしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3927820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、樹脂コートガラス瓶の表面処理の方法を検討し、樹脂コートガラス瓶を洗浄しても樹脂層の外表面に水滴が形成しにくく、また複数回洗浄しても親水性を維持できる表面処理した樹脂コートガラス瓶、その製造方法、及び表面処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、鋭意研究の結果、炭化水素と、酸素と、珪素含有化合物とを含むガスによる火炎により樹脂コートガラス瓶の樹脂層表面を処理すると、樹脂コートガラス瓶の表面に水滴が形成しにくくなることを発見し、本発明に至った。
【0009】
すなわち、本発明の1つは、表面処理をした樹脂コートガラス瓶の製造方法であって、ガラス瓶本体の外表面の少なくとも一部に、樹脂層を形成し、樹脂コートガラス瓶を製造する工程と、前記樹脂コートガラス瓶の前記樹脂層の表面を、炭化水素と、酸素と、珪素含有化合物とを含む混合ガスを燃焼させた火炎により火炎処理し、前記樹脂層の表面に珪酸塩層を形成する工程とを含む、製造方法である。
【0010】
前記製造方法において、前記混合ガスにおける珪素含有化合物の割合が、0.01体積%以上、5体積%以下であることが好ましい。
【0011】
前記製造方法において、前記珪素含有化合物が、有機珪素化合物であることが好ましい。
【0012】
前記製造方法において、前記炭化水素が、メタンを80体積%以上含有する炭化水素ガスであることが好ましい。
【0013】
前記製造方法において、前記火炎を出すバーナーの火炎射出部と、前記樹脂コートガラス瓶の樹脂層との距離が、20mm以上100mm以下であることが好ましい。
【0014】
また、本発明の1つは、ガラス瓶本体と、前記ガラス瓶本体の外表面に設けられた樹脂層と、前記樹脂層の上に設けられた珪酸塩層とを含み、前記珪酸塩層の厚さは、50nm以下である、表面処理した樹脂コートガラス瓶である。
【0015】
また、本発明の1つは、樹脂コートガラス瓶を表面処理するための装置であって、
前記樹脂コートガラス瓶を搬送するためのコンベアと、前記コンベアと同方向に動き、前記樹脂コートガラス瓶を回転させるためのミニコンベアと、前記コンベアに搬送されている樹脂コートガラス瓶を火炎処理するための少なくとも1つのバーナーとを備える、装置である。
【0016】
前記装置において、前記バーナーは、炭化水素と、酸素と、珪素含有化合物とを含む混合ガスを燃焼させた火炎を放出し、樹脂コートガラス瓶を火炎処理することにより、樹脂コートガラス瓶の表面を処理することが好ましい。
【0017】
前記装置において、前記表面処理は、樹脂コートガラス瓶の表面上に珪酸塩層を形成することにより行われることが好ましい。
【0018】
前記装置において、前記バーナーの火炎射出部と、前記樹脂コートガラス瓶の樹脂層との距離が、20mm以上100mm以下になるように設定されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の製造方法によって得られた表面処理を行った樹脂コートガラス瓶は、複数回アルカリ洗浄しても、樹脂層の表面に水滴が形成しにくく、光学検査による誤判定を低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明の実施例のおける樹脂層の表面を処理する際の模式図である。
【
図2】
図2は、連続火炎処理の一例を示す図であり、瓶の上方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の好ましい実施形態を示すが、本発明は下記する実施形態に限定されるものではない。
【0022】
[表面処理をした樹脂コートガラス瓶の製造方法]
(1)樹脂層の形成
まず、所望の形状を有する新しいガラス瓶本体の外表面に、樹脂層を形成する。樹脂層の形成方法は、特に限定されるものではなく、従来の形成方法によって行うことができる。例えば、樹脂のコーティング液を塗布し、それを硬化させることによって、樹脂層を形成することができる。なお、本明細書では、ガラス瓶本体に樹脂を形成した状態のガラス瓶を樹脂コートガラス瓶とする。
【0023】
樹脂コートガラス瓶の樹脂層の樹脂は、本発明の目的を阻害しない範囲で適宜選択することができる。使用できる樹脂としては、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ラテックス系樹脂、ポリエチレン系樹脂が好適に用いられる。なかでも、ウレタン樹脂は、ウレタン樹脂の弾力性により緩衝作用が生じ、瓶に加わる衝撃が緩和されるため好ましい。また、ウレタン樹脂にメラミン樹脂を適量加えることで、耐アルカリ性が向上する。
【0024】
樹脂層を形成する方法として、樹脂のコーティング液を塗布する方法、樹脂フィルムを貼付する方法が挙げられるが、コーティング液を塗布する方法が好ましい。コーティング液を使用する場合は、該コーティング液には、必要に応じて、ラテックス、着色剤、レベリング剤、シランカップリング剤などの添加剤を加えることができる。また、水などの溶媒の添加量により粘度を調整できる。
【0025】
樹脂層の厚さは、特に限定されないが、通常20μm以上100μm以下であることが好ましい。
【0026】
樹脂層は、滑材を含む樹脂層にしてもよい。使用できる滑材は、固体滑剤としては、他にポリエチレンワックス、変性ポリエチレンワックス、カルバウナワックスなどの微粒子を用いることができる。
【0027】
(2)酸化炎処理
樹脂コートガラス瓶の樹脂層の表面には、酸化炎処理を行うことができる。酸化炎処理は、本発明において、必須の工程ではないが、行うことが好ましい。酸化炎処理を行うことで、樹脂層の表面の湿気を減少させて、均一な表面を得ることができる。
【0028】
ここで、酸化炎とは、引火性ガス、混合ガス、エアゾール又はスプレーのいずれかを基にした火炎であり、これらは過剰酸素を含み、及び/又は酸化作用を有する。
【0029】
(3)火炎処理工程
次に、樹脂層の表面を火炎処理する工程について説明する。
火炎処理は、酸化炎処理の後、又は酸化炎処理せずに、樹脂層が形成されたガラス瓶に対して、炭化水素と、酸素と、珪素含有化合物とを含む混合ガスによる火炎を射出することにより、行うことができる。
【0030】
混合ガスに含まれる炭化水素は、特に限定されないが、通常、炭素数1以上6以下の炭化水素のガスを用いる。好ましくは、炭素数1及び2の炭化水素を主成分として含む混合ガスであり、さらに好ましくは、80体積%以上がメタンである炭化水素混合ガスである。なお、炭化水素混合ガスには、本発明の目的を阻害しない範囲で炭化水素以外の成分を含んでもよい。
【0031】
具体的には、80体積%以上がメタンである炭化水素混合ガスとして、都市ガスを用いることができる。都市ガスであれば、設備の簡素化がはかれ、通常のプロパンガスに比べて設備が簡素化される。
【0032】
また、本発明で用いられる混合ガスには、酸素が含まれる。酸素は、純度の高い酸素(例えば、酸素ガス)を使用してもよいし、空気を酸素源として使用してもよい。
【0033】
本発明で用いられる混合ガスは、珪素含有化合物を含む。珪素含有化合物を含むことにより、火炎処理によって樹脂層の表面に珪酸塩層を形成することができる。珪酸塩層が形成されることにより、繰り返しの洗浄によっても、樹脂層表面の親水性が失われず、瓶に水を付着させたとしても、水滴は形成されず、水が表面に広がるような状態になる。すなわち、水との接触角が極めて低くなる。なお、本明細書において、「珪酸塩」には、酸化珪素(シリカ)も含まれるものとする。また、本明細書では、樹脂コートガラス瓶の表面処理することの態様の1つとして、樹脂層の上に珪酸塩層を形成することが挙げられ、珪酸塩層の厚さは、特に制限はないが、上限としては50nm以下であることが好ましく、45nm以下であることが更に好ましい。また、珪酸塩層の厚さの下限としては、5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがさらに好ましい。
【0034】
珪素含有化合物としては、有機珪素化合物が好ましく、例えば、テトラメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物、テトラメチルシラン等のアルキルシラン化合物が挙げられる。アルコキシシラン化合物、アルキルシラン化合物は、ガスの相溶性等を考慮して、複数種を混合して用いることもできる。
【0035】
珪素含有化合物と、前述の炭化水素及び酸素とを混合させる場合は、珪素含有化合物を気化させてから混合させてもよい。珪素含有化合物を気化させた上で混合させる場合は、適切な沸点(例えば10℃以上100℃以下程度の沸点)の珪素含有化合物を選択することが好ましい。また、気化した珪素含有化合物は、空気等のキャリアーガスを用いて、炭化水素及び酸素のガスと混合させることもできる。また、混合ガスには、本発明を阻害しない範囲で他の気体成分を含有してもよい。
【0036】
炭化水素ガスと、珪素含有化合物との体積流量比(炭化水素:珪素含有化合物)は、10:1〜50:1であることが好ましく、炭化水素と酸素との体積流量比は、1:0.5〜1:5であることが好ましい。なお、酸素原料として、空気を使用する場合(即ち、混合ガスに窒素が含まれる場合)は、珪素含有化合物(気体)の混合ガス全体に対する割合は、0.01体積%以上、5体積%以下であることが好ましい。
【0037】
樹脂層が接する火炎の温度は、通常、800℃以上1450℃以下であり、好ましくは1000℃以上、1400℃以下である。800℃未満だと、珪酸塩層が十分に形成することができず、また、1450℃を超えてしまうと、ガラスが柔らかくなってしまい、形状が維持できなくなってしまう恐れがある。
【0038】
ガラス瓶への火炎の照射時間は、0.1秒以上10秒以下とすることが好ましい。0.1秒未満では、十分な効果が得られず、10秒を超えると、珪酸塩層又は樹脂層が熱により分解変質する可能性があるからである。また、後述する
図1のように、ガラス瓶を配置したろくろを回転させながら、火炎をあてることができる。
【0039】
具体的な火炎処理について、図面を使って説明する。
図1は、樹脂層を形成した未使用のガラス瓶の樹脂層表面を火炎処理する工程を示す斜視図である。図中、矢印1で示す方向に混合ガス1を導入する。導入された混合ガスを、バーナー2にて燃焼させる。バーナー2の火炎射出部6からは、燃焼する火炎3が出ている。火炎3は、樹脂コートガラス瓶4に向かって放出される。ガラス瓶4は、ろくろ5により、回転され、ガラス瓶外表面全体が、火炎処理される。なお、火炎射出部6は、バーナー2のガラス瓶4にもっとも近い部分である。
【0040】
バーナーの火炎射出部6(火炎放出先端部)からガラス瓶4までの距離は、通常10mm以上120mm以下であり、好ましくは20mm以上100mm以下である。火炎射出部6からガラス瓶4までの距離が離れすぎてしまうと、十分な温度を樹脂層表面に与えることができず好ましくない。なお、実施例の結果からも理解できるように、火炎射出部6からガラス瓶4までの距離が近い方が、アルカリ洗浄にも強い珪酸塩層が形成できる。
【0041】
[樹脂コートガラス瓶の表面処理装置]
上記の例ではガラス瓶を1本ずつ回転させながら火炎を照射したが、連続して樹脂コートガラス瓶を火炎処理することもできる。連続して樹脂コートガラス瓶を火炎処理する表面処理装置について説明する。
【0042】
図2は、当該装置の火炎連続処理工程の部分に関する具体例を示す。表面処理装置は、火炎を放出させる連続処理バーナー9,9と、樹脂コートガラス瓶4,4,・・・の底面を下にした状態(ガラス瓶を立たせた状態)で、樹脂コートガラス瓶の底面の中心を通る垂直な軸を中心にして回転させるためのミニコンベア7と、連続処理バーナー9,9から放出される火炎10,10,・・・と、ガラス瓶4,4,・・・を搬送させるためのコンベア8と、ガラス瓶4をミニコンベア7と接するようにするためのガイド13から構成されている。
【0043】
図2のコンベア8の上流から矢印11の方向にガイド13に沿ってガラス瓶4,4,・・・が運ばれる。連続処理バーナー9,9により火炎10,10,・・・が放出され、ガスバーナーの近傍にあるガラス瓶4,4,・・・は、火炎処理される。このときの火炎10にガラス瓶4が最も近づいた時の、連続処理バーナー9,9の火炎射出部とガラス瓶4の距離は、通常10mm以上120mm以下であるが、適宜選択される。好ましくは20mm以上100mm以下である。なお、ガイド13は、空冷、油冷、水冷等による冷却を行うことが好ましい。
【0044】
コンベア8の連続処理バーナー9,9側には、ミニコンベア7が配置されている。ガラス瓶4,4,・・・は、ミニコンベア7及びコンベア8の両方の上に位置している。すなわち、ミニコンベア7の上面は、ガラス瓶4,4,・・・の底面の一部と接触している。そして、ミニコンベア7は、コンベア8の進行方向11と同じ方向に進むが、ミニコンベア7のガラス瓶4,4,・・・の底面と接触する面の高さは、ガラス瓶4,4,・・・の底面と接触するコンベア8の面よりも2mm高い。したがって、火炎処理の際は、ミニコンベア7及びコンベア8の両方の上に位置している状態であるが、ミニコンベア7及びコンベア8の高さが異なるため、ガラス瓶4,4,・・・は直立状態から若干、コンベア8側に傾いている。なお、ミニコンベア7と、コンベア8の高さの差は、特に限定されるものではないが、1mm以上、5mm以下の範囲に設定することが好ましい。そして、ミニコンベア8は、進行速度がコンベア7の速度よりも早いため、ガラス瓶4,4,・・・は、ガラス瓶の回転方向12の方向に回転する(ガラス瓶の底面の中心を通る垂直な軸を中心にして回転させる)。2つの連続処理バーナー9,9一対でガラス瓶が一回転するように、ミニコンベア7の速度を調整するが、必ずしも全周にわたって処理をする必要はなく、必要な部分に火炎10,10,・・・があたればよい。すなわち、火炎10,10,・・・により、ガラス瓶4,4,・・・の外表面を火炎処理ができるように調整する。他の実施形態として、3本のバーナーを用いて、1本あたりのバーナーにおいてガラス瓶を120°回転させて、360°全周火炎処理をすることもできる。
ミニコンベア7の速度を調整し、連続処理バーナー9,9のうち1つのバーナーでガラス瓶を一回転以上回転させ、1本のガラス瓶に火炎処理を複数回施すこともできる。
【0045】
図2の装置では、連続処理バーナー9,9を2つ設けてある。2つの連続処理バーナー9,9は、コンベアと平行に横に並べる。2つの連続処理バーナー9,9のバーナーの高さをずらすことにより、ガラス瓶4,4,・・・の高さ方向に広範囲に火炎処理を行うことができる。なお、連続処理バーナーの数は、ガラス瓶4,4,・・・の大きさに応じて、適宜変更することができる。また、連続処理バーナー9,9は、ガラス瓶4,4,・・・の高さ方向に複数個配置することもできる。
【0046】
また、火炎処理を実施するにあたり、混合ガスの圧力変化を連続的に又は断続的にモニターしながら、樹脂層表面に対して火炎を照射することもできる。
【実施例】
【0047】
次に、本発明について実施例を用いて詳細に説明する。なお、本発明は実施例によって限定して解釈されるものではない。
【0048】
(実施例1)
ガラス瓶本体(商品名MILK180 東洋ガラス株式会社製)の外側側面の表面(外表面)にウレタン樹脂層(ポリエーテル系水性ウレタン樹脂及びメチロールメラミン樹脂の混合材料による樹脂)を形成した樹脂コートガラス瓶を、
図1のように、ろくろの上に配置した。
図1のように直方体形状のバーナーに混合ガス(都市ガスLNG(15L
N/分)、空気(150L
N/分)、テトラメトキシシラン(0.4L
N/分)を導入し、燃焼させて、ガラス瓶に射出しながら、ろくろをゆっくり回転させた。この時、バーナーの火炎射出部(出口)と瓶との距離は、100mmであった。テトラメトキシシランを含む混合ガスで得られた火炎処理済ガラス瓶を実施例1とする。なお、このときの珪酸塩層の厚さは、約30nmであった。
【0049】
(比較例1)
テトラメトキシシランを混合ガスに含めないとしたこと以外は、実施例1と同様の処理を行った。得られた火炎処理済ガラス瓶を比較例1とする。
【0050】
実施例1及び比較例1のガラス瓶を、所定の回数アルカリ洗浄を行い、洗浄後の火炎処理面に、イオン交換水をスプレーし、その時の濡れ状態を評価した。なお、アルカリ洗浄に用いたアルカリ洗浄液は、1.5%NaOHを用いた。
○(優):接触角20〜30°
△(良):接触角50〜60°
×(不可):接触角80〜90°
とした。
【0051】
なお、接触角は、ガラス瓶の表面上に形成された水滴の縦横比よりもとめたものであり、接触角(θ)=2tan
−1(水滴の縦の長さ/(水滴の横の長さ/2))を使用した。また、表中の「+」は、各判定よりもわずかに良いことを示し、「−」は、各判定よりもわずかに悪いことを示す。結果を以下に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
(実施例2)
火炎射出部からガラス瓶までの距離を50mmとした以外は、実施例と同じ方法で火炎処理を行った。得られた火炎処理済ガラス瓶を実施例2とした。
【0054】
(実施例3)
火炎射出部からガラス瓶までの距離を25mmとした以外は、実施例と同じ方法で火炎処理を行った。得られた火炎処理済ガラス瓶を実施例3とした。
【0055】
実施例2及び実施例3についても、上記同様に、所定の回数アルカリ洗浄を行い、洗浄後の火炎処理面に、イオン交換水をスプレーし、その時の濡れ状態を評価した。結果を表2に示す。
【0056】
【表2】
【0057】
(誤検査確認テスト)
実施例3の火炎処理済ガラス瓶と、火炎処理をおこなわないガラス瓶(ウレタン樹脂層を瓶の表面に形成したもの)とについて、イオン交換水をスプレーした後に、瓶表面異物検査機によるテストをおこなった。火炎処理を行わないガラス瓶については、0.8mmよりも大きい水滴が存在し、これらは異物として判定されるものがあったが、実施例3のガラス瓶では、0.8mmよりも大きい水滴は検出されず、誤判定されなかった。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の表面処理をした樹脂コートガラス瓶、その製造方法、及び表面処理装置は、ガラス瓶及びその製造の技術分野において、好適に用いられる。
【0059】
(符号の説明)
1 混合ガス
2 バーナー
3 火炎
4 ガラス瓶(樹脂被覆済)
5 ろくろ
6 火炎射出部
7 ミニコンベア
8 コンベア
9 連続処理バーナー
10 連続処理バーナーから出る火炎
11 コンベア(ガラス瓶)の進行方向
12 ガラス瓶の回転方向
13 ガイド